JP3676291B2 - 減勢工 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜地に配管された下水管(傾斜配管)などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工に関する。
【0002】
【従来の技術】
傾斜地に配管された下水管などから放流される汚水は高速であるため、そのまま放流すると、公共管やポンプ塔などの施設を損傷するおそれがある。このため高速水流のエネルギを減勢する設備を設ける必要がある。
【0003】
高速水流の放流水脈を減勢する設備としては減勢工が知られている。減勢工としては、例えば図16に示すように、減勢槽(減勢池)201の下流部に堰202を設け、傾斜下水管などの管渠203から流出する水流の運動エネルギを跳水現象により減勢させる跳水型減勢工がある。なお、このような跳水式減勢工では、堰202の上流側の跳水渦領域に、バッフルピアやシルなど、水流を衝突分散させる補助構造物を設けて減勢効果を高めるという方法も採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図16に示す構造の減勢工において、十分な減勢効果を得るには、跳水長L(跳水を起こさせるために必要な長さ)を大きくとる必要があるため、減勢工全体の規模が大きくなってしまうという問題がある。
【0005】
また、図16に示す構造の減勢工では、管渠203から流出する水流が減勢槽201内に噴射状に開放されるので、管渠203から減勢槽201内に連行される空気量が多い。特に、管渠203に流入する汚水等が多量で、管内の水流が射流(ジェット流)状態となる場合、減勢槽201内への空気連行量が非常に多くなるため、減勢槽201に通気孔などの排気設備が必要となる。しかも、下水管等からの連行空気は臭いため、外部への排気を行うと減勢工の周辺に悪臭が漂うという問題もある。
【0006】
本発明はそのような問題点を解決すべくなされたもので、規模が小さくて空気連行量が少ない構造の減勢工の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の減勢工は、傾斜地に配管された下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工であって、流入口から下方に傾斜する傾斜流入路及びその傾斜流入路の先端の流入開口部から流出部に通じる流路が形成された本体と、流入開口部と流出部との間の流路上に配置された堰を備え前記傾斜流入路の流入開口部が、堰の上端よりも低い位置に設けられており、当該減勢工への流入水が前記堰を越流している状態のときに、前記傾斜流入路内に滞留水が溜まるように構成されているとともに、前記傾斜流入路は、前記流入口から当該傾斜流入路の先端の流入開口部に向かうに従って、流路高さが狭くかつ流路幅が広くなるような形状に形成されており、前記流入開口部が横方向に長細の長方形でその高さ寸法が前記流入口に接続される流入管の内径よりも小さい寸法となっていることによって特徴づけられる。
【0008】
本発明の減勢工において、流入管を流れる汚水等は、流入口を通じて傾斜流入路に流入し、その傾斜流入路の流入開口部から流出した水流は、流入開口部と流出部との間に設けられた堰によって上昇渦流となり、堰に沿って上方にせり上がってゆき、堰を越流して流出管に流入する。
【0009】
このように本発明の減勢工では、流入口から流入した水流を、堰によって強制的にせり上がらせることにより、減勢工の高さ方向において水流の運動エネルギを発散(減勢)させているので、流入口と堰との間の距離が短くても、十分な減勢効果を得ることができる。
【0010】
しかも、本発明の減勢工においては、流入口から下方に傾斜する傾斜流入路を減勢工側に設けているので、次のような作用効果を達成できる。
【0011】
まず、減勢工側の傾斜流入路を設けていない場合、流入口に接続する流入管の勾配が緩いときに、堰による跳水部(滞留部)が流入管の上流方向に上がってしまい、汚水内の汚物やトイレットペーパーなどが、流入管の管頂部に付着・堆積した場合には、その清掃が困難となる。これに対し、本発明のように、減勢工側に傾斜流入路(滞留部)を設けておくと、流入管の勾配が緩い場合であっても、跳水部が流入管の高い部位まで上昇することがなく、管頂部への汚物等の付着の問題を解消できる。
【0012】
さらに、減勢工側に傾斜流入路を設けておくと、減勢工を設置するマンホールの外部に配管を取り付ける必要がなくなるので、部材を削減できてコストの低減化をはかることができる。また、工場出荷の場合には全体形状をコンパクトにすることができる。
【0013】
傾斜流入路の角度(水平面に対する傾斜角)は、30度〜70度の範囲が好ましく、より好ましくは45度〜60度の範囲がよい。
【0014】
しかも、本発明の減勢工において、傾斜流入路の流入開口部を、堰の上端よりも低い位置に設けて、当該減勢工への流入水が前記堰を越流している状態のときに、前記傾斜流入路内に滞留水が溜まるように構成しているので、減勢工への流入水が堰を越流している状態では、管渠(流入管)からの噴流水は傾斜流入路内に溜まっている滞留水の水中に流入することになる。これにより、射流により多量の空気が管渠から連行されても、その連行空気は傾斜流入路内の滞留水の存在によって減勢工内への浸入が阻止され、その殆どが管渠に戻される。なお、連行空気の一部は減勢工内の溜水中に浸入し水面から破泡するが、その量はごく僅かであるので、特に排気設備などを設ける必要はない。
【0015】
ここで、減勢工において堰の高さが高すぎると、堰を越流する汚水の越流後の流速が位置エネルギによって速くなってしまい、減勢効果が薄れてしまうという問題が発生するが、傾斜流入路の流入開口部の開口高さを堰の高さ以下とし、さらに流入開口部を堰の上端よりも低い位置に配置することにより、減勢効果を確保しながら堰の高さを低くすることが可能になる。
【0016】
本発明の減勢工において、メンテナンス性をよくするために、傾斜流入路の上方部分を、本体から取り外し可能な流入ブロックとしておいてもよい。
【0017】
この場合、減勢工本体に、流入ブロックの縁部を載置するための段部を設け、その段部の載置面と流入ブロックの縁部との間にパッキンを設けておくことが好ましい。このようにパッキンを設けておけば、傾斜流入路にて浸入が阻止された連行空気が、流入ブロックの上方に逃げることを阻止することができる。これにより、減勢工の周辺に悪臭が洩れることを防ぐことができ、また、減勢工を設置したマンホール等の内圧が連行空気によって上昇して鉄蓋が飛散するというような危険も回避することができる。
【0018】
本発明の減勢工において、傾斜流入路の流入開口部の開口高さ寸法を、流入口に接続される流入管の管径(内径)よりも小さい寸法とし、さらに、流入開口部の流路断面積を流入管の断面積以上に保つようにしておけば、流入口から傾斜流入路に流入した水流が横方向に分散するので、減勢効果を更に高めることができる。
【0019】
この場合、流入開口部の開口高さを、流入管の管径(内径)の1/2以下にすることが好ましい。また、流入口(流入管)が円形である場合、流入開口部を横方向に細長の長方形とすることが好ましい。
【0020】
本発明の減勢工において、傾斜流入路内に流入した水の流れを、横方向と上方向に向ける面(傾斜面)を有する分散ブロックを設けておくことが好ましい。このような分散ブロックを設けておくと、堰に向かう水の勢いを横方向と上方向に分散して減勢することができるので、減勢効果をより一層高めることができる。
【0021】
分散ブロックの高さ寸法は、流入開口部の開口高さ寸法以下、好ましくは流入開口部の開口高さ寸法の1/2以下とする。また、分散ブロックの傾斜面の角度水平面に対する傾斜角)は、30度〜70度の範囲が好ましく、より好ましくは45度〜60度の範囲がよい。
【0022】
本発明の減勢工において、堰の上面の形状を、堰の幅方向の中央部が他の部分よりも低い形状としておくことが好ましい。このようにすると、汚水や汚物が堰の中央部に集まりやすくなるので、堰の端の部分に汚物が付着したり、汚水が溜まることを防止することができる。
【0023】
本発明の減勢工において、堰を、流出部に接続される流出管の管端面に対する距離が流出管の管径(内径)の1/2以上となる位置に配置しておくことが好ましい。このように、堰と流出管との間に距離をあけておくと、堰の下流側において空気が流れやすくなり、汚水で流出管が塞がれることを防ぐことができる。
【0024】
本発明の減勢工において、堰の幅寸法を、堰の上流側流路の幅寸法よりも小さくしておくことが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明の減勢工の実施形態の中央縦断面図(A)及び平面図(B)である。図2及び図3はそれぞれ図1のC矢視図及びD矢視図である。図4及び図5はそれぞれ図1のE−E断面図及びF−F断面図である。図6は図1の実施形態の全体構造を模式的に示す斜視図である。
【0027】
この例の減勢工1は、傾斜地に配管された下水管(傾斜配管)の下流側に敷設のマンホールに減勢機能を持たせるための装置であって、減勢工本体2とその内部に配置された堰8及び分散ブロック9を備えている。
【0028】
減勢工本体2は、FRP製で表面(流水表面)にPEシート2aが貼着されている。減勢工本体2は、断面楕円形のマンホール10(図8参照)に合わせた形状に加工されている。なお、減勢工本体2の形状は楕円形のほか、円形や矩形であってもよい。
【0029】
減勢工本体2には、流入口3及び流出部4と、流入口3から下方に傾斜する傾斜流入路5と、傾斜流入路5の先端の流入開口部6から流出部4に通じる流路7が形成されている。
【0030】
流入開口部6は横方向に長細の長方形に加工されており、その開口高さ寸法H(図4)は、流入口3に接続される流入管11の管径(内径)の1/2となっている。ただし、流入開口部6の流路断面積は、流入管11の断面積と同じか、もしくはそれ以上に保たれている。
【0031】
流入開口部6と流入口3とを繋ぐ傾斜流入路5は、流入口3から流入開口部6に向かう従って、流路高さが狭くかつ流路幅が広くるなような形状に形成されている。従って、流入口3から流入した汚水は、横方向(左右方向)に分散されながら流入開口部6に達する。
【0032】
傾斜流入路5の上方部分は、減勢工本体2からの取り外しが可能な流入ブロック21で構成されており、図6に示すように、流入ブロック21を上方へと引き上げて、減勢工本体2から取り外すことにより、傾斜流入路5内の清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0033】
傾斜流入路5内には分散ブロック9が配置されている。分散ブロック9は、図7に示すように、傾斜流入路5に流入した汚水の流れを横方向(左右方向)に向ける傾斜面9a,9aと、汚水の流れを上方向に向ける傾斜面9bが形成されている。分散ブロック9の高さは、流入開口部6の開口高さの1/2以下である(この例では、流入開口部6の開口高さの30%程度としている)。分散ブロック9の傾斜面9a,9aは、汚水の流れ方向に対して45度、水平面に対して45度傾斜している。傾斜面9bは水平面に対して45度傾斜している。
【0034】
分散ブロック9の配置位置は傾斜流入路5の幅方向の中央位置である。また、分散ブロック9の先端(流入口3側の先端)は、傾斜流入路5の傾斜底面5aの終端に位置している。
【0035】
堰8は、傾斜流入路5の流入開口部6と流出部4との間の流路7上に設けられている。堰8は、図8に示すように、流出部4に接続される流出管12の管端面に対する距離Mが、流出管12の管径(内径)と等しい距離となる位置に配置されている。
【0036】
堰8の底部には傾斜面8aが形成されている。この傾斜面8aは、流入口3から傾斜流入路5内に流入し、流入開口部6から流出した水流の向きを上方(鉛直方向)に効率良く誘導することを目的として形成される。
【0037】
堰8の底部には貫通穴8bが設けられており、この貫通穴8bを介して堰8の上流側流路(汚水滞留部)71と下流側流路(インバート)72とが連通している。貫通穴8bの大きさは、汚水等に含まれる汚物などが通過できる程度の大きさ、例えばφ50mm〜φ100mm程度とする。なお、貫通穴の形状は、円形のほか楕円や四角形等であってもよい。
【0038】
堰8の幅寸法は、流入開口部6から連続する上流側流路71の幅寸法よりも小さい(この例では、堰8の幅:上流側流路71の幅=1:2としている)。また上流側流路(汚水貯留部)71の幅寸法は、流入管11の管径(内径)よりも大きい(この例では、上流側流路71の幅寸法を流入管11の管径の2倍としている)。
【0039】
なお、上流側流路71の後端部分の側壁7aは、上流側流路71の幅寸法が堰8に向かうに従って徐々に小さくなるような傾斜面となっており、上流側流路71から堰8に向かう汚水がスムーズに流れるようになっている。
【0040】
堰8の上面(越流部分)は、幅方向の中央部が最も低くなるようなV字形状に加工されている。なお、堰8の上面の形状は、堰の幅方向の中央部が他の部分よりも低い形状であれば特に限定されず、例えばU字形状であってもよい。
【0041】
以上の減勢工1は、図8に示すように、マンホール10内の底部に設置され、減勢工本体2の流入口3に流入管(下水上流管)11が接続され、流出部4に流出管(下水下流管)12が接続される。流出管12の管底は下流側流路72(インバート)の底面と略一致する高さに配置される。
【0042】
図8の設置状態において、流入口3から傾斜流入路5に流入した水流は、傾斜流入路5先端の流入開口部6と流出部4との間に設置された堰8によって上昇渦流となり、堰8に沿って上方にせり上がってゆき、堰8を越流して流出部4から流出管12に流出する。
【0043】
このように本実施形態の減勢工1では、減勢工本体2内に流入した水流を、堰8によって強制的にせり上がらせることにより、減勢工本体2の高さ方向において水流の運動エネルギを発散(減勢)させているので、減勢工本体2の流入口3と堰8との間の距離が短くても、十分な減勢効果を得ることができる。
【0044】
また、減勢工本体2内に流入する排水の水量が少量(堰8を越えない水量)である場合、減勢工本体2内に流入した排水は、堰8の貫通穴8bを通過して流出部4から流出するので、減勢工本体2内に排水が滞留することはない。
【0045】
さらに、傾斜流入路5の中央部に分散ブロック9を設けているので、堰8に向かう汚水の勢いを横方向と上方向に分散することができる。しかも、上方向に分散した流れは傾斜流入路5内の上部(流入ブロック21)にて勢いが更に減勢されるので、減勢効果をより一層高めることができる。また、分散ブロック9を設けておくことにより、傾斜流入路5に流入した汚水が、堰8の貫通穴8bに直接向かうことがなくなるので、勢いのある汚水が堰8の貫通穴8bを通過して流出部4に達することがなくなる。
【0046】
さらに、本発明の実施形態においては、減勢工本体2の表面(流水表面)に、耐摩耗性に優れたPEシート2aを貼着しているので、耐久性にも優れた減勢工を提供することができる。
【0047】
なお、以上の実施形態では、分散ブロック9として、フラットな傾斜面9a,9bが形成されたものを用いているが、これに替えて、例えば図9(A)及び(B)に示すように、前方及び上方に凸の湾曲面19aが形成された分散ブロック19、あるいは、図10(A)及び(B)に示すように、凹面29aを組み合わせた構造の分散ブロック29を用いてもよい。
【0048】
以上の実施形態では、堰8に貫通穴8bを形成しているが、これに替えて、堰の上端から減勢工本体2の上流側流路71(下流側流路72)の底部まで切れ込むスリットを設けておいてもよい。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態を図11〜図15を参照しながら説明する。
【0050】
図11及び図12は本発明の他の実施形態の全体構造を示す斜視図である。図13は本発明の他の実施形態を流入ブロックを取り外した状態で示す平面図である。図14は本発明の他の実施形態の要部縦断面図である。
【0051】
この実施形態の減勢工101は、前記した実施形態と同様な構造で、減勢工本体102と、その内部に配置された流入ブロック120及び堰108を備えている。なお、分散ブロックの図示は省略している。
【0052】
減勢工本体102には、流入口103及び流出部104と、流入ブロック120の傾斜面121によって形成される傾斜流入路105と、傾斜流入路105の先端の流入開口部106から流出部104に通じる流路107とが形成されている。
【0053】
流入ブロック120は、図11に示す設置状態で傾斜面121が流入口103に対し、下方に向けて傾斜した姿勢で対向するようになっており、流入口103に流入した汚水の流れを下方と横方向(左右方向)に向けて分散する。
【0054】
流入ブロック120は、図11及び図12に示すように、減勢工本体102への取り付け/取り外しが可能である。従って、流入ブロック120を上方へと引き上げて、減勢工本体102から取り外すことにより、傾斜流入路105の清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0055】
なお、流入ブロック120の上端部には、固定プレート122が設けられており、この固定プレート122を減勢工本体102の上面縁部にボルト止めすることにより、減勢工本体102に対して流入ブロック120の全体を固定することができる。また、固定プレート122には把手123が設けられている。
【0056】
そして、この実施形態では、図12及び図13に示すように、減勢工本体102の内部に、流入ブロック120の縁部を載置するための段部111が設けられており、その段部111の載置面112と流入ブロック120の縁部との間にゴム製のパッキン109が挟み込まれているところに特徴がある。
【0057】
このように減勢工本体102と流入ブロック120との間にパッキン109を設けておけば、傾斜流入路105にて浸入が阻止された連行空気が、流入ブロック120の上方に逃げることを阻止することができ、減勢工1の周辺に悪臭が洩れることを防ぐことができる。なお、パッキン109は、減勢工本体102側に取り付けておいてもよいし、流入ブロック120側に取り付けておいてもよい。
【0058】
パッキンとしては、図15(A)に示すような断面Z字形のものが好ましいが、他の形状のパッキンであってもよい。例えば図15(B)及び(C)に示すような断面U字形のパッキン191や、断面Y字形のパッキン192を用いてもよい。
【0059】
ここで、本発明の減勢工は、下水用のマンホールに限られることなく、高速水流を放流する各種配管・管渠に設置のマンホール、あるいは高速水流を放流する他の施設にも適用可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の減勢工によれば、流入口から下方に傾斜する傾斜流入路を形成するとともに、傾斜流入路の先端の流入開口部と流出部との間に堰を設け、流入開口部から流出する水流を、堰にて強制的にせり上がらせることにより、減勢工の高さ方向において水流の運動エネルギを減勢するように構成しているので、流入口から堰までの距離を短くすることができ、減勢工全体の規模を小さくすることができる。
【0061】
本発明の減勢工において、傾斜流入路の流入開口部を堰の上端よりも低い位置に配置し、減勢工への流入水が堰を越流している状態のときに、下水管等の流入管からの噴流水が、傾斜流入路内に溜まっている滞留水の水中に流入するように構成すれば、管渠を流れる射流により多量の空気が管渠から連行されても、その連行空気が減勢工内に入り込む量は少なくて済み、排気設備・悪臭等の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の中央縦断面図(A)及び平面図(B)である。
【図2】図1のC矢視図である。
【図3】図1のD矢視図である。
【図4】図1のE−E断面図である。
【図5】図1のF−F断面図である。
【図6】本発明の実施形態の全体構造を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に用いる分散ブロックのみを抽出して示す側面図(A)及び平面図(B)である。
【図8】図1の実施形態を使用状態で示す縦断面図である。
【図9】分散ブロックの変形例を示す側面図(A)及び平面図(B)である。
【図10】分散ブロックの変形例を示す側面図(A)及び平面図(B)である。
【図11】本発明の他の実施形態の全体構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態の全体構造を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の他の実施形態を流入ブロックを取り外した状態で示す平面図である。
【図14】本発明の他の実施形態の要部構造を示す縦断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態に用いるパッキンの形状例を示す図である。
【図16】跳水型減勢工の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 減勢工
2 減勢工本体
21 流入ブロック
3 流入口
4 流出部
5 傾斜流入路
6 流入開口部
7 流路
71 上流側流路
72 下流側流路
8 堰
8b 貫通穴
9 分散ブロック
9a,9b 傾斜面
10 マンホール
11 流入管
12 流出管
101 減勢工
102 減勢工本体
111 段部
112 載置面
103 流入口
104 流出部
105 傾斜流入路
106 流入開口部
107 流路
120 流入ブロック
121 傾斜面
108 堰
109 パッキン

Claims (7)

  1. 傾斜地に配管された下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工であって、
    流入口から下方に傾斜する傾斜流入路及びその傾斜流入路の先端の流入開口部から流出部に通じる流路が形成された本体と、流入開口部と流出部との間の流路上に配置された堰を備え前記傾斜流入路の流入開口部が、堰の上端よりも低い位置に設けられており、当該減勢工への流入水が前記堰を越流している状態のときに、前記傾斜流入路内に滞留水が溜まるように構成されているとともに、前記傾斜流入路は、前記流入口から当該傾斜流入路の先端の流入開口部に向かうに従って、流路高さが狭くかつ流路幅が広くなるような形状に形成されており、前記流入開口部が横方向に長細の長方形でその高さ寸法が前記流入口に接続される流入管の内径よりも小さい寸法となっていることを特徴とする減勢工。
  2. 傾斜流入路の上方部分が、取り外し可能な流入ブロックで構成されていることを特徴とする請求項1記載の減勢工。
  3. 前記減勢工本体には、流入ブロックの縁部を載置するための段部が設けられており、その段部の載置面と流入ブロックの縁部との間にパッキンが挟み込まれていることを特徴とする請求項2記載の減勢工。
  4. 傾斜流入路内に流入した水の流れを、横方向と上方向に向ける面を有する分散ブロックが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の減勢工。
  5. 堰の上面の形状が、堰の幅方向の中央部が他の部分よりも低い形状となっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の減勢工。
  6. 堰は、流出部に接続される流出管の管端面に対する距離が流出管の管径の1/2以上となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の減勢工。
  7. 堰の幅寸法が、堰の上流側流路の幅寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の減勢工。
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