JP2004116235A - 減勢工 - Google Patents
減勢工 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004116235A JP2004116235A JP2002284108A JP2002284108A JP2004116235A JP 2004116235 A JP2004116235 A JP 2004116235A JP 2002284108 A JP2002284108 A JP 2002284108A JP 2002284108 A JP2002284108 A JP 2002284108A JP 2004116235 A JP2004116235 A JP 2004116235A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- energy
- tank
- water
- reducing
- flowing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Sewage (AREA)
- Underground Structures, Protecting, Testing And Restoring Foundations (AREA)
Abstract
【課題】減勢槽内部の流水表面の摩耗が少なくて耐久性に優れた減勢工を提供する。
【解決手段】流入口11及び流出口12が形成された減勢槽1を備え、その減勢槽1の内部に、流入口11から流入した水の流れを減勢するための減勢手段(減勢ブロック2及び堰3)が配置された減勢工において、減勢槽1内部の流水表面の全面または一部(水流の衝撃を受ける部分の表面)に、耐摩耗性に優れた保護シート10を設けることで、マンホール等に設置可能な小規模の減勢工の耐久性を高める。
【選択図】図1
【解決手段】流入口11及び流出口12が形成された減勢槽1を備え、その減勢槽1の内部に、流入口11から流入した水の流れを減勢するための減勢手段(減勢ブロック2及び堰3)が配置された減勢工において、減勢槽1内部の流水表面の全面または一部(水流の衝撃を受ける部分の表面)に、耐摩耗性に優れた保護シート10を設けることで、マンホール等に設置可能な小規模の減勢工の耐久性を高める。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜地に配管された下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工(減勢装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
傾斜地に配管された下水管などから放流される汚水は高速であるため、そのまま放流すると、公共管やポンプ塔などの施設を損傷するおそれがある。このため高速水流のエネルギを減勢する設備を設ける必要がある。
【0003】
高速水流の放流水脈を減勢する設備として減勢工が知られている。減勢工としては、減勢槽の内部にシルや堰などを設け、傾斜下水管などの管渠から減勢層内に流出する水流の運動エネルギを跳水現象により減勢させる跳水型の減勢工がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−323560号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、跳水型あるいは他の構造の減勢工においては、減勢槽内の流路及び堰などがモルタルやFRPなどの樹脂で製作されている。しかし、減勢槽内に流入した水流は高速(高エネルギ)であるので、水流が当たる部分(流水表面)が摩耗しやすいという問題がある。
【0006】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、減勢槽内部の流水表面の摩耗が少なくて耐久性に優れた減勢工の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の減勢工は、下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工であって、流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置されているとともに、減勢槽内部の流水表面の全面または一部(水流の衝撃を受ける部分の表面)に、耐摩耗性に優れた保護部材が設けられていることによって特徴づけられる。
【0008】
なお、本発明でいう「流水表面」とは、減勢槽内に流入した水流が接触する部分のことを指す。
【0009】
本発明に用いる、耐摩耗性に優れた保護部材としては、ポリエチレンシート、あるいは超高密度ポリエチレンのガス発泡押出成形品(シート)などを挙げることができる。これらのうち、耐薬品性などを考慮すると、ポリエチレンシートを用いることが好ましく、特に、超分子量ポリエチレンボードを用いることが好ましい。なお、保護部材としてポリエチレンシートを用いる場合、減勢槽内部に接着剤にて固定してもよいし、減勢槽内部(内面)に一体成形してもよい。また、超分子量ポリエチレンボードを用いる場合、減勢槽内部にボルト止めにて固定する。
【0010】
超高密度ポリエチレンのガス発泡押出成形の具体的な例としては、超臨界炭酸ガス発泡押出成形を挙げることができる。
【0011】
超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形とは、押出機の混練中に炭酸ガスを溶解させて、溶融樹脂中にガスを臨界点で飽和させる状態にし、このように超臨界状態の溶融樹脂にすることで低粘度化をはかり、従来では非常に混練の難しい超高分子量ポリエチレンの成形を容易にする成形法である。この成形法で押出成形された成形品は微細発泡状態となる。
【0012】
本発明に用いる保護部材としては、前記したようなシートのほか、例えば保護板や保護膜(塗膜)などの他の形態の部材であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態の中央縦断面図である。図2はその実施形態を減勢ブロックを取り外した状態で示す平面図である。図3は本発明の実施形態の全体構造を示す斜視図である。図4は減勢ブロックの斜視図である。図5及び図6はそれぞれ図1のX−X断面図及びY−Y断面図である。
【0015】
この例の減勢工は、傾斜地に配管された下水管(傾斜配管)の下流側に敷設のマンホールに減勢機能を持たせるための装置であって、減勢槽1とその内部に配置された減勢ブロック2及び堰3を備えている。
【0016】
減勢槽1は、例えばFRP製で断面楕円形のマンホール100に合わせた形状に加工されている。なお、減勢槽1の形状は楕円形のほか、円形や矩形であってもよい。
【0017】
減勢槽1には、流入口11及び流出口12と、減勢ブロック2の下端部に位置する流入開口部4と、その流入開口部4から流出口12に通じる流路5が形成されている。流入開口部4は横方向に長細の長方形に加工されている。
【0018】
減勢ブロック2は、図3及び図4に示すように、減勢槽1への取り付け/取り外しが可能である。従って、減勢ブロック2を上方へと引き上げて、減勢槽1から取り外すことにより、流入口11から流入開口部4までの内面の清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
減勢槽1には、図2、図3及び図5に示すように、減勢ブロック2の縁部を載置するための段部14が設けられており、その段部14の載置面15と減勢ブロック2の縁部との間にゴム製のパッキン6が挟み込まれている。
【0020】
減勢ブロック2は、図1に示す設置状態で減勢面21が流入口11に対し、下方に向けて傾斜した姿勢で対向するようになっている。また、減勢ブロック2の減勢面21には三角錐形状の凸部22が形成されており、流入口11に流入した汚水の流れを下方と横方向(左右方向)に向けて分散する。
【0021】
堰3は、図1に示すように、流入開口部4と流出口12との間の流路5上に設けられている。堰3の底部中央(幅方向の中央)には貫通穴31が設けられており、この貫通穴31を介して堰3の上流側流路(汚水滞留部)51と下流側流路(インバート)52とが連通している。貫通穴31の大きさは、汚水等に含まれる汚物などが通過できる程度の大きさ、例えばφ50mm〜φ100mm程度である。
【0022】
そして、本実施形態では、減勢槽1内部の流水表面、すなわち減勢槽1の内部側壁面16及び底面13(下流側流路52を含む)、並びに減勢ブロック2及び堰3の各表面に保護シート10(図5、図6参照)を貼着している点に特徴がある。保護シート10には、超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品が用いられている。
【0023】
以上の構造の減勢工1は、図1に示すように、マンホール100内の底部に設置され、減勢槽1の流入口11に流入管(下水上流管)101が接続され、流出口12に流出管(下水下流管)102が接続される。流出管102の管底は下流側流路52(インバート)の底面と略一致する高さに配置される。
【0024】
図1の設置状態において、流入口11から減勢槽1内に流入した水流は、流入口11に対向して設けられた減勢ブロック2の減勢面21及び三角錐形状の凸部22によって下方と横方向(左右方向)に向けて分散される。
【0025】
このように、本実施形態の減勢工では、流入口11から流入した水の流れを、減勢ブロック2によって強制的に分散させて水流の運動エネルギを減勢させているので、高い減勢効果を得ることができる。また、減勢槽1の内部で流出口12の前方位置に堰3を設けているので、減勢ブロック2にてエネルギが減勢された後の水流の勢いを、堰3にて更に減勢することができ、減勢効果をより一層高めることができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、減勢槽1内部の流水表面に、耐摩耗性に優れた保護シート10を貼着しているので、耐久性にも優れている。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は、図1〜図6に示した構造の減勢工に限られることなく、流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に、流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置されている減勢工であれば、任意の構造のものに適用できる。その具体的な例を図7〜図9に示す。
【0028】
図7の減勢工は、流入口211及び流出口212が形成された減勢槽201と、その内部に配置された堰202を備えており、流入口211から減勢槽201内に流入した水流を、堰202によって強制的にせり上がらせることにより、減勢槽201の高さ方向において水流の運動エネルギを発散(減勢)させる構造の減勢工である。なお、堰202には、下水等に含まれる汚物などが通過できる程度の大きさの貫通穴221が設けられている。
【0029】
図7に示す減勢工では、減勢槽201内部の流水表面すなわち減勢槽201の内部側壁面214及び底面213、並びに堰202の表面に、保護シート10(超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品)を貼着することで、耐久性を高めている。
【0030】
図8の減勢工は、流入口311及び流出口312が形成された減勢槽301と、その内部に配置された減勢壁302及び流入ブロック303を備えている。この減勢工において、流入口311から減勢槽301内に流入する下水(雨水等)が大流量や中流量である場合、減勢槽301内に流入した流入水は、減勢壁302に当たって運動エネルギが減勢された後に減勢槽301内を通過して流出口312から流出する。一方、減勢槽301内への流入水量が小流量である場合、流入口311から減勢槽301内に流入した下水は、流入ブロック303の導入溝330に沿って落下して槽底部の貯溜水に突入する。なお、減勢槽301の底面313の中央にも導入溝310が設けられている。
【0031】
図8に示す減勢工では、減勢槽301内部の流水表面すなわち減勢槽301の内部側壁面314及び底面313(導入溝310を含む)、並びに減勢壁302及び流入ブロック303(導入溝330を含む)の各表面に、保護シート10(超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品)を貼着することで、耐久性を高めている。
【0032】
図9の減勢工は、落差マンホールに減勢機能を持たせるのに使用される縦型の減勢工であって、減勢槽401の天井壁402に流入口411が設けられ、流出口412が側壁420に設けられている。また、減勢槽401の内部には、減勢ブロック431を有する仕切壁403が配置されている。
【0033】
そして、この減勢工において、流入口411から減勢槽401内に流入する下水(雨水等)が大流量や中流量である場合、流入口411から減勢槽401内に流入した下水は、減勢ブロック431の傾斜面432に当たって運動エネルギが減勢された後、減勢槽401内の貯溜水に突入し、ウォータクッション効果により更に減勢される。その減勢後の水流は減勢槽401内を通過して流出口412から流出する。一方、減勢槽401内への流入水量が小流量である場合、流入口411から減勢槽401内に流入した下水は、減勢槽401内を落下して槽底部の貯溜水に突入する。なお、減勢槽401の底面413の中央に導入溝410が設けられている。
【0034】
図9に示す減勢工では、減勢槽401内部の流水表面すなわち減勢槽401の内部側壁面414及び底面413(導入溝410を含む)、並びに仕切壁403の表面(減勢ブロック431の表面も含む)に、保護シート10(超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品)を貼着することで、耐久性を高めている。
【0035】
以上の各実施形態では、減勢槽内部の流水表面のほぼ全面に保護シートを貼着する構成としているが、本発明はこれに限られることなく、減勢槽の流水表面の一部、例えば水流の衝撃を受ける部分のみに保護シートを設けておいてもよい。
【0036】
ここで、本発明の減勢工は、下水用のマンホールに限られることなく、高速水流を放流する各種配管・管渠に設置のマンホール、あるいは高速水流を放流する他の施設にも適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に、流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置された減勢工において、減勢槽内部の流水表面の全面または一部(水流の衝撃を受ける部分の表面)に、耐摩耗性に優れた保護部材を設けているので、マンホール等に設置可能な小規模の減勢工の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の中央縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態の平面図である。
【図3】本発明の実施形態の全体構造を示す斜視図である。
【図4】減勢ブロックの斜視図である。
【図5】図1のX−X断面図である。
【図6】図1のY−Y断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態の縦断面図(A)及び水平断面図(B)である。
【図8】本発明の別の実施形態の縦断面図(A)及び平面図(B)である。
【図9】本発明の更に別の実施形態の縦断面図(A)及び平面図(B)である。
【符号の説明】
1 減勢槽
10 保護シート
11 流入口
12 流出口
13 底面
14 段部
15 載置面
2 減勢ブロック
21 減勢面
22 凸部
3 堰
31 貫通穴
4 流入開口部
5 流路
51 上流側流路
52 下流側流路
6 パッキン
100 マンホール
101 流入管
102 流出管
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜地に配管された下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工(減勢装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
傾斜地に配管された下水管などから放流される汚水は高速であるため、そのまま放流すると、公共管やポンプ塔などの施設を損傷するおそれがある。このため高速水流のエネルギを減勢する設備を設ける必要がある。
【0003】
高速水流の放流水脈を減勢する設備として減勢工が知られている。減勢工としては、減勢槽の内部にシルや堰などを設け、傾斜下水管などの管渠から減勢層内に流出する水流の運動エネルギを跳水現象により減勢させる跳水型の減勢工がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−323560号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、跳水型あるいは他の構造の減勢工においては、減勢槽内の流路及び堰などがモルタルやFRPなどの樹脂で製作されている。しかし、減勢槽内に流入した水流は高速(高エネルギ)であるので、水流が当たる部分(流水表面)が摩耗しやすいという問題がある。
【0006】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、減勢槽内部の流水表面の摩耗が少なくて耐久性に優れた減勢工の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の減勢工は、下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工であって、流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置されているとともに、減勢槽内部の流水表面の全面または一部(水流の衝撃を受ける部分の表面)に、耐摩耗性に優れた保護部材が設けられていることによって特徴づけられる。
【0008】
なお、本発明でいう「流水表面」とは、減勢槽内に流入した水流が接触する部分のことを指す。
【0009】
本発明に用いる、耐摩耗性に優れた保護部材としては、ポリエチレンシート、あるいは超高密度ポリエチレンのガス発泡押出成形品(シート)などを挙げることができる。これらのうち、耐薬品性などを考慮すると、ポリエチレンシートを用いることが好ましく、特に、超分子量ポリエチレンボードを用いることが好ましい。なお、保護部材としてポリエチレンシートを用いる場合、減勢槽内部に接着剤にて固定してもよいし、減勢槽内部(内面)に一体成形してもよい。また、超分子量ポリエチレンボードを用いる場合、減勢槽内部にボルト止めにて固定する。
【0010】
超高密度ポリエチレンのガス発泡押出成形の具体的な例としては、超臨界炭酸ガス発泡押出成形を挙げることができる。
【0011】
超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形とは、押出機の混練中に炭酸ガスを溶解させて、溶融樹脂中にガスを臨界点で飽和させる状態にし、このように超臨界状態の溶融樹脂にすることで低粘度化をはかり、従来では非常に混練の難しい超高分子量ポリエチレンの成形を容易にする成形法である。この成形法で押出成形された成形品は微細発泡状態となる。
【0012】
本発明に用いる保護部材としては、前記したようなシートのほか、例えば保護板や保護膜(塗膜)などの他の形態の部材であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態の中央縦断面図である。図2はその実施形態を減勢ブロックを取り外した状態で示す平面図である。図3は本発明の実施形態の全体構造を示す斜視図である。図4は減勢ブロックの斜視図である。図5及び図6はそれぞれ図1のX−X断面図及びY−Y断面図である。
【0015】
この例の減勢工は、傾斜地に配管された下水管(傾斜配管)の下流側に敷設のマンホールに減勢機能を持たせるための装置であって、減勢槽1とその内部に配置された減勢ブロック2及び堰3を備えている。
【0016】
減勢槽1は、例えばFRP製で断面楕円形のマンホール100に合わせた形状に加工されている。なお、減勢槽1の形状は楕円形のほか、円形や矩形であってもよい。
【0017】
減勢槽1には、流入口11及び流出口12と、減勢ブロック2の下端部に位置する流入開口部4と、その流入開口部4から流出口12に通じる流路5が形成されている。流入開口部4は横方向に長細の長方形に加工されている。
【0018】
減勢ブロック2は、図3及び図4に示すように、減勢槽1への取り付け/取り外しが可能である。従って、減勢ブロック2を上方へと引き上げて、減勢槽1から取り外すことにより、流入口11から流入開口部4までの内面の清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
減勢槽1には、図2、図3及び図5に示すように、減勢ブロック2の縁部を載置するための段部14が設けられており、その段部14の載置面15と減勢ブロック2の縁部との間にゴム製のパッキン6が挟み込まれている。
【0020】
減勢ブロック2は、図1に示す設置状態で減勢面21が流入口11に対し、下方に向けて傾斜した姿勢で対向するようになっている。また、減勢ブロック2の減勢面21には三角錐形状の凸部22が形成されており、流入口11に流入した汚水の流れを下方と横方向(左右方向)に向けて分散する。
【0021】
堰3は、図1に示すように、流入開口部4と流出口12との間の流路5上に設けられている。堰3の底部中央(幅方向の中央)には貫通穴31が設けられており、この貫通穴31を介して堰3の上流側流路(汚水滞留部)51と下流側流路(インバート)52とが連通している。貫通穴31の大きさは、汚水等に含まれる汚物などが通過できる程度の大きさ、例えばφ50mm〜φ100mm程度である。
【0022】
そして、本実施形態では、減勢槽1内部の流水表面、すなわち減勢槽1の内部側壁面16及び底面13(下流側流路52を含む)、並びに減勢ブロック2及び堰3の各表面に保護シート10(図5、図6参照)を貼着している点に特徴がある。保護シート10には、超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品が用いられている。
【0023】
以上の構造の減勢工1は、図1に示すように、マンホール100内の底部に設置され、減勢槽1の流入口11に流入管(下水上流管)101が接続され、流出口12に流出管(下水下流管)102が接続される。流出管102の管底は下流側流路52(インバート)の底面と略一致する高さに配置される。
【0024】
図1の設置状態において、流入口11から減勢槽1内に流入した水流は、流入口11に対向して設けられた減勢ブロック2の減勢面21及び三角錐形状の凸部22によって下方と横方向(左右方向)に向けて分散される。
【0025】
このように、本実施形態の減勢工では、流入口11から流入した水の流れを、減勢ブロック2によって強制的に分散させて水流の運動エネルギを減勢させているので、高い減勢効果を得ることができる。また、減勢槽1の内部で流出口12の前方位置に堰3を設けているので、減勢ブロック2にてエネルギが減勢された後の水流の勢いを、堰3にて更に減勢することができ、減勢効果をより一層高めることができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、減勢槽1内部の流水表面に、耐摩耗性に優れた保護シート10を貼着しているので、耐久性にも優れている。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は、図1〜図6に示した構造の減勢工に限られることなく、流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に、流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置されている減勢工であれば、任意の構造のものに適用できる。その具体的な例を図7〜図9に示す。
【0028】
図7の減勢工は、流入口211及び流出口212が形成された減勢槽201と、その内部に配置された堰202を備えており、流入口211から減勢槽201内に流入した水流を、堰202によって強制的にせり上がらせることにより、減勢槽201の高さ方向において水流の運動エネルギを発散(減勢)させる構造の減勢工である。なお、堰202には、下水等に含まれる汚物などが通過できる程度の大きさの貫通穴221が設けられている。
【0029】
図7に示す減勢工では、減勢槽201内部の流水表面すなわち減勢槽201の内部側壁面214及び底面213、並びに堰202の表面に、保護シート10(超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品)を貼着することで、耐久性を高めている。
【0030】
図8の減勢工は、流入口311及び流出口312が形成された減勢槽301と、その内部に配置された減勢壁302及び流入ブロック303を備えている。この減勢工において、流入口311から減勢槽301内に流入する下水(雨水等)が大流量や中流量である場合、減勢槽301内に流入した流入水は、減勢壁302に当たって運動エネルギが減勢された後に減勢槽301内を通過して流出口312から流出する。一方、減勢槽301内への流入水量が小流量である場合、流入口311から減勢槽301内に流入した下水は、流入ブロック303の導入溝330に沿って落下して槽底部の貯溜水に突入する。なお、減勢槽301の底面313の中央にも導入溝310が設けられている。
【0031】
図8に示す減勢工では、減勢槽301内部の流水表面すなわち減勢槽301の内部側壁面314及び底面313(導入溝310を含む)、並びに減勢壁302及び流入ブロック303(導入溝330を含む)の各表面に、保護シート10(超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品)を貼着することで、耐久性を高めている。
【0032】
図9の減勢工は、落差マンホールに減勢機能を持たせるのに使用される縦型の減勢工であって、減勢槽401の天井壁402に流入口411が設けられ、流出口412が側壁420に設けられている。また、減勢槽401の内部には、減勢ブロック431を有する仕切壁403が配置されている。
【0033】
そして、この減勢工において、流入口411から減勢槽401内に流入する下水(雨水等)が大流量や中流量である場合、流入口411から減勢槽401内に流入した下水は、減勢ブロック431の傾斜面432に当たって運動エネルギが減勢された後、減勢槽401内の貯溜水に突入し、ウォータクッション効果により更に減勢される。その減勢後の水流は減勢槽401内を通過して流出口412から流出する。一方、減勢槽401内への流入水量が小流量である場合、流入口411から減勢槽401内に流入した下水は、減勢槽401内を落下して槽底部の貯溜水に突入する。なお、減勢槽401の底面413の中央に導入溝410が設けられている。
【0034】
図9に示す減勢工では、減勢槽401内部の流水表面すなわち減勢槽401の内部側壁面414及び底面413(導入溝410を含む)、並びに仕切壁403の表面(減勢ブロック431の表面も含む)に、保護シート10(超高密度ポリエチレンの超臨界炭酸ガス発泡押出成形品)を貼着することで、耐久性を高めている。
【0035】
以上の各実施形態では、減勢槽内部の流水表面のほぼ全面に保護シートを貼着する構成としているが、本発明はこれに限られることなく、減勢槽の流水表面の一部、例えば水流の衝撃を受ける部分のみに保護シートを設けておいてもよい。
【0036】
ここで、本発明の減勢工は、下水用のマンホールに限られることなく、高速水流を放流する各種配管・管渠に設置のマンホール、あるいは高速水流を放流する他の施設にも適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に、流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置された減勢工において、減勢槽内部の流水表面の全面または一部(水流の衝撃を受ける部分の表面)に、耐摩耗性に優れた保護部材を設けているので、マンホール等に設置可能な小規模の減勢工の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の中央縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態の平面図である。
【図3】本発明の実施形態の全体構造を示す斜視図である。
【図4】減勢ブロックの斜視図である。
【図5】図1のX−X断面図である。
【図6】図1のY−Y断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態の縦断面図(A)及び水平断面図(B)である。
【図8】本発明の別の実施形態の縦断面図(A)及び平面図(B)である。
【図9】本発明の更に別の実施形態の縦断面図(A)及び平面図(B)である。
【符号の説明】
1 減勢槽
10 保護シート
11 流入口
12 流出口
13 底面
14 段部
15 載置面
2 減勢ブロック
21 減勢面
22 凸部
3 堰
31 貫通穴
4 流入開口部
5 流路
51 上流側流路
52 下流側流路
6 パッキン
100 マンホール
101 流入管
102 流出管
Claims (3)
- 下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工であって、
流入口及び流出口が形成された減勢槽を備え、その減勢槽の内部に前記流入口から流入した水の流れを減勢するための減勢手段が配置されているとともに、減勢槽内部の流水表面の全面または一部に、耐摩耗性に優れた保護部材が設けられていることを特徴とする減勢工。 - 前記保護部材がポリエチレンシートであることを特徴とする請求項1記載の減勢工。
- 前記保護部材が、超高分子量ポリエチレンのガス発泡押出成形で成形された保護シートであることを特徴とする請求項1記載の減勢工。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002284108A JP2004116235A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 減勢工 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002284108A JP2004116235A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 減勢工 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004116235A true JP2004116235A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32277778
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002284108A Withdrawn JP2004116235A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 減勢工 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004116235A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105220708A (zh) * | 2015-10-21 | 2016-01-06 | 黄友锋 | 一种电网配电设备基础井 |
JP2016089346A (ja) * | 2014-10-29 | 2016-05-23 | 東京都下水道サービス株式会社 | 人孔の通水構造 |
JP2016130450A (ja) * | 2016-03-01 | 2016-07-21 | 積水化学工業株式会社 | 仮設トイレ用マンホールおよび仮設トイレ用配管設備 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002284108A patent/JP2004116235A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016089346A (ja) * | 2014-10-29 | 2016-05-23 | 東京都下水道サービス株式会社 | 人孔の通水構造 |
CN105220708A (zh) * | 2015-10-21 | 2016-01-06 | 黄友锋 | 一种电网配电设备基础井 |
CN105220708B (zh) * | 2015-10-21 | 2017-04-05 | 国网山东省电力公司滨州供电公司 | 一种电网配电设备基础井 |
JP2016130450A (ja) * | 2016-03-01 | 2016-07-21 | 積水化学工業株式会社 | 仮設トイレ用マンホールおよび仮設トイレ用配管設備 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Rajaratnam et al. | Observations on flow in vertical dropshafts in urban drainage systems | |
CN110004891B (zh) | 一种水利水电工程的消能方法 | |
US20130078037A1 (en) | Debris flow drainage canal based on cascade antiscour notched sill group and application thereof | |
JP2004116235A (ja) | 減勢工 | |
WO2022011567A1 (zh) | 一种桥梁工程防冲击双腔对冲式消散结构及设计方法 | |
KR101571606B1 (ko) | 거품 저감을 위한 수중위어를 갖는 방류구조물 | |
JP2003105849A (ja) | 減勢工 | |
JP4104492B2 (ja) | 減勢工 | |
JP2011058222A (ja) | 合流式下水道用内副管装置 | |
JP2004143808A (ja) | 減勢工 | |
CA1111264A (en) | Downward vortex dissipator basin | |
JP2004100285A (ja) | 減勢工 | |
JP2004132013A (ja) | 上流水位制御型フロート弁装置 | |
JP2007205116A (ja) | 排水方法及び装置 | |
JP2004100284A (ja) | 減勢工 | |
JP2002030637A (ja) | 減勢装置 | |
KR200401253Y1 (ko) | 유속 감소 풀륨관 | |
JP2003155770A (ja) | 減勢工 | |
JP6318384B2 (ja) | 遮水装置 | |
Tullis et al. | Impact dissipators | |
JP3854127B2 (ja) | 減勢工 | |
CN217537251U (zh) | 底流消能与挑流消能相结合的消能井 | |
KR102525988B1 (ko) | 유수관로의 유속 저감장치 | |
JP3648157B2 (ja) | 減勢工 | |
JPH08311847A (ja) | 翼形シル付きバッフルピア式半自動排砂取水堰 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050719 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070523 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071107 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080128 |