JP3676104B2 - 車両用全閉形主電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用全閉形主電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の床下の台車枠に搭載される主電動機では、従来からこの主電動機の回転子軸に通気ファンを挿入し、主電動機とともに回転する通気ファンによって、主電動機の外部の空気を内部に吸入して、この内部を流通させ回転子や固定子を冷却する開放形主電動機が採用されてきた。
【0003】
これに対して、保守の省力化や低騒音化の要請に応えるために、内部に冷却ファンを設けた全閉形主電動機が開発されている。
この全閉形主電動機は、主電動機の内部を外部と遮断することで、外気とともに内部に侵入する塵埃を防ぎ、この塵埃による内部の巻線の汚損を防ぎ、この汚損による保守・点検の頻度の増加を抑えることができる。
【0004】
さらに、全閉構造とすることで、内部の冷却ファンの回転で発生する騒音の放散を防ぎ、環境に配慮した主電動機とすることもできる。
一方、車両用の主電動機では、列車の高速化に伴い大容量化が要求され、その搭載場所は台車枠の限られた狭い空間に組み込まれるためと、前述した列車の高速化のために小形・軽量化が要求される。
【0005】
この相矛盾する要請に対応するために、巻線の絶縁樹脂などの耐熱性の向上が図られているが、この巻線の絶縁樹脂の劣化を防ぎ、長寿命化による保守・点検の頻度の増加を防ぐうえでも、主電動機の冷却性能の向上は必須条件となる。
【0006】
図14は、この冷却性能の向上を図った従来の車両用全閉形主電動機の一例を示す縦断面図である。
図14において、有底筒状の外筒枠1Jの円筒部の外周には、複数(図14では13列)の放熱フィン1aが溶接で等間隔で突設されている。外筒枠1Jの図14において右側の側面にも、略台形状の放熱フィン1pが図示しない右側面図では放射状に設けられている。
【0007】
外筒枠1Jの左側の開口部に外周の嵌合部が挿入されボルトで外側から固定されたブラケット4の外面にも、台形状の放熱フィン4bが放射状に溶接されている。
【0008】
外筒枠1Jの右端の軸心に形成された嵌合穴には、ハウジング5が内側から挿入され、外側には回転数検出器21が取り付けられている。外筒枠1Jの内周には、固定子鉄心2が圧入されている。
【0009】
左側のブラケット4の中心と右側のハウジング5の中心には、ころ軸受6A,玉軸受6Bが挿入され、これらのころ軸受6A,玉軸受6Bの中心には、回転子軸8が貫設されている。この回転子軸8の中央部には、回転子鉄心7が圧入されている。
【0010】
この回転子鉄心7の外周に形成された各スロットには、ロータバー11が挿入され、回転子鉄心7の内周寄りには、複数の通風穴7aが貫設されている。固定子鉄心2の内周側に形成されたスロットにも、固定子コイル3が挿入されている。回転子軸8の左端に形成されたテーパ部には、図示しない減速機に接続される継手20の片側が鎖線で示されている。
【0011】
図15は、図14と異なる従来の車両用全閉形主電動機の一例を示す縦断面図で、図16は、この車両用全閉形主電動機が車両の台車枠に組み込まれた状態を側面から示す縦断面図で、レールなども示している。
【0012】
図15及び図16において、車体14を搭載する図示しない平面図ではH形となる台車枠16の中枠16aの取付座12と車軸13の間に対して、車両用主電動機は組み込まれている。
【0013】
すなわち、車両用主電動機の上部の図16において左側には、上部取付座19Aが突設され、下部の左側には下部取付座19Bが突設され、さらに、上部の右側には、フック19Cが突設されている。
【0014】
このうち、左側上部の上部取付座19Aは、取付座12の上端にキーを介して載置された後ボルトで固定され、下部取付座19Bは取付座12の下部の側面に当接して、同じくボルトで固定されている。
左右の左側の上部取付座19Aと右側のフック19Cには、吊り上げ用のフック穴が示されている。
【0015】
図15において、軟鋼板から有底筒状に形成された外筒枠1Kの開口側となる図15において左側には、図示しない左側面図では環状のブラケット4の外周右側に形成された嵌合部が挿入され、複数のボルトで固定されている。
【0016】
ブラケット4の中心に形成された軸受穴には、ころ軸受6Aが挿入され、このころ軸受6Aの外輪は、ブラケット4の中心部の外面にボルトで固定された軸受押え4aの嵌合部で外側から固定されている。ころ軸受6Aの内輪は、この内輪の機内側と機外側に後述する回転子軸8に対して挿入された固定環で、回転子軸8に固定されている。
【0017】
外筒枠1Kの右端の中心部に形成された嵌合穴には、ハウジング5の外面側に形成された嵌合部が外筒枠1Kの内側から挿入され、内側から挿入された図示しない複数のボルトで外筒枠1Kに固定されている。
【0018】
ハウジング5の中心に形成された軸受穴には、玉軸受6Bが挿入され、この玉軸受6Bの外輪は、ハウジング5の外側から嵌合部が挿入されハウジング5に図示しないボルトで外側から固定された軸受押えで固定されている。
【0019】
左右のころ軸受6Aと玉軸受6Bは、回転子軸8にあらかじめ圧入されている。この回転子軸8の図15において右端には、外周に歯車状の溝が等間隔に形成された図示しない検出歯車の筒部が圧入され固定されている。
【0020】
この検出歯車の外周には、断面コ字状の図示しない検出蓋が外筒枠1Kに固定され、この検出蓋の上端には、回転子軸8の回転数を検出するパルス検出器の検出部が貫設され、この検出部の先端は、前述した検出歯車の外周と僅かな間隙で対置している。
【0021】
回転子軸8の中央部には、回転子鉄心7が圧入され、この回転子鉄心7の左端には、厚板から環状に形成された鉄心押えが圧入され、回転子鉄心7の右端にも断面がL字形の鉄心押えが圧入されている。左側の鉄心押えの更に左側には、内扇9が圧入されている。
【0022】
回転子鉄心7には、通風穴7aが複数箇所環状に形成され、回転子鉄心7の内周側には、ロータバー11が示され、このロータバー11の両端には、エンドリングが示されている。
【0023】
一方、外筒枠1Kの内周には、固定子鉄心2が中央部に圧入され、この固定子鉄心2の内周側には、図示しないスロットに挿入され両端が固定子鉄心2の左右に突き出た固定子コイル3が示されている。この結果、この主電動機は、かご形の誘導電動機となっている。
【0024】
外筒枠1Kの上端の図15において左右には、図示しない平面図では長方形の通気口が、図16においては右側上方に形成されている。これらの通気口には、図15においては下端が開口し冷却器10Bの出入口となる有底筒状の接続部10b,10cの開口端に形成されたフランジ部が外筒枠1Kにボルトで固定されている。
【0025】
左右の接続部10b,10cの対向側には、アルミニウム管から製作された複数の通気管10dの両端が貫通し、接続部10b,10cに溶接されている。これらの通気管10dは、薄板のアルミニウム板から図16に示すように製作され等間隔に立設された複数枚の冷却フィン10aを貫通している。
各冷却フィン10aは、各通気管10dに貫通部が溶接され、下端は、外筒枠1Kの上面と僅かな間隙で対置している。
【0026】
このように構成された車両用全閉形主電動機においては、電車の走行時には、回転子軸8の回転によって内扇9も回転し、この内扇9によって吐出された冷却空気は、図15の矢印に示すように外筒枠1Kの左側の通気口から冷却器10Bの接続部10bに矢印に示すように流入し、この接続部10bから各通気管10dの内部を矢印に示すように貫流して、右側の接続部10cに流出する。
【0027】
この冷却空気は、右側の接続部10cから矢印に示すように、通気口を経て外筒枠1Kの内部に流入する。すると、この冷却空気の一部は、矢印に示すように、固定子鉄心2の内周と回転子鉄心7の外周の間に形成された空隙を経て、内扇9に吸入される。
【0028】
また、外筒枠1Kの右側の内部に流入した冷却空気の他の一部は、矢印に示すように、回転子鉄心7に形成された通風穴7aを左に貫流して、同じく、内扇9に吸入され、以下矢印に示すように還流する。
【0029】
したがって、このように構成された車両用全閉形主電動機においては、この還流する冷却風によって、固定子鉄心2及び固定子コイル3と、回転子鉄心7及びロータバー11は冷却され、エポキシ樹脂で鉄心と絶縁された固定子コイル3とロータバー11は、固定子鉄心2及び回転子鉄心7との間の絶縁特性を維持することができる。また、外部から冷却空気を取り入れないので、塵埃の付着や堆積を防ぐことができ、保守・点検の頻度の増加を防ぐこともできる。
【0030】
ところで、このように構成された車両用全閉形主電動機においては、この車両用全閉形主電動機を台車に組み込むときには、車体を載せる前の状態の台車の上方から徐々に下ろして、左側の上部取付座19Aを台車枠16の取付座12の上端にキーを介して載せ、上部取付座19Aと下部取付座19Bをボルトで取付部12に固定する。
【0031】
また、定期点検のために、車両用全閉形主電動機を点検する場合には、台車を車体から切り離した後、ボルトを緩め、フック穴を利用して、上方に吊り上げる。
【0032】
なお、この車両用全閉形主電動機は、図16で示す取付状態においては、左側の取付座12と右側の車軸13のケースの間となり、軸方向は、両側の車輪17の間となって、上方には図16で示した車体14の下端面が対置し、下側は図16の外筒枠1Kの下部の置足18の下端とレール15の上面との間の高さ制限Hでレール15と対置して、余裕のない限られた空間に組み込まれる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように構成された車両用全閉形主電動機においては、固定子コイル3で発生し固定子鉄心2を経て外筒枠1Kに放熱される熱は、固定子鉄心2と外筒枠1Kとの間の嵌合部によって熱伝達効率が低下する。
【0034】
その理由は、固定子鉄心2の外周と外筒枠1Kの内周の嵌合面は、切削加工によって所定のはめあい代で圧入されて接触しているが、ミクロ的には、全面に亘って接触せず、接触面には熱伝導率の低い空気層が介在する。
【0035】
そのため、図15で示した冷却器10Bの冷却フィン10aの面積を増やすことも考えられるが、この車両用全閉形主電動機は、図16で前述したように、左側の取付部12と右側の車軸13のケースの間に収納され、さらに上方は車体14の下端と対置し、下側はレール15と高さ制限Hで対置する限られた狭い空間に設置されるために、制約される。
【0036】
固定子鉄心2や外筒枠1Kの熱容量を増やすために、図16で示す固定子鉄心2の外径dや外筒枠1Kの外径Dを増やすことも同様に限られた空間のために制約される。
【0037】
一方、車両の高速化のための車両用全閉形主電動機の保守・点検の省力化と冷却効率の向上による高出力化とコイルの絶縁寿命の長期化の要請は今後もますます強くなる趨勢にある。
そこで、本発明の目的は、冷却効果を上げ、長寿命化を図ることのできる車両用全閉形主電動機を得ることである。
【0038】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、外筒枠の内周に固定子が挿入され、前記外筒枠の片側のブラケットと他側のハウジングに軸受を介して回転子が支持され、前記固定子の外周が露出し走行風が通過する溝を前記外筒枠の下部に車両の走行方向と平行に形成した車両用全閉形主電動機において、前記溝の前記車両の走行方向の両側に案内口を形成すると共に、前記案内口の間に対して前記外筒枠の一部を補強部としたことを特徴とする。
【0039】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用全閉形主電動機において、内面が前記固定子の外周に当接する補強部を、前記溝の内側に前記車両の走行方向と直交方向に設けたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用全閉形主電動機において、前記補強部の外周に、前記車両の走行方向と平行に放熱フィンを突設したことを特徴とする。
【0040】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の車両用全閉形主電動機において、前記溝の前記車両の走行方向の両側に案内板を設けたことを特徴とする。
【0041】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の車両用全閉形主電動機において、前記溝の前記車両の走行方向の両側に案内板を設けたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の車両用全閉形主電動機において、前記溝を複数条とし、前記溝の間に前記車両の走行方向と平行に前記固定子の外周に内側が当接する補強部を設けたことを特徴とする。
【0042】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の車両用全閉形主電動機において、前記回転子に内扇を設け、前記補強板の外側に前記外筒枠に形成された通気口に両端が接続された通気管と、この通気管の外周の複数の放熱フィンからなる冷却器を設けたことを特徴とする。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態である車両用全閉形主電動機を図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る参考例1である車両用全閉形主電動機を図1の部分縦断面図及び図1のA−A断面図の図2を参照して説明する。
【0044】
図1及び図2において、既に説明した図14と異なるところは、外筒枠の下部に複数の溝を形成して、固定子鉄心の一部を露出させ、走行風で直接冷却したことである。
【0045】
すなわち、外筒枠1Aの下部には、図示しない回転子軸の軸心と直交方向(すなわち、車両の走行方向)と平行な複数条(図2では4条)の溝1bが底面を水平にしてあらかじめ加工されている。
【0046】
したがって、これらの溝1bの間に残った外筒枠1Aの帯状の部分は、車両の走行方向と平行に形成された放熱フィンを形成している。さらに、外筒枠1Aの外周に形成された放熱フィン1aの下端も、外筒枠1Aの下端面の位置の僅かに上側において水平に切除されている。
【0047】
このように構成された車両用全閉形主電動機においては、図1の複数の矢印で示す走行風によって、固定子鉄心2の一部を直接冷却することができ、また、外筒枠の上部と比べて流速が早い走行風を溝に導いて、外筒枠の下部を冷却したので、この固定子鉄心2の冷却効果を上げることができる。
【0048】
また、各溝1bの間に形成された外筒枠1Aの放熱フィンによって、外筒枠1Aの冷却効率が向上するだけでなく、放熱フィン1aの下部に水平な切除部を形成することで、外筒枠1Aの下端の位置を高さ制限Hの上限まで下げることができるので、この車両全閉形主電動機の設計上の制約を減らすことができ、大出力化の要請に応えることができる。
【0049】
図3は、本発明に係る参考例2である車両用全閉形主電動機の部分縦断面図である。
図3に示す車両用全閉形主電動機が、図1及び図2と異なるところは、各溝1bの両側に対して浅い導入溝1cを形成したことである。
【0050】
このように溝1bの両側に導入溝1cが形成された車両用全閉形主電動機においても、導入溝1cによって外筒枠1Bの冷却面積を増やすことができるだけでなく、この導入溝1cに対して矢印に示すように侵入し通過する走行風を各溝1bを通過する走行風に合流させることで、各溝1bを通過する走行風を増やし、固定子鉄心2の表面を冷却する走行風を増やすことができる。したがって、固定子コイルの冷却効果の向上に伴う、通電容量の増加とコイルの絶縁特性の向上を図ることができ、長寿命化、すなわち保守・点検の省力化を図ることができる。
【0051】
図4は、本発明の第1の実施形態である車両用全閉形主電動機の部分縦断面図であり、図5は、図4の右側面図である。
【0052】
本実施形態が図1〜図3の車両用全閉形主電動機と異なるところは、外筒枠の下部の両側に走行風の出入口を設け、これらの出入口を結ぶ通過溝を外筒枠の下部の内周に形成して、固定子鉄心の冷却表面積を増やしたことである。
【0053】
すなわち、図4及び図5に示した外筒枠1Cの下部の両側には、略長方形の案内口1e1があらかじめ加工され、これらの案内口1e1の下側にも小形の案内口1eが図5に示すように加工されている。
【0054】
これらの両側の案内口1e,1e1は、外筒枠1Cの下部の内周側に形成された通過溝1e2,1e3によって連通している。この結果、左右の案内口1e,1e1の間に対して、外筒枠1Cの一部が補強部1d1として残存し、左右の案内口1eの間には、補強部1dが残存している。
【0055】
このように案内口1e,1e1と連通溝1e2,1e3が形成された車両用全閉形主電動機においては、車両の走行によって片側の案内口1e,1e1から他側の案内口1e,1e1に連通溝1e2,1e3を介して通過する走行風によって、固定子鉄心2は露出した広い冷却面積で冷却され、また溝の形成による外筒枠の下部の強度の低下を補強部によって抑えたので、固定子コイルの冷却効率を更に上げることができ、通電容量の増加や絶縁特性の長寿命化を図ることができる。
【0056】
図6は、本発明の第2の実施形態である車両用全閉形主電動機の部分縦断面図であり、図7は、図6のC−C断面図である。
【0057】
本実施形態が、前述した実施形態である図4〜図5とは、外筒枠の下部の両側に走行風の出入口を設け、これらの出入口を結ぶ通過溝を外筒枠の下部の内周に形成したことは共通であるが、この通過溝に対して複数条の補強リブを残存したことが異なる。
【0058】
すなわち、図6及び図7に示した外筒枠1Dの下部の両側には、図5で示した略長方形の案内口1e1と比べてやや広い案内口1e4があらかじめ加工され、これらの案内口1e4は、外筒枠1Dの下部の内周側に形成された通過溝1fによって連通している。この結果、左右の案内口1e4の間に対して、外筒枠1Dの一部が補強部1d2として残存しているが、このうち通過溝1fは、走行風と平行に残存する補強部1gによって4列となっている。
【0059】
このように案内口1e4と連通溝1fが形成された車両用全閉形主電動機においても、車両の走行によって片側の案内口1e4から他側の案内口1e4に連通溝1fを介して通過する走行風によって、固定子鉄心2は露出した広い冷却面積で冷却されるので、固定子コイルの冷却効率を更に上げることができ、通電容量の増加や絶縁特性の長寿命化を図ることができる。
【0060】
図8は、本発明の第3の実施形態である車両用全閉形主電動機の部分縦断面図であり、図9は図8の右側面図である。
【0061】
本実施形態が、前述した実施形態と異なるところは、通過溝の形状と、この通過溝の外周側に補強板を追加したことである。
すなわち、外筒枠1Eの下部には、対称的な一対の残存部1jを残して、図示しない底面図では短冊状で図8の断面図では弧状の通過溝1kが形成されている。
【0062】
この通過溝1kの外側には、図示しない底面図では長方形の補強板1kが添設され、両端の外周が外筒枠1Eに溶接で固定されている。
このように通過溝1kと補強板1hなどが設けられた車両用全閉形主電動機においては、通過溝1kの厚みW,W1を増やすことができ、溝の形成による外筒枠の下部の強度の低下を内側残存部によって抑えたので、固定子鉄心2の冷却効果を更に上げることができる。
【0063】
図10は、本発明の第4の実施形態である車両用全閉形主電動機の部分縦断面図である。
本実施形態が図8と異なるところは、通過溝の内側に冷却フィンを追加したことである。
【0064】
すなわち、外筒枠1Fの下部には、図8と同様に対称的な一対の残存部1jを残して、図示しない底面図では短冊状で図9の断面図では弧状の通過溝1kが形成されている。
【0065】
この通過溝1kの内側には、図示しない底面図では長方形で複数板の冷却フィン1jが残存部1jの外周と固定子鉄心2の下端の位置に走行方向と平行に設けられている。
【0066】
このうち、残存部1jの外周側に設けられた冷却フィン1bは、軸方向の両端が通過溝1kの両端の外筒枠1Fの内側に溶接され、上下が残存部1jに溶接されている。また、中央部の冷却フィン1iは、固定子鉄心2の外周に溶接されている。
【0067】
このように通過溝1kに対して残存部1jが補強板となる車両用全閉形主電動機においては、通過溝1kの厚みW,W1を増やすことができ、内周残存部の外周に、車両の走行方向と平行に放熱フィンを突設することで、内側残存部による放熱効果を放熱フィンによって増やしたので、固定子鉄心2の冷却効果を更に上げることができる。
【0068】
図11は、本発明の第5の実施形態である車両用全閉形主電動機の部分縦断面図であり、図12は図11のE−E断面図である。
【0069】
本実施形態が、前述した実施形態と異なるところは、図8で示した補強板1hの外周側に対して、図15及び図16で示した冷却器10Bとほぼ同様の冷却器10Aを設けたことである。
【0070】
すなわち、外筒枠1Gの下部の中央部には、図8の残存部1jのない通過溝1nが形成され、下部の軸方向の端部の両側には通気口1mが形成されている。
これらの通気口1mには、図11の縦断面図においては略三角形で、図12においてはU字形の通気管10eに複数の放熱フィン10fが挿入され溶接された冷却器10Aの両端の出入口が溶接されている。
また、回転子に内扇を設け、補強板の外側に、外筒枠に形成された通気口に両端が接続され、通気管とこの通気管の外周の複数の放熱フィンからなる冷却器を設けることで、内扇で循環する冷却風を冷却器に導いて冷却効果を上げることができる。
【0071】
さらに、通過溝1nを通過する走行風だけでなく、外筒枠の下側にも放熱フィン付の冷却器を設けることで、外筒枠の上方と比べてより走行風の風速の速い下部を冷却することで、固定子鉄心及び固定子コイルだけでなく、これらの固定子鉄心及び固定子コイルの温度上昇にも影響される内部の冷却空気の温度の低下によって、ロータバー11の温度上昇も抑えることができるので、通電容量などの定格を上げ、絶縁樹脂の劣化を防ぎ長寿命で保守・点検の頻度も減らすことのできる車両用全閉形主電動機を得ることができる。
【0072】
図13は、本発明の第6の実施形態である車両用全閉形主電動機の縦断面図である。
本実施形態が前述した各実施形態と異なるところは、外筒枠の下部の両側に形成した走行風の出入口に対して案内板を設け、下部の両側の補強板1hの間に形成された開口部にカバーを設けたことである。
【0073】
すなわち、外筒枠1Hの下部の図13において左側に形成された走行風の出口となる出入口1tには、図示しない左側面図では長方形で下端が補強板1hに溶接された案内板1s1が上端と両端を外筒枠1Hに溶接されている。
【0074】
同様に、右側の出入口1tにも図示しない右側面図ではU字状の案内板1s2が溶接で取り付けられている。左右の案内板1s1,1s2の外側の端部の内周側は、曲面に面取りされている。
また、左右の補強板1hの対向側には、弧状の塞ぎ板1rが溶接されている。
【0075】
このように案内板1s1,1s2や塞ぎ板1rが設けられた車両用全閉形主電動機においては、車両の走行側の案内板から内部に導く走行風の乱流を防いで風量と風速を増やすことができるので、固定子コイルを含む内部の温度上昇を更に抑えることができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、外筒枠の上部と比べて流速が早い走行風を溝に導いて、外筒枠の下部を冷却したので、冷却効果を上げることができ、また、溝の車両の走行方向の両側に案内口を形成し、溝の外周側に補強部を残存することで、溝の形成による外筒枠の下部の強度の低下を補強部によって抑えたので、冷却効果を上げ、長寿命化を図ることのできる車両用全閉形主電動機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用全閉形主電動機を示す参考例1の部分縦断面図。
【図2】 図1のA−A断面図。
【図3】 本発明に係る車両用全閉形主電動機を示す参考例2の部分縦断面図。
【図4】 本発明の車両用全閉形主電動機の第1の実施形態を示す部分縦断面図。
【図5】 図4の右側面図。
【図6】 本発明の車両用全閉形主電動機の第2の実施形態を示す部分縦断面図。
【図7】 図6のC−C断面図。
【図8】 本発明の車両用全閉形主電動機の第3の実施形態を示す部分縦断面図。
【図9】 図8の右側面図。
【図10】 本発明の車両用全閉形主電動機の第4の実施形態を示す部分縦断面図。
【図11】 本発明の車両用全閉形主電動機の第5の実施形態を示す部分縦断面図。
【図12】 図11のE−E断面図。
【図13】 本発明の車両用全閉形主電動機の第6の実施形態を示す縦断面図。
【図14】 従来の車両用全閉形主電動機の一例を示す縦断面図。
【図15】 従来の車両用全閉形主電動機の図14と異なる一例を示す縦断面図。
【図16】 従来の車両用全閉形主電動機が鉄道車両の床下に組み込まれた状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K…外筒枠、1a…放熱フィン、1b…溝、1c…導入溝、1d…補強部、1e,1e1…案内口、2…固定子鉄心、3…固定子コイル、4…ブラケット、5…ハウジング、6A…ころ軸受、6B…玉軸受、7…回転子鉄心、8…回転子軸、9…内扇、10A,10B…冷却器、11…ロータバー、12…取付座、13…車軸、14…車体、15…レール、16…台車枠、17…車輪、18…置足、19A…上部取付座、19B…下部取付座。
Claims (7)
- 外筒枠の内周に固定子が挿入され、前記外筒枠の片側のブラケットと他側のハウジングに軸受を介して回転子が支持され、前記固定子の外周が露出し走行風が通過する溝を前記外筒枠の下部に車両の走行方向と平行に形成した車両用全閉形主電動機において、前記溝の前記車両の走行方向の両側に案内口を形成すると共に、前記案内口の間に対して前記外筒枠の一部を補強部としたことを特徴とする車両用全閉形主電動機。
- 内面が前記固定子の外周に当接する補強部を、前記溝の内側に前記車両の走行方向と直交方向に設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用全閉形主電動機。
- 前記補強部の外周に、前記車両の走行方向と平行に放熱フィンを突設したことを特徴とする請求項2に記載の車両用全閉形主電動機。
- 前記溝の外周側に、前記車両の走行方向と直交方向に補強板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用全閉形主電動機。
- 前記溝の前記車両の走行方向の両側に案内板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用全閉形主電動機。
- 前記溝を複数条とし、前記溝の間に前記車両の走行方向と平行に前記固定子の外周に内側が当接する補強部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用全閉形主電動機。
- 前記回転子に内扇を設け、前記補強板の外側に前記外筒枠に形成された通気口に両端が接続された通気管と、この通気管の外周の複数の放熱フィンからなる冷却器を設けたことを特徴とする請求項4に記載の車両用全閉形主電動機。
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