JP3675946B2 - 燃料電池用の燃料改質器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水蒸気が添加された炭化水素系の原燃料を改質管に通流し、この原燃料を粒状改質触媒により水蒸気改質して水素含有量の多い改質ガスに改質する燃料電池発電装置用の燃料ガスの製造に使用される燃料改質器に係わり、粒状改質触媒の圧壊と粒状改質触媒への炭素析出の同時低減を図った、改良されたその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素と酸素とを反応用ガスとして用いて、電気化学的に直流電力を発生する発電装置である。この燃料電池は、すでによく知られているとおり、他の発電装置と比較して、電気エネルギーへの変換効率が高く,しかも,炭酸ガスや窒素酸化物等の大気汚染物質の排出量が少ないことから、いわゆるクリーン・エネルギー源として期待されている。そうして、燃料電池としては、使用される電解質の種類により、りん酸型,溶融炭酸塩型などの各種の燃料電池が知られている。この燃料電池には、燃料電池が必要とする水素を供給する装置として、天然ガス,LNG,LPGやナフサ等の炭化水素を主成分とする原燃料から、水素含有量の多い改質ガスに改質する燃料改質器が付随されているのが一般である。
【0003】
この燃料電池用の燃料改質器は、水蒸気が添加された前記の炭化水素系の原燃料を粒状改質触媒の改質反応を利用して、水蒸気接触分解することにより水素含有量の多い改質ガスを生成する装置である。粒状改質触媒による前記の改質反応は、公知のごとく、吸熱反応であることと、粒状改質触媒に用いられている触媒活性成分に応じた適温下において行われる必要が有ることのために、燃料改質器には粒状改質触媒を加熱するための熱媒体を生成する熱媒体生成器が備えられている。そうして、この改質反応に必要な熱量の供給方法を改良する構成を備えるなどした燃料改質器が同じ出願人より出願され、特開平3−97602号公報などにより公知となっている。
【0004】
図3は、上記公報による燃料改質器に対して、さらに粒状改質触媒への伝熱性能等に改良を加えた従来例の燃料電池用の燃料改質器を示すその縦断面図であり、図4は、図3における改質管部分の図3におけるA−A断面図である。図3,図4において、9は、改質管8と、改質管8の内側上部に配設された熱媒体生成器としてのバーナ5と、改質管8の周囲側部と下部とを覆う炉容器7と、炉容器7の外周部を覆う断熱層72と、改質管8内に形成された触媒層6とを備えた燃料改質器である。
【0005】
改質管8は、上下方向に直立した金属製で円筒状をした中間筒体81と、これを挟んでその内外にそれぞれ間隔を設けて同心円状に配設された,金属製で円筒状をした内側筒体82および外側筒体83とを主体にして形成されている。内側筒体82および外側筒体83は、中間筒体81と接合されている金属製の上部板85等でその上部を接続され、円環状形をした金属製の底板84により,中間筒体81の下端から離されてその下部を互いに接続されている。内側筒体82の中間筒体81に対向する側の側面,すなわちその外周面には、一端を内側筒体82の外周面に溶接等により固着された金属製の伝熱フィン821が、円周面に沿って複数本配列(図4を参照)されている。それぞれの伝熱フィン821は、幅方向が中間筒体81との間に間隙821a(図4を参照)が形成される寸法を有し、かつ底板84が接続される部位の付近から後記する触媒層6の上面付近の部位にわたる長さ寸法を有している。
【0006】
このような構成により改質管8には、下端部で互いに連通し,しかも,共に円環状をなした,内側環状空間86および外側環状空間87の2重の環状空間が形成されることになる。外側環状空間87の上部には原料ガス9aの入口871が設けられ、内側環状空間86の上部には改質ガス9bの出口861が設けられている。また、内側環状空間86とこの内側環状空間86と連通している外側環状空間87の底部とには、粒状改質触媒61が充填されることで触媒層6が形成されている。
【0007】
この粒状改質触媒(以降、単に粒状触媒と略称することがある。)61は、例えば、直径が5mm前後程度の円柱形,球形などをなしている。そうして、粒状触媒61は、前記した原燃料に水蒸気が添加されたものである原料ガス9aを,水素含有量の多い改質ガス9bに改質する作用を行う触媒を、極めて細かい細孔を有しそれぞれ前記の形状をしたセラミック製の担体に担持させた構造を備えている。原料ガス9aを水素含有量の多い改質ガス9bに効率良く改質するためには、触媒反応速度を高くする必要がある。このために粒状触媒61では、担体の備える細孔内に形成される細孔容積を極力大きくした担体を選定し、細孔部を含む担体の表面に担持された触媒と,原料ガス9aとが接触し合う面積が、極力増大されるように配慮されている。
【0008】
また、燃料電池用の燃料改質器に採用されている粒状触媒61としては、ニッケル系の粒状改質触媒と、貴金属系の粒状改質触媒とが著名である。特開平5−208133号公報,特開平5−261286号公報などで公知のごとく、ニッケル系の粒状改質触媒は、ニッケルを主体とする触媒種を触媒活性成分として担体に担持させた粒状触媒である。同様に、貴金属系の粒状改質触媒は、ルテニウム,ロジウム,白金などの貴金属系の触媒種を触媒活性成分として担体に担持させた粒状触媒である。なお、これらの粒状触媒の、触媒活性成分の材料とその製法,担体の材料とその製法,あるいは,温度などの粒状触媒の運転条件などに関しては、前記の特開平5−208133号公報,特開平5−261286号公報などに開示されているところに譲り、ここでの説明は省略する。
【0009】
そうして、内側環状空間86と外側環状空間87それぞれの,触媒層6の上面は、粒状触媒61の飛散を防止するための金網6aで覆われている。触媒層6への粒状触媒61の充填に際して、粒状触媒61の充填密度を均等化するために、改質管8に振動やハンマーリング処理などが加えられのが一般である。かくして、触媒層6においては、粒状触媒61は高い均一度とされて充填されることになり、この結果、粒状触媒61の充填密度も極めて高いものとなっている。
【0010】
外側筒体83と炉容器7とで区切られた空間は、バーナ5が生成する熱媒体51を通流させる熱媒体通流路52として使用される。炉容器7の熱媒体通流路52の上部に当たる部位には、熱媒体出口71が設けられている。炉容器7の下方および側部周囲には、熱媒体51の温度を保持するための耐火断熱材製の断熱層72が配置され、また、内側筒体82の上部内側には、バーナ5で生成された直後の特に高温の熱媒体51から内側筒体82等を保護するために、耐火性断熱材製の断熱層88が形成されている。
【0011】
燃料改質器9では、バーナ5においては、燃料の入口53から導入された燃料が、空気入口54から取り入れられた燃焼用空気により燃焼し、燃焼ガスとしての高温の熱媒体51が生成される。熱媒体51は、改質管8が備える内側筒体82の内周面に沿って下方に流れ、引続いて熱媒体通流路52内を通流しつつ、外側筒体83の外周面に沿って上方に流れたうえで、熱媒体出口71から燃料改質器9の外部に排出される。この間、熱媒体51は、改質管8の主として内側筒体82の内周面側から触媒層6を、また、外側筒体83の外周面側から外側環状空間87内を通流する原料ガス9aを、それぞれ加熱するのである。
【0012】
その際、触媒層6中の粒状触媒61は、内側筒体82および伝熱フィン821を介して熱媒体51から熱を供給されて加熱される。これにより、燃料改質器9では、粒状触媒61によって行われる吸熱反応による吸熱量に対応する熱量が触媒層6に補給されるように構成されていることになる。一方,原料ガス9aは、入口871から改質管8に流入し、まず、外側環状空間87中を下向きに流れ、その底部で触媒層6に入り、中間筒体81の下端部で折り返し、以降,内側環状空間86内にある触媒層6中を上向きに流れる。この間、外側環状空間87において熱媒体51によって加熱される。熱媒体51で加熱された原料ガス9aは、熱媒体51により加熱されて所要の温度とされた粒状触媒61が持つ触媒活性成分の改質反応により、水素含有量の多い改質ガス9bに改質されることになる。このようにして得られた改質ガス9bは、改質ガス9bの出口861から燃料改質器9の外部に供給される。
【0013】
なお、熱媒体51による原料ガス9aの加熱を容易にするために、熱媒体51・原料ガス9aが通流する熱媒体通流路52・外側環状空間87の通流路の面積を狭くし、熱媒体51・原料ガス9aの流速を高くすることで、それぞれのガス体と外側筒体83間の熱伝達係数が向上するように考慮されるのが一般である。これにより、熱媒体51から原料ガス9aへの熱伝達度が向上され、燃料改質器9から排出される熱媒体排出ガスの温度を下げることができ、しかも、燃料改質器9の径方向寸法を短縮することができている。
【0014】
前述のような構成の燃料改質器9においては、前記の原燃料を水蒸気改質する際には高温の運転温度で改質反応が行なわれ、改質ガス9bの出口に近い部分の触媒層6の温度は700〜750〔℃〕程度であり、改質管8を形成している例えば耐熱鋼の最高表面温度は、運転条件にもよるが900〜950〔℃〕にもなるものである。また上述の燃料改質器9によって得られた改質ガス9bを燃料電池に供給する場合には、多くの場合に、この改質ガス9bをさらに一酸化炭素変成器に通流させ、一酸化炭素濃度を低減させた改質ガスとされている。
【0015】
ところで燃料改質器9では、その起動,停止が繰り返される度に、改質管8を構成している前記の金属板は膨張,収縮を繰り返すものである。すなわち、バーナ5に近い部分▲1▼の改質管表面温度は、バーナ5の点火とともに急速に上昇する。これに対して、原料ガス9aの入口に近い部分▲2▼の改質管表面温度は、バーナ点火直後は熱媒体51の持つ熱量が改質管8等の加熱に費やされるため、部分▲1▼よりもその温度の上昇度が遅くなる。このためバーナ5の点火直後には、改質管8に大きい温度差の温度分布が生じることになる。この大きい温度差によって、改質管8では、外側筒体83,中間筒体81よりも内側筒体82の方が急速に熱膨張することとなり、このため内側筒体82は外側(触媒層6側である)に太鼓状に変形する。伝熱フィン821と中間筒体81との間に間隙821aが形成されている理由は、内側筒体82が太鼓状に変形した際に、伝熱フィン821が中間筒体81に接触するのを回避するためである。このように内側筒体82が太鼓状に変形することで、粒状触媒61が充填されている触媒層6は、前述したとおり粒状触媒61は極めて高い充填密度で充填されているために、内側筒体82の前記の変形により支配された加圧力を受けることとなる。この加圧力により、多孔質のセラミック製担体が用いられている粒状触媒61は、最悪の場合には圧壊を受けることとなる。粒状触媒61が圧壊して粉末状になると、触媒層6における原料ガス9a,改質ガス9bに対する圧力損失が増大し、最悪の場合には、燃料電池を用いた発電装置の運転の継続を不可能にすることとなるのである。
【0016】
これを回避するために粒状触媒61に加わる加圧力を低減するようにする構造体が、前記の伝熱フィン821である。伝熱フィン821は前記した構成を持っているので、内側筒体82に対する梁としての働きを行い、内側筒体82の前記の変形量を抑制する。この結果、内側筒体82の熱膨張に基づく触媒層6に加わる加圧力が減少し、粒状触媒61の圧壊が低減されるのである。従って伝熱フィン821は、燃料改質器9においては、熱媒体51から供給される熱量の粒状触媒61への伝達を改善すると共に、粒状触媒61の圧壊を低減するという役目を果たしていることになる。
【0017】
また、前述のような構成の燃料改質器9においては、特開平5−208133号公報,特開平5−261286号公報内に開示されているとおり、粒状触媒61が持つ触媒活性成分の表面に、炭素が析出される現象が起こり得ることが知られている。またこの炭素析出は、次記する条件において発生し易いことも、前記の公報などによって知られている。
【0018】
▲1▼原料ガス9aに用いられる原燃料が、天然ガス,LNGなどである場合に対して、LPG,ナフサなどである場合の方が、すなわち、分子量値がより大きい炭化水素を主成分とする原燃料が用いられている場合の方が発生し易い。また、
▲2▼触媒層6に充填される粒状触媒61が、貴金属系の粒状改質触媒である場合よりも、ニッケル系の粒状改質触媒である場合の方が発生し易い。また、
▲3▼触媒粒状触媒61が高温であるほど発生し易い。さらに、
▲4▼原燃料に対して水蒸気を添加する割合に対応する量である、スチーム・カーボン比(水蒸気と,原燃料中の炭素とのモル比である。)(以降、S/Cと略称することがある。)の値が小さいほど発生し易い。
【0019】
そうして、この炭素析出が発生した場合には、粒状触媒61はその改質反応の活性度の低下、触媒層6の原料ガス9a,改質ガス9bに対する圧力損失の増大という燃料改質器9にとって好ましくない運転状態をもたらすことになる。燃料改質器9では、炭素析出の発生を抑制するために、適正なS/C値を設定すると共に、粒状触媒61を原燃料の種別によって使い分けて採用するなどの対処が行われている。すなわち、原燃料に天然ガス,LNGが用いられる場合には、多くの場合に、粒状触媒61としてニッケル系の粒状触媒が採用されている。また、原燃料にLPG,ナフサ等が用いられる場合には、天然ガス,LNGの場合よりも炭素析出が起こり易いので、ニッケル系の粒状改質触媒と比較して高価ではあるが、多くの場合に、貴金属系の粒状触媒が採用されている。
【0020】
ちなみに、発明者らが持つ粒状改質触媒の反応活性度に関する測定データ例を表1に示す。ここで表1は、粒状改質触媒の反応活性度としての反応速度定数に関して、触媒活性成分としてルテニウムを用いた貴金属系の粒状改質触媒の場合と、ニッケル系の粒状改質触媒の場合とを比較して示す測定データである。表1によると、ルテニウムを用いた貴金属系の粒状改質触媒の反応速度定数は、ニッケル系の粒状改質触媒の反応速度定数に対して、反応温度値にもよるが、1.5〜2.5倍程度大きく、それだけ反応活性度が高いことを示している。
【0021】
【表1】
表1 粒状改質触媒の反応速度定数の測定結果
(1)反応条件
圧力値 大気圧
S/C値 2.5
GHSV値 20000〔h-1〕
(Gas Hydrous Space
Velocity)
(2)測定対象
(a)種別 ▲1▼ニッケル系の粒状改質触媒
(Ni触媒)
▲2▼ルテニウムを用いた貴金属系の粒状改質触媒(Ru触媒)
(b)担体 共にアルミナ製の球状の担体
(直径5〔mm〕)を使用.
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による燃料電池用の燃料改質器は、粒状触媒によって原燃料を水蒸気接触分解して水素含有量の多い改質ガスに改質するのに際し、粒状触媒が所要の温度に加熱されることで効率良く改質ガスを生成することができ、しかも、粒状触媒への加圧力,炭素析出を低減することができているのであるが、なお次記する問題が残存している。すなわち、
まず、燃料電池用の燃料改質器では、その触媒層の温度は、原料ガス,改質ガスが通流する方向に沿う温度分布が存在しているという事実がある。すなわち、触媒層は、その原料ガスの入口部と,改質ガスの出口部で温度が相対的に高く、原料ガスなどの通流方向に関する中間部で相対的に低い温度状態となっている。触媒層の中間部の温度が原料ガスの入口部の温度よりも低くなる理由は、粒状触媒による改質反応が吸熱反応であるためである。原料ガスは、熱媒体によって加熱されて高温となって触媒層に流入されるのであるが、粒状触媒における吸熱反応により熱を奪われてその温度が低下するのである。触媒層は熱媒体によって加熱されているのではあるが、前記した温度分布の発生を解消するにいたっていないのが実態である。また、改質ガスの出口部の温度が触媒層の中間部の温度よりも高くなる理由は、この部位が熱媒体生成器であるバーナに近いので,熱媒体により強く加熱されるためである。
【0023】
前記した状態の温度分布を持つ触媒層にニッケル系の粒状触媒が採用されていると、ニッケル系の粒状触媒は、前述したごとく高温であるほど炭素析出が発生し易い粒状触媒であるために、触媒層の原料ガスの入口部,改質ガスの出口部に炭素析出が発生することとなるのである。
また、これに対処するために、貴金属系の粒状触媒を採用したとすると、貴金属系の粒状触媒は、ニッケル系の粒状触媒と比較して圧壊強度が低いという性質を持つため、粒状触媒が圧壊することでその粉末状化が発生することとなるのである。ちなみに、発明者らが持つ粒状触媒の圧壊強度に関する測定データ例を表2に示す。ここで表2は、触媒活性成分としてルテニウムを用いた貴金属系の粒状改質触媒の圧壊強度と、ニッケル系の粒状改質触媒の圧壊強度とを比較して示す圧壊強度の測定データである。表2によると、ルテニウムを用いた貴金属系の粒状改質触媒の圧壊強度は、ニッケル系の粒状改質触媒の圧壊強度に対して41〔%〕程度である。そうして、触媒層における貴金属系の粒状改質触媒の圧壊が最も発生し易い部位は、太鼓状に変形する内側筒体によって最も強く加圧される部位であり、この部位は、触媒層内における原料ガスなどの通流方向の中間部なのである。
【0024】
【表2】
表2 粒状改質触媒の圧壊強度の測定結果
(1)使用した測定装置 木屋式強度計
(2)測定対象
(a)種別 ▲1▼ニッケル系の粒状改質触媒
(Ni触媒)
▲2▼ルテニウムを用いた貴金属系の粒状改質触媒(Ru触媒)
(b)担体 共にアルミナ製の球状の担体
(直径5〔mm〕)を使用.
この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、粒状改質触媒の圧壊と,粒状改質触媒への炭素析出とを、同時に低減することが可能な燃料電池用の燃料改質器を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明では前述の目的は、
1)改質管と、触媒層と、熱媒体生成器とを備え、
改質管は、上下方向にほぼ直立した筒状の中間筒体と、この中間筒体を挟んでその内外にそれぞれ間隔を設けてほぼ同心状に配設され,上部を中間筒体と接合する上部板などで接続され,下部を中間筒体の下端から離して互いに底板で接続された内側筒体および外側筒体とを有し、
触媒層は、改質管の少なくとも中間円筒と内側筒体との間に形成された環状空間に粒状改質触媒を充填することで形成されてなり、
熱媒体生成器は、触媒層を加熱するための熱媒体を生成し、この熱媒体を少なくとも内側筒体の内周面側および外側筒体の外周面側に供給するものであり、
水蒸気が添加された炭化水素系の原燃料を中間円筒と外側筒体との間に形成された環状空間から触媒層に通流し、前記の原燃料を熱媒体により加熱された触媒層により水蒸気改質を行うことで,水素含有量の多い改質ガスに改質するものである、燃料電池用の燃料改質器において、
触媒層は、粒状改質触媒として貴金属系触媒種が使用された貴金属系の粒状改質触媒とニッケル系触媒種が使用されたニッケル系の粒状改質触媒とが併用され、貴金属系の粒状改質触媒が充填された部分触媒層は、触媒層の原燃料が流入される部位と,触媒層の改質ガスが流出される部位とにそれぞれ配置され、ニッケル系の粒状改質触媒が充填された部分触媒層は、前記の貴金属系の粒状改質触媒が充填された両部分触媒層に挟まれる部位に配置されてなる構成とすること、により達成される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、この発明の一つの実施の形態例による燃料電池用の燃料改質器を示すその縦断面図であり、図2は、図1におけるP部の一部省略した縦断面図である。図1,図2において、図3,図4に示した従来例による燃料電池用の燃料改質器と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図1中には、図3で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0027】
図1,図2において、1は、図3,図4に示した従来例による燃料改質器9に対して、触媒層2を用いるようにした燃料改質器である。触媒層2は、改質管8の、従来例の燃料改質器9が備える触媒層6が形成されている部位と同一の部位に形成され、部分触媒層21と、部分触媒層22と、部分触媒層23とを有している。部分触媒層21は、貴金属系の粒状改質触媒3が充填された部分触媒層であり、触媒層2の原料ガス9aが流入される部位に配置されている。部分触媒層23は、粒状改質触媒3が充填された部分触媒層であり、触媒層2の改質ガス9bが流出される部位に配置されている。また、部分触媒層22は、ニッケル系の粒状改質触媒4が充填された部分触媒層であり、図2中に示すように、前記の部分触媒層21,23に挟まれて配置されている。
【0028】
貴金属系の粒状触媒3は、粒状改質触媒61と同一の構造を備える粒状触媒であり、前述の従来の技術の項で説明済であるが、担体に担持する触媒活性成分としてルテニウム,ロジウム,白金などの貴金属系の触媒種を用いた粒状触媒に特定したものである。また、ニッケル系の粒状改質触媒4も、粒状触媒61と同一の構造を備える粒状触媒であり、これも前述の従来の技術の項で説明済であるが、担体に担持する触媒活性成分としてニッケルを主体とする触媒種を用いた粒状触媒に特定したものである。
【0029】
図1,図2に示す実施の形態例では前記の構成としたので、触媒層2の内で相対的に高温となる部位である,触媒層2の原料ガス9aの入口部と改質ガス9bの出口部には、炭素析出を起こし難い貴金属系の粒状触媒3が充填された部分触媒層21,23が、また、触媒層2の内で加圧力が相対的に強く働く部位である,触媒層2の原料ガス9aなどの通流方向に関する中間部位には、高い圧壊強度を持つニッケル系の粒状触媒4が充填された部分触媒層22が、それぞれ配置されることになる。
【0030】
そうして、貴金属系の粒状触媒3が充填された部分触媒層21,23が配置される部位は、内側筒体82の太鼓状の変形の影響を比較的に受け難い部位であるので、ニッケル系の粒状触媒4よりも低い圧壊強度を持つ貴金属系の粒状触媒3であっても、圧壊を発生しないのである。また、ニッケル系の粒状触媒4が充填された部分触媒層22が配置される部位は、触媒層2の内でも相対的に温度が低い部位であるので、貴金属系の粒状触媒よりも炭素析出を生じ易いニッケル系の粒状触媒4であっても、炭素析出は発生しないのである。すなわち、この発明による触媒層2の構成は、燃料電池用の燃料改質器の触媒層において発生している,温度および粒状触媒に対する加圧力の分布状態を巧みに利用し、しかも、ニッケル系の粒状触媒4と貴金属系の粒状触媒3とがそれぞれに持つ特質を適切に活用することによって、粒状触媒の圧壊と,粒状触媒への炭素析出とを、同時に低減することを可能にすることができるのである。
【0031】
また、部分触媒層23が形成されている部位は、触媒層2に関して、部分触媒層21,22中を通流することで得られた改質ガス9bに対し、仕上げの改質を行う部位である。この部分触媒層23に前記の表1中に示したような高い反応活性を持つ貴金属系の粒状触媒3を用いることにより、ニッケル系の粒状触媒4を用いる場合よりも部分触媒層23に充填する粒状触媒の量を低減することができる。したがって、触媒層2に必要となる容積を低減することができ、結局は燃料改質器1全体の小形・軽量化に有効なものとなるのである。
【0032】
なお、実施の形態の項における今までの説明では、燃料改質器1が備える触媒層2は、内側環状空間86とこの内側環状空間86と連通している外側環状空間87の底部とに粒状改質触媒が充填されることで形成されるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、触媒層は、内側環状空間86のみに粒状改質触媒を充填することで形成されてもよいものである。
【0033】
【発明の効果】
この発明においては、前記の課題を解決するための手段の項で述べた構成とすることにより、次記する効果を奏する。
▲1▼貴金属系の粒状改質触媒が充填される部位に加わる加圧力を相対的に小さく、かつ、ニッケル系の粒状改質触媒が充填される部位の温度を相対的に低くすることができるので、粒状改質触媒の圧壊と,粒状改質触媒への炭素析出とを、同時に低減することが可能となる。また、
▲2▼触媒層の全体に高価な貴金属系の粒状改質触媒を充填することが無いので、前記の▲1▼項の効果を得ながら、燃料電池用の燃料改質器の製造原価を低減することが可能となる。さらに、
▲3▼触媒層の全体にニッケル系の粒状改質触媒を充填する場合と対比すると、前記の▲1▼項の効果を得ながら、改質ガスが流出される部位の部分触媒層の充填する粒状改質触媒として,ニッケル系の粒状改質触媒よりも高い反応活性度を持つ貴金属系の粒状改質触媒を用い、触媒層の容積を低減できることで、燃料電池用の燃料改質器の小形・軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態例による燃料電池用の燃料改質器を示すその縦断面図
【図2】図1におけるP部の一部省略した縦断面図
【図3】従来例の燃料電池用の燃料改質器を示すその縦断面図
【図4】図3における改質管部分の図3におけるA−A断面図
【符号の説明】
1 燃料改質器
2 触媒層
21 部分触媒層
22 部分触媒層
23 部分触媒層
3 粒状改質触媒(貴金属系)
4 粒状改質触媒(ニッケル系)
9a 原料ガス
9b 改質ガス
Claims (1)
- 改質管と、触媒層と、熱媒体生成器とを備え、
改質管は、上下方向にほぼ直立した筒状の中間筒体と、この中間筒体を挟んでその内外にそれぞれ間隔を設けてほぼ同心状に配設され,上部を中間筒体と接合する上部板などで接続され,下部を中間筒体の下端から離して互いに底板で接続された内側筒体および外側筒体とを有し、
触媒層は、改質管の少なくとも中間円筒と内側筒体との間に形成された環状空間に粒状改質触媒を充填することで形成されてなり、
熱媒体生成器は、触媒層を加熱するための熱媒体を生成し、この熱媒体を少なくとも内側筒体の内周面側および外側筒体の外周面側に供給するものであり、
水蒸気が添加された炭化水素系の原燃料を中間円筒と外側筒体との間に形成された環状空間から触媒層に通流し、前記の原燃料を熱媒体により加熱された触媒層により水蒸気改質を行うことで,水素含有量の多い改質ガスに改質するものである、燃料電池用の燃料改質器において、
触媒層は、粒状改質触媒として貴金属系触媒種が使用された貴金属系の粒状改質触媒とニッケル系触媒種が使用されたニッケル系の粒状改質触媒とが併用され、貴金属系の粒状改質触媒が充填された部分触媒層は、触媒層の原燃料が流入される部位と,触媒層の改質ガスが流出される部位とにそれぞれ配置され、ニッケル系の粒状改質触媒が充填された部分触媒層は、前記の貴金属系の粒状改質触媒が充填された両部分触媒層に挟まれる部位に配置されてなることを特徴とする燃料電池用の燃料改質器。
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