JP3675848B2 - タレット型巻取機の糸切替装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は連続的に一定速度で供給される糸条を、タレット型の回転により位置転換するボビンに連続的に巻取るタレット型巻取機の糸切替装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
タレット盤に少なくとも２本のホルダ軸を互いに平行に軸支し、各ホルダ軸に設けたボビンホルダに装着したボビンに対し、一定速度で連続供給される糸条を綾振手段でトラバースさせつつ巻取らせ、一方のボビンが満巻となる毎にタレット盤を所要角度回転させて満巻ボビンと空ボビンとの位置転換を行い、満巻ボビンと巻糸位置に移動した空ボビン間で自動的に糸切替作動が行われるようにしたタレット型巻取機は、すでに多くのものが周知である。この種のタレット型巻取機の中でも、特に紡糸巻取り（テークアップ）に使用される巻取機は、糸条が間断なく一定速度で供給されるため、前記満巻ボビンから空ボビンへの糸切替作動時においても通常の巻取りと同速度で糸条を巻取る必要がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のタレット型巻取機の多くは、一般にホルダ軸に対する綾振手段のカム軸の回転が一定になるように、タイミングベルト等の動力伝達手段を介して連動させるため、満巻ボビンから空ボビンへの糸切替動作時に、糸条を綾振手段に設けた糸ガイドにより強制的にボビンホルダ端部に設けた糸把持手段に連行するものでは、トラバース速度が通常の巻取り時のトラバース速度に等しいため、前記糸把持手段上での糸条の通過時間が極めて短かく、この結果糸把持ミスを生ずる率が高くなる問題があった。
【０００４】
また、このような不都合を排除するため糸条の切替時において、糸条を綾振手段から一時離脱させて、他の糸掛け手段により糸条を糸把持手段に低速度で導いて、糸把持を行わせるものも提案されているが、この場合は前者のものと比較して糸条の受け渡し回数が増加するため、この受け渡し部分でのミスが多発する。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来のタレット型巻取機における糸切換時の問題に着目し、綾振手段による糸条のトラバース速度を、糸切替動作時にのみ通常の巻取時に比して低速とし、糸把持手段による糸条の捕捉を容易にして、糸切替えミスを大幅に低減させることを目的とするもので、ボビンを坦持する複数本のホルダ軸を互いに平行させてタレット盤により軸支し、かつ、ボビンの軸線方向に糸条をトラバースさせる綾振手段のカム軸を、前記ホルダ軸と平行に配置し、一定速度で供給される糸条を、タレット盤の回転により位置変換する前記ボビンに連続して巻取るタレット型巻取機において、前記綾振手段のカム軸が、変速比の異なる２系統の動力伝達系を介して原動機に連結され、一方の動力伝達系には任意に嵌脱可能のクラッチが介設され、他方の動力伝達系には、一方の動力伝達系におけるクラッチの下流に、該下流の回転数が所定回転数以下になったとき、他方の動力伝達系が接続されるワンウェイクラッチが介設されており、糸条切替時にカム軸を停止させることなく動力伝達系統を変更する糸切替装置の構成を特徴とする。
【０００６】
【作用】
本発明の糸切替装置による作用を本発明を説明するための図２の参考例、図３の実施例によって説明する。
タレット型巻取機は供給糸条の速度に対応させて回転数を制御したモータ１１によってホルダ軸４、４′を図２の矢示Ｙ方向に駆動して糸条ＦをボビンＢ上に巻取るようにし、このとき第１クラッチ１２は離脱状態にあり、また第２クラッチ２８は嵌合状態として、シャフト７の回転でタイミングプーリ３１からタイミングベルト３３によりタイミングプーリ３０、タイミングプーリ３５、次いでタイミングベルト３８を経てタイミングプーリ３６を駆動してカム軸１９を矢示Ｘ方向にホルダ軸４、４′と所定の回転比を以って回転させ、糸ガイド２０により糸条Ｆを通常の巻取り速度でトラバースさせる。
【０００７】
かくて巻取りボビンＢが満巻状態となったときタレット盤３は約半回転して満巻ボビンと空ボビンとの位置転換が行われ、空ボビンを坦持したホルダ軸４が図１で示す巻取位置に達したときカムシフト機構（図示せず）の作動でトラバースカム２２が図２の実線示位置から仮線示位置のようにボビンホルダ５の基端側にシフトし、糸ガイド２０のトラバース領域を同方向に移行させると共に、第２クラッチ２８が離脱し、同時に第１クラッチ１２が嵌合状態とするようにした。
【０００８】
従ってモータ１１の回転はタイミングプーリ１４からタイミングベルト１８を介してタイミングプーリ１６、２５を経てタイミングベルト２７を介してタイミングプーリ２３によりカム軸１９に伝達され、カム軸１９は前述の巻取り時より遥かに低速で同方向に回転する。これによって糸ガイド２０は通常の巻取り時より遅いトラバース速度で糸条Ｆを案内したまま移動し、ボビンホルダ５の基端側に設けた公知の糸把持リング３９を越えて糸Ｆを誘導して確実に該糸把持リング３９に把持させて満巻ボビンに連なる連糸をカッター（図示せず）により切断する。
【０００９】
かくて満巻ボビンから空ボビンへの糸切替時にのみ綾振手段の糸条トラバース速度を一時的に低減して糸切替動作を確実に実施させ得る。
【００１０】
以上の糸切替作動が完了したときは第１クラッチ１２が再び離脱すると共に同時に第２クラッチ２８が嵌合作動して、カム軸１９の回転は通常の巻取り時の回転数まで上昇して糸ガイド２０のトラバース速度が元通りに復帰すると共に、トラバースカム２２は図２の実線作動位置にシフトし、空ボビンＢに対する巻取りが開始される。
【００１１】
この糸切替が、図３に示した本発明の実施例装置によれば次ぎのように行われる。
【００１２】
この装置におけるタレット型巻取機においては、通常の巻取時には、クラッチ４０は嵌合状態にあり、カム軸１９の回転数はワンウェイクラッチ５０およびタイミングプーリ５１の回転数を遥かに上回っているためカム軸１９はワンウェイクラッチ５０に関係なくトラバースカム２２と共にタイミングプーリ４２と同速度で回転し、糸ガイド２０を所定のトラバース速度で往復動させる。
【００１３】
また、糸切替時においてはクラッチ４０を離脱させるとカム軸１９の回転は急速に低下し、タイミングプーリ５１の回転数を下回ったとき、ワンウェイクラッチ５０が作用してカム軸１９と一体に回転し、タイミングプーリ５１と同速度で回転させる。
【００１４】
これによってトラバースカム２２は通常の巻取り時より遥かに低速で回転し、糸ガイド２０により糸条Ｆを糸把持リング３９に導いて、巻糸始端を確実に捕捉させ、糸切替えを正確に実施し得る。
【００１５】
尚、以上の糸切替動作完了後はクラッチ４０の嵌合作動によってカム軸１９の回転を元通りに復帰させることは図２の場合と同様である。
【００１６】
【実施例】
図３により本発明の糸切替装置の実施例を説明する前に、まず、図１の本発明を実施するタレット型巻取機、図２の参考例糸切替装置について説明する。
【００１７】
機台に固定されるフレーム１により４個のジャーナル２を介して回転可能に保持されたタレット盤３に、２本のホルダ軸４、４′を片持ち支持状態で回転自在に支持し、該ホルダ４、４′に取付けたボビンホルダ５、５′に夫々ボビンＢを着脱自在に装着保持させる。
【００１８】
ホルダ軸４、４′の各後端に取付けた同径のタイミングプーリ６、６′と、タレット盤３と同軸的に配置されたシャフト７前端のタイミングプーリ８間に、中間にテンションプーリ９を介在させて両面歯付きベルト１０を巻掛けた。
【００１９】
１１は前記シャフト７を矢示Ｘ方向に駆動させるモータ、１２は、電磁クラッチ等の遠隔制御できる第１クラッチで、モータ１１の出力軸１３に取付けたプーリ１４と第１クラッチ１２の入力側軸１５のタイミングプーリ１６並びに前記シャフト７上のタイミングプーリ１７に亘ってタイミングベルト１８を巻掛けた。 １９はホルダ軸４、４′と平行させてフレーム１に回転自在に軸支したカム軸で、該カム軸１９には図１で示すように糸ガイド２０と係合して該糸ガイド２０をボビンＢの軸線方向に沿って往復動させる無端状の螺旋溝２１を設けたトラバースカム２２を、カム軸１９に沿って所定のストロークで摺動するも、カム軸１９と一体に回転可能にキー嵌合或いはスプライン嵌合により取付けた。
【００２０】
また、カム軸１９の後端に取付けたタイミングプーリ２３と、前記第１クラッチ１２の出力側軸２４に取付けたタイミングプーリ２５とにテンションプーリ２６を介してタイミングベルト２７を巻掛けた。
【００２１】
２８は前記シャフト７とカム軸１９との間に配設され、第１クラッチ１２と同様な構成の第２クラッチで、その入力側軸２９に取付けたタイミングプーリ３０と、シャフト７の後端に取付けたタイミングプーリ３１とに亘りテンションプーリ３２を介してタイミングベルト３３を巻掛け、また第２クラッチ２８の出力側軸３４上のタイミングプーリ３５と、カム軸１９の中間に取付けたタイミングプーリ３６とにテンションプーリ３７を介してタイミングベルト３８を巻掛けた。
次に本発明による実施例を図３により説明する。同図において図２と同一符号を付した個所は夫々同一部材と同一部分を示す。
【００２２】
図３において４０は電磁クラッチ等の遠隔制御可能のクラッチで、その出力側軸はカム軸１９と直結され、その入力側軸４１取付けたタイミングプーリ４２と、低速軸４５に取付けたタイミングプーリ４６とに亘ってタイミングベルト４７を巻掛け、更に中間軸４３の前端に取付けたタイミングプーリ４８と、シャフト７の後端のタイミングプーリ３１とにタイミングベルト４９を巻掛けた。
【００２３】
５０はカム軸１９の中間部に取付けた公知のワンウェイクラッチで、カム軸１９に対し矢示Ｘ方向には一体に回転するが、逆転方向には自由回転し得るようにし、該ワンウェイクラッチ５０には一側に大径のタイミングプーリ５１が一体に固着され、該大径プーリ５１およびワンウェイクラッチ５０は、前記低速軸４５の前端に取付けたタイミングプーリ５２との間に巻掛けたタイミングベルト５３により常時図３の矢示Ｘ方向に駆動される。
【００２４】
上記のような構成を有するタレット盤３は、ボビンＢへの糸条巻取りにおいて糸層の増加に従って図１の矢示Ｗ方向に歩進するように公知のステッピングモータ或いはシンクロナスモータに連結されている。
【００２５】
尚、ボビンＢに対する糸条の巻取り状況は、例えばブラケット５４に固設された発光器５５ａと受光器５５ｂとから成る光センサー５５により検出するようにした。
【００２６】
即ち、光センサー５５はタレット盤３の回動によるボビンＢの公転軌跡ｉの半径方向外方で、かつ、巻取位置でのホルダ軸４と、これに１８０°の対称位置のホルダ軸４′の中心線を含む平面の上方共通領域において、両者の交線に近い個所を選んで設置し、その上部に糸ガイド２０を位置させる。従ってボビンＢ上の糸層が増加し、これが光センサー５５の検出光を遮ったとき、タレット盤３が微小角度だけ矢示Ｗ方向に公転歩進し、再び検出光が透過して受光器５５ｂで検知したときタレット盤３の歩進移動は停止させるもので、これを繰返すことにより一方のボビンＢが満巻状態となるまで巻取動作は進行し、満巻状態となった時点で、満巻ボビンと空ボビンとがタレット盤３の回転によって位置転換するようにした。
【００２７】
【発明の効果】
本発明の装置によるときは、タレット型巻取機の糸切替動作時において、ボビンを坦持するホルダ軸に対する綾振手段のカム軸の回転数を一時的に低減させ、糸切替動作完了後はカム軸を元の通常巻取時の回転数に復帰させるようにしたので、紡糸巻取のように間断なく一定速度で糸条が供給される場合でも、糸条に弛みを生じさせることなく低速でトラバースさせて糸条を糸把持部に誘導して確実に糸条を捕捉させて糸切替えを行わせることが可能であり、糸切替え時のミスを大巾に低減させることができ、その装置は、糸ガイドのトラバース用カム軸の駆動用として、任意に着脱可能のクラッチを使用した駆動伝達系と、ワンウエィクラッチを使用した駆動伝達系とを用いて、両伝達系の切替作動のみでカム軸の回転数を糸切替動作時にのみ迅速に一時低減させることを可能にし、その制御を容易かつ的確にした効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明を実施するタレット型巻取機の一例を示す正面図
【図２】 参考例糸切替装置の駆動部の斜視図
【図３】 本発明の糸切替装置の実施例を示す駆動部の斜視図
【符号の説明】
３ タレット盤 ４、４′ ホルダ軸
１２、２８、４０ クラッチ １９ カム軸
５０ ワンウェイクラッチ Ｂ ボビン
Ｆ 糸条
【産業上の利用分野】
本発明は連続的に一定速度で供給される糸条を、タレット型の回転により位置転換するボビンに連続的に巻取るタレット型巻取機の糸切替装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
タレット盤に少なくとも２本のホルダ軸を互いに平行に軸支し、各ホルダ軸に設けたボビンホルダに装着したボビンに対し、一定速度で連続供給される糸条を綾振手段でトラバースさせつつ巻取らせ、一方のボビンが満巻となる毎にタレット盤を所要角度回転させて満巻ボビンと空ボビンとの位置転換を行い、満巻ボビンと巻糸位置に移動した空ボビン間で自動的に糸切替作動が行われるようにしたタレット型巻取機は、すでに多くのものが周知である。この種のタレット型巻取機の中でも、特に紡糸巻取り（テークアップ）に使用される巻取機は、糸条が間断なく一定速度で供給されるため、前記満巻ボビンから空ボビンへの糸切替作動時においても通常の巻取りと同速度で糸条を巻取る必要がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のタレット型巻取機の多くは、一般にホルダ軸に対する綾振手段のカム軸の回転が一定になるように、タイミングベルト等の動力伝達手段を介して連動させるため、満巻ボビンから空ボビンへの糸切替動作時に、糸条を綾振手段に設けた糸ガイドにより強制的にボビンホルダ端部に設けた糸把持手段に連行するものでは、トラバース速度が通常の巻取り時のトラバース速度に等しいため、前記糸把持手段上での糸条の通過時間が極めて短かく、この結果糸把持ミスを生ずる率が高くなる問題があった。
【０００４】
また、このような不都合を排除するため糸条の切替時において、糸条を綾振手段から一時離脱させて、他の糸掛け手段により糸条を糸把持手段に低速度で導いて、糸把持を行わせるものも提案されているが、この場合は前者のものと比較して糸条の受け渡し回数が増加するため、この受け渡し部分でのミスが多発する。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来のタレット型巻取機における糸切換時の問題に着目し、綾振手段による糸条のトラバース速度を、糸切替動作時にのみ通常の巻取時に比して低速とし、糸把持手段による糸条の捕捉を容易にして、糸切替えミスを大幅に低減させることを目的とするもので、ボビンを坦持する複数本のホルダ軸を互いに平行させてタレット盤により軸支し、かつ、ボビンの軸線方向に糸条をトラバースさせる綾振手段のカム軸を、前記ホルダ軸と平行に配置し、一定速度で供給される糸条を、タレット盤の回転により位置変換する前記ボビンに連続して巻取るタレット型巻取機において、前記綾振手段のカム軸が、変速比の異なる２系統の動力伝達系を介して原動機に連結され、一方の動力伝達系には任意に嵌脱可能のクラッチが介設され、他方の動力伝達系には、一方の動力伝達系におけるクラッチの下流に、該下流の回転数が所定回転数以下になったとき、他方の動力伝達系が接続されるワンウェイクラッチが介設されており、糸条切替時にカム軸を停止させることなく動力伝達系統を変更する糸切替装置の構成を特徴とする。
【０００６】
【作用】
本発明の糸切替装置による作用を本発明を説明するための図２の参考例、図３の実施例によって説明する。
タレット型巻取機は供給糸条の速度に対応させて回転数を制御したモータ１１によってホルダ軸４、４′を図２の矢示Ｙ方向に駆動して糸条ＦをボビンＢ上に巻取るようにし、このとき第１クラッチ１２は離脱状態にあり、また第２クラッチ２８は嵌合状態として、シャフト７の回転でタイミングプーリ３１からタイミングベルト３３によりタイミングプーリ３０、タイミングプーリ３５、次いでタイミングベルト３８を経てタイミングプーリ３６を駆動してカム軸１９を矢示Ｘ方向にホルダ軸４、４′と所定の回転比を以って回転させ、糸ガイド２０により糸条Ｆを通常の巻取り速度でトラバースさせる。
【０００７】
かくて巻取りボビンＢが満巻状態となったときタレット盤３は約半回転して満巻ボビンと空ボビンとの位置転換が行われ、空ボビンを坦持したホルダ軸４が図１で示す巻取位置に達したときカムシフト機構（図示せず）の作動でトラバースカム２２が図２の実線示位置から仮線示位置のようにボビンホルダ５の基端側にシフトし、糸ガイド２０のトラバース領域を同方向に移行させると共に、第２クラッチ２８が離脱し、同時に第１クラッチ１２が嵌合状態とするようにした。
【０００８】
従ってモータ１１の回転はタイミングプーリ１４からタイミングベルト１８を介してタイミングプーリ１６、２５を経てタイミングベルト２７を介してタイミングプーリ２３によりカム軸１９に伝達され、カム軸１９は前述の巻取り時より遥かに低速で同方向に回転する。これによって糸ガイド２０は通常の巻取り時より遅いトラバース速度で糸条Ｆを案内したまま移動し、ボビンホルダ５の基端側に設けた公知の糸把持リング３９を越えて糸Ｆを誘導して確実に該糸把持リング３９に把持させて満巻ボビンに連なる連糸をカッター（図示せず）により切断する。
【０００９】
かくて満巻ボビンから空ボビンへの糸切替時にのみ綾振手段の糸条トラバース速度を一時的に低減して糸切替動作を確実に実施させ得る。
【００１０】
以上の糸切替作動が完了したときは第１クラッチ１２が再び離脱すると共に同時に第２クラッチ２８が嵌合作動して、カム軸１９の回転は通常の巻取り時の回転数まで上昇して糸ガイド２０のトラバース速度が元通りに復帰すると共に、トラバースカム２２は図２の実線作動位置にシフトし、空ボビンＢに対する巻取りが開始される。
【００１１】
この糸切替が、図３に示した本発明の実施例装置によれば次ぎのように行われる。
【００１２】
この装置におけるタレット型巻取機においては、通常の巻取時には、クラッチ４０は嵌合状態にあり、カム軸１９の回転数はワンウェイクラッチ５０およびタイミングプーリ５１の回転数を遥かに上回っているためカム軸１９はワンウェイクラッチ５０に関係なくトラバースカム２２と共にタイミングプーリ４２と同速度で回転し、糸ガイド２０を所定のトラバース速度で往復動させる。
【００１３】
また、糸切替時においてはクラッチ４０を離脱させるとカム軸１９の回転は急速に低下し、タイミングプーリ５１の回転数を下回ったとき、ワンウェイクラッチ５０が作用してカム軸１９と一体に回転し、タイミングプーリ５１と同速度で回転させる。
【００１４】
これによってトラバースカム２２は通常の巻取り時より遥かに低速で回転し、糸ガイド２０により糸条Ｆを糸把持リング３９に導いて、巻糸始端を確実に捕捉させ、糸切替えを正確に実施し得る。
【００１５】
尚、以上の糸切替動作完了後はクラッチ４０の嵌合作動によってカム軸１９の回転を元通りに復帰させることは図２の場合と同様である。
【００１６】
【実施例】
図３により本発明の糸切替装置の実施例を説明する前に、まず、図１の本発明を実施するタレット型巻取機、図２の参考例糸切替装置について説明する。
【００１７】
機台に固定されるフレーム１により４個のジャーナル２を介して回転可能に保持されたタレット盤３に、２本のホルダ軸４、４′を片持ち支持状態で回転自在に支持し、該ホルダ４、４′に取付けたボビンホルダ５、５′に夫々ボビンＢを着脱自在に装着保持させる。
【００１８】
ホルダ軸４、４′の各後端に取付けた同径のタイミングプーリ６、６′と、タレット盤３と同軸的に配置されたシャフト７前端のタイミングプーリ８間に、中間にテンションプーリ９を介在させて両面歯付きベルト１０を巻掛けた。
【００１９】
１１は前記シャフト７を矢示Ｘ方向に駆動させるモータ、１２は、電磁クラッチ等の遠隔制御できる第１クラッチで、モータ１１の出力軸１３に取付けたプーリ１４と第１クラッチ１２の入力側軸１５のタイミングプーリ１６並びに前記シャフト７上のタイミングプーリ１７に亘ってタイミングベルト１８を巻掛けた。 １９はホルダ軸４、４′と平行させてフレーム１に回転自在に軸支したカム軸で、該カム軸１９には図１で示すように糸ガイド２０と係合して該糸ガイド２０をボビンＢの軸線方向に沿って往復動させる無端状の螺旋溝２１を設けたトラバースカム２２を、カム軸１９に沿って所定のストロークで摺動するも、カム軸１９と一体に回転可能にキー嵌合或いはスプライン嵌合により取付けた。
【００２０】
また、カム軸１９の後端に取付けたタイミングプーリ２３と、前記第１クラッチ１２の出力側軸２４に取付けたタイミングプーリ２５とにテンションプーリ２６を介してタイミングベルト２７を巻掛けた。
【００２１】
２８は前記シャフト７とカム軸１９との間に配設され、第１クラッチ１２と同様な構成の第２クラッチで、その入力側軸２９に取付けたタイミングプーリ３０と、シャフト７の後端に取付けたタイミングプーリ３１とに亘りテンションプーリ３２を介してタイミングベルト３３を巻掛け、また第２クラッチ２８の出力側軸３４上のタイミングプーリ３５と、カム軸１９の中間に取付けたタイミングプーリ３６とにテンションプーリ３７を介してタイミングベルト３８を巻掛けた。
次に本発明による実施例を図３により説明する。同図において図２と同一符号を付した個所は夫々同一部材と同一部分を示す。
【００２２】
図３において４０は電磁クラッチ等の遠隔制御可能のクラッチで、その出力側軸はカム軸１９と直結され、その入力側軸４１取付けたタイミングプーリ４２と、低速軸４５に取付けたタイミングプーリ４６とに亘ってタイミングベルト４７を巻掛け、更に中間軸４３の前端に取付けたタイミングプーリ４８と、シャフト７の後端のタイミングプーリ３１とにタイミングベルト４９を巻掛けた。
【００２３】
５０はカム軸１９の中間部に取付けた公知のワンウェイクラッチで、カム軸１９に対し矢示Ｘ方向には一体に回転するが、逆転方向には自由回転し得るようにし、該ワンウェイクラッチ５０には一側に大径のタイミングプーリ５１が一体に固着され、該大径プーリ５１およびワンウェイクラッチ５０は、前記低速軸４５の前端に取付けたタイミングプーリ５２との間に巻掛けたタイミングベルト５３により常時図３の矢示Ｘ方向に駆動される。
【００２４】
上記のような構成を有するタレット盤３は、ボビンＢへの糸条巻取りにおいて糸層の増加に従って図１の矢示Ｗ方向に歩進するように公知のステッピングモータ或いはシンクロナスモータに連結されている。
【００２５】
尚、ボビンＢに対する糸条の巻取り状況は、例えばブラケット５４に固設された発光器５５ａと受光器５５ｂとから成る光センサー５５により検出するようにした。
【００２６】
即ち、光センサー５５はタレット盤３の回動によるボビンＢの公転軌跡ｉの半径方向外方で、かつ、巻取位置でのホルダ軸４と、これに１８０°の対称位置のホルダ軸４′の中心線を含む平面の上方共通領域において、両者の交線に近い個所を選んで設置し、その上部に糸ガイド２０を位置させる。従ってボビンＢ上の糸層が増加し、これが光センサー５５の検出光を遮ったとき、タレット盤３が微小角度だけ矢示Ｗ方向に公転歩進し、再び検出光が透過して受光器５５ｂで検知したときタレット盤３の歩進移動は停止させるもので、これを繰返すことにより一方のボビンＢが満巻状態となるまで巻取動作は進行し、満巻状態となった時点で、満巻ボビンと空ボビンとがタレット盤３の回転によって位置転換するようにした。
【００２７】
【発明の効果】
本発明の装置によるときは、タレット型巻取機の糸切替動作時において、ボビンを坦持するホルダ軸に対する綾振手段のカム軸の回転数を一時的に低減させ、糸切替動作完了後はカム軸を元の通常巻取時の回転数に復帰させるようにしたので、紡糸巻取のように間断なく一定速度で糸条が供給される場合でも、糸条に弛みを生じさせることなく低速でトラバースさせて糸条を糸把持部に誘導して確実に糸条を捕捉させて糸切替えを行わせることが可能であり、糸切替え時のミスを大巾に低減させることができ、その装置は、糸ガイドのトラバース用カム軸の駆動用として、任意に着脱可能のクラッチを使用した駆動伝達系と、ワンウエィクラッチを使用した駆動伝達系とを用いて、両伝達系の切替作動のみでカム軸の回転数を糸切替動作時にのみ迅速に一時低減させることを可能にし、その制御を容易かつ的確にした効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明を実施するタレット型巻取機の一例を示す正面図
【図２】 参考例糸切替装置の駆動部の斜視図
【図３】 本発明の糸切替装置の実施例を示す駆動部の斜視図
【符号の説明】
３ タレット盤 ４、４′ ホルダ軸
１２、２８、４０ クラッチ １９ カム軸
５０ ワンウェイクラッチ Ｂ ボビン
Ｆ 糸条
Claims (1)
- ボビンを坦持する複数本のホルダ軸を互いに平行させてタレット盤により軸支し、かつ、ボビンの軸線方向に糸条をトラバースさせる綾振手段のカム軸を、前記ホルダ軸と平行に配置し、一定速度で供給される糸条を、タレット盤の回転により位置変換する前記ボビンに連続して巻取るタレット型巻取機において、前記綾振手段のカム軸が、変速比の異なる２系統の動力伝達系を介して原動機に連結され、一方の動力伝達系には任意に嵌脱可能のクラッチが介設され、他方の動力伝達系には、一方の動力伝達系におけるクラッチの下流に、該下流の回転数が所定回転数以下になったとき、他方の動力伝達系が接続されるワンウェイクラッチが介設されており、糸条切替時にカム軸を停止させることなく動力伝達系統を変更することを特徴とするタレット型巻取機の糸切替装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16311292A JP3675848B2 (ja) | 1992-06-22 | 1992-06-22 | タレット型巻取機の糸切替装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16311292A JP3675848B2 (ja) | 1992-06-22 | 1992-06-22 | タレット型巻取機の糸切替装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH061536A JPH061536A (ja) | 1994-01-11 |
| JP3675848B2 true JP3675848B2 (ja) | 2005-07-27 |
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Family Applications (1)
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| JP16311292A Expired - Fee Related JP3675848B2 (ja) | 1992-06-22 | 1992-06-22 | タレット型巻取機の糸切替装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3675848B2 (ja) |
-
1992
- 1992-06-22 JP JP16311292A patent/JP3675848B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH061536A (ja) | 1994-01-11 |
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