JP3675619B2 - 高立体規則性ポリプロピレン - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は高立体規則性ポリプロピレン、さらに詳しくは狭い分子量分布と高立体規則性を有しており、きわめて高い剛性、耐熱性を発揮する高立体規則性ポリプロピレンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは結晶性の高分子であるために剛性、引張り強度、耐熱性、耐薬品性、光学特性、加工性等に優れており、かつポリスチレン等に比べ軽比重であることから各種射出成形品、容器、包装材料等の分野で広く利用されている。しかしながら、このポリプロピレンの利用分野をさらに拡大するには、上記性能のうち、ポリスチレン、ABS樹脂に比べ劣っている剛性、耐熱性を向上させることが必要である。この剛性、耐熱性については、ポリマーの立体規則性が高くなるにしたがい向上することが知られており、立体規則性のさらなる向上が望まれている。
【0003】
ポリプロピレンを製造する触媒は、主に、チタン、マグネシウム、塩素および電子供与性化合物からなる固体触媒成分および有機アルミニウム化合物からなる触媒系が使用されており、この触媒系へアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を加えることにより、生成するポリマーの立体規則性が向上することが知られている。しかしながら、この触媒系によって製造されるポリプロピレンにおいても、立体規則性および分子量分布は十分に満足しうるものではない。
【0004】
一方、近年では従来の触媒系とは異なるメタロセンとアルミノキサンを組み合わせてなる触媒を用いてプロピレンを重合して分子量分布の狭い立体規則性ポリプロピレンが得られることが知られている。
例えば特定の構造からなるケイ素架橋型メタロセンとアルミノキサンからなる触媒を用いてプロピレンを重合し、分子量分布の狭い高立体規則性ポリプロピレンが得られている(特開平3−12406号公報、特開平3−12407号公報、“CHEMISTRY LETTERS, 1853 (1989)”)。上記の方法で得られるポリプロピレンは分子量分布も狭く、立体規則性も比較的高く従来のメタロセン触媒から得られるポリプロピレンに比較して、高融点を有しており、剛性の高いものであるが、この触媒系によって製造されるポリプロピレンにおいても、立体規則性は十分に満足しうるものではない。また、上記の方法では、プロピレンの重合を水素不存在下において実施しているため、ポリマーの片末端には二重結合が存在しており、使用条件によっては化学的安定性を損なう場合もあり、改良が望まれている。
【0005】
また、特開平8−325327号公報にはキラルなケイ素架橋型メタロセンおよびそのメソ体とアルミノキサンからなる触媒を用いて、水素存在下、プロピレンを重合し、分子量分布の狭いポリマーの片末端に二重結合が存在しない高立体規則性ポリプロピレンが得られている。しかし、この触媒系によって製造されるポリプロピレンにおいても、立体規則性および分子量分布は十分に満足しうるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極めて高い剛性、耐熱性を示す分子量分布の狭い高立体規則性ポリプロピレンを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、狭い分子量分布でかつ極めて高い立体規則性を有するポリプロピレンを製造する事に成功し、また該特定構造を有するポリプロピレンは極めて高い剛性、耐熱性とを有していることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下に示す高立体規則性ポリプロピレンを提供するものである。(1)( i )数平均分子量Mnと融解エンタルピーΔH(J/g)とが、式 ΔH≧131.85(Mn)-0.0715 −2.0 (1)の関係を満たし、かつ(ii)昇温分別法での主溶出ピークの半値幅が3℃以下であり、さらに(iii)重量平均分子量Mwが10,000〜700,000および(iv)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.0〜3.5であり、核磁気共鳴スペクトルにより、 (v) 2,1挿入反応および1,3挿入反応に起因する異種結合が存在せず、かつ (vi) 末端二重結合が存在しないことが確認され、核磁気共鳴スペクトルにより、 (vii) アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が99%以上、 (viii) シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)が0.1%以下であることを特徴とする高立体規則性ポリプロピレン。
(2)(iv)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.0〜2.5である(1)記載の高立体規則性ポリプロピレン。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の高立体規則性ポリプロピレンは、(i)数平均分子量Mnと融解エンタルピーΔH(J/g)とが、式 ΔH≧131.85(Mn)-0.0715 −2.0 (1)の関係を満たし、かつ(ii)昇温分別法での主溶出ピークの半値幅が3℃以下であり、さらに(iii)重量平均分子量Mwが10,000〜700,000および(iv)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.0〜3.5であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性のうち、(i)融解エンタルピーΔHは次のような方法に従った測定結果に基づき算出した。即ち、パーキン・エルマー社製のDSC7型示差走査熱量分析計を用いてポリプロピレンを室温から500℃/分の昇温条件下、220℃まで昇温し、同温度にて3分間保持後、−30℃/分にて50℃まで降温し、同温度にて3分間保持した後、10℃/分にて190℃まで昇温するという条件下で100〜175℃の融解エンタルピーを測定した。
【0011】
本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(i)である数平均分子量(Mn)と融解エンタルピーΔHの関係は、式 ΔH≧131.85(Mn)-0.0715 −2.0 (1)の関係であり、好ましくは、式 ΔH≧131.85(Mn)-0.0715 −1.5 (2)の関係である。ポリマーの剛性は、融解エンタルピーΔHと相関するので、数平均分子量(Mn)と融解エンタルピーΔHとの関係を求めることにより、ポリマーの剛性を知ることができる。融解エンタルピーΔHが大きいと剛性が高く、小さいと剛性が低いことになる。
【0012】
更に、本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性のうち、(ii)の昇温分別法での主溶出ピークの半値幅は次のような方法に従った液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定結果に基づき、温度と濃度の関係をグラフ化して、ピーク高さの半分の位置の溶出温度幅を求める。即ち、ポリマー3.75mgを135℃でo−ジクロロベンゼン20mlへ溶解したサンプルを用い、カラム内に試料溶液を135℃の条件下で2ml注入後、10℃/hrで室温まで徐冷してポリマーを充填剤へ吸着させ、o−ジクロロベンゼンを2ml/minにて注入しながらカラム温度を20℃/hrで昇温させて、各温度で溶出したポリマー濃度を赤外検出器にて測定することによって求める。カラムは10.7mmφ×300mm、充填剤はクロモソルブPを使用し、カラム温度分布±0.2℃以内にて測定することによって求める。検出には波長3.41μmが用いられる。また、室温でのポリマー溶出量を常温可溶部量とした。
【0013】
ポリマーの立体規則性は、溶出温度に依存するので、昇温分別法によって溶出温度とポリマー濃度との関係を求めることにより、ポリマーの立体規則性分布を知ることができる。昇温分別法での主溶出ピークの半値幅が大きいと立体規則性分布が広く、小さいと立体規則性分布が狭いことになる。本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(ii)である昇温分別法での主溶出ピークの半値幅は3℃以下であり、好ましくは2.5〜2.9℃である。
【0014】
更に、本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性のうち、(iii)の重量平均分子量(Mw)および(iv)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は次のような方法に従ったゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果に基づき算出する。即ち、ポリマー濃度0.1重量/容量%の1,2,4−トリクロロベンゼン(BHT300ppmを含む)溶液240μlを用い、カラムは混合ポリスチレンゲルカラム(たとえば東ソー(株)社製GMH6HT)を使用し、145℃、流速1.0ml/minにて測定することによって求める。検出には赤外検出器を使用し、波長3.41μmが用いられる。
【0015】
本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(iii)である重量平均分子量(Mw)は10,000〜700,000であり、好ましくは10,000〜500,000である。本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(iv)である重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は1.0〜3.5であり、好ましくは1.0〜2.5である。上記の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は分子量分布の尺度であり、その比(Mw/Mn)が大きいと分子量分布が広く、小さいと分子量分布が狭いことになる。
【0016】
本発明に係る立体規則性ポリプロピレンの特性のうち、前記(v) 、 (vi) 、 (vii)および(viii)は次のような方法に従った13C核磁気共鳴スペクトルの測定結果に基づき算出される。即ち、ポリマー200mgを135℃で1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(C6D6)=9/1重量比の混合溶媒3mlへ溶解したサンプルを用い、500MHz、130℃、積算回数10,000回で測定することによって求める。測定装置としては、たとえば日本電子(株)社製Lambda−500NMR測定装置が用いられる。
【0017】
本発明における「2,1挿入反応および1,3挿入反応に起因する異種結合」とは筒井(T. Tsutsui)等によって“POLYMER, 30, 1350 (1989) ”で提案された方法に基づき13C核磁気共鳴スペクトルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中の2,1挿入反応および1,3挿入反応に起因する異種結合の存在割合である。
【0018】
本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(v)は、2,1挿入反応および1,3挿入反応に起因する異種結合の存在が観測されないことである。なお、プロピレンの重合に既知の通常のチタン系触媒を用いる場合には1,2挿入反応によって重合が進行するのに対して、既知のメタロセン触媒を用いる場合には一定程度の2,1挿入反応と1,3挿入反応が起きており、得られるポリプロピレン中には異種結合が一定量存在することが知られている。
【0019】
また、本発明における末端二重結合は、林(T. Hayashi)等の"POLYMER, 30,1717 (1989)"に示された方法に基づき13C核磁気共鳴スペクトルにより測定されるポリプロピレン分子の末端に存在する二重結合の割合である。本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(vi)は末端二重結合が存在しないことである。既述したように、ポリプロピレン分子の末端に二重結合が存在すると、使用条件によっては二重結合が反応に関与することによって、ポリプロピレンの化学的安定性が損なわれる場合も生じ、その結果、ポリプロピレン本来の特性が発現しなくなることもある。
【0020】
本発明で用いられる「アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)」および「シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)」とはエイ・ザンベリ(A. Zambelli)等の“Macromolecules, 6, 925 (1973)”で提案された13C核磁気共鳴スペクトルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位での、アイソタクチック分率およびシンジオタクチック分率を意味する。また、本13C核磁気共鳴スペクトルの測定におけるピークの帰属決定法はエイ・ザンベリ(A. Zambelli)等の“Macromolecules, 8, 687 (1975)”で提案された帰属に従った。
【0021】
本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(vii)のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は上記したように、ポリプロピレン分子中の全プロピレンモノマー単位において存在する5個連続してメソ結合をしているプロピレンモノマー単位の割合である。従ってアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が高いほどアイソタクチック性が高いことを示す。本発明のポリプロピレンの特性(vii)は、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が99.0%以上であることであり、好ましくは99.1%以上、特に好ましくは99.5%以上である。
【0022】
上記の特性(v) 、 (vi)および(vii)を充足する本発明の立体規則性ポリプロピレンには、異種結合やラセミ結合連鎖が殆ど存在せず、極めて高度に制御されたメソ結合連鎖からなる、極めて高いアイソタクチック性を示すものである。本発明による立体規則性ポリプロピレンの特性(viii)のシンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)は、ポリプロピレン分子中の全プロピレンモノマー単位に存在する5個連続してラセミ結合をしているプロピレンモノマー単位の割合である。従ってシンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)が低いほどシンジオタクチック性が低いことを示す。本発明のポリプロピレンの特性(viii)は、シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)が0.1%以下であることであり、好ましくは0.08%以下、特に好ましくは0.05%以下である。
【0023】
本発明の立体規則性ポリプロピレンは上記の特性を満足すれば、その製造方法については制限されるものではないが、高い重合活性および立体規則性を発現しうる重合用触媒を用いて重合後、得られたポリプロピレンを分取昇温分別することが好ましい。このような重合用触媒およびその触媒を用いたポリオレフィンの製造方法としては、例えば、(A) (a)チタン化合物、(b)マグネシウム化合物、(c)電子供与体および必要に応じてハロゲン化物から形成される固体状チタン触媒成分と、(B)有機アルミニウム化合物と、必要に応じて(C)有機ケイ素化合物とからなる触媒およびその触媒を用いて重合を行う方法が挙げられる。以下にその触媒を用いて製造する方法および分取昇温分別の方法について説明する。
〔I〕各触媒成分
(A) 固体状チタン触媒成分
固体状チタン触媒成分は、チタン、マグネシウム、及び電子供与体を含有するものであり、以下の(a)チタン化合物、(b)マグネシウム化合物、(c)電子供与体及び必要に応じてハロゲン化物から形成されるものである。
(a)チタン化合物
チタン化合物は、一般式(I)
TiX1 p (OR1 )4-p ……(I)
で表されるチタン化合物を用いることができる。
【0024】
上記の一般式(I)において、X1 はハロゲン原子を示し、塩素原子が好ましい。R1 は炭素数1〜10個の炭化水素基を示し、特に直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、R1 が複数存在する場合にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。pは0〜4の整数を示す。
上記の一般式(I)で示されるチタン化合物の具体例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラシクロヘキシロキシチタン、テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン、メトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリクロリド、プロポキシチタントリクロリド、n−ブトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリブロミド等のトリハロゲン化アルコキシチタン、ジメトキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジクロリド、ジイソプロポキシチタンジクロリド、ジ−n−プロポキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジブロミド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタンクロリド、トリエトキシチタンクロリド、トリイソプロポキシチタンクロリド、トリ−n−プロポキシチタンクロリド、トリ−n−ブトキシチタンクロリド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタンなどを挙げることができる。これらの中で、高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)マグネシウム化合物
マグネシウム化合物は、一般式(II)
MgR2 R3 ……(II)
で表されるマグネシウム化合物を用いることができる。
【0025】
上記の一般式(II)において、R2 及びR3 は、炭化水素基、OR4 基(R4 は炭化水素基)、又はハロゲン原子を示す。より詳しくは、炭化水素基として、炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を、OR4 基としては、R4 が炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等を示す。また、R2 及びR3 は、同一でも異なってもよい。
【0026】
上記の一般式(II)で示されるマグネシウム化合物の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジシクロヘキシルマグネシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジヘキシロキシマグネシウム、ジオクトキシマグネシウム、ジフェノキシマグネシウム、ジシクロヘキシロキシマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソブチルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムイオダイド、ブトキシマグネシウムクロリド、シクロヘキシロキシマグネシウムクロリド、フェノキシマグネシウムクロリド、エトキシマグネシウムブロミド、ブトキシマグネシウムブロミド、エトキシマグネシウムイオダイド、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム等を挙げることができる。
【0027】
上記のマグネシウム化合物は、金属マグネシウム又はマグネシウムを含有する化合物から調製することができる。
一例としては、金属マグネシウムにハロゲン化物及び一般式X2 m M(OR5)n-m で表されるアルコキシ基含有化合物(式中、X2 は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20個の炭化水素基を示し、Mはホウ素、炭素、アルミニウム、ケイ素又はリン原子を示し、またR5 は炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。nはMの原子価、n>m≧0を示す。)を接触させる方法が挙げられる。
【0028】
上記のハロゲン化物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化スズ、四臭化スズ、塩化水素等が挙げられる。これらの中では四塩化ケイ素が好ましい。上記のX2 及びR5 の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、フェネチル、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
また一例として、Mg(OR6)2 で表されるマグネシウムアルコキシ化合物(
式中、R6 は、炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。)にハロゲン化物を接触させる方法が挙げられる。
【0029】
上記のハロゲン化物としては、上記と同じである。
上記のR6 としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、フェネチル、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
【0030】
以上のマグネシウム化合物は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。更には、ハロゲン等との混合物として用いてもよい。また、アルコール、エーテル等の含酸素化合物等の電子供与体を含有してもよく、Al,Zn,Si等の他の金属元素を含有してもよい。また、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等の支持体を含んでいてもよい。
(c)電子供与体
電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等のエーテル類等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。これらの中では、多価カルボン酸のエステル類が好ましく、さらに好ましくは、芳香族多価カルボン酸のエステル類である。特に芳香族ジカルボン酸のエステル類が好ましい。また、エステル部の有機基が直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0031】
具体的には、フタル酸、ナフタレン−1, 2−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸、インダン−4,5−ジカルボン酸、インダン−5,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジエステル類が好ましく、また、エステル部の有機基の炭素数が4個以上の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0032】
この具体例としては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジエチルなどを好ましく挙げることができる。また、これらの芳香族カルボン酸ジエステル化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)有機アルミニウム化合物
有機アルミニウム化合物は、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を有するもの、アルミノキサン及びそれらの混合物を用いることができる。具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5個の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これらの有機アルミニウム化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)有機ケイ素化合物
重合には必要に応じて、有機ケイ素化合物を添加するのが好ましい。この有機ケイ素化合物としては、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物を好ましく挙げることができる。
【0033】
この代表例としては、一般式R7 S Si(OR8)4-S で表されるケイ酸エステルを挙げることができる。式中、R7 は炭化水素基又はハロゲン原子を示し、炭化水素基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基等を、ハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。また、R8 は炭化水素基を示し、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシアルキル基等が挙げられる。sは0又は1〜3の整数を示す。R7 又はR8 が複数個ある場合は、それらは同じでも、異なってもよい。
【0034】
また、シロキサン類、カルボン酸のシリルエステル等を挙げることができる。上記の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、α−ナフチル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、n−テトラデカニル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルシクロヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、メチル−t−ブトキシメトキシシラン、イソプロピル−t−ブトキシメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルトリメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリスアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
また、有機ケイ素化合物としては、Si−O−C結合を有しないケイ素化合物とO−C結合を有する有機化合物を予め反応させるか、α−オレフィンの重合の際に反応させて、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物とするものも挙げることができる。具体的には、四塩化ケイ素とアルコールとを反応させるもの等が挙げられる。
〔II〕固体状チタン触媒成分の調整
固体状チタン触媒成分の調整は、上記の(a)チタン化合物、(b)マグネシウム化合物、(c)電子供与体、及び必要に応じて(d)ハロゲン化物を通常の方法で接触させればよいが、以下のような使用量、条件及び手順で接触させるのが好ましい。
【0036】
上記のチタン化合物の使用量は、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.5〜100モル、好ましくは、1〜50モルの範囲にするとよい。また、上記の電子供与体の使用量は、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.01〜10モル、好ましくは、0.05〜1.0モルの範囲にするとよい。さらに、ハロゲン化物として四塩化ケイ素を添加してもよい。
【0037】
この接触温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは、20〜150℃の範囲にするとよく、接触時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは、10分〜6時間の範囲にするとよい。
この接触手順については特に問わない。例えば、各成分を炭化水素などの不活性溶媒の存在下で接触させてもよいし、予め炭化水素などの不活性溶媒で各成分を希釈して接触させてもよい。この不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0038】
また、チタン化合物の接触を2回以上行い、触媒担体としての役割をするマグネシウム化合物に十分担持させるとよい。
以上の接触で得られた固体触媒成分は、炭化水素などの不活性溶媒で洗浄してもよい。この不活性溶媒は、上記と同じでよい。また、この固体生成物は、乾燥状態又は炭化水素などの不活性溶媒中で保存することもできる。
〔III〕重合
触媒の成分の使用量については、(A)成分の固体触媒成分は、チタン原子に換算して、反応容積1リットル当たり、通常0.0005〜1ミリモルの範囲になるような量が用いられ、(B)成分の有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子比が通常1〜1000、好ましくは10〜500の範囲になるような量が用いられる。この原子比が前記範囲内では触媒活性が高くなる。また、(C)成分の電子供与性化合物は、(C)電子供与性化合物/(B)有機アルミニウム化合物モル比が、通常0〜50、好ましくは0.01〜20の範囲になるような量が用いられる。このモル比が前記範囲内では十分な触媒活性が得られる。
【0039】
本発明におけるオレフィンの重合においては、所望に応じ、先ずオレフィンの予備重合を行ったのち、本重合を行ってもよい。この場合、前記(A)固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物及び(C)電子供与性化合物を、それぞれ所定の割合で混合してなる触媒の存在下に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のオレフィンを通常1〜100℃の範囲の温度において、常圧ないし50kg/cm2 G程度の圧力で予備重合させ、次いで(B)および(C)成分と予備重合生成物との存在下に、オレフィンを本重合させる。この本重合における重合形式については特に制限はなく、溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合等のいずれにも適用可能であり、さらに、回分式重合や連続重合のどちらにも適用可能であり、異なる条件での2段階重合や多段重合にも適用可能である。
【0040】
さらに、反応条件については、その重合圧は、特に制限はなく、通常、大気圧〜200kg/cm2 G、好ましくは2〜80kg/cm2 G、重合温度は、通常、10〜200℃、好ましくは、40〜100℃の範囲で適宜選ばれる。重合時間は原料のオレフィンの種類や重合温度によって左右され一概に定めることができないが、通常、5分〜20時間、好ましくは、10分〜10時間程度である。
【0041】
また、溶液重合、スラリー重合を例にすれば、重合に使用できる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができるが、これらの中では、n−ヘプタンが好ましい。
【0042】
分子量は、連鎖移動剤の添加、好ましくは水素の添加を行うことで調節することができる。また、窒素等の不活性ガスを存在させてもよい。
また、本発明における触媒成分については、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを所定の割合で混合し、接触させたのち、ただちにオレフィンを導入して重合をおこなってもよいし、接触後、0.2〜3時間程度熟成させたのち、オレフィンを導入して重合を行ってもよい。さらに、この触媒成分は不活性溶媒やオレフィンなどに懸濁して供給することができる。
【0043】
本発明においては、重合後の後処理は常法により行うことができる。すなわち、気相重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれるオレフィンなどを除くために、窒素気流などを通過させてもよい。〔V〕分取昇温分別
本発明の高立体規則性ポリプロピレンは、通常、上記の重合にて得られたポリプロピレンを分取昇温分別することにより製造することができる。
【0044】
分取昇温分別は、例えば、図1に示すような分取昇温分別装置にて行うことができる。
【0045】
【図1】
使用できる溶媒としては、例えば、o−ジクロロベンゼン、パラキシレン、トリクロロベンゼン、デカリンまたはこれらの混合物を挙げることができるが、これらの中では、o−ジクロロベンゼンが好ましい。使用できるカラム充填剤としては、例えば、クロモソルブP、セライト#560、海砂、シラン化シリカゲル等の多孔質充填剤等を挙げることができるが、これらの中では、クロモソルブPがより好ましい。
【0046】
この際、分別温度は、通常、0〜135℃、好ましくは10〜135℃とする。
具体的な分取方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。上記の重合にて得られたポリプロピレンパウダー20gをo−ジクロロベンゼン(BHT500ppmを含む。以下同様である。)200mlへ135℃にて溶解する。この溶液を分取昇温分別装置へ注入後、30℃まで降温しながらポリマーを充填剤へ吸着させる。o−ジクロロベンゼン10ml/minで送液しながら140℃まで昇温するが、途中、分取する温度にて4時間以上、好ましくは5時間以上保持する。フラクションコレクターにて分取温度毎に溶出液を分取し、各分取液を2リットルのメタノールへ攪拌しながら加えて再沈し、濾過後得られたポリマーを風乾し、さらに8時間以上真空乾燥する。
【0047】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、極限粘度〔η〕、引張り弾性率は以下のようにして求めた。
(1)極限粘度〔η〕:デカリンに溶解し135℃で測定した。
(2)引張り弾性率:JIS K7113に準じて測定した。金型は2号形試験片の1/2縮小ダンベルを使用した。
〔実施例1〜4〕
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを80ml、ジエトキシマグネシウム4.0g(35ミリモル)を加えた。80℃まで昇温した後、フタル酸−n−ジブチル13.2ミリモルを添加した。この溶液を80℃で保持し、引き続き四塩化チタンを116ml(1.06モル)加え、内温110℃で、2時間攪拌して担持操作を行った。その後、脱水ヘプタンを用いて充分に洗浄した。さらに、四塩化チタンを116ml(1.06モル)加え、内温110℃で、2時間攪拌して2回目の担持操作を行った。その後、脱水ヘプタンを用いて充分に洗浄を行い、固体触媒成分を得た。(チタン担持量=1.21重量%)
(2)プロピレンスラリー重合
内容積1リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを充分乾燥し、窒素置換の後、室温にて脱水処理したヘプタン400mlを加えた。トリエチルアルミニウム2.0ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.25ミリモル、上記の固体触媒成分をTi原子換算で0.005ミリモル加え、回転数400rpmで攪拌を行いながら、水素を1kg/cm2 G張り込み、続いてプロピレンを導入しながら80℃、全圧8kg/cm2 Gまで昇温昇圧し、温度圧力を保持して、60分間重合を行った。その後、降温、脱圧し、内容物を取り出し、2リットルのメタノールに投入し、ポリプロピレンパウダーを沈殿させた。それを濾別し、真空乾燥して、ポリプロピレン183gを得た。
(3)分取昇温分別
上記の重合にて得られたポリプロピレンパウダー20gをo−ジクロロベンゼン200mlへ135℃にて溶解する。この溶液を分取昇温分別装置のシリカゲル充填カラム(100mmφ×300mm)へ注入後、30℃まで降温しながらポリマーを充填剤へ吸着させる。o−ジクロロベンゼン10ml/minで送液しながら30℃から100℃まで60分間にて昇温し、1時間保持した後、さらに105℃まで5分間にて昇温し、4時間保持した。同様に、110℃、115℃、120℃、122℃、124℃、126℃、128℃の各温度まで5分間にて昇温し、4時間保持を繰り返した。122℃、124℃、126℃、128℃の各温度においてフラクションコレクターにより分取したポリプロピレン溶液を2リットルのメタノールへ攪拌しながら加えて再沈し、濾過後得られたポリマーを風乾し、さらに8時間以上真空乾燥した。得られた各ポリマーが実施例1〜4であり、その物性を評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例5〜7〕
(1)固体触媒成分の調製
〔実施例1〕と同様の触媒調製を行った。
(2)プロピレンスラリー重合
水素張り込み圧を3.0kg/cm2 Gとした以外は〔実施例1〕と同様の重合を行い、ポリプロピレン73gを得た。
(3)分取昇温分別
分取温度を115℃、120℃、125℃とした以外は〔実施例1〕と同様の操作を行った。得られた各ポリマーが実施例5〜7であり、その物性を第1表に示す。
〔比較例1〕
〔実施例1〕と同様の触媒調製、重合を行い、ポリプロピレン183gを得た。得られたポリマーを分取昇温分別せずに、そのまま物性を評価した。結果を第1表に示す。
〔比較例2〕
プロピレンスラリー重合時に、水素張り込み圧を0.3kg/cm2 Gとした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調製、重合を行った。ポリプロピレン103gを得た。得られたポリマーを分取昇温分別せずに、そのまま物性を評価した。結果を第1表に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明により、極めて高い剛性、耐熱性を示す分子量分布の狭い高立体規則性ポリプロピレンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明に使用する分取昇温分別装置である。
【図2】第2図は、実施例1で製造された本発明の高立体規則性ポリプロピレンの昇温分別チャートである。
Claims (2)
- ( i )数平均分子量Mnと融解エンタルピーΔH(J/g)とが、式 ΔH≧131.85(Mn)-0.0715 −2.0 (1)の関係を満たし、かつ(ii)昇温分別法での主溶出ピークの半値幅が3℃以下であり、さらに(iii)重量平均分子量Mwが10,000〜700,000および(iv)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.0〜3.5であり、核磁気共鳴スペクトルにより、 (v) 2,1挿入反応および1,3挿入反応に起因する異種結合が存在せず、かつ (vi) 末端二重結合が存在しないことが確認され、核磁気共鳴スペクトルにより、 (vii) アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が99%以上、 (viii) シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr)が0.1%以下であることを特徴とする高立体規則性ポリプロピレン。
- (iv)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.0〜2.5である請求項1記載の高立体規則性ポリプロピレン。
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