JP3834386B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、予備重合触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合体、特にポリプロピレンは結晶性高分子であるために剛性、耐熱性、耐薬品性、光学特性、加工性等に優れており、且つ軽比重であることから各種射出成形品、容器、包装材料等の分野で広く利用されている。
一般にオレフィン重合体はチタン化合物と有機アルミニウム化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒により重合されており、▲1▼触媒活性の向上、▲2▼得られるオレフィン重合体の立体規則性の向上、▲3▼安定生産のための重合体パウダー形態の改良等が図られている。
【0003】
例えば、重合体パウダー形態の改良とともに、重合活性や立体規則性向上を図るため、該触媒を予め少量のオレフィンと接触させて処理(予備重合)してから重合に供する方法が知られている。
この予備重合方法は、予備重合触媒が活性化された状態にあるため、ヘキサン等の重合不活性溶媒等で洗浄処理を行っても、重合活性や立体規則性等の触媒性能が不安定であって、保存中に触媒性能の低下を免れない。また、オレフィンを含有する媒体を用いて該予備重合触媒を一時保存したり、該媒体を用いて重合系に供給する際、保存容器の器壁や供給用配管内での重合体の生成による供給用配管の閉塞や、触媒の凝集による重合体パウダー形態の悪化等の問題もあった。
【0004】
そのため、特開平2−202903号公報には予備重合後に四塩化チタンを添加する技術が開示されているが、固体触媒成分が低濃度の場合は有効であるが、高濃度にした場合には、得られる重合体が凝集し易くなり重合体パウダー形態が悪化する等の問題がある。また、特開平3−106908号公報には、一酸化炭素又は二酸化炭素を添加する技術が開示されているが、保存安定性が不十分であり、さらなる改善が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、予備重合触媒の保存中における重合活性や立体規則性等の触媒性能の低下を抑え、オレフィンによる予備重合触媒の一時保存や重合系への円滑な供給が可能となるオレフィン重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、予備重合触媒を第三アルコールで処理することで、処理時に活性が低下することなく、保存中に予備重合触媒の触媒性能が低下しないこと、また、オレフィンを含有する媒体を用いて該予備重合触媒を重合系に供給する際の配管の閉塞も解消できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下に示すオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。
(1)(A)チタン、マグネシウム及び電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と(B)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒成分を用いてオレフィンを予備重合して得られる予備重合触媒を(D)第三アルコールと接触させたものと(E)有機アルミニウム化合物とから形成されるオレフィン重合触媒の存在下、オレフィンの重合又は共重合を行うことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
(2)予備重合時に使用する(B)有機アルミニウム化合物に対して、モル比で0.01〜10倍の範囲の(D)第三アルコールを接触させる上記(1)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
(3)予備重合時の(A)固体状チタン触媒成分の濃度が50〜400g/リットルの範囲にある上記(1)又は(2)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
(4)(A)チタン、マグネシウム及び電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と(B)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒成分に(C)有機ケイ素化合物を添加する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
(5)オレフィン重合触媒に(F)有機ケイ素化合物を添加する上記(1)〜(4)のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
(6)(D)第三アルコールを接触、反応させる前、同時または後に、予備重合触媒を二酸化炭素処理する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、(A) 固体状チタン触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物、及び必要に応じて(C)有機ケイ素化合物とから形成される触媒成分を用いてオレフィンを予備重合して得られる予備重合触媒に(D)第三アルコールを接触させたものと(E)有機アルミニウム化合物、及び必要に応じて(F)有機ケイ素化合物とから形成されるオレフィン重合触媒の存在下、オレフィンの重合又は共重合を行うことを特徴とするものである。
【0009】
また、(D)第三アルコールを接触させる前、同時または後に二酸化炭素処理を行う上記のオレフィン重合体の製造方法である。
以下に、各触媒成分、調整方法、重合方法等について説明する。
〔I〕各触媒成分
(A) 固体状チタン触媒成分
固体状チタン触媒成分は、チタン、マグネシウム、及び電子供与体を含有するものであり、以下の(a) チタン化合物、(b) マグネシウム化合物、(c) 電子供与体及び必要に応じてハロゲン化物から形成されるものである。
(a)チタン化合物
チタン化合物は、一般式(I)
TiX1 p (OR1 )4-p ・・・(I)
で表されるチタン化合物を用いることができる。
【0010】
上記の一般式(I) において、X1 はハロゲン原子を示し、塩素原子が好ましい。R1 は炭素数1〜10個の炭化水素基を示し、特に直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、R1 が複数存在する場合にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。pは0〜4の整数を示す。
上記の一般式(I) で示されるチタン化合物の具体例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラシクロヘキシロキシチタン、テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン、メトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリクロリド、プロポキシチタントリクロリド、n−ブトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリブロミド等のトリハロゲン化アルコキシチタン、ジメトキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジクロリド、ジイソプロポキシチタンジクロリド、ジ−n−プロポキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジブロミド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタンクロリド、トリエトキシチタンクロリド、トリイソプロポキシチタンクロリド、トリ−n−プロポキシチタンクロリド、トリ−n−ブトキシチタンクロリド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタンなどを挙げることができる。これらの中で、高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)マグネシウム化合物
マグネシウム化合物は、一般式(II)
MgR2 R3 ・・・(II)
で表されるマグネシウム化合物を用いることができる。
【0011】
上記の一般式(II)において、R2 及びR3 は、炭化水素基、OR4 基(R4 は炭化水素基)、又はハロゲン原子を示す。より詳しくは、炭化水素基として、炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を、OR4 基としては、R4 が炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等を示す。また、R2 及びR3 は、同一でも異なってもよい。
【0012】
上記の一般式(II)で示されるマグネシウム化合物の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジシクロヘキシルマグネシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジヘキシロキシマグネシウム、ジオクトキシマグネシウム、ジフェノキシマグネシウム、ジシクロヘキシロキシマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソブチルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムイオダイド、ブトキシマグネシウムクロリド、シクロヘキシロキシマグネシウムクロリド、フェノキシマグネシウムクロリド、エトキシマグネシウムブロミド、ブトキシマグネシウムブロミド、エトキシマグネシウムイオダイド、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム等を挙げることができる。
上記のマグネシウム化合物は、金属マグネシウム又はマグネシウムを含有する化合物から調製することができる。
【0013】
一例としては、金属マグネシウムにハロゲン化物及び一般式X2 m M(OR5)n-m で表されるアルコキシ基含有化合物(式中、X2 は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20個の炭化水素基を示し、Mはホウ素、炭素、アルミニウム、ケイ素又はリン原子を示し、またR5 は炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。nはMの原子価、n>m≧0を示す。)を接触させる方法が挙げられる。
【0014】
上記のハロゲン化物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化スズ、四臭化スズ、塩化水素等が挙げられる。これらの中では四塩化ケイ素が好ましい。
上記のX2 及びR5 の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、フェネチル、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
また一例として、Mg(OR6)2 で表されるマグネシウムアルコキシ化合物(式中、R6 は、炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。)にハロゲン化物を接触させる方法が挙げられる。
【0015】
上記のハロゲン化物としては、上記と同じである。
上記のR6 としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、フェネチル、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
【0016】
以上のマグネシウム化合物は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(c)電子供与体
電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等のエーテル類等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。これらの中では、多価カルボン酸のエステル類が好ましく、さらに好ましくは、芳香族多価カルボン酸のエステル類である。特に芳香族ジカルボン酸のエステル類が好ましい。また、エステル部の有機基が直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0017】
具体的には、フタル酸、ナフタレン−1, 2−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸、インダン−4,5−ジカルボン酸、インダン−5,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジエステル類が好ましく、また、エステル部の有機基の炭素数が4個以上の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0018】
この具体例としては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジエチルなどを好ましく挙げることができる。
また、これらの芳香族カルボン酸ジエステル化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)有機アルミニウム化合物
本発明の予備重合に用いられる(B)有機アルミニウム化合物としては、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を有するもの、アルミノキサン及びそれらの混合物を用いることができる。具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5個の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これらの有機アルミニウム化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)有機ケイ素化合物
本発明の予備重合には必要に応じて、(C)有機ケイ素化合物を添加するのが好ましい。この(C)有機ケイ素化合物としては、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物を好ましく挙げることができる。
【0019】
この代表例としては、一般式R7 S Si(OR8)4-S で表されるケイ酸エステルを挙げることができる。式中、R7 は炭化水素基又はハロゲン原子を示し、炭化水素基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基等を、ハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。また、R8 は炭化水素基を示し、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシアルキル基等が挙げられる。sは0又は1〜3の整数を示す。R7 又はR8 が複数個ある場合は、それらは同じでも、異なってもよい。
また、シロキサン類、カルボン酸のシリルエステル等を挙げることができる。
【0020】
上記の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、α−ナフチル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、n−テトラデカニル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルシクロヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、メチル−t−ブトキシメトキシシラン、イソプロピル−t−ブトキシメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルトリメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリスアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(C)有機ケイ素化合物としては、Si−O−C結合を有しないケイ素化合物とO−C結合を有する有機化合物を予め反応させるか、α−オレフィンの重合の際に反応させて、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物とするものも挙げることができる。具体的には、四塩化ケイ素とアルコールとを反応させるもの等が挙げられる。
(D)第三アルコール
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、上記の触媒成分を用いてオレフィンを予備重合した後、(D)第三アルコールを接触させて予備重合触媒とすることを主な特徴とするものであり、この(D)第三アルコールは一般式R9 R10R11COHで表される。式中、R9 、R10、R11は炭素数1〜10個の炭化水素基を示し、炭化水素基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、ハロアルキル基等が挙げられが、鎖状または環状の飽和脂肪族または芳香族炭化水素基が好ましく、鎖状飽和炭化水素がさらに好ましい。R9 、R10、R11は、同じでも、異なってもよい。
【0021】
上記の具体例としては、t−ブタノール、t−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、トリエチルカルビノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、トリフェニルカルビノール、2−フェニル−2−ヘキサノール、1,1−ジフェニルエタノール、1−フェニル−2−メチル−2−プロパノール、トリシクロヘキシルカルビノール、1−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノールなどが挙げられる。これらの第三アルコールの中では、炭素数4〜8個の第三アルコール、特にt−ブタノールが好ましい。また、これらの第三アルコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)有機アルミニウム化合物
本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられる(E)有機アルミニウム化合物としては、上記の(B)有機アルミニウム化合物の中から選択すればよい。また、上記の(B)有機アルミニウム化合物と同じものでも、異なったものでも使用することができる。
(F)有機ケイ素化合物
本発明のオレフィン重合触媒には、必要に応じて、(F)有機ケイ素化合物を添加するのが好ましい。この(F)有機ケイ素化合物としては、上記の(C)有機ケイ素化合物の中から選択すればよい。また、上記の(C)有機ケイ素化合物と同じものでも、異なったものでも使用することができる。
〔II〕固体状チタン触媒成分の調整
固体状チタン触媒成分の調整は、上記の(a) チタン化合物、(b) マグネシウム化合物、(c) 電子供与体、及び必要に応じて(d)ハロゲン化物を通常の方法で接触、反応させればよいが、以下のような使用量、条件及び手順で接触、反応させるのが好ましい。
【0022】
上記のチタン化合物の使用量は、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.5〜100モル、好ましくは、1〜50モルの範囲にするとよい。また、上記の電子供与体の使用量は、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.01〜10モル、好ましくは、0.05〜0.15モルの範囲にするとよい。さらに、ハロゲン化物として四塩化ケイ素を添加してもよい。
【0023】
この接触・反応温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは、20〜150℃の範囲にするとよく、接触・反応時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは、10分〜6時間の範囲にするとよい。
この接触手順については特に問わない。例えば、各成分を炭化水素などの不活性溶媒の存在下で接触・反応させてもよいし、予め炭化水素などの不活性溶媒で各成分を希釈して接触・反応させてもよい。この不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0024】
また、チタン化合物の接触・反応を2回以上行い、触媒担体としての役割をするマグネシウム化合物に十分担持させるとよい。
以上の接触・反応で得られた固体触媒成分は、炭化水素などの不活性溶媒で洗浄してもよい。この不活性溶媒は、上記と同じでよい。また、この固体生成物は、乾燥状態又は炭化水素などの不活性溶媒中で保存することもできる。
〔III 〕予備重合
予備重合は、上記の(A) 固体状チタン触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物、及び必要に応じて(C)有機ケイ素化合物とから形成される触媒成分を用いて、通常は少量のオレフィンを重合するものであり、以下のような使用量、条件及び手順で行うのが好ましい。
【0025】
上記の(B)有機アルミニウム化合物の使用量は、上記の(A) 固体状チタン触媒成分中のチタン1モルに対して、通常、0.01〜100モル、好ましくは、0.1〜50モルの範囲にするとよい。また、上記の(C)有機ケイ素化合物の使用量は、上記の固体状チタン触媒成分中のチタン1モルに対して、通常、0.01〜100モル、好ましくは、0.1〜50モルの範囲にするとよい。
【0026】
上記の各成分の接触順序は特に問わないが、好ましくは、(A) 固体状チタン触媒成分に対して(B)有機アルミニウム化合物を接触させた後に(C)有機ケイ素化合物を接触させるものであり、また、(B)有機アルミニウム化合物に(C)有機ケイ素化合物を接触させた後に(A) 固体状チタン触媒成分と接触させるものである。
【0027】
また、各成分を接触後、炭化水素等の不活性溶剤で、固体成分を洗浄してもよい。
予備重合に使用するオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。所望により連鎖移動剤を添加してもよく、水素が好ましく用いられる。通常、20モル%以下の添加量である。
【0028】
予備重合は不活性有機溶剤中で行うのが好ましく、この不活性有機溶剤としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。これらの中では、n−ヘプタンが特に好ましい。
【0029】
不活性有機溶剤中で予備重合を行う場合は、上記の(A) 固体状チタン触媒成分の濃度を50〜400g/リットルの範囲にするのが好ましく、100〜200g/リットルの範囲にするのがより好ましい。これが50g/リットル未満では、予備重合処理ができる量が少なくなり、所定量の予備重合処理を所定時間内にするには予備重合器を大型にする必要があり好ましくない。他方、400g/リットルを超えると所定の予備重合体を得るためにオレフィン分圧を著しく高くする必要が生じたり、均一性が悪化したり、また予備重合体の次工程への供給性が悪化する等の不都合が発生しやすい。
予備重合圧は、特に制限はなく、通常、大気圧〜20kg/cm2 Gの範囲にすればよい。
【0030】
予備重合温度は、通常、−20〜110℃、好ましくは、0〜60℃の範囲にするとよく、予備重合時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは、15分〜7時間の範囲にするとよい。
予備重合量は、(A) 固体状チタン触媒成分の1gに対して、通常、0.001〜1000g、好ましくは、0.01〜100gの範囲の量にするのがよい。
この予備重合は、回分式でも、連続式でもよい。
以上のオレフィンを予備重合して得られる予備重合触媒は、炭化水素などの不活性溶媒で洗浄してもよい。洗浄は、不活性溶剤を用いた常法に従えばよい。この不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。
〔IV〕予備重合後の第三アルコールの接触
本発明は、上記のようにオレフィンを予備重合して得られる予備重合触媒を(D)第三アルコールと接触させることを主な特徴とするものである。
(D)第三アルコールの接触量は、予備重合時に使用した(B)有機アルミニウム化合物のアルミニウム1モルに対して、通常0.01〜10モル、好ましくは0.1〜3モルの範囲にするのがよい。これが0.01モル未満では保存時の触媒活性の低下を抑制するのが難しくなり、また、オレフィン中の触媒保存性又はオレフィンを媒体とした触媒供給性の改良効果も得られにくくなる。他方、10モルを超えても第三アルコールの接触効果が大きくならず、逆に触媒を失活させることがあり好ましくない。
この接触温度は、通常−20〜110℃、好ましくは0〜60℃の範囲にするのがよい。
【0031】
この接触時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜1時間の範囲にするのがよい。
接触は不活性有機溶剤中で行うのが好ましく、この不活性有機溶剤としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。これらの中では、n−ヘプタンが特に好ましい。
また、この接触は、回分式でも、連続式でもよい。
〔V〕二酸化炭素の接触
(D)第三アルコールの接触を行う前、同時または後に二酸化炭素の接触を行うのがよい。二酸化炭素の接触を第三アルコールの接触と併用すると、接触させる(D)第三アルコールの添加量を約2分の1にしても所望の効果を得ることができる場合がある。
この二酸化炭素の接触量は、予備重合時に使用した(B)有機アルミニウム化合物のアルミニウム1モルに対して、通常、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜50モルの範囲にするのがよい。これが0.01モル未満では保存時の触媒活性の低下を抑制するのが難しくなり、また触媒供給性の改良効果も得られにくくなる。他方、100モルを超えても二酸化炭素の接触効果が大きくならない。
この接触温度は、通常、−20〜110℃、好ましくは0〜60℃の範囲にするのがよい。
【0032】
この接触時間は、通常、1分〜10日間、好ましくは1時間〜4日間の範囲にするのがよい。
接触は不活性有機溶剤中で行うのが好ましく、この不活性有機溶剤としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。これらの中では、n−ヘプタンが特に好ましい。
また、この接触は、回分式でも、連続式でもよい。
〔VI〕重合
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記の予備重合触媒を第三アルコールと接触させたものを主触媒とし、(E)有機アルミニウム化合物、及び必要に応じて(F)有機ケイ素化合物とからなるオレフィン重合触媒の存在下、オレフィンを重合することを特徴とするものであり、重合方法及びその条件等には、特に制限はなく、溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合等のいずれにも適用可能であるが、気相重合に好ましく用いることができる。
【0033】
重合に使用できるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフインを挙げることができる。炭素数3個以上のα−オレフインに好ましく適用でき、特にプロピレンの重合に好適である。また、プロピレンとエチレン、1−ブテン又は1−ヘキセン等の共重合にも好ましく適用できる。
【0034】
分子量は、連鎖移動剤の添加、好ましくは水素の添加を行うことで調節することができる。また、窒素等の不活性ガスを存在させてもよい。
気相重合を例にすれば、その重合圧は、特に制限はなく、通常、大気圧〜80kg/cm2 G、好ましくは2〜50kg/cm2 Gの範囲にするとよい。
【0035】
重合温度は、通常、20〜90℃、好ましくは、40〜90℃の範囲にするとよく、重合時間は、通常、5分〜20時間、好ましくは、10分〜10時間の範囲にするとよい。
重合条件における上記の予備重合触媒の使用量は、固体状チタン触媒成分のチタン原子として、通常、0.0001〜10ミリモル/kg−パウダー、好ましくは、0.001〜1ミリモル/kg−パウダーの範囲になるようにするとよい。
【0036】
上記の(E)有機アルミニウム化合物の使用量は、上記の予備重合触媒中のチタン1モルに対して、通常、1〜10000モル、好ましくは、10〜1000モルの範囲にするとよい。また、上記の(F)有機ケイ素化合物の使用量は、上記の予備重合触媒成分中のチタン1モルに対して、通常、0.1〜5000モル、好ましくは、1〜1000モルの範囲にするとよい。
上記の各成分の接触順序は特に問わないが、好ましくは、予備重合触媒に対して(E)有機アルミニウム化合物を接触させた後に(F)有機ケイ素化合物を接触させるものであり、また、(E)有機アルミニウム化合物に(F)有機ケイ素化合物を接触させた後に予備重合触媒と接触させるものである。
また、溶液重合、スラリー重合を例にすれば、重合に使用できる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができるが、これらの中では、n−ヘプタンが好ましい。
【0037】
この際の重合圧は、通常、常圧〜200kg/cm2 、好ましくは、2〜150kg/cm2 の範囲で、重合温度は、通常、10〜200℃、好ましくは、40〜100℃、重合時間は、通常、5分間〜20時間、好ましくは、10分間〜10時間とする。
予備重合触媒の使用量は、固体状チタン触媒成分のチタン原子として、通常、0.001〜0.1ミリモル/リットル、好ましくは、0.005〜0.05ミリモル/リットルの範囲になるようにし、上記の(E)有機アルミニウム化合物の使用量は、予備重合触媒中のチタン1モルに対して、通常、1〜10000モル、好ましくは、10〜1000モルの範囲になるようにするとよい。また、上記の(F)有機ケイ素化合物の使用量は、予備重合触媒中のチタン1モルに対して、通常、0.1〜5000モル、好ましくは、1〜1000モルの範囲になるようにするとよい。これらは、通常の方法で重合器に投入すればよく、その接触手順などは特に問わない。
さらに、回分式重合や連続重合のどちらにも適用可能であり、異なる条件での2段階重合や多段重合にも適用可能である。
【0038】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)固体状チタン触媒成分の調製
内容積5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを500ml、ジエトキシマグネシウム160g(1.4モル)を加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素28.5ml(225ミリモル)を加えて20分間攪拌し、フタル酸ジエチル25.2ml(127ミリモル)を添加した。溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを滴下ロートを用いて461ml(4.2モル)滴下し、内温110℃で、2時間攪拌して担持操作を行った。その後、脱水ヘプタンを用いて充分に洗浄した。さらに、四塩化チタンを768ml(7モル)加え、内温110℃で、2時間攪拌して2回目の担持操作を行った。その後、脱水ヘプタンを用いて充分に洗浄を行い、固体状チタン触媒成分を得た(チタン担持量=3.0重量%)。
(2)予備重合
窒素で置換した内容積1リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコに上記の固体状チタン触媒成分60g(37.6ミリモル−Ti)を含むヘプタンスラリーを投入し、さらに脱水処理したヘプタンを加えて、全量を500mlとした。これを10℃に制御しながら攪拌し、トリエチルアルミニウム24.8ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン12.4ミリモルを加えた。10℃のまま、40分間プロピレンを所定量吸収させ、残留プロピレンを窒素で置換して、ヘプタンを用いて充分洗浄を行い、予備重合触媒を65g得た(シール量:0.083g−PP/g固体状チタン触媒成分)。
(3)予備重合触媒への第三アルコール処理
窒素で置換した内容積1リットリの攪拌機付きの三つ口フラスコに上記の予備重合触媒30g(17.3ミリモル−Ti)を含むヘプタンスラリー230mlを投入し、25℃にて攪拌しながらt−ブタノール0.56ml(5.7ミリモル)を添加し、5分経過後、攪拌を停止して処理を終了した。
(4)プロピレンスラリー重合
内容積1リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを充分乾燥し、窒素置換の後、室温にて脱水処理したヘプタン400mlを加えた。トリエチルアルミニウム2ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.25ミリモル、上記のt−ブタノール処理された予備重合触媒を8.7mg(8.0mgの固体状チタン触媒成分に相当)加え、水素を1kg/cm2 G張り込み、続いてプロピレンを導入しながら80℃、全圧8kg/cm2 Gまで昇温昇圧してから、60分間重合を行った。その後、降温、脱圧し、内容物を取り出し、2リットルのメタノールに投入し、触媒失活を行った。それをろ別し、真空乾燥して、プロピレン重合体を112g得た(活性:14.0kg−PP/g固体状チタン触媒成分)。
また、上記のt−ブタノール処理された予備重合触媒をヘプタンスラリー状態(予備重合触媒濃度:130g/リットル)で、温度30℃にて1週間保存した後、上記条件にて重合評価を行ったところ、プロピレン重合体を112g得た。
(5)オレフィンモノマー中保存テスト
プロピレン中における触媒の保存性を簡易的に検証するため、窒素置換した内容積100mlの耐圧ステンレス管に精秤したt−ブタノール処理済予備重合触媒0.5gを投入し、充分真空乾燥してから、液体プロピレンを50g仕込み、25℃、12時間放置した後、脱圧、真空乾燥した触媒の重量を測定したところ、重量変化はほとんどなかった。また、触媒の形態を目視で観察したところほとんど変化がなかった。
〔比較例1〕
t−ブタノール処理を行わなかった以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例2〕
予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へt−ブタノール処理する際のt−ブタノール添加量をモル比で0.20倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例3〕
予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へt−ブタノール処理する際のt−ブタノール添加量をモル比で1.00倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例2〕
t−ブタノールの代わりにエタノールを使用し、予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へエタノール処理する際のエタノール添加量をモル比で0.25倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例3〕
t−ブタノールの代わりにエタノールを使用し、予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へエタノール処理する際のエタノール添加量をモル比で0.50倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例4〕
t−ブタノールの代わりにイソプロパノールを使用し、予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へイソプロパノール処理する際のイソプロパノール添加量をモル比で0.25倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例5〕
t−ブタノールの代わりにイソプロパノールを使用し、予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へイソプロパノール処理する際のイソプロパノール添加量をモル比で0.50倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例6〕
t−ブタノールの代わりにイソプロパノールを使用し、予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へイソプロパノール処理する際のイソプロパノール添加量をモル比で1.00倍とした以外は〔実施例1〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例4〕
(1)固体状チタン触媒成分の調製並びに予備重合及び洗浄
〔実施例1〕と同様に行った。
(2)予備重合触媒への二酸化炭素処理
内容積1リットリの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを充分乾燥し、窒素置換の後、予備重合触媒を40g含むヘプタンスラリー310mlを投入し、25℃にて攪拌しながら二酸化炭素ガスを0.3kg/cm2 Gまで圧入して、24時間接触させた後、窒素置換して処理を終了した。
(3)予備重合触媒へのt−ブタノール処理
窒素で置換した内容積1リットリの攪拌機付きの三つ口フラスコに上記の二酸化炭素処理された予備重合触媒30g(17.3ミリモル−Ti)を含むヘプタンスラリー230mlを投入し、25℃にて攪拌しながらt−ブタノール0.28ml(2.9ミリモル)を添加し、5分経過後、攪拌を停止して処理を終了した。
(4)プロピレンスラリー重合
内容積1リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを充分乾燥し、窒素置換の後、室温にて脱水処理したヘプタン400mlを加えた。トリエチルアルミニウム2mM、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.25mM、上記のt−ブタノール処理された予備重合触媒を8.6mg加え、水素を1kg/cm2 G張り込み、続いてプロピレンを導入しながら80℃、全圧8kg/cm2 Gまで昇温昇圧してから、60分間重合を行った。その後、降温、脱圧し、内容物を取り出し、2リットルのメタノールに投入し、触媒失活を行った。それをろ別し、真空乾燥して、プロピレン重合体を115g得た。
また、上記のt−ブタノール処理された予備重合触媒をヘプタンスラリー状態(予備重合触媒濃度:130g/リットル)で、温度30℃にて1週間保存した後、上記条件にて重合評価を行ったところ、プロピレン重合体を115g得た。(5)オレフィンモノマー中保存テスト
〔実施例1〕と同様のテストをところ、重量変化はほとんどなかった。
〔比較例7〕
t−ブタノール化合物処理を行わなかった以外は〔実施例4〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例5〕
予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へt−ブタノール処理する際のt−ブタノール添加量をモル比で0.10倍とした以外は〔実施例4〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例6〕
予備重合時に添加したアルミニウム化合物のAl量に対して、予備重合触媒へt−ブタノール処理する際のt−ブタノール添加量をモル比で0.50倍とした以外は〔実施例4〕と同様の触媒調整、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明により、予備重合触媒の保存中における重合活性や立体規則性等の触媒性能の低下を抑え、また、オレフィンによる予備重合触媒の一時保存又は重合系への円滑な供給が可能となるオレフィン重合体の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明のオレフィンの重合における一態様を表すフローチャートである。
Claims (6)
- (A)チタン、マグネシウム及び電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と(B)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒成分を用いてオレフィンを予備重合して得られる予備重合触媒を、予備重合時に使用する(B)有機アルミニウム化合物に対して、モル比で0.1〜3倍の範囲の(D)第三アルコールと接触させたものと(E)有機アルミニウム化合物とから形成されるオレフィン重合触媒の存在下、オレフィンの重合又は共重合を行うことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- 予備重合時に使用する(B)有機アルミニウム化合物に対して、モル比で0.1〜1倍の範囲の(D)第三アルコールと接触させる請求項1記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 予備重合時の(A)固体状チタン触媒成分の濃度が50〜400g/リットルの範囲にある請求項1又は2記載のオレフィン重合体の製造方法。
- (A)チタン、マグネシウム及び電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と(B)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒成分に(C)有機ケイ素化合物を添加する請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
- オレフィン重合触媒に(F)有機ケイ素化合物を添加する請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
- (D)第三アルコールを接触させる前、同時または後に、予備重合触媒を二酸化炭素処理する請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
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