JP3675584B2 - カラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な拡散転写性色素の形成技術に関し、さらに詳しくは新規な拡散性色素形成性のカプラーと発色現像主薬を含有するカラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料、およびこれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料の分野において、拡散性色素を像様に形成し、これを受像材料に固定することによってカラー画像を形成するいわゆるカラー拡散転写法は公知の技術であり、これに関しては多くの提案がなされている。これらの方法は一般に、予め着色した画像形成用色素(プレフォームド色素)を耐拡散化した化合物(以下色材と称する)からハロゲン化銀の現像の関数として拡散性色素を生ぜしめる方法が採用されている。このような方法においては、色材をハロゲン化銀乳剤と同一層に添加すると色素部分によるフィルター効果のため、望ましくない露光に対する感度低下を引き起こす。従って、一般にはこの問題を避けるために、ハロゲン化銀乳剤層に対して露光面より遠い層に画像形成用色材を添加する方法が採られる。しかしながら、この方法においては上記のフィルター効果による感度低下は免れるものの、ハロゲン化銀乳剤と拡散性色素を生成する色材との物理的距離が大きくなるためにハロゲン化銀乳剤から色材への現像情報伝達に非効率が生じる欠点を内在していた。
【0003】
これらの欠点を改善するための方法として、ハロゲン化銀の現像の関数として生じる現像主薬酸化体とカプラーとのカップリング反応により色素形成を行ういわゆるカップリング方式が提案されている。この方式の利点は現像主薬、カプラーのいずれもが無色であるため、プレフォームド色素利用方式の欠点を克服でき、プレフォームド色素を利用した色材よりも好ましい。この方法は例えば米国特許第4,469,773号、特公昭63−36487号等に例が記載されている。
【0004】
しかし、上述のカップリング方式用の発色現像主薬は感光材料に内蔵した場合に、十分な保存安定性とカップリング反応の活性との両立の点で不十分であった。この方式においては発色現像主薬とカプラーは異なる分光感度を有するハロゲン化銀乳剤層間における混色を防止する観点から、互いに耐拡散性であることが望ましい。しかし、従来知られている方法においては互いに耐拡散性のカプラーと発色現像主薬から拡散性の色素を形成することは困難である。
また、発色現像主薬の拡散性が大きいと、現像において使用されなかった発色現像主薬が受像材料に拡散し、時間と共に好ましくないステインを生じる問題も有していた。
このような従来技術におけるカップリング方式の問題点の他に、カップリング方式がプレフォームド色素利用方式に対して持っている原理的な課題として、カプラーと発色現像主薬のカップリング効率(色素生成効率)を維持しつつ、良好な色相を有し、かつ堅牢な色素を生成するように化合物の分子設計を行う必要がある点が挙げられる。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第一の目的は、それぞれ互いに実質的に無色で耐拡散性のカプラーと発色現像主薬とから、現像時に十分な速度で拡散性の色素を形成可能な方法を提供することである。本発明の第二の目的は、上記カプラーと発色現像主薬とから色相良好かつ堅牢な拡散性色素を形成する方法を提供することにある。本発明の第三の目的は、このようなカプラーと発色現像主薬を含むハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の手段によって達成された。
支持体上に設けられた少なくとも一層の親水性コロイド層中に下記一般式(I)で表される少なくとも一種のカプラーおよび下記一般式(II)で表される少なくとも一種の発色現像主薬を含有することを特徴とするカラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料。
【0007】
【化3】
【0008】
一般式(I)中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ水素原子または置換基を表す。Xは水素原子、アルキル基、アリール基、スルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールオキシ基、シアノ基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基を表す。Gはアリールオキシ基、アリールチオ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、またはアリールオキシカルボニルオキシ基を表す。
【0009】
【化4】
【0010】
一般式(II)中、Zはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、QはCとともに不飽和環を形成する原子群を表す。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に述べる。
まずは一般式(I)で表されるカプラーについて詳しく説明する。
本発明に用いられるカプラーは好ましくは耐拡散性であり、現像処理前は耐拡散性であり、現像処理後に拡散性を有するものに変化するものであってもよい。
一般式(I)においてR1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立に好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アリール基、ハロゲン原子、カルバモイルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アリールチオ基、アルキルチオ基を表わす。
更には、R1 〜R3 の少なくとも1つ(より好ましくは2つ以上)が上記の置換基であることが好ましい。
更に具体的に説明すると、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に、好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜30の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、C数2〜30の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニル基(例えばビニル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル等)、C数2〜30のアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等)、C数6〜30のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル等)、C数1〜30のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、C数1〜30のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、C数1〜30のカルボンアミド基(例えば、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、ベンツアミド等)、C数1〜30のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等)、C数1〜30のカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メシルカルバモイル等)、C数0〜30のスルファモイル基(例えば、N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル等)、C数1〜30のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ等)、C数6〜30のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、C数7〜30のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等)、C数2〜30のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、C数1〜30のスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクチルスルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシルデシルスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル等)、C数0〜30のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ等)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、C数1〜30のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、C数6〜30のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、C数1〜30のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。R1 〜R3 はさらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としてはここで挙げた置換基が挙げられる。
【0012】
更に好ましくはR2 はハメットの置換基定数σp値が0.1以下であり、より好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0.0以下であり、その例として前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
上記のR2 はさらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としてはここで挙げた置換基が挙げられる。
なお、ハメットの置換基定数σp、σmについては、例えば稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、「新実験化学講座14・有機化合物の合成と反応V」2605頁(日本化学会編、丸善)、仲矢忠雄著「理論有機化学解説説」217頁(東京化学同人)、ケミカル・レビュー(91巻),165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
【0013】
Xは好ましくはC数1〜30の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、C数6〜30のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリニル等)、C数6〜30のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、C数1〜30のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ等)を表し、より好ましくはXはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシを表わす。Xはさらに置換基を有していてもよく、その置換の例としては、前記R1 、R2 、R3 に記載の置換基が挙げられる。
【0014】
尚、R1 、R2 、R3 およびXのC数の総和は好ましくは0〜30であり、更に好ましくは0〜20であり、最も好ましくは0〜15である。またR1 、R2 およびR3 のいずれかにpKa14(THF/H2 O=6/4での値)以下、好ましくはpKa12以下の解離性基(例えばフェノール性水酸基、メタンスルホンアミド、アセチルアミノスルホニル、カルボキシル、アセチルカルバモイル、メチルカルバモイルスルファモイル、メタンスルホニルスルファモイル)を1つ以上有する方が好ましく、C数の総和が16以上の場合は解離性基を2つ以上有する方が好ましい。
【0015】
Gは好ましくはカプラーに耐拡散性を付与する基であり、現像主薬の酸化体とのカップリング反応により脱離可能な基を表わす。Gの離脱部分の構造としては例えば、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロアリールオキシ基(例えばピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、ヘテロアリールチオ基(例えば、テトラゾリルチオ、1,3,4−チアジアゾリルチオ、1,3,4−オキサゾリルチオ、ベンズイミダゾリルチオ等)、カルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジドデシルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ等)、アシルオキシ基(例えば、シクロヘキシルカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、n−ドデシルオキシカルボニルオキシ、2−ヘキシルデシルオキシカルボニルオキシ等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ等)等である。Gの離脱部分の構造として好ましくは、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基である。
【0016】
Gはカプラーに耐拡散性を付与するために、置換基により置換されてもよく、Gを置換する置換基の例としては前記R1 、R2 およびR3 で記載した置換基が挙げられる。
Gに含まれるC数の総数は好ましくは6〜50であり、更に好ましくは8〜40であり、より好ましくは10〜30である。
【0017】
以下に一般式(I)で表される本発明のカプラーの好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
以下に本発明のカプラーの具体的合成例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)カプラーM−12の合成
下記ルートによりカプラーM−12を合成した。
【0027】
【化13】
【0028】
化合物(2)の合成
アニリン化合物(1)230g(1.376mol )をジメチルアセトアミド690mlに溶解、攪拌し、氷冷下にてメタンスルホニルクロライド157.6g(1.376mol )を添加した。攪拌下ピリジン228.6g(2.89mol )を0〜10℃にて1時間かけて滴下した。反応液を0〜5℃にて2時間攪拌した後、濃塩酸160mlを加え反応液をpH2とした。攪拌下の水4.7リットルに反応液をゆっくり添加し化合物(2)の結晶を析出させた。結晶を濾集、水洗、乾燥し化合物(2)の淡黄色結晶を得た。収量321.1g(収率95.5%)
【0029】
化合物(4)の合成
化合物(2)150g(0.614mol )をジメチルアセトアミド600mlに溶解、攪拌し、0℃にて塩化チオニル219.2g(1.842mol )を50分かけて滴下した後、0〜5℃にて反応液を1時間攪拌した。化合物(3)純度60% 320.1g(0.614mol )をジメチルアセトアミド550mlに懸濁し、酢酸エチル2.2リットルを添加した後、炭酸水素ナトリウム567.6g(6.754mol )を水3リットルに溶解した液を少量ずつ添加した。この化合物(3)の懸濁液に化合物(2)と塩化チオニルの反応液を0℃にて40分かけて添加した。反応液を−5〜0℃にて1時間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し反応液をpH8とした。その後酢酸エチル1リットルを加え抽出した。有機層を水および食塩水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルが残り約1リットルになるまで濃縮した。濃縮中に結晶が析出した。その濃縮後の酢酸エチル懸濁液を0〜5℃にて1時間攪拌後、濾集し化合物(4)の結晶を得た。収量217.3g(収率70.3%)
【0030】
化合物(5)の合成
化合物(4)217.3g(0.432mol )をアセトニトリル870mlに溶解、攪拌し、室温にて四塩化炭素166.6ml(1.726mol )およびトリフェニルホスフィン339.6g(1.295mol )を添加した。反応が進行するにつれ、徐々に反応液温度が上昇したため、一時水冷し反応液温度を50℃以下に保った。室温にて反応液を2時間攪拌した後、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水および食塩水で5回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチル溶液が約2リットルになるまで濃縮した。その酢酸エチル溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン150.3ml(0.863mol )を加え、室温にて1時間攪拌した後、希塩酸水を加え酢酸エチルで抽出した。水および食塩水で5回水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮すると結晶が析出した。濃縮残渣にメタノール2.3リットルを加え、還流下30分間攪拌した。その後、室温にて2時間攪拌した後、結晶を濾集し化合物(5)を得た。収量151.2g(収率72.3%)
【0031】
化合物(6)の合成
水酸化ナトリウム99.7g(2.488mol )を水820mlに溶解、攪拌し、メタノール550mlおよび化合物(5)151.2g(0.311mol )の粉末を添加した。化合物(5)は添加後10分で溶解した。室温にて5時間攪拌後、反応液を攪拌下の水3.6リットルへ添加する。その後濃塩酸250mlを5分間で滴下すると、結晶が析出した。室温にて1時間攪拌後、析出結晶を濾集し、その結晶を十分水洗、乾燥し化合物(6)を得た。収量146.8g(収率100%)
【0032】
M−12の合成
化合物(6)146.8g(0.311モル)をジメチルアセトアミド670mlに溶解、攪拌し、0℃にて塩化チオニル148.2g(1.244mol )を40分かけて滴下した後、−5〜0℃にて1時間攪拌した。
化合物(7)99.8g(0.342mol )を酢酸エチル2リットルに溶解、攪拌し、炭酸水素ナトリウム235.4gと水2.2リットルの懸濁液を添加した。0℃にて化合物(6)と塩化チオニルの反応液を化合物(7)の懸濁液に30分かけて滴下した後、−5〜0℃にて3時間攪拌後、酢酸エチル1リットルおよびテトラヒドロフラン1リットルを加え抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水で洗浄し、さらに水および食塩水で1回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮すると結晶が析出した。濃縮残渣にアセトニトリル1.7リットルを加え還流下30分間攪拌した。その後、室温にて2時間攪拌した後、結晶を濾集しM−12を得た。収量193.7g(収率83.5%、mp198〜200℃)
【0033】
次に本発明で使用する一般式(II)で表される化合物について詳しく述べる。一般式(II)においてZはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基を表す。この中でカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
カルバモイル基としては、炭素数1〜50のカルバモイル基が好ましく、より好ましくは炭素数は1〜40である。
具体的な例としては、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−プロピルカルバモイル基、sec−ブチルカルバモイル基、n−オクチルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基、tert−ブチルカルバモイル基、ドデシルカルバモイル基、3−ドデシルオキシプロピルカルバモイル基、オクタデシルカルバモイル基、3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピルカルバモイル基、2−ヘキシルデシルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、4−ドデシルオキシフェニルカルバモイル基、2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基、3−ピリジルカルバモイル基、3,5−ビス−オクチルオキシカルボニルフェニルカルバモイル基、3,5−ビス−テトラデシルオキシフェニルカルバモイル基、ベンジルオキシカルバモイル基、2,5−ジオキソ−1−ピロリジニルカルバモイル基が挙げられる。
【0034】
アシル基としては、炭素数1〜50のアシル基が好ましく、より好ましくは炭素数は1〜40である。具体的な例としては、ホルミル基、アセチル基、2−メチルプロパノイル基、シクロヘキシルカルボニル基、n−オクタノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、ドデカノイル基、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、4−ドデシルオキシベンゾイル基、2−ヒドロキシメチルベンゾイル基、3−(N−ヒドロキシ−N−メチルアミノカルボニル)プロパノイル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基としては炭素数2〜50のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、より好ましくは炭素数は2〜40である。具体的な例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル基、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル基、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
【0035】
QはCとともに不飽和の環を形成する原子群を表すが、形成される不飽和の環は3〜8員環が好ましく、より好ましくは5〜6員環である。この例としてはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましく用いられる。
さらにこれらの環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、炭素数1〜50の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、炭素数2〜50の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニル基(例えばビニル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル等)、総炭素数2〜50のアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等)、炭素数6〜50のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル等)、炭素数1〜50のアシルオキシ基(例えば、
【0036】
アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、炭素数1〜50のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、炭素数1〜50のカルボンアミド基(例えば、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、ベンツアミド等)、炭素数1〜50のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等)、炭素数1〜50のカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メシルカルバモイル等)、炭素数0〜50のスルファモイル基(例えば、N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル等)、炭素数1〜50のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ等)、炭素数6〜50のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、炭素数7〜50のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等)、
【0037】
炭素数2〜50のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、炭素数1〜50のN−アシルスルファモイル基(例えば、N−テトラデカノイルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル等)、炭素数1〜50のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクチルスルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシルデシルスルホニル等)、炭素数6〜50のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル等)、炭素数2〜50のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等)、炭素数7〜50のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)、炭素数0〜50のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ等)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、炭素数1〜50のアルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、オクタンスルフィニル等)、炭素数6〜50のアリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル、4−クロロフェニルスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、炭素数1〜50のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、炭素数6〜50のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、炭素数1〜50のウレイド基(例えば、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイド、1,3−ジフェニルウレイド等)、炭素数2〜50のヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環で、例えば、2−フリル、2−ピラニル、2−ピリジル、2−チエニル、2−イミダゾリル、モルホリノ、2−キノリル、2−ベンツイミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等)、炭素数1〜50のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル等)、炭素数0〜50のスルファモイルアミノ基(例えば、N−ブチルスルファモイルアミノ、N−フェニルスルファモイルアミノ等)、炭素数3〜50のシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、トリフェニルシリル等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)が挙げられる。上記の置換基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としてはここで挙げた置換基が挙げられる。
【0038】
置換基の炭素数に関しては50以下が好ましく、より好ましくは42以下である。また、QとCで形成される不飽和の環およびその置換基の炭素原子の総数は30以下が好ましく、24以下がより好ましく、18以下が最も好ましい。
以上のQとCで形成される環の置換基はその環が炭素原子のみで形成される場合(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環など)にはすべての置換基についてハメットの置換基定数σ値(Cに対して1,2、1,4、…の関係にある時にはσp値を、Cαに対して1,3、1,5、…の関係にある時はσmを用いる。)の総和は0.8以上であり、より好ましくは1.2以上であり、最も好ましくは1.5以上である。
QとCで形成される環が複素環の場合にはσp値で正の値を有する置換基を1つ以上有するものが好ましい。
なお、ハメットの置換基定数σp、σmについては、例えば稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、「新実験化学講座14・有機化合物の合成と反応V」2605頁(日本化学会編、丸善)、仲矢忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル・レビュー(91巻),165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
つぎに一般式(II)で表される発色現像主薬を具体的に示すが、本発明の範囲はこれら具体例に限定されるものではない。
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】
【化20】
【0046】
【化21】
【0047】
【化22】
【0048】
【化23】
【0049】
【化24】
【0050】
【化25】
【0051】
【化26】
【0052】
【化27】
【0053】
次に本発明の化合物の一般的な合成法を示す。本発明で用いられる化合物のうち、代表的な合成例を以下に示す。他の化合物も以下の例と同様にして合成することができる。
合成例1.例示化合物(5)の合成
下記合成経路により合成した。
【0054】
【化28】
【0055】
化合物(A−2)の合成
1,2−ジクロロ−4,5−ジシアノベンゼン(A−1)(CAS Registry No.139152-08-2) 53.1gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.1リットルに溶解し、メチルメルカプタンナトリウム塩水溶液(15%)268gを室温にて1時間かけて滴下し、さらに、60℃にて1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、水に注ぎ、30分攪拌した。生成した白色固体を濾集して、水洗し、乾燥した。収量46.5g 収率78.1%
化合物(A−3)の合成
化合物(A−2)41.1gを酢酸400mlに懸濁させ、過マンガン酸カリウム89.3gを水400mlに溶解したものを、水冷下、1時間かけて滴下した。室温にて一晩放置後、水2リットルおよび、酢酸エチル2リットルを加え、セライト濾過した。濾液を分液し、有機層を水、ハイドロサルファイトナトリウム水溶液、重曹水、食塩水で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去し、残渣に酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒を加えて晶析し、29.4gの化合物(A−3)を白色固体として得た。収率55.0%
化合物(A−4)の合成
化合物(A−3)29.4gをジメチルスルホキシド(DMSO)200mlに溶解し、ヒドラジン一水和物8.7gを水冷下15分かけて滴下し、さらに水冷下で10分攪拌した。反応液を水に注ぎ、生成した黄色固体を濾集して水洗し、乾燥した。収量17.4g、収率70.9%
【0056】
例示化合物(5)の合成
化合物(A−4)11.8gをテトラヒドロフラン50mlに溶解し、室温で30分かけてプロピルイソシアナート4.7gを滴下し、さらに1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩酸水、食塩水で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒(1:10)から晶析し、例示化合物(5)を白色固体として14.5g得た。収率90.2%
合成例2.例示化合物(2)の合成
下記合成経路により合成した。
【0057】
【化29】
【0058】
化合物(A−5)の合成
化合物(A−1)84.7gおよび炭酸カリウム89.8gをDMF600mlに懸濁し、2−メチルブチルメルカプタン60.3mlを室温にて1時間かけて滴下した。さらに、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、10分間攪拌した。生成した白色固体を濾集して水洗し、乾燥した。収量100.8g、収率88.5%
化合物(A−6)の合成
化合物(A−5)98.0gを酢酸500mlおよび水500mlに懸濁させ、過マンガン酸カリウム88.5gを水500mlに溶解したものを室温にて1時間かけて滴下した。さらに室温にて2時間攪拌した。水2リットルおよび酢酸エチル2リットルを加え、セライト濾過した。濾液を分取し、有機層を水、ハイドロサルファイト水溶液、重曹水、食塩水で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去し、残渣にイソプロピルアルコールを加えて晶析し、53.2gの化合物(A−6)を白色固体として得た。(収率48.4%)
化合物(A−7)の合成
化合物(A−6)50.5gをDMSO100mlに溶解し、氷冷下、ヒドラジン一水和物17.0gを10分間かけて滴下し、さらに室温で30分間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。溶離液として塩化メチレンを用いた。酢酸エチル−ヘキサン(1:2)で晶析し、化合物(A−7)を黄色固体として31.4g得た。収率63.2%
【0059】
化合物(A−9)の合成
化合物(A−8)(CAS Registry No.51461-11-1) 44.5gを酢酸エチル500mlに溶解し、重曹25gを溶解した水500mlを添加した。この溶液に室温にて30分間かけてクロロ炭酸フェニル16.4gを滴下し、さらに1時間攪拌した。反応混合物を分液し、有機層を食塩水で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を留去し、化合物(A−9)54.0gを淡黄色油状物として得た。収率95.6%
例示化合物(2)の合成
化合物(A−7)5.8g、化合物(A−9)11.3g、DMAP(N,N−ジメチルアミノピリジン)0.60gをアセトニトリル100mlに溶解し、60℃にて3時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を重曹水、塩酸水、食塩水で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)、ヘキサンから晶析し、例示化合物(2)8.0gを白色固体として得た。収率52.4%
合成例3.例示化合物(1)の合成
下記合成経路により合成した。
【0060】
【化30】
【0061】
例示化合物(1)の合成
トリホスゲン4.6gをTHF100mlに溶解し、化合物(A−10)(CASRegistry No. 61053-26-7)13.6gを室温にて10分間かけて滴下し、さらにトリエチルアミン18.7mlを室温にて10分間かけて滴下した。30分間反応し、化合物(A−11)の溶液とした。この反応液に化合物(A−7)13.0gを室温で10分間かけて分割添加した。さらに1時間攪拌したのち、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を重曹水、塩酸水、食塩水で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチル/ヘキサン=1/10混合液から晶析し、例示化合物(1)を白色固体として得た。収量17.0g、収率61.3%
合成例4.例示化合物(37)の合成
下記合成経路により合成した。
【0062】
【化31】
【0063】
化合物(A−14)(欧州特許第545491A1号に記載)6.0gおよび化合物(A−9)14.98g、DMAP0.5gを用いて合成例2と同様に合成し、例示化合物(37)を白色固体として得た。収量12.0g(収率65.3%)
合成例5.例示化合物(36)の合成
化合物(A−10)5.8gから合成例3と同様にして調製した化合物(A−11)と化合物(A−14)4.3gを用いて合成例3と同様の方法で合成し、例示化合物(36)を白色固体として得た。収量6.7g(収率61.5%)
本発明に好ましく用いられるカプラーは好ましくは耐拡散性であり、後述するブロックされた写真用試薬として記載した方法を用いて、現像処理前は耐拡散性であり、現像処理後に拡散性を有するものに変化するものであってもよい。
この例を以下に列挙する。
本発明のカプラーと併用する事が好ましいカプラーとしては、以下の一般式(1)〜(12)に記載するような構造の化合物がある。これらはそれぞれ一般に活性メチレン、ピラゾロン、ピラゾロアゾール、フェノール、ナフトール、ピロロトリアゾールと総称される化合物であり、当該分野で公知の化合物である。
【0064】
【化32】
【0065】
【化33】
【0066】
【化34】
【0067】
一般式(1)〜(4)は活性メチレン系カプラーと称されるカプラーを表し、式中R14は置換基を有しても良いアシル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロ環残基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0068】
一般式(1)〜(3)において、R15は置換基を有しても良いアルキル基、アリール基またはヘテロ環残基である。一般式(4)においてR16は置換基を有しても良いアリール基またはヘテロ環残基である。R14、R15、R16が有しても良い置換基としては、QとCで形成される環上の置換基の例として先に記載したものを挙げることができる。
【0069】
一般式(1)〜(4)において、Yは好ましくはカプラーに耐拡散性を付与する基であり、現像主薬の酸化体とのカップリング反応により脱離可能な基である。Yの離脱部分の構造の例として、ヘテロ環基(ヘテロ原子としては窒素、酸素、イオウ等を少なくとも一個含み、飽和または不飽和の5〜7員環の単環もしくは縮合環であり、例としては、スクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2,4−ジオン、イミダゾリジン−2−オン、オキサゾリン−2−オン、チアゾリン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリン、パラバン酸、1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン、2−イミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、ピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ等)、アシルオキシ基(例えば、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ等)、アルコキシ基、カルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジドデシルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、ヘテロ環チオ基(例えば、テトラゾリルチオ、1,3,4−チアジアゾリルチオ、1,3,4−オキサジアゾリルチオ、ベンツイミダゾリルチオ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ等)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ等)、スルホンアミド基(例えば、ドデシルスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル等)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル等)、カルバモイルアミノ基(例えば、N−ヘキサデシルカルバモイルアミノ等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、n−ドデシルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシカルボニルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシカルボニルオキシ基、2−オクチルドデシルオキシカルボニルオキシ基、2−(2,4−t−ペンチルフェノキシ)エトキシカルボニルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、n−ヘキシルスルホニルオキシ基、n−ドデシルスルホニルオキシ基、3−(2,4−t−ペンチルフェノキシ)プロピルスルホニルオキシ基、n−ヘキサデシルスルホニルオキシ基)、カルボンアミド基(例えば、ウンデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキサノイルアミノ基、2−ヘキシルデカノイルアミノ基、2−(2,4−t−ペンチルフェノキシ)ブタノイルアミノ基、3−ペンタデシルベンゾイルアミノ基)、アルキルスルホニル基(例えば、n−ヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、2−ヘキシルデシルスルホニル基、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル基、n−ヘキサデシルスルホニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−ヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、2−ヘキシルデシルスルフィニル基、n−ヘキサデシルスルフィニル基、4−ヘキサデシルオキシベンジルスルフィニル基)などである。
この中で好ましいYの離脱部分の構造としてはアリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基であり、最も好ましくはアリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基である。
【0070】
Yはカプラーに耐拡散性を付与するために、置換基により置換されていても良く、Yを置換する置換基の例としては前述のQとCで形成される環上の置換基の例として先に記載したものを挙げることができる。Yに含まれる炭素原子の総数は6以上50以下が好ましく、8以上40以下がさらに好ましく、10以上30以下が最も好ましい。
一般式(1)〜(4)において、R14とR15、R14とR16は互いに結合して、好ましくは5〜7員環、より好ましくは5〜6員環を形成しても良い。
【0071】
一般式(5)は5−ピラゾロン系カプラーと称されるカプラーを表し、式中R17はアルキル基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基を表す。R18はフェニル基または1個以上のハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはアシルアミノ基が置換したフェニル基を表す。一般式(5)で表される5−ピラゾロン系カプラーの中でもR17がアリール基またはアシル基、R18が1個以上のハロゲン原子が置換したフェニル基のものが好ましい。
これらの好ましい基について詳しく述べると、R17はフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−クロロ−5−テトラデカンアミドフェニル基、2−クロロ−5−(3−オクタデセニル−1−スクシンイミド)フェニル基、2−クロロ−5−オクタデシルスルホンアミドフェニル基または2−クロロ−5−〔2−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシ)テトラデカンアミド〕フェニル基等のアリール基またはアセチル基、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブタノイル基、ベンゾイル基、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシアセトアミド)ベンゾイル基等のアシル基であり、これらの基はさらに置換基を有しても良く、それらは炭素原子、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子で連結する有機置換基またはハロゲン原子である。Yについては前述したものと同じ意味である。
R18は2,4,6−トリクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−クロロフェニル基等の置換フェニル基が好ましい。
一般式(6)はピラゾロアゾール系カプラーと称されるカプラーを表し、式中、R19は水素原子または置換基を表す。Q3 は窒素原子を2〜4個含む5員のアゾール環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、該アゾール環は置換基(縮合環を含む)を有しても良い。
【0072】
一般式(6)で表されるピラゾロアゾール系カプラーの中でも、発色色素の分光吸収特性の点で、米国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、米国特許第4,500,654号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕−1,2,4−トリアゾール類、米国特許第3,725,067号に記載のピラゾロ〔5,1−c〕−1,2,4−トリアゾール類が好ましい。
置換基R19、Q3 で表されるアゾール環の置換基の詳細については、例えば、米国特許第4,540,654号明細書中の第2カラム第41行〜第8カラム第27行に記載されている。好ましくは特開昭61−65245号に記載されているような分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール基の2、3または6位に直結したピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−65245号に記載されている分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されているアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラー、特開昭62−209457号もしくは同63−307453号に記載されている6位にアルコキシ基やアリールオキシ基を持つピラゾロトリアゾールカプラー、および特開平2−201443号に記載されている分子内にカルボンアミド基を持つピラゾロトリアゾールカプラーである。Yに関しては前述したものと同じ意味を表す。
【0073】
一般式(7)、(8)はそれぞれフェノール系カプラー、ナフトール系カプラーと称されるカプラーであり、式中、R20は水素原子または−CONR22R23、−SO2 NR22R23、−NHCOR22、−NHCONR22R23、−NHSO2 NR22R23から選ばれる基を表す。R22、R23は水素原子または置換基を表し、好ましくはR22R23はアルキル、アリールまたはヘテロ環を表し、これらはお互いに環を形成しても良い。R22R23はさらに置換基によって置換されてもよい。置換基の例としては前記QとCで形成される環の置換基の例として述べたものが挙げられる。一般式(7)、(8)において、R21は置換基を表し、1は0〜2から選ばれる整数、mは0〜4から選ばれる整数を表す。l、mが2以上の時にはR21はそれぞれ異なっていても良い。R21の置換基としては前記QとCで形成される環の置換基の例として述べたものが挙げられ、R21は更に今述べた置換基によって置換されてもよい。Yに関しては前述のものと同じ意味を表す。
一般式(7)で表されるフェノール系カプラーの好ましい例としては、米国特許第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号等に記載の2−アシルアミノ−5−アルキルフェノール系、米国特許第2,772,162号、同第3,758,308号、同第4,126,396号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,329,729号、特開昭59−166956号等に記載の2,5−ジアシルアミノフェノール系、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,451,559号、同第4,427,767号等に記載の2−フェニルウレイド−5−アシルアミノフェノール系を挙げることができる。Yに関しては前述したものと同じである。
【0074】
一般式(8)で表されるナフトールカプラーの好ましい例としては、米国特許第2,474,293号、同第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,282,233号、同第4,296,200号等に記載の2−カルバモイル−1−ナフトール系および米国特許第4,690,889号等に記載の2−カルバモイル−5−アミド−1−ナフトール系等を挙げることができる。Yに関しては前述したものと同じである。
一般式(9)〜(12)はピロロトリアゾールと称されるカプラーであり、R32、R33、R34は水素原子または置換基を表す。Yについては前述したとおりである。R32、R33、R34の置換基としては、前記QとCで形成される環の置換基の例として述べたものが挙げられる。一般式(9)〜(12)で表されるピロロトリアゾール系カプラーの好ましい例としては、欧州特許第488,248A1号、同第491,197A1号、同第545,300号に記載のR32、R33の少なくとも一方が電子吸引性基であるカプラーが挙げられる。Yに関しては前述したものと同じである。
その他、縮環フェノール、イミダゾール、ピロール、3−ヒドロキシピリジン、その他の活性メチレン、活性メチン、5,5−縮環複素環、5,6−縮環複素環といった構造を有するカプラーであって、離脱基が耐拡散性のものが使用できる。
【0075】
縮環フェノール系カプラーとしては米国特許第4,327,173号、同第4,564,586号、同第4,904,575号等に記載のカプラーを使用できる。
イミダゾール系カプラーとしては、米国特許第4,818,672号、同第5,051,347号等に記載のカプラーが使用できる。
3−ヒドロキシピリジン系カプラーとしては特開平1−315736号等に記載のカプラーが使用できる。
活性メチレン、活性メチン系カプラーとしては米国特許第5,104,783号、同第5,162,196号等に記載のカプラーが使用できる。
5,5−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾール系カプラー、特開平4−174429号に記載のピロロイミダゾール系カプラー等が使用できる。
5,6−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリミジン系カプラー、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジン系カプラー、欧州特許第556,700号に記載のカプラー等が使用できる。
【0076】
本発明には前述のカプラー以外に、西独特許第3,819,051A号、同第3,823,049号、米国特許第4,840,883号、同第5,024,930号、同第5,051,347号、同第4,481,268号、欧州特許第304,856A2号、同第329,036号、同第354,549A2号、同第374,781A2号、同第379,110A2号、同第386,930A1号、特開昭63−141055号、同64−32260号、同64−32261号、特開平2−297547号、同2−44340号、同2−110555号、同3−7938号、同3−160440号、同3−172839号、同4−172447号、同4−179949号、同4−182645号、同4−184437号、同4−188138号、同4−188139号、同4−194847号、同4−204532号、同4−204731号、同4−204732号等に記載されているカプラーも使用できる。
本発明で用いられるカプラーにおいて、Yを除く部分の炭素原子の総数は1以上30以下が好ましく、1以上24以下がより好ましく、1以上18以下が最も好ましい。
本発明に使用できるカプラーの具体例を以下に示すが、本発明はもちろんこれによって限定されるわけではない。
【0077】
【化35】
【0078】
【化36】
【0079】
【化37】
【0080】
【化38】
【0081】
【化39】
【0082】
【化40】
【0083】
【化41】
【0084】
【化42】
【0085】
【化43】
【0086】
【化44】
【0087】
【化45】
【0088】
【化46】
【0089】
【化47】
【0090】
【化48】
【0091】
【化49】
【0092】
本発明で使用する一般式(I)で表されるカプラーの添加量は、生成する色素のモル吸光係数(ε)にもよるが、反射濃度で1.0以上の画像濃度を得るためには、カップリングにより生成する色素のεが5000〜500000程度のカプラーの場合、塗布量として0.001〜100ミリモル/m2程度、好ましくは0.01〜10ミリモル/m2、さらに好ましくは0.05〜5ミリモル/m2程度が適当である。その他のカプラーについても同様である。
本発明の発色現像主薬の添加量としては、一般式(I)のカプラーに対して0.01〜100倍、好ましくは0.1〜10倍、さらに好ましくは0.2〜5倍である。また、その他のカプラーに対しても同様である。
本発明においては補助現像主薬を用いることが好ましい。ここで補助現像主薬とはハロゲン化銀現像の現像過程において、発色現像主薬からハロゲン化銀への電子の移動を促進する作用を有する物質を意味し、本発明における補助現像主薬は好ましくは一般式(B−1)または一般式(B−2)で表されるケンダール−ペルツ則に従う電子放出性の化合物である。この中で(B−1)で表されるものが特に好ましい。
【0093】
【化50】
【0094】
一般式(B−1)、(B−2)において、R51〜R54は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
R55〜R59は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、シリル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルカンスルホニルオキシ基、アレーンスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アレーンスルフィニル基、アルカンスルホニル基、アレーンスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスフィノイル基、ホスフィノイルアミノ基を表す。
qは0〜5の整数を表し、qが2以上のときにはR55はそれぞれ異なっていても良い。R60はアルキル基、アリール基を表す。
一般式(B−1)または(B−2)で表される化合物を具体的に示すが、本発明に用いられる補助現像主薬はこれら具体例に限定されるものではない。
【0095】
【化51】
【0096】
【化52】
【0097】
【化53】
【0098】
本発明においては一般式(A)で表されるような処理時に写真的に有用な基を放出するブロックされた写真用試薬を用いることができる。
【0099】
一般式(A)
A−(L)n −PUG
Aは現像処理時に(L)n −PUGとの結合が開裂するブロック基を表し、Lは一般式(A)におけるLの左側の結合が開裂した後、Lの右側の結合が開裂する連結基を表し、nは0〜3の整数を表し、PUGは写真有用基を表す。
以下に一般式(A)で表される基について説明する。
Aで表されるブロック基としては、すでに知られている以下のものを適用できる。すなわち、特公昭48−9968号、特開昭52−8828号、同57−82834号、米国特許第3,311,476号、および特公昭47−44805号(米国特許第3,615,617号)等に記載されているアシル基、スルホニル基等のブロック基、特公昭55−17369号(米国特許第3,888,677号)、同55−9696号(米国特許第3,791,830号)、同55−34927号(米国特許第4,009,029号)、特開昭56−77842号(米国特許第4,307,175号)、同59−105640号、同59−105641号、および同59−105642号等に記載されている逆マイケル反応を利用するブロック基、特公昭54−39727号、米国特許第3,674,478号、同3,932,480号、同3,993,661号、特開昭57−135944号、同57−135,945号(米国特許第4,420,554号)、同57−136640号、同61−196239号、同61−196240号(米国特許第4,702,999号)、同61−185743号、同61−124941号(米国特許第4,639,408号)および特開平2−280140号等に記載されている分子内電子移動によりキノンメチドまたはキノンメチド類似の化合物の生成を利用するブロック基、
【0100】
米国特許第4,358,525号、同4,330,617号、特開昭55−53330号(米国特許第4,310,612号)、同59−121328号、同59−218439号、および同63−318555号(欧州公開特許第0295729号)等に記載されている分子内求核置換反応を利用するブロック基、特開昭57−76541号(米国特許第4,335,200号)、同57−135949号(米国特許第4,350,752号)、同57−179842号、同59−137945号、同59−140445号、同59−219741号、同59−202459号、同60−41034号(米国特許第4,618,563号)、同62−59945号(米国特許第4,888,268号)、同62−65039号(米国特許第4,772,537号)、同62−80647号、特開平3−236047号および同3−238445号等に記載されている5員または6員環の環開裂を利用するブロック基、特開昭59−201057号(米国特許第4,518,685号)、同61−95346号(米国特許第4,690,885号)、同61−95347号(米国特許第4,892,811号)、特開昭64−7035号、特開昭64−42650号(米国特許第5,066,573号)、特開平1−245255号、同2−207249号、同2−235055号(米国特許第5,118,596号)および同4−186344号等に記載されている共役不飽和結合への求核剤の付加反応を利用するブロック基、
【0101】
特開昭59−93442号、同61−32839号、同62−163051号および特公平5−37299号等に記載されているβ−脱離反応を利用するブロック基、特開昭61−188540号に記載されているジアリールメタン類の求核置換反応を利用したブロック基、特開昭62−187850号に記載されているロッセン転位反応を利用したブロック基、特開昭62−80646号、同62−144163号および同62−147457号に記載されているチアゾリジン−2−チオンのN−アシル体とアミン類との反応を利用したブロック基、特開平2−296240号(米国特許第5,019,492号)、同4−177243号、同4−177244号、同4−177245号、同4−177246号、同4−177247号、同4−177248号、同4−177249号、同4−179948号、同4−184337号、同4−184338号、国際公開特許92/21064号、特開平4−330438号、国際公開特許93/03419号および特開平5−45816号に記載されている、2個の求電子基を有して二求核剤と反応するブロック基、特開平3−236047号および同3−238445号を挙げることができる。
【0102】
一般式(A)で表される化合物においてLで表される基は現像処理時Aで表される基より離脱した後、(L)n-1−PUGを開裂することが可能な連結基であればどんなものであっても良い。例えば、米国特許第4,146,396号、同第4,652,516号または同4,698,297号に記載のあるヘミアセチルタール環の開裂を利用する基、米国特許第4,248,962号、同第4,847,185号または同第4,857,440号に記載のある分子内求核置換反応を起こさせるタイミング基、米国特許第4,409,323号もしくは同第4,421,845号に記載のある電子移動反応を利用して開裂反応を起こさせるタイミング基、米国特許第4,546,073号に記載のあるイミノケタールの加水分解反応を利用して開裂反応を起こさせる基、西独公開特許第2,626,317号に記載のあるエステルの加水分解反応を利用して開裂反応を起こさせる基、または欧州特許第0572084号に記載の亜硫酸イオンとの反応を利用して開裂反応を起こさせる基が挙げられる。
一般式(A)におけるPUGは現像抑制剤、写真用染料、前記の補助現像主薬、現像促進剤などの還元剤または退色防止剤などの写真的に有用な基を表す。
本発明で用いる発色現像主薬およびカプラーの使用量は各々広い範囲で変えることができるが、通常銀1モル当たり0.01〜4モルの範囲で使用される。
【0103】
本発明で用いる発色現像主薬、カプラーおよび以下に述べる画像形成促進剤などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により、感光材料の層中に導入することができる。発色現像主薬とカプラーは別層でもよいが同一層が好ましく、同一層の場合にはハロゲン化銀乳剤層に導入するのが好ましい。補助現像主薬は写真構成層のどの層に添加してもよいが、中間層や保護層などのハロゲン化銀乳剤を含む層の隣接層が好ましい。これらの化合物を写真構成層に導入する場合には、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178452号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。
高沸点有機溶媒の量は用いられる発色現像主薬とカプラーの総量1gに対して10g以下、好ましくは5g以下である。
また、特公昭51−39853号、特開昭51−59943号に記載されている重合物による分散法も使用できる。
水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記の方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。
疎水性物質を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁に界面活性剤として記載されたものを使うことができる。
本発明の発色現像主薬とカプラーは室温付近で処理液を使って現像されるカラー拡散転写法用の感光要素に使用することもできるし、加熱によって現像される熱現像感光要素に使用することもできる。
【0104】
上記の感光要素に使用しうるハロゲン化銀は、塩化銀、臭化銀あるいは塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀のいずれでもよい。
具体的には、米国特許第4,500,626号第50欄、リサーチ・ディスクロージャー誌1978年6月号9〜10頁(RD17029)、特開昭61−107240号、同62−85241号、同62−87957号等に記載されているハロゲン化銀乳剤のいずれもが使用できる。
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤は、主として潜像が粒子表面に形成される表面潜像型であっても、粒子内部に形成される内部潜像型であってもよい。また粒子内部と粒子表層が異なる層を持ったいわゆるコア/シェル乳剤であってもよい。また、本発明では内部潜像型乳剤と造核剤および/または光カブラセとを組み合わせた直接反転乳剤を使用することもできる。
ハロゲン化銀乳剤は未後熟のまま使用してもよいが、通常は化学増感して使用する。通常型感光材料乳剤で公知の硫黄増感法、還元増感法、貴金属増感法などを単独または組み合わせて用いることができる。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭58−126526号、同58−215644号)。
【0105】
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀の塗設量は、銀換算1mgないし10g/m2の範囲である。
本発明に用いられるハロゲン化銀は、メチン色素その他によって分光増感されてもよい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。
具体的には、特開昭59−180550号、同60−140335号、リサーチ・ディスクロージャー誌1978年6月号12〜13頁(RD−17029)等に記載の熱脱色性の増感色素が挙げられる。
【0106】
本発明の感光材料は一般式(I)の化合物と共にイエロー、マゼンタ、シアンに発色する前記のカプラーを併用する。これらのカプラーについては公知のカプラーを2種以上組み合わせて使用して用いることができる。
さらに本発明の発色現像主薬とカプラーを、後述する色素現像主薬やレドックス反応により拡散性色素を放出する化合物などの公知の色素供与性化合物を同一写真要素内に組み合わせて使用することができる。例えば、イエローとシアンの画像形成を本発明の発色現像主薬とカプラーによって行い、マゼンタの画像形成は他の色素画像形成化合物で行う方法を用いることができる。
本発明に併用することができる色素画像形成化合物として、まず、公知の現像薬およびそれと反応しうるカプラーの組み合わせを挙げることができる。このカプラーを利用する方式は、銀塩と現像薬の酸化還元反応によって生じた現像薬の酸化体がカプラーと反応して色素を形成するものであり、多数の文献に記載されている。このカプラーは4当量カプラーでも、2当量カプラーでもよい。また、耐拡散基を脱離基に持ち、現像薬の酸化体との反応により拡散性色素を生成する2当量カプラーも好ましい。現像薬およびカプラーの具体例はジェームズ著「ザセオリー オブ ザ フォトグラフィック プロセス」第4版(T.H.James“The Theory of the Photographic Process”291〜334頁および354〜361頁、特開昭58−123533号、同58−149046号、同58−149047号、同59−111148号、同59−124399号、同59−174835号、同59−231539号、同59−231540号、同60−2950号、同60−2951号、同60−14242号、同60−23474号、同60−66249号等に詳しく記載されている。
【0107】
また、有機銀塩と色素を結合した色素銀化合物も色素画像形成化合物の例に挙げることができる。色素銀化合物の具体例はリサーチ・ディスクロージャー誌1978年5月号、54〜58頁(RD−16966)等に記載されている。
【0108】
また、熱現像銀色素漂白法に用いられるアゾ色素も色素画像形成化合物の例に挙げることができる。アゾ色素の具体例および漂白の方法は米国特許第4,235,957号、リサーチ・ディスクロージャー誌1976年4月号30〜32頁(RD−14433)等に記載されている。また、米国特許第3,985,565号、同4,022,617号等に記載されているロイコ色素も色素供与性物質の例に挙げることができる。
【0109】
また、別の色素画像形成化合物の例として、画像状に拡散性色素を放出ないし拡散する機能を持つ化合物を挙げることができる。
この型の化合物は次の一般式〔LI〕で表すことができる。
(Dye−X)n −Y 〔LI〕
Dyeは公知の色素基または一時的に短波化された色素基または色素前駆体基を表し、Xは単なる結合または連結基を表し、Yは画像状に潜像を有する感光性銀塩に対応または逆対応して(Dye−X)n −Yで表される化合物の拡散性に差を生じさせるか、またはDyeを放出し、放出されたDyeと(Dye−X)n −Yとの間に拡散性において差を生じさせるような性質を有する基を表す。nは1または2を表し、nが2の時、2つのDye−Xは同一でも異なっていてもよい。
【0110】
一般式〔LI〕で表される色素供与性物質の具体例としては、例えば、ハイドロキノン系現像薬と色素成分を連結した色素現像薬が米国特許第3,134,764号、同3,362,819号、同3,597,200号、同3,544,545号、同3,482,972号等に記載されている。また、分子内求核置換反応により拡散性色素を放出させる物質が特開昭51−63618号等に、イソオキサゾロン環の分子内巻き換え反応により拡散性色素を放出させる物質が特開昭49−111628号等に記載されている。これらの方式はいずれも現像の起こらなかった部分で拡散性色素を放出または拡散する方式であり、現像の起こったところでは色素は放出も拡散もしない。
また、別の方式としては、色素放出化合物を色素放出能力のない酸化体型にして還元剤もしくはその前駆体と共存させ、現像後、酸化されずに残った還元剤により還元されて拡散性色素を放出する方式も考案されており、そこに用いられる色素画像形成化合物の具体例が特開昭53−110,827号、同54−130,927号、同56−164,342号、同53−35,533号に記載されている。
【0111】
一方、現像の起こった部分で色素を放出させる物質として、拡散性色素を脱離基に持つカプラーと現像薬の酸化体との反応により拡散性色素を放出させる物質が英国特許第1,330,524号、特公昭48−39,165号、米国特許第3,443,940号等に記載されている。
また、これらのカラー現像薬を用いる方式では現像薬の酸化分解物による画像の汚染が深刻な問題となるため、この問題を解決する目的で、現像薬を必要としない、それ自身が還元性を持つ色素放出化合物も考案されている。その代表例は例えば、米国特許第3,928,312号、同第4,053,312号、同第4,055,428号、同第4,336,322号、特開昭59−65839号、同59−69839号、同51−104,343号、リサーチ・ディスクロージャー誌17465号、米国特許第3,725,062号、同第3,728,113号、同第3,443,939号、特開昭58−116537号、同57−179840号、米国特許第4,500,626号等に記載されている色素画像形成化合物である。
【0112】
本発明の感光材料を用いて色素の拡散転写により画像を形成するシステムにおいて、感光材料は感光要素と受像要素(色素固定要素)とが2つの支持体上に個別に塗設される形態と同一の支持体上に塗設される形態とに大別される。
感光要素と色素固定要素相互の関係、支持体との関係、白色反射層との関係は特開昭61−147244号の明細書の58〜59頁や米国特許4,500,626号の第57欄に記載の関係が本発明の感光材料においても適用できる。
【0113】
感光要素と受像要素(色素固定要素)が同一の支持体上に設けられたフィルムユニットの代表的な形態は、一つの透明な支持体上に受像要素と感光要素とが積層されており、転写画像の完成後、感光要素を受像要素から剥離する必要のない形態である。さらに具体的に述べると、受像要素は少なくとも一相の媒染層からなり、また、感光要素の好ましい態様においては青感性乳剤層、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層の組み合わせ、または緑感性乳剤層、赤感性乳剤層、および赤外光感光性乳剤層の組み合わせ、あるいは青感性乳剤層、赤感性乳剤層および赤外光感光性乳剤層の組み合わせと前記の各乳剤層にイエロー色素画像形成化合物(本発明の発色現像主薬とカプラーを含む色素画像形成化合物)、マゼンタ色素画像形成化合物(本発明の発色現像主薬とカプラーを含む色素画像形成化合物)およびシアン色素画像形成化合物(本発明の発色現像主薬とカプラーを含む色素画像形成化合物)がそれぞれ組み合わせて構成される。(ここで「赤外光感光性乳剤層」とは700nm以上、特に740nm以上の光に対して感光性を有する乳剤層をいう。)これらの各感光性乳剤層は必要に応じて2層以上に分割してもよい。そして、該媒染層と感光層あるいは色素画像形成化合物(本発明の発色現像主薬とカプラーを含む色素画像形成化合物)含有層の間には、透明支持体を通して転写画像が鑑賞できるように、酸化チタン等の固体顔料を含む白色反射層が設けられる。明所で現像処理を完成できるようにするために白色反射層と感光層の間にさらに遮光層を設けてもよい。また、所望により感光要素の全部、または一部を受像要素から剥離できるようにするために適当な位置に剥離層を設けてもよい(このような態様は例えば特開昭56−67840号やカナダ特許674,082号に記載されている。)。
【0114】
また、別の剥離不要の形態では一つの透明支持体上に前記の感光要素が塗設され、その上に白色反射層が塗設され、さらにその上に受像層が積層される。同一支持体上に受像要素と白色反射層と剥離層と感光要素とが積層されており、感光要素を受像要素から意図的に剥離する形態については、米国特許第3,730,718号に記載されている。他方、二つの支持体上にそれぞれ感光要素と受像要素が別個に塗設される代表的な形態には大別して二つあり、一つは剥離型であり、他は剥離不要型である。これらについて詳しく説明すると、剥離フィルム・ユニットの好ましい態様では、支持体の裏面に光反射層を有し、そしてその表面にはすくなくとも一層の受像層が塗設されている。また感光要素は遮光層を有する支持体上に塗設されていて、露光終了前は感光層塗布面と媒染層塗布面は向き合っていないが、露光終了後(例えば現像処理中)は感光層塗布面がひっくり返って受像層塗布面と重なりあうように工夫されている。媒染層で転写画像が完成した後は速やかに感光要素が受像要素から剥離される。
また、剥離不要型フィルム・ユニットの好ましい態様では、透明支持体に少なくとも一層の媒染層が塗設されており、また透明または遮光層を有する支持体上に感光要素が塗設されていて、感光層塗布面と媒染層塗布面とが向き合って重ね合わされている。
【0115】
以上述べた形態はいずれもアルカリ処理液で現像する方式にも熱現像方式にも適用出来るが、特に前者の場合にはさらにアルカリ処理液を含有し、圧力で破裂可能な容器(処理要素)が組み合わされていてもよい。なかでも一つの支持体上に受像要素と感光要素が積層された剥離不要型フィルム・ユニットではこの処理要素は感光要素とこの上に重ねられるカバーシートの間に配置されることが好ましい。また、二つの支持体上にそれぞれ感光要素と受像要素が別個に塗設された形態では、遅くとも現像処理時に処理要素が感光要素と受像要素の間に配置されるのが好ましい。処理要素には、フィルム・ユニットの形態に応じて遮光剤(カーボン・ブラックやpHによって色が変化する染料等)および/または白色顔料(酸化チタン等)を含むのが好ましい。さらにアルカリ処理液で現像する方式のフィルム・ユニットでは、中和層と中和タイミング層の組み合わせからなる中和タイミング機構がカバーシート中、または受像要素中、あるいは感光要素中に組み込まれているのが好ましい。
前記の受像要素および後述する色素固定要素に使用される媒染剤としてはポリマー媒染剤が好ましい。ここでポリマー媒染剤とは、三級アミノ基を含むポリマー、含窒素複素環部分を有するポリマー、および四級カチオン基を含むポリマー等である。
この具体例については特開昭61−147244号98〜100頁や米国特許第4,500,626号の第57〜60欄に記載されている。
【0116】
本発明を熱現像感光材料に応用する場合には、ハロゲン化銀とともに、有機金属塩を酸化剤として併用することもできる。この場合、感光性ハロゲン化銀と有機金属塩とは接触状態もしくは接近した距離にあることが必要である。
このような有機金属塩の中、有機銀塩は特に好ましく用いられる。
上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに使用しうる有機化合物としては、特開昭61−107240号の37〜39頁、米国特許第4,500,626号の第52〜53欄等に記載の化合物がある。また、特開昭60−113235号記載のフェニルプロピオール酸銀などのアルキニル基を有するカルボン酸の銀塩や、特開昭61−249044号記載のアセチレン銀も有用である。有機銀塩は2種以上を併用してもよい。
以上の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり、0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の塗布量の合計は銀換算で50mgないし10g/m2が適当である。
以上述べた添加剤については疎水性のものについては米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により、感光材料の層中に導入することができる。この場合には、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178452号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。
【0117】
また、特公昭51−39853号、特開昭51−59943号に記載されている重合物による分散法も使用できる。
水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記の方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。
疎水性物質を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁に界面活性剤として挙げたものを使うことができる。
本発明においては感光要素中に還元性物質も好ましく用いることができる。還元性物質としては一般に還元剤として公知なものの他に、前記の還元性を有する本発明の発色現像主薬を含む色素画像形成化合物も含まれる。また、それ自身は還元性を持たないが、現像過程で求核試薬や熱の作用により還元性を発現する還元剤プレカーサーも含まれる。
本発明に用いられる還元剤の例としては、米国特許第4,500,626号の第49〜50欄、同4,483,914号の第30〜31欄、特開昭60−140335号の第(17)〜(18)頁、特開昭60−128438号、同60−128436号、同60−128439号、同60−128437号等に記載の還元剤が利用できる。また、特開昭56−138736号、同57−40245号、米国特許第4,330,617号等に記載されている還元剤プレカーサーも利用できる。
米国特許第3,039,869号に開示されているもののような種々の還元剤の組み合わせも用いることができる。
【0118】
本発明においては還元剤の添加量は銀1モルに対して0.01〜20モル、特に好ましくは0.1〜10モルである。
本発明においては感光要素に現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化合物を用いることができる。好ましく用いられる具体的な化合物については米国特許第4,500,626号の第51〜52欄に記載されている。
【0119】
本発明においては種々のカブリ防止剤または写真安定剤を使用することができる。その例としては、リサーチ・ディスクロージャー誌1978年12月号第24〜25頁に記載のアゾール類やアザインデン類、特開昭59−168442号記載の窒素を含むカルボン酸類およびリン酸類、あるいは特開昭59−111636号記載のメルカプト化合物およびその金属塩、特開昭62−87957号に記載されているアセチレン化合物などが用いられる。
本発明においては、感光要素に必要に応じて画像調色剤を含有することができる。有効な調色剤の具体例については特開昭61−147244号92〜93頁に記載の化合物がある。
【0120】
本発明に用いられる感光要素は、必要に応じて熱現像感光要素用として知られている各種添加剤や、感光層以外の層、例えば保護層、中間層、帯電防止層、ハレーション防止層、色素固定要素との剥離を容易にするための剥離層、マット層などを有することができる。各種添加剤としてはリサーチ・ディスクロージャー誌1978年6月号9〜15頁、特開昭61−88256号等に記載されている可塑剤、マット剤、鮮鋭度改良用染料、ハレーション防止染料、界面活性剤、蛍光増白剤、スベリ防止剤、酸化防止剤、退色防止剤、拡散性色素トラップ剤などの添加剤がある。
特に保護層には、接着防止のために有機、無機のマット剤を含ませるのが通常である。また、この保護層には媒染剤、紫外線吸収剤を含ませてもよい。保護層、中間層にはそれぞれ2層以上から構成されてもよい。
また、中間層には退色防止や混色防止のための還元剤や紫外線吸収剤、二酸化チタンなどの白色顔料を含ませてもよい。白色顔料は感度を向上させる目的で中間層のみならず乳剤層に添加してもよい。
【0121】
色素固定要素には必要に応じて、保護層、剥離層、カール防止層などの補助層を設けることができる。特に保護層を設けるのは有用である。上記層の1つまたは複数の層には、親水性熱溶剤、可塑剤、退色防止剤、紫外線吸収剤、スベリ剤、マット剤、酸化防止剤、寸度安定性を増加させるための分散状ビニル化合物、界面活性剤、蛍光増白剤などを含ませてもよい。また、特に少量の水存在下に熱現像と色素拡散転写を同時に行うシステムにおいては、色素固定要素に後述する塩基および/または塩基プレカーサーを含有させるのが感光要素の保存性を高める上で好ましい。これらの添加剤の具体例は特開昭61−88256号の101頁〜120頁に記載されている。
【0122】
本発明において感光要素および/または色素固定要素には画像形成促進剤を用いることができる。画像形成促進剤には銀塩酸化剤と還元剤との酸化還元反応の促進、本発明の発色現像主薬とカプラーを含む色素画像形成化合物からの色素の生成または色素の分解あるいは拡散性色素の放出等の反応の促進および、感光要素の構成層から色素固定層への色素の移動の促進等の機能があり、物理化学的な機能からは塩基または塩基プレカーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱溶剤、界面活性剤、銀または銀イオンとの相互作用を持った化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合わせ持っているのが常である。これらの詳細については特開昭61−93451号の67〜71頁に記載されている。
【0123】
本発明において、熱現像処理の場合に用いられる処理素材および処理方法について詳細に説明する。
本発明の感光材料には銀現像および色素形成反応を促進する目的で塩基または塩基プレカーサーを用いることが好ましい。塩基プレカーサーとしては、熱により脱炭酸する有機酸塩と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転移またはベックマン転移によりアミン類を放出する化合物などがある。その具体例は米国特許第4,514,493号、同4,657,848号および公知技術第5号(1991年3月22日、アズテック有限会社発行)の55頁から86頁等に記載されている。また、後述する欧州特許公開210,660号、米国特許第4,740,445号に記載されているような、水に難溶な塩基性金属化合物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)の組み合わせで塩基を発生させる方法でもよい。
塩基または塩基プレカーサーの使用量は0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2である。
【0124】
本発明の感光材料には、熱現像を促進する目的で熱現像カラー感材溶剤を添加してもよい。その例としては、米国特許第3,347,675号および同第3,667,959号に記載されているような極性を有する有機化合物が挙げられる。具体的にはアミド誘導体(ベンツアミド等)、尿素誘導体(メチル尿素、エチレン尿素等)、スルホンアミド誘導体(特公平1−40974号および特公平4−13701号に記載されている化合物等)、ポリオール化合物(ソルビトール類等)、およびポリエチレングリコール類が挙げられる。
熱溶剤が水不溶性の場合は、固体分散物として用いることが好ましい。添加する層は目的に応じ、感光層、非感光層のいずれでもよい。
熱溶剤の添加量は、添加する層のバインダーの10重量%〜500重量%、好ましくは20重量%〜300重量%である。
【0125】
熱現像工程での加熱温度は、約50℃〜250℃であり、好ましくは60℃〜150℃であり、さらに好ましくは70℃〜135℃である。加熱時間は0.1秒〜60秒でが好ましく、より好ましくは0.1秒〜30秒である。
熱現像工程において、加熱現像時に空気を遮断したり、感光材料からの素材の揮散を防止したり、処理用の素材を感光材料に供給したり、現像後に不溶になる感光材料中の素材(イエローフィルター染料、アンチハレーション染料等)あるいは現像時に生成する不溶成分を除去したりするために、感光材料とは別の材料を感光材料の感材面に重ねて加熱してもよい。この場合に用いる処理シートの支持体とバインダーには感光材料と同様のものを用いることができる。
処理シートには、前述の染料の除去その他の目的で、媒染剤を添加してもよい。媒染剤は写真分野で公知のものを用いることができ、米国特許第4,500,626号第58〜59欄や、特開昭61−88256号32〜41頁、特開昭62−244043号、特開昭62−244036号等に記載の媒染剤を挙げることができる。また米国特許第4,463,079号記載の色素受容性の高分子化合物を用いてもよい。
【0126】
処理シートを用いる場合には、塩基または塩基プレカーサーは処理シートに含有させるのが感光材料の生保存性を高める意味で好ましい。また、熱溶剤については、目的に応じて、感光材料、処理シートのいずれに入れてもよいし、両方にいれてもよい。
【0127】
処理シートを用いて熱現像する場合には、現像促進あるいは、処理用素材の転写促進、不要物の拡散促進の目的で、溶媒を用いてもよい。具体的には、米国特許第4,704,245号、同第4,470,445号、特開昭61−238056号等に記載されている。
この方式においては、加熱温度は用いる溶媒の沸点以下が好ましい。例えば溶媒が水の場合は、50℃〜100℃が好ましい。
現像の促進および/または処理用素材の拡散転写のために用いる溶媒の例としては、水、無機のアルカリ金属塩や有機の塩基を含む塩基性の水溶液(これらの塩基としては顔図形性促進剤の項で記載したものが用いられる)、低沸点溶媒または低沸点溶媒と水もしくは前記塩基性水溶液との混合溶液が挙げられる。また、界面活性剤、かぶり防止剤、難溶性金属塩との錯形成化合物、防黴剤、防菌剤を溶媒中に含ませても良い。
これらの熱現像工程で用いられる溶媒としては水が好ましく用いられるが、水としては一般に用いられる水であれば何を用いても良い。具体的には蒸留水、水道水、井戸水、ミネラルウォーター等を用いることができる。また、本発明の感光材料および受像要素を用いる熱現像装置においては、水を使いきりで使用してもよいし、循環して繰り返し使用しても良い。後者の場合、材料から溶出した成分を含む水を使用することになる。また特開昭63−144354号、同63−144355号、同62−38460号、特開平3−210555号等に記載の装置や水を用いても良い。
これらの溶媒は感光材料、処理シートまたはその両者に付与する方法を用いることができる。その使用量は全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の重量以下でよい。
この水を付与する方法としては、例えば特開昭62−253159号(5)頁、特開昭63−85544号等に記載の方法が好ましく用いられる。また、溶媒をマイクロカプセルに閉じ込めたり、水和物の形で予め感光材料もしくは処理シートまたはその両方に内蔵させて用いることもできる。
付与する水の温度は前記特開昭63−85544号等に記載のように30℃〜60℃であればよい。
【0128】
少量の水あるいは溶媒の存在下に熱現像を行う場合、欧州特許公開210,660号、米国特許4,740,445号に記載されているように、水に難溶な塩基性金属化合物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形成しうる化合物(錯形成化合物という)の組み合わせで塩基を発生させる方法を採用するのが効果的である。この場合、水に難溶な塩基性金属化合物は感光材料に、錯形成化合物は処理シートに添加するのが生保存性の点で望ましい。
【0129】
現像工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり、高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
熱現像感光材料と処理シートを重ね合わせる方法は特開昭62−253159号、同61−147244号(27)頁記載の方法が適用できる。
【0130】
本発明の写真要素の処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75247号、同59−177547号、同59−181353号、同60−18951号、実開昭62−25944号、特願平4−277517号、同4−243072号、同4−244693号、同6−164421号、同6−164422号等に記載されている装置などが好ましく用いられる。
また、市販の装置としては富士写真フイルム(株)製ピクトロスタット100、同ピクトロスタット200、同ピクトロスタット300、同ピクトロスタット330、同ピクトロスタット50、同ピクトログラフィー3000、同ピクトログラフィー2000などが使用できる。
【0131】
本発明の感光材料および/または処理シートは加熱現像のための手段としての導電性の発熱体層を有する形態であってもよい。この発明の発熱要素には、特開昭61−145544号等に記載のものを利用できる。
【0132】
本発明の感光要素および/または色素固定要素には現像時の処理温度および処理時間の変動に対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を用いることができる。
ここでいう現像停止剤とは、適性現像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ、現像を停止する化合物または銀および銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起こす親電子化合物、または含窒素複素環化合物、メルカプト化合物およびその前駆体等が挙げられる(例えば特開昭60−108837号、同60−192939号、同60−230133号または同60−230134号に記載の化合物など)。
また、加熱によりメルカプト化合物を放出する化合物も有用であり、例えば特開昭61−67851号、同61−147244号、同61−124941号、同61−185743号、同61−182039号、同61−185744号、同61−184539号、同61−188540号、同61−53632号に記載の化合物がある。
【0133】
本発明の感光要素および/または色素固定要素のバインダーには親水性のものを用いることができる。親水性バインダーとしては、透明か半透明の親水性バインダーが代表的であり、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質、セルロース誘導体やデンプン、アラビアゴム等の多糖類のような天然物質と、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の水溶性のポリビニル化合物のような合成重合物質を含む。また、ラテックスの形で用いられ、写真材料の寸度安定性を増加させる分散状ビニル化合物も使用できる。これらのバインダーは単独であるいは組み合わせて用いることができる。
本発明においてバインダーは1m2当たり20g以下の塗布量であり、好ましくは10g以下、さらに好ましくは7g以下が適当である。
バインダー中に本発明の発色現像主薬とカプラーなどの疎水性化合物と共に分散される高沸点有機溶媒とバインダーとの比率はバインダー1gに対して溶媒1cc以下、好ましくは0.5cc以下、さらに好ましくは0.3cc以下が適当である。
本発明の感光要素および/または色素固定要素の構成層(写真乳剤層、色素固定層など)には無機または有機の硬膜剤を含有してよい。
硬膜剤の具体例は、特開昭61−147244号明細書94頁ないし95頁や特開昭59−157636号第38頁に記載のものが挙げられ、これらは単独または組み合わせて用いることができる。
【0134】
また、色素移動を促進するために、常温では固体であり、高温では溶解する親水性熱溶剤を感光要素または色素固定要素に内蔵させてもよい。親水性熱溶剤は感光要素、色素固定要素のいずれに内蔵させてもよく、両方に内蔵させてもよい。また内蔵させる層も乳剤層、中間層、保護層、色素固定層のいずれでもよいが、色素固定層および/またはその隣接層に内蔵させるのが好ましい。親水性熱溶剤の例としては、尿素類、ピリジン類、アミド類、スルホンアミド類、イミド類、アルコール類、オキシム類その他の複素環類がある。また、色素移動を促進するために、高沸点有機溶剤を感光要素および/または色素固定要素に含有させておいてもよい。
本発明の感光要素および/または色素固定要素に使用される支持体は、処理温度に耐えることのできるものである。一般的な支持体としては、ガラス、紙、重合体フィルム、金属およびその類似体が用いられるばかりではなく、特開昭61−147244号明細書の95〜96頁に支持体として記載されているものが使用できる。
感光要素および/または色素固定要素は、加熱現像もしくは色素の転写のための加熱手段としての導電性の発熱体層を有する形態であってもよい。
この場合の透明又は不透明の発熱要素は、抵抗発熱体として従来公知の技術を利用して作ることができる。抵抗発熱体としては、半導性を示す無機材料の薄膜を利用する方法と導電性微粒子をバインダーに分散した有機物薄膜を利用する方法とがある。これらの方法に利用できる材料は、特開昭61−29835号明細書等に記載のものを利用することができる。
【0135】
本発明においては熱現像感光層、保護層、中間層、下塗り層、バック層、色素固定層その他の層の塗布方法は米国特許4,500,626号の第55〜56欄に記載の方法が適用できる。
感光要素への画像を記録するための画像露光の光源としては、可視光を含む輻射線を用いることができる。一般には、通常のカラープリントに使われる光源、例えばタングステンランプ、水銀灯、ヨードランプなどのハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー光源、CRT光源、発光ダイオード(LED)等、特開昭61−147244号の100頁や米国特許4,500,626号の第56欄に記載の光源を用いることができる。
本発明が適用される加熱工程を有する画像形成方法においては、例えば、熱現像と色素の転写の工程は独立であってもよいし、同時であってもよい。また、一工程の中で現像に引き続き転写が行われるという意味で連続であってもよい。
例えば、(1)感光要素に画像露光し、加熱したあと、色素固定要素を重ねて、必要に応じて加熱して可動性色素を色素固定要素に転写する方法、(2)感光要素を画像露光し、色素固定要素を重ねて加熱する方法がある。上記(1)、(2)の方法は実質的に水が存在しない状態で実施することもできるし、微量の水の存在下で行うこともできる。
熱現像工程での加熱温度は約50℃〜約250℃で現像可能であるが、特に70℃〜180℃が有用であり、75℃〜150℃が特に有用である。微量の水の存在下で加熱する場合は加熱温度の上限は沸点以下である。転写工程を熱現像工程終了後に行う場合、転写工程での加熱温度は熱現像工程における温度から室温の範囲で転写可能であるが、特に50℃以上で熱現像工程に置ける温度よりも約10℃低い温度までがより好ましい。
【0136】
本発明において好ましい画像形成方法は、画像露光とまたは画像露光と同時に微量の水ならびに塩基および/または塩基プレカーサーの存在下で加熱し、現像と同時に銀画像に対応または逆対応する部分において生成した拡散性色素を色素固定層に移すものである。この方法によれば、拡散性色素の生成ないし放出反応が極めて速く進行し、拡散性色素の色素固定層への移動も速やかに進行するので、高濃度の色画像が短時間で得られる。
この態様で使用する水の量は、感光要素および色素固定層の全塗布膜の重量の少なくとも0.1倍、好ましくは0.1倍以上で該全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の重量以下(特に全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の重量から全塗布膜の重量を差し引いた量以下)という少量でよい。
膨潤時の膜の状態は不安定であり、条件によっては局所的ににじみを生ずるおそれがあり、これを避けるには感光要素と色素固定要素の全塗布膜厚の最大膨潤時の体積に相当する水の量以下が好ましい。具体的には感光要素と色素固定要素の合計の平方メートル当たり1〜50g、特に2〜35g、さらには3〜25gの範囲が好ましい。
この態様において用いる塩基および/または塩基プレカーサーは感光要素にも色素固定要素にも内蔵できる。また水に溶解させて供給することもできる。
上記の態様では、画像形成反応系に、塩基プレカーサーとして、水に難溶性の塩基性金属化合物とこの難溶性金属化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形成反応しうる化合物を含有させ、加熱時にこれらの2つの化合物の反応により、系のpHを上昇させるのが好ましい。ここで画像反応系とは、画像形成反応が起こる領域を意味する。具体的には感光要素と色素固定要素の両方の要素に属する層が挙げられる。2つ以上の層が存在する場合にはそのいずれの層でもよい。
【0137】
難溶性金属化合物と錯形成化合物は、現像処理までに反応するのを防止するために、少なくとも別層に添加する必要がある。例えば、感光要素と色素固定要素とが同一支持体上に設けられているいわゆるモノシート材料では、上記両者の添加層を別層とし、更に間に1層以上の層を介在させるのがよい。また、より好ましい形態は、難溶性金属化合物と錯形成化合物をそれぞれ別の支持体上に設けた層に含有させるものである。例えば、難溶性金属化合物を感光要素に、錯形成化合物を感光要素とは別の支持体を持つ色素固定要素に含有させるのが好ましい。錯形成化合物は、共存させる水の中に溶解させて供給してもよい。難溶性金属化合物は特開昭56−17480号、同53−102733号などに記載の方法で調整された微粒子分散物として含有させるのが望ましく、その平均粒子サイズは50μm以下、特に5μm以下が好ましい。難溶性金属化合物は感光要素の感光層、中間層、保護層などのどの層に添加してもよく、2層以上に分割して添加してもよい。
難溶性金属化合物または錯形成化合物を支持体上の層に含有させる場合の添加量は、化合物種、難溶性金属化合物の粒子サイズ、錯形成反応速度などに依存するが、各々塗布膜を重量に換算して50重量パーセント以下で用いるのが適当であり、さらに好ましくは0.01重量パーセントから40重量パーセントの範囲が有用である。また、錯形成化合物を水の中に溶解して供給する場合には、1リットル当たり、0.005mol から5mol 、特に0.05mol から2mol の濃度が好ましい。さらに、本発明において反応系の錯形成化合物の含有量は難溶性化合物の含有量に対してモル比で1/100倍から100倍、特に1/10から20倍が好ましい。
【0138】
感光層または色素固定層に水を付与する方法としては、例えば、特開昭61−147244号の101頁9行〜102頁4行に記載の方法がある。
現像および/または転写工程における加熱手段としては、熱板、アイロン、熱ローラなどの特開昭61−147244号の102頁14行〜103頁11行に記載の手段がある。また、感光要素および/または色素固定要素に、グラファイト、カーボンブラック、金属等の導電性材料の層を重ねて施しておき、この導電性層に電流を通じて直接的に加熱するようにしてもよい。
感光要素と色素固定要素とを重ね合わせ、密着させる時の圧力条件や圧力を加える方法は特開昭61−147244号の103頁〜104頁に記載の方法が適用できる。
本発明の写真要素の処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75247号、同59−177547号、同59−181353号、同60−18951号、実開昭62−25944号等に記載されている装置などが好ましく使用される。
【0139】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の効果を詳しく説明するが、もちろん本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
実施例1
<感光性ハロゲン化銀乳剤の調製方法>
感光性ハロゲン化銀乳剤(1)〔赤感乳剤層用〕
良く攪拌しているゼラチン水溶液(水540ml中にゼラチン16g、臭化カリウム0.24g、塩化ナトリウム1.6gおよび化合物(a)24mgを加えて55℃に加温したもの)に表1の(1)液と(2)液を同時に19分間等流量で添加した。5分後さらに表1の(3)液と(4)液を同時に24分間等流量で添加した。常法により水洗、脱塩したのち、石灰処理オセインゼラチン17.6gと化合物(b)56mgを加えて、pH6.2、pAgを7.7に調整し、リボ核酸分解物0.41g、トリメチルチオ尿素1.02mgを加え、60℃で最適に化学増感した。この後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.18g、増感色素(c)64mg、臭化カリウム0.41gを順次加え、その後冷却した。このようにして、平均粒子サイズ0.30μmの単分散立方体塩臭化銀乳剤590gを得た。
【0141】
【表1】
【0142】
【化54】
【0143】
感光性ハロゲン化銀乳剤(2)〔緑感乳剤層用〕
良く攪拌しているゼラチン水溶液(水600ml中にゼラチン20g、臭化カリウム0.30g、塩化ナトリウム2.0gおよび化合物(a)30mgを加えて、46℃に加温したもの)に表2の(1)液と(2)液を同時に10分間等流量で添加した。5分後さらに表2の(3)液と(4)液を同時に30分間等流量で添加した。また、(3)、(4)液の添加終了1分後に増感色素のメタノール溶液60ml(増感色素(d1)360mgと増感色素(d2)73.4mgを含む)を一括して添加した。常法により水洗、脱塩(沈降剤(e)を用いてpH4.0で行った)した後、石灰処理オセインゼラチン22gを加えて、pHを6.0、pAgを7.6に調整し、チオ硫酸ナトリウム1.8mg、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン180mgを加え、60℃で最適に化学増感した。次いでカブリ防止剤(f)90mg、防腐剤として化合物(b)70mgと化合物(g)3mlを加えた後冷却した。このようにして、平均粒子サイズ0.30μmの単分散立方体塩臭化銀乳剤635gを得た。
【0144】
【表2】
【0145】
【化55】
【0146】
【化56】
【0147】
感光性ハロゲン化銀乳剤(3)〔青感乳剤層用〕
良く攪拌しているゼラチン水溶液(水584ml中にゼラチン31.6g、臭化カリウム2.5g、および化合物(a)13mgを加えて70℃に加温したもの)に表3の(2)液をまず添加開始し、10秒後に(1)液の添加を開始した。(1)、(2)液はこの後、30分間かけて添加した。(2)液添加終了後、5分後にさらに表3の(4)液を添加開始し、この10秒後に(3)液の添加を開始した。(3)液は27分50秒、(4)液は28分かけて添加した。常法により水洗、脱塩(沈降剤(e)を用いてpH3.9で行った。)した後、石灰処理オセインゼラチン24.6gと化合物(b)56mgを加えて、pHを6.1、pAgを8.5に調整し、チオ硫酸ナトリウム0.55mgを加え、65℃で最適に化学増感した。次いで増感色素(h)0.35g、カブリ防止剤(f)56mg、防腐剤として化合物(g)2.3mlを加えた後冷却した。このようにして、平均粒子サイズ0.55μmの単分散八面体臭化銀乳剤582gを得た。
【0148】
【表3】
【0149】
【化57】
【0150】
<水酸化亜鉛分散物の調製方法>
一次粒子の粒子サイズが0.2μmの水酸化亜鉛の粉末31g、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1.6gおよびポリアクリル酸ソーダ0.4g、石灰処理オセインゼラチン8.5g、水158.5mlを混合し、この混合物をガラスビーズを用いたミルで1時間分散した。分散後、ガラスビーズを濾別し、水酸化亜鉛の分散物188gを得た。
<カプラーの乳化分散物の調製方法>
表4に示す組成の油相成分、水相成分をそれぞれ溶解し、60℃の均一な溶液とする。油相成分と水相成分を合わせ、1リットルのステンレス容器中で、直径5cmのディスパーサーのついたディゾルバーにより、10000rpm で20分間分散した。これに、後加水として、表4に示す量の温水を加え、2000rpm で10分間混合した。このようにして、シアン、マゼンタ、イエロー3色のカプラーの乳化分散物を調製した。
【0151】
【表4】
【0152】
【化58】
【0153】
このようにして得られた素材を用いて、表5に示す多層構成の熱現像ドライカラー感光材料101を作製した。
【0154】
【表5】
【0155】
【化59】
【0156】
【化60】
【0157】
次に表6に示す内容のとおりに、第3層マゼンタ発色層のカプラー及び現像主薬を変更した以外は101と同様の感光材料102〜122をそれぞれ作製した。これらのサンプルに、連続的に濃度の変化したB、G、Rのフィルターを通して、2500 luxで0.1秒間露光した。この露光済みの試料を40℃の温水に浸し、その後、ゴムローラーで余分の水を搾り採ることにより、感材面に15ml/m2の水を付与した。この感光材料を特開平5−188554の実施例に記載されている塩基発生剤を含む受像材料R−1と膜面が重なるように重ね合わせ、83℃で30秒間熱現像した。現像後、感光材料から受像材料を剥離し、受像材料側の、マゼンタ濃度の最高濃度部(Dmax )と最低濃度部(Dmin )をX−rite濃度測定機で測定した結果を表6に示す。
【0158】
【表6】
【0159】
表6より、本発明のマゼンタカプラーを使用した場合には、良好な写真性を有する事が分かる。
また、この効果は、R1 、R2 、R3 及びXの炭素数の総和が10以下のカプラー(M−8、M−9、M−12、M−13、M−14、M−18、M−19)の場合に特に顕著な効果が得られた。
【0160】
実施例2
150μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの支持体上に表7〜9に示すような層構成にて塗布を行い、感光材料201を作製した。
【0161】
【表7】
【0162】
【表8】
【0163】
【表9】
【0164】
【化61】
【0165】
【化62】
【0166】
【化63】
【0167】
【化64】
【0168】
【化65】
【0169】
【化66】
【0170】
【化67】
【0171】
【化68】
【0172】
次いで、第10層、のマゼンタカプラー及び現像主薬を表10に示したとおりに置き換えた以外は上記とまったく同様にして感光材料を作製した。
【0173】
【表10】
【0174】
カバーシートは以下のようにして作製した。
ゼラチン下塗りしたライトパイピング防止染料を含むポリエチレンテレフタレート透明支持体上に以下の層を塗設した。
(1)平均分子量5万のアクリル酸/ブチルアクリレート(モル比8:3)共重合体を10.4g/m2および1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−ブタン0.1g/m2を含む中和層。
(2)酸化度51%のアセチルセルロース4.3g/m2、ポリ(メチルビニルエーテル−コーモノメチルマレイド)0.2g/m2を含む中和タイミング層。
(3)スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸−N−メチルロールアクリルアミドを重量比49.7/42.3/8の比で乳化重合したポリマーラテックスと、メチルメタクリレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミドを重量比93/3/4の比で乳化重合したポリマーラテックスの固形分比が6対4になるようにブレンドし、総固形分を1.0g/m2を含む層。
【0175】
アルカリ処理組成物の処方を以下に示す。
1−p−トリル−4−ヒドロキシメチル−4− 10.0 g
メチル−3−ピラゾリドン
メチルハイドロキノン 0.18g
5−メチルベンゾトリアゾール 3.0 g
亜硫酸ナトリウム(無水) 0.2 g
ベンジルアルコール 1.5 cc
カルボキシメチルセルロースNa塩 58 g
カーボンブラック 150 g
水酸化カリウム(28%水溶液) 200 cc
水 680 cc
上記組成の処理液を0.8gずつ「圧力で破壊可能な容器」に充填した。
前記感光材料をグレーフィルターを通して乳剤層側から露光した後、前記カバーシートと重ね合わせ、両材料の間に上記処理液を75μmの厚みになるように加圧ローラーを用い、25℃にて展開処理をした。
写真性は処理後1日経時でのマゼンタ反射濃度(Dmin )および最大濃度(Dmax )にて行った。
濃度の測定は富士式濃度測定計(F.S.D)にて行った。結果を表10に示す。
表10より明らかなように、本発明の化合物は、低い最低濃度(Dmin )と、十分に高い画像濃度(Dmax )を与え、画像形成用化合物として優れていることが分かる。
【0176】
実施例3
カラー拡散転写材料として下記感光材料301を作成した。
感光材料301
ポリエチレンテレフタレート透明支持体上に次の如く各層を塗布して感光シートを作成した。
バック層:(a)カーボンブラック4.0g/m2、ゼラチン2.0g/m2を有する遮光層。
乳剤層側:
(1)赤感性内潜型直接ポジ臭化銀乳剤(銀の量で0.6g/m2)、ゼラチン2.0g/m2、下記の造核剤0.015mg/m2、2−スルホ−5−n−ペンタデシルヒドロキノン・ナトリウム塩0.06g/m2、下記シアン色素供与性化合物0.44g/m2、トリシクロヘキシルホスフェート0.14g/m2および2,5−ジ−t−ペンタデシルヒドロキノン0.008g/m2を含有する層。
【0177】
【化69】
【0178】
(2)2,5−ジ−t−ペンタデシルヒドロキノン0.43g/m2、トリヘキシルホスフェート0.1g/m2およびゼラチン0.4g/m2を含有する層。
(3)緑感性内潜型直接ポジ臭化銀乳剤(銀の量で0.42g/m2)、ゼラチン1.4g/m2、層(1)と同じ造核剤0.013mg/m2、2−スルホ−5−n−ペンタデシルヒドロキノン・ナトリウム塩0.07g/m2、下記マゼンタカプラー(R−1)0.173g/m2、現像主薬(1)0.13g/m2、トリシクロヘキシルホスフェート0.12g/m2および2,5−ジ−t−ペンタデシルヒドロキノン0.009g/m2を含有する層。
【0179】
【化70】
【0180】
(4)(2)と同一層。
(5)青感性内潜型直接ポジ臭化銀乳剤(銀の量で0.6g/m2)、ゼラチン1.8g/m2、層(1)と同じ造核剤0.019mg/m2、2−スルホ−5−n−ペンタデシルヒドロキノン・ナトリウム塩0.05g/m2、下記イエロー色素供与性化合物0.53g/m2、トリシクロヘキシルホスフェート0.21g/m2および2,5−ジ−t−ペンタデシルヒドロキノン0.014g/m2を含有する層。
【0181】
【化71】
【0182】
(6)ゼラチン1.0g/m2を含む層。
次に表11の構成を有する色素固定材料を作成した。
【0183】
【表11】
【0184】
【化72】
【0185】
ポリマーラテックス(1):
スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミドを重量比49.7/42.3/4/4で乳化重合したポリマーラテックス
ポリマーラテックス(2):
メチルメタクリレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミドを重量比93/3/4で乳化重合したポリマーラテックス
処理液の処方を以下に示す。
下記組成の処理液0.8gを破壊可能な容器に充填した。
1−p−トリル−4−ヒドロキシメチル−4− 10.0 g
メチル−3−ピラゾリドン
1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メ 4.0 g
チル−3−ピラゾリドン
亜硫酸カリウム(無水) 4.0 g
ヒドロキシエチルセルロース 40.0 g
水酸化カリウム 64.0 g
ベンジルアルコール 2.0 g
水を加えて 全量 1 kg
【0186】
また、感光材料301の、マゼンタカプラー及び現像主薬を、表12に示したものに等モルで置き換えた以外は同様にして、感光材料を作成した。
前記感光材料を連続的に濃度が変化しているシアン、マゼンタ、イエロー、グレーのウェッジが記録されているカラーチャートを通して露光した後、色素固定材料と重ね合わせ、両シートの間に上記処理液を60μmになるように展開した。(展開は加圧ローラーの助けを借りて行った。)
処理は25℃で行い、処理後90秒で感光材料と色素固定材料を剥離し、自然乾燥し、相対感度と濃度を測定した。
濃度測定はXライト社製測定器Xライト404を用いてマゼンタ反射濃度を測定し、最高濃度(Dmax )と最低濃度(Dmin )を測定、評価した。また、上記感光材料を45℃、湿度80%の環境に30日放置したのち、再びマゼンタ濃度を測定し、(45℃、湿度80%放置下後の濃度)/(処理直後の濃度)×100にて褪色率を求めた。
【0187】
【表12】
【0188】
表12より、本発明のカプラーは良好な写真性を与え、しかも強制試験前後の濃度低下も大幅に改良されていることがわかる。本発明の感光要素により十分な最高濃度(Dmax )と十分に低い最低濃度(Dmin )が達成され、さらに本発明の感光材料が湿度に対する安定性にも優れていることが分かる。
【0189】
実施例4
150μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの支持体上に表13と表14に示す様な層構成にて塗布を行い、感光材料401を作成した。
【0190】
【表13】
【0191】
【表14】
【0192】
また、実施例1のマゼンタ色素供与層のマゼンタカプラーを以下の拡散性色素放出型レドックス化合物に変更した以外は同様の感光材料402を作成し、実施例1と同様の処理をした。なお、第5層以下の層構成は実施例2の表9と同様の構成とした。
【0193】
【化73】
【0194】
ただし、写真性は、展開後30分でのマゼンタ最小濃度(Dmin )及び最高濃度(Dmax )にて行った。
また、感光材料402の相対感度を100とした場合の感度を求めた。
結果を表15に示す。
【0195】
【表15】
【0196】
表15より明らかな様に、本発明の化合物を用いた場合には、短時間で良好なDmin 及びDmax を示すと同時に、高い感度を示す事が分かる。
【0197】
実施例5
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗り層を設け、さらに4種の写真構成層を塗布して、以下に表す4層構成の印画紙(500)を作製した。塗布液は以下のようにして調製した。
第一層塗布液
マゼンタカプラー(ExM−1)25g、発色現像主薬(4)20g、溶媒(Solv−1)80gを酢酸エチルに溶解し、この溶液を10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びクエン酸を含む16%ゼラチン溶液に乳化分散させて乳化分散物Aを調製した。一方、塩臭化銀乳剤A(立方体、平均粒子サイズ0.55μmの大サイズ乳剤Bと、0.39μmの小サイズ乳剤Bとの1:3混合物(Agモル比)。粒子サイズ分布の変動係数はそれぞれ0.10と0.08、各サイズ乳剤ともAgBr0.8モル%を、塩化銀を基体とする粒子表面の一部に局在含有させた。)を調製した。この乳剤には下記に示す緑感性増感色素Dがハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては3.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10-4モル、また緑感性増感色素Eがハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10-5モル、また緑感性増感色素Fがハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては2.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては2.8×10-4モル添加されている。また、この乳剤の化学熟成は硫黄増感剤と金増感剤を添加して最適に行なわれた。前記の乳化分散物Aとこの塩臭化銀乳剤Aとを混合溶解し、以下に示す組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は銀換算塗布量を示す。
【0198】
【化74】
【0199】
第二層、第三層及び、第四層の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬膜剤としては、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンを用いた。
また各層にCpd−2、Cpd−3、Cpd−4とCpd−5をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、50.0mg/m2および10.0mg/m2となるように添加した。
第一層の塩臭化銀乳剤には下記の分光増感色素D、E、Fを用いた。
【0200】
【化75】
【0201】
また1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モル当たり3.0×10-3モル添加した。
(層構成)
以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレンラミネート紙
〔第一層側のポリエチレンに白色顔料(TiO2)と青味染料(群青)を含む〕
【0202】
第一層
前記の塩臭化銀乳剤A 0.20
ゼラチン 1.50
マゼンタカプラー(ExM−1) 0.25
発色現像主薬(4) 0.20
溶媒(Solv−1) 0.80
第二層(保護層)
ゼラチン 2.00
【0203】
第三層
ゼラチン 1.35
媒染剤(P−1) 1.35
界面活性剤(Cpd−6) 0.14
第四層
ゼラチン 1.01
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体 0.04
(変性度17%)
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−1) 0.01
第一層の塗布液中のマゼンタカプラー、発色現像主薬とを表16に示したマゼンタカプラー、発色現像主薬に等モルで置き換えた以外は試料(500)の作製と全く同様にして試料(501)〜(520)を作製した。
【0204】
【化76】
【0205】
【化77】
【0206】
【化78】
【0207】
【化79】
【0208】
富士フイルム株式会社製FWH型感光計(光源の色温度3200°K)を使用して上記のように作製した試料(500)〜(520)に対してセンシトメトリー用緑色フィルターで階調露光を与えた。
露光後の試料を下記の処理液を用い、下記の処理工程にて処理を行なった。
処理工程 温 度 時 間
現 像 40℃ 25秒
漂白定着 40℃ 45秒
リンス 室温 45秒
【0209】
現像液
水 600 ml
リン酸カリウム 40 g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)
ヒドロキシルアミン 10 g
KCl 5 g
ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(30%) 4 ml
1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル− 1 g
3−ピラゾリドン
水を加えて 1000 ml
pH(25℃/水酸化カリウムにて) 12
【0210】
漂白定着液
水 600 ml
チオ硫酸アンモニウム(700g/リットル) 93 ml
亜硫酸アンモニウム 40 g
エチレンジアミン四酢酸鉄(III) アンモニウム 55 g
エチレンジアミン四酢酸 2 g
硝酸(67%) 30 g
水を加えて 1000 ml
pH(25℃/酢酸及びアンモニア水にて) 5.8
リンス液
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02 g
脱イオン水(導電率5μS/cm以下) 1000 ml
pH 6.5
処理後のサンプルの最大発色濃度部を試料緑色光にて測定した。
【0211】
【表16】
【0212】
表16から明らかなように比較用のカプラーを用いたサンプルに比べ本発明のカプラーを用いたサンプルは最大発色濃度部の濃度が高く、高い発色性を示すことが分かる。
【0213】
実施例6
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗り層を設け、さらに5種の写真構成層を塗布して、以下に表す5層構成の印画紙(600)を作製した。塗布液は以下のようにして調製した。
第二層塗布液
実施例5の試料(500)の第一層塗布液と同一内容の塗布液を調製し、用いた。
第一層、第三層、第四層及び第五層の塗布液も第二層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬膜剤としては、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンを用いた。また各層に実施例5と同じCpd−2、Cpd−3、Cpd−4とCpd−5をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、50.0mg/m2および10.0mg/m2となるように添加した。
第二層の塩臭化銀乳剤には実施例5で用いた青色増感色素D、E、およびFを用いた。
【0214】
また1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モル当たり3.0×10-3モル添加した。
(層構成)
以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレンラミネート紙
〔第一層側のポリエチレンに白色顔料(TiO2)と青味染料(群青)を含む〕
【0215】
第一層
ゼラチン 1.12
1,5−ジフェニル−3−ピラゾリドン 0.02
第二層
前記の塩臭化銀乳剤A 0.20
ゼラチン 1.50
マゼンタカプラー(ExM−1) 0.25
発色現像主薬(4) 0.20
溶媒(Solv−1) 0.80
【0216】
第三層
ゼラチン 2.00
第四層
ゼラチン 1.35
媒染剤(P−1) 1.35
界面活性剤(Cpd−6) 0.14
【0217】
第五層(保護層)
ゼラチン 1.01
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体 0.04
(変性度17%)
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−1) 0.01
第二層の塗布液中のマゼンタカプラー、発色現像主薬とを表17に示したマゼンタカプラー、発色現像主薬に等モルで置き換えた以外は試料(600)の作製と全く同様にして試料(601)〜(620)を作製した。
【0218】
富士フイルム株式会社製FWH型感光計(光源の色温度3200°K)を使用して上記のように作製した試料(600)〜(620)に対してセンシトメトリー用緑色フィルターで階調露光を与えた。
露光後の試料を下記の処理液を用い、下記の処理工程にて処理を行なった。
処理工程 温 度 時 間
現 像 40℃ 25秒
漂白定着 40℃ 45秒
リンス 室温 45秒
【0219】
漂白定着液、リンス液は実施例5で用いた漂白定着液、リンス液を用いた。
現像液(アルカリアクチベーター液)
水 600 ml
リン酸カリウム 40 g
KCl 5 g
ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(30%) 4 ml
水を加えて 1000 ml
pH(25℃/水酸化カリウムにて) 12
処理後のサンプルの最大発色濃度部を試料緑色光にて測定した。
【0220】
【表17】
【0221】
表17から、1,5−ジフェニル−3−ピラゾリドンをサンプル内に内蔵した場合でも、比較用のカプラーを用いたサンプルに比べ本発明のカプラーを用いたサンプルは最大発色濃度部の濃度が高く、高い発色性を示すことが分かった。
【0222】
【発明の効果】
本発明によって発色性が高く、しかも画像堅牢性に優れたカラー写真を迅速に得ることができる。
Claims (4)
- 支持体上に設けられた少なくとも一層の親水性コロイド層中に下記一般式(I)で表される少なくとも一種のカプラーおよび下記一般式(II)で表される少なくとも一種の発色現像主薬を含有することを特徴とするカラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料。
- 請求項1に記載のカラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料を70℃以上150℃以下で加熱処理することにより現像を行うことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1に記載のカラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料を溶液中で現像することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1に記載のカラー拡散転写ハロゲン化銀感光材料をアルカリ処理液を展開して現像することを特徴とする画像形成方法。
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