JP3675518B2 - Rds受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、RDS(Radio Data system) 放送を受信するためのRDS受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
欧州で実用化されているRDS放送システムには、RDS受信機の受信性能を向上させる機能として、NF機能(自動追尾機能、NF:Netword Follow) がある。
NF機能について図8を用いて説明する。いま、図に示すように、同一ネットに属し、同一放送内容を放送する放送局がa,b,cと存在していて、RDS受信機を搭載した車両20がA地点から、B、C地点へ移動しようとしているとする。RDS受信機は、A地点では、a局を受信局とし、b,c局を飛び先可能な局(AF局、AF:Altenative frequency)としている。
【0003】
RDS受信機は、NF機能を達成するために、AF局をメモリ内に保持し、電界強度をモニタし、かつ受信状態を表すノイズ特性を付加した上で、AF局をメモリ内でソーティングする。そして、車両20の移動に伴って、最も良い受信性能が得られる放送局からの信号を受信するように切り替えが行われる。この結果、受信局は、車両20の移動に伴いa→b→cと移行していく。
【0004】
ところで、従来のRDS受信機においては、NF機能のオン・オフに関係なく、受信性能を決定するファクターであるAGC,ASC,ATC,周波数特性等を、図9に示すように制御していた。これは、アンテナ入力の電界強度が低下すると、各ファクターをノイズを軽減する方向に制御するものである。このように、各種ファクターをノイズを軽減する方向に制御すると、電界強度が低下するに従って、高域がカットされる、ステレオ感がなくなる等の音質の低下が表れることとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来のRDS受信機においては、NF機能がオンの状態でも受信性能を向上させるために各ファクターの制御が行われる。したがって、アンテナ入力の電界強度が低下してもノイズが軽減されるため、NF機能におけるノイズの検出が遅れることとなり、受信状態の良いAF可能局への切り替えが遅れることとなる。このため、AF可能局に切り替わるまでの音質が低下した状態での受信状態が、かえって長く続くという結果をもたらすこととなる。
【0006】
本発明は、RDS受信機において、FMの受信特性として相反する特性であるノイズを少なくするということと音質等を良くするということを両立させることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、RDS放送を受信するRDS受信機において、受信性能を決定するファクターを制御する手段と、この手段を、NF機能のオン・オフに応じて制御する手段を設ける。受信性能を決定するファクターとしては、セパレーション特性と、トーンコントロール特性と、周波数特性とがある。なお、NF機能のオン・オフに応じて上記各特性を制御する際、各特性は、単独で制御することも、全部を制御することも、あるいは、適当に組合せて制御することも可能である。
【0008】
上記の各手段を設けることにより、NF機能がオンとされると、受信性能を決定するファクターを制御する手段は動作が抑制される。したがって、現在の受信状態が悪化してもノイズは抑制されず、NF機能はこのノイズを速やかに検出する。このノイズが検出されると、NF機能により受信状態のより良いAF可能局への切替えが行われる。したがって、ノイズの発生も、音質の低下も防止することができる。
【0009】
なお、NF機能がオフとされると、受信性能を決定するファクターは、従来のものと同様に、アンテナ入力に応じてノイズを軽減する方向に制御される。したがって、NF機能がオフのときは、従来のFM受信機と同様に受信状態が悪化するが、ノイズの発生が少ない特性が得られる。
本発明においては、以上説明したNF機能のオン・オフに加えて、AF可能局があること、更には、受信可能な局数が所定数以上あることを条件として、受信性能を決定するファクターを制御することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図7は、RDS受信機の全体のブロック図を示す。図において、1はアンテナ、2はフロントエンド、3はIFアンプ、4はFM検波器、5はMPX復調回路、6は音量制御回路、7は音質制御回路、8は音場制御回路、9,11は出力アンプ、10,12はスピーカ、13はバンドパスフィルタ、14はRDSデータ復調回路、15はコントローラ、16はRAM、17はROM、18は操作スイッチパネル、19はディスプレイである。
【0011】
なお、コントローラ15はCPUで構成され、NF機能のオン・オフは、操作パネルスイッチ18により設定される。
RDS受信機は、NF機能を達成するために、一般的に、AF局をRAM16内に保持し、電界強度をモニタしかつ受信状態を表すノイズ特性を付加した上で、AF可能局をRAM16内でソーティングしている。
【0012】
図1〜図6に、受信性能を制御する回路と、その制御を行う回路を示す。
図1は、受信性能を決定するファクターとしてAGC特性を制御する場合の回路を示す。
図において、2はフロントエンド、4はFM検波器、15はコントローラである。これらのRDS受信機における位置は、前述の図7に示されている。
【0013】
FM検波器4からSメータ(信号レベル)がコンパレータ21の入力に接続される。コンパレータ21の他方の入力には、基準電圧が入力される。コンパレータ21の出力は、トランジスタ22のベースに接続される。トランジスタ22のコレクタとエミッタは、フロントエンド2のAGC回路と接地との間に接続される。さらに、トランジスタ22ベースには、コントローラ15からのNFオン信号が印加される。
【0014】
上記回路においては、アンテナ入力の電界強度が大きいとき、FM検波器4からの信号レベルが基準値を超え、コンパレータ21から信号が出力されるので、トランジスタ22がオンとなり、フロントエンド2のAGC回路は接地され、AGC回路の動作は抑制される。逆に電界強度が小さいときは、トランジスタ22はオフとなるので、フロントエンド2のAGC回路はゲインを上昇させる動作を行う。
【0015】
コントローラ15から、NFオン信号が出力されると、トランジスタ22はオンとなり、AGC回路の動作は抑制される。これは、FM検波器4の信号レベルの大小に関係なく行われる。
図6に、コントローラ15によりNFオン信号を出力する手順を示す。
ステップS1でNF機能がオンされているか否かを判定し、ステップS2でAF可能局があるか否かを判定し、ステップS3でAF可能局の数が所定数(例、2局以上)あるか否かが判定される。そして、全部のステップでYESであれば、ステップS4でNFオン信号を出力し、一つでもNOがあればステップS5でNFオフ信号が出力される。
【0016】
以上説明した回路によれば、NF機能がオンであり、かつAF可能局があり、その数が所定数以上あれば、コントローラ15からNFオン信号が出力され、AGC回路の動作が抑制される。これにより、アンテナ1から入力される電界強度が低下しても、RDS受信機の音質が低下する制御は行われず、かつノイズの発生は抑制されない。したがって、NF機能はノイズを検出して速やかに受信状態の良いAF局への移行を行うので、ノイズの発生も音質の低下も生じない。
【0017】
図2は、受信性能を決定するファクターとしてASC特性とATC特性を制御する場合の回路を示す。
図において、5はMPX復調回路、15はコントローラである。これらのRDS受信機における位置は、前述の図7に示されている。
MPX復調回路5のASC回路は、抵抗R1を介して接地され、さらに抵抗R3とトランジスタ31の直列回路を介して接地される。また、ATC回路は、抵抗R2を介して接地され、さらに抵抗R4とトランジスタ32の直列回路を介して接地される。また、各トランジスタ31,32のベースに、コントローラ15からのNFオフ信号が印加される。このNFオフ信号は、図6のステップS5で得られる信号である。
【0018】
コントローラ15からNFオフ信号が出力されると、トランジスタ31,32はオンとなり、ASC回路及びATC回路と接地間の抵抗値は、小さくなる。また、NFオフ信号が出力されない場合は、ASC回路及びATC回路と接地間の抵抗値は大きくなる。これにより、ASC特性とATC特性は、図3に示すように変化する。つまり、NF機能がオフの場合、各特性は破線で示すように大きな補正がかかっているが、NF機能がオンとなると、各特性は実線で示すように、補正量が小さくなり、各特性が抑制される。
【0019】
以上説明した回路によれば、NF機能がオンであり、かつAF可能局があり、その数が所定数以上あれば、コントローラ15からNFオフ信号が出力されず、ASC回路、ATC回路の動作が抑制される。これにより、アンテナ1から入力される電界強度が低下しても、RDS受信機の音質が低下する制御は行われず、かつノイズの発生は抑制されない。したがって、NF機能はノイズを検出して速やかに受信状態の良いAF局への移行を行うので、ノイズの発生も音質の低下も生じない。
【0020】
図4は、受信性能を決定するファクターとして周波数特性を変更する場合の回路を示す。
図において、5はMPX復調回路、15はコントローラである。これらのRDS受信機における位置は、前述の図6に示されている。
MPX復調回路5の出力に、直列に抵抗R1が挿入され、接地との間にコンデンサC1が接続され、このコンデンサと並列にコンデンサC2とトランジスタ41の直列回路が接続される。また、トランジスタ41のベースに、抵抗R2を介しコントローラ15からのNFオフ信号が印加される。
【0021】
コントローラ15からNFオフ信号が出力されると、トランジスタ41はオンとなり、コンデンサC1とC2が並列接続されるのでコンデンサ容量は増加する。また、抑制信号が出力さないとトランジスタ41はオフとなり、コンデンサC2が切り離されるのでコンデンサ容量は減少する。これにより、周波数特性は、図5に示すように変化する。つまり、NF機能がオフの場合、周波数特性は破線に示すように大きな補正がかかるが、NF機能がオンとなると、実線で示すように補正量が小さくなり、周波数特性が抑制される。
【0022】
以上説明した図1〜図5の回路によれば、NF機能がオンであり、かつAF可能局があり、その数が所定数以上あれば、コントローラ15からNFオフ信号が出力されず、周波数特性が変更される。これにより、アンテナ1から入力される電界強度が低下しても、RDS受信機の音質が低下する制御は行われず、かつノイズの発生は抑制されない。したがって、NF機能はノイズを検出して速やかに受信状態の良いAF局への移行を行うので、ノイズは発生せず、音質の低下が生じない。
【0023】
なお、図6に示す手順において、ステップS3を省略すること、又はステップS2とステップS3を省略することも可能である。この変形例と図7の例との差は次のとおりとなる。
NF機能がオフのときの動作は両者同様である。NF機能がオンであり、かつAF可能局があり、その数が所定数以上ある場合の動作も、両者同様である。NF機能がオンであり、AF可能局がない又はその数が所定数以上ないという場合は、図7の例では、RDS受信機における受信性能が低下した場合、ノイズの抑制がされるが、音質が低下する。一方、変形例ではノイズの抑制がされない。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、RDS受信機において、FMの受信特性として相反する特性であるノイズを少なくするということと音質等を良くするということを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の回路図。
【図2】本発明の第2の実施形態の回路図。
【図3】図2の回路による特性の変化を示すグラフ。
【図4】本発明の第3の実施形態の回路図。
【図5】図4の回路による特性の変化を示す図。
【図6】図1、図2、図4におけるコントローラの動作を説明するフローチャート。
【図7】RDS受信機の回路図。
【図8】NF機能を説明する図。
【図9】受信性能を決定するファクターを説明する図。
【符号の説明】
1…アンテナ
2…フロントエンド
4…FM検波器
5…MPX復調回路
15…コントローラ
16…RAM
17…ROM
18…操作スイッチパネル
20…車両
21…コンパレータ
22,31,32,41…トランジスタ

Claims (4)

  1. RDS放送を受信するRDS受信機において、
    セパレーション特性を制御するセパレーション特性制御手段と、
    NF機能のオン時、NF機能のオフ時に比べて前記セパレーション特性制御手段の動作を抑制し、セパレーション特性の補正量を小さくする制御を行う抑制手段と
    を具備することを特徴とするRDS受信機。
  2. RDS放送を受信するRDS受信機において、
    トーンコントロール特性を制御するトーンコントロール特性制御手段と、
    NF機能のオン時、NF機能のオフ時に比べて前記トーンコントロール特性制御手段の動作を抑制し、トーンコントロール特性の補正量を小さくする制御を行う抑制手段と
    を具備することを特徴とするRDS受信機。
  3. RDS放送を受信するRDS受信機において、
    周波数特性を制御する周波数特性制御手段と、
    NF機能のオン時、NF機能のオフ時に比べて前記周波数特性制御手段の動作を抑制し、周波数特性の補正量を小さくする制御を行う抑制手段と
    を具備することを特徴とするRDS受信機。
  4. 前記抑制する手段が、前記NF機能のオン時に加えて、AF可能局の有無を条件として前記制御手段の動作を抑制し、その補正量を小さくする制御を行うことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のRDS受信機。
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