JP3674640B2 - 核酸と核タンパク質の精製法 - Google Patents

核酸と核タンパク質の精製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、健康食品、化粧品、医療用品及び洗浄剤に使用されるデオキシリボ核酸(DNA)及び/又はデオキシリボ核タンパク質の精製法並びにそれらを含有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNA及びそのタンパク質付加体であるデオキシリボ核タンパク質の原料は、通常、魚類の白子や哺乳動物の胸腺又は精巣(睾丸)である。これらの原料は、鮮度低下に従って変質して品質が劣化し、いやみ臭を増し、又変色が進行する。それ故、これら原料から精製したDNA及び/又はデオキシリボ核タンパク質を取得するためには、通常、原料の魚類白子や哺乳動物胸腺又は睾丸を水洗、加熱次いで破砕とろ過による機械的加工をした後、更に低級アルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール等で洗浄、精製する。これにより原料中の血液、血管、表皮等が除去される。そして脂質と脂肪酸含量が少なく、経時変化の少ない精製物が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の低級アルコールによる洗浄では、得られる精製物に対し10〜40倍の低級アルコールが使用されるが、このような低級アルコールの精製によっても、魚臭又は悪臭を完全に除くことはできず、得られた精製物には魚臭又は悪臭が僅かながら残る。そして得られた精製物にビタミンCを配合すると、経時変化して褐変し、同時に異味・異臭が生じる(なお、ビタミンCを、DNAと同時摂取すると、DNAだけの摂取により生じる血液中の尿酸値の上昇が抑制されるので、ビタミンCとDNA摂取の混合剤は、DNA摂取による+効果を発現する際に有用である。)。
本発明の目的は、上述の低級アルコールによる精製法を改善して、得られた精製物の魚臭又は悪臭を完全に除去しようとすることと、得られた精製物をビタミンCと混合しても経時変化により着色しないようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、デオキシリボ核酸又はデオキシリボ核タンパク質を含有する原料例えば白子を処理する際に芳香を持つ着香料を使用すると、魚臭又は悪臭が除去された原料例えば白子の精製品が得られることを見出した。そして、この精製品はビタミンCと混合しても経時変化して着色することもない。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の精製法に使用されるデオキシリボ核酸(DNA)又はデオキシリボ核タンパク質を含有する原料とは、魚類、例えば、特にサケ、タラ、ニシン又はマスの白子(精巣)、又は哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ウマ又はヤギの胸腺又は睾丸(精巣)、好ましくはサケ又はサケの白子、更に好ましくはサケの白子に由来するものであり、それら精巣(白子又は睾丸)又は胸腺を水洗、機械的処理(例えば、機械的破砕と被破砕物のろ過による分離)により前処理した粗製品(以下、粗製精子等という。)であって、低級アルコールによる処理をする前の粗製品を表す。
使用される粗製精子等は、通常の攪拌により精製用溶媒中に容易に懸濁され得るような、粉末状になっている。
【0006】
本発明の精製法に使用される着香料とは、一般の着香料であって、好ましくは食品に添加されることを目的とするものであり、本発明の精製法に従って使用される場合、本発明の目的とする精製効果を達成できるものをいう。
【0007】
具体的には、使用される処理液に使用される溶媒、例えば低級アルコール又は低級アルコール水溶液に低濃度、例えば0.1〜12%(これも含めて以下、%は特別の記載のない限り重量%を意味する。)以下の濃度で溶解でき、精製される粗製精子等中の魚臭又は悪臭を除去できるものをいう。
【0008】
本発明に使用される着香料とは、更に具体的には、上述の性能を発揮できるものであって、その着香料中の成分として、エステル基、ラクトン基、ケトン基、アルデヒド基を1個又は2個以上含有する化合物を含有し、かつそれら化合物が精製物に微少量残存していても人体に無害でありかつ精製品の商品価値に悪影響を与える悪臭又は異臭を残さないような化合物を含有するものをいう。
【0009】
更に具体的には、本発明に使用される芳香を持つ着香料は、下記の着香料から選択される1種又は2種以上を含有する:エステル、例えば脂肪酸エステル、特に酢酸エステル、アセト酢酸エステルと酪酸エステル;ラクトン、例えばγ−ラクトン;アルデヒド、例えば脂肪族アルデヒドと芳香族アルデヒド;ケトン;及びテルペン系炭化水素である。
【0010】
本発明に使用される着香料を更に具体的に例示する:
酢酸エステルとして、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸フェニルエチル、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル及びアセト酢酸エステル例えばアセト酢酸エチル;
酪酸エステルとして、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸イソアミル、酪酸ベンジル、酪酸フェニルエチル、酪酸リナリル及び酪酸ゲラニル;
ラクトンとして、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン及びδ−ドデカラクトン;
脂肪族アルデヒドとして、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、ペリラアルデヒド、ゲラニアール及びネラール;
芳香族アルデヒドとして、ベンズアルデヒド、バニリン及びエチルバニリン;ケトン化合物として、アセトフェノン、2−ヘプタノン、マルトール、メントン及び−カルボン;
そしてテルペン系炭化水素として、−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、γ−タピネン、ミルセン、カリオレフィン。
【0011】
本発明に使用される好ましい着香料は、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、γ−ウンデカラクトン、アセト酢酸エチル、酪酸エチル、オレンジオイル、トランス−2−ヘキセナール、バニリン、ライムオイル及びワインリースオイルからなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物からなる。
更に好ましくは、アセト酢酸エチル、オレンジオイル、バニリン及びワインリースオイルからなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物からなる。
そして更に好ましくはアセト酢酸エチルからなる。
上述の具体的な着香料は、食品添加用に使用される普通の市販品である。
【0012】
本発明に使用されるライムオイルは、ライム油とも呼ばれ、ミカン科のライムCitrus aurantifolia Swingleに属する 1)Citrus medica L.var.acida Brandis.及び 2)Citrus limetta Rissoの果皮又は果実から圧搾油方式又は水蒸気蒸留方式で得られる。1)はacid limeと呼ばれ、西インド諸島を主産地とし、メキシコ、合衆国のフロリダ等に産する。2)はsweet
limeといわれ、イタリア、ブラジル等に産する。
本発明に使用されるライムオイルは、例えば、1)西インド諸島産:シトラール(ゲラニアールとネラール)2.2〜9%、ノナナール、ドデカナール、オクタナール、ゲラニオール、リナロール、α−テルピネオール、ボルネオール、α及び/又はβ−ピネン、d−リモネン、ジペンテン、ピサボレン、アントラニル酸メチルからなるもの;2)イタリア産:d−リモネン、酢酸リナリル26.3%、l−リナロールからなるものがある。
【0013】
オレンジオイルは、オレンジ油とも呼ばれる。ミカン科のスイートオレンジ
Citrus sinesis Osbeck又はダイダイ Citrus aurantium Linneの果実及び/又は果皮から圧搾油方式又は水蒸気方式により得られる。オレンジオイルは、例えば、d−リモネン(90〜94%)、デカナール、シトロネラール、シトラール(ゲラニアールとネラール)、リナロール、ノナナール、テルピネオール、オーラブテン等からなる。
【0014】
ワインリースオイルは、ブドウから製造されるものであって、ブランデから回収フレーバー方式により、ブランデーの揮発性成分として得られる。その主成分は、例えば、エタノール、ブタノール、イソアミルアルコール、フェニルエチルアルコール、酢酸、ヘキサン酸、ヘキサン酸エチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、ドデカン酸エチルである。
【0015】
本発明の精製法に従って、粗製精子等の精製に使用される精製用溶媒は、通常は低級アルコール又はその含水低級アルコールである。低級アルコールとしては、特にエタノール、メタノール又はそれらの混合溶媒が挙げられる。
好ましくは、処理される粗製精子等の組織内への浸達性を高めるために、上記低級アルコールは水分を含有していることが好ましく、50%以下、好ましくは25〜10%、更に好ましくは20〜15%の水を含有していることが好ましい。
水の含有量が50%以上であると、精製処理中に処理液が粗製精子等の組織中に浸透しにくくなって精製物の品質に重大な影響を与える一般細菌数の低下率が減少し、また得られた精製物が塊状になる傾向がある。
水の含有量が 5%以下になると、精製処理中の処理液の粗製精子等の組織内への浸達性が低下して、精製物の品質に重大な影響を与える一般細菌数の低下率が減少し、又、脱臭の浸透効果も減少する傾向がある。しかし、95%以下の濃度の低級アルコール水溶液に所望濃度の着香料が完全に溶解しない場合は、95%以上の濃度のアルコールを使用する方が好ましい場合がある。
【0016】
粗製精子等を処理するために使用される精製用溶媒の量は、粗製精子等の含水率により、含水率が高いと所定のアルコール濃度を維持するためにアルコールの濃度を高めるか、使用量を増す必要がある。粗製精子等の含水率量が5%程度の場合は、85%エチルアルコール又はメタノールを粗製精子等の2ないし10重量倍、好ましくは5〜8重量倍使用するのが好ましい。
【0017】
精製用溶媒に添加される着香料の量は、使用されるアルコール水溶液の粗製精子等、例えば白子に対する倍量数、単位重量当たりの着香料の脱臭力、着香料の香りの強度、粗製精子等、例えば白子中の魚臭又は悪臭の含有量そして処理条件(温度と時間)により変動するが、概ね0.05〜12%の範囲内にある。例えば着香料がアセト酢酸エチル、精製される粗製精子等が含水量5%の通常に市販されているサケ白子、精製用溶媒が85%エチルアルコール水溶液、精製用溶媒の使用量が白子の7倍量、加熱条件が還流温度で1時間の場合は、着香料のエチルアルコール水溶液中の濃度は、0.1〜10%の範囲内にある。
この含有量は、試験的に使用される着香料の最適濃度を検討して決定するのが好ましい。
なお、後述の乾燥品精製物中に、脱臭精製に使用された着香料の1部分が残存していてもよい。この残存は、乾燥精製物の品質の安定性を高めるためのものであって、残存する着香料の香りが感知されない程度の量、乃至、強過ぎて使用時に不快にならない程度の量で残存するのがよい。通常は、0.01〜1.0%の範囲内である。
【0018】
粗製精子等を、所定濃度の着香料を含有する精製用溶媒に懸濁、攪拌下、処理して脱臭処理をする。処理時間は温度が高い程短くてよい傾向にある。得られる精製品中の一般細菌数低下率を高め、処理時間を短縮するためには、処理溶媒として含水低級アルコールを使用する場合は、95〜60℃、好ましくは、処理溶媒の還流温度で実施するのが好ましい。
加熱処理時間は、加熱時間の延長効果が殆ど無くなるまでの時間、例えば30分〜2時間、好ましくは50〜70分間でよい。
【0019】
以上、本発明の精製法を各項目について説明したが、更に具体的に各項目の組み合わせを列記する:
▲1▼粗製精子等は、サケ又はマス白子由来のものであり、着香料はアセト酢酸エチル、オレンジオイル、バニリン又はワインリースオイルであり、精製用溶媒は75〜100%エチルエルコール又はメチルアルコールである。
▲2▼粗製精子等は、サケ白子由来のものであり、着香料はアセト酢酸エチルであり、精製用溶媒は75〜100%エチルエルコール又はメチルアルコールである。
▲3▼粗製精子等は、サケ白子由来のものであり、着香料はアセト酢酸エチルであり、精製用溶媒は75〜90%エチルエルコール又はメチルアルコールであり、着香料の精製用溶媒中の濃度は3.0〜10.0%である。
▲4▼粗製精子等は、サケ白子又はタラ白子由来のものであり、着香料はアセト酢酸エチルであり、精製用溶媒は75〜90%エチルアルコール又はメチルアルコール水溶液であり、処理用溶媒の使用量は、粗製精子等の5〜8倍量であり、着香料の精製用溶媒中の濃度は3.0〜10.0%であり、加熱温度は処理液の還流温度でありそして処理時間は、30〜90分間である。
▲5▼粗製精子等は、ニシン白子又はマス白子由来のものであり、着香料はバニリンであり、精製用溶媒は75〜95%エチルアルコール又はメチルアルコール水溶液であり、着香料の精製用溶媒中の濃度は2.0〜12%であり、加熱温度は処理液の還流温度でありそして処理時間は、30〜100分間である。
【0020】
上述の着香料を含有する溶媒による粗製精子等の精製処理が終了した後、遠心分離又はろ過、更に所望による洗浄処理に続いて、乾燥処理をして溶媒を蒸発する。乾燥処理は当該技術分野で通常使用されている乾燥処理を使用する。それは例えば、スプレードライヤー、減圧下乾燥、風乾又はこれらの二つ以上の組み合わせである。
乾燥は、室温ないし90℃以下、好ましくは 15〜70℃の範囲内の温度で実施される。
【0021】
【実施例】
下記の実施例により本発明を更に詳細に説明する。これら実施例は本発明の範囲の限定を意図するものではない。実施例中及び本明細書においては特に記載のない限り、%は重量%を表す。
実施例1
粗製精子等である白子粉は、洗浄、機械破砕、必要ならば洗浄、ろ過そして乾燥を経る常法により取得される。例えば、冷凍鮭の白子1,000gを解凍し、水洗、次いで水切りした後、水400gを添加し、ステンレス製攪拌羽根付の攪拌槽内で、80℃で1時間熱処理し、その後生成物の懸濁液を10メッシュの金網でろ過した。得られた懸濁ろ液を小型のガラス製スプレードライヤーで乾燥、粉末化し、含水率5%の白子粉192gを得た。この白子粉は魚臭(アミン臭)のするものであった。
次にこの白子粉5gに対し第1表に記載の各着香料又は対照用の薬剤を1%溶解した95%エチルアルコール水溶液35gを添加し、75℃で1時間攪拌後、室温に冷却後、固形分を分離、減圧下乾燥(入口温度60〜80℃)して、乾燥精製物の残留魚臭を臭覚検査した。その結果を第1表に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003674640
【0023】
(第1表注)
*乾燥品の色調が処理前に比較して着色している。
**改善効果の記号の説明:
×・・・改善効果が無い。
△・・・改善効果が僅かにある。
〇・・・改善効果が顕著である。
◎・・・改善効果が極めて顕著である。
3*オレンジオイルは、ミカン科のスイートオレンジの果皮から水蒸気方式により取得したものである。その主成分は、−リモネン(約90%)、リナロール、オクタナール、デカナール、シトロネラール、シトラール(ゲラニアールとネラール)である。
4*ライムオイルは、ミカン科のライムの果皮から水蒸気蒸留方式により取得されたものである。その主成分は、γ−テルピネン、−リモネン、テルピネオール、シトラール(ゲラニアールとネラール)である。
5*ワインリースオイルは、エタノール、ブタノール、イソアミルアルコール、フェニルエチルアルコール、酢酸、ヘキサン酸、ヘキサン酸エチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、ドデカン酸エチルである。
【0024】
(考察)第1表の結果から観察されるように、着香料を添加した場合は脱臭に顕著な改善効果が見られ、着香料がアセト酢酸エチル、オレンジオイル、バニリン、ワインリースオイルである場合は、改善効果は極めて顕著であった。又、精製物には、悪臭に相当する異臭がなかった。
【0025】
実施例2
実施例1で得られた精製前の白子粉を使用して、エチルアルコール水溶液の濃度の、白子中の細菌数の低減化に対する影響を検討した。
磁気攪拌子を付けた容器中、白子粉5gに対して、60〜95%のエチルアルコール水溶液を35g添加し、常圧下で、常温(室温:約10〜20℃)、60℃と処理液の還流温度(80℃〜95℃)に於いて1時間攪拌し、室温に冷却後、その固形分をろ過分離、減圧下乾燥(入口温度60〜80℃)して得られた精製物中の細菌数と精製物の性状を検査した。試験結果を第2表に示す。
なお、エチルアルコールによる処理前の白子粉中の一般細菌数は412×10個/gであった。
【0026】
【表2】
Figure 0003674640
【0027】
(考察)
以上の結果より、白子の細菌数低減化には、エチルアルコール水溶液中のエチルアルコールの濃度80〜85%が好ましく、特に処理液の還流温度ではその効果が著しいこと;70%以下では精製物が塊状となって殺菌効果が悪いことそして濃度が95%では細菌数の低減化の効果は下がることが明瞭である。換言すれば、白子のアルコールによる細菌数低減化には、処理される白子と使用される着香料の種類によって変動があるが、75〜90%の範囲内のアルコール濃度が好ましいことが判明した。
【0028】
実施例3
実施例1の精製前の白子粉を使用して、アセト酢酸エチルの使用量の白子精製物の品質に与える影響を検討した。使用したアルコール水溶液は、一般細菌数低減化に適している85%エチルアルコール水溶液である(実施例2を参照)。
実施例1に記載の方法に従って得られた精製前の白子粉5gに、第3表に記載の濃度のアセト酢酸エチル(着香料に相当する)を含有する、85%エチルアルコール水溶液35gを添加して、攪拌下加熱して1時間還流した。次いで、室温に冷却して固形分をろ過により分離、そして減圧下乾燥(入口温度60〜80℃)して精製物を得た。得られた乾燥品精製物の残留魚臭を検査し、そして魚臭又は悪臭そして着色の原因になる魚油脂質と着香料の残存量を分析した〔分析は下記のようにした:(1) 乾燥品精製物中の脂質含量の全量W1 をソックスレー抽出法(食品衛生検査指針を参照)により測定する。(2) 乾燥品精製物中のアセト酢酸エチルの量W2 を水蒸気蒸留法(試料10gを採り、水50mlと共に加熱して留出水をガスクロ分析で定量する方法)により定量する。(3) W1 −W2 を魚油脂質量とする。〕。試験結果を判定と共に第3表に記載した。
【0029】
【表3】
Figure 0003674640
【0030】
(考察)アセト酢酸エチル濃度が3.0〜10.0%の85%エチルアルコール水溶液を、白子粉に対して7倍重量使用した場合が、好ましい結果を与えている。12.0%以上の濃度では、着香料(アセト酢酸エチル)の臭いが精製品に顕著に残留するので好ましくない。
このアセト酢酸エチルのエチルアルコール中の好適濃度は、使用されるアルコール水溶液の白子に対する倍量数、単位重量当たりの着香料の脱臭力、精製前の白子中の魚臭又は悪臭の含有量そして処理条件(温度と時間)により変動するものの、着香料を上述の諸条件に合わせて適量添加することにより、魚臭又は悪臭の完全に除去された精製品が得られることは明瞭である。
【0031】
実施例4:ビタミンCと混和後の経時変化
実施例3で得られた試験No3,4と7のサケ白子の乾燥品精製物を用いて、ビタミンCとの混和後の経時安定性を検討した。
実施例3で得られた各乾燥品精製物30重量部にビタミンC粉末を各30重量部とブドウ糖粉末を各40重量部配合し、打錠機を用いて、直径12mmで300mgの円板状錠剤を作製した。次に各錠剤を温度20〜25℃、湿度50%に維持した室内で2週間暴露し、錠剤の色調の変化を観察した。観察結果を判定と共に、第4表に記載した。
【0032】
【表4】
Figure 0003674640
(考察)本発明の精製法により処理された乾燥品精製物は、ビタミンCと混合しても色調の変化が殆ど認められなかった。
【0033】
【発明の効果】
デオキシリボ核酸又はデオキシリボ核タンパク質を含有する、精巣又は胸腺を水洗、機械処理した後の粗製品、例えばサケ白子粉を、従来の低級アルコール、例えばメチルアルコール又はエチルアルコール、又はその含水溶媒の処理溶媒で処理して精製する場合の処理溶媒を変えて、着香料を添加したそれら処理溶媒で処理した。その結果、得られた精製物を従来法により得られた精製物と比較すると、魚臭又は悪臭は著しく低下して皆無に等しくなり、品質の劣化速度が著しく低下し、そしてビタミンCとの混合による顕著な着色が低下して着色がなくなった。又、得られた製品には、着香料添加に起因する不快臭が全くなかった。

Claims (7)

  1. 酢酸エステル、アセト酢酸エステル、酪酸エステル、ラクトン、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド、ケトン化合物及びテルペン系炭化水素からなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物である芳香を持つ着香料を使用することを特徴とするデオキシリボ核酸又はデオキシリボ核タンパク質の精製法。
  2. 芳香を持つ着香料が、酢酸エステルとして、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸フェニルエチル、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル;アセト酢酸エステルとして、アセト酢酸エチル;酪酸エステルとして、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸イソアミル、酪酸ベンジル、酪酸フェニルエチル、酪酸リナリル及び酪酸ゲラニル;ラクトンとして、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン及びδ−ドデカラクトン;脂肪族アルデヒドとして、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、ペリラアルデヒド、ゲラニアール及びネラール;芳香族アルデヒドとして、ベンズアルデヒド、バニリン及びエチルバニリン;ケトン化合物として、アセトフェノン、2−ヘプタノン、マルトール、メントン及びl−カルボン;そしてテルペン系炭化水素として、d−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、γ−タピネン、ミルセン、カリオレフィンからなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物である請求項1記載の精製法。
  3. 芳香を持つ着香料が酢酸イソアミル、γ−ウンデカラクトン、アセト酢酸エチル、酪酸エチル、オレンジオイル、トランス−2−ヘキセナール、バニリン、ライムオイル及びワインリースオイルからなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物である請求項記載の精製法。
  4. 芳香を持つ着香料がアセト酢酸エチル、オレンジオイル、バニリン及びワインリースオイルからなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物である請求項記載の精製法。
  5. 芳香を持つ着香料が、メチルアルコール、エチルアルコール又は50%
    以上のメチルアルコール又はエチルアルコール水溶液に溶解された状態で使用される請求項1ないしのいずれかに記載の精製法。
  6. 芳香を持つ着香料のメチルアルコール、エチルアルコール又は50%以上のメチルアルコール又はエチルアルコール水溶液中における濃度が0.05〜12%の範囲内にある請求項に記載の精製法。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載の精製法により製造された組成物が、精製された該当するデオキシリボ核酸又はデオキシリボ核タンパク質の重量を基準にして、芳香を持つ着香料を0.01ないし1.0%含有する組成物。
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