JP4451055B2 - こんにゃく芋抽出物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、悪臭物質が除去されたこんにゃく芋抽出物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出した抽出物は種々の脂肪酸、糖類、糖脂質など有効成分を高濃度に含有していることがわかっている。中でもこんにゃく精粉の製造工程で大量に排出され、独特のえぐ味と臭気のためにほとんど利用されていない、こんにゃくトビ粉は有用な成分を多く含み(例えば、非特許文献1参照)、アルコール抽出した抽出物には強い血圧降下作用を有する物質が含まれていることがわかっている(例えば、非特許文献2参照)。また、本発明者らはこんにゃく芋から有機溶剤によって抽出した抽出物のスフィンゴ糖脂質の含量が、小麦や米などの穀類、大豆などの豆類に比べて特に多いという知見を得、スフィンゴ糖脂質含有物の製造方法として出願している(特許文献1)。
【0003】
このスフィンゴ糖脂質は、皮膚への塗布によって角質層に浸透し、皮膚の保湿効果を高め、乾燥肌、肌荒れ、皺、さらにはアトピー性皮膚炎の改善に効果がある。また、経口摂取することによっても小腸から吸収されて角質層に届き、上述のような効果が得られることがわかっており、化粧品原料や健康食品素材など美容・健康分野、さらにはエラスターゼ抑止効果や遊離基抑止効果を生かした製薬分野において有用なものである。
【0004】
従来、こんにゃく芋から有効成分を得る方法として、有機溶媒による抽出法がしられているが(例えば、特許文献1参照)、該こんにゃく芋抽出物にはこんにゃく芋に由来するトリメチルアミンやジメチルアミンを主成分とした臭気物質が含まれており、このまま化粧品原料や健康食品素材として使用するには問題があった。本発明者らは、その点に関しても、鋭意検討を行い、抽出物を水と混和する適当な有機溶剤に溶かした後、水に分散させ、かかる悪臭アミン類を水相に移行させた後、塩類や糖類、または凝集剤を用い、抽出物を凝集後回収する方法により、効果的に除去することに成功し、この方法及びこの方法で得られる悪臭アミン物質の除去された抽出物についても既に出願をしている(特願2001−162136号)。
【0005】
【非特許文献1】
河野圭助他著「福島県ハイテクプラザ試験研究報告」1994年、VOL.1993、p.115−117
【非特許文献2】
関志比子著「医学研究」、昭和51年11月、第46巻、第5号、p.22〜40
【特許文献1】
特開2002−38183号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法によっても、悪臭アミン物質に関しては効果的に除去できるものの、得られる抽出物には依然、特異的な臭気が残るという問題点があった。
【0007】
本発明は、有効成分を含有するこんにゃく芋抽出物を化粧品原料や健康食品素材として使用する場合に問題となる悪臭を、より低減したこんにゃく芋抽出物およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来方法が、抽出物中に含まれる脂肪酸を利用した酸性条件下での処理であり、アミン類のような塩基性物質に対しては効果的に除去できるが、非塩基性物質に対しては効果が薄い可能性もあることに着目し、依然残る臭気物質の解明とその除去方法についてさらに鋭意検討を進めた。
【0009】
その結果、依然残る臭気は、アセトアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナールなどの短鎖〜中鎖アルデヒドによるものであることを突き止め、さらに熱処理条件を工夫することで、抽出物に含まれる有用成分の分解を抑えつつこれらアルデヒドを除去できるという知見を得て本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明の第一は、(1)こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出されたこんにゃく芋抽出物であって、炭素数2〜10のアルデヒドの含有量が5mg/kg以下であることを特徴とするこんにゃく芋抽出物を要旨とするものである。
本発明の第二は、(2)こんにゃく芋に有機溶剤を添加し、こんにゃく芋抽出物を抽出し、次いでかかる抽出物を、水と接触させた後、加熱処理の後、油相と水相を分離し、油相を回収する(1)に記載のこんにゃく芋抽出物の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で抽出原料として使用するこんにゃく芋は、こんにゃく芋そのままでも良いし、乾燥、すりつぶし、粉砕、加熱などの操作によって加工されていてもよい。また、こんにゃく精粉、こんにゃく荒粉、こんにゃくトビ粉でも良いし、食用として市販されているこんにゃくでも良い。これらの中で好ましい例としては大量に廃棄されるものであり、安価に入手できることから、こんにゃくトビ粉を使用することが好ましい。
【0012】
本発明で抽出溶媒として使用する有機溶剤としては、こんにゃく芋中の有用成分と抽出中に反応するなどして、本発明の効果を損なうものでなければいかなるものでも使用でき、また、1種類の溶媒を単独で用いても、2種以上の複数の溶媒を混合して用いても良い。かかる有機溶剤の例としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの1価の1級アルコール類、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのその他のアルコール類、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの含酸素系極性有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ピリジンなどの含窒素系極性有機溶剤、ジクロルメタン、クロロフォルム、トリクロルエチレンなどの含ハロゲン系極性有機溶剤、ヘキサン、イソオクタンなどの無極性あるいは低極性の有機溶剤が挙げられ、場合によっては、水、さらには、高圧液化状態または超臨界状態にある二酸化炭素やエタン、トリフルオロメタンなどの高圧流体などを用いることも可能である。この中では、食品や食品添加物に抽出物を用いる場合であれば、エタノールを基本に、アセトン、ヘキサン、水、超臨界等の状態にある二酸化炭素を必要に応じて混合することが望ましい。
【0013】
抽出に使用する有機溶剤の量は、原料となるこんにゃく芋に対して好ましくは1〜30倍量程度、さらに好ましくは1〜10倍量程度が良い。溶剤の使用量がこの範囲以下であれば、原料全体に溶剤が行き渡らず、抽出が不十分になる恐れがあり、この範囲を超える量の溶剤を添加してももはや抽出量に影響はなく、後の濃縮工程での溶剤除去作業の負担が増えるのみである。
【0014】
抽出温度は、使用する溶剤の沸点にもよるが、好ましくは、0℃から80℃、さらに好ましくは室温程度から60℃の範囲がよい。抽出温度がこの範囲以下であれば、抽出効率が低下し、この範囲以上の温度をかけても抽出効率に大きな影響はなく、いたずらにエネルギー使用量が増えるのみである。
【0015】
抽出時間は、1〜48時間、好ましくは2〜20時間である。抽出時間がこの範囲より短いと、十分に抽出が行われず、この範囲を超えて長く時間をかけて抽出を行っても、もはや抽出量の増大は見込めない。
【0016】
なお、抽出操作は1回のみの回分操作に限定されるものではない。抽出後の残渣に再度新鮮な溶剤を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶剤を複数回抽出原料に接触させることも可能である。すなわち、抽出操作としては、回分操作、半連続操作、向流多段接触操作のいずれの方式も使用可能である。また、ソックスレー抽出など公知の抽出方法を使用してもよい。
【0017】
次に、抽出残渣を分離除去する。分離の方法は特に限定されず、例えば吸引ろ過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、ろ過遠心機などの公知の方法を用いることができる。
【0018】
このようにして得られた抽出液は濃縮工程に送られる。濃縮方法は特に限定されず、例えばエバポレーターのような減圧濃縮装置やエバポール(大川原製作所)のような遠心式薄膜真空蒸発装置を用いたり、加熱による溶剤除去により、濃縮することができる。なお、抽出溶剤に超臨界流体を用いた場合では、抽出後に放圧操作を行うことのみにより、溶媒除去が行え、濃縮工程は割愛することが可能である。
【0019】
本発明の製造方法においては、こんにゃく芋由来の独特の臭気を除去せしめるため、以下の工程を濃縮後の抽出物に対し行うことが必要である。すなわち、抽出物を水と接触させ、その後加熱処理を行なうものである。この工程の各要素を以下に説明する。
【0020】
まず、抽出物を水に分散させ、水溶性悪臭物質を水相に移行せしめる。用いられる水の量としては、抽出物に対し1〜500倍量が好ましく、さらに好ましくは2〜100倍量である。水の量が1倍量未満であれば充分に悪臭物質の除去が行えず、500倍量を超えても悪臭物質の除去効果に対する影響は最早ないため好ましくない。この際、抽出物を、抽出物に対して良溶媒であるような溶剤1〜50倍量、好ましくは1〜10倍量にあらかじめ溶解させてから、水に投入すると、より分散をスムーズに行うことが出来る。このような溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの1価の1級アルコール類、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのその他のアルコール類、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの含酸素系極性有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ピリジンなどの含窒素系極性有機溶剤、ジクロルメタン、クロロフォルム、トリクロルエチレンなどの含ハロゲン系極性有機溶剤などが挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの溶媒のうち、特に好ましく用いられる溶媒としては、水に対する溶解性が高く、抽出物の水への分散をスムーズに行うことが出来るという点と、毒性の低さから、エタノールが挙げられる。
【0021】
なお、用いられる水は、硬度、塩濃度、pH、消毒用塩素濃度などの影響はなく、いかなる水でも使用できる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、乳化剤などを添加して用いることも出来る。
【0022】
抽出物を水に分散させる際、効率よく分散させるため、何らかの方法で撹拌を行うことが望ましい。撹拌の方法は特に制限されず、マグネティックスターラー、メカニカルスターラー、ミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機など、公知の方法を使用することができる。
【0023】
撹拌は、油水の分相操作を行うまで続けることが望ましく、撹拌開始から油水の分相操作を行うまでの望ましい時間は2分〜24時間、さらに望ましくは10分〜3時間である。水と接触させる時間がこの範囲より短いと十分に脱臭できない可能性があり、この範囲より長いと、もはやさらなる脱臭は期待できず、場合によっては有害な微生物が増加することがある。
【0024】
油相と水相の相境界を、よりはっきりと速やかに出現せしむため、水溶性の有機または無機塩類の添加を行っても良い。このような塩の例としては、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。この中では、食品用途に、抽出物を用いる場合、塩化ナトリウムの使用が、安全性、価格面から好ましい。
【0025】
塩類の添加量は、水相の水の量に対する25℃での飽和濃度の1/10〜10倍、望ましくは、1/5〜3倍の量であるとよい。これ以下の塩濃度であれば、抽出物が油相を形成するには不十分であり、これ以上の塩を加えても、最早油相形成に対する効果の向上は認められない。
【0026】
塩添加後、油滴もしくは油分の凝集物の形成が見られた後、撹拌を止めた後、加熱処理を行う。加熱処理は後述する油水分離操作後、回収された油相に対して行ってもよいし、油水分離操作前に水相ごと行ってもよい。なお、油水分離操作前に加熱処理を行うと、油相は浮上し水相との間に相境界を容易に形成し得るようになる。
【0027】
油水分離操作後に得た油相に対して加熱処理を行う場合は、局所的に高熱がかかることを防ぐため、ウオーターバス、オイルバスなどの流体媒体を介した加熱装置を用いて行うことが望ましいが、油水分離操作前に水相ごと加熱処理を行う場合は、直接熱源を用いて加熱を行うことが出来る。この場合、ホットプレートや、電熱線、バンドヒーターなどの抵抗線を用いた加熱装置や、ガスコンロや炭火などの直火型のものなどを用いることが出来る。
【0028】
ウオーターバス、オイルバスなどの媒体を介在させて加熱する装置の場合では、60〜150℃の範囲で加熱すればよく、望ましくは70℃〜100℃の範囲である。また、水相ごと直接熱源を用いて加熱する場合では、上部油相の温度が60〜150℃の範囲になるように加熱すればよく、望ましくは70〜100℃の範囲、さらに望ましくは上部油相が穏やかに沸騰する条件で加熱を続ければよい。温度がこの範囲を下回ると加熱による脱臭効果が十分に発揮できず、一方この範囲を上回ると有効成分の分解が顕著に起こるようになるため好ましくない。
【0029】
加熱を継続させる時間は、上記温度範囲に達してから、望ましくは10分以上、24時間以内、さらに望ましくは30分以上、3時間以内である。加熱時間がこの範囲に満たないと加熱による脱臭効果が期待できず、一方この範囲を超えると最早脱臭効果の向上は認められずいたずらにエネルギー消費量を増大させるのみである。
【0030】
油水の分液は、加熱処理の前、後いずれに行っても良いが、油相の流動性が常温では低い場合は、加熱処理後に冷めないうちに行うことが望ましい。なお、分液操作は、従来公知の何れの方法で行っても良い。そのような分液操作の例としては、分液漏斗を用いる方法、下部に廃液口をもうけたタンク等容器を用いたデカンテーション、上部油相または下部水相のいずれかをサイフォンやポンプを用いて吸い出す方法などが挙げられる。加熱処理の前に油水分離を行うときは、油滴、あるいは油成分の凝集状態にもよるが、油滴あるいは油成分の凝集物を、柄杓等ですくい出す、あるいは加圧濾過装置、減圧濾過装置などの濾過装置を用いる、さらには遠心分離などの方法で、油水分離をする方法が考えられる。
【0031】
以上の水洗操作、油水分相操作、加熱操作および分液操作は、抽出物に対し、一度のみ行うことも、複数回連続して、繰り返し行うことも可能である。また、複数回行う場合、全ての操作を常に毎回行う必要はなく、たとえば、2度目以降は加熱操作を省くなどしてもよい。
【0032】
複数回行う場合、前の回で得られた油相をそのまま、再度新しい水に分散させて水洗作業を行うことが出来る。この場合、分散がうまく進まない場合、抽出物の良溶媒を少量加えることで、分散させることが出来る。そのような溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの1価の1級アルコール類、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのその他のアルコール類、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの含酸素系極性有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ピリジンなどの含窒素系極性有機溶剤、ジクロルメタン、クロロフォルム、トリクロルエチレンなどの含ハロゲン系極性有機溶剤などが挙げられる。なお、これらの溶媒は、水に油相を分散させる前に、油相に加えても良いし、油相を水に分散させた後、撹拌しながら加えても良い。
【0033】
さらに、本発明の製造方法の脱臭効果を一層向上させる目的で、水と接触させる工程において添加物を添加することができる。添加物については本発明の効果を損なうものでない限りいかなるものでも使用可能である。かかる添加物として好ましいものとしては例えば、茶葉、茶抽出物、茶がら、コーヒー粕、小麦胚芽エキス、バラ科植物抽出物、ヨモギエキス、イチョウ葉エキス、柿の葉エキス、柿果実エキス、柿渋、シクロデキストリン、葉緑素、リンゴ酸、酢酸、乳酸などの有機酸類、活性炭、多孔質吸着材などが挙げられ、特に好ましい例としては茶抽出物、小麦胚芽エキス、有機酸類が挙げられる。
【0034】
最終的に得られた油相は、そのまま濃縮乾固し、抽出物を得ても良いし、目的成分のさらなる純度向上を目的として、あるいは抽出から本発明の脱臭工程までに混入する外来性不純物の除去を目的として、本発明の趣旨を損なわない範囲で、さらに精製することが出来る。そのような精製方法は特に限定されず、アルカリ処理や酸処理、有機溶剤による分画、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、多孔質樹脂カラムクロマトグラフィーなどの常法を用いることができる。
【0035】
本発明のこんにゃく芋抽出物は、上述したような方法により得られるものであって、そこに含まれる炭素数2〜10のアルデヒドが5mg/kg以下であるものである。本発明で言うところのアルデヒドとは、揮発性が高く、悪臭成分として、著名である炭素数2〜10の直鎖状および分岐状の構造を有する飽和乃至不飽和のものを言い、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ペンタナール、n−ノネナールなどが挙げられる。アルデヒドの含有量が5mg/kgを超える場合には、こんにゃく芋抽出物は独特の臭気を有し、化粧品用途や健康食品素材としては使用に耐えるものではない。なお、上述の方法を用いることによって、アミン類、特にジメチルアミン、トリメチルアミンも同時に除去することができるため、本発明のこんにゃく芋抽出物中のジメチルアミン、トリメチルアミンの総含量も低減されており、望ましくは50mg/kg以下になっているものである。ジメチルアミン、トリメチルアミンの含有量が50mg/kgを超える場合には、こんにゃく芋抽出物は独特の臭気を有し、化粧品用途や健康食品素材としては使用に耐えるものではない。
【0036】
本発明のこんにゃく芋抽出物は、小麦、米などの穀類、大豆などの豆類と比較して、皮膚の保湿に重要な役割をするスフィンゴ糖脂質を多量に含有することから、食品や化粧品に添加することによって優れた効果をもたらすものである。該食品としては例えば健康食品、健康飲料をはじめ、パン、うどん、そば、ご飯等主食となるもの、クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、チューインガム、ヨーグルトなどの菓子類、清涼飲料水、酒類、コーヒー、茶、牛乳などの飲料が挙げられる。該化粧品としては例えば化粧水、乳液、モイスチャークリーム、日焼け止め、日焼け用化粧品、パック、ファンデーション、おしろい、ほお紅、アイメークアップ、香水、オーデコロン、リップクリーム、口紅等皮膚に塗布するもの、養毛料、育毛料、ポマード、セットローション、ヘアスプレー、染毛料、ヘアトニック、まつげ化粧料等毛髪に塗布するもの、洗顔クリーム、洗顔石鹸、シャンプー、リンス、トリートメントなど洗顔や洗髪に利用するもの、さらには浴用剤などが挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、以下の実施例において用いた測定装置、測定方法について説明する。
(1)ジメチルアミン、トリメチルアミンの定量方法
トリメチルアミン、ジメチルアミンの定量にはガスクロマトグラフィー(GC)を用いた。日立製163型を用い、カラムには担体にChromosorbW(AW−DMCS)の80〜100メッシュのもの、パッキングにはThermon-1000+KOHを5+2質量%用いた。キャリアガスには窒素を用い、65℃で測定してFIDディテクターによって120℃で検出した。
【0038】
(2)アルデヒドの定量方法
アルデヒドの定量と同定にはガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリー(GC−MS)を用いた。本体は、サ−モクエスト社GCQ型を用い、カラムは、CP PoraPLOT Qを用いた。キャリアガスは、ヘリウムを用いた。注入口温度は250℃、カラム温度は、40℃から、毎分20℃で昇温し、最終的には230℃とする条件で行った。マススペクトロメトリー部の条件は、イオン化法は電子衝撃法で、電圧は、70eVとした。イオン源温度は200℃で、スキャン速度は0.8sec/scanとした。
【0039】
(3)スフィンゴ糖脂質の定性方法
スフィンゴ糖脂質の定性にはシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用した。所定量の試料をシリカゲルプレート(メルク社製Sillicagel60F254タイプ、層厚0.5mm)にアプライし、クロロホルム:メタノール:水=87:13:2(容量比)の展開槽に導入し、展開した。展開後はシリカゲルプレートをドライヤーなどで乾燥し、硫酸噴霧して加熱することによって発色した。
【0040】
(4)スフィンゴ糖脂質の定量方法
スフィンゴ糖脂質の定量には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。Waters社製 LC Module1を用い、カラムはGLサイエンス社製Inertsil SIL100Aを用いた。溶媒はクロロホルム:メタノール=9:1(容量比)を用い、流速1.0mL/分で25℃で測定した。検出には光散乱検出器(ALLTECH社製 500ELSDを用いた。
【0041】
(5)臭いに関する官能試験
男性15人、女性15人からなる被験者に臭いをかいでもらい、くさい:2点、少しくさい:1点、くさくない:0点で評価してもらった。結果は30人の合計点で表した。
【0042】
製造例1
こんにゃくトビ粉1kgを攪拌槽に仕込み、そこにエタノール2Lを加え、常温で2時間攪拌した。その後、ろ過により抽出液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターにより濃縮し、茶褐色の蝋状濃縮物10.7gを得た。これを上記の定量方法に基づいてアルデヒド類、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。
【0043】
実施例1
製造例1において得られたトビ粉抽出物10.0gを40.0mLのエタノールに溶解させ、内容積300mLのガラス製容器Aに準備した、90mLの水中に攪拌しながら導入し、そのまま分散状態で攪拌した。30分経過後、容器Aに塩化ナトリウム20.0gを導入し、さらに10分間攪拌した。その後撹拌を止め、容器Aをホットプレート上に移し、沸騰するまで加熱し、さらに沸騰状態を保ったままホットプレート上に1時間静置した。その後容器Aの内容物を全て分液漏斗に移し、下部に黄色透明な水相が、上部に黒褐色の油相が出現していることを確認の後、下部水相を流し出した。上部油相に再度エタノール40.0mLを加え、不溶分をブフナー漏斗を用い、濾別除去し、濾液をエバポレーターにて濃縮乾固し、脱臭後の抽出物7.7gを得た。これを上記の定量方法に基づいてジメチルアミン、トリメチルアミン、アルデヒド、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。この処理を行うことによって、アルデヒドが効率よく除去でき、臭いも軽減された。さらにスフィンゴ糖脂質の含有率を向上させることができた。
【0044】
実施例2
実施例1で得られた脱臭処理後の抽出物を再度エタノールに溶解し、実施例1と同様の脱臭処理を行った。得られた抽出物の重量は6.3gとなった。これを上記の定量方法に基づいてジメチルアミン、トリメチルアミン、アルデヒド、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。本発明による処理を複数回繰り返すことによって、アルデヒドが効率よく除去でき、臭いがさらに軽減された。スフィンゴ糖脂質の含有率もより向上させることができた。
【0045】
実施例3
実施例1において水分散状態で攪拌する際に緑茶の熱水抽出物1gを添加した以外は同様に処理を行った。得られた抽出物は7.8gであった。これを上記の定量方法に基づいてジメチルアミン、トリメチルアミン、アルデヒド、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。水での脱臭処理に茶抽出物を添加することによって、アルデヒドの含有量はほとんど変化なかったが、官能試験において脱臭の効果が促進されていることがわかった。
【0046】
比較例1
製造例1において得られたトビ粉抽出物10.0gを40.0mLのエタノールに溶解させ、内容積300mLのガラス製容器Aに準備した、90mLの水中に攪拌しながら導入し、そのまま分散状態で攪拌した。30分経過後、容器Aに塩化ナトリウム20.0gを導入し、さらに10分間攪拌した。その後撹拌を止め、容器Aを内容物ごと40℃に保たれている恒温機に移し、1時間静置した。その後容器Aの内容物を全て分液漏斗に移し、下部に黄色半透明な水相が、上部に黒褐色の粘稠な油相が出現していることを確認の後、下部水相を流し出した。上部油相に再度エタノール40.0mLを加え、不溶分をブフナー漏斗を用い、濾別除去し、濾液をエバポレーターにて濃縮乾固し、脱臭後の抽出物7.2gを得た。これを上記の定量方法に基づいてジメチルアミン、トリメチルアミン、アルデヒド、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。水洗後の熱処理がないと、こんにゃく特有のアミン臭は除けるものの、不快な臭気が依然、残っており、ガスクロマトグラフィーの分析からも、この臭い成分はアルデヒドであることが理解できた。
【0047】
比較例2
製造例1で得られた抽出物10.0gを真空乾燥機にて減圧下70℃で10時間乾燥した。乾燥後も重量に変化はなかった。これを上記の定量方法に基づいてジメチルアミン、トリメチルアミン、アルデヒド、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。真空乾燥でも、ある程度の脱臭効果はあり、実際に、アルデヒドの含量も減少しているが、充分ではない。
【0048】
比較例3
製造例1で得られた抽出物10.0gを真空乾燥機にて減圧下160℃で3時間乾燥した。乾燥後も重量に変化はなかった。これを上記の定量方法に基づいてジメチルアミン、トリメチルアミン、アルデヒド、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果は表1に示す。高温での真空乾燥によって、臭い除去は、ほぼ完全に達成されるものの、スフィンゴ糖脂質の含量が大幅に低下しており、すでに分解が起こっていることが理解できた。この温度では、臭い除去には有効であるものの、目的成分の安定性が損なわれてしまうことがわかった。
【0049】
【表1】
Figure 0004451055
【0050】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、こんにゃく芋抽出物中の有効成分の分解を抑えつつ、臭気成分であるアルデヒドを効率良く除去することができるため、得られたこんにゃく芋抽出物は化粧品原料や健康食品素材として使用するにあたって有効なものとなる。

Claims (2)

  1. こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出されたこんにゃく芋抽出物であって、炭素数2〜10のアルデヒドの含有量が5mg/kg以下であることを特徴とするこんにゃく芋抽出物。
  2. こんにゃく芋に有機溶剤を添加し、こんにゃく芋抽出物を抽出し、次いでかかる抽出物を、水と接触させた後、加熱処理の後、油相と水相を分離し、油相を回収することを特徴とする請求項1に記載のこんにゃく芋抽出物の製造方法。
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