JP3674256B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット式記録装置に関し、特に、記録ヘッドにキャップ部材を密着させて行うインクの吸引動作機能を有するインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録ヘッドにキャップ部材を密着させて行うインクの吸引動作機能を有するインクジェット記録装置、及び前記インクの吸引動作の動作方法に関しては、特公平3−61593号公報に記載されている。
【0003】
この公報に記載されているインク吸引動作は、記録ヘッドのインクを吐出するノズル開口部にキャップ部材を密着させ、前記キャップ部材内を負圧にして前記ノズル開口を介して前記記録ヘッド内のインクを吸引する。次に、大気開放弁を開き、キャップ部材内を大気に連通させてキャップ部材内に残留するインクを吸引する。更にキャップ部材を記録ヘッドから引き離す工程からなるものである。
【0004】
このインク吸引動作において、吸引後キャップ部材内を大気に連通させてキャップ部材内に残留するインクを吸引する工程を有することで、キャップ部材を記録ヘッドから引き離す際に、ノズル開口内への気泡の侵入やキャップ部材からのインクの飛び散りをかなり防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したインクの吸引動作において、記録ヘッドのインクを吐出するノズル開口部にキャップ部材を密着させ、前記キャップ部材内を負圧にして前記ノズル開口を介して前記記録ヘッド内のインクを吸引する際、キャップ部材の大気導入口から大気開放弁までの管路が長いと、管路内から吸引された空気と記録ヘッドから吸引されたインクとがキャップ部材内で混じり合い、インクの泡立ちが発生する。そして、この泡立ったインクが記録ヘッドのノズル開口部に付着した状態で、大気開放弁を開放すると、インクの微小気泡がノズル開口部内に逆流し、ノズル開口の吐出不良を招くことがあった。インクの微小気泡がノズル開口内に逆流しないように、緩やかに大気開放弁を開放することも考えられるが、その間にインクが必要以上に吸引されるため、インクの消費量が増大し、好ましいものではない。
【0006】
また、従来のインクジェット式記録装置にあっては、ノズル開口部にキャップ部材を密着させた際、キャップ部材に設けられた大気導入口と記録ヘッドのノズル開口とが、上下の関係をもって一致する位置に配設されていたために、この泡立ったインクが記録ヘッドのノズル開口に付着し易く、また大気開放弁開放時に、キャップ部材内に流入する空気流が、記録ヘッドのノズル開口に直接当たり、ノズルに形成されているメニスカスを破壊することがあった。
【0007】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであって、第1の目的とするところはインク吸引動作において、インクの泡立ちを極力抑え、しかも記録ヘッドのノズル開口に対するインクの泡立ちの影響を極力少なくすることであり、第2の目的とするところは大気開放弁開放時のメニスカスの破壊を防止することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような技術的課題を解決するためになされた本発明は、インクジェット式記録ヘッドと、記録ヘッドのノズル開口を覆うキャップ部材を有するキャップ手段と、キャップ部材内に形成され大気を導入する大気開放口と、キャップ部材の内圧を制御するために大気導入口と接続される大気開放弁と、キャップ部材の内部を負圧にするために、キャップ部材内に形成されたインク吸引口に接続された吸引ポンプとを備えたインクジェット式記録装置であって、大気開放弁は、記録ヘッドが設けられたキャリッジの移動に伴って回動自在に形成された操作レバ−と、操作レバ−の一端に係合され、キャップ部材の大気導入口に挿入されたバルブ軸と、バルブ軸の軸線に沿って一端側から他端側に連続的に形成された溝部と、バルブ軸のほぼ中間の外周部に形成された弁体と、弁体をキャップ部材の外側底面部に押圧し、大気導入口を常時閉塞状態に置くスプリングとを備え、操作レバ−の回動によって、スプリングの反発力に抗して弁体を開くように構成されていることが望ましい。このように大気導入口にバルブ軸を挿入し、バルブ軸に一端から他端へ連続的な溝を形成し、弁体をキャップ部材の外側底面部に配置することで、大気導入口から大気開放弁までの管路の容積を少なくすることができ、管路内から吸引された空気と記録ヘッドから吸引されたインクとがキャップ部材内で混じり合うことによって発生するインクの泡立ちを極力抑えることができる。
また、大気開放弁は、記録ヘッドが設けられたキャリッジの移動に伴って回動自在に形成された操作レバ−と、操作レバ−の一端に当接し、操作レバ−の回動に伴って大気導入口内を上下動するバルブ軸と、バルブ軸の上端部に形成され、バルブ軸の上下動に伴って、大気導入口の開閉を行う弁体と、弁体をキャップ部材の大気導入口を常時閉塞状態に置くスプリングとを備え、操作レバ−の回動によって、スプリングの反発力に抗して弁体を開くように構成しても良い。ここで、弁体は記録ヘッドに面する側を湾曲面とし弁体を封止する面を略水平面とした形状に形成され、キャップ部材内に侵入する空気がノズル開口に直接当たらないように構成されてるのが望ましい。このようにキャップ内に弁体を配置することで大気導入口から大気開放弁までの管路を無くすことができ、管路内から吸引された空気と記録ヘッドから吸引されたインクとがキャップ部材内で混じり合うことによって発生するインクの泡立ちを抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明のインクジェット式記録装置の印刷機構周辺の概要を示すものであって、図中符号1はキャリッジで、ガイド部材2に支持されるとともに、タイミングベルト3を介してパルスモータ23に接続されていて、プラテン5に平行に往復動可能に構成されている。
【0016】
キャリッジ1にはインク溶媒の蒸発速度が異なるインクを吐出するノズル開口列を備えた記録へッド、この実施形態ではインク乾燥度合が比較的高い黒色印刷用インクを吐出するノズル開口列を備えた第1インクジェット式記録ヘッド7と、カラー印刷用インクを吐出するノズル開口列を備えた第2インクジェット式記録ヘッド8(図5)とが、印刷方向、キャリッジ1の移動方向に一定の間隔で設けられ、これら各記録ヘッド7、8の上部には黒色印刷用インクカートリッジ9と、カラー印刷用インクカートリッジ10が着脱自在に搭載されている。また、印刷領域外には各記録ヘッド7、8からのインクの吐出を受けると共に、非印刷時に記録へッド7、8を封止するキャップ装置12が設けられている。
【0017】
このような構成によりフレキシブルケーブル11を介して図示しないヘッド駆動回路からの駆動信号を受けると、記録ヘッド7、8はインクカートリッジ9、10からインクの供給を受け、記録用紙6に黒色、及び有色のドットを形成する。
【0018】
図2は、前述のキャップ装置近傍の上面を示す図であって、図中符号20は、紙送りローラで、回転軸21の一端に固定された歯車22により紙送りとポンプ駆動を兼ねたパルスモータ24に接続されていて、記録用紙6を印刷工程に合わせて搬送するものである。図中符号12は、前述のキャップ装置で、キャリッジ1の移動に連動して2つの記録へッド7、8のノズル開口面を覆うキャッピング位置と、ノズル開口面から離れる非キャッピング位置との2位置を占めるスライダ30に、弾性材料によりカップ状に形成された第1キャップ部材31、第2キャップ部材32が設けられている。これらキャップ部材31、32は、それぞれ対応する第1記録ヘッド7と第2記録へッド8を密封可能で、しかも離間した状態で各記録へッド7、8から吐出されるインク滴を確実に受け止めることができる開口面積に設定されている。
【0019】
第1、第2キャップ部材31、32は、図3に示すようにその吸引口31a、32aをそれぞれポンプ37、38の一部を構成するチューブ33、34の一端に接続されていて吸引力を受けるようになっている。
【0020】
第1、第2のチューブポンプ37、38は、輪列40(図2)を介してパルスモータ24に選択的に接続されて、モータ24の逆転時には第1チューブポンプ37だけが吸引動作を、また正転時には第2チュープポンプ38だけが吸引動作を行うようになっている。
【0021】
次に、図3、図5に基づいてキャリッジ1及びキャップ装置12について、詳細に説明する。なお、図3はキャップ装置の平面を示す図であり、図5はキャリッジ及びキャップ装置の側面を示す図である。
【0022】
図中符号30はスライダで、キャリッジ1に搭載された2つの記録ヘッド7、8の間隔に一致させて第1、第2のキャップ部材31、32が、軸31c、32cにより揺動可能に設けられている。なお、図4に示すように、キャップ部材31、32の内部には吸収材31d、32dが納められている。
【0023】
図中符号41、42は、第1、第2ガイド片で、キャリッジ1の第1、第2記録ヘッド7、8の幅に合わせて両側に配置され、またキャリッジ1が所定位置にセットされた時、各記録ヘッド7、8に対向できる間隔を離して設けられている。またスライダ30の先端には係合片46が設けられていて、基台53に取り付けられたガイド部材47に当接、離間するようになっている。また、キャリッジ1が第1、第2キャップ部材31、32と第1、第2の記録へッド7、8とが対向する位置に移動したとき、キャリッジ1の下端の突起44に当接するフラッグ片45が、スライダ−30に設けられている。
【0024】
ガイド部材47には、スライダ30の抜けを防止する凸部47aと、スライダ30を記録へッド7、8の下端と空吐出に適した一定の間隔を形成する平面47bと、キャップ部材31、32を記録へッド7、8に弾接する位置を形成する平面47cとが形成されている。またガイド部材47の左端には後述する大気開放弁60の操作レバ−60aを押す押圧子47dが形成されている。
【0025】
一方、スライダ30は、その下部の中央にキャリッジ1の移動方向に直交する軸50が設けられていて、この軸50の両側を、下端が長溝52aを介して基台53の軸54に揺動可能に取り付けられたレバ−52に遊嵌されている。そしてスライダ30は、下端が基台53に固定されて印刷領域側に傾斜して非印刷領域側に座屈ぎみにセットされたコイルバネ56の上端に取り付けられている。
【0026】
これにより非キャッピング時には、図6に示すように、スライダ30は、一端をガイド部材47の斜面47bの最下端に、また中央部をレバ−52に規制されながらコイルバネ56により印字領域側に付勢されて、各キャップ部材31、32は記録ヘッド7、8に接することなく、空吐出に適した間隔gを形成できる位置を維持することができる。なお、この非キャッピング時(空吐出時)には前述のチューブポンプの吸引動作によりインクはキャップ部材31、32外に排出される。
【0027】
更に、図4に基づいてキャップ装置12を構成するキャップ部材31、32及び大気開放弁60について説明する。
【0028】
図4(a)はキャップ部材31、32の平面図であって、図中、キャップ部材31、32で記録ヘッド7、8を覆った状態(密着状態)時の記録ヘッドのノズル開口位置を、2点鎖線で示している。図に示すように、大気導入口31b、32bは記録ヘッド7、8のノズル開口(図中、2点鎖線で示す)の間に配設されている。すなわち、大気導入口31b、32bは記録ヘッド7、8のノズル開口の真下に位置しない位置に配されている。このように、記録ヘッド7、8のノズル開口の真下に配されていないため、大気開放弁60を開放した際、キャップ部材31、32に導入される空気(大気)が記録ヘッド7、8のノズル開口に、直接当たることがないため、ノズル開口に形成されているメニスカスを破壊することはない。
【0029】
また図4(b)に示すように、大気開放弁60には、押圧子47dによって押される操作レバ−60aがスライダ30に両端が固定された軸60bを中心に回動自在に形成されている。また前記操作レバ−60aの一端60cにはバルブ軸61が係合し、このバルブ軸61の先端部分は大気導入口31b、32b内に挿入されると共に、前記大気導入口31b、32b内を上下動可能に構成されている。また、このバルブ軸61には、図4(c)に示すように溝部61aがその軸線に沿って一端側から他端側に連続的に形成され、また図4(b)に示すように前記バルブ軸61のほぼ中間の外周部には弁体62が形成されている。
【0030】
更に、弁体62とスライダ30に固定された支持台63との間にスプリング64が介装され、前記弁体62は、スプリング64によってキャップ部材31、32の外側底面部に押圧された状態に置かれている。即ち、大気開放弁60は常時閉塞状態になされている。
【0031】
このように大気開放弁60は構成されているため、押圧子47dが操作レバ−60aを前記スプリング64の反発力に抗しながら押圧することにより、操作レバ−60aは軸60bを中心に回動し、前記バルブ軸61は下方向に摺動する。このバルブ軸61が下方向に摺動することにより、弁体62はキャップ部材31、32の外側底面部から離れ、空気(大気)はバルブ軸61の溝部61aを介してキャップ部材31、32の内部に導入され、キャップ部材31、32の内部は、負圧状態から開放され大気と同じ状態となる。
【0032】
すなわち、図5に示すように、スライダ30をキャッピング位置まで移動させた状態にあっては、常時閉塞状態にある大気開放弁60によって、キャップ部材31、32の内部は密閉され、インク溶媒の揮散が防止される。そして、図7に示すようにスライダ30を、更に右方に移動させることにより、押圧子47dが操作レバ−60aを矢印方向に回動させることにより、常時閉塞状態にある大気開放弁60を開弁させて大気導入口31b、32bを開放しキャップ部材31、32内を大気と同じ状態になすように構成されている。
【0033】
次に、この様に構成したインクジェット記録装置の回復動作について説明する。
【0034】
2つの記録ヘッド7、8を搭載したキャリッジ1が図6中矢印Cで示す方向に移動すると、図2に示すキャリッジ1の下部に設けられた軸100を中心に矢印101に回動するレバー102が、斜面103に接触して回転され、この回転によりスライド歯車104がバネ105に抗して移動し、紙送り兼ポンプモータ24の動力がポンプユニット13に伝達される。このようにしてキャリッジ1が記録領域外に位置するスライダ30に到達すると、第1に記録ヘッド7がスライダ30に設けられている第2のガイド42に係合する。この状態で更にキャリッジ1が移動すると、第1の記録ヘッド7が第1のガイド41に、また第2の記録ヘッド8が第2のガイド42に係合することになる。これによりスライダ30がキャリッジ1に対応する姿勢に整列される。この状態で更にキャリッジ1が移動すると、キャリッジ1の先端に設けられている凸片44がスライダ30のフラッグ片45に当接する。これによりスライダ30の第1、第2のキャップ部材31、32は、キャリッジ1の第1、第2の記録ヘッド7、8を収容可能な位置に一定の間隔gを隔て対向する(図6)。
【0035】
この状態から更にキャリッジ1が右方に移動すると、スライダ30は、そのフラッグ片45がキャリッジ1の突起44を介してキャリッジ1からの力を受け、また上部がキャリッジ1の移動方向に座屈ぎみのコイルバネ56の付勢力を受けているレバー52の抵抗力を受けるため、前のめりとなりスライダ30の後端を上部に持ち上げようとする力が作用する。
【0036】
この結果、スライダ30は、軸50を回転支点として後部が持ち上がり、軸50より後部(記録領域側)に位置する第2のキャップ部材32が第2記録ヘッド8に最初に当接する。このとき、キャップ部材32は、スライダ30に或程度揺動可能に取り付けられ、またスライダ30もレバー52を介して基台53に揺動可能であるため、第2の記録ヘッド8にガイドされながら上昇して第2に記録ヘッド8を封止できる位置でこれに当接する。
【0037】
更に、キャリッジ1がケース13側に移動すると、コイルバネ56はキャリッジ1からの力に抗し切れなくなって座屈し始め、スライダ30を上部に持ち上げることになる。これによりスライダ30は、そのケース13側を第2のキャップ部材32を第2の記録ヘッド8に嵌装した状態でそのまま持ち上げられ、第1のキャップ部材31を第1の記録ヘッド7に嵌装することになる。いうまでもなく、スライダ30が基台53に対して揺動すとともに、第1、及び第2のキャップ部材31、32は、スライダ30に対して或程度揺動でき、しかも弾性部材で構成されているため、各記録ヘッド7、8の縁に案内されるように記録ヘッド7、8に填まり込む。
【0038】
この状態では、コイルバネ56が大きく座屈するため、スライダ30は、コイルバネ56の弾性力で上部に持ち上げられ、従って各キャップ部材31、32は、記録ヘッド7、8に弾接してこれを確実に密封する。このとき、大気開放弁60は常時閉塞状態にあるため、キャップ部材31、32の内部は密閉され、インク溶媒の揮散を防止することができることができる(図5)。
【0039】
また図5に示す状態において、吸引ポンプ37、38を駆動することにより、キャップ部材31、32内を負圧状態になすことができ、記録ヘッド7、8からインクが吸引される。
【0040】
そして、キャリッジ1が更に右方に移動すると、前記したように大気開放弁60が開放され、負圧状態にあるキャップ部材31、32内に大気が導入される(図7)。この状態において、再び吸引ポンプ37、38を駆動することにより、キャップ部材31、32内から吸引したインクを外部に排出することができる。
このインク吸引動作について、図11、図12に基づいて詳しく説明すると、キャリッジをキャッピング位置(図5)に移動させて、記録ヘッド1をキャップ部材12により封止し(図11(イ))、そして図11(ロ)に示すように吸引ポンプ37、38を所定時間だけ、高速駆動させてキャップ部材31内を負圧状態とする。
【0041】
この負圧によって、図11(ハ)に示すように記録ヘッド1から大量のインクがキャップ部材31、32に排出する。このとき、キャップ部材31、32から大気開放弁60には管路がないため、チュ−ブを介して大気開放弁に接続した構成のものに比べ、管路内の空気と記録ヘッド1から吸引されたインクとがキャップ部材内で混じり合い、インクが泡立つことがない。仮に泡立つことがあっても、記録ヘッド7、8のノズル開口間に大気導入口が設けられているため、記録ヘッド7、8のノズル開口に泡立ったインクの付着を防止することができる。
【0042】
このようにして、所定時間が経過して記録ヘッド1から排出されたインクによりキャップ部材31の負圧が略大気圧程度に弱まると、図11(ニ)に示すように記録ヘッド1からのインクの排出が停止する。
【0043】
インクの大量吸引終了後、キャップ部材31、32が略大気圧程度まで復帰した段階で、スライダ30を更に右方に移動させることにより(図7に示す状態)、図12(イ)に示すようにキャップ部材31に連通する大気開放弁60を開弁し、吸引ポンプ37、38を再び高速駆動させる。
【0044】
キャップ部材31、32にインクが大量に停滞しているから、大気開放弁60の開放によりキャップ部材31、32内のインクは、図12(ロ)に示すように初期に気泡を発生しながら吸引ポンプ37、38に吸引され、廃インクタンクに排出される。このときには、大気開放口より流入する空気はバルブ軸61に形成された溝部61aを経由することにより、その流路圧力損失のためにキャップ部材31、32の内部は、大気圧よりいくぶん低く保持され、気泡がノズル開口部内に逆流することが防止される。更に、記録ヘッド7、8のノズル開口間に大気導入口インク吸引口が設けられているため、記録ヘッド7、8のノズル開口に泡立ったインクの付着を極力防止することができる。
【0045】
そして、その後、スライダ30を左方に移動させることにより(図5、図6に示す状態)、図12(ハ)に示すように記録ヘッド1はキャップ部材1の封止から開放され、再び大気開放弁60が閉弁される。
【0046】
次に、大気開放弁の他の実施形態について図8に基づいて説明する。
図8(a)は図4(a)と同様にキャップ部材の平面図であって、図4(a)に示した大気導入口31b、32bと同様、大気導入口31b、32bは記録ヘッド7、8のノズル開口(図中、2点鎖線で示す)の間に配設されている。このように記録ヘッド7、8のノズル開口の真下に位置しない位置に、大気導入口31b、32bが配されているため、大気開放弁60を開放した際、導入される空気(大気)が記録ヘッド7、8のノズル開口に直接当たることがなく、ノズル開口に形成されているメニスカスの破壊を防止することができる。
【0047】
また図8(b)に示すように、大気開放弁60には、押圧子47dによって押される操作レバ−70aがスライダ30に両端が固定された軸70bを中心に回動自在に形成されている。また前記操作レバ−70aの一端70cにはバルブ軸71aの一端部が当接し、大気導入口31b、32b内を上下動可能に構成されている。このバルブ軸71の上端部には弁体71bが形成され、前記バルブ軸71aの上下動に伴って、大気開放弁70の開閉がなされるように構成されている。この弁体71bは、記録ヘッド1に面する側を湾曲面とし、大気開放弁70を封止する面を略水平面とした形状に形成され、いわゆるディフュ−ザを構成し、キャップ部材内に侵入する空気が直接ノズル開口に当たらないように構成されている。
【0048】
更に、キャップ部材31、32の外側底面部とバルブ軸71との間には、スプリング72が介装されている。前記弁体71bは、このスプリング72によって大気導入口31b、32bを常時閉塞した状態になしている。
【0049】
このように大気開放弁70は構成されているため、押圧子47dが操作レバ−70aを前記スプリング72の反発力に抗しながら押圧することにより、操作レバ−70aは軸70bを中心に回動し、前記バルブ軸71は上方向に摺動する。このバルブ軸71が上方向に摺動することにより、弁体71bはキャップ部材の大気導入口31b、32bから離れ、大気導入口31b、32bから空気(大気)はキャップ部材31、32の内部に導入され、キャップ部材31、32の内部は、負圧状態から開放され大気と同じ状態となる。このとき、導入される空気(大気)は弁体71bによって、図中の矢印で示すように水平方向に流れる。
【0050】
なお、図4、図8に示された大気開放弁にあっては、大気導入口31b、32b内にバルブ軸が挿入されているが、図9に示すように大気導入口31b、32b内にバルブ軸が挿入されないものであっても良い。すなわち大気開放弁80は、スプリング81の反発力に抗しながら、弁80aを下方に移動させることによって、大気開放弁80を開くように構成されている。
【0051】
また、図4、図8、図9に示された大気開放弁にあっては、大気開放弁はキャップ部材31、32の外側底面部に形成されている場合を示したが、図10に示すように、キャップ部材31、32の外側側壁部に形成しても良い。この場合、操作レバ−85はキャップ部材31、32に回動自在に枢着され、前記操作レバ−85の一端部に形成された弁体85aが大気導入口31b、32bを開閉するように構成されている。また前記操作レバ−85の他端部85bにスプリング87が介装され、弁体85aは常時閉塞状態になされる。したがって、前記した大気開放弁と同様、押圧子47dにより操作レバ−85が押圧された場合のみ、弁体85aが開かれる。
【0052】
このように、大気開放弁がキャップ部材の外側側壁部に形成されているため、大気開放弁開放時の空気流が記録ヘッドのノズル開口部に直接当たることがなく、ノズルに形成されているメニスカスの破壊を防止することができる。また、キャップ部材内でインクが泡立つことがないため、インクの微小気泡がノズル開口部内に逆流することもない。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明は、大気開放弁がキャップ部材に設けられているため、インク吸引動作において、インクの泡立ちを極力抑え、しかも記録ヘッドのノズル開口に対するインクの泡立ちの影響を極力少なくすることができる。その結果、インクの微小気泡のノズル開口部内への逆流を防止し、吐出不良を防止することができる。また、記録ヘッドのノズル開口部に対応する位置に大気導入口が配設されていないため、大気開放弁開放時に、キャップ部材内に導入される空気流が、記録ヘッドのノズル開口に直接当たることがなく、ノズル開口に形成されているメニスカスの破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録装置の印刷機構周辺の概要を示す図である。
【図2】キャップ装置近傍の上面を示す図である。
【図3】図2に示されたキャップ装置の上面を示す拡大図である。
【図4】キャップ部材に設けられた大気開放弁を示す図であって、(a)平面図、(b)は側面断面図、(c)はバルブ軸の斜視図である。
【図5】キャップ部材とキャリッジの動作状態を示す図であって、キャップ部材が記録ヘッドに密着した状態を示す側面図である。
【図6】キャップ部材とキャリッジの動作状態を示す側面図である。
【図7】キャップ部材とキャリッジの動作状態を示す図であって、キャップ部材が記録ヘッドに密着した状態において大気開放弁が開いた状態を示す側面図である。
【図8】大気開放弁の他の実施形態を示す図である。
【図9】大気開放弁の他の実施形態を示す図である。
【図10】大気開放弁の他の実施形態を示す図である。
【図11】インクの吸引動作を説明するための概略図である。
【図12】インクの吸引動作を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
7 (第1インクジェット式) 記録ヘッド
8 (第2インクジェット式) 記録ヘッド
9 黒色印刷用インクカートリッジ
10 カラー印刷用インクカートリッジ
12 キャップ装置
30 スライダ
31 第1のキャップ部材
31a インク吸引口
31b 大気導入口
32 第2のキャップ部材
32a インク吸引口
32b 大気導入口
47 ガイド部材
47d 押圧子
60 大気開放弁
60a 操作レバ−
61 バルブ軸
61a 溝部
62 弁体
63 支持台
64 スプリング
70 大気開放弁
70a 操作レバ−
71 バルブ軸
71b 軸
72 スプリング
80 大気開放弁
80a 弁体
81 スプリング
85 操作レバ−
85a 弁体
87 スプリング
Claims (3)
- インクジェット式記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル開口を覆うキャップ部材を有するキャップ手段と、前記キャップ部材内に形成され大気を導入する大気開放口と、前記キャップ部材の内圧を制御するために前記大気導入口と接続される大気開放弁と、前記キャップ部材の内部を負圧にするために、前記キャップ部材内に形成されたインク吸引口に接続された吸引ポンプとを備えたインクジェット式記録装置であって、
前記大気開放弁は、前記記録ヘッドが設けられたキャリッジの移動に伴って回動自在に形成された操作レバ−と、前記操作レバ−の一端に係合され、前記キャップ部材の大気導入口に挿入されたバルブ軸と、前記バルブ軸の軸線に沿って一端側から他端側に連続的に形成された溝部と、前記バルブ軸のほぼ中間の外周部に形成された弁体と、前記弁体を前記キャップ部材の外側底面部に押圧し、前記大気導入口を常時閉塞状態に置くスプリングとを備え、前記操作レバ−の回動によって、前記スプリングの反発力に抗して前記弁体を開くように
構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - インクジェット式記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル開口を覆うキャップ部材を有するキャップ手段と、前記キャップ部材内に形成され大気を導入する大気開放口と、前記キャップ部材の内圧を制御するために前記大気導入口と接続される大気開放弁と、前記キャップ部材の内部を負圧にするために、前記キャップ部材内に形成されたインク吸引口に接続された吸引ポンプとを備えたインクジェット式記録装置であって、
前記大気開放弁は、前記記録ヘッドが設けられたキャリッジの移動に伴って回動自在に形成された操作レバ−と、前記操作レバ−の一端に当接し、前記操作レバ−の回動に伴って前記大気導入口内を上下動するバルブ軸と、前記バルブ軸の上端部に形成され、前記バルブ軸の上下動に伴って、前記大気導入口の開閉を行う弁体と、前記弁体を前記キャップ部材の大気導入口を常時閉塞状態に置くスプリングとを備え、前記操作レバ−の回動によって、前記スプリングの反発力に抗して前記弁体を開くように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 前記弁体は、前記記録ヘッドに面する側を湾曲面とし、前記弁体を封止する面を略水平面とした、形状に形成され、前記キャップ部材内に侵入する空気が前記ノズル開口に直接当たらないように構成されていること特徴とする請求項2に記載されたインクジェット式記録装置。
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JP23470497A JP3674256B2 (ja) | 1997-08-29 | 1997-08-29 | インクジェット式記録装置 |
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JP23470497A Expired - Fee Related JP3674256B2 (ja) | 1997-08-29 | 1997-08-29 | インクジェット式記録装置 |
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