JP3673945B2 - サーモスタットの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気掃除機において、電動送風機のモータが一定の温度を超えたときは、自動的に給電を停止して過熱事故の発生を防止するために、モータに取付けたサーモスタットの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は電気掃除機の一例の平断面図、図5は図4の電動送風機の縦断面図である。
図4において、1は電気掃除機の本体で、2は本体1内の前面側に設けられた集塵室であり、本体1の前面に設けた吸込口(図示せず)に接続されたホース28と連通しており、内部には紙パックの如き集塵体3が着脱可能に装着されている。4は集塵室2の下流側に設けた隔壁で、複数の通気孔5が設けられている。10は隔壁4の下流側の一方の側に設けられた電動機室6内に設置された電動送風機で、その一例を図5に示す。
【0003】
図5において、11はモータケース、12はモータケース11の前面側にネジ13により固定されたモータフレーム、14は中心部に開口部14aを有し、モータフレーム12の前面側に取付けられたファンガイドで、内部には送風ファン15が配設される。
16はモータで、ロータ18を有する回転軸17は、モータケース11とモータフレーム12に設けた軸受19により回転自在に支持されており、その先端部には送風ファン15が固定されている。20は集電部で、電源(図示せず)からモータ16に給電するためのカーボンブラシ21の先端部が摺接している。22はロータ18の外周に配設されたステータ、23はモータケース11に設けた複数の排気穴である。
再び図4において、25は電動送風機10の他方の側に設けられたコード26を巻取り又は巻戻すコードリール、27は本体1の両側に設けた車輪である。
【0004】
上記のような電気掃除機において、電源をONして電動送風機10に通電すると、ホース28に接続された図示しない床用吸込具から床面等の塵埃を吸引する。そして、吸引された塵埃は集塵体3内に集められ、集塵体3を通過した空気は、隔壁4に設けた通気孔5か矢印で示すようにモータケース11内に導かれ、モータ16を冷却したのち排気穴23から外部に排気される。
【0005】
このように、モータ16は吸引した空気により冷却されるようになっているが、ホース28の詰りなど、なんらかの理由で風量が制限されると、発熱量が大きくなってモータ16が過熱し、故障や事故を招くおそれがある。
このため、一般に温度過昇防止のために、モータにサーモスタットを取付けて、モータが一定の温度を超えると、サーモスタットが作動してモータへの給電を自動的に停止するようにしている。
【0006】
図6〜図7は従来のモータへのサーモスタットの取付構造を示す説明図である。
図6は特開2000−308313号公報に記載されたもので、サーモスタットを保持する保持部52と、この保持部52に一体に連接された保持片53とを有するホルダ50を、モータケース11に設けた排気穴を利用してモータケース11の表面に取付けるようにしたものである(従来技術1)。
【0007】
また、図7は、サーモスタット51が設けられた取付板54を、モータケース11の外表面にビスで取付けたものであり(従来技術2)、さらに、図8は、サーモスタット51が設けられた取付板54を、ファンガイド14の背面側に取付けたものである(状来技術3)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1は、排気穴23を利用してサーモスタットを取付けているため、サーモスタットは主とて排気穴23の近傍の雰囲気温度しか検知できない。しかし、実際にモータロック等の異常が発生した場合には、送風ファン15の近傍の温度がまず上昇するため、サーモスタットが作動する前に送風ファン15の近辺の成型樹脂が変形などを生じるおそれがある。
また、サーモスタットを排気穴23の近傍に設置した場合、モータ16が異常を起しながらも回転を続けていると、モータ16を冷却した風がサーモスタットにあたって冷却されてしまうため、サーモスタットの温度検知の追従性が損なわれるという問題もある。
【0009】
また、従来技術2のように、サーモスタット51が設けられた取付板54をモータケース11の外表面にビスで固定した場合、モータケース11の外表面は曲面であり、サーモスタット51の熱感知部分は通常平面なのでモータケース11との密着性に乏しく、サーモスタット51の熱検知に安定性がない。また、従来技術1の場合と同様に、異常時に発熱する送風ファン15からの距離が遠いため、サーモスタット51の追従性に難がある。
【0010】
さらに、従来技術3のように、ファンガイド14の背面側にサーモスタット51を取付けた場合は、送風ファン15からの距離が近いため、サーモスタット51の熱検知の追従性は良いが、最近の高性能の小型モータではファンガイド14が小さくなる傾向にあり、このため、サーモスタット51をファンガイド14に取付けられない場合が多い。また、モータ16の異常時にはカーボンブラシ21が発熱する場合もあるが、このような場合は、サーモスタット51が離れているため、熱検知の追従性が低いという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、電気掃除機の異常発熱を早期に検知して、モータへの給電を確実に停止することのできるサーモスタットの取付構造を提供することを目的としたもである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るサーモスタットの取付構造は、送風ファンを内部に収納するファンガイドと、前記送風ファンを回転駆動する集電部やカーボンブラシを有するモータから成る電動送風機と、該電動送風機に取り付けられて所定温度で前記モータへの給電を停止するサーモスタットとを備えた電気掃除機において、前記電動送風機に、一端が前記ファンガイドの外周面に当接する接合部と、他端が前記モータ側に延在する保持片とを有する集熱板を設け、前記保持片の前記モータ側に前記サーモスタットを取付けたものである。
【0013】
(2)また、上記(1)の集熱板を、ファンガイドの外周形状に対応して円弧状に形成した接合部と、該接合部のモータ側に設けられて前記ファンガイドのフランジに係合する係合部と、該係合部から後方に延設されたサーモスタットの保持片と、前記接合部から下方に延設された固定片とによって構成したものである。
(3)また、上記(1)又は(2)の集熱板の接合部の前面側に係止爪を設けた。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るサーモスタットの取付構造の一実施の形態の側面図、図2は図1の斜視図、図3は図1の集熱板の説明図である。なお、図5の電動送風機と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明の一部を省略する。
【0015】
31はサーモスタット40を保持して電動送風機10に取付けられた集熱板である。この集熱板31は熱伝導の良好な金属材料からなり、図3に示すように、電動送風機10のファンガイド13の外周の形状に対応した円弧状に形成され、前面側に下方に折曲げられた係止爪33を有し、後面側(係止爪33の反対側)は上方に折曲げられてモータフレーム12(又はファンガイド14のフランジ)に係止する凸状の係止部34が形成された接合部32と、係止部34の後面側のほぼ中央部が下方に折曲げられたのち、嵌合部32より幅狭で後方にほぼ直交して延設されたサーモスタット40の保持片35と、この保持片35の両側において係止部34の後面側が下方に延設された一対の固定片36とかなり、固定片36にはそれぞれねじ挿通穴37が設けられている。なお、係止爪33と固定片36間の幅W1 は、モータフレーム12を含むファンガイド13の幅Wに対応している。
【0016】
40は取付片41を有するサーモスタットで、集熱板31の保持片35の下面に当接して取付けられており、その一方の端子は電源に接続され、他方の端子は制御基板(図示せず)に接続されている。なお、集熱板31は、図2(c)に示すように、接合部32の前面側に設けた係止爪33を省略してもよく、また、保持片35を係止部34の後面側の一方の側に設け、固定片36を他方の側に設けてもよい。
【0017】
次に、上記のようなサーモスタット40が取付けられた集熱板31の電動送風機10への取付手順の一例について説明する。
先ず、集熱板31に設けた一方の固定片36のねじ挿通穴37を、モータフレーム12に設けたモータケース取付用のねじ13に嵌合すると共に、接合部32をファンガイド14の外周面上に位置させ、係止爪33をファンガイド14の前面側に係止させ、係止部34をファンガイド14のフランジ(モータフレーム12)に係止させて、接合部32をファンガイド14の外周に嵌合又は当接する。このとき、保持片35はモータフレーム12の後方においてモータケース11上にほぼ水平に位置し、固定片36はモータフレーム12の後面に当接する。
【0018】
この状態でねじ13にナットを螺合すると共に、他方の固定片36のねじ挿通穴37にねじを挿通し、このねじ挿通穴37に対応してモータフレーム12に設けたねじ穴に螺入して、両者により集熱板31を電動送風機10に固定する。なお、固定片36のねじ挿通穴37をモータケース取付用のねじ13に嵌合してナットを螺合する場合を示したが、ねじ挿通穴37をねじ13に嵌合するだけで、ナットを省略してもよい。
【0019】
このとき、集熱板31の保持片35に取付けたサーモスタット40は、モータケース11に近接して対向し、また、カーボンブラシ21の比較的近くに位置する。そして、このようにサーモスタット40を有する集熱板31が取付けられた電動送風機10を電動機室6内に設置し、一方の端子を電源に、他方の端子を制御基板にそれぞれ接続すればよい。
なお、上記の説明では、モータフレーム12に設けたねじ13を利用して集熱板31を取付ける場合を示したが、一対の固定片36に設けたねじ挿通穴37にねじを挿通し、モータフレーム12に設けたねじ穴に螺入して固定するようにしてもよい。
【0020】
上記のようなサーモスタット40を有する集熱板31が取付けられた電動送風機10を備えた電気掃除機の使用は、従来と同様であるが、掃除中になんらかの理由でモータに異常が生じて送風ファン15の近傍の温度が上昇すると、その熱はファンガイド14を介して集熱板31からサーモスタット40に伝達され、その熱が所定の温度を超えるとサーモスタット40が作動し、モータ16への給電を停止するので、モータ16の異常を早期に検知して確実に処理することができる。
【0021】
また、サーモスタット40はカーボンブラシ21の近傍に位置しているので、カーボンブラシ21の異常発熱も早期に検知して確実に処理することができる。なお、サーモスタット40はモータケース11の排気穴23から離れた位置に設けられているので、排気穴23からの排気の影響を受けることはない。
【0022】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、モータの異常発熱を早期に検知して、モータへの給電を確実に停止することができるので、簡単な構造で事故や故障を生ずるおそれのない電気掃除機を得ることができる。
また、ファンガイドに固定した集熱板のサーモスタットを取付けた保持片をモータ側に位置させたので、モータアッセンブリの小型化をはかることができる。
さらに、集熱板の固定にあたり、モータケース取付用のねじを利用すれば、他方の固定片をねじで固定することにより、簡単かつ安定して取付けることができる。
なお、上記の説明では、図示の電気掃除機、電動送風機に本発明を実施した場合を示したが、他の構造の電気掃除機、電動送風機にも本発明を実施することができる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、送風ファンを内部に収納するファンガイドと、前記送風ファンを回転駆動する集電部やカーボンブラシを有するモータから成る電動送風機と、該電動送風機に取り付けられて所定温度で前記モータへの給電を停止するサーモスタットとを備えた電気掃除機において、前記電動送風機に、一端が前記ファンガイドの外周面に当接する接合部と、他端が前記モータ側に延在する保持片とを有する集熱板を設け、前記保持片の前記モータ側に前記サーモスタットを取付けるようにしたので、簡単な構造でモータの異常発熱を早期に検出することができ、モータへの給電を確実に停止することができる。
【0024】
請求項2に係る発明は、請求項1の集熱板を、ファンガイドの外周形状に対応して円弧状に形成した接合部と、該接合部のモータ側に設けられて前記ファンガイドのフランジに係合する係合部と、該係合部から後方に延設されたサーモスタットの保持片と、前記接合部から下方に延設された固定片とによって構成したので、電動送風機へ確実に取付けることができ、送風ファンの異常発熱を早期にサーモスタットに伝達することができ、また、カーボンブラシの異常発熱を早期に検知することができる。
【0025】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の集熱板の接合部の前面側に係止爪を設けたので、集熱板をより確実に電動送風機に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るサーモスタットを電動送風機に取付けた状態を示す側面図である。
【図2】 図1の斜視図である。
【図3】 図1のサーモスタットを取付けた集熱板の側面図、斜視図及び他の例の斜視図である。
【図4】 電気掃除機の一例の平断面図である。
【図5】 図4の電動送風機の縦断面図である。
【図6】 従来のサーモスタットの取付構造を示す斜視図である。
【図7】 従来のサーモスタットの取付構造を示す斜視図である。
【図8】 従来のサーモスタットの取付構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 電動送風機、14 ファンガイド、16 モータ、21 カーボンブラシ、31 集熱板、32 接合部,33 係止爪、34 係止部、35 保持片、36 固定片、40 サーモスタット。

Claims (3)

  1. 送風ファンを内部に収納するファンガイドと、前記送風ファンを回転駆動する集電部やカーボンブラシを有するモータから成る電動送風機と、該電動送風機に取り付けられて所定温度で前記モータへの給電を停止するサーモスタットとを備えた電気掃除機において、
    前記電動送風機に、一端が前記ファンガイドの外周面に当接する接合部と、他端が前記モータ側に延在する保持片とを有する集熱板を設け、前記保持片の前記モータ側に前記サーモスタットを取付けたこことを特徴とするサーモスタットの取付構造。
  2. 前記集熱板を、ファンガイドの外周形状に対応して円弧状に形成した接合部と、該接合部のモータ側に設けられて前記ファンガイドのフランジに係合する係合部と、該係合部から後方に延設されたサーモスタットの保持片と、前記接合部から下方に延設された固定片とによって構成したことを特徴とする請求項1記載のサーモスタットの取付構造。
  3. 前記集熱板の接合部の前面側に係止爪を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタットの取付構造。
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