JP3673838B2 - 歯科用印象材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用材料、特に歯科用の印象材として有用な組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科用印象材としては、寒天、アルギン酸塩、多硫化ゴム、ポリエーテルゴム縮合型シリコーン及び付加型シリコーン等が用いられている。寒天、アルギン酸塩印象材あるいはその連合印象は臨床的に適度な弾性を有しているが、永久変形が大きい上に、水分の蒸発による経時的な寸法変化が大きく、引き裂き強度が小さい等の欠点がある。また、多硫化ゴムは臭いが強く硬化が緩慢なため、特殊な用途の印象に限られ、ポリエーテルゴム印象材は弾性が小さく、吸水膨張する欠点がある。一方、縮合型シリコーンは反応過程で脱アルコールを伴うために、寸法変化が大きい問題がある。
【0003】
上記印象材に対して付加型シリコーン印象材は硬化性が優れ、硬化時の収縮が非常に小さく、副生物も生じず且つ無味無臭で発熱もほとんど無いという非常に優れた性質を有している。また、近年の研究において、付加型シリコーン印象材の課題である疎水性も親水性の界面活性材等の添加により、実用状問題のない程度まで改善されている。
【0004】
しかしながら、付加型シリコーン印象材の大きな問題点は弾性歪が小さいことにある。弾性歪が小さいと口腔内で硬化した後に撤去する時に非常に外しにくくなり、患者に苦痛を与えたり、動揺歯等は抜ける可能性がある。これまでの付加型シリコーン印象材の弾性歪みは3〜7%、永久歪みは1%以下の材料がほとんどであるが、撤去のしやすさから望ましい弾性歪みは8%以上、更に好ましくは9%以上でかつ変形の防止から永久歪みを1%以下、更に好ましくは0.8%以下にすることが望まれている。
【0005】
このため、付加型シリコーン印象材の弾性歪を大きくする方法として、無機充填材の添加量を低減させる方法や無機充填材の代わりにポリビニルエーテル等の有機ポリマーを使用する方法、ハイドロジェンポリシロキサン架橋材とジビニルポリシロキサンの混合比を適量より増加させたり、減少させたりする方法及び流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素、ジメチルポリシロキサン等の非反応性の液体を混合する方法等が試みられている。しかしながら、無機充填材添加量の低減や有機ポリマーを無機充填材の代わりに使用する方法は、硬化体の引き裂き強度の低下や熱膨張係数の増加を招き、精密印象材として好ましくない。また、ジビニルポリシロキサンに対してハイドジェンポリシロキサン架橋材の混合比を適量より大きくすると、水素発生による発泡が起こり、小さくすると硬化パターンが緩慢になり印象の変形につながる。非反応性の液体を弾性歪が優位に大きくなるほど添加すると、永久歪が大きくなったり、油分のブリードが起きたりする問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の材料における問題点を解決し、弾性歪が大きく、かつ永久歪、硬化体強度、操作性などのその他の性質も良好な歯科用シリコーン印象材を開発することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは付加型シリコーン印象材において、分子中にSiH基を2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを添加することにより、弾性歪みが大きく且つ永久歪みの小さいシリコーン精密印象材を開発するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、末端に不飽和結合をもつ有機基を分子内に少なくとも2個以上有するオルガノポリシロキサン(A)、分子内にSiH基を少なくとも3個以上有するオルガハイドロジェンポリシロキサン(B)、分子内にSiH基を2個有するオルガハイドロジェンポリシロキサン(C)、ヒドロシリル化反応触媒物質(D)及び充填材(E)を含有する組成物からなる歯科用印象材であって、
前記組成物中における成分(A)、(B)及び(C)の配合割合が、下記条件I及び II を同時に満足する配合割合であることを特徴とする歯科用印象材である。
条件I: 前記成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が前記成分(B)のSiH基の水素原子の総個数に対して0.05〜2倍であるという条件
条件 II : 前記成分(B)と前記成分(C)とのSiH基の水素原子の総個数が前記成分(A)の末端不飽和結合の総個数に対して0.5〜5倍であるという条件。
【0009】
【発明の実施形態】
本発明において使用する(A)末端に不飽和結合をもつ有機基を分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン(以下、成分(A)と記す)は、末端に不飽和結合をもつ有機基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであれば分子内に存在する他の有機基の構造は制限されず、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよく、更にこれらの混合物であってもよい。
【0010】
成分(A)の分子内に存在する、末端に不飽和結合をもつ有機基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基及びエチニル基等が例示されるが、合成のし易さからケイ素原子に結合したビニル基が最も有利である。これらの末端不飽和結合をもつ有機基は、オルガノシロキサンの分子鎖の末端または中間のいずれに存在しても、あるいはその両方に存在しても良いが、硬化後の弾性体が優れた物理的性質を有するためには、少なくとも1個は分子の末端に存在していることが好ましい。
【0011】
成分(A)の分子中に存在する上記の末端に不飽和結合をもつ有機基以外のケイ素原子に結合した有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基のようなアリール基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換アルキル基等が例示されるが、これらのうち合成し易く、かつ硬化後に良好な物理的性質を与えるという点から、メチル基が最も好ましい。
【0012】
成分(A)の分子を構成するシロキサン単位の数(重合度に相当する)は特に限定されないが、歯科用印象材として好適な性質、即ち、硬化後において適度の硬度を有し、かつ充分な伸び、機械的強度が得られるようにするために、該シロキサン単位は50〜5000個、特に100〜2000個であることが好ましい。
【0013】
本発明に使用する成分(A)の代表的なものを具体的に示せば、
【0014】
【化1】
Figure 0003673838
【0015】
(ただし、Phはフェニル基を示す)
で示されるオルガノポリシロキサン等が挙げられる。尚、上記化合物及び後述する実施例、比較例に用いられる化合物中の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意であり、構造式中に示される繰り返し構成単位の数は単に各構成単位の総量の平均を示すに過ぎない。
【0016】
本発明における(B)の分子内のSiH基を少なくとも3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(以下、成分(B)と略す)は、上記成分(A)を架橋させてゴム弾性体とする働きを持つ成分である。成分(A)と反応して架橋構造となるためには、SiH基が分子内に少なくとも3個必要である。3個より少ないと架橋構造とならずゴム弾性体が得られない。
【0017】
成分(B)は分子内にSiH基を3個以上有するものであればその構造は特に限定されない。成分(B)の分子内に存在する水素原子以外のケイ素原子に結合した有機基も特に限定されず、前述の成分(A)の分子内に存在する有機基(末端に不飽和基を有するものを含む)と同様のものが例示されるが、合成が容易で、かつ硬化後に良好な物理的性質を与えるという点から、メチル基が最も好ましい。かかる成分(B)は、直鎖状、分枝状または環状のいずれであっても良くこれらの混合物であっても良い。
【0018】
成分(B)の分子を構成するSiH基を有しないシロキサン単位の数(重合度に相当する)は特に限定されないが、歯科用印象材として好適な性質、即ち、硬化後において適度の硬度を有し、かつ充分な伸び、機械的強度が得られるようにするために、該シロキサン単位は2〜2000個、特に5〜500個であることが好ましい。
【0019】
本発明に使用する成分(B)の代表的なものを具体的に示せば、
【0020】
【化2】
Figure 0003673838
【0021】
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。上記化合物及び後述する実施例、比較例に用いられる成分(B)においても、成分(A)と同様に分子内の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意である。
【0022】
本発明に使用する(C)の分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(以下、成分(C)と略す)はSiH基を分子中に2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば制限なく使用できる。水素原子以外のケイ素原子に結合した有機基としては、前述の成分(B)と同じであり、中でも合成が容易で、かつ硬化後に良好な物理的性質を与えるという点から、メチル基が最も好ましい。かかる成分(C)は、直鎖状、分枝状または環状のいずれであっても良くこれらの混合物であっても良い。
【0023】
成分(C)の分子を構成するSiH基を有しないシロキサン単位の数(重合度に相当する)は特に限定されないが、歯科用印象材として好適な性質、即ち、硬化後において適度の硬度を有し、かつ充分な伸び、機械的強度が得られるようにするために、該シロキサン単位は0〜1000個、特に5〜500個であることが好ましい。
【0024】
本発明に使用する成分(C)の代表的なものを具体的に示せば、
【0025】
【化3】
Figure 0003673838
【0026】
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。上記化合物及び後述する実施例、比較例に用いられる成分(C)においても、成分(B)と同様に分子内の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意である。
【0027】
本発明の歯科用印象材において、上記成分(A)、(B)及び(C)の配合割合としては、成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(B)のSiH基の水素原子の総個数に対して、0.05〜2倍になる比であり、且つ成分(B)と成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(A)の末端不飽和結合の総個数に対して0.5〜5倍になる比である。成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(B)のSiH基の水素原子の総個数に対して0.05倍より少ないと十分な弾性歪みを得ることができず、2倍より大きいと弾性歪みが大きく成りすぎたり、永久歪みが大きくなる等の問題が生ずる。また、成分(B)と成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(A)の末端不飽和基の総個数に対して少なすぎる場合は硬化性が不充分となり、また多すぎる場合は過剰のSiH基の水素原子が残存するために硬化時の水素発生による発泡や経時変化が生ずる場合がある。従って、特に好ましい配合割合としては、成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(B)のSiH基の水素原子の総個数に対して、0.1〜1倍になる比で、且つ成分(B)と成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(A)の末端不飽和結合の総個数に対して2〜4倍になる比であることが望ましい。
【0028】
また、物性に著しい影響を与えない範囲で、末端に不飽和結合をもつ有機基を分子内に1個しか含まないオルガノポリシロキサンや分子内にSiH基を1個しか含まないオルガノハイドロジェンポリシロキサンを添加してもよい。
【0029】
本発明に使用される成分(D)ヒドロシリル化反応触媒(以下、成分(D)と略す)は、通常のヒドロシリル化反応に用いられるものであれば制限なく使用することができ、例えば塩化白金酸、そのアルコール変性物、白金のビニルシロキサン錯体等を挙げることができる。なお、保存性を高めるためには、白金のビニルシロキサン錯体のようなクロル分の少ないものが好適である。
【0030】
この成分(D)の配合量特に限定されないが一般的には、白金重量換算で成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計重量に対して0.1〜1000ppmの範囲とすれば良い。配合量が0.1ppm未満の場合は、成分(A)及び成分(B)の不飽和結合含有シリコーンと成分(C)のSiHシロキサンの架橋反応が充分に進行せず、1000ppmより多い場合は、白金黒の析出により硬化体が黄色く、或はひどいときには黒く着色したり、架橋反応の制御が困難になる等の問題点が生じる傾向にある。
【0031】
本発明に使用される成分(E)充填材(以下成分(E)と略す)は、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)より得られるシリコーンゴムの補強材としての働きをする。
【0032】
成分(E)としては、一般に粉砕石英、溶融シリカ、湿式シリカ、乾式シリカ、珪藻土、ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子等のシリカ系粉末、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、カーボンブラック等が挙げられ、必要に応じてこれらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
また、これらの充填材は必要に応じてその表面をポリジメチルシロキサンやオクタメチルシクロテトラシロキサンなどのポリオルガノシロキサン類、ヘキサメチルシラザンや1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシラザンなどのシラザン類及びビニルトリエトキシシランなどのオルガノシラン類等の有機ケイ素化合物で処理したものを用いることができる。
【0034】
成分(E)の好適な添加量は成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計量を100重量部として5〜500重量部であり、更に好ましい添加量は20〜200重量部である。
【0035】
上記成分(A)乃至(D)からなる歯科用印象材は高弾性歪み、低永久歪みという優れた特徴を有するものであるが、更に口腔内粘膜や石膏に対する馴染みをよくするために親水性を付与することが好ましい。親水性付与剤は印象材としての物性に悪影響をしない範囲で制限なく添加できる。親水性付与剤として例を挙げるとシリコーン・ポリエーテル化合物、シリコーン・ポリオール化合物、カルボキシル基含有ポリオルガノシロキサン化合物等の親水性シリコーン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル)フェニルエーテル等の非イオン系界面活性剤、水溶性または水に微溶性のタンパク質等が挙げられる。これらは必要に応じて1種または2種以上組み見合わせて使用され、添加量としては成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の合計量100重量部に対して0.1〜20重量部が好適である。
【0036】
また、離型性向上のために高分子量のポリオルガノシロキサン生ゴムやパラフィンワックス等を添加することができる。
【0037】
更に、必要に応じて黒色白金あるいは微粒パラジウム等を水素ガス吸収剤として添加できる。
【0038】
また、その物性を著しく低下しない範囲で更に他の添加剤を添加してもよい。かかる添加剤としては、非反応性シリコーン、反応抑制剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、酸化防止剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0039】
本発明の歯科用印象材の好適な態様を挙げれば、下記(1)〜(6)のような態様が挙げられる。
【0040】
(1)成分(A)のオルガノポリシロキサンが、シロキサン単位50〜5000個を有するオルガノポリシロキサンであり、成分(B)のオルガノポリシロキサンが該オルガノポリシロキサン分子を構成するSiHを有さないシロキサン単位の数が2〜2000個であるオルガノポリシロキサンであり、成分(C)のオルガノポリシロキサンが該オルガノポリシロキサン分子を構成するSiHを有さないシロキサン単位の数が0〜1000個であるオルガノポリシロキサンである本発明の歯科用印象材。
【0041】
(2)成分(A)のオルガノポリシロキサンが、シロキサン単位100〜2000個を有するオルガノポリシロキサンであり、成分(B)のオルガノポリシロキサンが該オルガノポリシロキサン分子を構成するSiHを有さないシロキサン単位の数が5〜500個であるオルガノポリシロキサンであり、成分(C)のオルガノポリシロキサンが該オルガノポリシロキサン分子を構成するSiHを有さないシロキサン単位の数が5〜500個であるオルガノポリシロキサンである本発明の歯科用印象材。
【0042】
(3)成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(B)のSiH基の水素原子の総個数に対して0.1〜1倍になる比であり、且つ成分(B)と成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が成分(A)の末端不飽和結合の総個数に対して2〜4倍になる比である上記(1)又は(2)の歯科用印象材。
【0043】
(4)成分(D)が白金系のヒドロシリル化触媒、特に白金のビニルシロキサン錯体である、上記(3)の歯科用印象材。
【0044】
(5)成分(D)の配合量が、白金重量換算で、成分(A)、(B)及び(C)の合計重量に対して0.1〜1000ppmであり、成分(E)の配合量が成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量を100重量部としたときに5〜500重量部、好ましくは20〜200重量部となる量である、上記(4)の歯科用印象材。
【0045】
(6)更に、親水性付与剤を成分(A)〜(E)の合計量を100重量部としたときに0.1〜20重量部となる量含む上記(5)の歯科用印象材。
【0046】
本発明の歯科用印象材は、通常、成分(A)、成分(B)及び/又は成分(C)並びに成分(D)が同時に共存しない(即ち、保存中にヒドロシリル化反応が起こらない)形態、例えば成分(A)、成分(D)、成分(E)及び必要に応じて添加剤を含むペースト甲、並びに、成分(A)、成分(B)及び/又は成分(C)、成分(E)及び必要に応じて添加剤を含むペースト乙からなる2包装型として調製され、使用直前に両者を混合して使用するのが一般的である。ペースト甲、乙の製造方法としては、必要成分を適量計量し、ニーダー、プラネタリー等の一般的な混練機によって均一になるまで混練することにより得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明により得られた歯科用印象材は、硬化後に適度な弾性歪みを有し、且つ永久歪みの小さい歯科用印象材として好適に用いられる。
【0048】
【実施例】
本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
以下の実施例及び比較例に使用する成分(A)、成分(B)及びその他ポリシロキサン成分を表1、成分(C)を表2及び成分(D)、成分(E)、その他成分を表3に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003673838
【0051】
【表2】
Figure 0003673838
【0052】
【表3】
Figure 0003673838
【0053】
尚、実施例、比較例において歯科用シリコーン印象材の評価は下記の方法により評価した。
【0054】
(1)弾性歪及び永久歪
23℃の恒温室中で表4に示す組成を有するペースト甲、乙を等量づつ計り取り、両者をスパチュラで30秒間練和し、硬化体を得る。得られた硬化体について、JIS T6513に準じて弾性歪、永久歪を測定する。弾性歪が大きいほど硬化体が柔らかく、永久歪が小さいほど変形が小さいことを示す。
【0055】
(2)練和性
スパチュラでのペースト甲と乙を練和したときの練和感を重い、適当、軽すぎるの3段階で評価した。
【0056】
(3)印象面及び油分のブリード
実際の口腔内で印象を採得し、直後の表面状態及び1週間放置した後の油分のブリードの有無を観察した。
【0057】
実施例1
表4の実施例1の重量割合で表1,2,3で示した化合物をそれぞれ計量し、プラネタリーミキサーで約4時間混合し、ペースト甲と乙を得た。
【0058】
このペースト甲と乙を等量計り取り、両者を練和して上記評価方法で評価した。その結果を表6に示す。
【0059】
【表4】
Figure 0003673838
【0060】
【表5】
Figure 0003673838
【0061】
【表6】
Figure 0003673838
【0062】
実施例2〜5、比較例1〜3
実施例1と同様に表4及び表5の混合比でペースト甲、乙を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表6に示す。
【0063】
表6の結果より本発明の歯科用印象材は弾性歪みが大きく且つ永久歪みの小さい物性を有していることが判る。更に、練和性、印象面及び油分のブリードも良好なことが示され、優れた印象材であることが判る。それに対して成分(C)を添加しない場合は弾性歪みが小さく(比較例1)、弾性歪みを大きくするために成分(A)の末端不飽和結合の総個数に対する成分(B)のSiH基の割合を大きくすると(比較例2)硬化体表面に発泡が起きる問題点が生じる。また、非反応性のシリコーンを添加して(比較例5)弾性歪みを大きくすると永久歪みが大きく、油分のブリードを生じる。また、成分(C)でも重合度の非常に大きい場合は(比較例3)、弾性歪みへの効果がないばかりでなく、練和性が悪い。また、成分(C)を添加し過ぎると(比較例4)弾性歪みは大きくなるが、永久歪も大きくなり、硬化も遅くなる問題を生じる。

Claims (1)

  1. 末端に不飽和結合をもつ有機基を分子内に少なくとも2個以上有するオルガノポリシロキサン(A)、分子内にSiH基を少なくとも3個以上有するオルガハイドロジェンポリシロキサン(B)、分子内にSiH基を2個有するオルガハイドロジェンポリシロキサン(C)、ヒドロシリル化反応触媒物質(D)及び充填材(E)を含有する組成物からなる歯科用印象材であって、
    前記組成物中における成分(A)、(B)及び(C)の配合割合が、下記条件I及び II を同時に満足する配合割合であることを特徴とする歯科用印象材。
    条件I: 前記成分(C)のSiH基の水素原子の総個数が前記成分(B)のSiH基の水素原子の総個数に対して0.05〜2倍であるという条件
    条件 II : 前記成分(B)と前記成分(C)とのSiH基の水素原子の総個数が前記成分(A)の末端不飽和結合の総個数に対して0.5〜5倍であるという条件
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