JP3486624B2 - 歯科用軟質裏装材 - Google Patents

歯科用軟質裏装材

Info

Publication number
JP3486624B2
JP3486624B2 JP05069097A JP5069097A JP3486624B2 JP 3486624 B2 JP3486624 B2 JP 3486624B2 JP 05069097 A JP05069097 A JP 05069097A JP 5069097 A JP5069097 A JP 5069097A JP 3486624 B2 JP3486624 B2 JP 3486624B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
group
unsaturated bond
molecule
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05069097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10245313A (ja
Inventor
康宏 細井
修 岩本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Tokuyama Corp
Original Assignee
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKUYMA DENTAL CORPORATION, Tokuyama Corp filed Critical TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority to JP05069097A priority Critical patent/JP3486624B2/ja
Publication of JPH10245313A publication Critical patent/JPH10245313A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3486624B2 publication Critical patent/JP3486624B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Preparations (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレジン義歯床の粘膜面に
使用するシリコーン系の歯科用軟質裏装材に関する。
【0002】
【従来の技術】義歯、特に総義歯の対象患者は高齢者が
多く、歯槽堤は一般に骨吸収が著しいため、その単位面
積当りの負担する咬合力は大きくなる。歯槽堤粘膜も老
人性萎縮により薄くなるので、咬合、咀嚼圧の衝撃は緩
和されずに直接歯槽骨に伝えられることになる。また硬
いレジン義歯床と硬い歯槽骨との間に挟まれた薄い粘膜
は咬合する度に絞められて傷つき、痛みを発することに
なる。
【0003】この様な難症例では通常用いられるメタク
リル酸メチル樹脂だけでレジン義歯床を製作したのでは
義歯の維持、安定及び支持などによい結果が得られな
い。そのためレジン義歯床粘膜面を軟らかい材料、歯科
用軟質裏装材で裏装し、失われた顎堤粘膜の粘弾性を補
い、咬合時の衝撃を緩和するクッション性を与える必要
がある。つまり義歯床の硬質材料が床下粘膜を圧迫する
ことによって生じる種々の障害を克服することが、軟質
材料で裏装する目的である。
【0004】従来、臨床で使用されている歯科用軟質裏
装材としては、(メタ)アクリル酸エステルポリマー、
フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーンゴム
系等がある。又、暫間的な用途に対しては義歯安定材
(いわゆる入れ歯安定剤)が用いられている。
【0005】しかしながら(メタ)アクリル酸ポリマー
などの軟質材料は口腔内での化学的安定性に欠け、数カ
月の内に硬化、脆弱化等が起こり長期間使用することは
不可能であった。フッ素系裏装材も粘弾性に乏しく、充
分なクッション効果が期待されない。ポリオレフィン系
裏装材は溶融温度が高くてレジン義歯床の変形の恐れが
あること、複数の接着剤、専用の加熱器を必要として操
作が煩雑なことから実用上問題が多い。シリコーンゴム
系裏装材は比較的安定な材料ではあるが、従来の縮合
型、加熱型シリコーンゴム系のものは、切削できないば
かりでなく長期間使用すると着色が起こり、その操作性
及び耐久性について充分とはいえなかった。そこでシリ
コーンゴム系のこれらの問題点を解決する方法として、
付加型シリコーンゴム系について特開平7−41411
号公報には、充填材としてポリオルガノシルセスキオキ
サン粒子を配合する技術が提案されている。しかし該技
術を利用した軟質裏装材も、硬化前のペースト粘度、硬
化体の硬度と強度の関係から未だ充分な性状であるとは
いえない。そして該技術においては強度を高めると硬度
も高くなってしまうのであるが、硬化体硬度をより小さ
くしようして、フィラー充填率を小さくする、或はジビ
ニルポリシロキサンの分子量を大きくするなどの対策を
施しても、前者は強度が低下し、後者はペースト粘度が
増加するといった問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の様に、従来まで
に提供された義歯床用の歯科用軟質裏装材は、僅かな使
用期間で物性の低下等が起こり、口腔内での使用期間が
短く満足なクッション効果を発揮した物が存在しないだ
けでなく、使用法が煩雑で実用には適しないものが多か
った。その中で唯一臨床上使用に耐えると考えられる付
加型シリコーン系軟質裏装材も硬度の面で充分なものと
はいえなかった。このため、適度な粘弾性を有し、物性
の低下がなく、操作性に優れ、充分な柔らかさと強度を
有する歯科用軟質裏装材が望まれていた。特に高齢化社
会にともなって、この様な歯科用軟質裏装材が強く求め
られるようになってきている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記した従
来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、付加型軟
質裏装材の成分として末端に不飽和結合を有する有機基
を分子内に1個有するオルガノポリシロキサンを用いる
ことにより、上記課題が解決されるという知見を得、本
発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、末端に不飽和結合を有す
る有機基を分子内に2個以上有するオルガノポリシロキ
サン(A)、末端に不飽和結合を有する有機基を分子内
に1個有するオルガノポリシロキサン(B)、分子内に
3個以上のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポ
リシロキサン(C)、ヒドロシリル化反応触媒物質
(D)及び充填材(E)を含んでなることを特徴とする
歯科用軟質裏装材である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において使用する(A)の
末端に不飽和結合を有する有機基を分子内に2個以上有
するオルガノポリシロキサン(以下、成分(A)と略記
する)は、上記(C)の分子内に3個以上のSiH基を
有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(以下、
成分(C)と略記する)により架橋してゴム弾性体とな
る主成分である。
【0010】成分(A)は、末端に不飽和結合を有する
有機基を1分子内に少なくとも2個有するオルガノポリ
シロキサンであればその構造は制限されず、直鎖状であ
っても分枝鎖状であってもよく、これらの混合物であっ
てもよい。また、その粘度についても特に制限はされな
いが、硬化前のペーストの性状、硬化後の硬化体の性状
等の点から、10ポイズから10000ポイズ程度が好
ましい。
【0011】成分(A)の分子内に存在する有機基のう
ち末端に不飽和結合を有する有機基としては、ビニル
基、アリル基、1−ブテニル基、エチニル基等が例示さ
れるが、合成のし易さからビニル基が最も有利である。
これらの末端に不飽和結合を持つ有機基をもつ有機基
は、オルガノポリシロキサンの分子鎖の末端または中間
のいずれに存在しても、あるいはその両方に存在しても
良いが、硬化後の弾性体が優れた物理的性質を有するた
めには、少なくとも1個は末端に存在していることが好
ましい。
【0012】成分(A)のオルガノポリシロキサンにお
いて、ケイ素原子に結合した有機基のうち、上記末端に
不飽和結合を有する有機基以外のものとしては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等の
アルキル基、フェニル基のようなアリール基、クロロメ
チル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換
アルキル基等が例示されるが、これらのうち合成し易
く、かつ硬化後に良好な物理的性質を保っているという
点から、メチル基が最も好ましい。
【0013】本発明に使用する成分(A)の代表的なも
のを具体的に示せば、
【0014】
【化1】
【0015】(ただし、Phはフェニル基を示す)で示
されるオルガノポリシロキサン等が挙げられる。尚、上
記化合物及び後述する実施例、比較例に用いられる化合
物中の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意であ
り、構造式中に示される繰り返し構成単位の数は単に各
構成単位の総数を示すに過ぎない。
【0016】本発明中において使用する(B)の末端に
不飽和結合を有する有機基を分子内に1個有するオルガ
ノポリシロキサン(以下、成分(B)と略記する)は、
硬化前のペースト粘度を変化させずに、且つ硬化体から
のポリシロキサンの溶出を増加させずに硬化体の硬度を
低下させるための成分である。即ち、成分(B)は、末
端に不飽和結合を有する有機基を分子内に1個しかもた
ないため、ヒドロシリル化反応により硬化体中には固定
されるが、架橋構造とならないため、硬化後にブリード
アウトすることなしに、架橋密度を低下させるものと思
われる。
【0017】成分(B)は、末端に不飽和結合を有する
有機基を1分子中に1個有するオルガノポリシロキサン
であればその構造は制限されず、直鎖状であっても分枝
鎖状であってもよく、これらの混合物であってもよい。
また、粘度についても特に制限はされないが、硬化前の
ペーストの性状、硬化後の硬化体の性状等の点から、1
0ポイズから10000ポイズ程度が好ましい。
【0018】成分(B)の分子中に存在する末端に不飽
和結合を有する有機基としては、ビニル基、アリル基、
1−ブテニル基、エチニル基等が例示されるが、合成の
し易さからビニル基が最も有利である。これらの末端に
不飽和結合を有する有機基は、オルガノポリシロキサン
の分子鎖の末端または中間のいずれに存在しても良い
が、ヒドロシリル化反応の反応性の点から末端、特に分
子鎖のいずれか一方の末端(片末端)に存在しているこ
とが好ましい。
【0019】成分(B)のオルガノポリシロキサンにお
いて、ケイ素原子に結合した有機基のうち、上記末端に
不飽和結合を有する有機基以外の有機基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等
のアルキル基、フェニル基のようなアリール基、クロロ
メチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置
換アルキル基等が例示されるが、これらのうち合成し易
く、かつ硬化後に良好な物理的性質を与えるという点か
ら、メチル基が最も好ましい。
【0020】成分(B)の合成方法は特に制限されず、
特開平7−292109号公報に示されるような非平衡
法、あるいは平衡法何れの合成方法を用いることが可能
である。
【0021】例えば非平衡法の場合、次のような方法に
よって合成される。即ち、ヘキサメチルシクロトリシロ
キサンのトルエン溶液にn−ブチルリチウム、トリメチ
ルクロロシランを順次加える。更にトリメチルシラノー
ルを加えて反応させる。一定時間後、酢酸等の酸を加え
て反応を停止させ、片末端シラノールジメチルポリシロ
キサンを得る。ここにビニルジメチルクロロシランを加
え、脱塩酸反応により反応させ、低沸点分を除去し、片
末端ビニルポリジメチルシロキサンを得る。
【0022】また、平衡法の場合、次のような方法によ
って合成される。即ち、オクタメチルシクロテトラシロ
キサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメ
チルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンを所望の
配合比で仕込み、ここに酸、あるいはアルカリ触媒を加
え、反応させ、一定時間後中和、脱水、低沸点分を除去
して片末端ビニルポリジメチルシロキサンをジビニルポ
リジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンの混合
物として得る。なお、平衡法によって合成した場合、成
分(B)のみを単離せずにこれらの混合物の状態で、ジ
ビニルポリジメチルシロキサンを本発明の歯科用軟質裏
装材の成分(A)として使用しても良い。
【0023】以上のような方法で合成される成分(B)
は、その使用する原料の選択により任意の構造、分子
量、置換基をとり得る。
【0024】本発明に使用する成分(B)の代表的なも
のを具体的に示せば、
【0025】
【化2】
【0026】(ただし、Phはフェニル基を示す)で示
されるオルガノポリシロキサン等が挙げられる。尚、上
記化合物及び後述する実施例、比較例に用いられる化合
物中の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意であ
り、構造式中に示される繰り返し構成単位の数は単に各
構成単位の総数を示すに過ぎない。
【0027】また成分(B)の配合量は、得られる硬化
体の柔軟性の観点から、成分(A)の分子内に存在する
末端に不飽和結合を有する有機基の総数を〔C=C〕A
とし、成分(B)の分子内に存在する末端に不飽和結合
を有する有機基の総数を〔C=C〕Bとしたときに〔C
=C〕B/〔C=C〕Aが0.01倍〜10倍になるよう
な量にすることが好ましく、該値が0.05倍〜2倍に
なるような量にすることがより好ましい。成分(B)の
配合量が上記量比で表して0.01倍未満の場合には硬
化体は硬くなる傾向があり、10倍を越える場合には逆
に柔らかくなりすぎる傾向がある。
【0028】本発明における成分(C)は、上記成分
(A)、成分(B)を架橋させてゴム弾性体とする働き
を持つ成分である。成分(A)、成分(B)と反応して
架橋構造となるためには、ケイ素原子に結合している水
素原子(すなわち、SiH基)が分子中に少なくとも3
個必要である。1分子中に存在するSiH基の数が3個
より少ないと架橋構造とならずゴム弾性体が得られな
い。
【0029】成分(C)において、水素原子以外のケイ
素原子に結合した有機基としては、前述の成分(A)、
成分(B)中における末端に不飽和結合を有する有機基
及びそれ以外の有機基と同様のものが例示されるが、合
成が容易で、かつ硬化後に良好な物理的性質を保ってい
るという点から、メチル基が最も好ましい。成分(C)
のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、
分枝状または環状のいずれであっても良くこれらの混合
物であっても良い。尚、以下、オルガノハイドロジェン
ポリシロキサンを単に「SiHシロキサン」と言うこと
もある。
【0030】本発明に使用するSiHシロキサンの代表
的なものを具体的に示せば、
【0031】
【化3】
【0032】で示されるSiHシロキサン等が挙げられ
る。上記及び後述する実施例、比較例に用いられる成分
(C)の具体的化合物においても、成分(A)及び成分
(B)と同様に分子内の各繰り返し構成単位の結合順序
は全く任意である。
【0033】本発明中の成分(A)、成分(B)と成分
(C)の各配合量はそれら分子量により大きく変化する
が、通常、得られる硬化体の柔軟性の観点から成分
(C)の配合量は、成分(A)及び成分(B)の分子内
に存在する末端に不飽和結合を有する有機基の総数を
〔C=C〕ABとし、成分(C)の分子内に存在するSi
H基の総数を〔SiH〕Cとしたときに〔SiH〕C
〔C=C〕ABが0.5〜5となる量、特に該値が1〜5
となる量であるのが好ましい。成分(C)の配合量が上
記配合割合で表して0.5〜5の範囲の時には、得られ
る硬化体が適度な弾性を有し、過剰のSiH基に由来す
る発泡もきわめて少なく、歯科用軟質裏装材として特に
好適な硬化体が得られる。
【0034】また、成分(C)の配合量が上記配合割合
で表して、0.5以上であれば、更に分子中にケイ素原
子に結合している水素原子を2個あるいは1個しか含ま
ないオルガノハイドロジェンポリシロキサン(以下、成
分(F)ともいう。)を添加しても良い。この時の成分
(F)の添加量は、成分(F)のSiH基の総数を〔S
iH〕Fとしたときに〔SiH〕F/〔C=C〕ABが0.
1〜5となる量であるのが好適である。
【0035】本発明に使用される(D)ヒドロシリル化
反応触媒物質は、通常のヒドロシリル化反応に用いられ
るものであれば制限なく使用することができ、例えば塩
化白金酸、そのアルコール変性物、白金のビニルシロキ
サン錯体等の白金系触媒物質、また同様のロジウム系触
媒物質などを挙げることができる。また入手の容易さ等
の点から白金系触媒が好ましい。なお、保存性を高める
ためには、白金のビニルシロキサン錯体のようなクロル
分の少ないものを使用するのが好適である。
【0036】このヒドロシリル化反応触媒物質の配合量
は、例えば白金系触媒物質の場合、白金重量として成分
(A)、成分(B)及びSiHシロキサン(成分(C)
又は成分(C)及び成分(F))の合計重量に対して
0.1〜1000ppmの範囲とすることが好ましい。
配合量が0.1ppm未満の場合は、成分(A)及び成
分(B)とSiHシロキサンの架橋反応が充分に進行せ
ず、1000ppmより多い場合は、白金黒の析出によ
り硬化体が黄色く、或はひどいときには黒く着色した
り、架橋反応の制御が困難になる等の問題を生じる傾向
がある。
【0037】本発明に使用される(E)充填材は、成分
(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)より得
られるシリコーンゴムの補強材としての働きをなす。
【0038】シリコーンゴムの補強材としては、一般に
粉砕石英、溶融シリカ、湿式シリカ、乾式シリカ等のシ
リカ系粉末、ポリオルガノシルセスキオキサンなどのシ
リコーン樹脂粉末などが効果的であるとされている。歯
科用軟質裏装材としての用途には、着色成分の侵入によ
る着色(着色量)を少なくする必要があり、そのために
粒子の疎水性を高める必要がある。ポリオルガノシルセ
スキオキサンの場合はそのままで充分に疎水的である
が、シリカ系粉末は親水性が高い。そこでこれらシリカ
系粉末を用いる際には何らかの疎水化処理をして充填材
として用いることが一般的である。
【0039】更にポリテトラフルオロエチレン、ポリビ
ニリデンフルオライド等のフルオロカーボン樹脂粉末、
カーボンブラック、ガラス繊維、粉砕ポリマー、粉末ポ
リマー、複合フィラー(無機酸化物とポリマーの複合体
を粉砕したもの)等が充填材として挙げられる。
【0040】成分(E)の配合量は、成分(E)の性状
によって異なるが、ペーストの粘度、得られる硬化体の
強度、柔軟性等の観点から、成分(A)、(B)、
(C)の総重量に対して0.1〜3倍になるようにする
ことが好ましい。成分(E)の配合量が上記量比で表し
て0.1倍未満の場合には硬化体に充分な強度が得られ
難くなる傾向があり、3倍を越える場合には、ペースト
粘度が高くなり、操作性が悪化する、硬化体が硬くなる
などの傾向がある。
【0041】上記成分(A)〜成分(D)からなる組成
物は、それ自体、歯科用軟質裏装材として優れたもので
あるが、本発明の軟質裏装材は必要に応じてその物性を
著しく低下しない範囲で更に他の添加剤を添加してもよ
い。かかる添加剤としては、黒色白金、あるいは微粒パ
ラジウム等を水素ガス吸収剤、非反応性ポリシロキサ
ン、反応抑制剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、酸化防
止剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0042】本発明の歯科用軟質裏装材の好適な態様を
挙げれば、下記(1)〜(5)のような態様が挙げられ
る。
【0043】(1)成分(A)のオルガノポリシロキサ
ンが粘度10〜10000ポイズのオルガノポリシロキ
サンであり、成分(B)のオルガノポリシロキサンが粘
度10〜10000ポイズのオルガノポリシロキサンで
ある本発明の歯科用軟質裏装材。
【0044】(2)成分(A)、(B)及び(C)の配
合割合が、〔C=C〕B/〔C=C〕Aが0.05〜2で
あり、且つ〔SiH〕C/〔C=C〕ABが1〜5である
上記(1)の歯科用軟質裏装材。
【0045】(3)成分(D)が白金系のヒドロシリル
化触媒、特に白金のビニルシロキサン錯体である、上記
(1)又は(2)の歯科用軟質裏装材。
【0046】(4)成分(D)の配合量が、白金重量と
して、成分(A)、(B)及び(C)又は成分(A)、
(B)、(C)及び成分(F)の合計重量に対して0.
1〜1000ppmであり、成分(E)の配合量が成分
(A)、(B)及び(C)の総重量の0.1〜3倍であ
る上記(3)の歯科用軟質裏装材。
【0047】(5)更に成分(F)を、〔SiH〕F
〔C=C〕ABが0.1〜5となる量添加した上記(4)
の歯科用軟質裏装材。
【0048】本発明の歯科用軟質裏装材は、通常、成分
(C)と成分(D)が共存しない形態、例えば、成分
(A)及び/または成分(B)、成分(D)、成分
(E)及び必要に応じて添加剤を含む甲剤、並びに、成
分(C)、成分(E)及び必要に応じて成分(A)及び
/または成分(B)や添加剤を含む乙剤からなる2包装
型として調製され、使用直前に両者を混合して使用する
のが一般的である。
【0049】この2剤の調製方法は、成分(A)、成分
(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)及び添加
剤の中から必要成分を適量計量し、ニーダー、プラネタ
リー等の一般的な混練機によって均一になるまで混練す
ることにより、ペースト状の組成物を得ることができ
る。
【0050】本発明の歯科用軟質裏装材の使用方法は、
公知の直接裏装法または間接裏装法により使用すること
ができる。すなわち直接裏装法の場合、使用直前に甲、
乙2種類のペーストを適量計量、混練し、義歯裏面に盛
り、患者の口腔内に充分に硬化するまで保持し硬化した
後、口腔内から取り出して余剰部分を取り除けばよい。
また、間接裏装法の場合は、使用直前に甲、乙2種類の
ペーストを適量計量、混練し、義歯裏面に盛って患者の
石膏模型に充分に硬化するまで保持し、硬化後石膏模型
から取り外して余剰部分を取り除けばよい。
【0051】
【発明の効果】本発明により得られた歯科用軟質裏装材
は、硬化後に充分な弾性と強度を有する歯科用軟質裏装
材として好適に用いられる。
【0052】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するため実施例を
示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0053】以下の実施例及び比較例に使用する成分
(A)、成分(B)及びその他ポリシロキサン成分を表
1に、成分(C)を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】なお、実施例、比較例において、歯科用軟
質裏装材の評価は下記の方法によって行い、同一試料に
ついて3回測定または評価してその平均値を記録した。
【0057】(1)ショアA硬度 後述する甲、乙それぞれのペーストを必要量とり(実施
例1参照)、混練後、直径9mm×長さ12mmの孔を
持つポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略
記)製のモールドに充填し、37℃空気中で充分硬化さ
せた。硬化後、モールドより取り出し、37℃空気中で
24時間放置した後、ショアA硬度計によって測定す
る。
【0058】(2)引っ張り強度、伸び 甲、乙それぞれのペーストを必要量とり、混練後、所要
のダンベル状試験片の形状の孔を持つ厚さ2mmのステ
ンレス製のモールドに充填し、37℃水中で充分硬化さ
せた。硬化後、モールドより取り出し、37℃水中で2
4時間放置した後、オートグラフ(島津製作所製)によ
り、クロスヘッドスピード10mm/min.で引っ張
り強度、切断時の伸びを測定する。ダンベル状試験片の
平行部の大きさは、長さ20mm、幅5mmである。
【0059】実施例1 表1に示す化合物aを64重量部、化合物fを32重量
部、化合物iを4重量部、白金のビニルシロキサン錯体
を化合物a、化合物fの総量に対して白金が200pp
mとなるような量、粒子径2μmのポリメチルシルセス
キオキサン微粒子100重量部をプラネタリーに入れ、
均一になるまで混練し、ペースト甲とした。
【0060】表1に示す化合物aを64重量部、化合物
fを32重量部、表2に示す化合物kを2重量部化合物
oを3重量部、化合物iを4重量部、粒子径2μmのポ
リメチルシルセスキオキサン微粒子100重量部をプラ
ネタリーに入れ、均一になるまで混練し、ペースト乙と
した。
【0061】この甲、乙二種類のペーストを混合比1対
1で混練し、前述の評価方法に従って評価した。結果を
表4に示す。
【0062】実施例2〜11、比較例1〜3 表3に示す各組成の材料を実施例1と同様にしてプラネ
タリーによって混練して、ペーストを調製した。尚、白
金触媒は実施例1で用いたものと同じ物を用いた。
【0063】各ペーストを用いて上記評価方法に従って
試験を行った。結果を表4に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】表4の結果より、本発明の歯科用軟質裏装
材(実施例1〜11)では適度な硬度、充分な引っ張り
強度と伸び、を有していることが判る。それに対して比
較例では、成分(A)を含まない場合(比較例1)では
ペーストが硬化しない、成分(B)を含まない場合(比
較例2)では充分な柔らかさが得られない、成分(C)
中のケイ素原子に結合している水素原子の数が3個未満
(比較例3)ではペーストが硬化しないなど、比較例全
ての場合に於て歯科用軟質裏装材として良好な性状を示
さないことが判る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−291820(JP,A) 特開 平7−233021(JP,A) 特開 平7−41411(JP,A) 特開 平6−135814(JP,A) 特開 平1−301609(JP,A) 特開 昭55−38172(JP,A) 特開 平8−291017(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00 - 6/10 C08L 83/05 C08L 83/07

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端に不飽和結合を有する有機基を分子
    内に2個以上有するオルガノポリシロキサン(A)、末
    端に不飽和結合を有する有機基を分子内に1個有するオ
    ルガノポリシロキサン(B)、分子内に3個以上のSi
    H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (C)、ヒドロシリル化反応触媒物質(D)及び充填材
    (E)を含んでなることを特徴とする歯科用軟質裏装
    材。
  2. 【請求項2】 (B)の分子内に存在する末端に不飽和
    結合を有する有機基の総数が(A)の分子内に存在する
    末端に不飽和結合を有する有機基の総数に対して0.0
    1〜10倍となる量比であり、(C)の分子内に存在す
    るSiH基の総数が上記(A)及び(B)の末端に不飽
    和結合を有する有機基の総数に対して0.5〜5倍とな
    る量比であることを特徴とする請求項1記載の歯科用軟
    質裏装材。
JP05069097A 1997-03-05 1997-03-05 歯科用軟質裏装材 Expired - Fee Related JP3486624B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05069097A JP3486624B2 (ja) 1997-03-05 1997-03-05 歯科用軟質裏装材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05069097A JP3486624B2 (ja) 1997-03-05 1997-03-05 歯科用軟質裏装材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10245313A JPH10245313A (ja) 1998-09-14
JP3486624B2 true JP3486624B2 (ja) 2004-01-13

Family

ID=12865931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05069097A Expired - Fee Related JP3486624B2 (ja) 1997-03-05 1997-03-05 歯科用軟質裏装材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3486624B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008115358A (ja) 2007-06-18 2008-05-22 Shin Etsu Chem Co Ltd オルガノポリシロキサン及びその製法ならびに該オルガノポリシロキサンを含む化粧料組成物
JP5416693B2 (ja) * 2008-03-31 2014-02-12 好伯 清見 義歯及びその製造方法
JP5015994B2 (ja) * 2009-04-02 2012-09-05 信越化学工業株式会社 オルガノポリシロキサン及びその製法ならびに該オルガノポリシロキサンを含む化粧料組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10245313A (ja) 1998-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3122238B2 (ja) 歯科的応用面用の透明材料
JP4612624B2 (ja) 高い引裂き強度および低い稠度を有する硬化性シリコーン印象材
JP3478521B2 (ja) 歯科用軟質裏装材
US5513987A (en) Denture, method of repairing denture and dental soft relining material used therefor
RU2600355C2 (ru) Композиция, содержащая силоксановые соединения, способ ее получения и использования
EP2741729B1 (en) Curable composition with shortened setting time, process of production and use thereof
JP3095615B2 (ja) シリコーン系軟質裏装材用コーティング材
US20060281856A1 (en) Quick set silicone based dental impression materials
JP3486624B2 (ja) 歯科用軟質裏装材
JP4231949B2 (ja) 歯科用粘膜調整材組成物
JP3040297B2 (ja) 歯科用軟質裏装材
JP6341938B2 (ja) 安定化歯科用印象組成物、部品キット、及びそれらの使用
JP4030617B2 (ja) 歯科仮封用シリコーン組成物
JP4807543B2 (ja) 歯科用硬化性組成物
US6547563B1 (en) Dental tissue conditioner and kit therefor
EP1741420A1 (en) Quick set silicone based dental impression materials
JP3248766B2 (ja) 軟質裏装材
JP4067071B2 (ja) 歯科用粘膜調整材
JP3277503B2 (ja) 歯科用軟質裏装材
KR100488138B1 (ko) 치과용 연질이장재, 의치 및 의치의 수리방법
JP3673838B2 (ja) 歯科用印象材
JPH10259110A (ja) 歯科用印象材
EP1084684A1 (en) Dental tissue conditioner and kit therefor

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091031

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141031

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees