JP6341938B2 - 安定化歯科用印象組成物、部品キット、及びそれらの使用 - Google Patents

安定化歯科用印象組成物、部品キット、及びそれらの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP6341938B2
JP6341938B2 JP2015558933A JP2015558933A JP6341938B2 JP 6341938 B2 JP6341938 B2 JP 6341938B2 JP 2015558933 A JP2015558933 A JP 2015558933A JP 2015558933 A JP2015558933 A JP 2015558933A JP 6341938 B2 JP6341938 B2 JP 6341938B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
weight
composition
tert
butyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015558933A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016509057A (ja
JP2016509057A5 (ja
Inventor
ウー.オズバルト ペーター
ウー.オズバルト ペーター
ホフマン ヘニング
ホフマン ヘニング
ベー.ツェヒ ヨアヒム
ベー.ツェヒ ヨアヒム
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
3M Innovative Properties Co
Original Assignee
3M Innovative Properties Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 3M Innovative Properties Co filed Critical 3M Innovative Properties Co
Publication of JP2016509057A publication Critical patent/JP2016509057A/ja
Publication of JP2016509057A5 publication Critical patent/JP2016509057A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6341938B2 publication Critical patent/JP6341938B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/90Compositions for taking dental impressions

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)

Description

本発明は、当該組成物の貯蔵寿命を改善するのに好適な安定剤を含む、歯科用印象組成物に関する。
歯科用印象に適用可能な材料は当該技術分野において周知である。
通常使用される類の歯科用印象材は、典型的に、例えば米国特許第5,064,891号、欧州特許出願公開第0 729 341 A1号明細書若しくは米国特許第4,657,959号に記載のポリオルガノシロキサン含有成分の付加反応若しくは縮合架橋反応、又は例えば欧州特許第1 210 055 B1号明細書に記載のアジリジノポリエーテルなどのポリエーテル生産技術のいずれかをベースとしている。
近年では、例えば欧州特許出願公開第1 290 998 A1号明細書に記載のポリオルガノシロキサンとポリエーテルのハイブリッド材料も利用可能である。前記材料は、典型的に、迅速な凝固作用及び良好な寸法安定性などの様々な特性を有している。一般に、材料は使用前に混合される2つの成分で提供され、架橋反応により硬化する。
歯科用印象材、特にポリシロキサン系材料(VPS材料)にとって重要な特徴は、本来疎水性の材料を親水性にする点である。この課題の解決手段は、欧州特許出願公開第1 893 163 A1号明細書、同第EP 2 165 693 A2号明細書、又は欧州特許第EP 0 244 478 B1号明細書、同第EP 0 231 420 B1号明細書若しくは同第EP 0 613 926 B1号明細書に見出すことができる。近年では、VPS材料の更に改善された親水化系が、例えば欧州特許第1 976 479 B1号明細書、欧州特許出願公開第2 386 287 A2号明細書又は欧州特許第2 231 102 B1号明細書に記載されている。
一方で、シリコーン印象材の高度な親水化に関する一問題点は、生成されるペースト、すなわち、ベースペースト及びカタリストペーストの保存安定性である。
そのため、国際公開第98/53791 A2には、CaSO4又はCaCl2などの吸水用スカベンジャーの使用、並びにベースペーストを安定化させるためのゼオライトAの使用について記載されている。
例えば、欧州特許第1 893 163 B1号明細書又は国際公開第2007/001869 A2号には、歯科用印象材を安定化するための別の手段が記載されている。前記欧州特許第1 893 163 B1号明細書又は国際公開第2007/001869 A2号では、親水化された付加硬化性シリコーン配合物のベースペーストを安定化させるためにリン系化合物を使用している。米国特許第5,367,001号(Ithoら)には、分子内に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリエーテルポリマーと、分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、白金触媒と、無機充填剤と、酸化防止剤と、を含む印象組成物が記載されている。好適な充填剤としては、微粉末シリカ、石英粉末、ガラス繊維、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムが記載されている。
国際公開第99/27895号(Curtisら)には、色相変化インジケータを含む歯科用印象組成物が記載されている。この印象組成物は、ポリカプロラクトンなどの熱可塑性物質をベースとしており、充填剤、酸化防止剤及び安定剤を含み得る。
米国特許出願公開第2007/0173557 A1号(Bublewitzら)には、アルコキシシリル官能性ポリエーテルをベースとする縮合架橋型歯科用材料が記載されている。この歯科用材料は、安定剤及び/又は酸化防止剤を含み得る。
最近では高親水性の系も入手可能なため、長期貯蔵寿命などを有する改善された歯科用印象材が必要とされている。
一般に、歯科用印象組成物には、硬化前後の材料特性に関して材料がその特徴的特性を失うことなく、大量の歯科材料を保存することができるように、できる限り長い貯蔵寿命を有するべきである。
より具体的に言えば、良好な貯蔵寿命を有する硬化性親水性歯科用印象組成物が必要とされている。
また、良好な貯蔵寿命を有する硬化性親水性歯科用印象組成物を有することは望ましいが、当該組成物の配合組成は、特定種の充填剤の使用について限定されるものではない。
一実施形態では、本発明は、50℃未満の温度で硬化可能な歯科用組成物であって、
(A)成分(A)のような成分として(as component as component (A))、硬化性オルガノポリシロキサンポリマーと、
(B)成分(B)として、前記オルガノポリシロキサンポリマーを架橋することができる架橋剤化合物と、
(C)成分(C)として、成分(A)と成分(B)の架橋反応(crosslinking reaction or)を触媒することができる触媒と、
(D)成分(D)として、親水化剤と、
(E)成分(E)として、クリストバライトを含む充填剤と、
(F1)成分(F1)として、亜リン酸部分を含む化合物及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの安定剤であって、好ましくは
(ただし、n=2である)と、
(F2)成分(F2)として、酸化防止剤及びその混合物から選択される少なくとも1つの安定剤であって、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と、
(G)場合により、成分(G)として、エチレン性不飽和基を1個のみ有するシラン化合物と、
(H)場合により、成分(H)として、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するシラン化合物と、
(I)場合により、成分(I)として、不飽和基を有しないオルガノポリシロキサンと、
(J)場合により、成分(J)として、添加物と、を含み、
当該組成物が、互いに物理的に別個のベースペースト及びカタリストペーストの形状で存在し、
ベースペーストが成分(A)、成分(B)、成分(D)、成分(E)、成分(F1)、成分(F2)を含み、
カタリストペーストが成分(A)、成分(C)、成分(E)を含み、
そして、存在する場合、成分(G)、成分(H)、成分(I)及び/又は成分(J)が、ベースペースト若しくはカタリストペースト、又はベースペースト及びカタリストペーストのいずれかに含まれている、組成物を特徴とする。
別の実施形態では、本発明は、本明細書の本文に記載の歯科用組成物の製造方法であって、組成物の各成分を混合する工程を含む、方法に関する。
本発明は、更に、部品キット及び本発明の組成物の成分を含むカートリッジにも関し、部品キットはベースペースト及びカタリストペーストが含まれている。更に、本発明は、充填剤成分(E)としてクリストバライト、特にpH値が約4〜約8のクリストバライト(pH値の測定は、0.01N CaCl水溶液50ml中、充填剤20gの分散液であって、少なくとも10分間撹拌したものにおいて行う)を含む、歯科用印象組成物の貯蔵寿命を延ばすための、本明細書に記載の安定剤成分(F1)と(F2)を混合して使用する方法をも特徴とする。
定義
別途定義していない限り、本明細書において、以下の用語は特定の意味を有するものとする。すなわち、「歯科用組成物」又は「歯科用途のための組成物」又は「歯科分野で使用される組成物」は、歯科分野で使用可能な任意の組成物である。
この点において、組成物は患者の健康にとって有害であってはならず、したがって、組成物から拡散することのできる有害成分及び有毒成分は含まれない。歯科用組成物の例には、永久的及び一時的クラウン及びブリッジ材料、人工クラウン、前歯用又は奥歯用充填材、接着剤、ミルブランク、ラボ材料並びに歯列矯正装置が挙げられる。歯科用組成物は、典型的に、約30分間又は20分間又は10分間の時間枠内で、約15〜50℃又は約20〜40℃の温度範囲を含む周囲条件で固化し得る固化性組成物である。より高い温度は、患者に疼痛を引き起こすことがあり、また患者の健康に害を及ぼすことがあるので推奨されない。歯科用組成物は、典型的に、比較的少量、すなわち約0.1〜約500ml、又は約0.5〜約100ml、又は約1〜約50mlの範囲の量で医師に提供される。したがって、有用な梱包装置の保存量は、これら範囲内である。
「歯科用印象材」は、歯肉などの歯牙構造の印象を採得するのに使用される材料である。歯科用印象材は、通常、歯科印象採得用トレイの上に載せられる。歯科用印象材は、異なる化学物質をベースにすることが可能であり、様々な化学反応(付加硬化材料及び縮合型硬化材料を含む)により架橋することができる。典型的な例には、シリコーンベースの印象材(例えばVPS材)、及びポリエーテルベースの印象材、並びにこれらの混合物が挙げられる。
用語「化合物」は、特定の分子同一性を有する化学物質であるか、又はかかる分子の混合物、例えばポリマー性物質の混合物から作製される。用語「ヒドロシリル化」は、脂肪族多重結合(例えば、オレフィン性又はアセチレン性不飽和)、好ましくはビニル基−CH=CHを含有する化合物に、SiH基を含む化合物を付加することを意味する。
「ペースト」とは、液体に分散された、軟らかく、粘稠な固体の塊を意味する。用語「シリコーン」は、本明細書で使用するとき、たいていはケイ素原子と酸素原子を交互に有し(すなわち、ポリシロキサン化学構造)、架橋剤化合物及び触媒化合物の存在下で凝固反応を受けるのに十分なペンダント官能基を有するポリマーを指す。
「立体障害フェノール」とは、C1〜C6アルキル基(イソプロピル及びtert−ブチルなど)がフェノール部分のオルト位に存在する、フェノール部分を含む化学成分を意味する。「固化性マトリックス」は、成分間の化学的相互作用(例えば化学結合の形成)による網状構造の形成に寄与して、それにより粘度のようなレオロジー特性を著しく変化させる組成物の成分として記載され得る。
用語「加硫、固化、架橋、凝固」は互換的に用いられ、一般的な属性として、室温でこれらの架橋の形成と効率よく鎖長の伸長を同時に行う化学反応によって、比較的低分子量の直鎖状又は分枝鎖状ポリマーから架橋エラストマーを発生させるシリコーンを指す。
「室温加硫」は、硬化反応が25℃又は25℃付近の温度で進行することができることを意味する。例えば、口腔は、およそ32℃の平均温度を有し、したがってほぼ室温である。ある「高」温で硬化する材料は、比較的高温(例えば、>50℃又は>100℃)に限って硬化するように設計されており、室温では安定である(すなわち、硬化反応は阻害される)。
用語「架橋ポリマー」は、本明細書で使用するとき、ポリマー鎖の官能基と反応してポリマーを伸長させて結合させ、例えば、シリコーンエラストマーの特徴である架橋網状構造を形成するるポリマーを指す。熱可塑性ポリマー(すなわち、加熱時に軟化し流動するポリマー)とは対照的に、架橋ポリマーは、架橋後、特徴として、更に流動することはできない。
用語「作用時間」は、本明細書で使用するとき、凝固反応の開始(例えば、ビニル含有オルガノポリシロキサンとオルガノヒドロポリシロキサンと白金触媒とを混合したとき)から、意図する目的のために系に更なる物理的作用を行う、例えば、それを再形成させることがもはや現実的ではない点まで凝固反応が進行した時間までの間の時間を指す。この後者の点まで反応が進むと、材料は「ゲル点」に達したと考えられる。作用時間は、好ましくは、組成物を混合して所望の形にするのに十分な時間を提供する。多くの歯科用印象組成物及び用途では、使用条件下における作用時間は、約30s(秒)超、約1min(分)超、又は約2分超であり得る。したがって、作用時間は、典型的には約30秒〜約3分、又は約1分〜約2分の範囲内である。いわゆる「高速凝固」組成物は、典型的には、より短い作用時間、例えば約2分未満又は約1.5分未満を有する。
用語「凝固する時間」又は「凝固時間」は、本明細書で使用するとき、本質的に材料の最終硬化状態特性が得られるように、十分な硬化が生じた時間を指す。シリコーン印象材では、凝固時間は、シリコーン材料の永続的な変形を引き起こすことなく、複製される表面から材料を取り外すことができる時間である。凝固時間は、例えば、振動式レオメータ上で反応組成物のトルクを測定することにより概算することができる。トルク値が最大値に達したとき、材料は完全に凝固したと言われる。又は、標準的な最大値未満の任意のトルク値(例えば、最大値の90%)を、凝固する時間の実用的な近似値として使用してもよい。一般に、長い凝固時間よりも、短い凝固時間の方が好ましい。歯科用印象組成物では、凝固時間は、好ましくは反応開始後約10分未満の時間で生じる。より好ましくは、凝固時間は、約5分+作用時間の合計よりも短い。
より具体的には、凝固時間は、患者の口内に歯科用材料をスプーンで入れてから硬化材料を取り外すまでの時間であり、口内滞留時間又は期間とも呼ぶことができる。口内滞留時間<約5分、好ましくは<約4分、特に好ましくは<約2分である凝固時間は、印象材を用いて作業する歯科医にとって望ましい特性である。
例えば、1回法印象材Imprint(商標)(3M ESPE)は、約5分の凝固時間を有し、一方Palgat(商標)(3M ESPE)のような典型的なアルギネート印象材は約4分の凝固時間を有する。
「歯科印象」は、人間の歯列の一部又は全てを正確に表現するものとして説明することができる。それは、人間の歯牙硬組織の「陰型」を形成して、次にこれを用いて歯列の型(物理的)を作製することができる。これは、義歯、クラウン、又は他の補綴物の製作に用いることができる。印象は、特定ユーザに合わせて設計したトレイ内で、口内に液体材料を入れることにより実行される。材料はその後凝固して、弾性固体になり、口から取り出したとき歯の形状を保持する。歯科印象に用いられる一般的な材料は、アルギン酸ナトリウム、寒天、アジリジノ置換ポリエーテル材料を含むポリエーテル、並びに縮合硬化シリコーン及びポリビニルシロキサンを含む付加硬化シリコーンの両方を含むシリコーンである。
用語「歯組織」は、硬質歯質(エナメル質及び象牙質)、硬質歯質周囲の歯肉領域(軟質歯組織)及び歯列矯正装具を支える硬質歯質を含む。
「親水化剤(Hydrophilating agents)」は、単独で用いた場合は水の表面張力を低下させ(界面活性剤のように)、又は界面活性剤と組み合わせて用いた場合は表面張力の低下に寄与し得る薬剤(湿潤助長剤と呼ばれることもある)である。必要に応じて、水の表面張力の低下効果は、以降に更に詳述するようにして水接触角を求めることにより測定され得る。
用語「オートミキサーに適した印象材」とは、一例として、使い捨て二成分カートリッジから、例えばSulzerMixpac Company製のスタティックミキサ(米国特許第5,464,131号、欧州特許出願公開第0 730 913 A1号明細書を参照)を通じて分配され得るか、又は再利用可能なデュアルチャンバー式カートリッジのフィルムバッグから、ダイナミックミキサ、例えば、3M ESPE Company製の装置「Pentamix(商標)」、「Pentamix(商標)2」及び「Pentamix(商標)3」(米国特許第5,286,105号及び同第5,249,862号を参照)を通じて分配され得る、多成分印象材を指す。
「周囲条件」は、本発明の組成物が、保管及び取り扱い中に通常さらされる条件を意味する。周囲条件は、例えば、約900〜約1100mbar(0.09〜約0.11MPa)の圧力、約−10〜約60℃の温度、及び約10〜約100%の相対湿度であり得る。実験室では、周囲条件は、約23℃及び約1013mbar(0.1013MPa)に調整される。歯科及び歯列矯正分野では、周囲条件は、約950〜約1050mbar(0.095〜約0.105MPa)の圧力、約15〜約40℃の温度、及び約20〜約80%の相対湿度として理解するのが妥当である。
本明細書で使用するところの「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1つ又はそれよりも多く」は、互換可能に使用される。用語「含む(comprises)」又は「含有する(contains)」及びこれらの変形は、これら用語が本明細書の記載及び請求項に表示される場合、限定的な意味を有するものではない。用語「含む(comprising)」には、更に限定的な表現である「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」も包含される。
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が含まれる。用語に「(s)」を付加することは、その用語が単数形及び複数形を含むべきであることを意味する。例えば、用語「添加物(s)」は、1つの添加物及びそれ以上の数の添加物(例えば、2、3、4つ等)を意味する。
別途記載のない限り、明細書及び特許請求の範囲において以降に記載されかつ使用される成分の量、物性の測定値、等を表す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。
本発明の一つの利点は、本明細書に記載の歯科用組成物が比較的高い親水性を有し、かつ当該組成物の長期保存中に粘度の上昇を全く示さない又は比較的低レベルで示すことである。
そのため、前記組成物が、歯科用印象材のように、ベースペーストとカタリストペーストとを有し、これらペーストのうちの少なくとも一方が比較的大量の界面活性剤を含有する多成分歯科用材料の形状で提供されるのであれば、高レベルの界面活性剤を有する成分は長期保存中に時期尚早に硬化しないであろう。
保存安定性の改善に加えて、本明細書に記載の歯科用組成物は、典型的に、硬化後に良好な引裂強度も示す。例えば、オルガノポリシロキサンを含有するいくつかの硬化性組成物は、硬化すると良好な引裂強度を有しかつ良好な保存安定性に加えて十分な親水性をも有する、エラストマーを提供する。これにより、前記硬化性組成物は、印象を採得するための、特に口腔内で印象を採得するための、低粘稠度又は超低粘稠度の洗浄材料として使用するのに好適なものとなる。
欧州特許第1 893 163 B1号明細書では、比較的低レベルの界面活性剤(例えば、ベースペーストの重量に対して約1.5重量%の界面活性剤)を含むベースペーストに関するリン化合物の安定化効果が立証されている。一方で、歯科用印象材は、更に大量の界面活性剤(s)を含有することも多い。
前記の高親水性材料の場合、リン系安定剤を使用しても、ベースペーストを安定化するのに必ずしも十分であるとは限らない。更に、大量の親水化剤だけでなく充填剤の性質もが組成物の貯蔵寿命に影響を及ぼすように思われることも分かった。一例として、特に、低pH値のクリストバライト(例えば、pH約4〜約8、又は約4〜約7)は、ベースペーストの貯蔵寿命に悪影響を及ぼし得ることが分かった。
驚くことに、異なる2種の安定剤(すなわち、一方の安定剤はリン原子を含み、他方の安定剤は好ましくはフェノール部分を含有する酸化防止剤であるもの)を硬化性組成物のベースペーストに添加することにより、材料の保存性が改善されると同時に、低pH値のクリストバライトを使用した場合でも硬化作用及び材料特性は基本的に何も変わらないことが分かった。
そのため、本発明により、保存安定性歯科用組成物の製造が助長されるだけでなく、比較的低いpH値を有する充填剤を製造時に使用することも可能である。充填剤としてクリストバライトを含有するベースペーストは、触媒が存在しなくても重合化する傾向がある。かかるベースペーストに酸化防止剤を添加することで、ベースペーストの望ましくない重合を防ぐことができる。
本明細書に記載の歯科用印象組成物は、典型的に、次のパラメータのうちの少なくとも1つ又はそれ以上、場合により全てを満たしている。
・稠度(ISO 4823に従って):0、1、2若しくは3、及び/又は
・凝固時間:周囲条件(例えば23℃)で、混合後約15分以内。
すなわち、硬化性歯科用組成物は、比較的低粘性の性質(3型)、中程度の粘性(2型)、高粘稠度(1型)、又はパテ状の性質(0型)を示し得る。
一実施形態によれば、硬化した歯科用組成物は、次の特性のうちの少なくとも1つ、それ以上、又は場合により全てを特徴とし得る。
・引張強度(DIN 53504に従って):少なくとも約0.2MPa、少なくとも2.0MPa、又は少なくとも約3.0MPa、
・破断点伸び(DIN 53504に従って):少なくとも約30%、少なくとも約150%、又は少なくとも約200%、
・変形からの回復(ISO 4823に従って);少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%、
・ショアA硬度(ISO 4823に従って、24時間):少なくとも約20又は少なくとも約40。
歯科用組成物はまた、その水接触角を特徴とし得る。
組成物のある実施形態は、成分混合の60秒後に水滴滴下後10秒で約20°未満又は約13°未満の水接触角を有する(例えば、以下の実施例の章に記載する方法に従って決定したとき)。
組成物のある実施形態は、あるいは又は上記水接触角に加えて、成分混合の40秒後、約80°未満の初期水接触角を有する(例えば、以下の実施例の章に記載する方法に従って決定したとき)。必要に応じて、水接触角は、以下の実施例の章の記載のようにして測定することができる。
成分(A)は、オルガノポリシロキサンを1つ、又は2つ又はそれ以上のポリシロキサンの混合物を含有する。後者の場合、成分(A)中に含まれる「n」個のポリシロキサンをそれぞれ、(A1)、(A2)、(An)と命名する。
成分(B)は、1分子当たり少なくとも3個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを1つ、又はかかるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの2つ又はそれ以上の混合物を含有する。後者の場合、成分(B)中に含まれる「n」個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンをそれぞれ(B1)、(B2)、...(Bn)と命名することがある。
成分(C)は、成分(A)と成分(B)の架橋反応を触媒することができる触媒を1つ含有する。
成分(D)は、反応性置換基を有しない親水化剤を1つ、又はかかる親水化剤の2つ又はそれ以上の混合物を含有する。後者の場合、成分(D)中に含まれる「n」個の親水化剤をそれぞれ、(D1)、(D2)、...(Dn)と命名することがある。
成分(E)は、充填剤を1つ、又は2つ又はそれ以上の充填剤の混合物を含有する。後者の場合、成分(E)中に含まれる「n」個の充填剤をそれぞれ、(E1)、(E2)、...(En)と命名することがある。
成分(F)は、安定剤を1つ、又はかかる安定剤の2つ又はそれ以上の混合物を含有する。後者の場合、成分(F)中に含まれる「n」個の安定剤をそれぞれ、(F1)、(F2)、...(Fn)と命名することがある。
成分(G)は任意である。存在する場合、成分(G)は、エチレン性不飽和基を1個のみ有するシラン化合物を1つ又はそれよりも多く、又はかかる化合物の2つ又はそれ以上を含有する。後者の場合、成分(G)中に含まれる「n」個のシラン化合物をそれぞれ、(G1)、(G2)、...(Gn)と命名することがある。
成分(H)は任意である。存在する場合、成分(H)は、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するシラン化合物を1つ又はそれよりも多く、又はかかる化合物の2つ又はそれ以上を含有する。後者の場合、成分(H)中に含まれる「n」個のシラン化合物をそれぞれ、(H1)、(H2)、...(Hn)と命名することがある。
成分(I)は任意である。存在する場合、成分(I)は、反応性置換基を有しないオルガノポリシロキサンを1つ、又はかかるオルガノポリシロキサンの2つ又はそれ以上の混合物を含有する。後者の場合、成分(I)中に含まれる「n」個のオルガノポリシロキサンをそれぞれ、(I1)、(I2)、...(In)と命名することがある。
成分(J)は任意である。存在する場合、成分(J)は、添加物を1つ又はそれよりも多く、又はかかる化合物の2つ又はそれ以上を含有する。後者の場合、成分(J)中に含まれる「n」個の添加物をそれぞれ、(J1)、(J2)、...(Jn)と命名することがある。
歯科用印象組成物は、成分(A)として硬化性オルガノポリシロキサンポリマーを含有する。硬化性オルガノポリシロキサンポリマーは、更に、1分子当たり少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンと説明されることもある。所望の結果が達成できるのであれば、オルガノポリシロキサンの性質及び構造は特に限定されない。
成分(A)は、ヒドロシリル化触媒の存在下でSiH基と反応することができる少なくとも2つの官能基を含有する硬化性シリコーンポリマーである。典型的には、硬化性シリコーンポリマーは、少なくとも2つのペンダント又は末端トリオルガノシロキシ基を有するオルガノポリシロキサンであり、ここで、3つの有機基のうちの少なくとも1つはエチレン性不飽和二重結合を有する基である。
一般に、エチレン性不飽和二重結合を有する基は、オルガノポリシロキサンのどのモノマー単位に位置していてもよい。しかしながら、エチレン性不飽和二重結合を有する基は、オルガノポリシロキサンのポリマー鎖の末端のモノマー単位に、又は少なくともその近くに位置していることが好ましい。別の実施形態では、エチレン性不飽和二重結合を有する基のうちの少なくとも2つは、ポリマー鎖の末端のモノマー単位に位置している。
「モノマー単位」という用語は、別段の明示的な指定がない限り、ポリマー主鎖を形成する、ポリマー中の反復構造要素に関する。
好ましいオルガノポリシロキサンは、次式で表すことができる。
(式中、ラジカルRは、互いに独立して、好ましくは脂肪族多重結合を含有しない、1〜約6個の炭素原子を有する非置換の又は置換された一価の炭化水素基を表し、ここで、nは、一般に、オルガノポリシロキサンの粘度が約1〜約1,000,000mPas、又は約2〜約500,000mPas、又は約10〜約100,000mPasとなるように選択することができる)。パラメータnは、例えば、約3〜約10,000又は約10〜約5,000の範囲であり得る。
一般に、上記式中のラジカルRは、1〜約6個の炭素原子を有する任意の非置換の又は置換された一価の炭化水素基を表すことができる。1〜約6個の炭素原子を有する非置換の又は置換された一価の炭化水素基は、直鎖状であり得るか、又は炭素原子数が2を超える場合は、分枝鎖状又は環状であり得る。一般に、ラジカルRは、それらが組成物の他の任意の構成要素又は置換基を妨害せず、かつ硬化反応を妨害しない限り、あらゆる種類の置換基を有することができる。
本明細書本文の文脈において使用するとき、「妨害」という用語は、組成物の他の置換基若しくは構成要素のうちの少なくとも1つ、又は硬化反応、あるいはこれら両方に対する、このような置換基の、固化した製品の特性にとって有害であり得る任意の影響に関する。本明細書に関して使用するとき、「有害な」という用語は、それらの意図される用途における前駆体又は硬化した製品の実用性に悪影響を及ぼす、前駆体又は硬化した製品の特性の変化に関する。
本発明の別の実施形態では、ラジカルRの少なくとも約50%がメチル基である。上記式によるオルガノポリシロキサンに存在し得る他のラジカルRの例は、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−及び3−n−ブテニル、ペンテニル異性体、ヘキセニル異性体、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのフッ素置換脂肪族ラジカル、シクロペンチル基若しくはシクロヘキシル基、シクロペンテニル基若しくはシクロヘキセニル基、又はフェニル基若しくは置換フェニル基などの芳香族基若しくはヘテロ芳香族基である。このような分子の例は、米国特許第4,035,453号に記載されており、その開示内容、特に前記分子、それらの化学構造及びそれらの調製に関する開示内容は、本明細書の開示内容の一部であるとみなされ、参照として本明細書に組み込まれる。
上記式による分子の調製は、当業者には一般に、同様の分子に関する先行技術の教示に基づいて理解されよう。
特定の粘度範囲内の粘度を有し、かつ末端基がジメチルビニルシロキシ単位とラジカルRとしてのメチル基とを含む、上記式による直鎖状ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
別の実施形態によれば、成分(A)は、ビニル基を含有するQM樹脂であり得る。
QM樹脂は、Qとして四官能SiO4/2単位を、そしてMとして単官能単位RSiO1/2などのビルディングブロックを含んでおり、前記式中、Rは、ビニル、メチル、エチル若しくはフェニル、又は三官能若しくは二官能単位である。
成分(A)として使用可能な好ましいQM樹脂は、次の構造を有する。Si[O−Si(CH−CH=CH好適なQM樹脂の例は、例えば、米国特許出願公開第2005/0027032号に記載されている。QM樹脂の記載に関する前記米国特許出願公開の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
QM樹脂は、前記オルガノポリシロキサンと共に使用されてもよく、又は前記オルガノポリシロキサンの代わりに使用されてもよい。
使用可能な成分(A)は、オルガノポリシロキサンの1種(A1)からなり得る。オルガノポリシロキサンは、約1〜約1,000,000mPas、約5〜約500,000mPas、約10〜約50,000、又は約30〜約40,000mPasの範囲で始まる粘度を有することができる。
しかし、成分(A)はまた、2つ又はそれ以上の構成要素(A1)、(A2)等を含むことも可能であり、それら構成要素は、例えば、それらの骨格の化学組成、それらの分子量、それらの置換基若しくはそれらの粘度、他の任意の識別特徴、又は上述の特徴のうちの2つ又はそれ以上が異なる可能性がある。
本発明の一実施形態では、成分(A)の種々の構成要素の粘度の差は、2倍超、例えば、約5倍超、約10倍超、約20倍超、約30倍超、約40倍超、約50倍超、約60倍超、約70倍超、約80倍超、約90倍超、又は約100倍超であり得る。粘度の差は、更に高い可能性もあり、例えば、約200倍超、約300倍超、約500倍超、約800倍超、約1,000倍超、又は約5,000倍超であり得るが、好ましくは、粘度の差は、約10,000倍より高い値を超えるべきではない。前述の値は、粘度の差の係数に関するものであって、粘度値自体に関するものではないことに留意すべきである。
必要であれば、粘度は、Haake Rotovisco RV20装置(スピンドルMV、測定カップNV)を用いて測定することができる。粘度は、典型的には23℃で測定される。システムを稼動して調整した後、スピンドルMVを取り付ける。次に、測定しようとする材料を、測定カップNVに入れる。遅滞なく、スピンドルを測定カップNVまで降ろす。スピンドルは、最大厚さ1mmの材料の層で覆われていなければならない。測定しようとする材料の温度を23℃で20分間調質する。スピンドルを回転させ始めることによって測定を開始して、測定開始20秒後の粘度値(mPas)を記録する。測定カップNVがどんなときでも回転又は移動しないことを確実にするように注意を払わなければならない。粘度値は、mPasで得られる。上記測定方法は、DIN 53018−1に対応する。
成分(A)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、
上限:最高約55重量%、又は最高約60重量%、
範囲:約10〜約60重量%、又は約20〜約55重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
歯科用印象組成物は、更に成分(B)として、オルガノポリシロキサンポリマーを架橋することができる架橋成分も含有する。架橋剤化合物は、典型的に、1分子当たり少なくとも3個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。所望の結果が達成できるのであれば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの性質及び構造は特に限定されない。
定義上、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、成分(A)又は成分(A)の一部として使用されるオルガノポリシロキサンに属さない。成分(B)として用いるためのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、典型的には、約0.01〜約1.7重量%のケイ素結合水素、すなわち約1.0〜9.0ミリモルSiH/gを含有する。水素原子又は酸素原子で飽和されていないケイ素原子価は、典型的には、エチレン性不飽和結合を有しない一価の炭化水素ラジカルRで飽和される。
炭化水素ラジカルRは、互いに独立して選択されてよく、エチレン性不飽和結合を有しない1〜12個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状又は環状の、非置換の又は置換された、脂肪族又は芳香族の一価の炭化水素基を表す。本発明の好ましい実施形態では、ケイ素原子と結合している炭化水素ラジカルRのうちの少なくとも約50%、好ましくは約100%がメチルラジカルである。
成分(B)として好適であり得るオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、約10〜約1,000mPas、約15〜約550mPas、又は約20〜約250mPasの粘度を有するものが挙げられる。
成分(B)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0.1重量%、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約3重量%、
上限:最高約20重量%、最高約15重量%、又は最高約10重量%、
範囲:約0.1〜約20重量%、約1〜約15重量%、又は約3〜約10重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
歯科用印象組成物は、更に、成分(A)と成分(B)の反応を助長する成分(C)として少なくとも1つの触媒も含有する。所望の結果が達成できるのであれば、触媒の性質及び構造は特に限定されない。
この触媒は、典型的には、白金触媒又は白金含有触媒であり、テトラメチルジビニルジシロキサンで還元することにより、ヘキサクロロ白金酸から調製できる白金錯体が挙げられる。このような化合物は、当業者に既知である。
エチレン性不飽和二重結合を有するシランの付加架橋を触媒する又は加速する任意の他の化合物もまた、適している。例えば米国特許第3,715,334号、同第3,775,352号及び同第3,814,730号に記載されているような白金−シロキサン錯体が、適している。これらの特許の開示は、白金錯体及びその調製に関して明示的に言及され、明白に本明細書本文の開示の一部と見なされる。
触媒成分(C)は、典型的には、白金元素として計算され、組成物の全体の重量に関連して、約0.00005〜約0.05重量%、特に約0.0002〜約0.04重量%の量で用いることができる。成分(A)、(B)、及び(C)は、歯科用組成物の固化性マトリックスの構成要素である。
歯科用印象材は、成分(D)として少なくとも1つの親水化剤を含有する。
所望の結果が達成できるのであれば、親水化剤の性質及び構造は特に限定されない。先に定義した通り、親水化剤という用語には、界面活性剤も包含される。
使用してよい界面活性剤又は親水性化剤は、一般に、シリコーン部分含有材料の親水性を改善する全ての種類の界面活性剤から自由に選択することができる(特に、ヒドロシリル化反応を介して硬化可能な場合)。
シリコーン材料の親水性を改善することができる有用な界面活性剤は、一般に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、若しくは非イオン性界面活性剤、又はこのような種類の界面活性剤のうちの2つ又はそれ以上の混合物から選択することができる。歯科用印象材が親水化剤として非イオン性界面活性剤を含むか、又は2つ又はそれ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を含む場合、好適でありうる。
成分(D)は、一般に、組成物に対して親水特性を高めることができる単数又は複数の薬剤を含んでよく、親水特性の増加は、例えば、成分(D)を含まない同じシリコーン組成物上で達成される濡れ角と比較して、材料(その硬化状態又は未硬化状態で)上での水又は水溶液又は分散液(例えば、石膏懸濁液等)の液滴の濡れ角の低下で示される。
ある実施形態では、界面活性剤は、ポリシロキサン網状構造に組み込まれないように、反応基を含有しない。ある実施形態では、界面活性剤、又は成分(D)が2つ又はそれ以上の界面活性剤を含む場合の少なくとも1つの界面活性剤は、Si含有部分を含有する、つまり、Si含有界面活性剤と称することができる。
エトキシル化脂肪族アルコールが使用可能である。好適な例は、欧州特許第0 480 238 B1号明細書に記載されている。更に、非イオン性界面活性剤も好ましく、ノニルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコールモノ−及びジ−エステル、ソルビタンエステル、並びにポリエチレングリコール−モノ−及びジ−エーテルが挙げられる好適な例は、例えば、米国特許第4,782,101号に記載されている。親水化剤及びその調製に関する米国特許第4,782,101号の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
好適な親水化剤としては、更に、固化した高分子網状組織に共有結合的に組み込むことができない親水性シリコーン油の部類に由来する湿潤剤も挙げられる。好適な親水化剤は、米国特許第4,657,959号及び欧州特許第0 231 420 B1号明細書に記載されている。親水化剤及びその調製に関する米国特許第4,657,959号及び欧州特許第0 231 420 B1号明細書の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
好適なシリコーン部分含有界面活性剤は、まとめると次の式のようになり得る。
(式中、それぞれのRは、独立して、1〜22個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビルラジカルであり、Rは、1〜26個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビレンラジカルであり、それぞれのRは、独立して、水素又は低級ヒドロキシアルキルラジカルであり、Rは、水素又は1〜22個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビルラジカルであり、n及びbは、独立して、0より大きく又は等しく、m及びは(m and are)、独立して、1より大きく又は等しいが、ただし、本発明の硬化した組成物が所望の水接触角を有するためにaは十分な値でありかつbは十分に小さい。)。
好ましくは、R及びRは−CHであり、Rは、−C−であり、Rは、水素であり、nは、約0又は約1であり、mは、約1〜約5であり、aは、約5〜約20であり、そしてbは、約0である。
このようなエトキシ化界面活性剤のいくつかは、例えば「SILWET」界面活性コポリマーを含み、Momentive Performance Materials Inc.から入手可能である。好ましい界面活性コポリマーとしては、Silwet 35、Silwet L−77、Silwet L−7600及びSilwet L−7602、Silwet L−7608、並びにSilwet Hydrostable 68及びSilwet Hydrostable 611が挙げられる。Silwet L−77は、上記式に相当すると考えられる、特に好ましいエトキシ化界面活性剤であり、式中、R及びRは、−CHであり、Rは、−C−であり、Rは、水素であり、nは、約0又は約1であり、mは、約1又は約2であり、aは、約7であり、bは、約0である。また、Lubrizol performance products(Spartanburg、米国)から入手可能な、MASIL(登録商標)SF19の使用も可能である。
有用な界面活性剤としては、更に、一般式Q−P−(OC2n−OTのポリエーテルカルボシランも挙げられる[式中、Qは、R−Si−又はR−Si−(R’−SiR−R’−SiR’’−を意味し、
ここで、分子中のRは全て、同じであっても異なってもよく、脂肪族C〜C18炭化水素ラジカル、脂環式C〜C12炭化水素ラジカル又は芳香族C〜C12炭化水素ラジカルを意味し、これらは、場合により、ハロゲン原子によって置換されてよく、R’は、C〜C14アルキレン基であり、R’’は、a≠0の場合、Rであり、又はa=0の場合、R若しくはRSiR’であり、そしてa=0〜2であり、Pは、C〜C18アルキレン基、好ましくはC〜C14アルキレン基、又はA−R’’’を意味し、前記式中、Aは、C〜C18アルキレン基を表し、及びR’’’は、次に挙げるもの:−NHC(O)−、−NHC(O)−(CH2)n−1−、−NHC(O)C(O)−、−NHC(O)(CH2)C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)−(CH2)n−1−、−OC(O)C(O)−、−OC(O)(CHC(O)−、−OCHCH(OH)CHOC(O)(CH2)n−1−、−OCHCH(OH)CHOC(O)(CH2)C(O)−(ここで、v=1〜12である)に由来する官能基を表し、Tは、Hであるか、又はC〜Cアルキルラジカル若しくはC〜Cアシルラジカルを意味し、xは、1〜200の数を意味し、そしてnは、1〜6の平均数、好ましくは、1〜4を意味する]。したがって、要素−SiR’’−はまた、部分構造−Si(R)(RSiR’)−を含んでもよい。
ポリエーテル部分は、ホモポリマーであり得るが、ランダムコポリマー、交互コポリマー、又はブロックコポリマーでもあり得る。
好適なポリエーテルカルボシランは、次のものからなる群から選択される。
EtSi−(CH−O−(C O)y−CH(ここで、Et=エチルである)、EtSi−CH−CH−O−(CO)y−CH(ここで、Et=エチルである)、(MeSi−CHSi−(CH−O−(CO)y−CH(ここで、Me=メチルである)、MeSi−CH−SiMe−(CH−O−(CO)y−CH(ここで、Me=メチルである)、(MeSi−CHSiMe−(CH−O−(CO)y−CH(ここで、Me=メチルである)、MeSi−(CH−O−(CO)y−CH(ここで、Me=メチルである)、MeSi−CH−CH−O−(CO)y−CH(ここで、Me=メチルである)、PhSi−(CH−O−(CO)y−CH(ここで、Ph=フェニルである)、PhSi−CH−CH−O−(CO)y−CH(ここで、Ph=フェニルである)、CySi−(CH−O−(CO)y−CH(ここで、Cy=シクロヘキシルである)、CySi−CH−CH−O−(CO)y−CH(ここで、Cy=シクロヘキシルである)、(C13Si−(CH−O−(CO)y−CH3、(C13Si−CH−CH−O−(CO)y−CH(ここで、yは、式:5≦y≦20に従う)、及びこれらの混合物。
単独で又は2つ又はそれ以上の混合物として使用可能な界面活性剤は、米国特許第5,750,589号(Zechら)の第2欄、47行〜第3欄第27行及び第3欄第49行〜第4欄第4行及び第5欄第7行〜第14欄第20行に見出すことができる。
単独で又は2つ又はそれ以上の混合物として使用可能なその他の界面活性剤は、米国特許第4,657,959号(Bryanら)の第4欄第46行〜第6欄第52行、並びに欧州特許第0 231 420 B1号明細書(Gribiら)の第4頁第1行〜第5頁第16行及び実施例に見出すことができる。
親水化剤及びその調製に関する前記特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、シリコーン部分含有界面活性剤とアルコキシル化炭化水素界面活性剤から選択される1つ又はそれよりも多くの非イオン性界面活性剤との混合物が使用される。
有用な非イオン性界面活性剤の例としては、次式によるものが挙げられる。
−O−[CHCHO]−[RO]−R
(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族、直鎖状又は分枝鎖状炭化水素基を表し、Rは、3個の炭素原子を有するアルキレンを表し、Rは、水素又はC1〜C3アルキル基を表し、nは、0〜40の値を有し、mは、0〜40の値を有し、及びn+mの合計は、少なくとも2である)。
上記の式において、n及びmにより示される単位は、ブロックとして存在してもよく、又は交互の構成若しくはランダムな構成で存在してもよいということが理解されるであろう。上記式による非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルフェノールオキシエチラート(oxethylates)、例えば商標名TRITON(商標)で市販されているエトキシ化p−イソオクチルフェノール、例えばエトキシ単位の数が約10個であるTRITON(商標)X100、又はエトキシ単位の数が約7〜8個であるTRITON(商標)X114が挙げられる。更なる例としては、上記式のRが炭素原子4〜20個のアルキル基を表し、mが、0であり、かつRが、水素であるものが挙げられる。それらの例としては、約8個のエトキシ基でエトキシ化されたイソトリデカノールが挙げられ、これはGENAPOL(登録商標)X080として、Clariant GmbHから市販されている。親水性部分がエトキシ基及びプロポキシ基のブロックコポリマーを含む、上記式による非イオン性界面活性剤も同様に使用してよい。かかる非イオン性界面活性剤は、「GENAPOL(登録商標)PF 40」、及び「GENAPOL(登録商標)PF 80」の商標名で、Clariant GmbHから市販されている。市販されている更に好適な非イオン性界面活性剤としては、Tergitol(商標)TMN 6、Tergitol(商標)TMN 10、又はTergitol(商標)TMN 100Xが挙げられる。また、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム、交互又はブロックコポリマーは、本発明による好適な界面活性剤である。このような非イオン性界面活性剤は、例えば商標名Breox A、Synperonic又はPluronicとして入手可能である。
前記親水化剤(s)以外に又はそれに加えて、組成物は、次の成分のうちのいずれかを含んでもよい。
−末端基としてビニル、アリル、−OCO−(CH)C=CHから選択される重合性部分を有する、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドポリマー又はエチレン−プロピレンブロックポリマー、
−HC−CO−[CH−CH−O−]−[CH−CH−CH−O−]−CO−CH(ただし、n、m=10〜100である)。
前記親水化剤(s)に加えて、組成物は、更に、1つ又はそれよりも多くのフッ素含有成分を親水化剤(成分(D))として含んでいてもよい。
F−含有化合物の好適な例としては、次の化合物が挙げられる。
−X−[(O−CF−CF−(O−CF−(O−CF(CF)−CF−(O−CF−CF−CF−O]−X−T
[ここで、u=0〜8、v=0〜8、w=0〜14及びx=0〜8であり、そしてu+v+w+x≧1であり、式中、T及びTは、同じであっても又は異なっていてもよく、独立して、−COOR、−CONR−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR又は−Fからなる群から選択され、ここで、R及びは(R and being)、直鎖状又は分枝鎖状アルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、これらはそれぞれ、場合により、ヒドロキシル、アミノ基、ハロゲン原子、SiH基、及びSiHと反応することができる基からなる群から選択される1つ又はそれよりも多くの置換基によって置換されてよく、R及びRは、独立して、Hを表すか又はRに与えられた意味を有し、そしてXは、(CF1〜6、CF(CF)及びCHF−CFから選択される]。
更に正確に言えば、フッ素含有成分は、また、次の式のうちのいずれかを特徴とし得る:
・Rf−(O)−CHF−(CF−T[ここで、t=0又は1であり、x=0又は1であり、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル残基(C1〜C6又はC1〜C4を含む)であり、式中、アルキル鎖は酸素原子で中断されてもよく、ただしtが0であるとき、Rf基は、1つ又はそれよりも多くの酸素原子で中断される直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル残基(C1〜C6又はC1〜C4を含む)である)]、
・Rf−(OCF−O−CF−T[ここで、m=1〜約6であり、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル残基(C1〜C6又はC1〜C4を含む)であり、アルキル鎖はO原子で中断されてもよい]、
・CF−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−T[ここで、z=0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、Lは−CF(CF)−、−CF−、−CFCF−及び−CHFCFから選択される構造を有する]、
・Rf−(O−CFCF−O−CF−T[ここで、n=1、2、3、4又は5であり、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル残基(C1〜C6又はC1〜C4を含む)であり、アルキル鎖はO原子で中断されてもよい]、
・フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、テトラフルオロエチレン、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタン、トリフルオロエチレン又はモノフルオロエチレンから選択されるモノマーのアニオン重合若しくはアニオン共重合又は(酸素の存在下における)光化学重合若しくは光化学共重合によって生成され得るオリゴマー化合物[ただし、オリゴマー化合物の少なくとも1個の鎖末端は官能基Tで表され、Tは、−COOR、−CONR−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR又は−Fからなる群から選択され、前記式中、R及びは(R and being)、直鎖状又は分枝鎖状アルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、これらはそれぞれ、場合により、ヒドロキシル、アミノ基、ハロゲン原子、SiH基、及びSiHと反応することができる基からなる群から選択される1つ又はそれよりも多くの置換基によって置換されていてよく、R及びRは、独立して、Hを表すか又はRに与えられた意味を有する]。
Tの具体例としては、次のものが挙げられる:
a)ヘキサフルオロプロピレンオキシド及び/又は2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンのホモ重合又は共重合、
b)酸素の存在下における、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、テトラフルオロエチレン、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタン、トリフルオロエチレン及び/又はモノフルオロエチレンのホモ重合又は共重合。具体的には、以下の構造のエステル、特にメチルエステル、及びアミドール(T=C(O)NH−アルキル−OH)並びに化学還元により調製されるそれぞれのアルコール又はメチルエーテルを用いてよい。
用いてよいF−含有化合物の具体例としては、以下に列挙するものが挙げられる:
Rf−O−CHF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であり、このアルキル鎖は酸素原子で中断されてもよい]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−T
Rf−O−CHF−CF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であり、このアルキル鎖は酸素原子で中断されてもよい]。
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−T
−O−CF−CHF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であり、このアルキル鎖は酸素原子で中断されてもよい]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
−O−CF−CHF−T
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−T
Rf−O−CFCHF−CF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であり、このアルキル鎖は酸素原子で中断されてもよい]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
−O−CF−CHF−CF−T
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−T
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−T
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−T
−O−CF−CF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であって、これは酸素原子で中断されてもよく、n=1、2、又は3であり、m=0又は1である]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
CF−O−CF−CF−T
−O−CF−CF−T
−O−CF−CF−T
−O−CF−CF−T
Rf−(O−CF−O−CF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であって、これは酸素原子で中断されてもよく、u=1、2、3、4、5又は6である]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
CF−(O−CF−O−CF−T
CF−(O−CF−O−CF−T
Rf−(O−CF−CF−O−CF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であって、これは酸素原子で中断されてもよく、k=1、2、3、4、5である]。
−(O−CF−CF−O−CF−T
−(O−CF−CF−O−CF−T
−(O−CF−CF−O−CF−T
−(O−CF−CF−O−CF−T
CF−(O−CF−CF−O−CF−T
−(O−CF−CF−O−CF−T
−(O−CF−CF−O−CF−T
Rf−O−CF−T[ここで、Rfは、直鎖状又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であり、このアルキル鎖は酸素原子で中断されてもよい]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
−O−CF−T
CF−(CF−(O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−T[ここで、z=0、1、2、3、4、5、6、7、又は8である]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
CF−(CF−(O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−T
CF−(CF−(O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−T
CF−(CF−(O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−T
CF−(CF−(O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−T
CF−CHF−O−(CF−T[ここで、o=1、2、3、4、5又は6である]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
CF−CFH−O−(CF−T
CF−CFH−O−(CF−T
CF−CF−O−(CF−T[ここで、o=1、2、3、4、5又は6である]。
上記式による具体例としては、以下のものが挙げられる:
CF−CF−O−(CF−T
CF−CF−O−(CF−T。
T−CF−O−(CF−CF−O)−(CF−O)−CF−T[ここで、p/q=約0.5〜約3.0であり、分子量は約500〜約4000g/モルの範囲である]。
T−CF−(O−CF(CF)−CF−(O−CF−O−CF−T[ここで、n/m=約20〜約40であり、分子量は約650〜約3200g/molの範囲である]。
Rf−(O−CF−CF−CF−O−CF−CF−T[ここで、n=1〜25であり、Rfは、直鎖又は分枝鎖状の完全又は部分フッ素化アルキル鎖(C1〜C6を含む)であり、このアルキル鎖はO原子で中断されてもよい]。
上記式中、Tは、−COOR、−CONR、−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR又は−Fからなる群から選択され、ここで、R及びは(R and being)、直鎖状又は分枝鎖状アルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、これらはそれぞれ、場合により、ヒドロキシル、アミノ基、ハロゲン原子、SiH基、及びSiHと反応することができる基からなる群から選択される1つ又はそれよりも多くの置換基によって置換されてよく、R及びRは、独立して、Hを表すか又はRに与えられた意味を有する。
本発明と併用して使用するのに好適なフッ素化化合物としては、商標名FOMBLIN(商標)、GALDEN(商標)及びH−Galden(商標)、Fluorolink(商標)材料として市販されているフッ素化ポリエーテルが挙げられ、又は米国特許出願公開第2007/0276068号、欧州特許第870877号、国際公開第2004/060964号、同第2007/140091号、米国特許出願公開第2007/0015864号、同第2007/0015864号、同第2007/0025902号及び同第2007/0015937号に記載されている調製方法を用いて調製できる。
更なる例は、欧州特許第2231102 B1号明細書に見出すことができる。フッ素含有成分の記載に関する欧州特許第2231102 B1号明細書の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
前記フッ素含有成分は典型的に湿潤助長剤として働くものであって、すなわち、前記フッ素含有成分は、単独で(つまり、追加の界面活性剤を用いずに)使用した場合は親水化特性を示さないが、更に追加される界面活性剤の親水化特性を向上させる。
ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)誘導体が特に有用であり、HFPOのカルボキシルエステル誘導体及びアミドール誘導体が挙げられる。
HFPOは、米国特許第3,242,218号又は米国特許出願公開第2004/0124396号に記載されているように得ることができる。HFPOのメチルエステル誘導体の一般式は、CO[CF(CF)CFO]CF(CF)COOCH(ここで、nは、2〜14である)である。
成分(D)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.75重量%、又は少なくとも約1.5重量%、
上限:最高約30重量%、最高約10重量%、又は最高約5重量%、
範囲:約0.1〜約30重量%、約0.75〜約10重量%、又は約1.5〜約5重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
本明細書に記載の組成物は、典型的に、ベースペーストとカタリストペーストを混合することにより生成される。この点で、親水化剤は、ベースペースト内だけでなく、カタリストペースト内に存在し得る。本発明の1つの実施形態では、親水化剤はベースペースト内にのみ存在する。
歯科用印象材は、成分(E)として充填剤を含有する。所望の結果が達成できるのであれば、充填剤の性質及び構造は特に限定されない。
シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、無機塩、金属酸化物、及びガラスのような多種多様な無機充填剤、親水性充填剤、又は疎水性充填剤を使用してよい。粉砕石英(4〜6μm)などの結晶性二酸化ケイ素、珪藻土(4〜7μm)などの非晶質二酸化ケイ素、及びCabot Corporation製のCab−o−Sil TS−530(160〜240m/g)などのシラン化ヒュームドシリカに由来するものを含む、二酸化シリコーンの混合物を使用できることが分かっている。
前述の材料の寸法及び表面積は、結果として得られる組成物の粘度及びチキソトロピー性を制御するように調節することができる。前述の疎水性充填剤の一部又は全ては、当業者に既知であるような、1つ又はそれよりも多くのシラン処理剤で表面的に処理してよい。このようなシラン処理は、既知のハロゲン化シラン又はアルコキシシラン又はシラザンを用いて達成できる。
使用できる充填剤の中には、石英、クリストバライト、ケイ酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸ジルコニウム、ベントナイト等のモンモリロナイト、ゼオライトなどの充填剤があり、ケイ酸ナトリウムアルミニウム等のモレキュラーシーブ、酸化アルミニウム、酸化チタン若しくは酸化亜鉛、又はそれらの混合酸化物等の金属酸化物粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石こう、ガラス及びプラスチック粉末が含まれる。
好適な充填剤はまた、焼成シリカ又は沈降シリカ、及びシリカアルミニウム混合酸化物、並びに金属酸化物である。これらの充填剤は、Wacker又はDegussaなどの企業から、商品名Aerosil(商標)、HDK−H、又はAeroxide(商標)として市販されている。
上述の充填剤は、例えばオルガノシラン若しくはシロキサンを用いる処理により、又はヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化により疎水化してよい。1種の充填剤又は少なくとも2つの充填剤の混合物もまた使用することができる。粒子分布は、好ましくは、約50μm超の粒径を有する充填剤がないように選択される。
補強充填剤と非補強充填剤の組み合わせが好ましい場合がある。この観点では、補強充填剤の量は、全組成物に対して約0.1〜約10重量%、特に約0.4〜約8重量%の範囲であってよい。
典型的な補強充填剤としては、ヒュームドシリカ、焼成金属酸化物、カーボンブラックなどが挙げられる。これらは表面処理することもでき、硬化したシリコーン組成物の引張強度又は引裂強度のような力学的特性を改善することができる。
表面処理により好ましく疎水化されている焼成法で調製された高分散シリカが、補強充填剤として好ましい。表面処理は、例えばジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルシクロテトラシロキサン又はポリメチルシロキサンを用いて実行してよい。
好ましい非補強充填剤は、表面処理されてよい、石英、クリストバライト及びケイ酸ナトリウムアルミニウムである。表面処理は、一般に、補強充填剤の場合に記載されたものと同じ方法により実行してよい。
典型的な非補強充填剤は、石英、沈殿シリカ、珪藻土、アルミナ、マグネシア、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、金属酸化物等である。これらの充填剤は、表面処理、例えばシラン化されてもよく、表面処理されなくてもよい。典型的な粒径は、約0.2〜約20μmである。
非補強充填剤(例えば、クリストバライト)は、化学組成に加えて、次のパラメータも特徴とし得る。
−平均粒径:約1〜約50μm、又は約2〜約20μm、
−0.01N CaCl2水溶液50ml中、充填剤20gの分散液のpH値:約3〜約10、又は約4〜約9.5。
必要に応じて、粉末の平均(mean又はaverage)粒径は粒径分布の積算曲線から求めることができ、特定の粉末混合物の粒径測定値の算術平均と定義される。各測定は、市販の粒度計(例えば、CILASレーザ回折粒径分析装置)を用いて行うことができる。
必要に応じて、pH値は、次のように求めることができる。20g又は充填剤(20g or filler)を0.01N CaCl2水溶液50mlに少なくとも10分間にわたって(撹拌することで)分散させて、撹拌終了から1時間後に、例えばpH電極(例えば、Metrohm(商標)808)を用いてpH値の測定を行った。
成分(E)は、次の量で存在し得る。
典型的には、充填剤は、全組成物に対し、少なくとも約5重量%、少なくとも約20重量%又は少なくとも約30重量%の量で用いることができる。特定の上限はないが、典型的には充填剤の量は、仮に存在する場合、全組成物に対して最大約80重量%、最大約70重量%又は最大約60重量%の量で用いられる。
したがって、成分(F)としての充填剤において典型的な範囲は、全組成物に対して約5〜約80重量%、約20〜約70重量%又は約30〜約60重量%を含む。
歯科用印象組成物は、成分(F1)として、亜リン酸部分を含む化合物である安定剤を少なくとも1つ含有する。
成分(F1)は、一般に、硬化した組成物の特性若しくはその硬化速度、又は本明細書に記載の材料の他の重要な特性に有意に悪影響を及ぼさないのであれば、少なくとも1個のリン原子を含有するあらゆる種類の安定剤を含み得る。
安定剤は有機であっても無機であってもよく、又は有機安定剤と無機安定剤の混合物も成分(F1)として使用され得る。安定剤はまた、2個又はそれ以上のリン原子を含み得る。成分(F1)は、少なくとも1個のリン原子を含有する有機安定剤、具体的には、オルガノホスフィン、オルガノホスファイト、オルガノホスホニト、ジ(オルガノホスファイト)、ジ(オルガノホスホニト)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機安定剤を含むのが特に好ましい。
成分(F1)として有用なのは、式R P(OR)3−nの有機リン化合物であり得る[式中、n=0、1、2又は3であり、R=C〜C18−アルキル、C〜C30−アリール又はC〜C31−アルキルアリールであり、そしてR=R、(CR’、又は(CR’であり、ここでH=R又はORであり、そしてm=10である]。
特に有用なのは、例えば、一般式P(R)の化合物であり得る[式中、Rは、同じであっても異なっていてもよく、R=C〜C18−アルキル、C〜C30−アリール、C〜C31−アルキルアリール、又はORであってよく、ここで、R=C〜C18−アルキル、C〜C30−アリール、C〜C31−アルキルアリールである]。ラジカルR又はRは、同じであっても異なっていてもよい。
更に、代表的な安定剤は、次の一般式を有し得る。
[前記式中、R、R、R、R及びRは、同じであっても異なっていてもよく、H、飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分枝鎖状C1〜C18−アルキル、C6〜C30−アリール、又はC7〜C31−アルキルアリールであってよく、R、R、R、R及びRは、場合により、アミノ、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ、カルボキシル、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ベンジル、フェニル又はトルイルなどの基で置換されていてもよい]。本発明の文脈において成分Eとして使用可能な化合物は、米国特許第6,300,455 B1号(Haselhorstら)に開示されている。リン含有化合物及びその調製に関する米国特許第6,300,455 B1号の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれ、この開示内容は本明細書の開示の一部と見なされる。
成分F1が式R P(OR)3−nの化合物から選択される場合、nは、0、1、2又は3であってよく、R及びRは、互いに独立して、
[ただし、R’’は、互いに独立して、H、C〜C18−アルキル、C〜C30−アリール、又はC−C31−アルキルアリール、ハロゲン(Hal)、SiR、ORなどである]に由来するものであってよく、特に米国特許第6,346,562号に記載のものであってよく、リン含有化合物及びその調製に関する米国特許第6,346,562号の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれ、この開示内容は本明細書の開示の一部と見なされる。
成分(F1)の構成要素として有用なのは、トリフェニルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE65として市販されているもの)、ジイソデシルフェニルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE76として又はClariantからHostanox(登録商標)P−EPQとして市販されているもの)、ジフェニル−2−エチルヘキシルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE98として市販されているもの)、ジフェニルイソデシルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE131として市販されているもの)、トリスノニルフェニルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE109として市販されているもの)、トリス(イソデシル)ホスフェート(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE164として市販されているもの)又はトリス(トリデシル)ホスフェート(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE406として市販されているもの)、又はこれら化合物の2つ又はそれ以上の混合物である。
成分(F1)の構成要素として特に好ましいのは、次の式:
(ただし、z=2である)の化合物(ClariantからHostanox(登録商標)P−EPQとして市販されているもの)、トリフェニルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE 65として市販されているもの)又はジイソデシルフェニルホスファイト(Akcros ChemicalsからLankromark(登録商標)LE 76として市販されているもの)である。
本明細書に記載の歯科用組成物において使用される成分(F1)の量は、保存安定性に関して所望の効果が得られかつ硬化した材料の材料特性又は本発明の材料の他の特性に関する副次的影響が最小限であれば、多種多様であってよい。
成分(F1)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0.0001重量%、少なくとも約0.0005重量%、又は少なくとも約0.001重量%、
上限:最高約0.1重量%、最高約0.07重量%、又は最高約0.05重量%、
範囲:約0.0001〜約0.1重量%、約0.0005〜約0.07重量%、又は約0.001〜0.05重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
組成物がベース部若しくはベースペースト及び触媒部若しくはカタリストペーストを含む部品キットとして提供される場合、成分(F1)は典型的にベース部中にのみ存在する。
歯科用印象材は、更に、酸化防止剤及びその混合物から選択される少なくとも1つの安定剤を成分(F2)として含有する。
成分(F2)は、硬化した組成物の特性若しくはその硬化速度又は本明細書に記載の材料の他の重要な特性に有意な悪影響を及ぼさないのであれば、一般に任意の種類の安定剤を含み得る。
用いてよい酸化防止剤(s)としては、次のものが挙げられる。
ビタミンE、N,N’−ジ−2−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox(商標)1010)、オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’,4,4’−テトラキス−tert−ブチル−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス−(2−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−p−クレゾール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン又はこれらの組み合わせ若しくは混合物。
フェノール部分を含む酸化防止剤、とりわけ立体障害フェノール部分を含む酸化防止剤が特に有用である。
具体的には、次の成分(F2)が有用であることが分かった。
IRGANOX(商標)1010
成分(F2)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0.0001重量%、少なくとも約0.0005重量%、又は少なくとも約0.001重量%、
上限:最高約0.1重量%、最高約0.07重量%、又は最高約0.05重量%、
範囲:約0.0001〜約0.1重量%、約0.0005〜約0.07重量%、又は約0.001〜0.05重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
組成物がベース部及び触媒部を含む部品キットとして提供される場合、成分(F2)はベース部中に存在する。しかし、成分(F2)は、ベース部及び触媒部中に存在し得る。
歯科用組成物は、更に、任意成分(G)として、エチレン性不飽和基を1個のみ有するシラン化合物を含んでもよい。
成分(G)としてエチレン不飽和基を1個のみ有するシラン化合物の添加は、多数の理由で有益であり得る。
成分(G)は、色相安定性を改善するのに寄与し得る。
特定の理論に束縛されたくはないが、成分(G)は組成物の保存中及び/又は使用時に生成される水素を吸収することができると考えられる。成分(G)は、また、凝固時間の短縮にも寄与し得る。
特定の理論に束縛されたくはないが、硬化反応中、成分(G)は、発熱反応中に成分(A)と反応し、その結果、熱を発生させて、硬化性組成物の凝固促進に寄与するものと考えられる。
成分(G)は、典型的には以下の特性のうちの少なくとも1つを特徴とし得る:
・分子量:約100〜約1,000、約200〜約800、約100〜約500、又は約100〜約300、
・Si及びCのみを含有する部分を含むこと、
・(炭素−炭素)不飽和シラン部分(例えば、ビニル又はアリル)を1つのみ含むこと:
・ポリエーテル部分(すなわち、エーテル部分の少なくとも3、4又は5個の反復単位)を含まないこと。
成分(G)の分子量が高過ぎると、成分(G)が組成物内で拡散又は移動する能力、及び他の成分と相互作用する能力が制限され得る。成分(G)は、ベースペースト若しくはカタリストペースト内に、又はベースペースト及びカタリストペースト内に存在し得る。
場合によっては、成分(G)がベースペースト内にのみ存在するのが有利となり得る。
これは、ベースペースト及びカタリストペーストが1:1とは異なる混合比で使用される場合、特にベースペーストがより高い量で使用されている場合(例えばベースペーストとカタリストペーストとの混合比が2:1又は5:1又は10:1)にも有利であり得る。成分(G)をベースペースト内にだけ組み込むことにより、混合組成物内の成分(G)の総濃度は、成分(G)がカタリストペースト内にだけ存在する組成物と比較して増加する。
成分(G)の典型的な例としては、ビニル、アリル、>C=CH−CH−、>C=C(CH)−CH−、ビニルエーテル及びこれら成分のうちのいずれかの混合物から選択される部分を1つのみ有する成分が挙げられる(ここで、記号「<」は、2つの独立した結合を表す)。
好適な不飽和シラン(s)としては、次の式のものが挙げられる。
R2R3C=CR1−A−SiR4
式中、
R1、R2、R3は同じでも異なっていてもよく、水素又は1価アルキル(直鎖状、分枝鎖状又はシクロアルキル)C1〜C22、アリールC6〜C12を含み得る(ここで、R1とR2又はR3とは結合して環状構造を形成してもよい。残基R1、R2及びR3は、O、Cl、Br、F又はIなどのヘテロ原子を包含していてよい。R1、R2及びR3に好ましいのはHである)。
R4は、一価のアルキル(直鎖状若しくは分枝鎖状又はシクロアルキル)C1〜C22、アリールC6〜C12、アルコキシ(直鎖状若しくは分枝鎖状又はシクロアルコキシ)C1〜C22、アリールオキシC6〜C12、O−SiR53又はHであり得る(残基Rは、O、Cl、Br、F又はIなどのヘテロ原子を包含し得る。残基Rは、異なっていても同じであってもよく、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル(Decycl)、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、フェニル、トリル、シクロヘキシル、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、tert−ブチルジメチルシロキシ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.13,915,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル、3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソプロピル−ペンタシクロ[9.5.13,915,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルから選択される)。
R5は、1価アルキル(直鎖状又は分枝鎖状又はシクロアルキル)C1〜C22、アリールC6〜C12であってよく、その場合、O−SiR43中の残基R4のうちの2つ又は3つが結合して、シクロシロキサン又は多環式シロキサン構造のような環式構造又は多環式構造を形成してもよい。
Aは2価の直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭化水素基C1〜C12であり、場合により、不飽和に直接結合した少なくとも1つのメチレン基を有する芳香族部分を含み、場合により、O−原子を含む(Aは、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、ノニレン、又はデシレン(decyclene)である)。
不飽和シラン化合物は、好ましくは、構造要素>C=CH−CH−又は>C=C(CH)−CH−を含み、好ましくは構造要素HC=CH−CH−又はHC=C(CH)−CH−を含む。
不飽和シラン化合物がアリル基を1個のみ含む場合は、良好な結果を得ることができる。
次のものが特に好ましい。
H2C=CH−CH2Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)3、H2C=CH−CH2Si(i−C3H7)3、H2C=CH−(CH2)2Si(i−C3H7)3、H2C=CH−(CH2)3Si(i−C3H7)3、H2C=CH−(CH2)4Si(i−C3H7)3、H2C=CH−(CH2)8Si(i−C3H7)3、H2C=CH−CH2Si(CH3)2(t−C4H9)、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)2(t−C4H9)、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)2(t−C4H9)、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)2(t−C4H9)、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)2(t−C4H9)、H2C=CH−CH2Si(C2H5)3、H2C=CH−(CH2)2Si(C2H5)3、H2C=CH−(CH2)3Si(C2H5)3、H2C=CH−(CH2)4Si(C2H5)3、H2C=CH−(CH2)8Si(C2H5)3、H2C=CH−CH2Si(CH3)2(n−C18H37)、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)2(n−C18H37)、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)2(n−C18H37)、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)2(n−C18H37)、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)2(n−C18H37)、H2C=CH−CH2Si(CH3)2(C6H5)、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)2(C6H5)、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)2(C6H5)、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)2(C6H5)、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)2(C6H5)、H2C=CH−CH2−O−Si(CH3)3;H2C=CH−CH2−O−Si(C2H5)3、H2C=CH−CH2−O−Si(i−C3H7)3、H2C=CH−CH2−O−Si(CH3)2(t−C4H9)、H2C=CH−CH2−O−Si(CH3)2(n−C18H37)、H2C=CH−CH2−O−Si(CH3)2(C6H5)、H2C=CH−CH2Si(CH3)2−O−Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)2−O−Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)2−O−Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)2−O−Si(CH3)3、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)2−O−Si(CH3)3、H2C=CH−CH2Si(CH3)(−O−Si(CH3)3)2、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)(−O−Si(CH3)3)2、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)(−O−Si(CH3)3)2、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)(−O−Si(CH3)3)2、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)(−O−Si(CH3)3)2、H2C=CH−CH2Si(−O−Si(CH3)3)3、H2C=CH−(CH2)2Si(−O−Si(CH3)3)3、H2C=CH−(CH2)3Si(−O−Si(CH3)3)3、H2C=CH−(CH2)4Si(−O−Si(CH3)3)3、H2C=CH−(CH2)8Si(−O−Si(CH3)3)3、H2C=CH−CH2Si(OCH3)3、H2C=CH−(CH2)2Si(OCH3)3、H2C=CH−(CH2)3Si(OCH3)3、H2C=CH−(CH2)4Si(OCH3)3、H2C=CH−(CH2)8Si(OCH3)3、H2C=CH−CH2Si(OC2H5)3、H2C=CH−(CH2)2Si(OC2H5)3、H2C=CH−(CH2)3Si(OC2H5)3、H2C=CH−(CH2)4Si(OC2H5)3、H2C=CH−(CH2)8Si(OC2H5)3、H2C=CH−CH2Si(C6H5)3、H2C=CH−(CH2)2Si(C6H5)3、H2C=CH−(CH2)3Si(C6H5)3、H2C=CH−(CH2)4Si(C6H5)3、H2C=CH−(CH2)8Si(C6H5)3、H2C=C(CH3)−CH2Si(CH3)3、H2C=CH−CH2Si(p−C6H4OCH3)、H2C=CH−CH2Si(CH3)2H、H2C=CH−(CH2)2Si(CH3)2H、H2C=CH−(CH2)3Si(CH3)2H、H2C=CH−(CH2)4Si(CH3)2H、H2C=CH−(CH2)8Si(CH3)2H、及びこれらの混合物。
成分(G)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0重量%、少なくとも約0.2重量%、又は少なくとも約0.4重量%、
上限:最高約20重量%、最高約15重量%、又は最高約10重量%、
範囲:約0〜約20重量%、約0.2〜約15重量%、又は約0.4〜10重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
別の実施形態によれば、本明細書に記載の材料は、場合により、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するシラン化合物(s)を成分(H)として含み得る。成分(H)としての少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するシラン化合物の添加は、多くの理由から有益であり得る。
成分(H)は、引裂強度の改善に寄与し得る。成分(H)は、硬度の調整に寄与し得る。
好ましいシラン化合物は、次の一般式に従う。
Si(R(R4−n
(式中、Rは、SiH基と付加反応を生じることができる2〜12個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状又は環状の一価のエチレン性不飽和置換基であり、Rは、SiH基と付加反応を生じることができる基又は当該反応に悪影響を及ぼし得る基を含まない1〜12個の炭素原子を有する一価ラジカルであり、そしてnは2、3又は4である)。特に好ましいラジカルRは、ビニル、アリル及びプロパルギルであり、特に好ましいラジカルRは、直鎖状又は分枝鎖状C〜C12アルキル基である。本発明により使用可能なシラン化合物の例は、テトラアリルシランであり、これは、Rがアリルラジカルに等しくかつnが4に等しいときの前記式に相当する。
更に好ましいシラン化合物は、次の一般式に従う。
(R(R3−mSi−A−Si−(R(R3−n
(式中、Rは、SiH基と付加反応を生じることができる2〜12個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状又は環状の一価のエチレン性不飽和置換基であり、Rは、SiH基と付加反応を生じることができる基又は当該反応に悪影響を及ぼし得る基を含まない1〜12個の炭素原子を有する一価ラジカルであり、aは、窒素原子若しくは酸素原子を含有し得る1〜約10000個の炭素原子を有する二価の直鎖状若しくは分枝鎖状又は脂環式、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族基であり、mは2又は3、好ましくは3である)。二価ラジカルAの例は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン(penylene)、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、−HC−Ar−CH−、−C−Ar−C−であり、ただし、Arは、二価の芳香族ラジカル、好ましくはフェニル、又は一般的な二価のポリエーテルラジカル−CHCHCH−O−[C2aO]−CHCHCH−であり、ここで、1≦a≦5であり、そして0≦b≦2000である。
シランデンドリマーもまた成分Hとして好適である。一般に、三次元の高次オリゴマー及びポリマー化合物はデンドリマーと称され、小さなコア分子から出発して一連の反応を何度も繰り返すことにより合成される。反応部位を少なくとも1つ有するモノマー又はポリマー分子がコア分子として好適である。これは、コア分子の反応部位に蓄積し、それ自身2つの新たな反応部位を有する反応物質との、1段階又は多段階反応において変換される。コア分子と反応物質との変換により、コアセル構造が生成される(0世代)。反応を繰り返すことで、第1の反応物質層内の反応部位が更にまた反応物質で変換され、その上、その都度、分子に少なくとも2つの新たな分枝部位が組み込まれる(第1世代)。
分枝が発達するにつれて、各世代の原子の数が幾何学的に増大する。外径寸法は、反応物質によって規定される起こり得る共有結合の数に起因して単に線形に増大し得ることから、分子は、世代を追うごとにきつく詰め込まれ、その形状がヒトデ型から球形に変化する。0世代及びその後の各世代のデンドリマーが、本発明の成分Hとして用いられるデンドリマーであり得る。第1世代のデンドリマーが好ましいが、更に高次世代のデンドリマーも使用可能である。
第1世代又は高次世代のデンドリマーは、第1段階においてトリ−又はテトラアルケニルシラン(好ましくはアリル及びビニル)をハイドロジェンクロロシランで変換することによりコア分子として生成される。この生成物を、その後の段階において、アルケニル−グリニャール化合物で変換する。
この場合、次の式の第1世代のデンドリマーが特に好ましい。
SiR ((CH−Si−((CH−CH=CH4−x
(式中、Rは先に定義した通りであり、n=2、3、4又は5であり、m=0、1、2又は3であり、そしてx=0又は1である)。
この一般式による特に好ましいデンドリマーは、次のものである。
Me−Si((CH−CH−Si(ビニル)、Si((CH−CH−Si(ビニル)、Me−Si((CH−CH−CH−Si(アリル)、Si((CH−CH−CH−Si(アリル)、Me−Si((CH−CH−Si(アリル)、Si((CH−CH−Si(アリル)、Me−Si((CH−CH−CH−Si(ビニル)、Si((CH−CH−CH−Si(ビニル)
前記シランデンドリマーの主要な合成については、A.W.van der Made及びP.W.N.M.van LeeuwenがJ.Chem.Soc.Commen.(1992年)、1400頁及びAdv.Mater.(1993年)、第5巻、第6号、366頁以下に記載している。合成は、例えば、ジエチルエーテル中、10%過剰量のアリルマグネシウムブロミドを用いてテトラクロロシランをテトラアリルシランへ完全アリル化することから始まる。更に、アリル基を、白金触媒の存在下、トリクロロシランでヒドロシリル化する。
最後に、ジエチルエーテル中、アリルマグネシウムブロミドで変換を行う。その結果、12個のアリル末端基を有するデンドリマーが生成される。この第1世代を更に第2世代へ変換することで、36個のアリル基を生成することも可能である。同様のテーマは、更に、D.Seyferth及びD.Y SonによりOrganometallics (1994年)、13、2682〜2690頁でも扱われている。
更に、ハイドロジェンクロロシランによるトリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−又はオクタ−アルケニル(シクロ)シロキサンの変換生成物もコア分子として利用可能である。これら変換生成物を、次の工程でアルケニル−グリニャール化合物で変換すると、環状又は直鎖状のシロキサンコアを有するデンドリマーとなる。
精製されたトリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−又はオクタ−シロキサンデンドリマー並びにこれらデンドリマーのいずれかの混合物はどちらも、本発明により使用可能である。
シランデンドリマー、その調製及びバーニッシュとしての使用は、ドイツ特許出願公開第196 03 242 A1号明細書及び同第195 17 838 A1号明細書並びに欧州特許出願公開第0 743 313 A1号明細書から既知である。これら公報に列挙されたデンドリマーもまた、本発明の目的に好適である。多官能アルケニル化合物は、コアとして更に好適である。
特に好適なのは、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、テトラアリル(tetrallyl)ペンタエリスライト、Santolink XI−100(Monsanto)、テトラアリルオキシエタン、1,3,5−ベンゾールトリカルボン酸トリアリルエステル、1,2,4−ベンゾールトリカルボン酸トリアリルエステル、1,2,4,5−ベンゾールテトラカルボン酸テトラアリル(tetrallyl)エステル、トリアリルホスフェート、トリアリルシトレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルオキシトリアジン、ヘキサアリルイノサイト、並びに場合により置換可能な少なくとも2個のエチレン性不飽和基、例えば、O−アリル、N−アリル、O−ビニル、N−ビニル又はp−ビニルフェノールエーテル基を有する一般的な化合物である。
利用可能なポリエンは、更に、米国特許第3,661,744号及び欧州特許出願公開第0 188 880 A1号明細書にも記載されている。ポリエンは、例えば、次の構造(Y)−(X)mを有し得る[式中、mは2より大きく又は等しい整数、好ましくは2、3又は4であり、Xは、−[RCR]基、−CR=CRR基、−O−CR=CR−R基、−S−CR=CR−R基、−NR−CR=CR−R基から選択され、fは、1〜9までの整数であり、Rラジカルは、H、F、Cl、フリル、チエニル、ピリジル、フェニル及び置換フェニル、ベンジル及び置換ベンジル、アルキル及び置換アルキル、アルコキシ及び置換アルコキシ、並びにシクロアルキル及び置換シクロアルキルの意味を有し、かつ各Rラジカルは同じであっても異なっていてもよい]。(Y)は、C、O、N、Cl、Br、F、P、Si及びH基から選択される原子から構成される少なくとも二官能の有機ラジカルである。
例えば、少なくとも二官能のカルボン酸のアリルエステル及び/又はビニルエステルは極めて好適なポリエン化合物である。このための好適なカルボン酸は、C原子2〜20個、好ましくはC原子5〜15個の炭素鎖を有するものである。芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸若しくはトリメリット酸)のアリルエステル又はビニルエスエルもまた、極めて好適である。多官能アルコール(好ましくは少なくとも三官能のアルコール)のアリルエーテルも好適である。例えば、トリメチルプロパンのアリルエーテル、ペンタエリスライトトリアリルエーテル又は2,2−ビスオキシフェニルプロパン−ビス−(ジアリルホスフェート)を挙げることができる。シアヌル酸トリアリルエステル、トリアリルトリアジントリオン型の化合物及びその類似物もまた好適である。
前記の種類のデンドリマー及びその調製については、米国特許第6,335,413 B1号に記載されている。かかるデンドリマー及びその調製に関する米国特許第6,335,413 B1号の開示内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
成分(H)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0重量%、少なくとも約0.001重量%、又は少なくとも約0.01重量%、
上限:最高約20重量%、最高約10重量%、又は最高約5重量%、
範囲:約0〜約20重量%、約0.001〜約10重量%、又は約0.01〜5重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
別の実施形態によれば、本発明の硬化性歯科用組成物は、不飽和部分を含まないオルガノポリシロキサンを成分(I)として含有し得る。成分(I)として、不飽和部分を含まないオルガノポリシロキサンを添加することは、次の理由から有益であり得る。
成分(I)は、レオロジー特性を調整するのに有用であり得る。
トリメチルシロキシ末端基を有するポリジメチルシロキサンは、成分(I)の一構成要素として特に好ましい。
成分(I)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0重量%、少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約0.5重量%、
上限:最高約40重量%、最高約30重量%、又は最高約20重量%、
範囲:約0〜約40重量%、約0.1〜約30重量%、又は約0.5〜20重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
更に別の実施形態によれば、組成物は成分(J)として他の添加物を更に含有し得る。添加物には、作用時間及び凝固時間を調整するための遅延剤(例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール又は1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサン(VMO))、阻害剤、顔料、染料、可塑剤(plastizer)(パラフィン油又は鉱油を含む)、におい物質、香味料、又は水素捕捉剤などが単独で又は混合物として含まれる。
付加反応の反応性を制御するため、かつ時期尚早の硬化を防ぐために、特定の期間にわたって付加反応を阻止するか、又は付加反応を遅らせる阻害剤を添加することが有利であり得る。こうした阻害剤は周知されており、例えば米国特許第3,933,880号で説明されている。このような阻害剤及びその調製に関する米国特許第3,933,880号の内容は、本発明の開示内容の一部であると明白に見なされ、参照により本明細書に組み込まれる。
このような阻害剤の例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール及び3−メチル−1−ペンチン−3−オールなどのアセチレン性不飽和アルコールが挙げられる。ビニルシロキサン系の阻害剤の例は、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、並びにビニル基を含有するポリ−、オリゴ−及びジ−シロキサンである。
組成物はまた、SiH硬化性組成物の場合、ビニル重合の結果として典型的に生成され得る水素ガス放出の存在又は程度を減らすのに有用な成分を含有してもよい。したがって、組成物は、このような水素を捕捉し、取り込む超微粒子状金属白金のような水素捕捉剤を含み得る。金属Ptは、約0.1〜約40m/gの表面積を有する実質的に不溶性の塩に付着することができる。好適な塩は、好適な粒径の硫酸バリウム、炭酸バリウム及び炭酸カルシウムである。その他の基質としては、珪藻土、活性アルミナ、活性炭等が挙げられる。無機塩は、それらを組み込んで得られる材料に安定性の改善を付与するために特に好ましい。触媒成分の重量に基づいて、約0.2〜約2百万分率の金属白金を無機塩上に分散させる。無機塩粒子上に分散させた金属白金を使用することにより、歯科用シリコーンの硬化中に生じる水素ガス放出が実質的になくなるか又は減少することが分かった。同様に、(例えば、米国特許第4,273,902号に記載されているような)金属Pd又は(米国特許第5,684,060号に開示されているような)Pd化合物も使用できる。
化合物(J)は、次の量で存在し得る。
下限:少なくとも約0、少なくとも0.0001重量%、又は少なくとも約0.001重量%、
上限:最高約60重量%、最高約30重量%、又は最高約10重量%、
範囲:約0〜約60重量%、約0.0001〜約30重量%、又は約0.001〜10重量%。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
一実施例によれば、歯科用印象組成物は、各成分を次の量で含有する。
別の実施形態によれば、歯科用印象組成物は、各成分を次の量で含有する。
触媒(C)の量は、触媒成分に含まれるPtの量に対する計算値(重量%)で表示している。
本明細書で説明する歯科用印象組成物は、典型的に、組成物の各成分を混合することにより調製される。必要に応じて、混合は、混練装置又は溶解機を用いて行うことも可能である。
本明細書で説明する歯科用組成物は、典型的には、硬化性ベースペーストと、ベースペーストの材料の少なくとも一部を硬化するための触媒を含むカタリストペーストと、を含む、多成分材料である。
したがって、組成物の成分をキットに収容することが可能であり、そこで、組成物の内容物は、それらが必要とされるまで、成分の保存が可能となるように包装される。使用するとき、組成物の成分を好適な量混合してよく、従来の技術を用いて臨床的に適用してもよい。
そのため、本発明は、更に、ベースペーストとカタリストペーストを使用するまで互いに別個に含む部品キットにも関し、ベースペーストは、成分(A)、(B)、(D)、(E)及び(F)を含み、カタリストペーストは、成分(C)、又は(C)((C) or (C))、(E)及び(A)を含む。
他の任意成分(G)、(H)、(I)及び(J)は、ベースペースト若しくはカタリストペースト内に、又はベースペースト及びカタリストペースト内に存在し得る。
別の実施形態によれば、安定剤(s)(F)は、ベースペースト内だけでなくカタリストペースト内にも存在する。
別の実施形態によれば、親水化剤(s)(D)は、ベースペースト内だけでなくカタリストペースト内にも存在する。
別の実施形態によれば、成分(F1)は、
(ただし、z=2である)
であり、成分(F2)は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。
別の実施形態によれば、ベースペーストとカタリストペーストとの混合比は約1:1である。これにより、ベースペーストとカタリストペーストとの混合が促進され得る。また別の実施形態によれば、部品キット内のペーストはそれぞれ、プラスチック材料製カートリッジに収容されている。プラスチック材料製カートリッジの使用は、ガス様の酸素及び/又は水素の透過性がフォイルバッグよりも優れているため、有益であり得る。
カートリッジは、典型的に、混合されるペーストをそれぞれ使用するまで別個に保存するための少なくとも2つの区画を有している。区画にはそれぞれ、典型的に、可動式プランジャー、及びペーストを混合チップの出口(s)に分配するための開口部が備わっている。
かかるカートリッジの例は、欧州特許出願公開第0 319 639 A1号明細書に記載されている。欧州特許出願公開第0 319 639 A1号明細書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。好適なカートリッジは、例えば、SulzerMixpac Comp.からも市販されている。
別の実施形態によれば、(G)はベースペーストのみに存在する。
別の実施形態によれば、成分(F1)及び(F2)は、重量に対し等量で存在する。
カタリストペーストとベースペーストの体積比は、約10:1〜約1:10の範囲であり得る。ベースペーストのカタリストペーストに対する特に好ましい体積比は、約1:1〜約5:1である(ベースペースト5部に対してカタリストペースト1の割合)。
一般に、成分の混合及び投与は、例えば、スパチュラ(ストランド長比較)によって、若しくはスタティックミキシングチップを備えた手動で操作される充填済二重カートリッジディスペンサにより手動で実施することができ、又は自動化タスクのために利用可能な種々の利用可能な装置の1つを用いて自動化することができ、このような装置の好ましいものは米国特許出願公開第2004/0085854号又は米国特許第6,244,740号に言及されているダイナミックミキシングチップと共に、欧州特許出願公開第0 232 733 A1号明細書、米国特許第5,924,600号、同第6,135,631号又は欧州特許出願公開第0 863 088 A1号明細書に言及されている。
歯科用組成物のハンドリング特性の更なる改善は、例えば米国特許第5,249,862号、同第5,286,105号及び同第5,332,122号に記載されているような、自動輸送及び混合ユニットを有する二成分組成物用の自動混合及び計量システムを使用するときに認められ得る。中でも大量の材料を混合するとき、混合が自動的に短期間の間に起こり得ることから、ベースペースト及びカタリストペーストの手動混合の必要をなくすことができる。結果として、通常本質的に気泡を含まない均質な生成物が得られる。市販の装置は、3M ESPEからPentamix(商標)又はPentamix(商標)2又はPentamix(商標)3という商標で流通している。
実際のところ、印象材は静的又は機械的混合装置を通して、印象トレイ又は患者の歯若しくは組織に注入され、患者の口に定置され得る。印象材が凝固した後、トレイを患者の口から取り出し、歯科医師が陽型を調製する場合、患者の口から印象を取り出した直後に陽型材料を注ぐことが好ましい場合がある。
本明細書に記載の歯科用印象組成物は、患者の口の中で歯列の歯科用印象を作製するために用いられる。歯科用印象材は、精密印象材、概形印象材又は咬合採得印象材として使用され得る。
歯科用印象材はまた、(一時的又は長期)クラウン及び/又はブリッジの製造にも使用され得る。後者の場合、組成物は、(一時的又は長期)クラウン及び/又はブリッジ材料を充填する型として用いられ、これは典型的には重合性(メタ)アクリレートをベースとする。
歯科用印象を採得する方法は、典型的に、
・本明細書に記載の歯科用印象組成物を準備する工程と、
・歯科用印象組成物を歯の表面に接触させる工程と、
・歯科用印象組成物を凝固させる工程と、
・歯科用印象組成物を歯の表面から取り外す工程と、を含む。
一実施形態によれば、本明細書に記載の歯科用印象材は、次の組成を有する。
−成分(C)として、Pt含有触媒、
−成分(D)として、約0.75〜約4重量%の量の親水化剤、
−成分(E)として、約30〜約55重量%の量のクリストバライト、
−成分(F1)として、約0.001〜約0.02重量%の量の前記のものから選択される化合物、
−成分(F2)として、約0.001〜約0.02重量%の量のフェノール部分を含む酸化防止剤から選択される化合物、
−成分(G)として、約0〜約2.5重量%の量の前記のものから選択される化合物、
−成分(H)として、約0〜約1.5重量%の量の次の式を有する化合物:
SiR ((CH−Si−((CH−CH=CH4−x[式中、Rは、SiH基と付加反応を生じることができる基を有しない1〜12個の炭素原子を有する一価のラジカルであり、n=2、3、4又は5であり、m=0、1、2又は3であり、そしてx=0又は1である]。
重量%は、組成物全体の重量に対する。
特に指示がない限り、全ての割合及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。更に、特に指示がない限り、全ての実験は、周囲条件(23℃、1013mbar(0.1013MPa))下で行った。
測定
凝固時間の決定
組成物の凝固時間を、湿度50%の好気条件下でAlpha instruments製のMDR 2000レオメータを用いることにより、33℃で経時的に粘度を測定することにより決定した。凝固時間を、最終粘度の90%に達した時間であるt90値として決定した。もう1つの特徴的な値は、最終粘度の5%が現われたt5値であった。この時間まで、組成物は網状構造形成(硬化)がほとんどないと見なすことができる。
粘度
必要であれば、粘度は、プレート/プレートシステム(直径20mm)及び0.2mmのスリットを備えたHaake Rotovisco 1装置を用いて、23℃で測定され得る。粘度値(Pas)及びせん断応力値(Pa)を、各せん断速度毎に(10 1/秒から開始し110 1/秒まで10 1/秒ずつ)記録した。各せん断速度に関して、5秒遅らせてデータを収集した。上述の測定方法は、DIN 53018−1に本質的に対応する。
水接触角
必要に応じて、未硬化ペーストの水接触角は次のようにして測定され得る。試験標本の調製:試験片を調製する場合、混合ペーストを対象スライドに置いて、第2の対象スライドで平らにならして粉砕することで薄膜を形成する。試験片の調製は、薄膜の厚さが水接触角測定値に有意な影響を与えないよう、簡易な方法で行う(G.Kugel,T.,Klettke,J.A.Goldberg,J.Benchimol,R.D.Perry,S.Sharma、J.Prosthod.2007年、第16号、84〜92頁を参照されたい)。測定:対象スライドを接触角測定用の周知の装置である、液滴形状解析装置(Drop Shape Analyse System)DSA 10(Kruss GmbH,Hamburg)のテーブル上に置く。5μLの水を試料の表面上に置き、標準的な角度計ソフトウェアを使用して自動接触角測定を開始する。測定時間は、少なくとも約10秒〜約200秒までである。水接触角は、ベースペーストとカタリストペーストの混合後の様々な時間に、特に25秒後に測定する。データ(ビデオシーケンス)は、もう1つの標準的なデータ評価法である「サークルフィッティング(circle fitting)」(G.Kugel,T.Klettke,J.A.Goldberg,J.Benchimol,R.D.Perry,S.Sharma、J.Prosthod.2007年、第16号、84〜92頁を参照)で評価する。ここで、Θ2秒は、表面に水滴を置いてから2秒後に得られた角度である。
貯蔵寿命時間決定
貯蔵寿命時間を決定するために、ベースペーストB及びCをカタリストペーストDと混合して従来型のデュアルチャンバー式カートリッジ(体積1:1、Sulzer Mixpack)に充填し、50℃で保存した。以下の表2に示す保存時間経過後、保存されたベースペースト及びカタリストペーストを混合することにより、前記方法に従って凝固時間を求めた。
組成物I
次の成分を均質なペーストとなるまで混合することにより、ベースペーストAを得た。
安定剤(F1)及び(F2)を(表1に示した量で)ポリアルキレンオキシドで変性させたヘプタメチルトリシロキサン(D)に溶解することで、溶液1(S1)及び溶液2(S2)を生成した。シリコーン界面活性剤中の各安定剤溶液4重量%をベースペーストAに添加して、ベースペーストB及びCをそれぞれ生成した。
次の成分を均質なペーストとなるまで混合することにより、カタリストペーストDを生成した。
ベースペーストとカタリストペーストをそれぞれ、スタティックミキシングチップ(SulzerMixpac Company)を備えたデュアルチャンバー式カートリッジ(体積比1:1、SulzerMixpack Comp.)に充填した。各ペーストをカートリッジから押し出し、手動混合装置(3M ESPE Comp.)を用いて混合した。
表2から、ベースペーストBはt90値の延長を示すが、ベースペーストCはほとんど変化がないことが示される。
このことから、成分(F1)としてのリン含有安定剤を成分(F2)としての酸化防止剤と併用することで貯蔵寿命が改善され得ることが立証された。
組成物II
組成物IIは、本発明の歯科用印象組成物の考えられる配合組成の別の例を表す。
ベースペースト:
カタリストペースト:
組成物III
ベースペーストE:
次の成分を均質なペーストとなるまで混合することにより、ベースペーストEを生成した。
ベースペーストF:
次の成分を均質なペーストとなるまで混合することにより、ベースペーストFを生成した。
カタリストペーストG:
次の成分を均質なペーストとなるまで混合することにより、カタリストペーストGを生成した。
ベースペースト及びカタリストペーストをそれぞれ、静的ミキサチップ(SulzerMixpac Company)を備えたデュアルチャンバー式カートリッジ(体積比1:1、SulzerMixpac Comp.)に充填した。各ペーストをカートリッジから押し出し、手混合装置(3M ESPE Comp.)を用いて混合した。
表3から、ベースペーストEはt90値の長期化を示したが、ベースペーストFはほとんど変化がないことが分かった。
このことから、成分(F1)としてのリン含有安定剤を成分(F2)としての酸化防止剤と併用することで貯蔵寿命を改善することが可能であることが実証された。

Claims (9)

  1. 約50℃未満の温度で硬化可能な歯科用印象組成物であって、
    (A) 成分(A)として、硬化性オルガノポリシロキサンポリマーと、
    (B) 成分(B)として、前記オルガノポリシロキサンポリマーを架橋することができる架橋剤化合物と、
    (C) 成分(C)として、前記成分(A)と前記成分(B)との架橋反応を触媒することができる触媒と、
    (D) 成分(D)として、親水化剤と、
    (E) 成分(E)として、クリストバライトを含む充填剤と、
    (F1) 成分(F1)として、亜リン酸部分を含む化合物及びその混合物から選択される安定剤と、
    (F2) 成分(F2)として、酸化防止剤及びその混合物から選択される安定剤と、を含み、
    前記組成物が、互いに物理的に別個のベースペースト及びカタリストペーストの形状で存在し、
    前記ベースペーストが成分(A)、成分(B)、成分(D)、成分(E)、成分(F1)、成分(F2)を含み、
    前記カタリストペーストが成分(A)、成分(C)、成分(E)を含む、組成物。
  2. 安定剤成分(F2)が、立体障害フェノール部分を含む酸化防止剤及びその混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 安定剤成分(F2)が、ビタミンE、N,N’−ジ−2−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’,4,4’−テトラキス−tert−ブチル−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス−(2−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−p−クレゾール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、又はこれらの組み合わせから選択され、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記安定剤成分(F1)が、式R P(OR)3−n[式中、nは、0、1、2又は3であり、R及びRは、互いに独立して、

    であってよく、ただし、R’’は、互いに独立して、H、C〜C18−アルキル、C〜C30−アリール又はC〜C31−アルキルアリール、ハロゲン(Hal)、SiR、ORに由来するものである]の化合物であるか、又は
    前記安定剤が式:

    (ただし、z=2である)の化合物、トリフェニルホスファイト若しくはジイソデシルフェニルホスファイトであるか、又は
    前記安定剤がトリアリールホスファイトである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記親水化剤(D)が、
    − 次の式を有するシリコーン部分含有成分:

    [式中、それぞれのRは、独立して、1〜22個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビルラジカルであり、Rは、1〜26個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビレンラジカルであり、それぞれのRは、独立して、水素又は低級ヒドロキシアルキルラジカルであり、Rは、水素、又は1〜22個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビルラジカルであり、n及びbは、独立して、0より大きく又は等しく、そしてm及びaは、独立して、1より大きく又は等しい]、
    − 次の式を有するフッ素含有成分:
    −X−[(O−CF−CF−(O−CF−(O−CF(CF)−CF−(O−CF−CF−CF−O]−X−T
    [ただし、u=0〜8であり、v=0〜8であり、w=0〜14であり、及びx=0〜8であり、そしてu+v+w+x≧1であり、式中、T及びTは、同じであっても異なってもよく、独立して、−COOR、−CONR−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR又は−Fからなる群から選択され、ただし、Rは(R and being)、直鎖状又は分枝鎖状アルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、それぞれ場合により、ヒドロキシル、アミノ基、ハロゲン原子、SiH基、及びSiHと反応することができる基からなる群から選択される1つ又はそれよりも多くの置換基により置換されてもよく、R及びRは、独立して、Hを表すか又はRに与えられた意味を有し、そしてXは(CF1〜6、CF(CF)及びCHF−CFから選択される]、
    −R−O−[CHCHO]−[RO]−R
    [式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族、直鎖状又は分枝鎖状炭化水素基を表し、Rは、3個の炭素原子を有するアルキレンを表し、Rは、水素又はC1〜C3アルキル基を表し、nは、0〜40の値を有し、mは、0〜40の値を有し、及びn+mの合計は、少なくとも2である]、
    − 末端基としてビニル(vinly)、アリール、−OCO−(CH)C=CHから選択される重合性部分を有するエチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドポリマー又はエチレン−プロピレンブロックポリマー、
    − HC−CO−[CH−CH−O−]−[CH−CH−CH−O−]−CO−CH(ただし、n、m=10〜100である)、
    又はこれらの組み合わせ、から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記充填剤が、次の特徴:
    ○ 平均粒径:2〜20μm、
    ○ CaCl水溶液50mL中、充填剤20gの分散液のpH値:約3〜約10、のうちの少なくとも1つ又は全てを有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記組成物が、更に、次の成分;
    (G)エチレン性不飽和基を1個のみ有するシラン化合物、
    (H)少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するシラン化合物、
    (I)不飽和基を有しないオルガノポリシロキサン、
    (J)添加物、
    のうちの少なくとも1つ又は全てを含み、これらが前記ベースペースト若しくは前記カタリストペースト内、又は前記ベースペースト及び前記カタリストペースト内のいずれかに含まれている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 各成分を次の量で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物:
    ○ 成分(A):約10〜約60重量%、
    ○ 成分(B):約0.1〜約20重量%、
    ○ 成分(C):Ptの量に基づいて算出される約0.00005〜約0.05重量%、
    ○ 成分(D):約0.05〜約20重量%、
    ○ 成分(E):約5〜約80重量%、
    ○ 成分(F1):約0.0001〜約0.1重量%、
    ○ 成分(F2):約0.0001〜約0.1重量%、
    ○ 成分(G):約0〜約20重量%、
    ○ 成分(H):約0〜約20重量%、
    ○ 成分(I):約0〜約30重量%、
    ○ 成分(J):約0〜約30重量%、
    (重量%は、組成物全体の重量に対する)。
  9. 前記材料が、
    ○ 成分(C)として、Pt含有触媒と、
    ○ 成分(D)として、約0.75〜約4重量%の量の請求項5に記載の親水化剤と、
    ○ 成分(E)として、約30〜約55重量%の量のクリストバライトと、
    ○ 成分(F1)として、約0.001〜約0.02重量%の量の請求項4に記載のものから選択される化合物と、
    ○ 成分(F2)として、約0.001〜約0.02重量%の量の立体障害フェノール部分を含む酸化防止剤から選択される化合物と、
    ○ 成分(G)として、約0〜約2.5重量%の量の請求項9に記載のものから選択される化合物と、
    ○ 成分(H)として、約0〜約1.5重量%の量の式:
    SiR ((CH−Si−((CH−CH=CH4−x[式中、Rは、SiH基と付加反応を生じることができる基を有しない1〜12個の炭素原子を有する一価ラジカルであり、n=2、3、4又は5であり、m=0、1、2又は3であり、x=0又は1である]
    を有する化合物と、
    (重量%は、組成物全体の重量に対する)を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
JP2015558933A 2013-02-25 2014-02-20 安定化歯科用印象組成物、部品キット、及びそれらの使用 Active JP6341938B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP13156549.1 2013-02-25
EP13156549 2013-02-25
PCT/US2014/017251 WO2014130603A1 (en) 2013-02-25 2014-02-20 Stabilized dental impression composition, kit of parts and use thereof

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016509057A JP2016509057A (ja) 2016-03-24
JP2016509057A5 JP2016509057A5 (ja) 2017-03-23
JP6341938B2 true JP6341938B2 (ja) 2018-06-13

Family

ID=47747504

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015558933A Active JP6341938B2 (ja) 2013-02-25 2014-02-20 安定化歯科用印象組成物、部品キット、及びそれらの使用

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9549881B2 (ja)
EP (1) EP2958538B1 (ja)
JP (1) JP6341938B2 (ja)
WO (1) WO2014130603A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11597830B2 (en) 2017-06-20 2023-03-07 3M Innovative Properties Company Radiation curable composition for additive manufacturing processes
JP7220283B2 (ja) * 2018-10-02 2023-02-09 エルケム・シリコーンズ・ユーエスエイ・コーポレーション 特に医療機器で使用するためのカスタマイズ可能な疑似肉シリコーンゲル又はシリコーンフォームを作製するためのキット

Family Cites Families (52)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3242218A (en) 1961-03-29 1966-03-22 Du Pont Process for preparing fluorocarbon polyethers
US3661744A (en) 1966-07-26 1972-05-09 Grace W R & Co Photocurable liquid polyene-polythiol polymer compositions
US3814730A (en) 1970-08-06 1974-06-04 Gen Electric Platinum complexes of unsaturated siloxanes and platinum containing organopolysiloxanes
US3715334A (en) 1970-11-27 1973-02-06 Gen Electric Platinum-vinylsiloxanes
US3758418A (en) 1971-03-22 1973-09-11 Shell Oil Co Process for preparing a supported catalyst
US4035453A (en) 1974-05-28 1977-07-12 Wacker-Chemie Gmbh Dental impression materials
US3933880A (en) 1974-12-02 1976-01-20 Dow Corning Corporation Method of preparing a platinum catalyst inhibitor
JPS591241B2 (ja) 1978-06-30 1984-01-11 而至歯科工業株式会社 歯科用シリコ−ン組成物およびその使用法
IE56220B1 (en) 1984-12-21 1991-05-22 Loctite Ireland Ltd Conformal coating systems
US4657959A (en) 1985-11-15 1987-04-14 Minnesota Mining And Manufacturing Company Hydrophilic silicones
DE3681274D1 (en) 1986-02-06 1991-10-10 Dentsply Gmbh, 7750 Konstanz, De Improved wettability silicone dental impression material
DE3760707D1 (en) 1986-02-10 1989-11-16 Wilhelm A Keller Two-component application device
US4782101A (en) 1986-11-19 1988-11-01 Manufacturers Hanover Trust Company Prevention of outgassing in polyvinylsiloxane elastomers by the use of finely divided platinum black
EP0319639A1 (en) 1987-12-07 1989-06-14 Lawrence Dr. Colin Dispensing mixer for the storage and mixing of separate materials
JPH0672084B2 (ja) 1989-03-31 1994-09-14 信越化学工業株式会社 印象材組成物
EP0398745B1 (en) 1989-05-19 1996-09-04 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Curable silicone compositions
DE4031759A1 (de) 1990-10-06 1992-04-09 Bayer Ag Hydrophilierte abformmassen
DE9017323U1 (ja) 1990-12-21 1992-04-16 Thera Patent Gmbh & Co Kg Gesellschaft Fuer Industrielle Schutzrechte, 8031 Seefeld, De
DE9017322U1 (ja) 1990-12-21 1992-04-16 Thera Patent Gmbh & Co Kg Gesellschaft Fuer Industrielle Schutzrechte, 8031 Seefeld, De
DE9200521U1 (ja) 1991-11-12 1993-03-25 Thera Patent Gmbh & Co Kg Gesellschaft Fuer Industrielle Schutzrechte, 8031 Seefeld, De
DE4306997A1 (de) 1993-03-05 1994-09-08 Thera Ges Fuer Patente Hydrophilierte Polyether
DE59407465D1 (de) 1993-03-17 1999-01-28 Wilhelm A Keller Handbetätigtes Austraggerät für eine Doppelaustragkartusche
DE4433139A1 (de) 1994-09-16 1996-03-21 Thera Ges Fuer Patente Hydrophilierte Zahnabdruckmassen
DE69523561T2 (de) 1995-03-07 2002-04-11 Wilhelm A Keller Bayonett-Anschlussvorrichtung zum Befestigen eines Zubehörteils an einer Mehrkomponenten-Kartusche oder Spendervorrichtung
DE19603242A1 (de) 1995-05-16 1996-11-21 Bayer Ag Funktionelle Carbosilan-Dendrimere, organisch-anorganische Carbosilan-Hybridmaterialien, jeweils Verfahren zu deren Herstellung, ein Verfahren zur Herstellung von Lacken aus den fuktionellen Carbosilan-Dendrimeren und deren Verwendung
DE19517838A1 (de) 1995-05-16 1996-11-21 Bayer Ag Carbosilan-Dendrimere, ein Verfahren zur Herstellung und deren Verwendung
US5677410A (en) 1995-05-16 1997-10-14 Bayer Ag Carbosilane-dendrimers, carbosilane-hybrid materials, methods for manufacturing them and a method for manufacturing coatings from the carbosilane-dendrimers
EP0791403B1 (en) 1996-02-21 1999-12-15 Wilhelm A. Keller Means for the correct attachment of a multiple component cartridge to a dispensing appliance
US5684060A (en) 1996-04-09 1997-11-04 Minnesota Mining And Manufacturing Company Compositions containing inorganic, organic and organometallic palladium hydrogen scavengers
AU741611B2 (en) 1996-12-30 2001-12-06 Ge Bayer Silicones Gmbh & Co. Kg Cross-linkable mixtures and method for producing same
EP0863088B2 (de) 1997-03-07 2009-12-16 3M Espe Ag Vorrichtung zum Entleeren eines Schlauchbeutels
ATE194861T1 (de) 1997-04-11 2000-08-15 Otto Peter Graf Tank
JP2002515907A (ja) 1997-05-29 2002-05-28 デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド 改良されたポリビニルシロキサン印象材
EP0885651B1 (en) 1997-06-18 2002-11-06 Wilhelm A. Keller Mixer
DE19736665A1 (de) 1997-08-22 1999-02-25 Espe Dental Ag Härtbare Masse mit Silan-Dendrimeren
WO1999027895A2 (en) 1997-12-03 1999-06-10 Colgate-Palmolive Company Color indicator for dental impression material
DE19757221A1 (de) 1997-12-22 1999-06-24 Ge Bayer Silicones Gmbh & Co Vernetzbare Mischungen, ein Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung
DE29818499U1 (de) 1998-10-16 2000-03-02 Espe Dental Ag Mischer für Mehrkomponentenpasten
DE19942459A1 (de) 1999-09-06 2001-03-15 Espe Dental Ag Elastomermassen mit verbesserter Katalysatorkomponente
DE10112904C5 (de) 2001-03-15 2010-04-22 3M Espe Ag Dynamischer Mischer und Verfahren zum Mischen von mindestens zwei Pastenkomponenten
JP2003081732A (ja) 2001-09-05 2003-03-19 Gc Corp 歯科用印象材組成物
US6923921B2 (en) 2002-12-30 2005-08-02 3M Innovative Properties Company Fluorinated polyether compositions
US20050027032A1 (en) 2003-07-18 2005-02-03 Hare Robert V. Polyorganosiloxane dental impression materials
WO2005077321A1 (de) 2004-02-13 2005-08-25 Kettenbach Gmbh & Co. Kg Dentalmaterial auf basis von alkoxysilylfunktionellen polyethern
KR101347011B1 (ko) * 2005-06-22 2014-01-02 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 보관 거동이 개선된 친수화된 경화성 실리콘 인상재
US7795332B2 (en) 2005-07-15 2010-09-14 3M Innovative Properties Company Method of removing fluorinated carboxylic acid from aqueous liquid
DE102006001126A1 (de) 2006-01-09 2007-07-12 Kettenbach Gmbh & Co. Kg Dentalabformmassen, daraus hergestellte gehärtete Produkte und Verwendung von Tensiden zur Herstellung von Dentalabformmassen
US7754795B2 (en) 2006-05-25 2010-07-13 3M Innovative Properties Company Coating composition
ATE525057T1 (de) 2007-12-18 2011-10-15 3M Innovative Properties Co Dentalzusammensetzung mit einem tensid und eine f-haltige verbindung, herstellungs- und verwendungsverfahren dafür
EP2072029B1 (en) * 2007-12-18 2012-10-24 3M Innovative Properties Company Dental Composition containing a Surfactant and an F-containing compound, Process of Production and Use thereof
JP5332437B2 (ja) 2008-09-18 2013-11-06 株式会社ジーシー 歯科印象材用親水性オルガノポリシロキサン組成物
DE102010028973A1 (de) 2010-05-12 2011-11-17 Voco Gmbh Tenside enthaltende Zusammensetzung zur dentalen Abformung

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016509057A (ja) 2016-03-24
WO2014130603A1 (en) 2014-08-28
US9549881B2 (en) 2017-01-24
US20150374591A1 (en) 2015-12-31
EP2958538A1 (en) 2015-12-30
EP2958538B1 (en) 2020-04-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2231102B1 (en) Dental composition containing a surfactant and an f-containing compound, process of production and use thereof
JP5123177B2 (ja) 改善された貯蔵特性を有する親水化された硬化性シリコーン印象材
JP4612624B2 (ja) 高い引裂き強度および低い稠度を有する硬化性シリコーン印象材
EP2718373B1 (en) Siloxane compounds containing composition, method of production and use thereof
EP3302402B1 (en) Kit of parts for conducting a dental impression and retraction process
EP2072029B1 (en) Dental Composition containing a Surfactant and an F-containing compound, Process of Production and Use thereof
EP2741729B1 (en) Curable composition with shortened setting time, process of production and use thereof
JP6341938B2 (ja) 安定化歯科用印象組成物、部品キット、及びそれらの使用
EP2203143B1 (en) Dental composition containing glass beads, process for production and use thereof
US20190110960A1 (en) Hardenable dental impression composition comprising a polymeric filler particles and use thereof
EP3570811A1 (en) Curable composition for dental retraction
JP3486624B2 (ja) 歯科用軟質裏装材
JPH0741411A (ja) 歯科用軟質裏装材

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170217

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170217

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180515

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6341938

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250