JP6139526B2 - セッティング時間が短縮された硬化性組成物、その製造方法、及びその使用 - Google Patents

セッティング時間が短縮された硬化性組成物、その製造方法、及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、セッティング時間が短縮された硬化性組成物、その製造方法、及びその使用に関する。こうした組成物は、歯科分野において特に有用となり得る。
典型的に、付加架橋シリコーン材料には、ジビニル末端ポリジメチルシロキサン、1分子あたり少なくとも3つのSiH基を含有するポリジメチルシロキサン(polydimetyhlsiloxane)、Pt系触媒、並びに任意で充填剤、遅延剤、及びその他の典型的に用いられる補助剤が含まれる。
セッティング反応の制御には、例えばジビニルテトラメチルジシロキサン(divinlytetramethyldisiloxane)としての短鎖ジビニルシロキサンが、遅延剤として典型的に適用される(例えば米国特許第4,096,159号、同第5,403,885号、及び同第2005/0171233号を参照されたい)。使用可能な更なる成分は、例えば欧州特許第1 741 420 A1号に記載される、アルキン又はアキノール(akinols)である。ヒドロシリル化反応を遅延させるためのその他の成分は、高温付加硬化性シリコーン組成物(例えば、米国特許第5,380,812号に記載される)で知られるような(as know from)、例えば蛍燐光体化合物として、白金触媒との錯体を形成(froming)可能な分子又は化合物である。
付加硬化性シリコーン印象材内の水素捕捉剤としてのアリルシラン及びメタリルシランについては、米国特許第7,700,712号に記載されており、印象材の架橋密度を増加させるためのジアリルシラン、トリアリルシラン、及びテトラアリルシランの使用については、米国特許第2007/0060717号に記載されている。
付加硬化機構又は縮合硬化機構を備える歯科用シリコーン(silicon)系印象材については、例えばPCT公報第WO 2002/058641号、及び米国特許第7,572,842号に説明されている。
市販の硬化性歯科用組成物と比較して、改善された硬化挙動を示す硬化性歯科用組成物を提供することが望ましいと考えられる。
あるいは、又は更に、可能であれば、十分に長い作用時間を有する一方で、硬化時間又はセッティング時間が短縮された硬化性歯科用組成物を提供することが望ましいと考えられる。
あるいは、又は更に、可能であれば、硬化した歯科用組成物は、均質でなければならず、また、固化反応の間に生成された場合がある気泡を含有してはならない。
歯科用組成物が歯科用印象材を作成するために使用される場合、印象材の石膏型は、例えば、硬化した歯科用印象材が、水性の石膏懸濁液と接触した時に発生するガス(例えば水素)によって表面上に生じる可能性のあるボイドを実質的に含まないことも望ましいと考えられる。
上記の目的のうち少なくとも1つが、例えば、硬化性組成物内にエネルギー(例えば熱)を発生可能な系を含ませることで、自己発熱性組成物を提供することにより、達成可能であることが見出された。
一実施形態では、本発明は基剤ペースト及び触媒ペーストを含有する硬化性組成物を特徴とし、
・基剤ペーストが硬化性部分(AC)を有する(1つ又は複数の)成分(A)を含有し、
・触媒ペーストが、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合することで、成分(A)が関与する架橋反応を開始又は触媒することが可能な触媒(C)を含有し、
硬化性組成物が反応性部分を有する成分(X)を含有し、
成分(X)は、硬化反応の間に生成されるか、架橋反応が開始される又は触媒される前に基剤ペースト又は触媒ペーストのいずれかに存在するかのいずれかであって、成分Xは(1つ又は複数の)成分(A)と異なり、
基剤ペースト又は触媒ペーストのいずれかが反応体(Y)を含有し、
反応体(Y)は、成分(X)と相互作用することが可能であるが、架橋反応には参加せず、
硬化性組成物は、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合してから20秒後、30秒後、又は1分後の組成物の温度T1を、T1より約6〜約20℃高い温度T2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することが可能である。
本発明はまた、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合することにより調製される硬化性歯科用組成物に関し、基剤ペーストが、
・少なくとも2つの脂肪族不飽和基を備える少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、及びSi−H部分を含有する少なくとも1つの成分の組み合わせから選択される、硬化性部分(AC)を有する(1つ又は複数の)成分(A)を含有し、
・触媒ペーストが、Pt含有成分を含有する触媒(C)を含み、
硬化性組成物が少なくとも1つのSi−H基を反応性部分として含有する成分(X)を含み、
基剤ペースト又は触媒ペーストのいずれかが反応体(Y)を含有し、反応体(Y)は成分(X)と相互作用することが可能であるが、
架橋反応には参加せず、反応体(Y)は、1つだけの不飽和部分を有するシラン成分、アルキルビニルエーテル成分、アルキルアリルエーテル成分、及びこれらの混合物から選択され、
硬化性組成物は、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合してから20秒後の組成物の温度T1を、T1より約6〜約20℃高い温度T2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することが可能である。
本発明は更に、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合することにより調製される硬化性歯科用組成物に関し、
・基剤ペーストが、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を備える少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、及びSi−H部分を含有する少なくとも1つの成分の組み合わせから選択される、硬化性部分(AC)を有する(1つ又は複数の)成分(A)を含有し、
・触媒ペーストが、Pt含有成分を含有する触媒(C)を含み、
硬化性組成物が少なくとも1つのSi−H基を反応性部分として含有する成分(X)を含み、
基剤ペースト又は触媒ペーストのいずれかが反応体(Y)を含有し、反応体(Y)は成分(X)と相互作用することが可能であるが、架橋反応には参加せず、
反応体(Y)は、1つだけの不飽和部分を有するシラン成分、アルキルビニルエーテル成分、アルキルアリルエーテル成分、及びこれらの混合物から選択される。
本発明の更なる実施形態は、歯科用印象材の製造方法に関し、その方法は、本明細書で説明されるような基剤ペースト及び触媒ペーストである基剤ペーストと触媒ペーストとを混合する工程を含み、基剤ペーストと触媒ペーストとの混合物が、混合から20秒後に測定された温度T1を有し、基剤ペーストと触媒ペーストとの混合物が、混合後15分の時間枠内で測定された温度T2を有し、T2はT1よりも約6〜約20℃高い。
別の実施形態では、本発明は、基剤ペースト及び触媒ペーストの形態で存在する硬化性組成物の硬化時間を短縮するための成分(X)の使用に関し、基剤ペースト、触媒ペースト、及び成分(X)については本明細書内で説明される通りである。
基剤ペーストAと触媒ペーストBとを混合した後の、硬化性組成物のショア硬度Aの経時的進展を示している。
本発明の明細書では、以下の用語を次のように定義する。
用語「化合物又は成分」は、特定の分子的同一性を有する化学物質であるか、又はそのような物質、例えば、ポリマー性物質の混合物から作製される。
「硬化性組成物」は、成分間の化学的相互作用(例えば化学結合の形成)による網状構造の形成の一因となり、それにより粘度のようなレオロジー特性を著しく変化させる組成物の成分として説明することができる。
用語「加硫、固化、架橋、セッティング」は互換的に用いられ、一般的な属性として、同時にこれらの架橋を形成し、また室温で効率よく鎖長を伸ばす化学反応を用いて、比較的低分子量の直鎖状又は分岐鎖状ポリマーから架橋エラストマーを生成する化合物を指す。「室温加硫」は、25℃又は25℃付近の温度で進行することができる硬化反応を意味する。例えば、口の口腔は、およそ32℃の平均温度を有し、したがって室温付近である。特定の「高温硬化性材料」は、比較的高温(例えば、>50℃又は>100℃)でのみ硬化し、室温で長期間安定である(すなわち、硬化反応が遅延する)よう設計される。
本発明で使用する場合、用語「架橋した、硬化した、又は固化した組成物」とは、硬化性成分の官能基又は複数官能基を反応させることで、それらを伸ばして結合させ、例えば架橋網状構造を形成することによって得られる材料を意味する。
用語「架橋剤」は、例えば、ポリマー鎖の官能基又は複数官能基と同時に反応し、それらを伸ばして横方向に結合させ、例えばシリコーンエラストマーの架橋網状構造特性を形成するポリマーを意味する。熱可塑性ポリマー(すなわち、加熱時に軟化し流動するポリマー)とは対照的に、架橋ポリマーは特徴として、架橋後に更に流動することはできない。架橋剤は、典型的に、架橋反応を受けることが可能な、少なくとも3つの官能性部分又は反応性部分を含有する。
用語「ヒドロシレーション(hydrosilation)」は、脂肪族多重結合(例えば、オレフィン性又はアセチレン性不飽和)、好ましくはビニル基、−CH=CHを含有する化合物に、オルガノシリコーンハイドライド化合物を添加することを意味する。
「ペースト」は、液体に分散した、軟らかく、粘稠な固体の塊を意味する。
用語「シリコーン」は、本明細書で使用するとき、大部分はケイ素及び酸素原子を交互に有し(すなわち、ポリシロキサン化学構造)、架橋剤化合物及び触媒化合物の存在下でセッティング反応を受けるのに十分なペンダント官能基を有するポリマーを指す。
「ポリエーテル」又は「ポリエーテル基含有化合物」は、少なくとも約150g/molの分子量を有し、少なくとも3,10、又は20のエーテル部分を主鎖中に含有する化合物である。歯科用印象材として用いられるポリエーテル含有組成物は、様々な方法で硬化することができる。
用語「分子量」とは、定義された分子量の標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリマーの個々のクラスに関して従来通りに測定されるような、分子量の数平均を意味する。好適な測定法は、当業者にとって既知である。
更に、高分子ポリオールの分子量及び分子量分布の測定は、例えば核磁気共鳴(NMR)法で、例えば末端基を同定することによって実施可能である。ヒドロキシル値を測定することも、高分子ポリオールの分子量及び分子量分布の測定に好適である。
本発明で使用する場合、用語「作用時間」とは、セッティング反応の開始(例えば、ビニル含有オルガノポリシロキサン、オルガノヒドロポリシロキサン、及び白金触媒を混合した時)と、意図する目的のために系を更に物理的に加工する、例えば、それを改質することがもはや実用的ではない点までセッティング反応が進行した時間との間の時間を指す。反応がこの後者の点まで進行したとき、材料はその「ゲル点」に達したと言われる。作用時間は、好ましくは、組成物を混合し、その望ましい形態にするのに十分な時間を提供する。多くの歯科用印象材組成物及び用途では、使用条件下における作用時間は、約30s(秒)超、約1min(分)超、又は約2min超であってよい。したがって、作用時間は、典型的には約30s〜約3min、又は約1min〜約2minの範囲内である。いわゆる「速い硬化性」組成物は、典型的には、より短い作用時間、例えば約2min未満又は約1.5min未満を有する。
用語「セットする時間」又は「セッティング時間」は、本明細書で使用するとき、本質的に材料の最終的な硬化した状態の特性が得られるように、十分な硬化が生じる時間を指す。シリコーン印象材では、セット時間は、シリコーン材料の永続的な変形を引き起こすことなく、複製された表面から材料を取り外すことができる時間である。セッティング時間は、例えば、振動レオメータ上で反応組成物のトルクを測定することにより概算することができる。トルク値が最大値に達したとき、材料は完全にセットしたと言われる。典型的な最大値(例えば最大値の90%)を下回る任意のトルク値をセット時間の実用的な近似値として代わりに使用することができる。一般に、長いセッティング時間よりも、短いセッティング時間の方が好ましい。歯科用印象組成物では、セッティング時間は、反応開始後約10分未満の時間で生じることが好ましい。より好ましくは、セッティング時間は、約5分と作用時間との合計よりも短い。最も好ましくは、セッティング時間は所望の作用時間より少しだけ長い。
より具体的には、歯科用印象材では、セッティング時間は、患者の口内に歯科用印象材をスプーンで配置してから硬化した材料を取り外すまでの時間であり、また、口内滞留時間又は期間とも呼ぶことができる。約<5分の口内滞留時間、好ましくは約<4分、特に好ましくは約<3分のセッティング時間は、印象材の状況に合わせて作業する歯科医にとって望ましい特性である。例えば、単相印象材Imprint(商標)(3M ESPE)は、約5分のセッティング時間を有し、一方Palgat(商標)(3M ESPE)のような典型的なアルギン酸印象材は約4分のセッティング時間を有する。
「歯科印象」は、人間の歯列の一部又は全てを正確に表現するものとして説明することができる。それは、次いで歯列の型(物理的)を作製するために用いることができる人間の硬質歯組織の「ネガティブ」を形成する。これは、義歯、クラウン、又は他の補綴物の製作に用いることができる。印象は、特定ユーザに合わせて設計したトレイ内で、口内に液体材料を入れることにより実行される。次いで、材料が硬化して、弾性固体になり、口から取り出したとき歯の形状を保持する。歯科印象に用いられる一般的な材料は、アルギン酸ナトリウム、寒天、アジリジン置換ポリエーテル材料を含むポリエーテル、並びに縮合硬化シリコーン及びポリビニルシロキサンを含む付加硬化シリコーンの両方を含むシリコーンである。
用語「歯組織」は、硬質歯質(エナメル質及び象牙質)、硬質歯質及び歯列矯正装具を有する硬質歯質を取り囲む歯肉領域(軟質歯組織)を含む。
用語「オートミキサー用印象材」とは、例えば、例えば、SulzerMixpac Company製2成分使い捨てカートリッジから静的ミキサーを介して(米国特許第5,464,131号、欧州特許第0 730 913 A1号を参照)、又は、例えば、3M ESPE Company製「Pentamix(商標)」及び「Pentamix(商標)2」デバイスで、デュアルチャンバ式の再利用可能なカートリッジのフィルムバッグから動的ミキサーを介して(米国特許第5,286,105号、同第5,249,862号を参照)分配可能な多成分印象材に関する。
「歯科用組成物及び歯科用物品」は、本発明の趣旨の範囲では、歯列矯正分野を含む、歯科分野(修復及び補綴作業を含む)で用いられる組成物である。この観点では、歯科用組成物は、典型的には有害物質を含有しない。市販製品は、ISO 4823に示されるものなどの特定の要件を満たさなければならない。典型的には、これらの組成物は周囲条件で硬化又はセットする。
「一時的又は長期クラウン及びブリッジ材料」とは、(メタ)アクリレートを含む固化性モノマーを含有する歯科用クラウン及びブリッジの調製に用いられる材料を意味する。これらの材料は、典型的には、永久修復を作製するために必要な期間中用いられる。典型的な期間は、数日(例えば3〜5日)から、数週間(1〜3週間)を超え、数ヶ月(1〜6ヶ月)までの範囲である。長期クラウン及びブリッジ材料は、典型的には、約6〜約24ヵ月の期間にわたって使用される。
「周囲条件」は、本発明の溶液が、保管及び取り扱い中に通常さらされる条件を意味する。周囲条件は、例えば、圧力約900〜約1100ミリバール、温度約−10〜約60℃、及び相対湿度約10〜約100%であり得る。実験室では、周囲条件は約23℃及び約1013ミリバールに調整される。
本明細書で使用する時、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用されている。用語「含む」又は「含有する」及びこれらの変化形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲で用いられた場合、制限的な意味を有しない。また本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲に含まれる全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
特に指示がない限り、明細書及び請求項で使用される成分の量、コントラスト比のような特性の測定等を表す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されることが理解されるべきである。
本発明は、エネルギー(例えば熱)を発生することが可能な(更なる)系を含有する固化性組成物に関する。エネルギーが発生するため、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合した後に得られる硬化性組成物の硬化反応は、典型的には加速される。必要であれば、これはショア硬度の経時的な増加を測定することで決定できる。
これにより、セッティング時間が短縮されながらも、作用時間が実質的に変わらない組成物が提供される。
歯科印象処置を実施する時に、セッティング反応中の組成物の加熱が、なお患者が許容できる範囲内にあることもまた見出された。
組成物の加熱はセッティング反応を加速させるだけ十分でなければならない一方で、その温度は、患者の健康を害する、又は痛みを生じさせる範囲を超えてはならない。
反応体(Y)が存在するため、硬化性組成物は実質的に単独で発熱でき、また、成分(A)が関与する架橋反応中に生成され得るエネルギーに追加される。
生成されたエネルギーは、典型的には、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合した20秒後に存在する組成物の温度T1を、T1より約6〜約20℃、約7〜約15℃高い、又は8〜12℃高い、温度T2に上昇させるのに十分である。
組成物は、特に歯科分野及び歯列矯正分野で、例えば歯科用印象材として、歯科用印象を得るために、及び/又は歯科用印象材を作製するために使用することができる。
一実施態様によれば、固化性組成物は、下記のパラメーターのうちの少なくとも1つによって特徴づけることができる:
・0若しくは1(35mmまでに対応)、2(31mm〜41mmに対応)、若しくは3(36mm以上に対応)、好ましくは2の稠度(ISO 4823に準ずる);及び/又は
・周囲条件下(例えば約23℃)で混合後、約15分後、約10分後、約8分後、約6分後、約5分後、若しくは約4分後の範囲のセッティング時間。
これは、硬化性組成物は、類似の低粘性挙動(稠度3)、中粘性若しくは高粘性(heavy viscosity)(稠度1又は2)を示す、又はパテ様挙動(稠度0)を示し得るということである。
必要であれば、セッティング時間のデータを、下記の「実施例」項で記載する通りに測定することができる。
別の実施形態によれば、固化した又は硬化した組成物は、下記のパラメーターのうちの少なくとも1つを示す:
・約0.1〜約5MPa、又は約0.2〜約4MPa、又は0.3〜約3MPaの引張強度(DIN 53504に準ずる);
・約10〜約300%、又は約15〜約200%、又は約20〜約100%の破断点伸び(DIN 53504に準ずる);
・約15〜約75、又は約30〜約60のショア硬度A(IN 53 505に準ずる);
・少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の変形からの変形回復率(ISO 4823に準ずる);
・約0.8〜約2g/mL、又は約1〜約1.8g/mLの組成物密度(アルキメデス法に準じた、1mLの硬化組成物の重量)。
本発明の硬化性組成物は、基剤ペースト及び触媒ペーストを含有する。
基剤ペーストは、硬化性部分(AC)を有する成分(A)を含有する。
硬化性部分(AC)を含有する成分(A)の固化は、様々な方法で達成され得る。
一般には、重付加及び重縮合が重合反応の好ましい種類であるが、重付加重合が時に好ましい。これらの硬化機構については、以下で更に詳細に開示される。
成分(A)の硬化性部分(AC)としては、アルコキシ(C1〜C8アルキルを含む)シリル基、シラノール基、ビニル基、アリル(ally)基、(メタ)アクリレート基、並びにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。
硬化性部分(AC)の他に、成分(A)はポリエーテル部分、ポリエステル部分、ポリアセタール部分、ポリウレタン部分、若しくはポリシロキサン部分、又はこれらの部分のうちの2つ以上の混合物を含有してよい。これらの部分は、典型的には、成分(A)の主鎖又は少なくとも主鎖の一部分を形成する。
適切なポリエーテルは、反応性水素原子を有する出発化合物をアルキレンオキシドと反応させることにより、当業者に公知の方法で生成することができる。使用可能な好適なポリエーテルとしては、歯科用材料としての好ましい使用に関する材料特性の観点による必要条件を満たすものが挙げられる。特に好適であるのは、好適な出発化合物及び好適な触媒を用いる、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、若しくはテトラヒドロフラン、又は上記化合物のうちの2つ以上の混合物の重付加によって得られるポリエーテル化合物である。
使用できる好適なポリエステルとしては、ジカルボン酸とジオールとの重縮合によって、又は実質的な線状構造を有するオキシカルボン酸類の重縮合によって得られるものが挙げられる。
また、ポリアセタールも、ポリオール縮合生成物として好適であり得る。ポリアセタールは、グリコール、例えば、ジエチレングリコール若しくはヘキサンジオール又はこれらの混合物とホルムアルデヒドとを反応させて得られる化合物であるとしばしば理解される。本発明との関係において使用可能なポリアセタールは、環状アセタールの重合によって得ることもできる。
使用可能な好適なポリウレタンとしては、ポリオール又はポリカルボン酸とイソシアネートとの反応により調製され得るものが挙げられる。適切な調製方法は、当業者にとって既知である。好適なポリオールは、ポリエステル調製のための出発物質として、本明細書との関係において既に説明済みである。
硬化性組成物の固化は、例えば重縮合反応によって生じさせ得る。
典型的な硬化機構は、酸性触媒又は強酸の塩及び水の存在下で発生し得る、アルコキシシリル(slilyl)基の重縮合反応に基づいてよい。
硬化機構はまた、水を含まない触媒の存在下での、アルコキシシリル(slilyl)基とシラノール基との重縮合反応にも基づいてよい。
米国特許出願公開第2005/250871号に記載される、縮合反応を介して架橋するアルコキシ官能化ポリエーテルもまた含まれる。
硬化性組成物の固化は、重付加反応によっても発生し得る。
この硬化機構は、典型的には、触媒、例えばPt含有化合物の存在下での、オレフィン不飽和二重結合(例えばビニル基)を有するシランの重付加に基づく。この硬化機構は古くから知られている。対応する組成物はしばしばVPS材料と呼ばれる。
この実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサンを、成分(A)として含有する組成物を特徴とする。
少なくとも2つのペンダント又は末端トリオルガノシロキシ基を有するオルガノポリシロキサンは、3つの有機基のうちの少なくとも1つがエチレン性不飽和二重結合を有する基である分子である。一般に、エチレン性不飽和二重結合を有する基は、オルガノポリシロキサンの任意のモノマー単位に位置することが可能である。しかしながら、エチレン性不飽和二重結合を有する基は、オルガノポリシロキサンのポリマー鎖の末端のモノマー単位に、又は少なくともその近くに位置していることが好ましい場合がある。別の実施形態では、エチレン性不飽和二重結合を有する基のうちの少なくとも2つは、ポリマー鎖の末端のモノマー単位に位置している。
本明細書を通して使用されるとき「モノマー単位」という用語は、別段の明示的な指定がない限り、ポリマー主鎖を形成する、ポリマー中の反復構造要素に関する。
この一般構造の好ましいオルガノポリシロキサンは、次の式で表される:
Figure 0006139526
(式中、ラジカルRは、互いに独立して、好ましくは脂肪族多重結合を含有しない、1〜約6個のC原子を有する非置換又は置換の、一価の炭化水素基を表し、ここで、nは、一般に、オルガノポリシロキサンの粘度が約4〜約1,000,000mPas、約6〜約500,000mPas、又は約10〜約100,000mPasとなるように選択することができる)。パラメーターnは、例えば、約10〜約10,000の範囲であることが可能である。
一般に、上記式中のラジカルRは、1〜約6個のC原子を有する任意の非置換又は置換の、一価の炭化水素基を表すことができる。1〜約6個のC原子を有する非置換又は置換の、一価の炭化水素基は、直鎖状であるか、又は炭素原子数が2を超える場合は、分枝状又は環状であり得る。一般に、ラジカルRは、それらが組成物のいずれかの他の構成要素又は置換基に干渉せず、かつ硬化反応に干渉しない場合、あらゆる種類の置換基(1つ又は複数)を有することができる。
本明細書に関して使用するとき、「干渉」という用語は、組成物の他の置換基若しくは構成要素のうちの少なくとも1つ、又は硬化反応、あるいはこれら両方に対するこのような置換基のあらゆる影響に関連し、干渉は、固化した製品の特性にとって有害である可能性がある。
本明細書に関して使用するとき、「有害な」という用語は、それらの意図される用途における前駆体又は硬化した製品の実用性に悪影響を及ぼす、前駆体又は硬化した製品の特性の変化に関する。
本発明の別の実施形態では、ラジカルRの少なくとも約50%がメチル基である。上記式によるオルガノポリシロキサンに存在し得る他のラジカルRの例は、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−(tert.)ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、2−及び3−n−ブテニル、ペンテニル異性体、ヘキセニル異性体、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのフッ素置換脂肪族ラジカル、シクロペンチル基若しくはシクロヘキシル基、シクロペンテニル基若しくはシクロヘキセニル基、又はフェニル基若しくは置換フェニル基などの芳香族基、若しくは複素環式芳香族基である。このような分子の例は、米国特許第4,035,453号に記載されており、その開示内容、特に上記の分子、それらの化学構造、及びそれらの調製に関する開示内容は、本明細書の開示内容の一部であると明確にみなされ、参照により本明細書に組み込まれる。
上記式による分子の調製は、当業者には一般に、同様の分子に関する先行技術の教示に基づいて理解されよう。
特定の粘度範囲内の粘度を有し、かつ末端基がジメチルビニルシロキシ単位と、ラジカルRとしてのメチル基とを含む、上記式による直鎖状ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
使用可能な成分(A)は、オルガノポリシロキサンの1種である(A1)からなることが可能である。オルガノポリシロキサンは、約5〜約1,000,000mPas、約10〜約500,000mPas、約20〜約50,000、又は約30〜約40,000mPasの範囲で始まる粘度を有することができる。
ただし、成分(A)はまた、2つ以上の構成要素、(A1)、(A2)等を含むことも可能であり、それらの構成要素は、例えば、それらの主鎖の化学組成が異なる、それらの分子量が異なる、それらの置換基若しくはそれらの粘度が異なる、任意の他の区別のつく特徴、又は上述の特徴のうちの2つ以上が異なり得る。
実施形態では、成分(A)の種々の構成要素の粘度の差は、2倍を超える可能性があり、例えば、約5倍を超え、約10倍を超え、約20倍を超え、約30倍を超え、約40倍を超え、約50倍を超え、約60倍を超え、約70倍を超え、約80倍を超え、約90倍を超え、又は約100倍を超える可能性がある。粘度の差は、更に高く、例えば、約200倍を超え、約300倍を超え、約500倍を超え、約800倍を超え、約1,000倍を超え、又は約5,000倍を超える可能性があるが、それは好ましくは、約10,000倍より高い値を超えるべきではない。前述の値は、粘度の差の係数に関するものであって、粘度値自体に関するものではないことに留意すべきである。
必要であれば、粘度は、Haake Rotovisco RV20装置(スピンドルMV、測定カップNV)を用いて測定することができる。粘度は、典型的には23℃で測定される。システムを稼動して調整した後、スピンドルMVを取り付ける。次に、測定しようとする材料を、測定カップNVに入れる。過度に遅延せず、スピンドルを測定カップNVまで降ろす。スピンドルは、最大厚さ1mmの材料の層で覆われていなければならない。測定しようとする材料の温度を23℃で20分に調整する。スピンドルを回転させ始めることによって測定を開始して、測定開始20秒後の粘度値(mPas)を記録する。測定カップNVがどんなときでも回転又は移動しないことを確実にするように注意を払わなければならない。粘度値は、mPasで得られる。上記測定方法は、DIN 53018−1に対応する。
成分(A)が異なる粘度の構成要素を含有する場合、最も低い粘度を有する構成要素の量と最も高い粘度を有する構成要素の量との比は、前駆体及び硬化した樹脂の所望の特性に応じて、比較的自由に選択することができる。しかしながら、最も低い粘度を有する構成要素の量と最も高い粘度を有する構成要素の量との比が約1:20〜約20:1の範囲内、特に約1:10〜約10:1、又は約1:5〜約5:1であれば、有利であり得る。良好な結果は、例えば約1:3〜約3:1、又は約1:2〜約2:1までの比の場合に得ることができる。更には、最も高い粘度を有する構成要素の量が、最も低い粘度を有する構成要素の量とほぼ同じかそれよりも多い場合に適当である場合があり、その結果、最も高い粘度を有する構成要素の量と最も低い粘度を有する構成要素の量との比が約0.9:1〜約3:1の値となる。比はいずれも、構成要素の重量に基づいている。
上記の実施形態に関しては、組成物は典型的には1分子あたり少なくとも2又は3のSi−結合した水素原子(すなわちSi−H部分)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンも含有する。
これらの成分(1つ又は複数の)は、成分(X)としても機能することができる。しかしながら、成分(X)が架橋反応に使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンに相当する場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは過剰に使用される。
かくして、成分(X)は、重付加反応によって固化する硬化性組成物の基剤ペースト中に存在するSi−H基(類)含有成分と、同一であっても異なっていてもよい。
本発明との関係において説明したように、本明細書におけるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、オルガノポリシロキサンの群には属さない。
本発明によるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、典型的には約0.01〜約1.7重量%のケイ素結合水素、又は1gあたり1.0〜9.0mmoLのSiHを含有する。水素原子又は酸素原子で飽和されていないケイ素原子価は、典型的には、エチレン性不飽和結合を有しない一価の炭化水素ラジカルRで飽和される。
炭化水素ラジカルRは、互いに独立して選択されてよく、1〜12個のC原子を有する、エチレン性不飽和結合を有さない、直鎖状、分枝状又は環状の、非置換又は置換の、脂肪族又は芳香族の一価の炭化水素基を表す。本発明の好ましい実施形態では、ケイ素原子と結合している炭化水素ラジカルRのうちの少なくとも約50%、好ましくは約100%がメチルラジカルである。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは約10〜約1000mPas、約15〜約550mPas、又は約20〜約150mPasの粘度を有してよい。
硬化性組成物は、硬化性成分(A)の他に、反応性置換基を有しないオルガノポリシロキサンを含有してよい。非反応性置換基としては、固化プロセス中組成物の他の成分と共重合しないものが挙げられる。これらは、好ましくは、全てのシリコン原子が酸素原子、又は置換されてもよく置換されなくてもよい1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルにより囲まれる直鎖状、分岐鎖状又は環状オルガノポリシロキサンである。炭化水素ラジカルは、メチル、エチル、C〜C12脂肪族化合物、トリフルオロプロピル基、及び芳香族C〜C12ラジカルであってよい。
トリメチルシロキシ末端基を有するポリジメチルシロキサンが好適となり得て、また、全組成物に対して約0〜約40重量%、約0.1〜約20重量%、又は約0.5〜約10重量%の量で使用することができる。
本発明の組成物は触媒も含有する。
使用される触媒の性質は、典型的には、使用される硬化性部分(AC)含有成分(A)の性質に応じて変化する。
付加硬化性組成物については、触媒は、典型的には白金触媒、又はテトラメチルジビニルジシロキサンを用いた還元によってヘキサクロロ白金酸から調製することが可能な白金錯体を含む、白金含有触媒である。このような化合物は当業者に周知され、当該技術分野で広く用いられている。エチレン性不飽和二重結合を有するシランの付加架橋を触媒又は促進する、任意の他の白金化合物もまた好適である。
例えば米国特許第3,715,334号、米国特許第3,775,352号及び米国特許第3,814,730号に記載されているような白金−シロキサン錯体が、適している。これらの特許の開示は、白金錯体及びその調製に関して明記しており、明示的に本文章の開示の一部とみなされる。
触媒は、典型的には、約0.00005〜約0.05重量%、特に約0.0002〜約0.04重量%の量で用いることができ、それぞれ元素白金として計算され、組成物の全体の重量に対する。
縮合硬化性組成物に関しては、触媒は典型的には酸及び金属有機化合物である。
使用できる好適な酸又は酸性触媒としては、オルガノ亜鉛化合物、チタネート、ジルコネート、例えばテトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ジオクチル亜鉛ジラウレート、ジブチル亜鉛ジラウレート、テトラ−n−ブチルジルコネート、及びテトラ−n−プロピルジルコネート、並びにこれらの混合物が挙げられる。
これらの種類の反応開始剤の典型的な範囲としては、全組成物の重量に対し、約0.005重量%〜約35重量%、又は約0.01重量%〜約20重量%が挙げられる。
本発明の組成物は、典型的には、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合した後の硬化反応時に、温度をレベルT1からレベルT2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することができる。
この温度上昇は、主に又は部分的に、成分(X)と反応体(Y)との反応によってもたらされる。
成分(X)は硬化反応時に調製され得る、又は架橋反応が開始若しくは触媒される前に、基剤ペースト若しくは触媒ペースト内に存在する。しかし、少なくとも2の異なる成分(X)が存在して、又は生成されて、反応に参加することも可能である。したがって、1つの成分(X1)が硬化反応中に生成されてよく、セッティングプロセスが起きる又は開始する前に1つの成分(X2)が組成物内に既に存在していてよい。
成分(X)は、少なくとも1つの反応性部分を含有し、反応体(Y)と相互作用することが可能である。
反応性部分としては、−OH、Si−H、−OR(例えばC1〜C4アルキル)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
用語「相互作用する」は、化学的及び物理的相互作用を含む。
したがって、成分(X)が反応体(Y)と(1つ又は複数の)化学結合を形成することは可能である。しかし、成分(X)が反応体(Y)の表面に吸収される、又は付着することも可能である。
反応体(Y)との相互作用の他に、成分(X)は組成物中に存在するその他の(1つ又は複数の)成分と反応してよい。
成分(X)が成分(A)との架橋反応にも参加する場合、成分(X)は反応体(Y)に対して過剰に使用される。その結果、組成物中に、セッティング反応の加速を促すエネルギーを発生させる、成分(X)の反応性部分が十分に存在することが確実となる。
しかし、反応体(Y)の相互作用は、典型的には、成分(X)との相互作用に限定される。
成分(X)及び反応体(Y)は、エネルギー(特に熱)が生成されるような方法で、互いに相互作用する。生成されたエネルギー又は熱の量は、組成物を、温度レベルT1(混合後、例えば20秒後に測定される)から温度レベルT2(混合後約15分の時間枠の範囲内で測定される)まで加熱するのに十分である。温度T2は、典型的には、温度T1より少なくとも約6、7、8、9、又は10℃高い。
典型的な温度上昇は、約6〜約20℃、又は約7〜約15℃の範囲である。
温度T1は、典型的には約15℃〜約35℃、又は約23℃〜約30℃の範囲である。
温度T2は、典型的には約50℃未満、約40℃未満、又は約36℃未満でなければならい。
所望される場合、温度上昇は、「実施例」の項で説明される通りに測定することができる。
重縮合反応によって固化する硬化性組成物に関して、成分(X)の典型的な例としては、水、アルコール類(メタノール、エタノール、n−及びi−プロパノールを含む)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
重付加反応、特に、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(類)、及びポリ(メチル)(ハイドロジェン)シロキサン(類)が関与する重付加反応によって固化する硬化性組成物に関して、成分(X)の典型的な例としては、シラン、及び(1つ又は複数の)ポリ(メチル)(ハイドロジェン)シロキサンのような、少なくとも1つ又は2つのSiH部分(類)を有するシロキサン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
反応体(Y)は、典型的には以下の特性のうちの少なくとも1つによって特徴づけることができる:
・約50〜約1000、約100〜約800、約100〜約500、又は約100〜約300の分子量;
・室温(23℃)で固体又は液体であること;
・反応体(Y)が、典型的には、全組成物に対して少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも1.25重量%の量で存在する;
・成分(X)と反応体(Y)との重量に対する比率が少なくとも約1:1、少なくとも約6:1、少なくとも約8:1、又は少なくとも約10:1である典型的な範囲には、重量に対して約6:1〜20:1、又は約8:1〜約15:1が含まれる。
成分(X)内に存在する反応性部分と、反応体(Y)とのモル比を、約1.1〜約5、約1.2〜約4.8、又は約1.25〜約4.5の範囲に調節することが、(1つは又は複数の)所望の効果を達成するのに有益であり得るということが判明した。
上記の特性のいずれかが満たされない場合、所望の結果を達成する事は困難となり得る。
例えば、反応体(Y)の量が特定の量に届かない場合、所望の温度上昇を達成するのに必要なエネルギーが生成されない可能性がある。
しかし、反応体(Y)の量が一定量を上回ると、生成されたエネルギーは望ましくない温度上昇をもたらす可能性がある。組成物の温度が高過ぎると、治療中の患者に許容されない場合があるため、特に歯科領域ではこれは好ましくない場合がある。
反応体(Y)の分子量が高過ぎると、反応体(Y)が組成物内で拡散又は移動する能力、及び他の成分と相互作用する能力が制限される場合がある。
反応体(Y)は、基剤ペースト若しくは触媒ペースト内に、又は基剤ペースト及び触媒ペースト内に存在してよい。
場合によっては、反応体(Y)が基剤ペースト内にのみ存在するのが有利となり得る。
これは、触媒ペースト内に存在する触媒が、反応体(Y)と相互作用する危険性を減少させる助けになる場合がある。
これは、基剤ペースト及び触媒ペーストが1:1とは異なる混合比で使用される場合、特に基剤ペーストがより高い量で使用されている場合(例えば基剤ペーストと触媒ペーストとの混合比が2:1又は5:1又は10:1)にも有利であり得る。反応体(Y)を基剤ペーストにだけ組み込むことにより、混合組成物内の反応体(Y)の総濃度は、反応体(Y)が触媒ペーストにだけ存在する組成物と比較して上昇する。
重縮合反応によって固化する硬化性組成物に関して、反応体(Y)の典型的な例としては、無水塩類(Li、Na、K、Sr、Mg、及びCaの酸化物、炭酸塩、及び硫酸塩を含む)並びにこれらの混合物が挙げられる。
重付加反応によって固化する硬化性組成物に関して、反応体(Y)の典型的な例としては、ビニル、アリル、>C=CH−CH−、>C=C(CH)CH−、ビニルエーテル、及びこれらの成分のいずれかからなる混合物から選択される1つのみの部分を有する成分が挙げられる(「<」は2つの個別の結合を表す)。
重付加反応、特にヒドロシレーション反応に関しては、以下の特徴の少なくとも1つにより特徴づけられた反応体(Y)の使用が有用であるということが判明した:
・約100〜約1000、約200〜約800、約100〜約500、又は約100〜約300の分子量;
・Si及びCのみを含有する部分を含む;
・1つのみの(炭素−炭素)不飽和シラン部分(例えばビニル又はアリル)を含む:
・ポリエーテル部分(すなわち、エーテル部分の少なくとも3、4又は5の反復単位)を含まない。
使用可能なビニルエーテル(類)の例としては、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
不飽和シラン(類)の例としては、式(II)のものが挙げられ、
C=CR−A−SiR (II)
式中、
Rは1価アルキル(直鎖又は分岐鎖又はシクロアルキル)C〜C22、アリールC〜C12、アルコキシ(直鎖又は分岐鎖又はシクロアルキル)C〜C22、アリールオキシC〜C12、O−SiR 、又はHであってよく(残余RはO、Cl、Br、F、又はIのようなヘテロ原子を含み得る。残余Rは異なっていても同じでもよく、また、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル(Decycl)、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルフェニル、トリル、シクロヘキシル、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、tert−ブチルジメチルシロキシ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.13,915,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル、3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソプロピルペンタシクロ[9.5.13,915,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルから選択される)、
、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素又は1価アルキル(直鎖又は分岐鎖又はシクロアルキル)C〜C22、アリールC〜C12を含有し、Rと、R又はRとは環状構造に結合してもよい。残基R、R、及びRはO、Cl、Br、F、又はIなどのヘテロ原子を含んでもよい。R、R、及びRに好適なのはHである。)、
は1価アルキル(直鎖又は分岐鎖又はシクロアルキル)C〜C22、アリールC〜C12であってよく、ここでO−SiR 中の残基Rのうちの2つ又は3つが、シクロシロキサン又は多環状シロキサン構造のような環状構造又は多環状構造に結合してもよく、
Aは2価の直鎖状、分岐鎖状、又は環状炭化水素基C〜C12であり、任意で不飽和に直接結合した少なくとも1つのメチレン基を有する芳香族部分を含み、任意でO−原子を含む(Aは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、ノニレン、又はデシレンが好ましい)。
不飽和シラン化合物は、好ましくは構成要素>C=CH−CH−、又は>C=C(CH)−CH−、好ましくは構成要素HC=CH−CH−、又はHC=C(CH)−CH−を含有する。
不飽和シラン化合物が1つだけのアリル基を含む場合は、良好な結果が得られる。
特に好ましい反応体(Y)としては、
C=CH−CHSi(CH (CAS:[762−72−1])
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−CHSi(i−C (CAS:[24400−84−8])
C=CH−(CHSi(i−C
C=CH−(CHSi(i−C
C=CH−(CHSi(i−C
C=CH−(CHSi(i−C
C=CH−CHSi(CH(t−C
C=CH−(CHSi(CH(t−C
C=CH−(CHSi(CH(t−C
C=CH−(CHSi(CH(t−C
C=CH−(CHSi(CH(t−C
C=CH−CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=CH−CHSi(CH(n−C1837
C=CH−(CHSi(CH(n−C1837
C=CH−(CHSi(CH(n−C1837
C=CH−(CHSi(CH(n−C1837
C=CH−(CHSi(CH(n−C1837
C=CH−CHSi(CH(C
C=CH−(CHSi(CH(C
C=CH−(CHSi(CH(C
C=CH−(CHSi(CH(C
C=CH−(CHSi(CH(C
C=CH−CH−O−Si(CH
C=CH−CH−O−Si(C
C=CH−CH−O−Si(i−C
C=CH−CH−O−Si(CH(t−C
C=CH−CH−O−Si(CH(n−C1837
C=CH−CH−O−Si(CH(C
C=CH−CHSi(CH−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH−O−Si(CH
C=CH−CHSi(CH)(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH)(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH)(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH)(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(CH)(−O−Si(CH
C=CH−CHSi(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(−O−Si(CH
C=CH−(CHSi(−O−Si(CH
C=CHCHSi(OCH
C=CH−(CHSi(OCH
C=CH−(CHSi(OCH
C=CH−(CHSi(OCH
C=CH−(CHSi(OCH
C=CH−CHSi(OC
C=CH−(CHSi(OC
C=CH−(CHSi(OC
C=CH−(CHSi(OC
C=CH−(CHSi(OC
C=CH−CHSi(C (CAS:[18752−21−1])
C=CH−(CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=CH−(CHSi(C
C=C(CH)−CHSi(CH (CAS:[18292−38−1])
C=CH−CHSi(p−COCH) (CAS:[68469−60−3])
C=CH−CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
C=CH−(CHSi(CH
及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明の組成物は、充填剤又は複数充填剤の混合物を含んでもよい。典型的には、充填剤は、全組成物に対し、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%の量を用いることができる。
特定の上限はないが、典型的には充填剤の量は、全て存在する場合、全組成物に対して最大約70重量%、最大約60重量%又は最大約50重量%の量で用いられる。
したがって、充填剤の典型的な範囲は、全組成物に対して約15〜約70、約20〜約60、又は約30〜約50重量%である。
シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、無機塩、金属酸化物、及びガラスのような多種多様な無機充填剤、親水性充填剤、又は疎水性充填剤を使用してよい。粉砕石英(4〜6μm)などの結晶性二酸化ケイ素、珪藻土(4〜7μm)などの非晶質二酸化ケイ素、及びCabot Corporation製のCab−o−Sil TS−530(160〜240m/g)などのシラン処理したヒュームドシリカに由来するものを含む、二酸化シリコーンの混合物を使用できることが分かっている。
材料の寸法及び表面積は、結果として得られる組成物の粘度及びチキソトロピー性を制御するように調節することができる。前述の疎水性充填剤の一部又は全ては、当業者に既知であるような、1つ以上のシラン処理剤で表面的に処理してよい。このようなシラン処理は、既知のハロゲン化シラン又はアルコキシシラン又はシラザンを用いて達成できる。このような充填剤は、材料の約0〜約65重量%、特に約5〜約55重量%、又は約20〜約50重量%の量で存在することが可能である。
使用可能な充填剤には、石英(密度2.65g/cm)、クリストバル石(密度2.35g/cm)、ケイ酸カルシウム、珪藻土(密度2.2g/cm)、ケイ酸ジルコニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、ガラス、及びプラスチックパウダーなどの充填剤がある。
好適な充填剤はまた、熱分解法ケイ酸又は沈降ケイ酸、及びシリカアルミニウム混合酸化物である。これらの充填剤は、Wacker又はDegussaなどの企業から、商品名Aerosil(商標)、HDK−H(HDK−H 2000の場合、濃度は2.2g/cm)で市販されている。
上述の充填剤は、例えばオルガノシラン若しくはシロキサンを用いる処理により、又はヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化により疎水化してよい。他の種類の充填剤、又は少なくとも2種の充填剤の混合物もまた使用することができる。粒子分布は、好ましくは、約50μm超の粒径を有する充填剤がないように選択される。
補強充填剤と非補強充填剤の組み合わせが好ましい場合がある。この観点では、補強充填剤の量は、全組成物に対して約1〜約10重量%、特に約2〜約5重量%の範囲であってよい。
典型的な補強充填剤としては、ヒュームドシリカ、カーボンブラック等が挙げられる。これらは表面処理することもでき、硬化したシリコーン組成物の引張強度又は引き裂き強度のような機械的特性を改善することができる。
好ましい表面処理により疎水化されている熱分解法で調製された高度に分散したケイ酸が、補強充填剤として好ましい。表面処理は、例えばジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルシクロテトラシロキサン又はポリメチルシロキサンを用いて実行してよい。
好ましい非補強充填剤は、表面処理されていてもよい、石英、クリストバル石及びケイ酸ナトリウムアルミニウムである。表面処理は、一般に、強化充填剤の場合に記載されたものと同じ方法により実行してよい。
典型的な非補強充填剤は、石英、沈殿シリカ、珪藻土、アルミナ、マグネシア、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、金属酸化物等である。これらの充填剤は、表面処理、例えばシラン処理されてもよく、表面処理されなくてもよい。典型的な粒径は、約2〜約10μmである。
更なる実施形態によれば、本発明の組成物はその他の添加剤を含有してもよい。
これらの添加剤としては、単独又は混合物中の、レオロジー調整剤(例えば合成若しくは天然ワックス、又は米国特許第6,677,393号に対応する欧州特許第1 165 016 A1号に記載されるようなポリエチレン/プロピレンジアセテート)、顔料、染料、可塑剤(パラフィン油又は鉱物油を含む)、匂い物質、香味剤、安定剤(例えばPCT公報第WO 2007/001896 A2号に記載されるようなジホスホン酸塩(1つ又は複数)を含む)、又は水素捕捉剤などが挙げられる。
添加剤は、全組成物に対して約0.01〜約90重量%の範囲、又は約0.1〜約40重量%の範囲の量で存在してよい。
付加反応の反応性を制御するため、かつ早過ぎる硬化を防ぐために、阻害剤を添加することが有利である場合があり、これは特定の期間付加反応を防ぐか、あるいは付加反応の速度を落とす。こうした阻害剤は周知されており、例えば米国特許第3,933,880号で説明されている。このような阻害剤の例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、及び3−メチル−1−ペンチン−3−オールなどのアセチレン性不飽和アルコールが挙げられる。ビニルシロキサン系の阻害剤の例は、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、並びにビニル基を含有するポリ−、オリゴ−及びジシロキサンである。しかし、存在する場合は、阻害剤は、所望の加速されたセッティング反応及びエネルギーの発生に悪影響を及ぼしてはならない。
組成物はまた、典型的にはビニル重合の結果として生じ得る、水素ガス発生の存在又は程度を減らすのに有用な成分を含有してもよい。したがって、組成物は、このような水素を捕捉し、取り込む超微粒子状白金金属のような水素捕捉剤を含んでよい。金属Ptは、約0.1〜約40m/gの表面積を有する実質的に不溶性の塩に付着することができる。好適な塩は、好適な粒径の硫酸バリウム、炭酸バリウム及び炭酸カルシウムである。その他の基材としては、珪藻土、活性アルミナ、活性炭等が挙げられる。無機塩類は、それらを組み込んで得られる材料に改善された安定性を付与するために特に好ましい。塩上に分散するのは、触媒成分の重量に基づいて、約0.2〜約2百万分率の白金金属である。無機塩粒子に分散された金属白金を使用することにより、歯科用シリコーンの硬化中に生じる水素ガス放出が実質的になくなる又は減少することが分かった。例えば、米国特許第4,273,902号に記載されているような金属Pd、又は米国特許第5,684,060号に開示されているようなPd化合物も使用できる。
更なる添加剤として、本発明の組成物は界面活性剤又は親水性化剤を含有してもよい。
使用可能な界面活性剤は、一般的に、組成物の親水性を改善するあらゆる種類の界面活性剤から自由に選択することができる。
界面活性剤(時にテンサイド(tenside)とも呼ばれる)は、液体の表面張力を低下させることができ(これにより展延が容易になる)、2種の液体間の界面張力を低下させることができる湿潤剤である。
界面活性剤は、通常、両親媒性(これは疎水基(「尾部」)及び親水基(「頭部」)を両方含むことを意味する)である有機化合物である。
非イオン性界面活性剤は、その頭部に荷電基をもたない。イオン性界面活性剤の頭部は、実効電荷を保有する。荷電が陰性である場合、界面活性剤はより具体的にアニオン性と呼ばれ、荷電が陽性である場合、カチオン性と呼ばれる。界面活性剤が2つの相反する荷電基を有する頭部を含む場合、それは双極性イオン性と呼ばれる。
有用な界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、若しくは非イオン性界面活性剤、又は2つ以上のそうした種類の界面活性剤の混合物が挙げられる。
組成物は、親水化剤として、非イオン性界面活性剤、又は2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を含むことが好ましい場合がある。
典型的に界面活性剤は、組成物の親水性特性を改善することができる。所望であれば、これは、(硬化状態又は非硬化状態の)材料上で、水又は水溶液若しくは分散液(例えばプラスター懸濁液など)の液滴の濡れ角が、界面活性剤を含まない同一の組成物上で得られた濡れ角よりも増えることにより、実証することができる。
歯科用印象材の親水性を決定するための濡れ角の測定方法については、例えば、米国特許第5,569,691号に説明されており、この測定方法に関するこの文書の内容は参照により明示的に記述され、本明細書の開示内容の一部としてみなされる。
例えば、欧州特許第0 480 238 B1号に記載されているエトキシル化(Ethoxylized)脂肪族アルコールが使用できる。更に、米国特許第4,657,959号に記載の非イオン性パーフルオロアルキル化(perfluoralkylated)界面活性物質を使用してよい。また、米国特許第4,782,101号に記載されている非イオン性界面活性物質、すなわち公報に列挙されているノニルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール−モノエステル及びジエステル、ソルビタンエステル、並びにポリエチレングリコール−モノエーテル及びジエーテルも好ましい。親水化剤及びその調製に関して後者の文書の内容を参照することにより明示的に記述し、本発明の開示の一部とみなす。
好適な親水化剤は、固化した高分子網状組織に共有結合的に組み込むことができない親水性シリコーン油の部類に由来する湿潤剤であり得る。好適な親水化剤は、米国特許第4,657,959号及び欧州特許第0 231 420 B1号に記載されており、親水化剤に関するそれらの内容は、参照により明示的に記述され、本発明の開示内容の一部とみなされる。
有用な界面活性剤としては、一般式(III)のポリエーテルカルボシランが挙げられ、
Q−P−(OC2n)x−OT(III)
式中、QはR−Si−、又はR−Si−(R’−SiR−R’−SiR’’を意味し、
ここで、分子中の全てのRは同一でも異なっていてもよく、また脂肪族C〜C18、脂環式C〜C12、又は芳香族C〜C12炭化水素ラジカルを表し、これらは任意でハロゲン原子に置換されてよく、R’はC〜C14アルキレン基であり、R’’はa≠0の場合はRであり、a=0及びa=0〜2の場合のR又はRSiR’であり、PはC〜C18アルキレン基、好ましくはC〜C14アルキレン基、又はA−R’’’であり、ここでAはC〜C18アルキレン基を表し、R’’’は次のリスト:(−NHC(O)−、−NHC(O)−(CHn−1−、−NHC(O)C(O)−、−NHC(O)(CHC(O)−、−OC(O)−、−OC(O)−(CHn−1−、−OC(O)C(O)−、−OC(O)(CHC(O)−、−OCHCH(OH)CHOC(O)(CHn−1−、−OCHCH(OH)CHOC(O)(CHC(O)−(ここでv=1〜12である)からの官能基を表し、TはHであるか、又はC〜Cアルキルラジカル若しくはC〜Cアシルラジカルを表し、xは1〜200の数を表し、nは1〜6、好ましくは、1〜4の平均数を表す。
ポリエーテル部分は、ホモポリマーであり得るが、ランダムコポリマー、交互コポリマー、又はブロックコポリマーでもあり得る。
単独又は2つ以上の組み合わせとしてのいずれでも使用可能な更なる界面活性剤は、米国特許第5,750,589号(Zech et al.)の第2欄47行〜第3欄27行、第3欄49行〜第4欄4行、及び第5欄7行〜第14欄20行に見出すことができる。
単独又は2つ以上の界面活性剤の組み合わせとしてのいずれでも使用可能なその他の界面活性剤は、米国特許第4,657,959号(Bryan et al.)の第4欄46行〜第6欄52行、並びに欧州特許第0 231 420 B1号(Gribi et al.)の第4ページ1行〜第5ページ16行、及び実施例に見出すことができる。
米国特許第5,750,589号、同第4,657,959号、及び欧州特許第0 231 420 B1号は明示的に記載されており、また本発明による成分(G)として利用できる化合物の開示内容の出典として本明細書に引用される。文書及び特にそれらの前述の引例における親水化剤に関する開示内容を参照として組み込み、また本明細書の開示内容の一部とみなす。
更なる好適な界面活性剤は、米国特許第4,657,959号に記載されるような、シロキサン可溶性基を含むエトキシル化(exthoxylated)界面活性剤であり、この開示は、参考として本明細書に組み込まれる。
界面活性剤のいくつかは、以下の式(IV)に要約することができ、
Figure 0006139526
式中、各Rは独立して1〜22個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビルラジカルであり、Rは1〜26個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビレンラジカルであり、各Rは独立して水素又は低級ヒドロキシアルキルラジカルであり、Rは水素又は1〜22個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビルラジカルであり、n及びbは独立して0以上であり、m及びaは独立して1以上であるが、ただし、本発明の硬化組成物が所望の水接触角を有することができるほどaは十分な値であり、かつbは十分に小さい。
好ましくは、R及びRは−CHであり、Rは−C−であり、Rは水素であり、nは約0又は約1であり、mは約1〜約5であり、aは約5〜約20であり、かつbは約0である。
このようなエトキシル化界面活性剤のいくつかは、Union Carbide Corp.より「SILWET」界面活性コポリマーとして入手可能である。好適な界面活性コポリマーとしては、SILWET 35、SILWET L−77、L−7600、及びL−7602が挙げられる。SILWET L−77は、上記式に相当すると考えられる、特に好ましいエトキシ化界面活性剤であり、式中、R及びRは−CHであり、Rは−C−であり、Rは水素であり、nは約0又は約1であり、mは約1又は約2であり、aは約7であり、bは約0である。また、Lubrizol performance products(Spartanburg,US)から入手可能な、MASIL(登録商標)SF19の使用も可能である。
次のものからなる群から選択されるポリエーテルカルボシランの使用も可能である:
EtSi−(CH−O−(CO)y−CH、Et=エチル
EtSi−CH−CH−O−(CO)y−CH、Et=エチル
(MeSi−CHSi−(CH−O−(CO)y−CH、Me=メチル
MeSi−CH−SiMe−(CH−O−(CO)y−CH、Me=メチル
(MeSi−CHSiMe−(CH−O−(CO)y−CH、Me=メチル
MeSi−(CH−O−(CO)y−CH、Me=メチル
MeSi−CH−CH−O−(CO)y−CH、Me=メチル
PhSi−(CH−O−(CO)y−CH、Ph=フェニル
PhSi−CH−CH−O−(CO)y−CH、Ph=フェニル
CySi−(CH−O−(CO)y−CH、Cy=シクロへキシル
CySi−CH−CH−O−(CO)y−CH、Cy=シクロへキシル
(C13Si−(CH−O−(CO)y−CH
(C13Si−CH−CH−O−(CO)y−CH(式中、yは、5≦y≦20の関係に従う)。
界面活性剤は、組成物中に、全組成物の重量に対して約0.1重量%超の量で存在してよい。界面活性剤の量が約0.1〜約15重量%、約0.3〜約12重量%、約0.5〜約8重量%、約0.8〜約7重量%、約1〜約6重量%、約1.2〜約5重量%、又は約1.5〜約4重量%の範囲内にあれば好ましくなり得る。
本発明の硬化した材料の表面上での、約10秒後に測定された水滴の濡れ角は、約40度未満、約20度未満、約10度未満、又は更には約5度未満であるのが好ましい。
濡れ接触角は以下のように測定することができる。約2.5gの基剤ペーストと2.5gの触媒ペーストを均一になるまで(約30秒)混合する。5gの混合ペーストを、ポリエチレンの2枚のシートの間にある金属型(40mm×30mm×2mm)内に入れ、ガラスプレートを用いて均一に加圧する。試験体が硬化するまで(約15分)そのままの状態で放置する。試験体の表面に触れないようにしながら慎重にポリエチレンのシートを取り外し、試験体を、接触角測定では周知の装置である角度計DSA 10(Kruss製)の台の上に置く。5μLの水を試料の表面上に置き、標準的な角度計ソフトウェアを使用して自動接触角測定を開始する。測定時間は、少なくとも約10秒〜約200秒である。
上記の界面活性剤(1つ又は複数)に加えて、又はそれに代わって、組成物はF−含有成分も含有することができ、ここでF−含有成分は式(V)によって特徴づけられ、
−X−[(O−CF−CF−(O−CF−(O−CF(CF)−CF−(O−CF−CF−CF−O]−X−T (V)
式中、u=0〜8、v=0〜8、w=0〜8、x=0〜8、u+v+w+x≧1であり、T及びTは同じでも異なっていてもよく、また独立して−COOR、−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR、又は−Fから選択され、Rは直鎖又は分岐鎖のアルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)、又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、Xは−(CF1〜6−、−CF(CF)−、及び−CHF−CF−から選択される。
有用なF−含有化合物としては、式(IV)によって特徴づけられるものも挙げられ、
−X−[(O−CF−CF−(O−CF−(O−CF(CF)−CF−(O−CF−CF−CF−O]−X−T (VI)
式中、u=0〜8、v=0〜8、w=0〜8、x=0〜8、u+v+w+x≧1であり、T及びTは同じでも異なっていてもよく、また独立して−COOR、−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR、又は−Fから選択され、Rは直鎖又は分岐鎖のアルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)、又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、Xは−(CF1〜6−、−CF(CF)−、及び−CHF−CF−から選択される。
存在する場合、F−含有成分は、全組成物の量に対して約5重量%未満又は約4重量%未満の量で存在してよい。
F−含有成分の典型的な範囲としては、全組成物量に対して約0〜約5、又は約0.1〜約4重量%が挙げられる。
F−含有成分が上記の界面活性剤と共に存在する場合は好適であり得る。両方の成分が存在することで組成物の湿潤性が改善され得る。
実施態様によれば、本発明の組成物は個々の成分を以下の量で含んでよい。
・成分(A)を約15〜約70重量%、又は約20〜約60重量%、
・触媒を約0.00005〜約35重量%、又は約0.0002〜約20重量%、
・反応体(Y)を約0.5〜約6重量%、約1〜約5重量%、又は約1.25〜約4重量%、
・充填剤を約15〜約70重量%、約20〜約60重量%、又は約30〜約50重量%、
・添加剤を約0〜約65重量%、又は約0.1〜約40重量%、
重量%は、組成物全体の重量に対する。
重付加反応により硬化する歯科用組成物に関しては、以下の量が有用であることが判明した。
・成分(A)を約10〜約60重量%、約15〜約55重量%、又は約20〜約50重量%、
・触媒を約0.00005〜約0.1重量%、約0.0002〜約0.02重量%、又は約0.005〜約0.01重量%(Pt含有量に対して)、
・反応体(Y)を約0.1〜約20重量%、約0.2〜約10重量%、又は約0.3〜約5重量%、
・充填剤を約5〜約85重量%、約10〜約80重量%、又は約20〜約75重量%、
・添加剤を約0〜約50重量%、又は約1〜約30重量%、又は約2〜約20重量%、
重量%は、組成物全体の重量に対する。
特定の実施形態によれば、本発明の硬化性歯科用組成物は、以下の特徴を示し得る(重縮合):
・基剤ペーストが、アルコキシシリル(slilyl)基及び/又はシラノール基を有する成分を含有する;
・触媒ペーストが、酸及び/又は金属有機化合物を含有する;
・反応体(Y)が、無水金属塩類及びこれらの混合物を含有する。
別の特定の実施形態によれば、本発明の硬化性歯科用組成物は、以下の特徴を示し得る(重付加):
・基剤ペーストが、ジビニル末端ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチル)(ハイドロジェン)シロキサン及び充填剤を含有する;
・触媒ペーストが、Pt含有成分、ジビニル末端ポリジメチルシロキサン、及び充填剤を含有する;
・反応体(Y)が、1つだけの末端(炭素−炭素)不飽和(unsatured)部分を含むシラン成分、アルキル(例えばC1〜C10)ビニルエーテル成分、アルキル(例えばC1〜C10)アリルエーテル成分、及びこれらの混合物を含有する。
反応体(Y)が、全組成物の重量に対して、典型的に約1〜約5重量%、又は約1.25〜約4重量%の量で存在する。
ハイドロジェンシロキサン架橋剤(成分(X)に相当する)のモル量が反応体(Y)の量と比べてより高いために、架橋反応に参加していないハイドロジェンシロキサン架橋剤の部分が反応体(Y)と相互作用し、それにより温度上昇の一因となる追加エネルギーを生成することができる。
比率が適切な範囲内にない場合、硬化組成物のその他の所望の物理的性質が悪影響を受けるおそれがある。
組成物は、典型的には、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合してから20秒後の組成物の温度T1を、T1よりも約6〜約20℃高い温度T2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することができる。
本発明の硬化性組成物の基剤ペースト及び触媒ペーストは、典型的には個々の成分を混合する事により作製する。混合方法としてはブレンド及び/又は混練が挙げられる。必要であれば、混合を真空条件下で行うことで、より均質で、かつガスを含有しない組成物を確実に製造できる。
本発明の歯科用組成物は、典型的には、少なくとも基剤ペーストと、少なくとも基剤ペーストの材料の一部を硬化するための触媒を含む触媒ペーストと、を含む、多成分材料である。
組成物の成分はキット中に含有でき、その場合、組成物の内容物はパッケージ化され、それらが必要となるまで成分の貯蔵を可能にする。使用するとき、組成物の成分を好適な量混合してよく、従来の技術を用いて臨床的に適用してもよい。
したがって、本発明は、使用前は互いから分離されている基剤部(I)及び触媒部(II)を含む、部分からなるキットにも関し、
ここで基剤部(I)は(1つ又は複数の)硬化性成分(A)を含有し、
触媒部(II)は触媒を含有し、
ここで反応体(Y)は基剤部又は触媒部のいずれかに存在する。
その他の任意成分、特に充填剤及び添加剤は、基剤部(I)若しくは触媒部(II)に、又は基剤部(I)及び触媒部(II)に存在してよい。
触媒部(II)と基剤部(I)との容積比は、約10:1〜約1:10の範囲で変動する。基剤部(I)と触媒部(II)との特に好ましい容積比は、約1:1及び約5:1(基剤部5部に対して触媒部1部)である。
一般に、成分の混合及び投与は、例えば、スパチュラ(ストランド長比較)により、若しくは静的混合チップを備えた、事前充填された二重カートリッジディスペンサを手動で操作して実施でき、又は自動化タスクのようなものに利用可能な種々の利用可能な装置を用いて自動化されてよく、このような装置の好ましいものは、米国特許出願公開第2004/0085854号又は米国特許第6,244,740号に言及されているような動的混合チップとともに、欧州特許出願公開第0 232 733 A1号、米国特許第5,924,600号、同第6,135,631号又は欧州特許出願公開第0 863 088 A1号に言及されている。
歯科用組成物の取扱い特性の更なる改善は、例えば米国特許第5,249,862号、同第5,286,105号、又は同第5,332,122号に記載される、自動輸送及び混合ユニットを有する2成分組成物用の自動混合及び計測システムの使用に見出すことができる。それぞれのペーストを混合した後、通常は、気泡を実質的に含まない均質な生成物が得られる。商業的に入手可能な混合装置は、3M ESPEよりPentamix(商標)のブランド名で販売されている。
実施においては、印象材は静的又は機械的混合装置を通じて印象材トレイ又は患者の歯若しくは組織に注入し、患者の口に定置してよい。印象材が硬化した後、通常、トレイは患者の口から取り外され、歯科施術者が陽型模型を作成する場合には、例えば石膏を陰型模型に注入することが望ましい場合がある。
歯科用材料又は組成物は、歯科用印象材として、又は(一時的又は長期の)クラウン及び/若しくはブリッジの作製用に、使用することができる。後者の場合、本発明の組成物は、(一時的又は長期の)クラウン及び/又はブリッジ材料を充填される型として用いられ、これは典型的には重合性(メタ)アクリレートをベースとする。
本発明の特徴及び利点は、次の実施例により、更に説明されるが、これにより制限されることを決して意図しない。指示がない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
測定法
引張強度及び破断点伸び
必要であれば、組成物の引張強度及び引張伸びはDIN 53504にしたがって測定することができる。引張強度はMPaで与え、伸びは元の長さの割合として与える。Zwick Z020ユニバーサル試験機において20mm×4mm×2mmの中央ユニットを有する6枚のl−型試料を引き裂くことにより、引張強度及び破断点伸びデータを求めた。基剤ペースト及び触媒ペーストを、静的ミキサー(SulzerMixpac Comp.製)によって混合し、黄銅の型に充填する。3時間後、23℃にて試料を取り出して、測定を6回行い、平均値を求めた(速度200mm/分)。
長さ寸法変化
必要であれば、ISO 4823にしたがって組成物の長さ寸法変化を測定でき、百分率で示される。
粘度
必要であれば、粘度を、プレート/プレートシステム(直径20mm)及び0.2mmのスリットを備える、Haake Rotovisco 1装置を用いて、23℃で測定できる。粘度値(Pas)及びシェア応力値(Pa)を各シェア値(10 1/sから開始して、10 1/s及び/又は5 1/s刻みで100 1/sまで)について記録する。それぞれのシェア値について、データ収集前に5秒の遅延を用いた。上述の測定方法は、DIN 53018−1に本質的に一致する。
セッティング時間の測定
組成物のセッティング時間を、Alpha instruments製のMDR 2000レオメータを用いて、33℃である時に基づく粘度を測定することにより決定した。セッティング時間はt90値として決定され、ここでは(混合開始から)最終粘度の90%が達成された。別の特徴的な大きさ(characteristic size)は、最終粘度の5%が存在した、t5値であった。この時間まで、組成物は網状構造形成(硬化)をほとんど行わないとみなすことができる。
セッティング時間t90と作用時間t5との差tを、t=t90−t5に基づいて算出し、材料が塑性状態から弾性状態に遷移するまでの時間を示す。材料の作用時間t5と遷移時間tとの比率が、材料のいわゆるスナップセット(snap set)硬化挙動の基準となる。
温度発現の測定
基剤ペーストと触媒とを混合し、混合材料5gを混合パッド上に設置した。電子温度計(testo AG製testo 720)の温度センサの先端部を材料内に設置し、温度を測定した。第1の測定点を混合の開始後1:00分後に30秒間隔で記録した。温度差Tは、最大温度Tmaxと測定された室温との差として算出することができる。
時間に依存いしたショア硬度Aの測定
組成物のショア硬度Aを、DIN 53 505にしたがって決定し、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合した後の定められた時間に測定した。セッティング反応中に、組成物のショア硬度を30秒間隔で測定した。第1の測定は箔を取り除くことができると同時に実施し、最終点は基剤ペーストと触媒ペーストとを混合した10分後に測定した。相対ショア硬度Aは、ショア硬度Aを10分時の値で割ることにより算出した。時間に依存した相対ショア硬度Aを図1に示す。
時間差tSHを、第1のデータポイントが測定可能であった時間と、10分時点のショア硬度Aの90%が達成された時間との差として算出した。
組成物の調製
のちに使用する基剤ペースト及び触媒ペーストは、それぞれの成分を真空ニーダー内で均質なペーストになるまで混合することにより調製した。
Figure 0006139526
3重量%の反応体(Y)を基剤ペーストAに添加して、混練して、均質なペーストを得た(表1、基剤ペーストB及びC)。
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
)成分(X)中の反応性部分と反応体(Y)とのモル比
基剤ペーストB、C、D、E、F、又はGのそれぞれと、触媒ペーストA、B、又はCのそれぞれとを、容積比を1:1で、静的混合チップ(SulzerMixpac Company製)を装着したデュアルチャンバーカートリッジ(SulzerMixpac Comp.製)に充填した。ペーストをカートリッジから押し出し、手混合装置(3M ESPE Comp.)を用いて混合した。
基剤ペーストHと触媒ペーストCとは、スパチュラを用いて手によって、5:1の比率で混合した。
室温でセッティング反応中の組成物のショア硬度を測定して図1に示し、実施例2〜4の時間tSHを表2にまとめた。
材料のセッティング特性及び硬化時間中の温度発現を測定して表3及び表4にまとめた。
Figure 0006139526
Figure 0006139526
Figure 0006139526
表2〜4及び図1から分かるように、実施例1〜4で使用された組成物のセッティング時間は、比較例1及び2(C.E.)の組成物と比べて短縮されている。
以下に、本発明を限定する物ではないが、実施態様の例を記載する。
(態様1)
基剤ペーストと触媒ペーストとを混合することにより作製される硬化性歯科用組成物であって、
前記基剤ペーストは、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサンと、Si−H部分を有する少なくとも1つの成分との組み合わせから選択される、硬化性部分(AC)を有する成分(1つ又は複数)(A)を含有し、
前記触媒ペーストは、Pt含有成分を含有する触媒(C)を含有し、
前記硬化性組成物は、少なくとも1つのSi−H基を反応性部分として有する成分(X)を含有し、
前記基剤ペースト又は前記触媒ペーストのいずれかは、反応体(Y)を含有し、前記反応体(Y)は前記成分(X)と相互作用することが可能であるが、架橋反応には関与せず、
前記反応体(Y)は、不飽和部分を1つだけ有するシラン成分、アルキルビニルエーテル成分、アルキルアリルエーテル成分、及びこれらの混合物から選択され、
前記硬化性組成物は、前記基剤ペーストと前記触媒ペーストとを混合してから20秒後の前記組成物の温度T1を、T1より約6〜約20℃高い温度T2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することが可能である、組成物。
(態様2)
前記成分(X)の前記反応性部分と前記反応体(Y)とのモル比は、約1.2〜約5、約1.3〜約4.8、又は約1.4〜約4.5である、態様1に記載の組成物。
(態様3)
硬化後に、
約0.1〜約5MPaの引張強度(DIN 53504に準じる)、
約10〜約300%の破断点伸び(DIN 53 504に準じる)、
約15〜約75のショアA硬度(IN 53 505に準じる)、
少なくとも約90%の変形回復率(ISO 4823に準ずる)、
約0.8〜約2g/mLの前記組成物の密度(アルキメデス法に準じた、1mLの硬化組成物)、の特性のうちの少なくとも1つによって特徴づけられる、態様1又は2に記載の組成物。
(態様4)
前記組成物は、硬化前又は硬化中に、
0若しくは1(35mmまでに対応)、2(31mm〜41mmに対応)、若しくは3(36mm以上に対応)、好ましくは2の稠度(ISO 4823に準ずる);及び/又は
周囲条件下(例えば約23℃)で混合してから、約15分以内、約10分以内、約8分以内、約6分以内、約5分以内、若しくは約4分以内の硬化時間;の特性のうちの少なくとも1つによって特徴づけられる、態様1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
(態様5)
前記反応体(Y)は、
約50〜約1,000の分子量;
室温で固体又は液体であること;
前記全組成物に対して少なくとも約0.5重量%の量で存在すること;
前記成分(X)と前記反応体(Y)との重量に関する比が約6:1〜20:1であること;
の特性のうちの少なくとも1つによって特徴づけられる、態様1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
(態様6)
反応体(Y)は、不飽和部分を1つのみ有するシラン成分であり、前記不飽和部分がビニル、アリル、ビニルエーテル、アリルエーテル、>C=CH−CH −、又は>C=C(CH )−CH −から選択される、態様1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
(態様7)
前記反応体(Y)は次式によって特徴づけられ、
C=CR −A−SiR
式中、
Rは1価のアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ基、O−SiR 、又はHであり、前記残余のRはO、Cl、Br、F、及びIから選択されるヘテロ原子を含んでもよく、前記残余のRは異なるか又は同一であり、
、R 、R は、同一又は異なり、かつ水素又は1価のアルキル、アリールを有し、前記残基R 、R 、及びR は、O、Cl、Br、F、Iから選択されるヘテロ原子を含んでもよく、
はアルキル又はアリールであり、前記O−SiR の前記残余R のうちの2つ又は3つが環状又は多環状構造に結合してよく、
Aは2価の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素基であって、任意で、不飽和と直接結合した少なくとも1つのメチレン基を有する芳香族部分を有する、態様1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
(態様8)
反応体(Y)が、
C=CH−CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−CH Si(i−C
C=CH−(CH Si(i−C
C=CH−(CH Si(i−C
C=CH−(CH Si(i−C
C=CH−(CH Si(i−C
C=CH−CH Si(CH (t−C
C=CH−(CH Si(CH (t−C
C=CH−(CH Si(CH (t−C
C=CH−(CH Si(CH (t−C
C=CH−(CH Si(CH (t−C
C=CH−CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−CH Si(CH (n−C 18 37
C=CH−(CH Si(CH (n−C 18 37
C=CH−(CH Si(CH (n−C 18 37
C=CH−(CH Si(CH (n−C 18 37
C=CH−(CH Si(CH (n−C 18 37
C=CH−CH Si(CH (C
C=CH−(CH Si(CH (C
C=CH−(CH Si(CH (C
C=CH−(CH Si(CH (C
C=CH−(CH Si(CH (C
C=CH−CH −O−Si(CH
C=CH−CH −O−Si(C
C=CH−CH −O−Si(i−C
C=CH−CH −O−Si(CH (t−C
C=CH−CH −O−Si(CH (n−C 18 37
C=CH−CH −O−Si(CH (C
C=CH−CH Si(CH −O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH −O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH −O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH −O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH −O−Si(CH
C=CH−CH Si(CH )(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH )(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH )(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH )(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(CH )(−O−Si(CH
C=CH−CH Si(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(−O−Si(CH
C=CH−(CH Si(−O−Si(CH
C=CH−CH Si(OCH
C=CH−(CH Si(OCH
C=CH−(CH Si(OCH
C=CH−(CH Si(OCH
C=CH−(CH Si(OCH
C=CH−CH Si(OC
C=CH−(CH Si(OC
C=CH−(CH Si(OC
C=CH−(CH Si(OC
C=CH−(CH Si(OC
C=CH−CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=CH−(CH Si(C
C=C(CH )−CH Si(CH
C=CH−CH Si(p−C OCH
C=CH−CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
C=CH−(CH Si(CH
及びこれらの混合物から選択される、態様1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
(態様9)
親水化剤、着色剤、染料、顔料、香味料、安定剤、水素捕捉剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの充填剤又は添加剤を含有する、態様1から8のいずれか一項に記載の組成物。
(態様10)
F−含有成分を含み、ここで前記F−含有化合物が次式によって特徴づけられ、
−X−[(O−CF −CF −(O−CF −(O−CF(CF )−CF −(O−CF −CF −CF −O]−X−T
式中、u=0〜8、v=0〜8、w=0〜8、x=0〜8、u+v+w+x≧1であり、ここでT 及びT は、同じでも異なっていてもよく、また独立して−COOR、−CH OH、−CF OR、−CHFOH、−CHFOR、−CH OR、又は−Fから選択され、Rは直鎖状又は分岐鎖状のアルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)、又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、ここでXは−(CF 1〜6 −、−CF(CF )−、及び−CHF−CF −から選択される、態様1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
(態様11)
全組成物の重量に対する重量%で、
前記成分(A)が約20〜約60重量%、
前記触媒(C)が約0.00005〜約35重量%、
前記成分(X)が約5〜約25重量%、
前記反応体(Y)が約1〜約5重量%、
前記充填剤が約0〜約70重量%、
前記添加剤が約0〜約30重量%を含有する、
態様1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
(態様12)
キット中の部品の中に収容されるものであって、基剤ペーストが1つの容器中に存在し、かつ触媒ペーストが別の容器中に存在する、態様1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
(態様13)
前記基剤ペーストが、
少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサンと、
SiH部分を有する少なくとも1つの成分
とを含有し、
前記触媒ペーストが前記Pt含有成分を含有し、
前記反応体(Y)がビニル又はアリルから選択される1つの不飽和部分を持つシランである、態様1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
(態様14)
態様1〜13のいずれか一項に記載される基剤ペーストと触媒ペーストとを混合する工程を含む、歯科用印象材の製造方法であって、前記基剤ペーストと前記触媒ペーストとの混合物が、混合してから20秒後に測定した温度T1を有し、かつ混合後約15分の時間枠の範囲内で測定した温度T2を有し、前記T2が前記T1よりも約6〜約20℃高い、歯科用印象材の製造方法。
(態様15)
基剤ペースト及び触媒ペーストの形態で存在する硬化性歯科用組成物の硬化時間を短縮するための反応体(Y)の使用であって、基剤ペースト、触媒ペースト、及び反応体(Y)が態様1〜14のいずれか一項に記載される通りである、使用。
(態様16)
基剤ペースト及び触媒ペーストを含有する硬化性組成物であって、
前記基剤ペーストが、硬化性部分(AC)を有する(1つ又は複数の)成分(A)を含有し、
前記触媒ペーストが、基剤ペーストと触媒ペーストとを混合することで、成分(A)が関与する架橋反応を開始又は触媒することが可能な触媒(C)を含有し、
前記硬化性組成物が、反応性部分を有する成分(X)を含有し、
成分(X)が硬化反応の間に生成されるか、又は架橋反応が開始される若しくは触媒される前に前記基剤ペースト若しくは前記触媒ペーストのいずれかに存在するかのいずれかであって、成分Xは(1つ又は複数の)成分(A)とは異なり、
基剤ペースト又は触媒ペーストのいずれかが反応体(Y)を含有し、
前記反応体(Y)が、成分(X)と相互作用することが可能であるが、架橋反応には関与せず、
前記基剤ペーストと前記触媒ペーストとを混合してから20秒後、30秒後、又は1分後の前記組成物の温度T1を、T1より約6〜約20℃高い温度T2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することができる、硬化性組成物。

Claims (5)

  1. 基剤ペーストと触媒ペーストとを混合することにより作製される硬化性歯科用組成物であって、
    前記基剤ペーストは、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサンと、Si−H部分を有する少なくとも1つの成分との組み合わせから選択される、これらの成分の重合による硬化性部分(AC)を有する成分(1つ又は複数)(A)を含有し、
    前記触媒ペーストは、Pt含有成分を含有する触媒(C)を含有し、
    前記硬化性組成物は、さらに少なくとも1つのSi−H基を反応性部分として有する成分(X)を含有し、前記成分(X)は、前記Si−H部分を有する少なくとも1つの成分と異なる成分であるか、及び/又は、前記Si−H部分を有する少なくとも1つの成分と同じである場合は前記硬化性部分(AC)の前記重合に対して過剰に存在する前記Si−H部分を有する少なくとも1つの成分であり、
    前記基剤ペースト又は前記触媒ペーストのいずれかは、反応体(Y)を含有し、前記反応体(Y)は前記成分(X)と化学的又は物理的に相互作用することが可能であるが、架橋反応は可能ではない、
    前記反応体(Y)は、シラン成分、アルキルビニルエーテル成分、アルキルアリルエーテル成分、及びこれらの混合物から選択され、前記反応体(Y)は不飽和部分を1つだけ有する、
    前記硬化性組成物は、前記基剤ペーストと前記触媒ペーストとを混合してから20秒後の前記組成物の温度T1を、T1より6〜20℃高い温度T2まで上昇させるのに十分な量のエネルギーを生成することが可能であり、
    前記反応体(Y)に対する前記成分(X)のモル比が1.2〜5である、組成物。
  2. F−含有成分を含み、ここで前記F−含有化合物が次式によって特徴づけられ、
    −X−[(O−CF−CF−(O−CF−(O−CF(CF)−CF−(O−CF−CF−CF−O]−X−T
    式中、u=0〜8、v=0〜8、w=0〜8、x=0〜8、u+v+w+x≧1であり、ここでT及びTは、同じでも異なっていてもよく、また独立して−COOR、−CHOH、−CFOR、−CHFOH、−CHFOR、−CHOR、又は−Fから選択され、Rは直鎖状又は分岐鎖状のアルキル残基(C1〜C9)、アリール残基(C1〜C9)、又はアルキルアリール残基(C1〜C9)であり、ここでXは−(CF1〜6−、−CF(CF)−、及び−CHF−CF−から選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 全組成物の重量に対する重量%で、
    前記成分(A)が20〜60重量%、
    前記触媒(C)が0.00005〜35重量%、
    前記成分(X)が5〜25重量%、
    前記反応体(Y)が1〜5重量%、
    前記充填剤が0〜70重量%、
    前記添加剤が0〜30重量%を含有する、
    請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載される基剤ペーストと触媒ペーストとを混合する工程を含む、歯科用印象材の製造方法であって、前記基剤ペーストと前記触媒ペーストとの混合物が、混合してから20秒後に測定した温度T1を有し、かつ混合後15分の時間枠の範囲内で測定した温度T2を有し、前記T2が前記T1よりも6〜20℃高い、歯科用印象材の製造方法。
  5. 基剤ペースト及び触媒ペーストの形態で存在し短縮された硬化時間を有する硬化性歯科用組成物の製造のための反応体(Y)の使用であって、基剤ペースト、触媒ペースト、及び反応体(Y)が請求項1〜4のいずれか一項に記載される通りである、使用。
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