JP3673296B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は冬用スタッドレスタイヤに関するものであり、特に優れた氷雪上性能を備えた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な氷雪路走行用空気入りタイヤは、多数の溝により画成されたブロックを有するトレッドパターンが採用されることが多く、ブロックには、はぼ均等に直線または波形のサイプを配設している。
【0003】
図4に示される如く、サイプ5はブロック3内に溝幅w、深さhそしてサイプ間の離隔距離tで複数本配設される。このようなサイプ5は、制動時すなわちブレーキ時およびトラクション(発進時等)時に働く前後入力に対して掘り起こし効果(以下エッヂ効果という)を出すために、ほぼタイヤ幅方向に延在し、また、深さ方向には一様な溝幅でタイヤの軸心に向けて延在して配設されており、氷雪走行に対して一応の性能を発揮する。
【0004】
しかるに、0℃近辺の平滑なアイス路面では薄い水膜が発生し易く、この水膜がタイヤの制動性能を低下せしめており、このような氷上路面においても従来タイヤ以上に優れた制動性能を発揮し得るタイヤの出現が強く望まれている。
【0005】
氷上性能をよくするためには、接地表面積をふやすことにより摩擦力を増強したり、また、サイプの本数(密度)を増やし、エッジ成分を増加することによりエッヂ効果を高めるなどの方策をとることができる。しかし、不用意にサイプ密度を増加させるとブロック剛性が低下しすぎ、偏摩耗を生じると同時にブロックの曲げ変形により接地面積が減少し、むしろ氷上性能が低下することがあるので、サイプ密度の増加にも限度がある。
【0006】
氷雪路上を走行するタイヤのトレッドには、特開昭62−283001に開示されるような発泡ゴムがしばしば使用されるが、一般のトレッドゴムに対比して柔らかいので、発泡ゴムを採用したトレッドにおいてサイプを用いる場合、トレッド剛性の確保が重要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような従来の一様な幅のサイプは、制動時に路面からの入力に対して変形し易く、サイプが閉塞してしまい、特に0℃付近の平滑なアイス路面で湧き出す水膜の水を吸い上げる機能を果たせない。
【0008】
本発明の目的は、前記の問題点を解消するところにあり、雪上走行性能、特に氷上走行性能に優れた新規なスリットの溝形状を提案することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、多数の溝によって多数の陸部が画成され、この陸部に複数のスリットを配設したトレッドパターンを具備する空気入りタイヤにおいて、前記複数のスリットが互いに実質的に並列して概ねタイヤ幅方向に延在しており、このスリットが深さ方向において幅の狭まった狭幅部を有すると共に、このスリットが狭幅部の接地側と内部側にそれぞれ広幅部を有し、その横断面形状において接地側の広幅部と内部側の広幅部とが狭幅部を中心に左右互いに反対側に膨出して偏在することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、前記接地側の広幅部が制動時に受ける入力の方向と反対方向側に偏在することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、前記接地側の広幅部がタイヤの回転方向と反対方向側に偏在し、遊動輪に用いられる空気入りタイヤとしている。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、前記接地側の広幅部がタイヤの回転方向と同じ方向側に偏在し、駆動輪に用いられる空気入りタイヤとしている。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、前記陸部の少なくとも一部がブロックで形成され、一つのブロックがタイヤ周方向前後にほぼ二分され、一方側半分に施されたスリットの接地側広幅部の偏在方向と、残余の半分に施されたスリットの接地側広幅部の偏在方向とが互いに逆であることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の本発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、前記陸部の少なくとも一部がブロックで形成され、同一ブロック内において、前記接地側の広幅部がタイヤ回転方向に対して一方向側に偏在するスリットと、逆方向側に偏在するスリットとが混在していることを特徴としている。
【0016】
【作用】
請求項1に記載の本発明の空気入りタイヤでは、実質的にタイヤ幅方向に並列するスリットが深さ方向において溝幅の狭まった狭幅部を有するので、制動時に狭幅部が先に閉じ支えあうので、スリットの広幅部によりもたらされる空間が水を吸うことで水膜除去が可能となる。
【0017】
従来の一様な幅のサイプでは、制動時に路面から受ける入力が強力となった場合、倒れ込みが強くなり、垂直接地圧を前後方向に逃がしてしまい、高いエッヂ圧が得られない。これを図4に基づいて説明する。Fは入力であり、矢印はその方向を示している。サイプ5は、入力の方向(矢印方向)と反対方向側のエッヂmと入力方向と同じ方向側のエッヂnを提供することになる。大きな入力が作用した場合、強く倒れ込みエッヂmがエッジnを路面側から押し上げ、エッヂnのエッヂ圧を下げ、エッヂ効果を減じる。
【0018】
しかし、本発明のスリットでは狭幅部を有するため、特有の機能を持つことができる。これを図2および図3に基づいて説明する。
【0019】
図2に示す如く、スリット5は横断面(図1のA−A線断面)形状において狭幅部5Aを有し、7m および7n は狭幅部5Aを形成する突出部である。これにより接地側に広幅部5B、内部側に広幅部5Cが設けられる。Fは入力であり、矢印はその方向を示しており、スリット5は入力Fの方向に対して反対方向側のエッヂmと同方向側のエッヂnを提供する。急発進(トラクション)もしくは急ブレーキにより強力な入力Fが働いた場合、突出部どうしが互いにずれて段差部8で引っ掛かり、入力の方向と反対方向側の突出部7m が一旦縮んだ反発力により入力の方向と同方向側の突出部7n をタイヤ内部側から路面に押し付け、結果としてエッヂnのエッヂ圧を高め、有効なエッヂ効果を得ることができる。
【0020】
図2のスリットは左右対称であるので、トラクションが負荷された時とブレーキが負荷された時とでは、入力方向とタイヤ回転方向の関係が一定である。
【0021】
次いで、スリットが左右対称でない横断面形状を有する場合を図3を用いて説明する。
図3に示される如く、スリット5は狭幅部5Aを有している。突出部7m 、7n により狭幅部5Aが形成され、狭幅部5Aに対してタイヤ内部側の広幅部5Cは入力の方向と同方向側に膨出して偏在しており、接地側の広幅部5Bは入力Fの方向と反対方向側に膨出して偏在しており、スリット5は入力Fの方向と反対方向側にエッヂmおよび同方向側にエッヂnを提供する。
【0022】
まず、急ブレーキが働いた場合を説明する。イは遊動輪に装着されたタイヤの回転方向を示す。急ブレーキが掛けられて強力な入力Fが作用すると、図2の第1実施例で説明したと同様に、段差部8で引っ掛かり入力の方向と反対方向側の突出部7m が入力の方向と同方向側の突出部7n を上から路面に押し付けるように作用し、結果として入力の方向に対して同方向側のエッヂnのエッヂ圧を高め、有効なエッヂ効果を得ることができる。
【0023】
次に、急発進時のトラクションが働いた場合を説明する。ロは駆動輪に装着されたタイヤの回転方向を示す。この場合タイヤの回転方向ロと急発進により作用する入力Fの方向は互いに逆となる。急発進により強力な入力Fが作用すると、同様に段差部8で引っ掛かり、入力の方向と反対側の突出部7m が入力の方向と同方向側の突出部7n を上から路面に押し付けるように作用し、結果としてエッヂnのエッヂ圧を高め、有効なエッヂ効果を得ることができる。
【0024】
本発明のスリットは、発泡ゴムのような比較的柔らかいゴムよりなるトレッドに適しており、また多数の溝により画成されたブロックを有するトレッドパターンの空気入りタイヤにおいて、ブロック内に配設して有効なものである。
【0025】
また、請求項1に記載の本発明の空気入りタイヤでは、前記スリットが狭幅部に対して接地側と内部側にそれぞれ広幅部を有し、その横断面形状において、接地側の広幅部と内部側の広幅部とが狭幅部を中心に左右互いに反対側に膨出し偏在するので、前述の通り、強力な入力Fが負荷された場合、スリットが提供するエッヂのエッヂ圧を高める機能をもたらすことができる。
【0026】
請求項2に記載の本発明の空気入りタイヤでは、前記接地側の広幅部が制動時に受ける入力Fの方向と反対方向側に膨出し偏在させているので、前述の通り、スリットの入力Fの方向と同方向側のエッヂnを路面に押し付け、エッヂnのエッヂ圧を高める。
【0027】
請求項3に記載の本発明の空気入りタイヤでは、前記入力がブレーキ時にもたらされ、前記接地側の広幅部がタイヤの回転方向と反対方向側に膨出し偏在させているので、前記の通り遊動輪に用いられて制動時特に急ブレーキ時にエッヂnのエッヂ圧を高める機能を有効に発揮できる
【0028】
請求項4に記載の本発明の空気入りタイヤでは、前記入力がトラクション時にもたらされ、前記接地側の広幅部がタイヤの回転方向と同じ方向側に膨出し偏在させているので、前記の通り駆動輪に用いられて制動時特に急発進のトラクション時にエッヂnのエッヂ圧を高める機能を有効に発揮できる。
【0029】
請求項5に記載の本発明の空気入りタイヤでは、1ブロック内においてタイヤ回転方向に対して一方側約半分のブロック領域に施されたスリットの広幅部の偏在方向と、残余のブロック領域に施されたスリットの広幅部の偏在方向が逆としているので、同一ブロック内でトラクションおよびブレーキの両方の入力に対応して前記エッヂ効果をもたらす機能を有する。
【0030】
請求項6に記載の本発明の空気入りタイヤでは、タイヤ回転方向に対して接地側の広幅部が一方向側に偏在するスリットと、逆方向に偏在するスリットとが同一ブロック内で混在しているので、一つのブロックがトラクションおよびブレーキの両方の入力に対して前記エッヂ効果をもたらす機能を有するものとなる。
【0031】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
図1に示される如く、本発明の空気入りタイヤは、概して周方向に延する周方向溝2aと概してタイヤ幅方向に延在する横方向溝2bとによって多数のブロック3が形成されたトレッドパターンを有する。
【0032】
図1では、周方向溝2aとして周方向に直線状に延在した例を示しているがこれに限られず、周方向に対して傾斜した周方向溝としたり、ジグザグ形状等に屈曲させることができる。また、横方向溝2bについてもタイヤ幅方向に直線状に延在した例を示しているがこれに限られず、タイヤ幅方向に対して傾斜した横方向溝としたり、屈曲させることができる。
【0033】
周方向溝2a、横方向溝2bは全体としてトレッド1に多数の陸部3を形成する溝2を構成する。ここで陸部とは、この例ではブロックタイプであるが、リブタイプのものであってもよい。
【0034】
ブロック3には、スリット5が複数配設されている。スリット5は、概ねタイヤ幅方向に延在しており、複数を実質的に並列させている。スリット5は、この例ではブロックを画成する溝に開口させているが、開口させず端部をブロック内に止めてもよい。スリット5は、タイヤ幅方向に対して多少傾斜させたり、また、図1に示す如の直線状に限定されずジグザグ状等の屈曲形状を呈するように形成してもよいが、この場合でも全体として並列性を保持するようにするとよい。
【0035】
図2に示される如く、第1実施例のスリット5は深さ方向において幅の狭まった狭幅部5Aを有する。7m 、7n は狭幅部5Aを形成する突出部であり、7m はスリット5の入力Fの方向と反対方向側に設けられた突出部であり、7n は入力の方向と同方向側に設けられた突出部である。これにより、その狭幅部5Aの接地側に広幅部5Bと内部側に広幅部5Cが設けられる。8は狭幅部5Aとの間に設けられた段差部であり、強力な入力が作用した際に、スリット溝壁どうしの動きを規制するものであればよい。
【0036】
図3に示される如く、第2実施例のスリット5は深さ方向において幅の狭まった狭幅部5Aを有し、この狭幅部5Aの接地側に広幅部5Bと内部側に広幅部5Cを有する。7m はスリット5の入力の方向と反対方向側に設けられた突出部であり、7n は入力の方向と同方向側に設けられた突出部であり、各突出部は段差部8を有する。接地側の広幅部5Bと内部側の広幅部5Cは狭幅部5Aを中心に左右互いに反対側に膨出し偏在している。この第2実施例のスリットでは、接地側の広幅部5Bは制動時に受ける入力Fの方向と反対方向側に膨出して偏在しており、内部側の広幅部5Cはこれと逆に入力の方向と同じ方向側に膨出して偏在している。狭幅部5Aの中心線に対して、広幅部5Bの中心線を入力の方向と反対方向側に設け、広幅部5Cの中心線を入力の方向と同方向側に設けるようにしている。
【0037】
図3中、イおよびロはタイヤの回転方向を示しており、遊動輪には矢印イの方向に回転するようにタイヤを装着するのが好適であり、ブレーキ時にエッジ効果をもたらす。駆動輪には矢印ロの方向に回転するようにタイヤを装着するのが好適であり、トラクション時にエッヂ効果をもたらす。
【0038】
本発明のスリットはサイプ様の溝幅が極めて狭いものからある程度の溝幅を持つ細溝を含み、溝幅としては0.3〜3.0mm程度であるのが好ましい。W1 は広幅部の溝幅、W2 は狭幅部の溝幅でありる。狭幅部の溝幅W2 は、0.3mm未満では製造上強度が確保できず、0.7mmを越えると溝が密着し難くなることから、0.3〜0.7mmが好ましい。また、広幅部の溝幅W1 は、吸水性を確保するために0.7mm程度以上、耐偏摩耗性を考慮して3.0mm程度以下が好ましい。
【0039】
hはスリット5の深さであり、h1 は接地側の広幅部5Bのトレッド表面からの深さである。h2 は内部側の広幅部5Cの始端部のトレッド表面からの距離である。したがって、狭幅部5Aはh2 −h1 の長さを有することになる。また、tはスリット間の離隔距離である。
【0040】
本発明の他の実施例として、ブロックを含むブロッパターンを有する空気入りタイヤである場合に、一つのブロックをタイヤ周方向前後にほぼ二分し、一方側半分のブロック領域に施されたスリットの接地側広幅部の偏在方向と、残余のブロック領域に施されたスリットの接地側広幅部の偏在方向とを互いに逆とすることができる。すなわち、図1に示される如く、ブロック3に4つのスリット51 、52 、53 および54 が施された場合、タイヤ周方向前後の半分のブロックに施されるスリット例えばスリット51 、52 を入力Fの方向に対して図3に示すごとき関係を満たす溝形状を有するスリット(以下関係Aのスリットという)で構成し、残余のブロックに施されるスリット例えばスリット53 、54 を入力Fの方向に対して図3に示すものと逆の関係を満たす溝形状を有するスリット(接地側の広幅部5Bが入力Fの方向と同じ方向側に膨出して偏在させるようにしたスリットであり、以下関係Bのスリットという)で構成できる。これにより一つのブロックがブレーキ時およびトラクション時の両方に対してエッヂ効果を高めることができ、装着方向を気にする必要がなくなる。
【0041】
また、1つのブロックに施されるサイプ本数が奇数の場合、複数のブロック間で関係Aのスリットおよび関係Bのスリットの各本数が均等化するように施すことができる。
【0042】
本発明のさらに他の実施例として、ブロックを含むブロッパターンを有する空気入りタイヤである場合に、接地側の広幅部5Bがタイヤ回転方向に対して一方向側に偏在するスリットと、反対方向側に偏在するスリットとを同一ブロック内において混在させることができる。すなわち、図1におけるスリット51 および53 に前記関係Aのスリットを用い、スリット52 および54 を前記関係Bのスリットを用いることにより、同一ブロッ内に関係Aと関係Bのスリットを混在させて形成することもできる。これにより、一つのブロックがブレーキ時およびトラクション時の両方に対してエッヂ効果を高めることができ、装着方向を気にする必要がなくなる。
【0043】
〔試験例〕
前述した第1実施例(図2)および第2実施例(図3)の乗用車用空気入りタイヤをタイヤサイズ185/70R13で、表1の諸元のスリット、その他の構成は同一として製作し、氷上ブレーキ性能および氷上トラクション性能の評価試験を実施した。また、従来例(図4)の乗用車空気入りタイヤは、スリット幅Wを0.5mm、深さhを10mmそして離隔距離tを5mm、その他の構成は実施例タイヤと同一として製作し、同様に評価試験を実施した。
【0044】
評価結果を表2に示す。
評価結果は従来例のタイヤの結果を100とした指数表示で示してあり、数字が大きい程性能が優れることを示している。
【0045】
テスト条件は、タイヤ内圧2.0kg/cm2 、氷上ブレーキ性能は氷盤上を20km/h の速度で走行した状態からフル制動した時の制動距離、氷上トラクション性能は氷盤上を20km/h の速度で走行した状態から100mフル加速した時の所要時間の評価結果である。
【0046】
テスト車はFF車であり、第2実施例(図3)のタイヤについては、駆動輪および遊動輪について回転方向を考慮してそれぞれトラクション、ブレーキに対して機能を発揮するように装着した。
【0047】
【表1】
Figure 0003673296
【0048】
【表2】
Figure 0003673296
【0049】
表2に示された結果から、本発明の第1実施例および第2実施例のタイヤは、従来例のタイヤに比べて、氷上性能がはるかに優れていることが判明した。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の空気入りタイヤは、狭幅部を有するスリットを複数実質的に並列に配設しているので、除水の効果とエッヂ圧を高める効果をもたらし、優れた氷上性能を発揮する。また、接地側広幅部と内部側広幅部を狭幅部に対して互いに反対方向に偏在させたスリットを配設しているので、除水の効果とエッヂ圧を高める効果をもたらし、優れた氷上性能を発揮する。
【0052】
請求項2記載の空気入りタイヤは、接地側の広幅部が制動時に受ける入力の方向と反対方向側に膨出し偏在するスリットを配設しているのでエッヂ圧を高める効果をもたらす。
【0053】
請求項3記載の空気入りタイヤは、タイヤ回転方向と反対方向側に接地側の広幅部が膨出し偏在するスリットを配設しているので、遊動輪に装着されてブレーキ時にエッヂ圧を高める効果を有する。
【0054】
請求項4記載の空気入りタイヤは、タイヤ回転方向と同じ方向側に接地側の広幅部が膨出し偏在するスリットを配設しているので、駆動輪に装着されてトラクション時にエッジ圧を高める効果を有する。
【0055】
請求項5記載の空気入りタイヤは、1ブロック内においてタイヤ回転方向に対して一方側約半分に施されたスリットの広幅部の偏在方向と、残余の部分に施されたスリットの広幅部の偏在方向とが逆となっているので、同一ブロック内でトラクションおよびブレーキの両方の制動に対応してエッヂ効果をもたらし、タイヤの装着方向に対する留意を不要とする効果を有する。
【0056】
請求項6記載の空気入りタイヤは、タイヤ回転方向に対して接地側の広幅部が一方向側に偏在するスリットと、逆方向側に偏在するスリットとが同一ブロック内で混在しているので、同一ブロック内でトラクションおよびブレーキの両方の制動に対してエッヂ効果をもたらし、タイヤの装着方向に対する留意を不要とする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施例のスリットにおける溝形状を示す横断面図(図1のA−A線断面図)である。
【図3】本発明の第2実施例のスリットにおける溝形状を示す横断面図である。
【図4】従来のスリット(サイプ)を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド
2 溝
3 陸部(ブロック)
5 スリット
5A 狭幅部
5B 接地側の広幅部
5C 内部側の広幅部
7m 入力の方向と反対方向側の突出部
7n 入力の方向と同じ方向側の突出部
8 段差部
F 入力
m 入力の方向と反対方向側のエッヂ
n 入力の方向と同方向側のエッヂ
イ タイヤの回転方向
ロ タイヤの回転方向

Claims (6)

  1. 多数の溝によって多数の陸部が画成され、この陸部に複数のスリットを配設したトレッドパターンを具備する空気入りタイヤにおいて、
    前記複数のスリットが互いに実質的に並列して概ねタイヤ幅方向に延在しており、このスリットが深さ方向において幅の狭まった狭幅部を有すると共に、
    このスリットが狭幅部の接地側と内部側にそれぞれ広幅部を有し、その横断面形状において接地側の広幅部と内部側の広幅部とが狭幅部を中心に左右互いに反対側に膨出して偏在することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記接地側の広幅部が制動時に受ける入力の方向と反対方向側に偏在することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記接地側の広幅部がタイヤの回転方向と反対方向側に偏在することを特徴とする請求項1に記載の遊動輪に用いられる空気入りタイヤ。
  4. 前記接地側の広幅部がタイヤの回転方向と同じ方向側に偏在することを特徴とする請求項1に記載の駆動輪に用いられる空気入りタイヤ。
  5. 前記陸部の少なくとも一部がブロックで形成され、一つのブロックがタイヤ周方向前後にほぼ二分され、一方側半分に施されたスリットの接地側広幅部の偏在方向と、残余の半分に施されたスリットの接地側広幅部の偏在方向とが互いに逆であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記陸部の少なくとも一部がブロックで形成され、同一ブロック内において、前記接地側の広幅部がタイヤ回転方向に対して一方向側に偏在するスリットと、逆方向側に偏在するスリットとが混在していることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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