JP3672681B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素を含む被測定ガス中の炭化水素濃度を検出するガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関より排出される有害成分(HC、CO、NOx)を低減する技術として、従来より、三元触媒を用いてこれら有害成分を同時に浄化するようにしたシステムが知られている。また、これら有害成分の排出規制に対応するために、三元触媒の劣化を速やかに検知する必要があり、例えば、三元触媒の上流および下流に酸素センサを配置し、2つの酸素センサの出力信号を比較することにより、三元触媒の劣化を間接的に検知することが行われている。
【0003】
ところが、近年、有害成分の排出に対する規制が強化される傾向にあり、この場合、上記三元触媒の劣化診断システムにおける下流側の酸素センサの信号に、極めて高い検出精度が要求される。しかしながら、酸素センサではこの要求精度を満足させることは難しく、酸素濃度から触媒の劣化を間接的に検知する上記システムでは対応に限界があった。
【0004】
この問題を解決する手段としては、例えば、三元触媒の下流に、排気中の炭化水素(HC)濃度を直接検出するガスセンサを配置し、この検出結果に基づいて触媒の劣化を検知する方法が考えられる。炭化水素の濃度を直接検出するためのガスセンサとしては、半導体式ガスセンサ(例えば、特表平7−504039号公報等)や、固体電解質式のガスセンサ(例えば、特開平5−322844号公報等)が知られている。
【0005】
半導体式ガスセンサは、例えば、TiO2 、SnO2 等の酸化物半導体を用いたもので、各種ガスの半導体表面への吸着による半導体の抵抗値変化を利用している。しかしながら、半導体式ガスセンサは、原理的にガス選択性がなく、検出成分以外の雑ガスの影響を受けやすい。特に、酸化物半導体は酸素濃度によって大きく抵抗が変化するため、酸素濃度が変動する排気ガス中で使用することは困難である。この点につき、特表平7−504039号公報では、測定室内に高酸素濃度の基準ガスを拡散によって導入し、酸素濃度を一定に保持しようとしているが、排気ガス中の酸素濃度の変動が大きいため、酸素濃度依存性を完全になくすことは難しい。また、長時間使用すると排気ガス中の被毒物質によって劣化し、特性が低下するおそれがあった。
【0006】
一方、固体電解質式ガスセンサは、排気ガス中で安定なジルコニア固体電解質の酸素イオン導電性を利用した公知の酸素センサを応用して、被検出成分の濃度を検出するもので、特開平5−322844号公報には、同一のガス中において異なった出力を示す複数の酸素センサを用いて、酸素濃度依存性等の雑ガスの影響を補正することが開示されている。
【0007】
このガスセンサは、図10に示すように、管状に成形した固体電解質91、92の外側に検出電極93、94を、内側に基準電極95、96を配した公知の酸素センサ構造の2つのセンサ部9A、9Bを設けて、これらセンサ部9A、9Bを電気的に接続している。2つの検出電極93、94は、炭化水素に対する反応性の異なる材料からなり、一方を炭化水素に対し酸化活性な電極、他方を炭化水素に対し酸化不活性な電極として、これら検出電極93、94上の酸素濃度を変化させる。そして、各センサ部9A、9Bの電極間に発生する起電力の差から炭化水素濃度を検出するようになしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、炭化水素に対し酸化活性な電極としては白金−ロジウムが、酸化不活性な電極としては白金−鉛が使用されている。しかしながら、白金−鉛電極は、炭化水素選択性が不十分であり、出力が水素、一酸化炭素等、排気ガス中の他の可燃性ガスの影響を受けやすい。このため、炭化水素選択性が高く、雑ガスの影響が小さいガスセンサが望まれている。
【0009】
しかして、本発明の目的は、炭化水素選択性を向上させて、雑ガスの影響を小さくすることにより、検出精度を向上させたガスセンサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1のガスセンサは、酸素イオン導電性の固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を被測定ガスに露出させたセルを複数設け、これら複数のセルの被測定ガス側の電極の炭化水素に対する酸化触媒活性を違えて、各セルの出力の差から被測定ガス中の炭化水素濃度を検出するようになしてある。そして、上記被測定ガス側の電極の一部を、白金を主成分とし、ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を含有する材料で構成し、炭化水素に対する酸化触媒活性を他の電極に比べて低くしたことを特徴とするものである。
【0011】
白金を主成分とし、ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種を含有する材料は、炭化水素に対する選択性が大きく、炭化水素はほとんど酸化しないが、水素、一酸化炭素等の他の可燃性ガスは良好に酸化する。よって、上記材料で構成される酸化不活性電極を被測定ガス側に配したセルと、上記被測定ガス側に酸化活性の高い電極を配したセルを設ければ、酸化不活性電極の表面では炭化水素を除く可燃性ガスが酸化され、酸化活性電極の表面では炭化水素を含む可燃性ガスが全て酸化されるため、各セルの一対の電極間に生じる起電力または一定電圧を印加した時に流れる電流値に差が生じる。上記材料で構成した酸化不活性電極は、炭化水素に対する選択性が大きいため、この差は炭化水素濃度のみに依存することになり、これに基づいて炭化水素濃度を精度よく検出することができる。
【0012】
ガスセンサの構成は具体的には、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を被測定ガスが存在する外部空間と拡散抵抗手段を介して連通する内部空間に露出し、他方を基準酸素濃度ガスの存在する基準酸素濃度ガス室に露出させたポンプセルを複数設けた構成とすることができる(請求項2)。本構成では、上記複数のポンプセルの上記内部空間側の電極の酸化活性を違えて、各ポンプセルに所定の同電圧を印加した時の出力電流の差から被測定ガス中の炭化水素濃度を検出するようになしてあり、この時、酸化活性の低い電極の材料として上記材料を用いることで、検出精度を大きく向上させることができる。
【0013】
ガスセンサの構成は、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を被測定ガスが存在する外部空間と拡散抵抗手段を介して連通する内部空間に露出させた、該内部空間の酸素濃度を制御するためのポンプセルと、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を上記内部空間に露出し、他方を基準酸素濃度ガスが存在する基準酸素濃度ガス室に露出させた、上記内部空間の酸素濃度を検出するための第1のセンサセルと、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を上記内部空間に露出し、他方を上記基準酸素濃度ガス室に露出させた、炭化水素濃度を検出するための第2のセンサセルを設けた構成とすることもできる(請求項3)。本構成では、上記第1および第2のセンサセルの内部空間側の電極の炭化水素に対する酸化活性を違えて、上記ポンプセルと第1のセンサセルにより上記内部空間内の酸素濃度を一定に保った状態で、上記第2のセンサセルにより炭化水素濃度を測定するようになしてあり、上記材料を酸化活性の低い方の電極材料に使用することで同様の効果が得られる。
【0014】
上記電極材料において、ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属の含有量は、好ましくは1〜50重量%の範囲とするのがよい(請求項4)。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3は本発明のガスセンサが収納される炭化水素検出装置の全体断面図である。図中、筒状ハウジングH内に絶縁材に外周を保持せしめて本発明のガスセンサSが収納されている。該ガスセンサSは細長い平板状で、その先端部(図の下端部)は、上記ハウジングHより突出して図の下方に延び、ハウジングHの下端に固定される容器状の排気カバーH1内に収容されている。上記排気カバーH1は、ステンレス製の内部カバーH11と外部カバーH12の二重構造となっており、これらカバーH11、H12の側壁には、被測定ガスである排気ガスを排気カバーH1内に取り込むための排気口H13、H14がそれぞれ形成してある。
【0016】
上記ハウジングHの上端には、筒状のメインカバーH21とその後端部を被うサブカバーH22とからなる大気カバーH2が固定されている。これらメインカバーH21およびサブカバーH22は、その側壁の対向位置に大気口H23、H24をそれぞれ有して、これら大気口H23、H24より基準酸素濃度ガスである大気を大気カバーH2内に取り込むようになしてある。また、上記大気口H23、H24の形成位置において、上記メインカバーH21とサブカバーH22の間に、防水のために溌水性のフィルタH25を配設してある。
【0017】
上記大気カバーH2は上端が開口しており、上記ガスセンサSの後端部に接続するリード線H3が、この上端開口より外部に延びている。
【0018】
図1、2は本発明のガスセンサSの先端部の模式的な断面図および展開図である。図において、上記ガスセンサSは、第1のポンプセル2と第2のポンプセル3とを有し、その下方にヒータ部4を積層して構成される。
【0019】
上記第1のポンプセル2は、平板状のイットリア添加ジルコニア固体電解質1の上下面に一対の電極21、22をそれぞれスクリーン印刷等により形成してなる。上記第2のポンプセル3は、上記第1のポンプセル2と共通の酸素イオン導電性固体電解質1の上下面に、一対の電極31、32をそれぞれスクリーン印刷等により形成してなる。
【0020】
上記固体電解質1の上方には、アルミナ等よりなるスペーサ11、絶縁板12が積層してあり、上記第1のポンプセル2の上部電極21と第2のポンプセル3の上部電極31は、該スペーサ11に形成した開口からなる内部空間A、Bに面している。上記絶縁板12には、上記内部空間A、Bと被測定ガスが存在する外部空間、すなわち上記図3の排気カバーH1内空間とをそれぞれ連通する拡散抵抗手段たる連通孔13、14が設けてあり、これら連通孔13、14を介して、上記内部空間A、Bに排気ガスが導入されるようになしてある。
【0021】
なお、上記内部空間Aと上記内部空間Bとは隔壁15によって隔てられている。また、図のように上記連通孔13、14の上面を多孔質アルミナ等の多孔質体よりなる保護膜16で覆うことで、目詰まりによる性能劣化を防止できる。
【0022】
上記固体電解質1の下方には、アルミナ等よりなるスペーサ17が配設されており、該スペーサ17に設けた基準酸素濃度ガス室たる大気通路Cに、上記第1のポンプセル2の下部電極22と第2のポンプセル3の下部電極32が面している。上記大気通路Cは、上記した図3の大気カバーH2内空間と連通しており、大気が上記大気通路Cを経て上記電極22、電極32に導入されるようになしてある。
【0023】
ここで、上記内部空間Aに面する上記電極21は、白金等の酸化触媒活性の高い金属で構成され、炭化水素を含む排気ガス中の可燃性ガスを良好に酸化する。一方、上記内部空間Bに面する上記電極31は、白金を主成分とし、これにニッケル、鉄、およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を添加してなる材料からなり、炭化水素に対する酸化触媒活性が上記電極21よりも低くなるようにしてある。ここで、ニッケル、鉄、およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属の含有量は、電極の電気抵抗と添加金属の効果を考えると、通常、1〜50重量%の範囲で適宜選択される。より好ましくは、添加金属の含有量を5〜15重量%の範囲とするのがよく、水素、一酸化炭素に対する酸化活性を維持しつつ、炭化水素に対する酸化活性を十分小さくして、炭化水素に対する選択性を向上することができる。
【0024】
上記第1のポンプセル2の電極22および第2のポンプセル3の電極32の材質は特に制限されないが、通常、白金等が好適に使用される。
【0025】
上記ヒータ部4は、アルミナ等からなる基板41と、該基板41の表面にスクリーン印刷等により形成したヒータ電極42と、このヒータ電極42を覆うアルミナ等からなる絶縁層43とから構成される。そして、センサ作動時に、上記ポンプセル2、3を加熱して、センサの感度を向上させる役割を果たす。
【0026】
上記構成のガスセンサSのガス検出原理を図1を用いて説明する。被測定ガスである排気ガスは、連通孔13、14を介して上記内部空間A、Bにそれぞれ導入され、これら内部空間A、Bに面する第1のポンプセル2の電極21、第2のポンプセル3の電極31にそれぞれ到達する。一方、第1のポンプセル2の電極22、第2のポンプセル3の電極32は、上記大気通路Cに面しており、その内部に存在する基準酸素濃度ガスである大気と接触している。
【0027】
ここで、上記第1のポンプセル2の電極21、22間、および第2のポンプセル3の電極31、32間には、所定の電圧(例えば、大気側電極が正極となるように0.45V)が印加されており、第1および第2のポンプセル2、3は上記内部空間A、Bに導入された排気ガス中の酸素を大気通路C側へポンピングする。ポンピング電流は、連通孔13、14により酸素の拡散が制限されるため、上記内部空間A、B内の酸素濃度に応じた限界電流となる。
【0028】
ここで、上記第1のポンプセル2の電極21は、酸化触媒活性が高いため、炭化水素を含む排気ガス中の可燃性ガスを良好に酸化する。一方、第2のポンプセル3の電極31は酸化触媒活性が低く、水素、一酸化炭素等の他の可燃性ガスを良好に酸化するが、炭化水素に対しては酸化不活性である。従って、上記内部空間A、B内の酸素濃度に差が生じ、上記第1のポンプセル2と第2のポンプセル3に発生するポンピング電流に差が生じる。このポンピング電流の差は炭化水素濃度のみに依存するため、これを出力信号とすれば、雑ガスの影響を受けることなく、排気ガス中の炭化水素濃度を精度良く検出することができ、炭化水素に対する選択性の高いガスセンサを実現できる。
【0029】
図4、5には本発明の第2の実施の形態を示す。上記実施の形態では、上記第1のポンプセル2と第2のポンプセル3の固体電解質1を共通としたが、図のように固体電解質1の両面に両電極21、22を形成して上記第1のポンプセル2を、固体電解質1´の両面に両電極31、32を形成して上記第2のポンプセル3となし、これらをヒータ部4を挟んで積層した構成としてももちろんよい。
【0030】
このとき、上方の固体電解質1上には第1の内部空間Aを形成するスペーサ11と連通孔13を有する絶縁板12が積層される。また、固体電解質1´下方には第2の内部空間Bを形成するスペーサ11´と連通孔14を有する絶縁板12´が積層される。連通孔13、14の開口端は保護膜16、16´でそれぞれ覆われる。大気通路C、C´は、ヒータ部4の上下に配したスペーサ17、17´にて形成される。上記構成によっても上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0031】
図6、7には本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態において、ガスセンサSは、ポンプセル6と、第1のセンサセル7および第2のセンサセル8とを有し、その下方にヒータ部4を積層して構成される。
【0032】
上記ポンプセル6は、平板状のイットリア添加ジルコニア固体電解質61の上下面に白金等よりなる一対の電極62、63をそれぞれスクリーン印刷等により形成してなる。上記固体電解質61の下方には、アルミナ等よりなるスペーサ11が積層してあり、下部電極63は、該スペーサ11に設けた開口からなる内部空間Aに面している。上部電極62は被測定ガスが存在する外部空間に面しており、上記内部空間Aはこの外部空間と、上記ポンプセル6を貫通する拡散抵抗手段たる連通孔13を介して連通している。上記連通孔13の上面は多孔質アルミナ等の多孔質体よりなる保護膜16で覆われている。
【0033】
上記スペーサ11の下面には、平板状のイットリア添加ジルコニア固体電解質5が積層してある。第1のセンサセル7はこの固体電解質5の上下面に一対の電極71、72をそれぞれスクリーン印刷等により形成してなり、上方の電極71は上記内部空間Aに、下方の電極72は、上記固体電解質5の下方に積層されるスペーサ17に設けた大気通路Cに面している。
【0034】
第2のセンサセル8は上記第1のセンサセル7と共通の固体電解質5の上下面に、一対の電極81、82をそれぞれスクリーン印刷等により形成してなり、上部電極81は上記内部空間Aに、下部電極82は上記大気通路Cに面している。上記スペーサ17の下方には、上記各実施の形態と同様の構成のヒータ部4が設けられている。
【0035】
ここで、上記第1のセンサセル7の一対の電極のうち、上記内部空間Aに面する電極71は、例えば白金等の酸化触媒活性の高い金属で構成され、炭化水素を含む排気ガス中の可燃性ガスを良好に酸化する。一方、第2のセンサセル8の一対の電極のうち、上記内部空間Aに面する電極81は、白金を主成分とし、これにニッケル、鉄、およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を1〜50重量%、好ましくは5〜15重量%含有する金属材料で構成される。該電極81は、他の可燃性ガスは良好に酸化するが、炭化水素に対しては酸化不活性である。上記大気通路Cに面する第1のセンサセル7の電極72、第2のセンサセル8の82は、通常、白金等からなる。
【0036】
上記構成のガスセンサSのガス検出原理を図6を用いて説明する。被測定ガスである排気ガスは、連通孔13を介して上記内部空間Aに導入される。上記第1のセンサセル7の電極71、72間に発生する電圧が所定の値(例えば0.45V)となるように、上記ポンプセル6に通電すると、上記ポンプセル6は上記内部空間A内の酸素を出し入れして、内部空間A内の酸素濃度を一定に保持する。この時、上記第1のセンサセル7の電極71は、酸化触媒活性が高いため、炭化水素を含む排気ガス中の可燃性ガスを良く酸化する。一方、第2のセンサセル8の電極81は酸化触媒活性が低いため、水素、一酸化炭素等の他の可燃性ガスは良く酸化するが、炭化水素は酸化しにくい。つまり、第2のセンサセル8の電極81は第1のセンサセル7の電極71と炭化水素に対する酸化活性が異なるため、第2のセンサセル8の電極81、82間に発生する電圧と、第1のセンサセル7の電極71、72間に発生する電圧に違いが生じる。
【0037】
そこで、第2のセンサセル8の電極81、82間の電圧が、第1のセンサセル7の電圧と同じになるように、第2のセンサセル8に通電すると、流れる電流値が炭化水素濃度に応じたものとなる。よって、この電流値から排気ガス中の炭化水素濃度を測定することができる。このように、本実施の形態のセンサ構成においても、酸化触媒活性の低い第2のセンサセル8の電極81材料を特定の材料とすることで、炭化水素に対する選択性を高め、雑ガスの影響を受けることなく、排気ガス中の炭化水素濃度を検出することができる。
【0038】
上記各実施の形態において、内部空間A、Bへの酸素の侵入は拡散性(酸素濃度差に速度が依存)であればよく、連通孔13、14に代えて多孔質層を用いることでも同様の効果が得られる。
【0039】
また、酸素イオン導電性の固体電解質1、5、61としては、イットリア添加ジルコニア固体電解質以外に、他の成分を添加したジルコニア、あるいはジルコニアに代えてセリア、ハフニアといった酸化物よりなる固体電解質を用いてもよい。
【0040】
また、各電極の形成方法は、スクリーン印刷に限らず、メッキ、蒸着等の他の薄膜形成技術を用いてもよい。電極の形成方法は、上記実施の形態のように予め所定比で混合したペーストを印刷する以外に、白金のみの電極をまず形成し、その後、ニッケル、鉄またはマンガンの硝酸塩水溶液等を塗布、熱分解することによりニッケル、鉄またはマンガンを添加することもできる。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
以下のようにして本発明の効果を確認するための試験を行った。図8に示すように、板状のイットリア添加ジルコニアの一方の面に白金−金属電極を、他方の面に白金電極を設置した。白金−金属電極の添加金属としてはニッケルを使用し、その含有量は10重量%とした。白金−金属電極側に可燃性ガスと酸素、窒素の混合ガスを、白金電極側に基準酸素濃度ガスである大気を導入し、両電極間に発生した起電力を測定した。ここで、白金−金属電極側と白金電極側の導入ガスが混合することのないように、イットリア添加ジルコニアの上部空間と下部空間を隔壁で区画した。可燃性ガスとしては、炭化水素、水素、一酸化炭素のそれぞれに酸素および窒素を混合した混合ガスを使用した。各混合ガスについて、混合ガスの組成(空気過剰率:λ)を変化させて、起電力の変化を調べたところ、図9(a)〜(c)に示すような起電力特性が得られた。
【0042】
(実施例2、3)
白金−金属電極として、白金−ニッケル電極に代えて、白金−鉄電極、白金−マンガン電極を用いた以外は実施例1と同様の方法の試験を行った。結果を図9(a)〜(c)に併記する。
【0043】
(比較例2、3)
比較のため白金−ニッケル電極に代えて、白金電極を用いた以外は実施例1と同様の方法の試験を行った。結果を図9(a)〜(c)に併記する。
【0044】
図9において、混合ガス側電極として、白金にニッケル、鉄またはマンガンを添加してなる電極を用いた場合と、白金電極を用いた場合を比較すると、水素、一酸化炭素系のガスに対しては、電極材の違いによる起電力の差はほとんどないが、炭化水素に対しては、白金電極と白金を主成分とし、ニッケル等を添加してなる電極とで、起電力が大きく異なる。これは、白金にニッケル、鉄またはマンガンを添加してなる電極が、白金電極に比べて酸化触媒活性が低いため、水素、一酸化炭素はよく酸化するが、炭化水素は酸化しにくいためであり、従って、これを上記ガスセンサの電極材料に利用することで、炭化水素に対し優れた選択性を有するガスセンサが実現できる。特に、白金−ニッケル電極は、炭化水素に対する酸化触媒活性が白金電極に比べて低い為、本発明の電極材として優れている。
【0045】
(実施例4)
ニッケルの含有量を、5重量%、15重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法の試験を行った。得られた電極材を用いて上記実施例1と同様の試験を行ったところ、炭化水素系ガスに対し、上記図9(a)〜(c)に示した白金−ニッケル電極の場合とほぼ同様の起電力特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態を示すガスセンサの要部拡大断面図である。
【図2】図2は、図1のガスセンサの展開図である。
【図3】図3は、本発明のガスセンサを構成の一部とする炭化水素検出装置の全体断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態を示すガスセンサの要部拡大断面図である。
【図5】図5は、図4のガスセンサの展開図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施の形態を示すガスセンサの要部拡大断面図である。
【図7】図7は、図6のガスセンサの展開図である。
【図8】図8は実施例における起電力の測定方法を示す断面図である。
【図9】図9(a)〜(c)は各種電極材料における可燃性ガス組成と起電力との関係を示す図である。
【図10】図10は、従来のガスセンサの全体断面図である。
【符号の説明】
S ガスセンサ
1 固体電解質
13、14 連通孔(拡散抵抗手段)
2 第1のポンプセル
21、22 一対の電極
3 第2のポンプセル
31、32 一対の電極
4 ヒータ部
41 基板
42 ヒータ電極
43 絶縁部材
5 固体電解質
A、B 内部空間
C 大気通路(基準酸素濃度ガス室)

Claims (4)

  1. 酸素イオン導電性の固体電解質の表面に一対の電極を形成し、該一対の電極の一方を被測定ガスに露出させたセルを複数設け、これら複数のセルの被測定ガス側の電極の炭化水素に対する酸化触媒活性を違えて、各セルの出力の差から被測定ガス中の炭化水素濃度を検出するようになしたガスセンサにおいて、上記被測定ガス側の電極の一部を、白金を主成分とし、ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を含有する材料で構成し、炭化水素に対する酸化触媒活性を他の電極に比べて低くしたことを特徴とするガスセンサ。
  2. 酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を被測定ガスが存在する外部空間と拡散抵抗手段を介して連通する内部空間に露出し、他方を基準酸素濃度ガスの存在する基準酸素濃度ガス室に露出させたポンプセルを複数設け、上記複数のポンプセルの上記内部空間側の電極の酸化触媒活性を違えて、各ポンプセルに所定の同電圧を印加した時の出力電流の差に基づいて被測定ガス中の炭化水素濃度を検出するようになしたガスセンサにおいて、上記内部空間側の電極の一部を、白金を主成分とし、ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を含有する材料で構成し、炭化水素に対する酸化触媒活性を他の電極に比べて低くしたことを特徴とするガスセンサ。
  3. 酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を被測定ガスが存在する外部空間と拡散抵抗手段を介して連通する内部空間に露出させた、該内部空間の酸素濃度を制御するためのポンプセルと、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を上記内部空間に露出し、他方を基準酸素濃度ガスが存在する基準酸素濃度ガス室に露出させた、上記内部空間の酸素濃度を検出するための第1のセンサセルと、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の電極を形成して、該一対の電極のうち一方を上記内部空間に露出し、他方を上記基準酸素濃度ガス室に露出させた、炭化水素濃度を検出するための第2のセンサセルを設け、上記第1および第2のセンサセルの上記内部空間側の電極の炭化水素に対する酸化触媒活性を違えて、上記ポンプセルと第1のセンサセルにより上記内部空間内の酸素濃度を一定に保った状態で、上記第2のセンサセルにより炭化水素濃度を測定するようにしたガスセンサにおいて、上記内部空間側の電極の一方を、白金を主成分とし、ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を含有する材料で構成し、炭化水素に対する酸化触媒活性を他の電極に比べて低くしたことを特徴とするガスセンサ。
  4. ニッケル、鉄およびマンガンから選ばれる少なくとも一種の金属の含有量を1〜50重量%の範囲とした請求項1ないし3記載のガスセンサ。
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