JP3672462B2 - 生産指示システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生産指示システム、特に複数の工程に投入されることによって生産物を生産する場合において、予め決められた生産処理工程を柔軟に変更するための手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体生産工場において生産物となる半導体(以下、「ロット」という)は、成膜、露光、エッチング、検査などの複数の生産工程を介して製造される。ただし、全てのロットが同一の順番に同一の工程を通過するのではなくロットの種類によっては異なる工程の流れ(以下、「フロー」という)に沿って製造されることになる。
【0003】
図5は、このフローを説明するための概念図である。各ロットは、通常、生産工程に投入されると、図5(a)に示したように所定の工程を順次通過して処理される。なお、これをロット単位でなく工程単位に見たときのロットの流れを図6に示す。ただ、上記のように全てのロットが同一の順番に同一の工程を通過するとは限らず、図5(b),(c)に示したように、ロットの種類によって異なるフローで処理される。そのため、従来ではフローを定義したフロー定義情報を予め登録しておき、各ロットに対して適切なフロー定義情報を割り当てて、そのフロー定義情報に従った処理を各ロットに施すようにしている。この詳細について図を用いて説明する。
【0004】
図7は、従来の生産指示システムを示した概略的な構成図である。従来における生産指示システム1は、上位コンピュータ2から送られてくる生産指示等の情報をフローテーブル3又はロット情報テーブル4に格納する生産指示受付処理部5と、各テーブル3,4の設定内容に従い、ロットに対して所定の処理を施す各処理装置6及び各処理装置6までロットを搬送する搬送機器7に対して指示を出す生産指示制御処理部8とを有している。
【0005】
図8は、フローテーブル3の設定内容例を示した図である。フローテーブル3には、上位コンピュータ2から送られてくるフロー定義情報が予め登録されている。フロー定義情報は、ロットに対して施される処理の手順等が定義される。例えば、図8に示した例によると、フローNO“F001”に従って処理されるロットは、「工程コード」がA,B,C,Dである4つの工程を「連番」で指定された昇順、すなわちA,B,C,Dの順に処理されて生産される。また、フローNO“F003”に従って処理されるロットは、「工程コード」がB,Fである2つの工程を「連番」で指定された昇順、すなわちB,Fの順に処理されて生産される。また、「処理装置等」には、当該工程における処理に使用される処理装置6、処理条件等の付加情報が設定される。「フローNO」は、工程コード及び連番で特定される工程の流れ(生産処理工程順)を識別するための情報である。
【0006】
図9は、ロット情報テーブル4のデータ構成例を示した図である。ロット情報テーブル4に登録される各ロットに関する情報は、ロットNO、フローNO、連番、工程コード及びその他の管理情報で構成され、処理対象となるロット数分のレコードが格納される。このうち、ロットNO、フローNO及びその他の管理情報は予め設定されており、その他は初期化されている。ロットNOは、処理対象となるロットを識別するための識別情報である。フローNOは、当該ロットがどのフローに従って処理されるかを特定するための情報であり、図8に定義されたフローNOのいずれかが選択され設定登録される。工程コードには、当該フローにおいて処理が完了した工程を把握するために、これから処理を行う工程の直前の工程コード、すなわち、処理が完了した最後尾の工程コードが保持される。その他の管理情報には、当該ロットの製造方式やチップ名等が格納される。ロット情報テーブル4のうち工程コードのみが生産指示制御処理部8によって逐次更新される。
【0007】
次に、従来における動作について説明する。
【0008】
生産指示制御処理部8は、前述したとおりロット情報テーブル4に設定された情報に基づき各ロットに対する生産指示を処理装置6又は搬送機器7へ出す。処理対象となる工程は、ロット情報テーブル4に設定された当該ロットのフローNOとフローテーブル3に定義されたフローNOとで関連づけをしながら各テーブル3,4の工程コード及び連番に基づき特定される。ロット情報テーブル4においていずれの処理工程も経ていないロットの連番及び工程コードは初期化された状態のままなので、生産指示制御処理部8は、当該ロットのフローNOに基づきフローテーブル3における工程コードと連番を取得し、当該ロットを投入すべき最初の工程を特定する。そして、工程コードと連番をロット情報テーブル4に書き込むとともにその先頭の工程にロットを投入するよう搬送機器7へ要求を発行する。生産指示制御処理部8は、搬送機器7から所定の工程へロットを投入したという搬送完了報告を受信すると、当該工程に設置の処理装置6へ処理開始要求を発行する。
【0009】
生産指示制御処理部8は、処理装置6から処理完了報告を受信すると、その報告に含まれているロットNOをキーにしてロット情報テーブル4を検索して当該ロットのフローNOと連番を取得する。そして、フローNOと連番をキーにしてフローテーブル3を検索することで次に処理すべき工程の連番及び工程コードを取得する。その後は、上述したように取得した工程コードと連番をロット情報テーブル4へ書き込み、更にその工程にロットを投入するよう搬送機器7へ要求を発行する。当該ロットに対する前述した処理を当該フローにおける最後の工程が完了するまで以上の処理を繰り返し行う。
【0010】
生産指示制御処理部8は、以上のようにフローテーブル3及びロット情報テーブル4の設定内容を参照しながら、更にロット情報テーブル4の連番、工程コードを逐次更新しながら各ロットの生産が行われるよう制御する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した生産指示システムでは、各ロットに対してフローテーブル3に定義したいずれかのフロー定義情報を割り当てて、各フロー定義情報により定義された処理工程手順に従い処理を施すようにしている。ここで、何らかの理由により工程手順を変更して処理を施したい場合がある。
【0012】
例えば、今まである製造工程を実施した後には必ずその検査処理を実施するようにしていたところを、過去の実績を分析した結果、その製造工程における製造技術が向上して製造誤差がほとんど発生しなくなったためその検査工程の実施を省略できると判断したとする。具体例をあげると、あるロットの種別に対しては、工程A〜工程Nから構成されるフローaのうち製造工程Jの検査工程Kを通過させなくてよいとした場合、従来においては、工程A〜工程J,工程L〜工程Nから構成されるフローbを別途定義してフローテーブル3に登録し、更に、ロット情報テーブル4において該当するロットのフローNOをフローaからフローbに変更しなければならなかった。なお、精度の許容範囲の関係上、検査工程Kを通過させる必要がある他のロット種別が存在する場合があるので、フローaから検査工程Kを削除することはできない。
【0013】
更に、例えば、今まである製造工程を実施した後には必ずその検査処理を実施するようにしていたところを、過去の実績を分析した結果、その製造工程ではエラーがほとんど発生しないためその検査工程を抜き取り的に実施する程度でよいと判断したとする。この場合は、上記例においてフローbを別途定義してフローテーブル3に登録し、更に、ロット情報テーブル4においてフローaを採用したロットのうち抜き取り的に検査工程Kを実施させる以外のロットのフローNOだけをフローbに変更しなければならなかった。
【0014】
このように、従来においては、ある工程をスキップさせたいときや抜き取り的にスキップさせたいときは、フロー定義情報を新規に作成し、必要に応じてロット情報テーブルの設定内容を変更しなくてはならず、このようなフローの変更に対応するのは非常に面倒であり手間がかかっていた。
【0015】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、工程をスキップさせるなど生産処理工程の流れの変更にも柔軟に対応することのできる生産指示システムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る生産指示システムは、予め指定された生産処理工程順に投入することによって生産物を生産するために、各工程に配設された処理装置及び生産物を前記各処理装置へ搬送する生産物搬送機器に指示を出す生産指示システムにおいて、フロー識別情報が割り当てられた生産処理工程順を定義したフロー定義情報を格納するフロー定義情報記憶手段と、生産処理対象となる生産物毎に、当該生産物を生産する際に使用する生産処理工程順のフロー識別情報と、当該生産処理工程順において通過した工程を認識するための処理進捗情報とを記憶する生産物情報記憶手段と、フロー定義情報に従うと生産物に対して処理を施すことになる工程のうち生産物に実際に処理を施さずにスキップさせたい工程に対して、生産物をスキップさせるためのスキップ条件及びスキップの処理内容を含むスキップ指示情報を記憶するスキップ工程情報記憶手段と、前記各記憶手段に設定された各情報に基づいて前記処理装置及び前記生産物搬送機器へ生産指示を出すとともに、生産物が生産処理工程順に従い通過する各工程においてスキップ指示情報に基づき当該生産物の当該工程への投入の是非を判定する生産指示制御処理手段とを有し、前記生産指示制御処理手段は、スキップ指示情報が前記スキップ工程情報記憶手段に設定されている工程を生産物が通過する際に、当該工程に対してスキップ条件が設定されていないときにはスキップの内容に従ったスキップを実施し、スキップ条件が設定されているときには、そのスキップ条件に合致した情報が設定されている生産物のみ当該工程をスキップさせるものである。
【0017】
また、前記スキップ工程情報記憶手段の設定内容を更新するスキップ工程情報管理手段を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、従来例と同様の構成要素には同じ符号を付ける。
【0019】
図1は、本発明に係る生産指示システムの一実施の形態を示した概略的な構成図である。本実施の形態における生産指示システム10は、生産指示受付処理部5、生産指示制御処理部11及びスキップ工程テーブル管理部12と、フローテーブル3、ロット情報テーブル4及びスキップ工程テーブル13の3つのテーブルを有している。生産指示受付処理部5は、上位コンピュータ2から送られてくる生産指示等の情報をフローテーブル3又はロット情報テーブル4に格納する。生産指示制御処理部11は、各テーブル3,4,13の設定内容に従い、ロットに対して所定の処理を施す各処理装置6及び各処理装置6までロットを搬送する搬送機器7に対して指示を出す。スキップ工程テーブル管理部12は、スキップ工程テーブル13の設定内容の更新など保守管理を行う。
【0020】
図2は、本実施の形態におけるスキップ工程テーブル13の設定内容例を示した図である。本実施の形態においてスキップ工程テーブル13は、スキップ対象とされた工程に対するスキップ指示情報が設定されたスキップ工程情報記憶手段として設けられており、スキップ対象とされる工程毎に、工程コード、スキップ条件、スキップ間隔、スキップ数及び通過ロット数カウンタを記憶するための領域が設けられている。工程コードは、スキップ対象とされる工程の工程コードである。スキップ条件には、当該スキップ指示情報の設定に従う条件が設定される。例えば、図2には、工程Eのスキップ条件として“製造方式="BBB"”と設定されたスキップ指示情報の例が示されているが、これは、"BBB"という製造方式に基づき製造されるロットのみが工程Eをスキップするということを表している。各ロットがどのような製造方式に従うかは、ロット情報テーブル4のその他の管理情報に格納されている。スキップ間隔及びスキップ数に関しては、図3を用いて説明する。
【0021】
図3には、図2に示した工程Dのスキップ指示情報の例を模式した図が示されている。工程Dにおけるスキップ指示情報としてスキップ間隔が3、スキップ数が2と設定されているが、これは、図3に示されているように各ロットに割り当てたフロー定義情報に従うことにより工程Dに順次投入されるはずのロットのうち3つのロット間隔毎に工程Dにおける処理を施し、2つのロットをスキップするということを示している。図3に示した例に基づくと、工程Dでは、ステップ間隔が3なのでロット3,6,9とロットを2つずつとばして処理が施されることになり、スキップされるロット1,2,4,5,7,8は、生産指示制御処理部11による搬送制御によって工程Bに搬送されず、スキップ対象とされない次の工程へ搬送されることになる。
【0022】
なお、本実施の形態において例示したように(スキップ間隔−スキップ数)が1のときにはスキップ間隔毎にロットに対して処理を施すことになる。つまり、スキップ間隔さえ設定しておけばスキップ数の設定は不要である。ただ、本実施の形態ではスキップ数をあえて設定できるようにした。(スキップ間隔−スキップ数)が1でないとき、例えば、スキップ間隔が3、スキップ数が1、すなわち(スキップ間隔−スキップ数)が2のときには、上記スキップ間隔に設定された数での等間隔でスキップできない。このような場合を含めて考慮すると、本実施の形態では、工程Bに投入されるべきロットをスキップ間隔ずつのグループに分け、そのうちいくつのロットをスキップさせるかをスキップ数で指定すると表現する方が適切である。つまり、図3において、スキップ間隔が3、スキップ数が1と設定されていた場合は、3つずつのロット1〜3、ロット4〜6、ロット7〜9から構成される各グループにおいて1つのロットのみをスキップするということができる。通常は、ロット1,4,7、ロット2,5,8あるいはロット3,6,9と規則的にスキップされることになる。
【0023】
通過ロット数カウンタは、上記スキップ間隔を求めるために各工程を通過したロットの数を保持するためのカウンタである。なお、「通過」としたのは、工程に投入され処理が実際に施されたか否か、すなわちスキップするしないにかかわらず、フロー定義情報には当該工程に投入されるように指定されているロットの数もカウントするためにこのような表現とした。
【0024】
本実施の形態におけるフローテーブル3は、フロー定義情報記憶手段として設けられており、図8に示した従来例と同じテーブル構成で形成でき、また同じデータ構成のフロー定義情報を記憶することができる。
【0025】
本実施の形態におけるロット情報テーブル4は、生産物情報記憶手段として設けられており、図9に示した従来例と同じテーブル構成で形成でき、また同じデータ構成のロットに関する情報を記憶することができる。
【0026】
本実施の形態において特徴的なことは、工程をスキップさせるための条件を登録できるスキップ工程テーブル13を設けるようにしたので、設定変更に手間のかかる既存のフローテーブル3及びロット情報テーブル4の設定内容を変更することなく工程をスキップさせることができるようにしたことである。
【0027】
次に、本実施の形態における生産指示制御処理部11の動作について図4に示したフローチャートを用いて説明する。
【0028】
生産指示制御処理部11が行う制御処理は、従来例と同様な基本動作に加えて本実施の形態において特徴とする工程スキップ処理を組み込んだ流れとなる。
【0029】
生産指示制御処理部11は、最初にロット情報テーブル4においていずれの処理工程も経ていないロットのフローNOと連番を取得する(ステップ101)。いずれの処理工程も経ていないロットの連番及び工程コードは初期化された状態のままなので、該当するロットを容易に見つけることができる。生産指示制御処理部11は、当該ロットのフローNOに基づきフローテーブル3における連番により次の工程、すなわち処理されていない工程のうちの先頭の工程を特定し、その工程の工程コード及び連番を取得する(ステップ102)。図8に示した設定例に基づくと、フローNO“F001”に従い処理されるロットであれば、先頭の連番“10”の工程コード“A”を特定できる。そして、生産指示制御処理部11は、特定した工程コードと連番をロット情報テーブル4に書き込み、更に取得した工程コードをキーにしてスキップ工程テーブル13を検索する。検索した結果、当該工程に対するスキップ指示情報が登録されていないときには、当該工程はいかなる場合もスキップされないということであり、ステップ107以降の処理に移行する(ステップ104)。
【0030】
一方、取得した工程コードに基づくスキップ指示情報が登録されている場合、スキップ工程テーブル13において当該工程コードに対応する通過ロット数カウンタに1を加算することで更新する(ステップ105)。そして、当該ロットが投入されようとする工程においてスキップ対象とされるか否かについて以下のように判定する。これを図2に基づき説明する。
【0031】
例えば、工程Dは、スキップ間隔が3、スキップ数が2なので、図3に示したように3の倍数の位置に投入されるロットにのみ処理が施され、他はスキップされることになる。図2の例によると、工程Dの通過ロット数カウンタは30であり3の倍数なので、当該ロットは工程Dにおいてスキップ対象とはならず実際に処理されることになる。一方、工程Bは、スキップ間隔が2、スキップ数が1なので、2の倍数の位置に投入されるロットにのみ処理が施され、他はスキップされることになる。図2の例によると、工程Bの通過ロット数カウンタは15であり2の倍数ではないので、当該ロットは工程Bにおいてスキップ対象となる。なお、通過ロット数カウンタの値を、本実施の形態における工程スキップ処理だけで用いるのであれば、通過ロット数の累計とはせずにスキップ間隔の倍数になる度に初期化するようにしてもよい。
【0032】
このように、スキップ間隔、スキップ数及び通過ロット数カウンタの値の関係によって当該工程をスキップするか否かについて判定する。もし、スキップ対象とされたロットに対しては、当該工程において実際に処理を施すことなく次の工程に処理を移行する(ステップ106,101)。スキップ対象とされなかったロットに対しては、当該工程において実際に処理を施すことになる。すなわち、生産指示制御処理部11は、搬送機器7へ搬送開始要求を送信することによって搬送指示を出す(ステップ107)。そして、生産指示制御処理部11は、搬送機器7から当該工程へロットを投入したという搬送完了報告を受信すると(ステップ108)、その報告に含まれているロットNOをキーにしてロット情報テーブル4から特定される工程コードに該当する処理装置6へロットNO、工程コード、処理条件を含む処理開始要求を送信することで処理指示を出す(ステップ109)。そして、生産指示制御処理部11は、処理装置6から処理完了報告を受信すると(ステップ110)、その報告に含まれているロットNOでロット情報テーブル4を検索し、当該ロットのフローNOと連番を取得する(ステップ101)。そして、次の工程の工程コード及び連番を取得し(ステップ102)、上述した処理を次の工程コードが存在しなくなるまで繰り返し行う(ステップ103)。次の工程コードが存在しないときに当該ロットへ対する生産処理は完了したことになる。
【0033】
以上のようにして、各ロットは、投入される各工程においてスキップ対象とされるかどうかということを判定されながらフローNOによって特定されたフローに沿って順番に各工程を流れることになる。
【0034】
また、本実施の形態では、所定のスキップ間隔でスキップさせるだけでなく所定の条件を満たしたもののみをスキップさせることもできる。例えば、図2には、工程Eのスキップ条件として“製造方式="BBB"”と設定されたスキップ指示情報の例が示されているが、これは、"BBB"という製造方式に基づき製造されるロットのみが工程Eをスキップするということを表している。つまり、生産指示制御処理部11は、ステップ102において取得した工程コードにより特定されたスキップ指示情報の「スキップ条件」に製造方式が設定されている場合は、ステップ106において上述した計算を行うのではなくスキップ工程テーブル13に登録されている当該スキップ指示情報の「スキップ条件」に設定されている製造方式と、処理対象としているロットのロット情報テーブル4の「その他の管理情報」に設定されている製造方式とを比較して一致した場合には当該工程をスキップすることになる。
【0035】
本実施の形態によれば、品質管理上あまり高精度が要求されない製造処理に対する検査工程や過去の実績からほとんどエラーが生じない製造処理に対する検査工程等、抜き取り的に検査処理を行う程度でいいような工程に対してスキップ指示情報を生成してスキップ工程テーブル13に設定登録さえしておけば、スキップを反映させたフロー定義情報を新たに生成しなくても当該工程における処理をスキップさせることができる。また、スキップ工程テーブル管理部12を介して設定登録したスキップ指示情報を変更するだけでそのスキップのさせ方を容易に変更することができる。更に、フローの変更に伴って生産指示制御処理部11の機能を発揮させるプログラムを変更する必要もない。
【0036】
また、数工程しか違わないフローでロットを生産しなくてはならないときでもスキップ指示情報の設定内容を操作するだけで同一のフローを用いて異なるフローを実現することができる。このように、生産に伴うフローの生成/更新やロットの進捗管理など生産管理や保守を容易に行うことができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、「スキップ条件」として製造方式を例にしたが、その他にもチップ種別などでもよいし、あるいはスキップ条件として複数の設定をするようにしてもよい。スキップ指示情報に設定するスキップ条件は、生産物の種類によって適切な条件を設定すればよい。また、「スキップ条件」と「スキップ間隔」とを組み合わせて設定してもよい。この場合は、ある製造方式のロットの中において設定された間隔で工程をスキップし、指定以外の製造方式のロットはスキップ対象外となる。もちろん、本発明は、スキップ工程テーブル13を設けて、このテーブル13にスキップ指示情報を設定し、あるいは変更することだけでフロー定義情報を変更することなく工程をスキップさせることができるということを特徴としており、本実施の形態において例示した以外の設定方法としてもよいことはいうまでもない。
【0038】
また、本実施の形態では、スキップ工程情報管理手段としてスキップ工程テーブル管理部12を生産指示システム10の内部に搭載した構成としたが、これは、上位コンピュータ2や接続したその他の装置で実現するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、スキップさせたい工程に対してそのスキップさせるための条件が指定されたスキップ指示情報を記憶するスキップ工程情報記憶手段を設けたので、設定変更に手間のかかるフロー定義情報の新規生成/更新を行うことなく工程をスキップさせることができる。これにより、生産処理工程順の変更にも多大な負荷をかけることなく柔軟に対応することができる。
【0040】
また、スキップ工程情報管理手段を設けたので、スキップのさせ方を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る生産指示システムの一実施の形態を示した概略的な構成図である。
【図2】 本実施の形態におけるスキップ工程テーブルの設定内容例を示した図である。
【図3】 図2に示した工程Dのスキップ指示情報の設定内容を模式した図である。
【図4】 本実施の形態における生産指示制御処理部の動作を示したフローチャートである。
【図5】 ロットにおける工程の流れを説明するための概念図である。
【図6】 各工程におけるロットの流れを説明するための概念図である。
【図7】 従来の生産指示システムの一実施の形態を示した概略的な構成図である。
【図8】 フローテーブルの設定内容例を示した図である。
【図9】 ロット情報テーブルのデータ構成例を示した図である。
【符号の説明】
2 上位コンピュータ、3 フローテーブル、4 ロット情報テーブル、5 生産指示受付処理部、6 処理装置、7 搬送機器、10 生産指示システム、11 生産指示制御処理部、12 スキップ工程テーブル管理部、13 スキップ工程テーブル。
Claims (2)
- 予め指定された生産処理工程順に投入することによって生産物を生産するために、各工程に配設された処理装置及び生産物を前記各処理装置へ搬送する生産物搬送機器に指示を出す生産指示システムにおいて、
フロー識別情報が割り当てられた生産処理工程順を定義したフロー定義情報を格納するフロー定義情報記憶手段と、
生産処理対象となる生産物毎に、当該生産物を生産する際に使用する生産処理工程順のフロー識別情報と、当該生産処理工程順において通過した工程を認識するための処理進捗情報とを記憶する生産物情報記憶手段と、
フロー定義情報に従うと生産物に対して処理を施すことになる工程のうち生産物に実際に処理を施さずにスキップさせたい工程に対して、生産物をスキップさせるためのスキップ条件及びスキップの処理内容を含むスキップ指示情報を記憶するスキップ工程情報記憶手段と、
前記各記憶手段に設定された各情報に基づいて前記処理装置及び前記生産物搬送機器へ生産指示を出すとともに、生産物が生産処理工程順に従い通過する各工程においてスキップ指示情報に基づき当該生産物の当該工程への投入の是非を判定する生産指示制御処理手段と、
を有し、
前記生産指示制御処理手段は、スキップ指示情報が前記スキップ工程情報記憶手段に設定されている工程を生産物が通過する際に、当該工程に対してスキップ条件が設定されていないときにはスキップの内容に従ったスキップを実施し、スキップ条件が設定されているときには、そのスキップ条件に合致した情報が設定されている生産物のみ当該工程をスキップさせることを特徴とする生産指示システム。 - 前記スキップ工程情報記憶手段の設定内容を更新するスキップ工程情報管理手段を有することを特徴とする請求項1記載の生産指示システム。
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