JP3671931B2 - 厚板圧延の板厚制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆式圧延機を用いた厚板圧延における板厚制御、特に被圧延材先端部の板厚制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、厚板圧延は可逆式圧延機を用いて行われ、板厚精度を確保するためにゲージメータ方式による自動板厚制御すなわちゲージメータAGC(Automatic Gauge Control)が実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、可逆式圧延機を用いた厚板圧延においては、被圧延材の先後端部と中央部の温度変化の相違や被圧延材の噛み込み衝撃による急激な荷重変動があり、それらに対しては、従来の自動板厚制御ではロールギャップの操作速度や応答速度にも機械的限界があることから充分には対応できず、被圧延材先後端部の板厚オフゲージは防ぎきれなかった。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、可逆式圧延機を用いた厚板圧延において、被圧延材先後端部のオフゲージを小さくし被圧延材の全長において目標板厚を確保することができる厚板圧延の板厚制御方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0006】
[1]可逆式圧延機を用いて行う厚板圧延において、第1パス以外の任意の第nパスの圧延を行う際に、第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の圧延荷重偏差とロールギャップ偏差から第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差を算出し、算出された第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差に基づいて第nパスの圧延が開始される被圧延材先端部に生じる板厚偏差を予測し、予測された板厚偏差に基づいて第nパスの圧延が開始される被圧延材先端部のロールギャップを補正して圧延することを特徴とする厚板圧延の板厚制御方法。
【0007】
[2]可逆式圧延機を用いて行う厚板圧延において、第1パス以外の任意の第nパス及びそれ以降の圧延を行う際に、第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の圧延荷重偏差とロールギャップ偏差から第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差を算出し、算出された第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差に基づいて第nパス及びそれ以降の各パスの圧延が開始される被圧延材先端部に生じる板厚偏差を予測し、予測された板厚偏差に基づいて第nパス及びそれ以降の各パスの被圧延材先端部の圧延が開始されるロールギャップを補正して圧延することを特徴とする厚板圧延の板厚制御方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る厚板圧延の板厚制御方法の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態における可逆式厚板圧延機の模式図である。可逆式厚板圧延機1は、上ワークロール16、上バックアップロール14、下ワークロール28、下バックアップロール30の4本のロールと、圧下のための油圧シリンダ12と、油圧シリンダ12を制御するサーボバルブ4と、圧延圧力Pを検出するためのロードセル10と、圧下位置Sを検出するための位置検出器2と、データの取り込み及び制御出力タイミングを検出するためのパルスジェネレータ20と、自動板厚制御を行なう板厚制御装置24を備えている。
【0010】
そして、上記の可逆式厚板圧延機1を用いて被圧延材18を圧延する場合の板厚制御方法は下記のようにして行う。
【0011】
第1パス以外の任意の第nパスの圧延を行うに際して、第(n−1)パスの被圧延材18の先端部におけるロードセル10から検出される圧延圧力Pと位置検出器2から検出される圧下位置Sとを、パルスジェネレータ20からのデータ取り込みタイミングにより所定のサンプリング周期で板厚制御装置24に取り込み、予め設定された目標圧延圧力からの偏差△Pと目標圧下位置からの偏差△Sを求め、圧延圧力偏差△Pと圧下位置偏差△Sからゲージメータ式によって板厚偏差△hを計算し、予め設定された長さ分のゲージメータ偏差△hを第(n−1)パスの被圧延材先端部のゲージメータ偏差△hn-1として板厚制御装置24に記憶させる。
【0012】
次に、前記の第(n−1)パスの被圧延材先端部のゲージメータ偏差△hn-1に、第(n−1)パスと第nパスの圧下率の差を補う調整係数を掛け合わせたものを、第nパスの被圧延材先端部補正量として板厚制御装置24に記憶させる。
【0013】
そして、第nパスの圧延が開始されると、パルスジェネレータ20からの制御出力タイミングに応じて、ゲージメータAGCによる制御量に前記の被圧延材先端部補正量を加えたものを油柱指令として板厚制御装置24からサーボバルブ4に出力し、それに基づいてサーボバルブ4が油圧シリンダ12を制御することにより被圧延材先端部の板厚制御が行われる。
【0014】
なお、上記の制御出力タイミングすなわち補正出力周期△Tは、第(n−1)パスの被圧延材先端部の板厚偏差△hn-1を取り込んだ長手方向のサンプリング位置とあわせるために下記の式によって定める。
【0015】
△T=Vn-1×(1+fn-1)×△Tn-1/{Vn ×(1+f)}
ここで、△Tn-1は第(n−1)パスのデータ取り込みサンプリング周期、fn-1は第(n−1)パスの先進率、Vn-1は第(n−1)パスの圧延速度、fnは第nパスの先進率、Vnは第nパスの圧延速度である。
【0016】
図2は、本発明の実施形態におけるフローチャートである。第1パス以外の任意の第nパスで上記の被圧延材先端部の板厚制御を行なうと、第nパス以降のパスのゲージメータ偏差△hは記憶せず、既に記憶している第(n−1)パスの被圧延材先端部のゲージメータ偏差△hn-1を保持する。
【0017】
そして、第(n+1)パス以降の各パスにおいては、ゲージメータ偏差△hn-1に、第(n−1)パスと当該パスの圧下率の差を補う調整係数を掛け合わせることにより当該パスの被圧延材先端部補正量を求め、パルスジェネレータ20からの制御出力タイミングに応じて、当該パスのゲージメータAGCによる制御量に当該パスの被圧延材先端部補正量を加えたものを油柱指令として板厚制御装置24からサーボバルブ4に出力し、それに基づいてサーボバルブ4が油圧シリンダ12を制御することにより当該パスの被圧延材先端部の板厚制御が行われる。
【0018】
なお、第(n+1)パス以降の各パスにおける補正出力周期は、第(n−1)パスの被圧延材先端部の板厚偏差△hn-1を取り込んだ長手方向のサンプリング位置とあわせるように、第(n−1)パスのサンプリング周期、先進率、圧延速度、および当該パスの先進率、圧延速度を用いて定める。
【0019】
図3は、本発明の実施形態におけるブロック線図である。(A)は第(n−1)パスのブロック線図であり、(B)は第nパス以降のパスのブロック線図である。図中のhrefは板厚偏差目標値、GAGCはGCゲイン、GCは油圧圧下サーボ系総括ゲイン、Mは実ミル定数、Qは圧延材塑性係数、Mは計算ミル定数、kはチューニング率である。
【0020】
まず、第(n−1)パスにおいて、図3(A)に示すように、圧延圧力偏差△Pと圧下位置偏差△Sからゲージメータ式によってゲージメータ偏差△hを所定のサンプリング周期で求め、それを第(n−1)パスの被圧延材先端部のゲージメータ偏差△hn-1として記憶する。
【0021】
そして、第nパス以降の各パスにおいて、図3(B)に示すように、記憶したゲージメータ偏差△hn-1に当該パスの調整係数を掛け合わせたものを当該パスのゲージメータ偏差に加え、それに基づいて被圧延材先端部の板厚制御を行なう。
【0022】
このように、第(n−1)パスにおいて検出した被圧延材先端部の板厚偏差に基づいて第nパスの被圧延材先端部の板厚偏差を予測し、それを補正するように第nパスの被圧延材先端部の板厚制御を行うので、特に板厚偏差が大きくなりやすい被圧延材先端部の板厚精度を向上させることができる。
【0023】
さらに、第(n+1)パスにおいて、第(n−1)パス時に検出した被圧延材先端部の板厚偏差に基づいて、第(n+1)パスの被圧延材先端部の板厚偏差を予測し、それを補正するように板厚制御を行うことにより、第(n+1)パスの被圧延材先端部すなわち第nパスの被圧延材後端部の板厚精度が向上する。これにより、被圧延材の先端部及び後端部ともその板厚精度を向上させることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、厚板圧延において被圧延材の先後端部の板厚精度を向上させることができ、被圧延材の全長にわたり目標板厚が確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のおける可逆式厚板圧延機の模式図である。
【図2】本発明の実施形態のおけるフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態のおけるブロック線図である。
【符号の説明】
1 可逆式厚板圧延機
2 位置検出器
4 サーボバルブ
10 ロードセル
12 油圧シリンダ
14 上バックアップロール
16 上ワークロール
18 被圧延材
20 パルスジェネレータ
24 板厚制御装置
28 下ワークロール
30 下バックアップロール
href 板厚偏差目標値
AGC AGCゲイン
C 油圧圧下サーボ系総括ゲイン
M 実ミル定数
計算ミル定数
Q 圧延材塑性係数
k チューニング率

Claims (2)

  1. 可逆式圧延機を用いて行う厚板圧延において、第1パス以外の任意の第nパスの圧延を行う際に、第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の圧延荷重偏差とロールギャップ偏差から第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差を算出し、算出された第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差に基づいて第nパスの圧延が開始される被圧延材先端部に生じる板厚偏差を予測し、予測された板厚偏差に基づいて第nパスの圧延が開始される被圧延材先端部のロールギャップを補正して圧延することを特徴とする厚板圧延の板厚制御方法。
  2. 可逆式圧延機を用いて行う厚板圧延において、第1パス以外の任意の第nパス及びそれ以降の圧延を行う際に、第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の圧延荷重偏差とロールギャップ偏差から第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差を算出し、算出された第(n−1)パスの圧延が開始される被圧延材先端部の板厚偏差に基づいて第nパス及びそれ以降の各パスの圧延が開始される被圧延材先端部に生じる板厚偏差を予測し、予測された板厚偏差に基づいて第nパス及びそれ以降の各パスの圧延が開始される被圧延材先端部のロールギャップを補正して圧延することを特徴とする厚板圧延の板厚制御方法。
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