JP3671487B2 - 連続式炊飯装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、搬送コンベアによって多数の炊飯釜を連続的に移送させながら、多量の米を炊飯することが可能な連続式炊飯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の連続式炊飯装置として特開平6ー121737号公報に記載されたものがある。これを図5により説明すると、一つの駆動装置によって作動する一つの走行コンベア101を有し、走行路101aに沿った床部にガスバーナ102を配置し、前記走行コンベア101によって支持される、洗米と水とを収容した炊飯釜103を移送しつつ炊飯加熱するようにした炊飯加熱用走行路101aと、前記駆動装置とは独立した他の駆動装置によって作動する前記走行コンベア101とは独立した他の走行コンベア105を有し、前記炊飯加熱用走行路101aを経由して移送される炊飯釜103の内の炊き上げた米飯を蒸らすように配置された蒸らし用走行路104と、前記炊飯加熱用走行路101a及び前記蒸らし用走行路104の一部を囲む加熱室106とで構成されたものである。
【0003】
そして、上記構成により、炊飯加熱用走行路101aに配置されている炊飯加熱用のガスバーナ102の熱が、蒸らし用走行路104に加熱室106を通じて供給され、加熱エネルギーが省力的に、かつ、効率的に加熱され、また、装置全体の立体化を容易にし、省スペースのレイアウトが実現されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術によれば、前記炊飯加熱用走行路101aに移送される炊飯釜103は、釜内に予め所定時間浸漬した米と炊飯用の水とを収容したものであり、連続的な炊飯を行うためには前記炊飯加熱用走行路101aの前工程に単体の浸漬装置を別に設ける必要がある。このため、従来の連続式炊飯装置では、全体の設置スペースが大きくなり、また、浸漬装置を新規に設置するため、コスト高となる欠点があった。
【0005】
さらに、単体の浸漬装置を新規に設けた場合、一般的な浸漬装置では浸漬時間が一定であり、米粒の品種(例えば長粒種と短粒種)により浸漬時間を変更することができなかった。つまり、長粒種と短粒種とには吸水率に差があり、米粒の品種を考慮せず前記炊飯装置により炊飯を開始した場合、炊飯加熱工程で炊飯不良を起こす、といった欠点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点にかんがみ、炊飯設備における浸漬工程、炊飯加熱工程及び蒸らし工程の各工程ごとに設けられた装置を一体化し、省スペースと作業効率の向上を図るとともに、米粒の品種により浸漬時間を変更して米粒の品種により最適な炊飯が可能となる連続式炊飯装置を提供することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明は、走行コンベアとガスバーナとから構成されて炊飯釜を移送させつつ炊飯加熱する炊飯加熱用走行路と、該炊飯加熱用走行路を経由して移送される炊飯釜のうちの炊き上げた米飯を前記ガスバーナの排熱を用いて蒸らすように一部の走行路を水平方向に配置した蒸らし用走行路と、前記炊飯加熱用走行路及び前記蒸らし用走行路の全部又は一部を囲む加熱室とで構成され、前記炊飯加熱用走行路の釜搬入部には、少なくとも水平方向の移送路を有して循環回動する無端状コンベアに、適量の洗米と水とを収容した多数の炊飯釜を懸架して、連続して移送しながら所定時間の浸漬を行う浸漬用走行路を接続した連続式炊飯装置において、
前記浸漬用走行路は、機壁内に固定した固定スプロケットと、該固定スプロケットに対する軸間距離が可動する可動スプロケットとを複数個備えており、該複数個の可動スプロケットの位置によって前記浸漬用走行路の走行距離が変更され、前記炊飯釜に収容した洗米の浸漬時間の変更を可能とする、という技術的手段を講じた。
【0008】
【0009】
【作用】
上記構成によれば、浸漬用走行路では一釜ごとに適量の洗米と水とを収容した多数の炊飯釜が無端状の搬送コンベアに懸架され、該コンベアにより移送されながら米粒の品種により所定時間の浸漬が行われて、全ての炊飯釜の米粒が均一に吸水されて順次炊飯加熱用走行路に搬入される。そして、炊飯加熱用走行路では炊飯釜が走行コンベアにより移送され、ガスバーナにより多数の炊飯釜が連続的に加熱炊飯される。さらに、蒸らし用走行路では前記炊飯加熱用走行路から搬出した炊き上げ後の炊飯釜が走行コンベアに懸架されて米飯の蒸らしが行われる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の連続式炊飯装置の一実施例を示す概略縦断面図であり、図2は図1のAーA線を破断した拡大断面図である。図1及び図2において、連続式炊飯装置1は、浸漬用走行路2と、炊飯加熱用走行路3と、蒸らし用走行路4と、炊飯加熱用走行路3及び蒸らし用走行路4を囲む加熱室5とを、主要な構成としている。そして、この連続式炊飯装置1の前工程には、フレーム6と、該フレーム6の始端部に軸支された複数個のスプロケット7…と、浸漬用走行路2内に設けられたスプロケット8と、前記スプロケット7…,8に回動可能に架け渡されている無端状コンベア9とからなる釜搬送装置10が設けられ、これから炊飯を開始しようとする炊飯釜を浸漬用走行路2に供給することが可能である。符号34は炊飯釜の位置決めを行うストッパーである。
【0011】
浸漬用走行路2は加熱室5の上部に設けられ、コンパクト化を図るため、水平方向の移送路12と垂直方向の移送路11とによりL字を時計方向に90度回転させた形状となしている。そして、この浸漬用走行路2内にはチェーンコンベア13が設けられ、移送路12内に軸支された上部スプロケット14,15と、移送路11内に軸支された中段スプロケット16と下部スプロケット17とにより回動可能に架け渡されている。そして、前記チェーンコンベア13には、所定の間隔をおいて炊飯釜18を懸架するため、フック19が取り付けられており、該フック19は、前後の水平位置を保つフック本体と垂直に吊り下げる吊り下げ用ロッドとから構成され(特開平6ー121737号公報の図8参照)、炊飯釜18の一対の把手を吊り下げて、多数の炊飯釜18を浸漬用走行路2内に移送できる構成となっている。
【0012】
次に、炊飯加熱用走行路3について述べる。炊飯加熱用走行路3は、加熱室5のほぼ中央下部に配置され、水平な無端状チェーンコンベア21と、移送される多数の炊飯釜18を炊飯・加熱するため、直列状で切れ目なく連続するガス炎孔群を有するガスバーナ22とから構成されている。そして、前記チェーンコンベア21により、浸漬済みの洗米と水とを収容した多数の炊飯釜18の把手を支持して、移送しつつ炊飯加熱することができる。また、炊飯加熱用走行路3の始端部である釜搬入部23には、浸漬用走行路2を接続するローラーコンベア20が設けられる(図3参照)。更に、炊飯加熱用走行路3の終端部と前記蒸らし用走行路4との間には、移し変え装置24が設けられている。該移し変え装置24は、基端スプロケットと、該基端スプロケットの軸を中心に旋回するフレームを介して軸支された左右の先端スプロケットと、これら基端、先端の各スプロケットに巻掛けられた左右のチェーンコンベアとから構成される(特開平6ー121737号公報の図4参照)。
【0013】
さらに、蒸らし用走行路4について述べると、該蒸らし用走行路4は、加熱室5のほぼ中段部に設けられ、浸漬用走行路3と同様に、水平方向の移送路26と垂直方向の移送路25とによりL字を時計方向に180度回転させた形状となしている。そして、この蒸らし用走行路4内にはチェーンコンベア27が設けられ、移送路26内に軸支された2つの上部スプロケット28,29と、移送路25内に軸支された中段スプロケット30と下部スプロケット31とにより回動可能に架け渡されている。そして、該チェーンコンベア27には、所定の間隔をおいて炊飯済みの炊飯釜18を懸架するため、前記同様のフック19が取り付けられており、該フック19は、炊飯釜18の一対の把手を吊り下げて、多数の炊飯釜18を蒸らし用走行路4内に移送できる構成となっている。前記下部スプロケット31近傍には、移し変え装置24の後方にローラーコンベア32が敷設され、さらに、その後方に出口コンベア33が接続されている。また、符号35は炊飯釜の位置決めを行うストッパーである。
【0014】
加熱室5の天井を覆う天蓋5a(図2参照)にはダンパー36が設けられ、天蓋5aに設けた開口部37を自在に開閉する構成となっている。更に、前記開口部37には前記浸漬用走行路2と連絡する連通管38を設けている。
【0015】
次に、上記構成における連続式炊飯装置の作用を説明する。
【0016】
連続式炊飯装置の運転が開始されると、釜搬送装置10のコンベア9により、一釜ごとに適量の洗米と水とを収容した多数の炊飯釜18が浸漬用走行路2に移送される。そして、炊飯釜18が浸漬用走行路2に移送されると、ストッパー34により水平方向の移送が制限され、チェーンコンベア13に取り付けたフック19により炊飯釜18の一対の把手を吊り下げて、移送路11内を揚送される。そして、炊飯釜18がスプロケット14まで達すると水平方向の移送路12により、図面右方向に移送され(図1参照)、炊飯釜18がスプロケット15に達すると、方向転換されて図面左方向に移送される。次に、中段スプロケット16に達すると、下部スプロケット17方向に下降される。
【0017】
この浸漬工程は、炊飯加熱用走行路3内に設けたガスバーナ22の余熱により、浸漬用走行路2内の雰囲気温度の制御が可能であり、ガスバーナ22から噴射されるガス火炎により上昇する熱気又は余熱が、加熱室5及び連通管38を経由して浸漬用走行路2に供給される(図2参照)。この浸漬用走行路2内の雰囲気温度は約30〜40℃が適当であり、ダンパー37の開閉調節により温度制御が可能となる。
【0018】
その後、炊飯釜18がスプロケット17付近に到達すると、炊飯釜18底面がローラーコンベア20に当接されるとともに、フック19が外れて、水平方向に移送される。そして、炊飯釜18の把手が炊飯加熱用走行路3内のチェーンコンベア21に懸架されて炊飯加熱用走行路3に移送されることになる。炊飯加熱用走行路3内に移送される炊飯釜18は、走行路3の始端部から終端部に至るまで炊飯釜18の底面のほぼ全面にガス炎が連続的に噴射され、移送される時間の間、加熱炊飯が行われる。炊飯加熱用走行路3の終端部では、ガス炎が不連続に噴射されることから加熱量は徐々に弱まり、米飯は蒸らし作用を受けることになる。
【0019】
炊飯加熱用走行路3の終端部に至った炊飯釜は、次に、底面を移し変え装置24によって持ち上げることで、炊飯釜18の把手がチェーンコンベア21から浮き上がり、さらに、ローラーコンベア32により水平方向に移送されて蒸らし用走行路4に至る。この時、炊飯釜18はストッパー35により水平方向の移送が制限されて、チェーンコンベア27に取り付けたフック19を待機する。そして、フック19は炊飯釜18の一対の把手を吊り下げて、移送路25内を揚送する。
炊飯釜18の移送方向については前記浸漬用走行路2とほぼ同様でるため、詳細は省略する。蒸らし用走行路4を通過することによって、炊き上げ後の米飯が蒸らされ、炊飯釜18がスプロケット31付近に到達すると、炊飯釜18底面がローラーコンベア32に当接されるとともに、フック19が外れて、水平方向に移送され、出口コンベア33により機外に排出される。
【0020】
上記実施例では、浸漬用走行路2の形状を水平方向の移送路12と垂直方向の移送路11とによりL字を時計方向に90度回転させた形状となして、コンパクト化を図る構成にしているが、浸漬用走行路2はこれに限定されるものではなく、炊飯加熱工程と蒸らし工程とからなる炊飯装置に、浸漬工程を接続して一体化できる構成であれば何れの形状でもよい。
【0021】
図4は、炊飯加熱工程と蒸らし工程とからなる炊飯装置に、浸漬時間を変更することが可能な浸漬装置を一体化して設けたものである。この炊飯装置は、上述の実施例に比べて若干設置スペースが大きくなるものであるが、浸漬時間を変更する手段としては大きな効果を発揮するものである。図4において、連続式炊飯装置1は、箱型の浸漬用走行路2と、直線状の炊飯加熱用走行路3と、L字を時計方向に180度回転させた形状の蒸らし用走行路4と、前記炊飯加熱用走行路3及び蒸らし用走行路4を囲む加熱室5とを、主要な構成としている。前記浸漬用走行路2の機壁39内には、長尺の無端状チェーンコンベア40が設けられ、該チェーンコンベア40は、機壁39に軸支された大径の固定スプロケット41,42,43と、該スプロケット41,42の下方に千鳥状に配置した可動スプロケット44,45と、小径の固定スプロケット46,47と、小径の可動スプロケット48,49とに蛇行状に架け渡されている。そして、前記チェーンコンベア40には、所定の間隔をおいて炊飯釜18を懸架するため、前記同様のフック19が取り付けられており、該フック19は、炊飯釜18の一対の把手を吊り下げて、多数の炊飯釜18を浸漬用走行路2内に移送できる構成となっている。
【0022】
また、前記炊飯加熱用走行路3、蒸らし用走行路4及び加熱室5の構成は、上述の実施例と構成が同一であるので、説明は省略する。
【0023】
以下、上記構成の作用を述べる。
【0024】
まず初めに、炊飯しようとする米粒の品種を図外の制御装置に入力すると、制御装置により浸漬工程に要する時間が算出されるとともに、炊飯釜18の走行距離が算出されて、大径の可動スプロケット44,45及び小径の可動スプロケット48,49の回動位置が決定される。つまり、炊飯しようとする米粒の品種が例えば短粒種の場合、制御装置により浸漬時間は約1時間であると算出され、炊飯釜18の走行距離は短くてよいと判定されるので、可動スプロケットは移動せずにチェーンコンベア40が循環回動される。
【0025】
また、炊飯しようとする米粒の品種が長粒種の場合(図6参照)、浸漬時間は約2時間と算出され、炊飯釜18の走行距離は短粒種の約2倍にする必要があるため、可動スプロケット44,45が図面左方向の定位置まで移動される。さらに、可動スプロケット48,49がそれぞれ機壁39の中央寄りの定位置に移動される。これにより、チェーンコンベア40の全長は変わらないが、スプロケット48,49により緊張されていたコンベア40が緩み、その緩んだ長さだけ炊飯釜18を懸架する走行距離が増加することになる。つまり、炊飯釜18は浸漬用走行路2内に滞留する時間が長くなり、吸水に長時間かかる長粒種であっても十分に吸水され、次工程の炊飯加熱走行路3において炊飯不良を起こすことがなくなる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、炊飯設備における浸漬工程、炊飯加熱工程及び蒸らし工程の各工程ごとに設けられた装置を一体化することができ、また、単体の浸漬装置を別に設けた場合に比べて、全体の設置スペースが小さくなり、低コストとなった。
【0027】
また、浸漬用走行路は、機壁内に固定した固定スプロケットと、該固定スプロケットに対する軸間距離が可動する可動スプロケットとを複数個備えており、該複数個の可動スプロケットの位置によって前記浸漬用走行路の走行距離が変更され、前記炊飯釜に収容した洗米の浸漬時間の変更を可能とする構成であるから、米粒の品種により浸漬時間を変更することが可能となり、米粒の品種により最適な炊飯ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の連続式炊飯装置の一実施例を示す概略縦断面図である。
【図2】 図1のAーA線を破断した拡大断面図である。
【図3】 図1のB−B線を破断した拡大断面図である。
【図4】 浸漬用走行路の別の実施例を示す概略縦断面図である。
【図5】 従来の炊飯装置を示す概略縦断面図である。
【図6】 図4の浸漬用走行路の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1 連続式炊飯装置
2 浸漬用走行路
3 炊飯加熱用走行路
4 蒸らし用走行路
5 加熱室
6 フレーム
7 スプロケット
8 スプロケット
9 無端状コンベア
10 釜搬送装置
11 移送路
12 移送路
13 チェーンコンベア
14 上部スプロケット
15 上部スプロケット
16 中段スプロケット
17 下部スプロケット
18 炊飯釜
19 フック
20 ローラーコンベア
21 チェーンコンベア
22 ガスバーナ
23 釜搬入部
24 移し変え装置
25 移送路
26 移送路
27 チェーンコンベア
28 上部スプロケット
29 上部スプロケット
30 中段スプロケット
31 下部スプロケット
32 ローラーコンベア
33 出口コンベア
34 ストッパー
35 ストッパー
36 ダンパー
37 開口部
38 連通管
39 機壁
40 チェーンコンベア
41 固定スプロケット
42 固定スプロケット
43 固定スプロケット
44 可動スプロケット
45 可動スプロケット
46 固定スプロケット
47 固定スプロケット
48 可動スプロケット
49 可動スプロケット
Claims (1)
- 走行コンベアとガスバーナとから構成されて炊飯釜を移送させつつ炊飯加熱する炊飯加熱用走行路と、該炊飯加熱用走行路を経由して移送される炊飯釜のうちの炊き上げた米飯を前記ガスバーナの排熱を用いて蒸らすように一部の走行路を水平方向に配置した蒸らし用走行路と、前記炊飯加熱用走行路及び前記蒸らし用走行路の全部又は一部を囲む加熱室とで構成され、前記炊飯加熱用走行路の釜搬入部には、少なくとも水平方向の移送路を有して循環回動する無端状コンベアに、適量の洗米と水とを収容した多数の炊飯釜を懸架して、連続して移送しながら所定時間の浸漬を行う浸漬用走行路を接続した連続式炊飯装置において、
前記浸漬用走行路は、機壁内に固定した固定スプロケットと、該固定スプロケットに対する軸間距離が可動する可動スプロケットとを複数個備えており、該複数個の可動スプロケットの位置によって前記浸漬用走行路の走行距離が変更され、前記炊飯釜に収容した洗米の浸漬時間の変更を可能とすることを特徴とする連続式炊飯装置。
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