JP3671202B2 - 陰イオン発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、陰イオンを発生する装置に関し、より詳細には極めて小型の装置により大量の陰イオンを得ることができる、家庭や車内でも実施可能な陰イオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
都会においては空気中の陰イオンと陽イオンの比率は通常同程度といわれているが、陰イオンが陽イオンの数十倍から数百倍存する陰イオンの濃度が高い環境下に身を置くことによって、疲労回復効果、精神安定効果、血液の浄化効果、抵抗力の増進効果、自律神経調整効果等の医療効果を得られることが広く知られている。
【0003】
そのため、人為的に陰イオンの濃度を高める方法が開発されている。
これらが、▲1▼紫外線を用いるもの、▲2▼高圧コロナ放電を用いるもの、▲3▼ベータ線等の放射線を用いるもの、▲4▼ミストを利用するものの4種に分類される。
この発明はこの内の▲4▼のミストを利用して陰イオンの濃度を高める方法に属する。
本願発明者は、上記の内の▲1▼及び▲2▼の方法は同時に人体に悪影響を及ぼすと言われるオゾンを生成してしまうおそれがあり、又、▲3▼の方法は放射能漏れの対策を万全に行わなければならないことから、必ずしも適切な方法ではないと思料する。
【0004】
さて、上記▲4▼の方法は、より詳細には水が砕けて微細な水滴(ミスト)に分裂し、相互に摩擦する際に発生した静電気により、空気中のイオンの濃度が高まる現象を利用するものである。
経験的に、滝の周辺や、海辺の波打ち際等、水が砕けてミストが発生する場所が身体に快適な環境を提供することが知られていたが、今世紀初頭にノーベル物理学者のP.Lenerd博士が、水滴が金属板に衝突して分裂するときに、豊富な負に帯電した微細構造の水滴(ミスト)が発生することを検証した。
これが、所謂「レナード効果」として認知されているものである。
【0005】
以上の説明より明らかなように、上記▲4▼の方法は、水が砕けてミスト雰囲気が形成されるときに陰イオンが発生する現象を利用するものである。
従来、人為的に積極的に水を砕いてミスト雰囲気を形成するときに発生する陰イオンを利用する方法として次の公知発明が存した。
(公知発明1)
サイクロン内で水を噴霧させることを特徴とする発明(例えば、特公平3−76993号)。
【0006】
(公知発明2)
高速回転する回転板に水を衝突させることを特徴とする発明(例えば、特公平7−62534号)。
【0007】
(公知発明3)
所定の間隙を有する一対の回転板の中心部に水タンクに連通する吸い上げパイプの開口端を連結し、回転板の回転によりそれらの間隙内に負圧を生じさせしめ、この負圧により吸い上げパイプを介して間隙内に水を吸い上げ、吸い上げた水を遠心力によりミスト状に飛散させることを特徴とする発明(例えば、特公平6−7840)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の内の公知発明1はその明細書の記載から明らかなように、ミストにより空気中の細菌や夾雑物を捕捉して空気を浄化することを主眼に開発されたものであるが、併せて装置を運転中に発生する陰イオンの効果を利用するものである。しかしながら、公知発明1は、空気の浄化に重点を置いているために、装置の大きさの割りには発生する陰イオンの量が少なく、充分な医療効果を得るためには巨大な装置が必要となるという欠点があり、家庭や車内で使用するには装置が大きくなり過ぎるという実用上の問題があった。
【0009】
次に、公知発明2は陰イオンの発生に関する発明である。
装置から排出される空気に含まれる陰イオン濃度はミストと接触することによって高まる。
即ち、陰イオンの量は生成されるミストの量に比例し、しいては回転板の面積に比例する。
従って、医療効果が得られる程度に陰イオンを発生するためには大面積の回転板が必要となり、装置の小型化に逆行する要求となっていた。
【0010】
一方、公知発明2では、処理室内に外気の通過を妨げる回転板が存在するため、円滑に外気を通過させるには処理室内に充分な空隙を設けるか、或いは外気を加圧して処理室内に導入する必要があった。
即ち、公知発明2の場合には、処理室を大型化するか、或いは大型の送風機が必要となり、何れも装置の小型化に逆行する要求となっていた。
【0011】
又、公知発明3も陰イオンの発生に関する発明である。
公知発明3の場合、ミストを発生するために吸い上げる水の量は、回転板の回転によりそれらの間隙内に生じる負圧の大きさに比例するので、大量のミストを発生させるにはそれに見合った充分な負圧を生じさせるための大きな回転板が必要となり、この観点からも装置の小型化には限界があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は以上の如き従来技術の問題点に鑑みて創作されたものであり、極めて小型の装置により大量の陰イオンを発生することを可能とする陰イオン発生装置を提供することを目的とする。
【0013】
即ち、この発明の陰イオン発生装置は、送風機により外気を通過させるべき処理室、この処理室の下部に設けられる貯水部、この貯水部に下方を浸漬して配される上方に向かって径が増大する回転体、この回転体の周囲に筒状に配され、回転体に固定されることにより回転体と共に回転する網目を有するスクリーン、回転体と共に回転するスクリーンの外側にして処理室の内壁に沿って配される網目を有するスクリーンからなることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4はこの発明の概要を説明するための図である。
図1において、図中符号Sはこの発明の陰イオン発生装置を示す。
この装置は、外気を通過させるべき処理室1、この処理室1の下部に設けられる貯水部2、この貯水部に下方を浸漬して配される上方に向かって径が増大する回転体3、この回転体の周囲に配される網目を有するスクリーン4からなり、送風は回転体3と同軸に回転するファン4により行われる。
【0015】
この発明の第1の特徴は、上方に向かって径が増大する回転体3の下方を水中Wに浸漬して回転することにより、この回転体の外周に沿って水の薄膜を上方に向かって順次形成すると共に飛散させる点にある。
即ち、固体である回転体3の下方を水中に浸漬することにより、水との接触によるぬれ性を得られ、接触した水は回転体表面の喫水線より這い上がり、この場合、回転体3は上方に向かって径が増大しているのだから、回転による遠心力によって更に回転体の外周表面に放射状に均一に拡がり、結果的にその上方に向かって薄膜を形成することとなる。
そして、上方に向かって形成された水の薄膜は遠心力により周囲に飛散し、その後に順次薄膜が形成されることにより、恰も回転体3により水を汲み上げて飛散させているような現象を生じることとなる。
【0016】
よって、前記した公知発明3の場合のように、回転板の回転によりそれらの間隙内に負圧を生じさせしめ、この負圧により吸い上げパイプを介して間隙内に水を吸い上げのではないので、回転体3の大きさの割には大量の水を汲み上げて飛散させることが可能となるという点にこの発明の特徴を認めることができる。
【0017】
次に、この発明の第2の特徴は、飛散させた水を網目を有するスクリーン4に衝突させ飛散させることによりミスト雰囲気を形成する点にある。
即ち、網目の効果として、スクリーン4の表面だけでなく、外気の進行方向の壁面(格子状の網目の内壁)も利用できるために、水がスクリーンと衝突する頻度が飛躍的に増大し、スクリーンの大きさの割りにはミストの生成効率が高いという点にこの発明の特徴を認めることができる。
【0018】
又、網目の存在は、同時に空気がスクリーンを通過できることを意味し、外気の流通が良好になるために、特に加圧する必要もなく、比較的小型の処理室内に大量の外気を通過させることができる作用を生じることとなる。
【0019】
図1乃至図4においては、上記のスクリーン4として、回転体3の一部を囲む円筒状のものを例示しているが、このスクリーン4の構成はこれに限定されるものではなく、後記する実施例のように断面星型のものであっても、或いは断面四角形や多角形のものであっても、或いは波板状のものを円筒状にしたものであってよいことは勿論である。
【0020】
又、スクリーン4は図1に示すように回転体3に固定されることにより、回転体と共に回転する。
【0021】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図5乃至図8はこの発明の陰イオン発生装置の一例を示す図である。
図中符号Lは陰イオン発生装置の筐体を示すものであり、この装置は送風機により外気を通過させるべき処理室11、この処理室の下部に設けられる貯水部22、この貯水部の水Wに下方を浸漬して配される上方に向かって径が増大する回転体13、この回転体の周囲に配される網目を有するスクリーン14を有することを特徴とするものであり、ここでは更に気液分離室23を設けている。
【0023】
この実施例においては、処理室11と気液分離室23は筐体L中の防水中底24上に共通に設けられ、仕切り壁25により仕切られることにより区分けされている。
そして、この仕切り壁25の下端が開放されることにより両者は下方において連通し、更に防水中底24上に水Wを貯留することにより貯水部22としている。
【0024】
上記の処理室11の上方は吸気ダクト28を介して筐体Lの一側上方に設けた外気の流入口29と連通され、防水中底24の裏側下方にはモータ29が回転軸21を上方に向けて設けられ、この回転軸21には上方よりモータの回転により下方向に送風を行うシロッコファン20と回転体13が共軸に設けられる。
【0025】
回転体13として、ここでは下部を切り落とし、且つ上部において径の増大が止まる逆円錐状の筒状のものを採用している。
尚、図中符号25は回転軸21からの漏水を防止するために防水中底24より突設されるボスであり、防水中底24より水位の上方迄延長される。
【0026】
次に、スクリーン14としてここでは、下方が星型で上方が円径の筒状のものを採用しており、このスクリーン14は上部が回転体13に固定されることにより、回転体13と共に回転する(図8参照)。
又、スクリーン14に網目を設ける手段として、ここでは12〜16メッシュ程度の金網をスクリーンの素材として採用しているが、網目を設ける手段はこれに限らず、例えば板に多数の細孔を設ける等の手段によってもよいことは勿論である。
【0027】
以上の構成よりなる実施例の作用は次の通りである。
先ず、モータ29により回転されるシロッコファン20により外気(図5において黒地の矢印をもって図示)が外気の流入口29及び吸気ダクト28を介して処理室11内に導入される。
同時に、貯水部22に貯留された水Wが回転体13の回転により汲み上げられると共に、飛散し(これらの作用については前記の発明の実施の形態における作用の説明の通り)、スクリーン14の網目に衝突する。
【0028】
そして、網目に衝突した水は砕けてミストに分裂して飛散し、ミスト雰囲気を形成し、このミスト雰囲気に処理室11を通過する外気が接触することにより負電荷を与え、空気中の陰イオンの濃度が増加される。
【0029】
又、この際に空気中の細菌や夾雑物がミストに接触することによりミストにより捕捉される。
互いにくっつき合ったり、細菌や夾雑物を捕捉して巨大化したミストは処理室11の壁面に接触して液化し、貯水部22に落下するため、結果として細菌や夾雑物が大気中から除去される。
【0030】
一方、処理室内を通過した外気(図5において網線の矢印をもって図示)は、仕切り壁25により区画された気液分離室23に導入され、この気液分離室23の壁面に衝突することにより、処理室11で除去し切れなかった細菌や夾雑物が貯水部2に振るい落とされる。
このようにして、細菌や夾雑物が除去された外気が、大量の陰イオンと共に排出口30より排出される。
【0031】
さて、この発明では、回転体13の周囲に配されるスクリーン14とは別に、その外側に網目を有するスクリーン15を処理室11の内壁に沿って配しているが、これは消音のためのスクリーンである。
陰イオン発生装置の筐体Lは通常の場合、プラスチックにより成型されるものであり、ミストが処理室11の内壁に衝突することにより耳障りな騒音を発生するおそがあるが、このスクリーン15を設けることによりミストは先ずこのスクリーンに衝突するので、騒音の発生が防止されることとなる。
そして、この場合、このスクリーン15に衝突したミストは更に砕けるので、同時に陰イオンの発生効率を高めるという複合的な作用も生じることとなる。
【0032】
【発明の効果】
以上の構成よりなるこの発明は、次の特有の効果を奏する。
▲1▼上方に向かって径が増大する回転体3の下方を水中Wに浸漬して回転することにより、この回転体の外周に沿って水の薄膜を上方に向かって順次形成して飛散させるので、例えば、前記した公知発明3と比較し、回転体3大きさの割に大量の水を汲み上げて飛散させることが可能となる。
【0033】
▲2▼飛散させた水を網目を有するスクリーンに衝突させ、飛散させることによりミスト雰囲気を形成するので、スクリーンの表面だけでなく、外気の進行方向の壁面(格子状の網目の内壁)も利用して水の衝突頻度を高めることができ、スクリーンの大きさに比して、高いミストの生成効率が実現される。
【0034】
▲3▼網目を採用することによって、導入外気の通過空気の流通が良好になるために、特に加圧する必要もなく、比較的小型の処理室内に大量の外気を通過させることが可能となる。
そのため、形成されたミスト雰囲気に充分な外気を接触させることが可能となり、小型の装置で大量の陰イオンを発生させることが可能となる。
【0035】
▲4▼よって、例えば前記公知発明2及び3の刊行物に記載のような特別の送風装置が不要となり、実施例1乃至3のように送風羽根の回転軸を回転体の回転軸と共軸にしても、外気を通過させるに充分な風量を得られるので、装置を小型化することが可能となる。
【0036】
▲4▼以上の各効果の総和により、極めて小型の装置により、飛躍的に多量の陰イオンを発生させることが可能となるので、家庭用の空気浄化装置の他、従来想像もできなかった自動車等の車内用の空気浄化装置、或いは美顔器等、人体に直接外気を吹き付ける装置への応用も可能となる。
【0037】
▲5▼同様の理由により、装置を構成する部材を小型化ができ、又、特別な高速運転及び高風圧も不要となるので従来高価であった陰イオン発生装置を極めて低価格で実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原理を説明するために簡略化して示した陰イオン発生装置の一部切り欠き正面図。
【図2】同上、回転体の斜視図。
【図3】同上、回転体の異なる実施例の斜視図。
【図4】同上、回転体の異なる実施例の斜視図。
【図5】この発明の陰イオン発生装置の実施例の一部切り欠き正面図。
【図6】同上、一部切り欠き側面図。
【図7】同上、一部切り欠き平面図。
【図8】同上、要部の分解斜視図。
【符号の説明】
1 処理室
2 貯水部
3 回転体
4 スクリーン
Claims (2)
- 送風機により外気を通過させるべき処理室、この処理室の下部に設けられる貯水部、この貯水部に下方を浸漬して配される上方に向かって径が増大する回転体、この回転体の周囲に筒状に配され、回転体に固定されることにより回転体と共に回転する水及び空気が通過可能な網目を有するスクリーン、回転体と共に回転するスクリーンの外側にして処理室の内壁に沿って配される水及び空気が通過可能な網目を有するスクリーンからなり、貯水部に貯留された水が回転体の回転により汲み上げられると共に、飛散してスクリーンの網目に衝突してミストに分裂して飛散し、飛散したミストが上記スクリーンの外側のスクリーンの網目にも衝突して更に分裂して飛散することを特徴とする陰イオン発生装置。
- 回転体と共に回転するスクリーンは回転体の一部を囲む円筒状である請求項1記載の陰イオン発生装置。
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