JP3605802B2 - 空気清浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理空気を微細な水粒子に接触させて空気中の汚染物質や臭気を補捉・除去し、清浄化すると共に、微細水粒子やマイナスイオンを供給する空気清浄装置に関する。
、マイナスイオンが極端に不足した環境で長時間作業を行うと頭痛や目まい等の原因となる。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気清浄装置としては、HEPAフィルターや活性炭フィルターなどによって空気中の汚染粒子を吸着するフィルター方式が一般である。このようなフィルター方式の空気清浄装置によって処理された空気は、塵埃粒子が存在しないという点では清浄であるが、フィルターの空気圧損失が大きく送風に多大な動力を必要としていた。また、空気をフィルターに循環させることによって空気中のマイナスイオンが減少するため、人間の活動空間としては必ずしも好ましいものとはいえず、マイナスイオンが極端に不足した環境で長時間作業を行うと頭痛や目まい等の原因となる。
【0003】
一方、空気中で微細な水滴が分裂すると周囲の空気がマイナスイオン化することが知られている。この現象は、発見者の名に因んでレナード現象と呼ばれ、自然界では滝や渓流などの周囲で発生している。水滴の分裂によって生じる微細水粒子(ミスト)が空気中に拡散し塵埃を捕捉、排除することに加えて、空間が快適な温湿度に維持され、且つ、微細水粒子と共にマイナスイオンが比較的長時間、広範囲に亘り残存し、清浄であると共に、人間の活動環境として極めて有益な空間を作り出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記の点に鑑みて、物理的なフィルターを使用せずにレナード現象を利用して空気中の浮遊塵埃、油煙、臭気、細菌等を除去すると共に、空気中に微細水粒子やマイナスイオンを供給し作業環境や居住環境を浄化する空気清浄装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
下部は水槽に連なり上部には空気送出口を有する外筒の内側に、上部に前記外筒を貫通する空気導入管を接続した内筒を設け、該内筒の内底部には、回転自在に支持され上面にフィンを有する被転円盤と、該被転円盤に回転を生じさせるべく被転円盤の上方から適宜の噴射角にて水を被転円盤に対し噴射する噴射ノズルとを設ける一方、内底部周囲の内筒周壁をスリット板で形成し内外筒を連通させ、更に、空気導入管から内筒、外筒を経て空気送出口に至る空気流を生じさせる送風手段と、水槽内の水を噴射ノズルに圧送する手段とを設けた。上記被転円盤は、上面が上方に膨出した凸面をなすと共に、放射方向に配向された複数のフィンを有するものとした。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は本発明実施形態の空気清浄装置1を示すものである。図において、空気清浄装置1は水槽2の上部に円筒状の外筒3を設け、更に該外筒3の内側に同じく円筒状の内筒4を同心に配置している。
【0007】
外筒3は、内周壁に螺旋状の風流ガイド3aを設け、上部には外筒3内の空気を空気送出口5aから外部に送出する送風機5を設ける一方、水槽2に連なる内底部付近には、水を流下させる多数の孔6aを開口したグレーチング6(パンチメタル)を設け、該グレーチング6の上側に内筒4が固定されている。そして、内筒4の内底部には被転円盤7を配置し、更にその上方には被転円盤7に水を噴射する噴射ノズル8を設けている。
【0008】
被転円盤7は、回転軸7aが支持部材9にラジアルベアリング9a,9a、スラストベアリング9bを介して回転自在に支持されている。尚、図示例では支持部材9はグレーチング6の中央に固定されているが、グレーチング6を設けずに外筒3内底部にフレーム(図示せず)を架設し、該フレームに支持部材9を固定しても良い。
【0009】
そして、被転円盤7は、上面中央が上方に膨出した凸面をなし、中心部から外周部に向けて緩い傾斜面を形成すると共に、放射方向に配向された8枚の羽根7b(フィン)を有している。該羽根7bの枚数は特に限定されるものではないが、回転にアンバランスを生じないよう回転対称配置であることが好ましい。
【0010】
噴射ノズル8は、内筒4の中心部に配置された導水管10の下端部にT字ジョイント8aを介して2個設けられている。各噴射ノズル8,8は被転円盤7の周辺寄りの部分に対向し、夫々、被転円盤7の回転方向と同方向の適宜の噴射角(実施形態では30度)をなして傾斜して設けられていることで、該各噴射ノズル8,8からの噴射水圧によって被転円盤7に回転を付与する。
【0011】
そして、噴射ノズル8は、2個以上であっても良いが、被転円盤7に作用する水圧がアンバランスにならないように回転対称配置であることが好ましい。また、被転円盤7が任意の回転角位置における停止状態から噴射水によって確実、且つ、迅速に起動できるように噴射ノズル8の数と羽根7bの数が設定される必要がある。
【0012】
上記噴射ノズル8及び被転円盤7周囲の内筒4周壁部は、多数のスリット11を有するスリット板12で構成され、スリット11を介して内筒4内と外筒3内とが連通している。尚、スリット板12の代わりにパンチメタル等の多孔板を用いることも出来、その場合、スリット11は長目穴、丸穴、異形穴等とすることが出来る。そして、内筒4の上端付近周壁部には、外筒3を貫通して空気導入管13が接線方向に接続している。
【0013】
更に、図1において、14はポンプ、15は取水部材(フィルタ)、16,17,18は導水管であり、これらは前記導水管10と共に噴射ノズル8への水循環路を構成している。また、19は給水管、20はオーバーフロー口、21は排水口であり、22は水槽2の満水時に給水管19を閉じるフロート弁である。
【0014】
次に上記実施形態に基づく作用について図面と共に説明する。
図1において、ポンプ14の作動により水槽2内の水は取水部材15、導水管16,17,18,10を通じて噴射ノズル8に圧送され、該噴射ノズル8より被転円盤7に向けて噴射される。そして、被転円盤7の上面及び羽根7bに衝突し、その衝撃で水流は細分化され、水飛沫となって飛散すると共に、羽根7bに作用する噴射水圧により被転円盤7は図4に示す如く噴射ノズル8の傾斜方向に回転する。
【0015】
被転円盤7の回転により振り回された水滴は周囲のスリット板12に衝突する際、スリット11のエッジで剪断されることによって更に細分化され、微細水粒子(ミスト)となり、内筒4内及び外筒3内に充満する。また、水滴が微細化される過程で微細水粒子と共に多量のマイナスイオンが発生する。
【0016】
一方、送風機5の作動により外筒3内及び内筒4内が減圧され、空気導入管13を通じて内筒4内に空気が吸入される。内筒4内に吸入された空気は、空気導入管13の接続方向及びそれと同方向の被転円盤7の回転により内筒4内を螺旋状に旋回しながら流下し、スリット板12のスリット11を通り外筒3内に至り、更に、外筒3内の風流ガイド3aに沿って螺旋状に旋回しながら上昇する過程で、外筒3内に充満する微細水粒子と混合され、空気に含まれている浮遊粉塵、油煙、臭気、細菌等はこれらを核として微細水粒子が吸着することにより、次第に大きな水滴を形成し、重量が増加することによって落下し、水飛沫や水流に取り込まれ水槽2内に流下する。
【0017】
また、被転円盤7の回転で振り回された水滴と共にスリット11を通過した粒子は、増加した重量に作用する遠心力によって外筒3内周壁に衝突するかまたはそのまま落下し、水槽2内に流入する。
【0018】
このようにして汚染物質を分離除去する一方、微細水粒子とマイナスイオンを含んだ清浄空気のみが外筒3内を上昇し、送風機5の吹出口5aより外部に送出される。この微細水粒子とマイナスイオンを含んだ清浄空気は、単に汚染物質が除去されたという意味で清浄であるのみならず、湿度調節機能やマイナスイオンによる人体へのリラクゼーション効果、更には、酸化抑制効果、除菌効果を有し、食品などに対する鮮度保持にも有効であり、人体や環境に極めて有益な清浄環境を作り出すことができる。
【0019】
次に、本発明実施形態の空気清浄装置1から送出される清浄空気中に含まれる微細水粒子の粒径、及び個数をパーティクルカウンタを用いて測定する実験を行った。結果を下表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
測定の結果、粒径が0.3ミクロン未満の微細水粒子が全体の93.3%を占めている。参考までに、従来の超音波振動板式加湿器で発生する水粒子の粒径は、0.4〜15ミクロンの範囲に分布し、平均2.7ミクロン程度であるから、本発明の空気清浄装置1による微細水粒子は充分に微細化されていると云える。
【0022】
尚、特に低湿度環境が要求される場合には、外筒最上部のデミスター取付部3bに水滴除去フィルターを設けることもできる。また、図示例では外筒3、内筒4が共に円筒形状である場合を示したが、それらは完全な円筒形状に限定されるものではなく、角丸四角筒状(多角筒)等とすることもできる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の空気清浄装置は、上記の通り構成されているので、噴射ノズルから被転円盤に向けて噴射された水は被転円盤の上面及び羽根に衝突し、その衝撃で水流は細分化され、水飛沫となって飛散し、その水滴は周囲のスリット板に衝突する際にスリットのエッジで剪断されることによって更に細分化され微細水粒子(ミスト)とすることが出来る。そして、装置内部で発生する微細水粒子に処理空気を効率良く接触させ、空気中の浮遊粒子、油煙、細菌、臭気等を吸着し、水滴中に取り込んで分離除去する一方、汚染物質に吸着せずに残存した微細水粒子と、該微細水粒子と共に発生したマイナスイオンとを含んだ清浄空気のみを外部に送出でき、清浄効果に加えて湿度調節機能、マイナスイオンによる人体へのリラクゼーション効果、更には除菌効果と酸化抑制効果により食品などに対する繊度保持効果等も期待でき、人体や環境に有益な清浄空間を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態の空気清浄装置を示す正断面図である。
【図2】本発明実施形態の空気清浄装置を示す平面図である。
【図3】本発明実施形態の空気清浄装置を示す要部側断面図である。
【図4】噴射ノズル及び被転円盤を示す要部斜視図である。
【図5】スリット板を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 空気清浄装置
2 水槽
3 外筒
4 内筒
5 送風機
5a 空気送出口
7 被転円盤
7b フィン
8 噴射ノズル
9 グレーチング
10,16,17,18 導水管
11 スリット
12 スリット板
13 空気導入管
14 ポンプ
Claims (2)
- 下部は水槽に連なり上部には空気送出口を有する外筒の内側に、上部に前記外筒を貫通する空気導入管を接続した内筒を設け、該内筒の内底部には、回転自在に支持され上面にフィンを有する被転円盤と、該被転円盤に回転を生じさせるべく被転円盤の上方から適宜の噴射角にて水を被転円盤に対し噴射する噴射ノズルとを設ける一方、内底部周囲の内筒周壁をスリット板で形成し内外筒を連通させ、更に、空気導入管から内筒、外筒を経て空気送出口に至る空気流を生じさせる送風手段と、水槽内の水を噴射ノズルに圧送する手段とを設けたことを特徴とする空気清浄装置。
- 被転円盤は、上面が上方に膨出した凸面をなすと共に、放射方向に配向された複数のフィンを有する請求項1記載の空気清浄装置。
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