JP3670058B2 - 海苔網薬剤処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海苔の養殖場に展張されている海苔網および海苔網に繁殖した海苔に対して、例えば、濃塩水処置を施したり、栄養分を付与したり、酸処理を施したりする各種薬剤処理を行う海苔網薬剤処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、海苔養殖は海苔網に浮き子を取付けて海面部分に浮かすようにして展張して錨で止める浮き流し方式や、海中に立設した支柱に海苔網を係留して展張した支柱方式により行なわれている。この両方式の使い分けは、養殖場の立地条件により決定されている。
【0003】
前記支柱方式を採用している海苔の養殖場は、支柱を立てることのできる海岸に近く、水深の浅いところであり、海の干潮時に海苔網が海面から離間して、日中には天日により海苔に付着した雑菌の殺菌効果が大きく、海苔の養殖には望ましい方法である。
【0004】
また、このような海苔養殖においては、海苔網からの海苔の刈り取り作業や、海苔網および海苔網に繁殖する海苔の表面に、海水の水垢やゴミ等の浮遊物が付着したり、雑菌が繁殖したりするなど、海苔の品質を低下させる要因があり、高品質で健康な海苔を育成し、収穫率を向上させるために、海苔の刈り取りから刈り取りの間に、二回から三回程度、海苔網および海苔網に繁殖する海苔に対して酸処理に代表される各種の薬剤を用いた薬剤処理作業が行なわれている。
【0005】
このような海苔網に対する薬剤処理は、図示しない適宜な作業船に、海苔網薬剤処理装置を搭載し、海面に展張されている海苔網を、各種薬剤からなる処理液が入った薬剤処理液槽内に所定時間浸漬させながら通過させ、再び海面に展張するようにしている。
【0006】
この種の従来の海苔網薬剤処理装置の一例としては、所望の薬剤が投入される平面略矩形の薬剤処理液槽と、この薬剤処理液槽内に海苔網の通過方向と直交する方向(海苔網の幅方向)に平行に配置される断面略円形のフロート部材とを有するものが知られている。この海苔網薬剤処理装置は、薬剤処理液槽内に適宜な薬剤からなる処理液を入れるとともに、薬剤処理液槽を通過する海苔網を上方から処理液中に押さえるようにして前記フロート部材を処理液の液面に浮かべるようにされている。すなわち、海苔網は主として薬剤処理液槽内の処理液の液面に浮遊しているフロート部材の処理液との接触部分において、処理液に浸漬されるようにされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、海苔網の薬剤処理を能率よく迅速に行なうために、エンジンやスクリュー等からなる推進機等の自走機構を備えた自走式の海苔作業船の甲板上に前記海苔網薬剤処理装置を搭載して、海面に展張されている海苔網の下を海苔作業船が潜る間に海苔網を薬剤処理液槽内の処理液中に浸漬させて薬剤処理を行なうようにしている。
【0008】
ところが、前記薬剤処理液槽内には約700リットル程度の多量の処理液が貯溜され、しかも薬剤処理液槽は甲板より高い部分に設置させられているために、作業船が揺れた場合には、薬剤処理液槽内の処理液も不規則に揺れてしまい、船にとって高重心位置にある処理液が不規則に揺れることにより安定性を欠くおそれがあり、また、処理液中を通過する海苔網と処理液との接触具合が不均一となり、薬剤処理にむらが発生するという不都合があった。
【0009】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、薬剤処理液槽が揺れても内部の処理液が不規則に揺れることを確実に防止することができ、海苔作業船の安定性を確保し、操業の安全性を高め、海苔網に対する処理を均一に施すことのできる海苔網薬剤処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、簡単な構造で、海苔網を所望の薬剤中に確実に浸漬することができるとともに、海苔網に対する酸処理を極めて効果的に施すことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため請求項1に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置は、薬剤が投入される薬剤処理液槽と、この薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割して処理液の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材とを有することを特徴としている。
【0012】
また、請求項2に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置は、薬剤が投入される薬剤処理液槽と、この薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割して処理液の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材と、前記薬剤処理液槽の上部を通過する海苔網を薬剤処理液槽中の処理液中に押し下げて浸漬させる海苔網浸漬体とを有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項3に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置は、薬剤が投入される薬剤処理液槽と、この薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割して処理液の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材と、船体に固着される左右一対の円弧状のガイドレール部材、連結軸の両端に回転自在な係止ローラを有する複数の突出歯を放射状に形成した略矢車形状の車輪を備えた車輪部材を有し、前記係止ローラをもって前記車輪部材を前記ガイドレール部材に回転自在に遊支してなる綱かわし手段と、前記綱かわし手段の連結軸に一端が軸支され、前記薬剤処理液槽内の所定位置に延在する海苔網浸漬体とを有することを特徴としている。
【0015】
請求項に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置は、請求項2または請求項3において、前記薬剤揺動阻止部材を、前記海苔網浸漬体に固着したことを特徴としている。
【0016】
請求項に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置は、請求項において、前記薬剤揺動阻止部材は、前記薬剤処理液槽内の処理液の左右方向への揺れを防止し得るように形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置によれば、薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割している薬剤揺動阻止部材により、薬剤処理液槽が揺れても内部の処理液が不規則に揺れることを確実に防止することができ、海苔作業船の安定性を確保し、操業の安全性を高め、海苔網に対する処理を均一に施すことができる。
【0018】
また、請求項2に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置によれば、請求項1に記載の本発明の作用の他に、前記薬剤処理液槽の上部を通過する海苔網を海苔網浸漬体によって薬剤処理液槽中の処理液中に押し下げて浸漬させて、海苔網を所望の薬剤が投入された薬剤処理液槽中に確実に浸漬することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置によれば、請求項1に記載の本発明の作用の他に、船体に配設されたガイドレール部材に車輪部材を回転自在に遊支することにより綱かわし手段を船体の所定位置に配設し、吊り綱などを確実に通過させることができる。そして、船体の所定位置に配設した車輪部材の連結軸に一端を軸支されることにより位置決めされた海苔網浸漬体をもって、海苔網を所望の薬剤が投入された薬剤処理液槽中に確実に浸漬することができる。
【0021】
また、請求項に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置によれば、請求項2または請求項3に記載の本発明の作用の他に、薬剤揺動阻止部材を海苔網浸漬体に固着しているので、薬剤処理液槽に対する薬剤揺動阻止部材の前後左右方向の移動を防止することができる。
【0022】
また、請求項に記載の本発明の海苔網薬剤処理装置によれば、請求項に記載の本発明の作用の他に、特に、処理液の左右方向への揺れを確実に防止することができる。
【0023】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0024】
図1から図3は薬剤処理液槽内の処理液の揺れを防止するようにした本発明の実施の形態の一例の概要を示している。
【0025】
図1に示すように、海苔作業船Aによる海苔の刈取りや海苔網Bに対する薬剤処理は次のようにして行なわれる。
【0026】
すなわち、スクリューD等の自走機構を備えた海苔作業船Aを操舵室Cにおいて操船しながら、海苔作業船Aの前方の水面中に張出すように設けられている前部案内部材Eによって海苔網Bを掬い上げるようにして海苔作業船Aを海苔網Bの下に潜るようにして進行させて行き、甲板の前方部分に配設されている刈取り機Fにより海苔網Bから海苔を刈取り、続いて刈取り機Fの後方に配置されている海苔網薬剤処理装置Gの薬剤処理液槽H内の薬剤J中に海苔網Bを浸漬通過させることにより所定の薬剤処理を施し、船の後方に張出された後部案内部材Iにより海苔網Bを薬剤処理後所定時間空中に保持して薬剤Jを海苔網Bに十分に浸透させてから、再び海苔網Bを水面に展張させるようにしている。
【0027】
本実施の形態においては、図2および図3に示すように、海苔網薬剤処理装置Gの薬剤処理液槽H内の薬剤J中を浸漬通過している海苔網Bより上方部分に、薬剤Jが大きく揺れ動くのを阻止する薬剤揺動阻止部材Kを設けている。この薬剤揺動阻止部材Kは複数の縦板部材L、Lを格子状に組立てて形成されている。各縦板部材Lの材質は、金属、合成樹脂等どのようなものでもよく、例えば、発泡ウレタンの板材の表面にFRPの被覆材をコーティングしたものでもよい。また、各縦板部材Lの高さは、薬剤処理作業中に上端が薬剤Jの表面より露出しているのに十分な高さとするとよい。
【0028】
本実施の形態においては、このように形成されている薬剤揺動阻止部材Kを薬剤処理液槽H内に入れることにより、薬剤処理液槽H単独では大きな領域であるが、これを複数の縦板部材L、Lによって形成される格子の各目の大きさの小領域に分割して、海苔網作業船Aと一緒に薬剤処理液槽Hが揺れても、各目の小領域内の薬剤Jの揺れを小さく抑えて、薬剤処理液槽H内全体の薬剤Jの揺れをも小さく抑えるようにして、薬剤Jの不規則な移動を確実に防止することができる。これにより薬剤Jの揺れに起因する重心の変動量を小さく抑えて、海苔作業船Aの安定性を向上させ、かつ、薬剤処理液槽H内において海苔網Bを確実に薬剤J内に浸漬させることにより、海苔網Bに対する薬剤処理を常に均一に施すことができる。
【0029】
図4および図5は薬剤揺動阻止部材の他の実施の形態を示している。
【0030】
本実施の形態の薬剤揺動阻止部材K1は、キャンバス地等からなる非通水性の布素材、または、細い目の網地等からなる若干の通水性を有する網素材等からなる矩形のシート状に形成されており、薬剤処理液槽H内の薬剤Jの表面の所定位置に固定的に設置される。更に説明すると、薬剤処理液槽H内に入る大きさにエスロンパイプ等のパイプ材Mを縦横に連結して枠体Nを形成し、海苔網Bの搬送方向の前後に位置するパイプ材Mにそれぞれ浮体の役割と海苔網Bおよびその付属物等を薬剤J中に浸漬させる海苔網浸漬体の役割とを兼ねた例えば発泡スチロール製のロール体Oを遊装し、前記枠体Nの空いている部分に薬剤揺動阻止部材K1を複数の固定用紐P、Pをもって連結して固定している。
【0031】
このように形成されている本実施の形態の薬剤揺動阻止部材K1は、海苔網作業船Aと一緒に薬剤処理液槽Hが揺れた時に、薬剤処理液槽H内の薬剤Jの表面部分にロール体Oをもって浮かんでいる枠体Nに固着されていて、薬剤Jの表面部分の所定位置に固定的に拘束されているために、薬剤処理液槽H内の薬剤Jを上から押えてその揺れを小さく抑えることができ、これにより薬剤Jの不規則な移動を確実に防止することができる。
【0032】
図6から図13は図1から図3に示す実施の形態の薬剤揺動阻止部材Kを適用した更に他の海苔網薬剤処理装置の実施の形態を示す。
【0033】
図6に示すように、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1は、適宜な海苔作業船2の船体3上に、図6において矢印にて示す海苔網4の移動方向上流側から、綱かわし手段5と、海苔網浸漬体6と、上方に開放の所望の薬剤からなる処理液7が投入可能とされた平面略矩形形状の薬剤処理液槽8とがそれぞれ順に配設されている。本実施の形態においては、前記海苔網浸漬体6の上方に前記薬剤揺動阻止部材Kが配設されている。
【0034】
前記綱かわし手段5は、図6および図8に示すように、適宜な海苔作業船2の左右舷側上方に配設された所望の桟9をもって船体3の軸線方向と平行に配置されている左右一対のパイプ状の案内部材10、10の間に配設されるようになっている。この綱かわし手段5は、船体3の左右舷側近傍に、船体3の軸線方向と平行にして配設される左右一対の下方に凹入湾曲した円弧状のガイドレール部材11、11と、ガイドレール部材11、11をもってその上方に遊支される略矢車形状の車輪部材12とを有している。
【0035】
前記各ガイドレール部材11、11は、図9から図11に詳示するように、中心軸Pを中心として所望の半径R1により形成された適宜な幅の内周面13および中心軸Pを中心として所望の半径R2(R2>R1)により形成された外周面14を有しており(図9)、平面矩形形状(図10)で、正面ほぼ円弧状(図9)に形成されている。つまり、外周面14の半径R2から内周面13の半径R1を差し引くと厚さTとなる(T=R2−R1)。そして、各ガイドレール部材11、11の両端には、略山形の案内部15、15が形成されている(図9)。更に、各ガイドレール部材11、11は、その船体3の中央側に位置する一側面16を、船体3の所望の位置に立設されてる適宜な支持部材17、17の上端に固着されて、船体3に支持されている。また、各ガイドレール部材11、11の先端の船体3上における高さ位置は、船体3の案内部材10、10上を船首から船尾方向に移動する吊り綱18、18(図6、図12)などより下方に位置させることが肝要である(図12)。なお、各ガイドレール部材11、11は正面ほぼ円弧状に形成されていればよく、その断面形状は正方形、円形などの各種のものを選択することができる。
【0036】
前記車輪部材12は、図12および図13に詳示するように、所望の連結軸19の両端に所望の間隔をもって相互に対向するようにして平行に延在する左車輪20aおよび右車輪20bを有している。そして、各車輪20a、20bは、連結軸19が軸中心に固着される略円盤状の基部21a、21bを有しており、各基部21a、21bの外周表面には、基部21a、21bの径方向外側に向かって放射状に延在する複数、本実施の形態においては12本の突出歯22が配設されている(図12)。さらに、各基部21a、21bに配設された各突出歯22は相互に対向するように配設されるとともに、各突出歯22の先端近傍の相互に対向する内側面23(図13)には、連結軸19の軸心側から順に、所望の内側係止ローラ24および外側係止ローラ25が、それぞれ回転自在とされて片面軸支されている。なお、各車輪20a、20bは、連結軸19に対して固定的に固着されていても、それぞれが独立的に回転自在にして固着されていてもどちらでもよい。
【0037】
また、各内側係止ローラ24および外側係止ローラ25は、それぞれの軸心を連結軸19の軸心と平行に延在するようにして、所望の間隙G(図12)をもって径方向外側に向かって直線的に配設されている。さらに、各内側係止ローラ24および外側係止ローラ25は、図13に示すように、各突出歯22の先端近傍に連結軸19と平行にして固着された所望の支軸26に、適宜な軸受27を介して回転自在にして固着されている。なお、内側係止ローラ24および外側係止ローラ25は、突出歯22に回転自在とされて配設されていればよく、特に、本実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0038】
図12に示すように、各内側係止ローラ24の最大外周を径方向に結ぶ最大外形半径R3は、前記ガイドレール部材11、11の内周面13の半径R1(図9)とほぼ等しく形成されるとともに、各外側係止ローラ25の最大内周を径方向に結ぶ最大内形半径R4は、前記ガイドレール部材11、11の内周面13の半径R2より若干大きくされている。つまり、各突出歯22に配設された内側係止ローラ24と外側係止ローラ25との間隙Gは、前記ガイドレール部材11、11の厚みTより若干大きくされている。
【0039】
すなわち、連結軸19をもって連結された左右の各車輪20a、20bを有する車輪部材12は、各内側係止ローラ24の最大外周を径方向に結ぶ最大外形半径R3に位置する複数の内側係止ローラ24をもって左右一対のガイドレール部材11、11の内周面13上に遊支されることになる。
【0040】
また、図12に示すように、各突出歯22の根本近傍位置には、例えば綱部材により各突出歯22を径方向に連結するようにした所望の綱挾み込み防止体28が配設されている。この綱挾み込み防止体28は、各突出歯22の間に入った吊り綱18などが突出歯22の根本部分に到達するのを防止することにより、吊り綱18などの相対移動により車輪部材12を回転させるに十分なトルクを得ることができるようにするものである。
【0041】
図6に戻って、前記海苔網浸漬体6は海苔網4や吊り綱18等の海苔網4の付属物を処理液7中に浸漬させるものであり、相互に適宜な間隔をもって平行に配設された適宜数、本実施の形態においては4本の主浸漬体29を有しており、その一端は図示しない適宜な軸受を介して連結軸19に軸支されている。そして、主浸漬体29は、連結軸19の軸心方向に対して直交する方向(海苔網4の通過方向に対して平行な方向)に延在するとともに、薬剤処理状態において海苔網4を薬剤処理液槽8内に導くように連結軸19から薬剤処理液槽8内に向かって下方に向けて延在する導入部31と、海苔網4を薬剤処理液槽8内に投入された所望の薬剤からなる処理液7の液面下の所定位置に浸漬した状態に保持する浸漬部32と、処理液7に浸漬した海苔網4を薬剤処理液槽8の上方に向かって引き上げる離脱部33とを有している。また、連結軸19に対して各車輪20a、20bが回転自在に装着されている場合には、主浸漬体29を連結軸19に固着させてもよい。
【0042】
すなわち、海苔網浸漬体6は、連結軸19を支点として上下方向のみに揺動自在とされるとともに、主浸漬体29の少なくとも浸漬部32が、薬剤処理状態において海苔網4を薬剤処理液槽8内に浸漬しうる位置に配設されている。
【0043】
なお、海苔網浸漬体6としては、海苔網4を薬剤処理液槽8内に浸漬できる構成のものであればよく、前記実施の形態の構成のものに限定されない。また、海苔網浸漬体6自身の薬剤処理液槽8に対する沈降具合(詳しくは、薬剤処理液槽8内に投入された処理液7の液面に対する海苔網浸漬体6の浸漬部32の位置)を調整するために、図7において鎖線にて示すように、海苔網浸漬体6の浸漬部32に浮子若しくは錘等からなる適宜な浸漬位置調整部材34を必要に応じて設けてもよい。
【0044】
本実施の形態においては、図6および図7に示すように、薬剤揺動阻止部材Kを海苔網浸漬体6の浸漬部32の上に載置して、適宜な緊締具をもって固着して取付ている。この薬剤揺動阻止部材Kは、図1から図3に示す実施の形態と同様に、複数の縦板部材L、Lを格子状に組立てて形成されている。各縦板部材Lの材質は、金属、合成樹脂等どのようなものでもよく、例えば、発泡ウレタンの板材の表面にFRPの被覆材をコーティングしたものでもよい。また、各縦板部材Lの高さは、薬剤処理作業中に上端が処理液7の表面より露出しているのに十分な高さとされている。
【0045】
つぎに、前述した構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0046】
まず、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1の綱かわし手段5の作用について説明する。
【0047】
本実施の形態の綱かわし手段5によれば、連結軸19により左車輪20aと右車輪20bとが連結され一体とされた車輪部材12は、両車輪20a、20bの各突出歯22に配設した複数の内側係止ローラ24をもって、船体3の左右舷側近傍に配設された左右一対のガイドレール部材11、11の各内周面13上に回転自在に遊支されるとともに、車輪部材12のガイドレール部材11、11に対する上下方向の位置が、各突出歯22に配設された内側係止ローラ24と外側係止ローラ25との間の間隙Gをもってガイドレール部材11、11を挟持するようにして位置させることにより確実に所定位置に拘束することができる。そして、車輪部材12のガイドレール部材11、11に対する左右方向(連結軸19の軸心方向)の位置も、連結軸19により一体とされた左車輪20aと右車輪20bとに設けられた各突出歯22の内側面23により簡単に、かつ、確実に所定位置に拘束することができる。すなわち、ガイドレール部材11、11により遊支された略矢車状の車輪部材12は、常に、船体3上に対する位置を所定位置に確実に保持した状態で回転自在とされている。
【0048】
従って、本実施の形態の綱かわし手段5によれば、吊り綱18、18等の通過速度の大小にかかわらず、海苔作業船2の案内部材10、10の上方を船首から船尾方向に移動する吊り綱18、18(図6、図12)は、船体3の所定位置に確実に配設された両車輪20a、20bの突出歯22を、図12において時計方向に回転させながら、突出歯22、22間を円滑に、かつ、安定的に通過移動することができ、吊り綱18、18と絡まることや、海苔網4とともに所定位置から離脱してしまうという不都合を確実に防止することができる。
【0049】
また、車輪部材12の両車輪20a、20bを、連結軸19に固定的に固着した場合には、両車輪20a、20bを同期回転させることができるので、船体3の左右舷側上の案内部材10、10上を移動するいずれか一方の吊り綱18、18が、両車輪20a、20bの少なくとも一方に配設されたいずれかの突出歯22を動作させることにより、車輪部材12全体を確実に回転させることができる。そして、車輪部材12の両車輪20a、20bを、連結軸19にそれそれ独立的に回転自在に固着した場合には、両車輪20a、20bをそれぞれ独立して回転させることができるので、船体3の左右舷側上の案内部材10、10上を移動する両吊り綱18、18が船体3の軸線方向方向に対して傾斜した状態で移動する場合に、各車輪20a、20bを回転させる力は、車輪部材12の両車輪20a、20bを、連結軸19に固定的に固着した場合に比べて半分以下に低減することができる。言い換えると、吊り綱18、18をより高速で通過させることができる。すなわち、吊り綱18、18の通過速度により、車輪部材12の両車輪20a、20bを、連結軸19に固定的に固着するか、それぞれ独立的に回転自在にして固着するかを選択すればよい。なお、車輪部材12の両車輪20a、20bを、連結軸19にそれそれ独立的に回転自在に固着するには、図示しない適宜な軸受を介して両車輪20a、20bを連結軸19に固着するなどすればよい。
【0050】
つぎに、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1の作用について説明する。
【0051】
本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1によれば、船体3に対して相対移動する海苔網4の吊り綱18、18や側綱(図示せず)などは、綱かわし手段5により確実にかわされる。そして、船体3に対して相対移動する海苔網4は、連続的に、綱かわし手段5の連結軸19に一端が軸支された海苔網浸漬体6の主浸漬体29の導入部31に沿って薬剤処理液槽8内の所望の薬剤からなる処理液7中に確実に導かれた後、主浸漬体29の浸漬部32により所望の薬剤からなる処理液7の液面下に確実に浸漬され、その後、主浸漬体29の離脱部33に沿って薬剤処理液槽8から離脱する。更に、本実施の形態においては、主浸漬体29に固着されている薬剤揺動阻止部材Kが薬剤処理液槽8大きな領域を複数の縦板部材L、Lによって形成される格子の各目の大きさの小領域に分割している。これにより海苔網作業船2と一緒に薬剤処理液槽8が揺れても、格子の各目の小領域内の処理液7の揺れを小さく抑えて、薬剤処理液槽8内全体の処理液7の揺れをも小さく抑えるようにして、処理液7の不規則な移動を確実に防止することができる。これにより処理液7の揺れに起因する重心の変動量を小さく抑えて、海苔作業船2の安定性を向上させ、かつ、薬剤処理液槽8内において海苔網4を確実に処理液7内に浸漬させることにより、海苔網4に対する薬剤処理を常に均一に施すことができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、薬剤揺動阻止部材Kが海苔網浸漬体6に固着されているので、薬剤処理液槽8の揺れや、薬剤処理液槽8内を通過する海苔網4によって薬剤揺動阻止部材Kが薬剤処理液槽8内を前後左右方向に移動するのを確実に防止して、薬剤揺動阻止部材K自身の移動に起因する処理液7の揺れを確実に防止することができる。
【0053】
このように、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1は、綱かわし手段5を有しているので、前述したように、船体3の左右舷側上の案内部材10、10上を移動する海苔網4の吊り綱18、18および側綱(図示せず)などを確実にかわすことができる。そして、海苔網浸漬体6は、従来の海苔網薬剤処理装置1のフロート部材(図示せず)のように処理液7の液面に浮力をもって浮遊させるものではなく、その一端を綱かわし手段5の連結軸19に軸支されているので、海苔網4の通過速度の大小にかかわらず、薬剤処理液槽8に対する相対位置の変動や、薬剤処理液槽8内からの離脱を確実に防止することができる。さらに、海苔網浸漬体6は、従来の海苔網薬剤処理装置1のフロート部材(図示せず)のように処理液7の液面に浮力をもって浮遊させるものではないので、海苔網浸漬体6の大きさをあまり大きくすることなくウエイト調整を簡単に行うことができ、従来と異なり、海苔網4を薬剤処理液槽8内の処理液7中に確実に浸漬することができるとともに、海苔網4に対する接触抵抗および損傷を確実に低減することができる。
【0054】
更に、本実施の形態においては、主浸漬体29に固着されている薬剤揺動阻止部材Kが、海苔網作業船2と一緒に薬剤処理液槽8が揺れても、薬剤処理液槽8内全体の処理液7の揺れをも小さく抑えるようにして、処理液7の不規則な移動を確実に防止することより、処理液7の揺れに起因する重心の変動量を小さく抑えて、海苔作業船2の安定性を向上させ、かつ、薬剤処理液槽8内において海苔網4を確実に処理液7内に浸漬させることにより、海苔網4に対する薬剤処理を常に均一に施すことができる。
【0055】
なお、本実施の形態の海苔網浸漬体6は、一端が連結軸19に軸支されているので、理論上は、海苔網4の通過速度の大小により自由端側が上下方向に揺動することになるが、従来の海苔網薬剤処理装置1のフロート部材(図示せず)と異なり、実際上の上下動は無視しうる範囲内であった。
【0056】
従って、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1によれば、海苔網4の吊り綱18、18や側綱を確実にかわしつつ、海苔網作業船2が揺れても薬剤処理液槽8内処理液7の不規則な移動を確実に防止して、海苔作業船2の安定性を確保して、海苔網4を所望の薬剤からなる処理液7中に確実に浸漬し、海苔網4に対する薬剤処理を極めて効果的に施すことができる。
【0057】
また、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1においては、海苔網4の移動方向上流側から順に、綱かわし手段5、海苔網浸漬体6、薬剤処理液槽8を配設したが、海苔網4の移動方向上流側から順に、薬剤処理液槽8、海苔網浸漬体6、綱かわし手段5を配設してもよく(図1における海苔網4の移動方向を逆方向にした配列)、特に、本実施の形態の配列に限定されるものではない。
【0058】
また、本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1においては、前記薬剤揺動阻止部材Kを主浸漬体29に固着したが、両者を別体に形成して、水中に沈む程度の重さを有する薬剤揺動阻止部材Kを単に主浸漬体29上に載置するようにしてもよいことは勿論である。
【0059】
図14から図19は海苔網薬剤処理装置の他の実施の形態を示している。前記実施の形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0060】
本実施の形態における海苔網薬剤処理装置1aは海苔作業船2上に設置されるとともに酸処理剤や濃塩水等が入れられる薬剤処理液槽8と、この薬剤処理液槽8の上部を通過する海苔網3を薬剤処理液槽8中の処理液7中に上方から押し下げて浸漬させる海苔網浸漬体6aと、前記薬剤処理液槽8に対して前記海苔網浸漬体6aを海苔網4および吊り綱18が通過自在な空間を介在させて上方に支持する海苔網浸漬体支持機構35と、薬剤処理液槽8内の処理液7の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材K1とをもって形成されている。
【0061】
各部を更に説明すると、薬剤処理液槽8は海苔網4の横幅より広い幅を有する略長方形状に形成されており、内部に立設した隔壁36により内側の処理液7が貯留される処理液貯留部37とその外側のオーバーフロー部38とに分割されている。処理液貯留部37内には図示しない処理液供給装置から処理液7が供給されて、常に所定量の処理液7が貯留されるように制御されている。
【0062】
この薬剤処理液槽8の幅方向の両側には、それぞれ海苔網浸漬体支持機構35が設置されている。この海苔網浸漬体支持機構35は前記実施の形態の綱かわし手段5と同等のものである。
【0063】
片方の海苔網浸漬体支持機構35について説明すると、海苔網4の進行方向に4基の支持ロッド39a、39b、39c、39dが上下動自在に所定間隔をもってロッド保持体40に設置されている。各支持ロッド39a、39b、39c、39dの下方に回転自在に横架されている1本のカム軸41には、各支持ロッド39a、39b、39c、39dを上下動させる円盤カム42a、42b、42c、42dが固着されている。これらのカム42a、42b、42c、42dは、1つおきの2基の支持ロッド39aと39cとの組および39bと39dとの組を一方が上昇している時には、他方が下降しており、かつ、両組の上昇状態が所定時間重複するように形成されている。各支持ロッド39a、39b、39c、39dの上端部は小径にして支持段部43が形成されており、海苔網浸漬体6aの幅方向両端部の支持ステー44に穿設されている4個の透孔45a、45b、45c、45dに当該小径部を貫通させるようにされている。
【0064】
前記海苔網浸漬体6aにおいては、幅方向両端部の支持ステー44の間に2本の中心軸46、46が平行に横架されており、各中心軸46には薬剤処理液槽8の処理液貯留部37の幅内で、かつ、海苔網4の幅より広い間隔に1対の十字形の支持体47、47が回転自在に装着されており、両支持体47の先端部にそれぞれ海苔網4を処理液7内に浸漬させる浸漬バー48、48が掛渡されている。このように形成されている海苔網浸漬体6aは、その重量を海苔網4の展張力が変化したり海苔作業船2が揺れても海苔網4を良好な浸漬状態に保持するに充分な値とされている。また、図16に示すように、ロッド保持体40および支持ステー44の船首側端部は、吊り綱18がスムースに両者の間に入込めるように湾曲面40a、44aとされている。
【0065】
本実施の形態においては、図14、図15および図17に示すように、図4および図5に示すようなシート状の薬剤揺動阻止部材K1を2つの海苔網浸漬体6a、6aの間、各海苔網浸漬体6aと薬剤処理液槽8の前後の壁部との間の3箇所に配設している。更に説明すると、両側の支持ステー44から固定用紐Mを結ぶための板状の固定用ステー49を垂下し、3枚の各薬剤揺動阻止部材K1をそれぞれ固定用紐Mをもって各固定用ステー49に連結して、処理液7の表面に固定的に設置している。
【0066】
次に、前述した構成からなる本実施の形態の作用を説明する。
【0067】
本実施の形態の海苔網処理装置1aにおいては、海苔網浸漬体支持機構35の各カム軸41をモータ等の駆動機構により回転させると、カム42a、42b、42c、42dが回転して、1つおきの2基の支持ロッド39aと39cの組と39bと39dの組とが、一方が上昇している時には、他方が下降しており、かつ、両組の上昇状態が所定時間重複するために、常に2基の支持ロッド39aと39cまたは39bと39dの支持段部43によって海苔網浸漬体6aの支持ステー44が支持されていて、ロッド保持体40の上面と支持ステー44の下面との間に海苔網4の吊り綱18が通過可能な空間50が形成され、しかも、この空間50の上下間隔はほぼ一定に保持される。各支持ロッド39a、39b、39c、39dは、この空間50を海苔作業船2の進行に伴って移動する海苔網4の吊り綱18が通過する時に下降していて、その通過を許容するように各カム42a、42b、42c、42dによって駆動される。
【0068】
従って、海苔網4に薬剤処理を施す場合に、海苔作業船2が海苔網4の下に潜って行くと、海苔網4が薬剤処理液槽8の処理液貯留部37内に海苔網浸漬体6aの浸漬バー48によって上から下方に押付けられて強制的に処理液7内に浸漬させられて、適正な処理が施される。この時、海苔網4の吊り綱18は、ロッド保持体40の上面と支持ステー44の下面との間に形成される空間50を前記のようにして各支持ロッド39a、39b、39c、39dをそれぞれかわしながらスムースに進行してゆく。また、各支持ロッド39a、39b、39c、39dはその上端部の小径部を支持ステー44の透孔45a、45b、45c、45dに貫通させているために、薬剤処理液槽8と海苔網浸漬体6aとの相対位置関係を一定位置に保持することができ、すなわち横揺れ、立て揺れを防止することができ、そして、海苔網4と海苔網浸漬体6aとの相対位置関係をも一定位置に保持することができるので、海苔網4に対する処理を常に適正なものとすることができる。更に、本実施の形態においては、薬剤処理液槽8の処理液7の表面に固定的に設置されている3枚の薬剤揺動阻止部材K1、K1が、海苔網作業船2と一緒に薬剤処理液槽8が揺れた時に、薬剤処理液槽8内の処理液7を上から抑えてその揺れを小さく抑えることができ、これにより処理液7の不規則な移動を確実に防止することができる。これにより処理液7の揺れに起因する重心の変動量を小さく抑えて、海苔作業船2の安定性を向上させ、かつ、薬剤処理液槽8内において海苔網4を確実に処理液7内に浸漬させることにより、海苔網4に対する薬剤処理を常に均一に施すことができる。
【0069】
なお、図20に示すように、前記各支持ロッド39a、39b、39c、39dをそれぞれ油圧シリンダ、空気圧シリンダ等のアクチュエータ51により上下駆動自在に形成するとともに、ホトセンサ、赤外線センサ等のセンサ52により吊り綱18の接近を検出して、各支持ロッド39a、39b、39c、39dを下降させ、それ以外の時には各支持ロッド39a、39b、39c、39dを上昇させておくように形成してもよい。
【0070】
また、海苔網浸漬体支持機構35としては、1基の支持ロッドと海苔網浸漬体6aを空気圧または水圧等により浮上させておく補助支持手段とにより形成して、空間50を形成するようにしてもよい。
【0071】
また、海苔網浸漬体6aの構成は前記実施の形態に限定されるものではなく、変更可能であり、例えば、図21に示すように、支持ステー44の間に略U字形のロッド53を掛渡すとともに、海苔網4を押さえるローラ54をロッド53に回転自在に取付けてもよい。
【0072】
また、本実施の形態においては、図17の鎖線に示すように、海苔網浸漬体6aの長手方向の途中に、薬剤揺動阻止部材Kの縦板部材Lに相当する環状の分割板部材Nを4本の浸漬バー48に掛渡すようにして複数個固着して、各分割板部材Nにより海苔網浸漬体6aの部分の処理液7を分割するように形成してもよい。このように形成することにより、海苔網浸漬体6aの部分の処理液7も各分割板部材Nにより揺れを小さく抑えられることとなり、より一層海苔作業船2の安定性を向上させることができ、かつ、薬剤処理液槽8内において海苔網4を確実に処理液7内に浸漬させることにより、海苔網4に対する薬剤処理を常に均一に施すことができる。
【0073】
図22から図24は図1から図3に示す実施の形態の薬剤揺動阻止部材Kを適用した更に他の海苔網薬剤処理装置の実施の形態を示す。
【0074】
本実施の形態は浮き流し方式と称される海苔の養殖方法に用いられる海苔網(図22参照)に酸処理を施す場合を示している。図22に示すように、長尺な各海苔網4は、左右端部の伸子棒55、55の間に平行に展張されている3本の展張綱56、56の間に2列平行状態に展張されている。また、各海苔網4の長手方向の途中にも適宜に伸子棒(図示せず)が設けられている。そして、前記左右端部の伸子棒55、55には、それぞれ固定ロープ57の2又状の端部57a、57aが接続されており、これらの各固定ロープ57は左右方向に引き伸ばされるとともに途中に浮子58を固着され、端部に固着されたアンカ59をもって海底に係留されている。
【0075】
このような浮き流し方式の海苔網4に処理を施す本実施の形態の海苔網薬剤処理装置1bは海苔作業船2の両案内部材10の間に固着された薬剤処理液槽8を主体として形成されている。薬剤処理液槽8の前後壁部はそれぞれ若干切開かれて入口60と出口61とが形成されており、左右に分割されている海苔網浸漬体6b、6bが薬剤処理液槽8の左右上端縁部にヒンジ62、62をもって回動自在に装着されている。両海苔網浸漬体6bは、薬剤揺動阻止部材Kとしての役割も果たすために、図1から図3に示す実施の形態と同様に、複数の縦板部材L、Lを格子状に組立てて形成されている。各縦板部材Lの材質は、金属、合成樹脂等どのようなものでもよく、例えば、発泡ウレタンの板材の表面にFRPの被覆材をコーティングしたものでもよい。また、両海苔網浸漬体6bは、その下面と薬剤処理液槽8の底面との間を海苔網4が通過できるようにして海苔網4を薬剤処理液槽8内に浸漬させるように形成されている。また、両海苔網浸漬体6b、6bの間を固定ロープ57が前後方向に通過できるように形成されている。更に、両海苔網浸漬体6b、6bは両者により海苔網4に装着されている伸子棒55を抑え込むように作用する大きさを有すれば十分であり、両者間の下面に海苔網4を強制的に導くことのできる先端形状、例えば船の流線形をした先端部の形状に似せた形状に形成されている。図22に示すような浮き流し式の海苔網4を処理対象とする場合には、前記各実施の形態のような吊り綱18をかわすための綱かわし手段5および海苔網浸漬体支持機構35が不要となる。
【0076】
つぎに、前述した構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0077】
海苔作業船2の進行に伴って、海苔網薬剤処理装置1bにより、海苔網4が海苔網浸漬体6bの下を潜って処理液7に浸漬される間に、刈取り後の海苔網4に対して薬剤処理の1態様である酸処理を施し、更に、案内部材10の後端部まで相対移動する間に酸処理剤を海苔の細胞内に十分に浸透させ、また、葉体に付着している雑菌を殺菌させる。更に、本実施の形態においては、2つの海苔網浸漬体6b、6bが薬剤揺動阻止部材Kとして機能するために、海苔網作業船2と一緒に薬剤処理液槽8が揺れても、薬剤処理液槽8内全体の処理液7の揺れをも小さく抑えるようにして、処理液7の不規則な移動を確実に防止することより、処理液7の揺れに起因する重心の変動量を小さく抑えて、海苔作業船2の安定性を向上させ、かつ、薬剤処理液槽8内において海苔網4を確実に処理液7内に浸漬させることにより、海苔網4に対する薬剤処理を常に均一に施すことができるものである。
【0078】
なお、図6から図24に示す各実施の形態においては、各実施の形態について薬剤揺動阻止部材KまたはK1のいずれか1種類を適用したが、設計条件等に応じて適用する薬剤揺動阻止部材の構成を変更するとよい。
【0079】
図25は、海苔網薬剤処理装置のまた更に他の実施の形態を示している。前記実施の形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0080】
図25に示すように、本実施の形態における海苔網薬剤処理装置1cは、特に、処理液7の左右方向への揺れを防止するように構成したものであり、海苔網浸漬体6を構成する各浸漬部32の上部にパンチングメタルなどにより多数の孔が形成された平板状の薬剤揺動防止部材K2が立設するようにして固着されている。その他の構成は図6に示す海苔網薬剤処理装置1と同様とされている。
【0081】
このような構成とすることにより、特に、薬剤処理液漕8内の処理液7の左右方向への揺れを確実に防止することができる。
【0082】
また、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の海苔網薬剤処理装置によれば、薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割している薬剤揺動阻止部材により、処理液槽が揺れても内部の処理液が不規則に揺れることを確実に防止することができ、海苔作業船の安定性を確保し、操業の安全性を高め、海苔網に対する処理を均一に施すことができる。また、綱かわし手段や海苔網浸漬体支持機構により海苔の養殖セットの綱類を確実にかわすことができる。更に海苔網浸漬体により海苔網を所望の薬剤からなる処理液中に確実に浸漬し、海苔網に対する薬剤処理を極めて効果的に施すことができるという極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の実施の形態の一例を搭載した海苔作業船の構成を示す側面図
【図2】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の実施の形態の一例の構成を説明する要部の一部切断斜視図
【図3】図2のa−a線に沿った断面図
【図4】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の他の実施の形態の構成を説明する要部の一部切断斜視図
【図5】図4のb−b線に沿った断面図
【図6】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の他の実施の形態の構成を説明する要部の斜視模式図
【図7】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の他の実施の形態の構成を説明する要部の一部切断側面模式図
【図8】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の他の実施の形態の構成を説明する要部の一部切断正面模式図
【図9】ガイドレール部材の要部の正面図
【図10】図9の平面図
【図11】図9の右側面図
【図12】図8のc−c線に沿った車輪部材の要部の正面図
【図13】図12のd部の一部切断拡大図
【図14】本発明の海苔網薬剤処理装置の更に他の実施の形態を示す平面図
【図15】図14のe−e線に沿った断面図
【図16】図14のf−f線に沿った断面図
【図17】図14に示す本発明の海苔網薬剤処理装置の要部の斜視図
【図18】支持ロッドの上昇時を示す図15と同様の図
【図19】支持ロッドの下降時を示す図15と同様の図
【図20】海苔網浸漬体支持機構の他の実施の形態を示す図16と同様の図
【図21】海苔網浸漬体の他の実施の形態を示す斜視図
【図22】浮き流し方式による海苔網の展張状態を示す平面図
【図23】本発明に係る海苔網薬剤処理装置の更に他の実施の形態を搭載した海苔作業船の要部をスケルトン的に示した斜視図
【図24】図23のg−g線に沿った海苔網薬剤処理装置を示す拡大断面図
【図25】本発明の海苔網薬剤処理装置のまた更に他の実施の形態の構成を説明する図6と同様の図
【符号の説明】
1、1a、1b、1c、G 海苔網薬剤処理装置
4、B 海苔網
5 綱かわし手段
6、6a、6b 海苔網浸漬体
7 処理液
8、H 薬剤処理液槽
11 ガイドレール部材
12 車輪部材
18 吊り綱
19 連結軸
20a 左車輪
20b 右車輪
22 突出歯
24 内側係止ローラ
25 外側係止ローラ
35 海苔網浸漬体支持機構
39a〜d 支持ロッド
50 空間
K、K1、K2 薬剤揺動阻止部材

Claims (5)

  1. 薬剤が投入される薬剤処理液槽と、この薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割して処理液の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材とを有することを特徴とする海苔網薬剤処理装置。
  2. 薬剤が投入される薬剤処理液槽と、
    この薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割して処理液の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材と、
    前記薬剤処理液槽の上部を通過する海苔網を薬剤処理液槽中の処理液中に押し下げて浸漬させる海苔網浸漬体と
    を有することを特徴とする海苔網薬剤処理装置。
  3. 薬剤が投入される薬剤処理液槽と、
    この薬剤処理液槽内を複数の小領域に分割して処理液の揺れを抑える薬剤揺動阻止部材と、
    船体に固着される左右一対の円弧状のガイドレール部材、連結軸の両端に回転自在な係止ローラを有する複数の突出歯を放射状に形成した略矢車形状の車輪を備えた車輪部材を有し、前記係止ローラをもって前記車輪部材を前記ガイドレール部材に回転自在に遊支してなる綱かわし手段と、
    前記綱かわし手段の連結軸に一端が軸支され、前記薬剤処理液槽内の所定位置に延在する海苔網浸漬体と
    を有することを特徴とする海苔網薬剤処理装置。
  4. 前記薬剤揺動阻止部材を、前記海苔網浸漬体に固着したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の海苔網薬剤処理装置。
  5. 前記薬剤揺動阻止部材は、前記薬剤処理液槽内の処理液の左右方向への揺れを防止し得るように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の海苔網薬剤処理装置。
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