JP3669826B2 - 浸漬式ワイヤ放電加工機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,加工槽に収容した工作物を加工液中で放電加工する浸漬式ワイヤ放電加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,放電加工機,特に加工液に浸漬された工作物に対してワイヤ電極によって所定の加工形状にワイヤ放電加工を行う浸漬式ワイヤ放電加工機が知られている。浸漬式ワイヤ放電加工機において,工作物は,ワイヤ電極と工作物との間に極間電圧を印加することによって発生する放電エネルギーによって放電加工される。工作物は,工作物取付金具によって加工槽内の工作物支持台に固定され,ワイヤ電極に対して,加工槽と共に水平面上を移動可能である。この種の浸漬式ワイヤ放電加工機としては,例えば,図3に示すようなもの(特公平7−39056号公報参照),図4及び図5に示すようなもの,及び図6に示すようなもの(特開平8−118152号公報参照)などがある。
【0003】
図3に示す従来の浸漬式ワイヤ放電加工機は,下ワイヤヘッド51は上ワイヤヘッド52と対応して設けられ,加工機本体53に固定されて加工液54に浸漬される下アーム55は,下ワイヤヘッド51を一端で支持し,且つ加工槽56の側壁57に形成された長孔58を貫通し,他端で加工槽56の外部において加工機本体53のフレームに固定されている。工作物Wに対して放電加工して消耗した廃ワイヤ電極59は,下ワイヤヘッド51に案内されて下アーム55内を挿通し,加工槽56から外部へ排出される。ワイヤ放電加工を行なうに際しては,工作物Wを取り付けた工作物支持台60が加工槽56と一体となって,下アーム55に対してX−Y軸平面内で相対移動するように構成されている。Y軸は下アーム55の長手方向の軸であり,X軸はY軸と直交し且つ水平面内に位置する軸の方向である。工作物Wと廃ワイヤ電極59との間の相対移動は,数値制御(NC)指令によって行なわれる。
【0004】
上記浸漬式ワイヤ放電加工機は,加工液54が収容され側壁57に形成された長孔58の長手方向即ちX軸方向に移動可能な加工槽56と,加工槽56を載置し,長孔58の長手方向に対し直角方向即ちY軸方向に移動可能なY方向移動サドル61と,加工槽56の長孔58を覆うように配設され,Y方向移動サドル61に固定された遮蔽板62と,加工槽56に取り付けられ,加工液54の水圧に対抗して遮蔽板62を背面側から支持する支持部材であるベアリング63と,遮蔽板62の上面及び下面を支えるベアリング64と,遮蔽板62に形成された孔65を貫通し,加工槽56の側壁57の長孔58を挿通して加工液54中に突出し,廃ワイヤ電極59を案内する下アーム55と,下アーム55に同軸に設けられ,一端が遮蔽板62の孔65の周囲に固定され,他端が下アーム55に固定され,Y方向移動サドル61のY軸方向の移動に応じて伸縮する蛇腹66と,加工槽56の長孔58の周縁部に取り付けられ,遮蔽板62の前面に接触して密封するシール部材67とを備えたものである。
【0005】
加工槽56はY方向移動サドル61に対してX軸方向に相対的に移動することができる。遮蔽板62はY方向移動サドル61に固定されているので,X軸方向には移動しない。即ち,遮蔽板62の背面側にピン68が植設され,Y方向移動サドル61と一体をなす支持金ストッパー69の上部にリング70が設けられ,ピン68がリング70に嵌合されているので,遮蔽板62はX軸方向には移動しない。加工槽56に固定された押さえ板71にはベアリング63,64が設けられており,加工槽56がX軸方向に移動する際には,ベアリング63は遮蔽板62の背面を転動し,ベアリング64は遮蔽板62の上面及び下面を転動しながら加工槽56と共に移動する。遮蔽板62はベアリング64に案内されているので,上下方向に変位することはできない。また,Y方向移動サドル61は加工機本体53に対してY軸方向に移動し得るので,Y方向移動サドル61に載置された加工槽56はY方向移動サドル61のY軸方向の移動に伴ってY軸方向に一緒に移動することができる。そして,Y方向移動サドル61がY軸方向に移動する際に,蛇腹66は伸縮する。
【0006】
また,図4及び図5に示す従来の浸漬式ワイヤ放電加工機は,加工槽73の側壁74に形成された長孔75の周縁部には,シール部材76を保持するためのブロック77が設けられている。遮蔽板78は加工槽73の長孔75を覆うように配置され,遮蔽板78の前面79にはシール部材76が当接し,遮蔽板78の背面80にはブロック77に取り付けられた支持部材である支持板81が当接している。支持板81は,ブロック77の上部と下部にそれぞれ複数個取り付けられ,加工槽73内の水圧に対抗して遮蔽板78を背面側から支持するものである。支持板81を複数個取り付けた理由は,遮蔽板78が水圧で撓むのを防止するためである。また,遮蔽板78の中心部には下アーム82を挿通する孔83が形成されており,この孔83にシール部材84が設けられている。このように,二つのシール部材76と84が加工槽73内の加工液の漏出防止機能を果たしている。遮蔽板78はY方向移動サドルに固定されているので,加工槽73側に取り付けられた支持板81は,加工槽73のX軸方向の移動に伴って遮蔽板78の背面80を摺動する。遮蔽板78は,上下の支持板81によって案内されているので,上下方向に変位することはできない。なお,その他の点については第二従来例は第一従来例とほぼ同じ構造であるから,説明を省略する。
【0007】
図6に示す従来の浸漬式ワイヤ放電加工機は,図3に示した従来例から,ベアリング63,64,押さえ板71,ピン68,リング70,及び支持金ストッパー69を取り除いて,その代わりに,遮蔽板85の下部をY方向移動サドル86に直接固定したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,浸漬式ワイヤ放電加工機は,加工槽内に加工液が収容され,加工槽の側壁を下アームが貫通しているので,加工液が加工槽から漏出するのを防止する必要があり,そのために,上記のとおり,図3に示す従来例ではシール部材67と蛇腹66が設けられ,図4と図5に示す従来例ではシール部材76とシール部材84が設けられ,図6に示す従来例では蛇腹88とシール部材87が設けられているのである。
【0009】
しかしながら,従来例の浸漬式ワイヤ放電加工機では,加工中に加工槽56の位置が変化することに伴って遮蔽板62には加工液の変動圧が絶えず加わっており,しかも加工槽56と遮蔽板62がX軸方向に相対移動する時には,遮蔽板62を支持するベアリング63,64の位置が変化するので,加工槽56と遮蔽板62との間の隙間72を常に一定に保つことができず,密封性が十分とはいえない。シール部材67の摩耗,スラッジによるシール部材67の損傷,シール部材67の劣化などに起因して,矢印で示すように,スラッジを含んだ加工液がシール部材67から漏れ,加工槽56の側壁57と遮蔽板62との間の小さな隙間72の間隔が変化することによって,漏れた加工液は遮蔽板62の上端面を乗り越えて背面側に流れ出し,加工液に含まれているスラッジがベアリング63,64に堆積し,その結果,ベアリング63,64が回転不良を起こして摺動抵抗が増加し,工作物の加工精度に悪影響を及ぼすという問題があった。また,図5に示す浸漬式ワイヤ放電加工機においても,矢印で示したように,シール部材76から漏れた加工液が遮蔽板78の上端面を乗り越えて背面側に流れ出し,支持板81にスラッジが堆積し,支持板81と遮蔽板78との間の摺動抵抗が増加することにより,同様の問題を引き起こしていた。
【0010】
そこで,加工槽の側壁と遮蔽板との間から加工液の漏出を完全に防止するため,両者間に強力なシール部材を設けることも考えられるが,そうすると,次のような不都合も生じる。即ち,強力なシール部材のために加工槽の側壁と遮蔽板との間に作用する摩擦力により加工槽の速やかな移動と位置の正確な制御が困難になる。
【0011】
結局,上記摺動抵抗増加の問題は,支持部材と遮蔽板とがX軸方向に相対移動すること,即ち支持部材が加工槽に取り付けられていることに起因する。これに対して,図6に示す浸漬式ワイヤ放電加工機では,遮蔽板85はY方向移動サドル86に直接固定されているので,上記のような問題は発生しない。しかし,図6に示す従来例の場合,遮蔽板85はその下部でY方向移動サドル86に固定されているため,水圧によって遮蔽板85の上部が開こうとする力を受け,シール部材87によるシール性能が低下することが考えられる。また,下アーム89と遮蔽板85との間の密封のために蛇腹88を使用しているが,加工槽90が下アーム89に対してY軸方向に相対移動する時に,蛇腹88内の加工液と加工槽90内の加工液との出入りが当該移動にとって常に抵抗として作用するため,工作物Wの加工精度に悪影響を及ぼす。
【0012】
また,図3に示す従来例では,加工槽56が遮蔽板62に対してX軸方向に相対的に移動できるようにするために,加工槽56に固定された押さえ板71に,遮蔽板62の背面,上面及び下面にそれぞれ当接するベアリング63,64を設けるとともに,遮蔽板62の背面側にピン68を植設し,Y方向移動サドル61と一体をなす支持金ストッパー69の上部にリング70を設け,ピン68をリング70に嵌合している。このように,従来例においては,加工槽56を遮蔽板62に対してX軸方向に相対移動可能にするために多数の部品が使用されており,部品点数が多いという問題がある。
【0013】
更に,図4,5に示す従来例では,遮蔽板78は上下の支持板81によって上下方向に移動できないように規制されており,しかも遮蔽板78の孔83と下アーム82との間にシール部材84が設けられているので,下アーム82の水平取付精度を上げる必要があり,組立が困難になるという問題がある。即ち,下アーム82の水平取付精度が悪い場合には,Y方向移動サドルがY軸方向へ移動する時に,シール部材84に過大な摺動抵抗が発生することになり,高い加工精度を保持することができなくなるという問題がある。この点に関しては,図6に示す従来例では,下アーム89が挿通される遮蔽板85の孔91を下アーム89の径よりも十分に大きく形成し,即ち遮蔽板85の孔91と下アーム89との間に大きな隙間を形成し,遮蔽板85と下アーム89との間に蛇腹88を設けて密封しているので,下アーム89の水平取付精度が多少悪くても,Y方向移動サドル92がY軸方向に移動する時に摺動抵抗が大きくなるということはないので,特に悪影響は発生しないが,上記のとおり,Y軸方向の移動の際には,蛇腹88内の加工液と加工槽90内の加工液との出入りが常に抵抗として作用するため,工作物の加工精度に悪影響を及ぼす。
【0014】
そこで,水圧に抗して遮蔽板を背面側から支持するための支持部材が遮蔽板の背面上を摺動しないように構成し,下アームと該下アームを挿通する遮蔽板の孔との間の隙間を密封するためのシール部材として蛇腹を使用することなく,支持アームの水平取付精度がラフであっても,前記シール部材に過大な摺動抵抗がかからないようにするために,如何にして遮蔽板を支持するかが課題となっている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,上記課題を解決することにより,部品点数が少なくて,下アームの水平取付精度を要求されることなく容易に組み立てることができ,加工液のシール部材からの漏れを防ぐことができ,工作物に対する高い加工精度を維持することのできる浸漬式ワイヤ放電加工機を提供することである。
【0016】
この発明は,加工機本体に取り付けられた上ワイヤヘッドを通じて供給されるワイヤ電極が通される下ワイヤヘッド,前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘッドとの間で加工液に浸漬した状態で工作物設置される加工槽,前記加工槽に形成された長孔を覆うように配設され且つ前記長孔と対向する孔が形成された遮蔽板,前記遮蔽板の前記孔と前記加工槽の前記長孔に挿通され且つ前記加工液中に突出して前記下ワイヤヘッドを支持すると共に前記加工機本体に取り付けられた支持アーム,前記支持アームの長手方向であるY軸方向に移動可能なY方向移動サドル,前記加工液の水圧に抗して前記遮蔽板を背面側から上下方向に変位可能に支持し且つ前記Y方向移動サドルに取り付けられた支持部材,前記Y方向移動サドル上に配置されて前記Y軸方向に直交するX軸方向に移動可能で且つ前記加工槽が載置されたX方向移動サドル,前記遮蔽板の前記X軸方向への移動を規制し且つ前記Y方向移動サドルに取り付けられた規制部材,前記支持アームと前記遮蔽板の前記孔との隙間を密封するシール部材,及び前記加工槽の前記長孔の周縁部に設けられ且つ前記遮蔽板の前面に接触して密封するシール部材を備えていることから成る浸漬式ワイヤ放電加工機に関する。
【0017】
この浸漬式ワイヤ放電加工機において,前記遮蔽板の背面に設けた補強リブは前記孔を挟んで前記遮蔽板の上部と下部に設けられている。また,前記支持部材は前記遮蔽板の各端部に上下に一対ずつ配置され,前記支持部材と前記補強リブによって前記遮蔽板の上下方向の変位量が規定されている。前記支持部材及び前記規制部材は前記Y方向移動サドルに固定されたポストに取り付けられている。前記支持部材及び前記規制部材はローラで構成されている
【0018】
また,支持部材は,ローラだけでなく,ころがり軸受やすべり軸受などであってもよい。更に,サドルとはY方向移動サドルを意味し,支持アームとは下アームを意味するものである。
【0019】
この浸漬式ワイヤ放電加工機は,上記のように構成されているため,遮蔽板を背面側から支持するための支持部材をサドル側に取り付けて,遮蔽板の背面に摺接する支持部材を不用としたので,スラッジの堆積による摺動抵抗の増大の問題は解消される。
【0020】
また,この浸漬式ワイヤ放電加工機では,遮蔽板を背面側から支持するための支持部材がサドル側に取り付けられているので,加工槽と遮蔽板が相対移動する時でも,加工槽と遮蔽板との間の隙間は常に一定に保たれ,シール部材による十分かつ確実な密封が得られるようになる。
【0021】
更に,この浸漬式ワイヤ放電加工機では,遮蔽板の背面に補強リブを設けたので,加工液の水圧を受けても遮蔽板は撓み難い。特に,補強リブは加工槽の長孔の長手方向(X軸方向)に沿って前記長孔の上部と下部に設けた場合には,遮蔽板の撓みに対する強度が十分に得られる。したがって,遮蔽板を薄くして強度を出すことができ,軽量化を図ることができる。また,遮蔽板は撓み難いから,遮蔽板を背面側から支持するための支持部材をサドル側に取り付け,遮蔽板をその両端部で支持することが可能となる。遮蔽板をその両端部で支持した場合には,支持部材の位置は加工槽から離れた位置になるので,たとえ加工液がシール部材から漏出したとしても,加工液が支持部材に付着することはない。
【0022】
また,遮蔽板は上下に変位可能に構成されているから,たとえ支持アームの水平取付精度がラフであっても,遮蔽板がY軸方向に移動する時に遮蔽板の孔の回りに設けたシール部材に過大な摺動抵抗が作用せず,高い加工精度を保持することができる。更に,支持部材及び規制部材として,ローラを使用した場合には,遮蔽板の上下方向の変位の際の抵抗が非常に少なくなるから,前記シール部材に作用する摺動抵抗は非常に小さくなり,より高い加工精度を維持することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照しながら,この発明の実施例を説明する。図1はこの発明による浸漬式ワイヤ放電加工機の一実施例を示す断面図,及び図2は図1の浸漬式ワイヤ放電加工機の要部を示す斜視図である。
【0024】
この浸漬式ワイヤ放電加工機において,加工槽1内には,イオン交換樹脂を経ることで水の比電気抵抗をコントロールされた加工液2が収容されている。加工槽1の底には,ベース3が敷設されており,加工槽1内に収容された加工液2中に工作物Wを浸漬した状態で支持するため,ベース3上に工作物支持台4がボルト5によって固定されている。工作物支持台4は,図1では1台のみ図示したが,同じ加工槽1の中に複数台設置することができる。工作物支持台4は,リード線6を介して加工槽1の外部から一方の電極に接続されている。工作物Wは,工作物取付具7(或いは,必要であれば,専用の取付金具)をボルト8によって工作物支持台4に締結することにより,工作物支持台4に固定される。
【0025】
工作物Wに対して所定の加工形状にワイヤ放電加工を行うために工作物Wとの間で放電をするワイヤ電極10は,ワイヤ放電加工機の加工機本体9に設けられている自動ワイヤ供給装置(図示せず)から供給される。ワイヤ電極10は,加工機本体9に取り付けられた上アーム11に支持された上ワイヤヘッド12と,加工機本体9のコラム50から加工槽1の側壁23を貫通して横方向に延びた下アーム13に支持された下ワイヤヘッド14によって案内される。上ワイヤヘッド12には,従来と同様に,ワイヤ送出口,ダイスガイド,噴流ノズル,給電子15,及び給電子押え等が組み込まれており,ワイヤ電極10を工作物Wの放電加工部位に送り出す。給電子16が組み込まれた下ワイヤヘッド14は,上ワイヤヘッド12と同様の構造を有しており,上ワイヤヘッド12に対向した位置に設けられていて上ワイヤヘッド12から繰り出されたワイヤ電極10を受け入れる。工作物Wは,上ワイヤヘッド12と下ワイヤヘッド14との間に設置される。上ワイヤヘッド12の給電子15と下ワイヤヘッド14の給電子16とをリード線17が結んでおり,リード線17には,リード線6に接続された極とは反対の極が与えられている。
【0026】
工作物Wに対して放電加工を行なったワイヤ電極10は,下ワイヤヘッド14に受け入れられた後,廃ワイヤ排出手段(図示せず)によって加工槽1から下アーム13の内部を通して外部へ排出される。加工槽1の加工液2が不足する場合には,加工液供給管18から補給される。加工液供給管18には供給コック19が設けられており,手動にて供給量を調節することができる。また,加工槽1内の加工液2を排出するために,加工液排出管20が加工槽1の底部に接続されている。加工液排出管20には排出コック21が設けられており,排出コック21は手動にて開閉可能である。
【0027】
図1に示すように,加工機本体9と一体の基台44に設けられたY軸移動用モータ(図示せず)の出力軸はねじ伝動作用をするY方向ねじ軸(図示せず)となっており,Y方向ねじ軸はY方向移動サドル35とねじ係合している。したがって,Y方向ねじ軸の回転によってY方向移動サドル35がY軸方向に移動する。また,Y方向移動サドル35にはX軸移動用モータ(図示せず)が取り付けられており,X軸移動用モータによって回転されるX方向ねじ軸49は,X方向移動サドル36とねじ係合している。したがって,X方向ねじ軸49の回転によってX方向移動サドル36がX軸方向(Y軸方向と直交する方向)に移動可能である。加工槽1は,ボルト及びナットのような固着具によってX方向移動サドル36に取り付けられ,X方向移動サドル36と共に移動する。上アーム11及び下アーム13は加工機本体9に対して位置不動であるので,このような移動サドル機構によって,加工槽1は,下アーム13の長手方向(Y軸方向)と,該長手方向と直交する方向(X軸方向)とで定められる水平面内においてワイヤ電極10に対する位置制御が可能である。
【0028】
次に,加工槽1の側壁23と下アーム13との関連構造について説明する。加工槽1の側壁23には,X軸方向に平行に延びる長孔24が形成されている。長孔24の上下の孔縁25,26は平行に配置されているが,左右の孔縁は半円弧状に形成されている。加工槽1の側壁23の外面には,図1に示すように,長孔24を覆うように遮蔽板22が設けられている。また,加工槽1の側壁23の外面には,シール部材27を保持するためのブロック28が長孔24の周縁部に取り付けられており,シール部材27は遮蔽板22の前面29に接触して加工槽1の側壁23と遮蔽板22との間を密封し,加工液2が加工槽1から漏出するのを防止している。遮蔽板22はテフロン(登録商標)等の低摩擦係数を有する材質で製作されているので,加工槽1がX軸方向に移動する際に,シール部材27と遮蔽板22との間の摺動抵抗は小さい。
【0029】
遮蔽板22の中心部には,下アーム13の径よりもやや大きい孔30,即ち少なくとも後述する距離Gよりも大きな径の孔30が形成されており,孔30の回りにリップ31を有する環状のシール部材32が設けられている。シール部材32のリップ31は下アーム13の外周面に当接して加工槽1内からの加工液2の漏出を防止するものである。また,遮蔽板22の上部と下部には,孔30を挟んで遮蔽板22の長手方向に沿って一対の補強リブ33,34が設けられている。この補強リブ33,34は,加工槽1内の水圧の作用で遮蔽板22が撓むのを防止する働きがあり,この補強リブ33,34を遮蔽板22に設けたことにより遮蔽板22を薄くしても十分な強度を確保することができ,遮蔽板22の軽量化を図ることができる。
【0030】
Y方向移動サドル35の両端部には,図2に示すように,それぞれL字型のポスト37,37が取り付けられている。それぞれのポスト37,37には,支持部材としての上下一対のローラ38,39と,規制部材としてのローラ40が取り付けられている。支持部材としてのローラ38,39は,支軸41が遮蔽板22の長手方向に沿うようにポスト37に連結具42を介して取り付けられているので,遮蔽板22の端部の背面43上を転動可能である。上下一対のローラ38,39は,上側の補強リブ33が上側のローラ38に当接しているときに,下側の補強リブ34と下側のローラ39との間に隙間Gができるように配置されているので,遮蔽板22は上下方向にその隙間分の距離Gだけ変位可能である。これに対して,規制部材としてのローラ40は,支軸45が下アーム13の長手方向に沿うようにポスト37に取り付けられているので,遮蔽板22の側端面46上を転動可能である。したがって,ローラ40はX軸方向への遮蔽板22の移動を規制すると同時に,遮蔽板22が上下方向に滑らかに変位し得るように案内する機能を持つものである。以上のとおりであるから,ローラ38,39とローラ40とが共働して,遮蔽板22は上下に小さな抵抗で滑らかに変位することができる。
【0031】
また,遮蔽板22は,ポスト37,37に設けられたローラ38,39,40によって,その両端部で支持されているので,加工液が漏れ出す位置,即ちシール部材27,32から離れた位置にローラ38,39,40が位置していることになるから,たとえ加工液がシール部材27,32から漏出したとしても,ローラ38,39,40にその加工液が付着することはなく,スラッジが堆積することもないから,遮蔽板22の上下方向の変位が妨げられることはない。
【0032】
この浸漬式ワイヤ放電加工機は,上記のとおり,二種類のローラ38,39及びローラ40と上下の補強リブ33,34が協働して遮蔽板22が距離Gだけ上下方向に変位可能に構成され,しかも遮蔽板22は低摩擦係数の材質で作られ且つ軽量であるから,下アーム13の水平取付精度がラフな場合,即ち遮蔽板22の孔30の中心が下アーム13の中心軸とずれているような場合には,遮蔽板22は両方の中心が一致するように上下方向に軽い力で変位することができる。このため,Y方向移動サドル35がY軸方向に移動するとき,即ち加工槽1及び遮蔽板22がY方向に移動するとき,下アーム13と該下アーム13が挿通された遮蔽板22の孔30との間の隙間を密封するためのシール部材32に過大な摺動抵抗がかからず,このため高い加工精度を保持することができる。
【0033】
この浸漬式ワイヤ放電加工機においては,遮蔽板22を背面43側から支持するためのローラ38,39がY方向移動サドル35の両端部に固定されたポスト37に取り付けられているので,加工槽1と遮蔽板22が相対移動する時でも,遮蔽板22の支持位置が変化しないから,加工槽1の側壁23と遮蔽板22との間の隙間は常に一定に保たれ,シール部材27による十分かつ確実な密封が得られるようになる。
【0034】
Y方向移動サドル35に固定されたポスト37には,ローラ38,39,40の他に,図2に示すように連結具47を介して樋48も取り付けられている。樋48は加工槽1の側壁23に沿って遮蔽板22の下方に配置されており,Y方向移動サドル35と共にY軸方向にのみ移動可能である。加工液中には放電加工の結果として発生した微細なスラッジやカーボン類が混入しているので,シール部材27,32を傷めることがあり,シール部材27やシール部材32から加工液が漏出することもあり得る。この樋48は,シール部材27やシール部材32から漏出し滴下してきた加工液を回収することができるものである。樋48のX軸方向長さは,加工槽1のX軸方向の全移動範囲にわたって加工槽1をカバーすることのできる程度の長さである。
【0035】
【発明の効果】
この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機は,上記のように構成されているので,次のような効果を有する。即ち,この浸漬式ワイヤ放電加工機は,水圧に抗して遮蔽板を支持するための支持部材を加工槽に取り付けずに,サドル側に取り付けるようにしたので,加工槽がX軸方向へ移動する際に,支持部材と遮蔽板とが摺動することはないうえ,従来のように支持部材へのスラッジの堆積による摺動抵抗の増大もないから,高い加工精度を保持することができるようになる。
【0036】
また,この浸漬式ワイヤ放電加工機は,遮蔽板が上下方向に変位可能に構成されているので,支持アームの水平取付精度が多少よくない場合でも,遮蔽板に設けたシール部材に過大な摺動抵抗がかからないように,遮蔽板が上下方向に変位して上下位置が自動的に調整される。それゆえ,支持アームを組み立てる際に高い水平取付精度を要求する必要がなくなったので,浸漬式ワイヤ放電加工機の組立が容易に行えるようになる。特に,遮蔽板の背面側に補強リブを設けて,遮蔽板を薄くて強度のある軽量化されたものにすると共に,支持部材及び規制部材をローラとした場合には,遮蔽板の上下方向の変位の際の抵抗はもっと小さくなるので,その効果はより大きなものになる。
【0037】
また,前記支持部材は前記遮蔽板の各端部に上下に一対ずつ配置され,前記支持部材と前記補強リブによって前記遮蔽板の上下方向の変位量を規定するように構成したので,補強リブが遮蔽板を補強する機能と遮蔽板の上下方向の変位量を規定する機能の二つの機能を併せ持つことになり,部品点数を削減することができる。また,支持部材と規制部材とをサドルに固定されたポストに取り付けるようにした場合には,即ち一つのポストに二つの部材を取り付けるようにした場合には,部品点数を減らすことができる。さらに,サドルに固定されたポストは,シール部材から漏出した加工液を回収するための樋を取り付けるためにも利用することができ,樋を取り付けるために特別の部材を必要としないという意味においても,部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の浸漬式ワイヤ放電加工機の要部を示す斜視図である。
【図3】従来の浸漬式ワイヤ放電加工機を示す断面図である。
【図4】従来の別の浸漬式ワイヤ放電加工機を示す斜視図である。
【図5】図4のA−A線における断面図である。
【図6】 従来の更に別の浸漬式ワイヤ放電加工機を示す断面図である。
【符号の説明】
1 加工槽
2 加工液
9 加工機本体
10 ワイヤ電極
12 上ワイヤヘッド
13 下アーム(支持アーム)
14 下ワイヤヘッド
22 遮蔽板
23 加工槽の側壁
24 加工槽の長孔
27,32 シール部材
29 遮蔽板の前面
33 上側の補強リブ
34 下側の補強リブ
35 Y方向移動サドル(サドル)
37 L字型ポスト(ポスト)
38,39 ローラ(支持部材)
40 ローラ(規制部材)
41 支持部材の支軸
43 遮蔽板の背面
45 規制部材の支軸
W 工作物

Claims (5)

  1. 加工機本体に取り付けられた上ワイヤヘッドを通じて供給されるワイヤ電極が通される下ワイヤヘッド,前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘッドとの間で加工液に浸漬した状態で工作物設置される加工槽,前記加工槽に形成された長孔を覆うように配設され且つ前記長孔と対向する孔が形成された遮蔽板,前記遮蔽板の前記孔と前記加工槽の前記長孔に挿通され且つ前記加工液中に突出して前記下ワイヤヘッドを支持すると共に前記加工機本体に取り付けられた支持アーム,前記支持アームの長手方向であるY軸方向に移動可能なY方向移動サドル,前記加工液の水圧に抗して前記遮蔽板を背面側から上下方向に変位可能に支持し且つ前記Y方向移動サドルに取り付けられた支持部材,前記Y方向移動サドル上に配置されて前記Y軸方向に直交するX軸方向に移動可能で且つ前記加工槽が載置されたX方向移動サドル,前記遮蔽板の前記X軸方向への移動を規制し且つ前記Y方向移動サドルに取り付けられた規制部材,前記支持アームと前記遮蔽板の前記孔との隙間を密封するシール部材,及び前記加工槽の前記長孔の周縁部に設けられ且つ前記遮蔽板の前面に接触して密封するシール部材を備えていることから成る浸漬式ワイヤ放電加工機。
  2. 前記遮蔽板の背面に設けた補強リブは前記孔を挟んで前記遮蔽板の上部と下部に設けられていることから成る請求項1に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  3. 前記支持部材は前記遮蔽板の各端部に上下に一対ずつ配置され,前記支持部材と前記補強リブによって前記遮蔽板の上下方向の変位量が規定されていることから成る請求項2に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  4. 前記支持部材及び前記規制部材は,前記Y方向移動サドルに固定されたポストに取り付けられていることから成る請求項に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  5. 前記支持部材及び前記規制部材はローラで構成されていることから成る請求項に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
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