JP3669640B2 - 排気ガス浄化用触媒およびその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は排気ガス浄化用触媒、特に、触媒素子と、固体酸性および分子篩性を有するアルミノシリケートとを備え、その触媒素子はアルミナとそのアルミナに担持された触媒用金属とよりなる排気ガス浄化用触媒およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記触媒素子におけるアルミナとしては、γ相および/またはη相を有する活性アルミナが用いられ、また触媒用金属としてはPtが用いられている。この場合、アルミノシリケートは支持体としての機能を持つと共にHC等に対する吸着能を有する(例えば、特公昭56−27295号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、活性アルミナにPtを担持させると、その活性アルミナが多孔質であって大きな比表面積を持つことから、Ptが高分散されるため、PtによるHC吸着能およびNOx吸着能は向上するが、その反面、酸素過剰雰囲気(例えば、空燃比A/F≒24)においては、触媒によってHC(炭化水素)の完全酸化、つまりHC→CO2 +H2 Oの酸化反応が進行し、HCの部分酸化物であってNOx還元能を有する活性CHOの生成量が不足すると共にPt表面に吸着した酸素による還元阻害作用が生じ易いため、NOxの還元浄化を十分に行うことができず、またNOxに対する触媒の浄化温度域が狭くなる、という問題がある。
【0004】
本発明は前記に鑑み提案されたものであって、特定量の触媒用金属を担持させるアルミナとして、α化率を特定範囲に設定した改質アルミナ、即ち、活性アルミナよりも比表面積を低下させたものを用いことによって、HCの部分酸化を広い排気ガス温度範囲で現出させ、また未改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られた特定量の改質ZSM−5ゼオライトを併用して、これに活性CHOの吸脱作用を行わせ、それらにより、NOxに対する触媒の浄化温度域が拡張されると共に酸素過剰雰囲気においてもNOx浄化率を向上させることのできる前記触媒およびその触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒素子と、固体酸性および分子篩性を有するアルミノシリケートとを備え、前記触媒素子はアルミナとそのアルミナに担持された触媒用金属とよりなる排気ガス浄化用触媒において、前記アルミナが、α化率Rを0.1%≦R≦95%に設定された改質アルミナであると共に、前記アルミノシリケートが、未改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られた改質ZSM−5ゼオライトであり、また前記触媒素子の配合重量をAとし、一方、前記改質ZSM−5ゼオライトの配合重量をBとしたとき、前記触媒素子の重量比率A1 ={A/(A+B)}×100は11重量%≦A1 <95重量%に設定され、さらに前記触媒用金属は白金族から選択される少なくとも一種の金属であり、前記触媒素子における前記触媒用金属の重量比率a1 は0.1重量%<a1 ≦5重量%に設定されることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法は、活性アルミナに、加熱温度Tを800℃≦T≦1100℃に設定した熱処理を施して、その活性アルミナよりα化率Rが0.1%≦R≦95%である改質アルミナを得る工程と、その改質アルミナに、白金属から選択される少なくとも一種の触媒用金属を担持させて触媒素子を作製し、その際、前記触媒素子における前記触媒用金属の重量比率a1 を0.1重量%<a1 ≦5重量%に設定する工程と、前記触媒素子と、未改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られ固体酸性および分子篩性を有する改質ZSM−5ゼオライトとを混合し、その際、前記触媒素子の配合重量をAとし、一方、前記改質ZSM−5ゼオライトの配合重量をBとしたとき、前記触媒素子の重量比率A1 ={A/(A+B)}×100を11重量%≦A1 <95重量%に設定する工程と、を順次行うことを特徴とする。
【0007】
【作 用】
α化率Rを前記のように設定すると、改質アルミナの比表面積は、それがα相を有することから、γ相等を持つ活性アルミナのそれに比べて小さくなる。したがって、この改質アルミナに特定量の触媒用金属を担持させると、活性アルミナに比べてその金属の分散性が抑制されるので、触媒はHCに対して比較的弱い酸化能を発揮する。
【0008】
また改質ZSM−5ゼオライトは、脱Al処理によってその疏水性が高められ、また未改質ZSM−5ゼオライトが持つ基本骨格構造を備える上にAl離脱による比表面積の拡張が図られていることから、その特性である吸着能が増進されるから、水分存在下においてもHCおよび活性CHOに対して良好な吸着能を発揮し、さらに改質ZSM−5ゼオライトは脱Al処理により結晶性の向上が図られ、また熱分解生成物の核の発生が抑制されているので、その耐熱温度が1000°C程度に高められる。
【0009】
これにより、HCが部分酸化されてNOx還元能を有する活性CHOが生成され、この活性CHOの生成は、広い排気ガス温度範囲で行われると共に改質ZSM−5ゼオライトが活性CHOの一部を吸着して貯蔵し、またその一部を離脱して供給するので、最初からフリー状態の活性CHOおよび離脱によりフリー状態となった活性CHOによりNOxが還元浄化され、またその浄化温度域も拡張される。
【0010】
前記触媒のNOx浄化能は排気ガスの低温側で高いので、その高温側で高いNOx浄化能を発揮する触媒、例えば改質ZSM−5ゼオライトにCeO2 を担持させたものと組合わせると、NOxの浄化温度範囲を一層拡張することができる。
【0011】
さらに、改質アルミナは安定相であるα相を有するので、活性アルミナにおける相変化に伴う細孔閉塞、それによる触媒用金属の埋没等を生じにくく、したがって優れた耐熱性を有し、触媒能の高温劣化度合が小さい。
【0012】
ただし、改質アルミナにおいて、α化率RがR<0.1%ではその比表面積の縮小程度が小さいため所期の目的を達成することができず、一方、R>95%では、α化率の過度の進行に伴い細孔が閉塞されてその比表面積が大幅に縮小され、その結果触媒用金属の分散性か極端に悪化してNOx吸着能が激減する。また触媒素子の重量比率A1 がA1 <11重量%であると、触媒素子による触媒能の減退によりNOx浄化率が低くなり、一方、A1 が≧95重量%では改質ZSM−5ゼオライトによる前記吸脱作用が減退するので、同様にNOx浄化率が低くなる。
【0013】
さらに、触媒用金属の重量比率a1 がa1 ≦0.1重量%では触媒能の減退によりNOx浄化率が低くなり、一方、a1 >5重量%に設定しても触媒用金属の担持量増に見合うだけのNOx浄化効果が得られない。
【0014】
前記製造方法によれば、前記のような特性を有する触媒を容易に量産することができる。ただし、熱処理における加熱温度TがT<800℃では、γ相および/またはη相のα相への相変化をスムーズに進行させることができず、一方、T>1100℃では、α化率Rの上限値(R=95%)の制御が困難となる。
【0015】
【実施例】
排気ガス浄化用触媒は、触媒素子と、固体酸性および分子篩性を有するアルミノシリケートとの混合物であり、その触媒素子はアルミナと、そのアルミナに担持された触媒用金属とよりなる。
【0016】
アルミナとしては、α相を有する改質アルミナが用いられ、また触媒用金属としては、白金属から選択される少なくとも一種、この実施例ではPtが用いられている。さらに、アルミノシリケートとしては、改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られた改質ZSM−5ゼオライトが用いられている。
【0017】
改質アルミナのα化率Rは0.1%≦R≦95%、好ましくは45%≦R≦90%に設定される。そのα化率Rの測定は次のような方法で行われた。
(i) 市販のα−アルミナとγ−アルミナ(活性アルミナ)とを所定の重量比率で配合し、各配合物を乳鉢にて30分間粉砕しつつ混合した。表1は、各配合物(1)〜(5)の組成を示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003669640
【0019】
(ii) 各配合物(2)〜(5)について粉末X線回折を行い、CuKα線における2θ=43.4±0.2°に現出するα−アルミナの{113}面のX線反射強度を測定した。
(iii) 配合物(5)のX線反射強度を100%として、配合物(2)〜(4)のX線反射強度比率を求め、α−アルミナの重量比率とX線反射強度比率との関係を求めたところ、図1の結果を得た。
【0020】
図1から明らかなように、α−アルミナの重量比率とX線反射強度比率とは正比例関係にあり、したがってα−アルミナの重量比率をα化率Rとし、改質アルミナのα化率Rの決定に当っては、その改質アルミナにおけるα−アルミナの{113}面のX線反射強度を測定して、配合物(5)のX線反射強度からX線反射強度比率を求め、そのX線反射強度比率に基づき図1よりα化率Rを求める。
【0021】
α化率Rを前記のように設定すると、改質アルミナの比表面積は、それがα相を有することから、γ相等を持つ活性アルミナのそれに比べて小さくなる。したがって、この改質アルミナにPtを担持させると、活性アルミナに比べてPtの分散性が抑制されるので、触媒はHCに対して比較的弱い酸化能を発揮する。
【0022】
これにより、HCが部分酸化されてNOx還元能を有する活性CHOが生成され、この活性CHOの生成は広い排気ガス温度範囲で行われると共に改質ZSM−5ゼオライトが活性CHOの一部を吸着して貯蔵し、またその一部を離脱して供給するので、その活性CHOによりNOxが還元浄化され、またその浄化温度域も拡張される。
【0023】
さらに、改質アルミナは、安定相であるα相を有するので、活性アルミナにおける相変化に伴う細孔閉塞、それによるPtの埋没等を生じにくく、したがって優れた耐熱性を有し、触媒能の高温劣化度合が小さい。
【0024】
未改質ZSM−5ゼオライトに対する脱Al処理としては、酸処理、スチーム処理または沸騰水処理の少なくとも一つの処理が適用される。
【0025】
酸処理としては、0.5〜5NのHCl溶液を70〜90℃に昇温し、そのHCl溶液中に未改質ZSM−5ゼオライトを投入して1〜20時間攪拌する、といった方法が採用される。
【0026】
また沸騰水処理としては、未改質ZSM−5ゼオライトに含水処理を施し、その含水状態の未改質ZSM−5ゼオライト周りの雰囲気温度を550〜600℃まで昇温し、その高温雰囲気下に未改質ZSM−5ゼオライトを4時間程度保持する、といった方法が採用される。
【0027】
さらにスチーム処理としては、未改質ZSM−5ゼオライトを、10%程度の水分を含む750〜900℃の雰囲気下に10〜20時間保持する、といった方法が採用される。
これら酸処理、沸騰水処理およびスチーム処理は、単独または2以上組合わせて適用され、また必要に応じて繰返される。これにより改質ZSM−5ゼオライトが得られ、そのSiO2 /Al2 3 モル比は25〜800である。
【0028】
このような改質ZSM−5ゼオライトは、脱Al処理によってその疏水性が高められ、また未改質ZSM−5ゼオライトが持つ基本骨格構造を備えている上でAl離脱による比表面積の拡張が図られていることから、その特性である吸着能が増進される。これにより改質ZSM−5ゼオライトは、水分存在下においてもHCおよび活性CHOに対して良好な吸着能を発揮する。
【0029】
さらに改質ZSM−5ゼオライトは脱Al処理により結晶性の向上が図られ、また熱分解生成物の核の発生が抑制されているので、その耐熱温度は1000℃程度に高められている。
【0030】
前記触媒において、そのNOxの浄化率向上を図るべく、触媒素子の配合重量をAとし、また改質ZSM−5ゼオライトの配合重量をBとしたとき、触媒素子の重量比率A1 ={A/(A+B)}×100は11重量%≦A1 <95重量%に設定される。
【0031】
前記同様にNOxの浄化率向上を図るべく、前記触媒において、Ptの配合重量をaとし、また改質アルミナの配合重量をbとしたとき、Ptの重量比率a1 ={a/(a+b)}×100は0.1重量%<a1 ≦5重量%に設定される。
【0032】
触媒の製造に当っては、基本的には、γ−アルミナ等の活性アルミナに、加熱温度Tを800℃≦T≦1100℃、好ましくは900℃≦T≦1050℃に設定した熱処理を施して、その活性アルミナより、α相を有し、且つα化率Rが0.1%≦R≦95%である改質アルミナを得る工程と、その改質アルミナにPtを担持させて触媒素子を得る工程と、その触媒素子と改質ZSM−5ゼオライトとを混合する工程と、を順次行う。
【0033】
この場合、活性アルミナにPtを担持させた後、前記同様の熱処理を行って、その活性アルミナより改質アルミナを得るようにしてもよい。また触媒の形態は前記混合物に限らず、触媒素子よりなる上層と改質ZSM−5ゼオライトよりなる下層とを有する積層構造にすることも可能である。
【0034】
改質アルミナまたは活性アルミナに対するPtの担持は、改質アルミナ等をヘキサクロロ白金酸(H2 PtCl6 )溶液中に浸漬することによって行われる。この場合、Ptの重量比率a1 が0.1重量%<a1 ≦5重量%となるように、ヘキサクロロ白金酸溶液のPt濃度を調整する。白金化合物としては、Pt(NH3 2 (NO2 2 等のPtを含む各種化合物が適用可能である。
【0035】
以下、具体例について説明する。
A.改質アルミナの製造
市販の活性アルミナ(γ−アルミナ、α化率R=0%)に、電気炉を用い、大気下にて加熱温度Tおよび加熱時間を変えて熱処理を施し、α化率を異にする各種改質アルミナを得た。
【0036】
表2は、改質アルミナの例1〜11に関する熱処理条件およびα化率Rを示す。
【0037】
【表2】
Figure 0003669640
【0038】
B.改質ZSM−5ゼオライトの製造
(a) SiO2 /Al2 3 モル比=33.7のNa型未改質ZSM−5ゼオライト500gを90℃の5N HCl溶液中に投入し、次いで20時間攪拌を行ってスラリー状物を得た。
(b) スラリー状物から固形分を濾別し、その固形分をそれの20倍量の純水で洗浄した。
(c) 固形分に、大気中、100℃、5時間の条件で乾燥処理を施し、次いで乾燥後の固形分に、大気中、400℃、12時間の焼成処理を施して塊状の改質ZSM−5ゼオライトを得た。
(d) 塊状改質ZSM−5ゼオライトに粉砕処理を施して粉末状改質ZSM−5ゼオライトを得た。この改質ZSM−5ゼオライトのSiO2 /Al2 3 モル比は41.3であり、したがって脱Alが発生していることが判る。また改質ZSM−5ゼオライトの耐熱温度は1000℃であった。
〔実施例I〕
A.触媒の製造
(a) 表2における例9、したがってα化率R=81%の改質アルミナ98.5gをヘキサクロロ白金酸溶液21.4g(Pt濃度7.0%)に投入して十分に混合し、次いで固形分を濾別し、その後固形分に120℃、1時間の条件で乾燥処理を施し、さらに固形分に、大気中、600℃、1時間の条件で焼成処理を施してPtの重量比率a1 がa1 =1.5重量%の触媒素子を得た。
(b) 触媒素子90g、改質ZSM−5ゼオライト90g、20%シリカゾル100gおよびエタノール240gと、アルミナボールとをポットに投入して、12時間の湿式粉砕を行ってスラリー状触媒を調製した。この場合、触媒素子の重量比率A1 はA1 =50重量%である。
【0039】
このスラリー状触媒に直径25.5mm、長さ60mm、300セル−10.5ミルのコージエライト製ハニカム支持体を浸漬し、次いでそのハニカム支持体をスラリー状触媒より取出して過剰分をエア噴射により除去し、その後ハニカム支持体を120℃の加熱下に保持してスラリー状触媒を乾燥し、さらにハニカム支持体に、大気中、600℃、1時間の条件で焼成処理を施して、触媒をハニカム支持体に保持させた。この場合、ハニカム支持体における触媒の保持量は150g/リットルであった。この触媒を実施例1とする。
【0040】
比較のため、アルミナとして前記市販の活性アルミナを用いた以外は前記同様の方法でスラリー状触媒を調製し、そのスラリー状触媒と前記同様のハニカム支持体とを用い、前記同様の方法で触媒をハニカム支持体に保持させた。この場合、ハニカム支持体における触媒の保持量は前記と同じであり、この触媒を比較例1とする。
B.排気ガス想定浄化テスト
理論空燃比A/F=14.6および酸素過剰雰囲気での空燃比A/F=24.3に対応する排気ガスを想定して表3に示す組成を備えた二種のテスト用第1,第2ガスを調製した。
【0041】
【表3】
Figure 0003669640
【0042】
浄化テストは、先ず、実施例1の触媒を固定床流通式反応装置に設置し、次いでその装置内にテスト用第1ガスを空間速度S.V.=5×104 -1で流通させると共にテスト用第1ガスの温度を常温より20℃/min で上昇させ、所定のガス温度にてHC,COおよひNOの浄化率を測定した。またテスト用第2ガスを用いて前記と同様の方法でHC等の浄化率を測定した。さらに同様の浄化テストを比較例1の触媒についても行った。
【0043】
表4は各種条件および測定結果を示す。
【0044】
【表4】
Figure 0003669640
【0045】
表4から明らかなように、実施例1の触媒はHC等の浄化率が高く、特に空燃比A/F=24.3といった酸素過剰雰囲気におけるNO浄化率は比較例1の触媒の約2倍である。これは、前記のようにα化率R=81%の改質アルミナとα化率R=0%の活性アルミナとの物性差に起因する。
〔実施例II〕
実施例Iと同様の方法で各種触媒を製造した。この場合、触媒素子と改質ZSM−5ゼオライトとの合計配合重量は実施例Iと同様に180gに設定された。
【0046】
表5は、実施例1〜6の触媒と比較例1,2の触媒における改質アルミナのα化率R、組成、最大NO浄化率rおよびその浄化率rが得られるときのガス温度を示す。
【0047】
これら触媒においては、Ptの重量比率a1 がa1 =1.5重量%(一定)、また触媒素子の重量比率A1 がA1 =25重量%(一定)であって、改質アルミナのα化率Rが変化している。
【0048】
浄化テストは、実施例Iにおけるテスト用第2ガス(A/F=24.3)を用いて、実施例Iと同一の方法で行われた。これは後述する他の触媒についても同じである。
【0049】
【表5】
Figure 0003669640
【0050】
表6は実施例7〜14の触媒と比較例3,4の触媒における改質アルミナのα化率R、組成、最大NO浄化率rおよびその浄化率rが得られるときのガス温度を示す。
【0051】
これら触媒においては、Ptの重量比率a1 がa1 =1.5重量%(一定)、また触媒素子の重量比率A1 がA1 =50重量%(一定)であって、改質アルミナのα化率Rが変化している。
【0052】
【表6】
Figure 0003669640
【0053】
表7は実施例15〜19の触媒と比較例5,6の触媒における改質アルミナのα化率R、組成、最大NO浄化率rおよびその浄化率rが得られるときのガス温度を示す。
【0054】
これら触媒においては、Ptの重量比率a1 がa1 =1.5重量%(一定)、また触媒素子の重量比率A1 がA1 =75重量%(一定)であって、改質アルミナのα化率Rが変化している。
【0055】
【表7】
Figure 0003669640
【0056】
図2は、表5〜7に基づいて、改質アルミナのα化率Rと最大NO浄化率rとの関係をグラフ化したものである。図中、点1〜19は実施例1〜19にそれぞれ対応し、また点(1)〜(6)は比較例1〜6にそれぞれ対応する。
【0057】
図2および表5〜7から明らかなように、比較例1,3,5の触媒におけるアルミナは活性アルミナであって、そのα化率RはR=0%である。また比較例2,4,6の触媒におけるアルミナはα−アルミナであって、そのα化率RはR=100%である。この場合の最大NO浄化率rの最高値は比較例1,3の触媒における22%であり、したがって実施例1〜19の触媒のように、触媒素子の重量比率A1 が11重量%≦A1 <95重量%、またPtの重量比率a1 が0.1重量%<a1 ≦5重量%において、改質アルミナのα化率Rを0.1%≦R≦95%に設定することによって最大NO浄化率rを酸素過剰雰囲気においてr>22%に向上させることができる。図2より、改質アルミナのα化率Rを45%≦R≦90%に設定すると、最大NO浄化率rを32%≦r≦55%といったように一層向上させることが可能であり、このことから、改質アルミナのα化率Rの好ましい範囲は45%≦R≦90%であることが判る。
【0058】
表8は実施例20〜25の触媒と比較例7,8の触媒における改質アルミナのα化率R、組成、最大NO浄化率rおよびその浄化率rが得られるときのガス温度を示す。
【0059】
これら触媒においては、改質アルミナのα化率RがR=81%(一定)、またPtの重量比率a1 がa1 =1.5重量%(一定)であって、触媒素子の重量比率A1 が変化している。
【0060】
【表8】
Figure 0003669640
【0061】
図3は表5〜8に基づき、改質アルミナのα化率R=81%およびPtの重量比率a1 =1.5重量%において、触媒素子の重量比率A1 と最大NO浄化率rとの関係をグラフ化したものである。図中、点6,12,19,20〜25は実施例6,12,19,20〜25にそれぞれ対応し、また点(7),(8)は比較例7,8にそれぞれ対応する。
【0062】
図3および表8から明らかなように比較例7の触媒における触媒素子の重量比率A1 はA1 =10重量%であり、また比較例8の触媒におけるそれはA1 =95重量%である。この場合の最大NO浄化率rの最高値は比較例8の触媒における22%であり、したがって実施例6,12,19,20〜25の触媒のように、改質アルミナのα化率Rが0.1%≦R≦95%、またPtの重量比率a1 が0.1重量%<a1 ≦5重量%において、触媒素子の重量比率A1 を11重量%≦A1 <95重量%に設定することによって最大NO浄化率rを、酸素過剰雰囲気において、r>22%に向上させることができる。図3より、触媒素子の重量比率A1 を12重量%≦A1 ≦80重量%に設定すると最大NO浄化率rをr≧36%に向上させることが可能であり、このことから触媒素子の重量比率A1 の好ましい範囲は12重量%≦A1 ≦80重量%であることが判る。
【0063】
表9は実施例26,27の触媒と比較例9の触媒における改質アルミナのα化率R、組成、最大NO浄化率rおよびその浄化率rが得られるときのガス温度を示す。
【0064】
これら触媒においては、改質アルミナのα化率RがR=81%(一定)、また触媒素子の重量比率A1 がA1 =50重量%(一定)であって、Ptの重量比率a1 が変化している。
【0065】
【表9】
Figure 0003669640
【0066】
表9から明らかなように比較例9の触媒におけるPtの重量比率a1 はa1 =0.1重量%である。この場合の最大NO浄化率rの最高値は22%であり、したがって実施例26,27の触媒のように、改質アルミナのα化率が0.1%≦R≦95%、また触媒素子の重量比率A1 が11重量%≦A1 <95重量%において、Ptの重量比率a1 を0.1重量%<a1 ≦5重量%に設定することによって最大NO浄化率rを、酸素過剰雰囲気において、r>22%に向上させることができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、特定量の触媒用金属を担持させるアルミナとして、α化率を特定範囲に設定した改質アルミナ、即ち、活性アルミナよりも比表面積を低下させたものを用いることによって、HCの部分酸化を広い排気ガス温度範囲で現出させることができ、その上、未改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られた、耐熱温度が高い特定量の改質ZSM−5ゼオライトを併用して、これに活性CHOの吸脱作用を行わせることができるようにしたので、NOxに対する触媒の浄化温度域が拡張されると共に酸素過剰雰囲気においてもNOx浄化率の高い排気ガス浄化用触媒が得られる
【0068】
また特に請求項2の発明によれば、前記のような特性を有する触媒を容易に量産することが可能な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 α−アルミナの重量比率とX線反射強度比率との関係を示すグラフである。
【図2】 改質アルミナのα化率と最大NO浄化率との関係を示すグラフである。
【図3】 触媒素子の重量比率と最大NO浄化率との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 触媒素子と、固体酸性および分子篩性を有するアルミノシリケートとを備え、前記触媒素子はアルミナとそのアルミナに担持された触媒用金属とよりなる排気ガス浄化用触媒において、
    前記アルミナが、α化率Rを0.1%≦R≦95%に設定された改質アルミナであると共に、前記アルミノシリケートが、未改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られた改質ZSM−5ゼオライトであり、また前記触媒素子の配合重量をAとし、一方、前記改質ZSM−5ゼオライトの配合重量をBとしたとき、前記触媒素子の重量比率A1 ={A/(A+B)}×100は11重量%≦A1 <95重量%に設定され、さらに前記触媒用金属は白金族から選択される少なくとも一種の金属であり、前記触媒素子における前記触媒用金属の重量比率a1 は0.1重量%<a1 ≦5重量%に設定されることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 前記触媒用金属はPtである、請求項記載の排気ガス浄化用触媒。
  3. 活性アルミナに、加熱温度Tを800℃≦T≦1100℃に設定した熱処理を施して、その活性アルミナよりα化率Rが0.1%≦R≦95%である改質アルミナを得る工程と、その改質アルミナに、白金属から選択される少なくとも一種の触媒用金属を担持させて触媒素子を作製し、その際、前記触媒素子における前記触媒用金属の重量比率a1 を0.1重量%<a1 ≦5重量%に設定する工程と、前記触媒素子と、未改質ZSM−5ゼオライトに脱Al処理を施して得られ固体酸性および分子篩性を有する改質ZSM−5ゼオライトとを混合し、その際、前記触媒素子の配合重量をAとし、一方、前記改質ZSM−5ゼオライトの配合重量をBとしたとき、前記触媒素子の重量比率A1 ={A/(A+B)}×100を11重量%≦A1 <95重量%に設定する工程と、を順次行うことを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
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