JP3669396B2 - ケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ化合物やウレタン化合物などに添加して無機材料、例えばガラス、鉄、アルミニウム、ステンレススチール等の金属などに対する接着改良剤として用いられる下記一般式(1)で示されるケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生防止方法に関する。
【0002】
【化3】
(式中、R1はメチル基又はエチル基、R2は炭素数1〜10の2価炭化水素基、R3,R4は炭素数1〜10の同一でも異なってもよい1価炭化水素基、nは0,1又は2を示す。)
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、上記一般式(1)で表される化合物は、エポキシ化合物やポリウレタン化合物に添加し、無機材料への接着改良剤として有用である。これは、通常知られているアミノ官能性シランカップリング剤、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランをエポキシ化合物やポリウレタン化合物に添加すると、室温でも反応するため、保存安定性が悪く使用できないものであるのに対し、本化合物は、この構造のままでは不活性で反応性を示さないが、湿気あるいは水分と接触すると容易に崩壊して1級アミノ基が再生され、アミノ基の反応性が復活するという特徴をもっていることによる。しかしながら、本化合物は熱や光により分解し、低沸の悪臭物質を発生するという問題が生じている。
【0004】
しかしながら、現在までのところ、この化合物の分解を防ぎ、悪臭物質の発生を防止する技術は確立されておらず、この改良が求められている。
【0005】
本発明はこのような不利、欠点を解決したケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生防止方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、上記式(1)で表されるケチミン構造含有の有機珪素化合物は、熱あるいは光による分解で低沸の各種アルデヒド、カルボン酸を生じ、これが原因で悪臭を生じることを知見した。このため、種々の脱臭、防臭方法の検討を進めた結果、本化合物に製造中あるいは製造後、酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、特に好ましくはヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)を添加することにより、熱による酸化が防止され、悪臭が防止されることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
従って、本発明は、上記一般式(1)で表されるケチミン構造含有有機珪素化合物に酸化防止剤を添加することを特徴とする上記一般式(1)で表されるケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生防止方法を提供する。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明において使用するケチミン構造含有の有機珪素化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0009】
【化4】
【0010】
式中、R1はCH3−又はCH3CH2−を示し、R2は炭素数1〜10の2価炭化水素基を示し、例えば−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−(CH2)8−、−(CH2)10−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH2−等のアルキレン基やアリーレン基などが挙げられ、R3,R4は同一でも異なってもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基を示し、例えば−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−(CH2)3−CH3、−CH(CH3)CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−(CH2)5−CH3、−(CH2)7−CH3、−(CH2)9−CH3等のアルキル基、更にシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などが挙げられ、nは0,1又は2を示す。
【0011】
これらの化合物としては、例えば下記のものが示される。
【0012】
【化5】
【0013】
本発明においては、上記ケチミン構造含有有機珪素化合物に酸化防止剤を添加する。酸化防止剤としては、適宜選定されるが、フェノール系酸化防止剤が好ましい。このフェノール系酸化防止剤としては、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)などを挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0014】
ケチミン構造含有有機珪素化合物への酸化防止剤の添加量は任意であるが、ケチミン構造含有有機珪素化合物の性能を低下させないことが必要であり、該化合物に対し0.001〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量%程度である。0.001重量%未満では十分な防臭性能が得られず、10重量%より多いと有機珪素化合物及びこれを用いた組成物の性能が低下するおそれがある。
【0015】
本化合物を配合した組成物は、本化合物及び上記酸化防止剤を含有する。この組成物は、本化合物を使用する用途、例えばエポキシ化合物やウレタン化合物を含む無機材料への接着改良剤などに用いることができ、この組成物を含む接着改良剤などは、上記酸化防止剤の配合によりケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生が防止され、本化合物の効果を有効に発揮する。また、無機材料と上記ケチミン構造含有有機珪素化合物とを含む組成物に酸化防止剤を添加しても十分効果を有する。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、ケチミン構造含有有機珪素化合物に酸化防止剤を添加、併用することで、熱による酸化が防止され、悪臭が防止される。
【0017】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0018】
〔実施例1〕
下記式で表される化合物100gにヒドロキノンを表1に示す量にて添加し、アルミシャーレに2.0g取り、1日放置後、そのアルミシャーレを密閉下、80℃にて24時間熟成し、冷却後開放し、悪臭発生の確認を行った。
【0019】
【化6】
【0020】
〔実施例2〜10〕
ヒドロキノンの代わりに表1に示す酸化防止剤を表1に示す量にて添加し、実施例1と同様の試験を行った。
【0021】
〔比較例1〕
実施例1においてヒドロキノンを添加しない以外は、実施例1と同様の試験を行った。
【0022】
〔実施例11〜15〕
実施例1で用いた化合物の代わりに下記式で表される化合物100gに、表2に示す酸化防止剤を表2に示す量にて添加し、実施例1と同様の試験を行った。
【0023】
【化7】
【0024】
〔比較例2〕
実施例11においてヒドロキノンを添加しない以外は、実施例11と同様の試験を行った。
【0025】
<評価>
開放時の悪臭の感じ方を下記の5段階評価で示した。
◎:全く悪臭を感じない。
○:殆ど悪臭を感じない。
△:少し悪臭を感じる。
×:強く悪臭を感じる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
Claims (3)
- 酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項1記載のケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生防止方法。
- 酸化防止剤が、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)から選ばれるものである請求項2記載のケチミン構造含有有機珪素化合物の悪臭発生防止方法。
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- 1996-11-18 JP JP32233996A patent/JP3669396B2/ja not_active Expired - Fee Related
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