JP3669043B2 - 水力発電所の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水力発電所の制御装置に関し、特に、励磁・調速制御の二重化におけるスレーブ側の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
水力発電所の多くは、広域集中監視制御方式の中で運用され、制御の分散化と管理の集中化が図られている。従って、水力発電所内の制御システム及び制御装置は高密度化した伝送システムに適した高機能化,高信頼度化並びに最近では維持管理機能が求められている。
【0003】
これらの要求機能を満たすには、従来のアナログを主体とした制御システムでは困難となり、高精度演算機能,記憶機能などをもつマイクロコンピュータを利用したディジタル制御装置により実現が可能となる。
【0004】
要求機能の一つである信頼性においては、現在のマイクロコンピュータの故障率は非常に低く、制御装置としての信頼性は高いが、しかし、水力発電の置かれている位置付けにより、必要な場合は、制御装置として必要な部分を二重化してより高い信頼性を図ることが行われている。
【0005】
図3は、このディジタル制御方式における水車発電所の励磁制御・調速機制御装置の二重化の概念ブロック図を示す。同図において、1はディジタル制御装置で、マイクロコンピュータを応用した制御装置から成り、シーケンス制御ユニット,調整制御ユニット,編集ユニット,入出力ユニット等を有し、起動から並列負荷運転を行う起動シーケンス、負荷運転から解列,停止までの停止シーケンスは、シーケンス制御ユニットで行われる。
【0006】
2は励磁制御装置で、マスタ側励磁制御部2MEとスレーブ側励磁制御部2SEとから成り、マスタ側励磁制御部2MEとスレーブ側励磁制御部2SEとは通信回線3で接続され、マスタ側励磁制御部2MEの内部データ(制御量,現在量など)をスレーブ側励磁制御部2SEに伝送する。
【0007】
4は調速機制御装置で、マスタ側調速制御部4MGとスレーブ側調速制御部4SGとから成り、通信回線5を介してマスタ側調速制御部4MGの内部データがスレーブ側調速制御部4SGに伝送される。
【0008】
6は切換手段で、マスタ側励磁制御部2MEが故障したときにスレーブ側励磁制御部2SE側に切換え、発電機Gの界磁巻線EXに励磁電流を提供する。
【0009】
7は調速機制御装置4側の切換手段で、マスタ側調速制御部4MGが故障したとき、スレーブ側調速制御部4SG側に切換え、サーボモータMを介して水車Wを制御する。
【0010】
励磁制御装置2は、例えば、サイリスタ励磁装置から成り、交流電源を発電機Gの出力側から変圧器PT及び変流器CTから取るが、発電機電圧が確立するまでは、直流バッテリーなどの別電源から取ることが多い。
【0011】
調速機制御装置4は、アクチェータへの電気信号、即ち、コンバータコイルへのドライブ信号を出力するが、このドライブ信号は、フィドバック信号であるガイドベーン開度信号,水車回転速度信号,負荷設定信号,速度設定信号などに基づいて演算,出力される。
【0012】
なお、図中、8は負荷遮断器を示している。
【0013】
通常時は、励磁制御装置2及び調速機制御装置4は、マスタ側励磁制御部2ME及びマスタ側調速制御部4MGが界磁巻線EX及びサーボモータMに夫々接続され、水車発電機の起動時の電圧確立は、負荷遮断器8を遮断した状態で、マスタ側励磁制御部2ME内の初期励磁用開閉器を投入して界磁巻線に直流バッテリー電源から電流を流す。このとき界磁巻線に流れる電流は、界磁回路に設けた限流抵抗と、界磁抵抗及び界磁インダクタンスで決まる時定数により上昇する。発電機電圧がある程度上昇したとき、自動電圧調整器の動作によりサイリスタが全点弧し発電機電圧は確立される。発電機電圧が確立した時点で、初期励磁用開閉器は開路される。
【0014】
この運転中に、マスタ側(励磁又は調速機)制御部が故障した場合は、故障信号が発せられ、切換手段6(又は7)が動作してスレーブ側(励磁又は調速機)制御部に切換えられ、スレーブ側制御部がマスタ側制御部として働き、運転を継続する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
マスタ側(励磁又は調速機)制御部2ME又は4MGが故障した場合、スレーブ側(励磁又は調速機)制御部2SE又は4SGは、マスタ側制御部が故障したことを認識した後に、スタートして切換手段により制御をスレーブ側制御部に切換えてスレーブ側制御部をマスタとして制御を開始するのであるが、マスタとして制御を開始した時点では、現在の制御量とは異なった制御を実施する可能性がある。これは、マスタ側制御部からスレーブ側制御部へのデータ伝送の遅れ及びマスタ側制御部が故障したことを認識するまでの時間の遅れ等があるためである。
【0016】
例えば、励磁制御装置2に例をとると、図4に示すように、マスタ側制御部2MEの初期励磁用開閉器をt1点で投入すると、励磁電流(制御量)は、図4の実線mで示すように上昇し、界磁巻線を励磁し、発電機Gの出力電圧は、2点鎖線eで示すように、立ち上がり、確立したとき、自動電圧調整に切換えられる。このマスタ側制御部2MEの制御量は、通信回線3を通してスレーブ側制御部2SEに伝送されるが、スレーブ側制御部2SEが受信する内部データは点線sで示すように時間△t(約0.2秒)だけ遅れて受信する。
【0017】
このため、時刻t2時点でマスタ側制御部が故障し、スレーブ側制御部に切換えられた場合、実際の制御は電圧を下げる方向の制御を実施していたにもかかわらず、スレーブ側に切換えられた瞬間、点線で示すようにスレーブ側により電圧を上げる制御が行われ制御の暴走を生じ危険な運転となる。
【0018】
そこで、本発明は、この制御量の時間遅れによって生ずる制御の暴走を防止することを目的としてなされたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明において、上記の課題を解決するための手段は、発電機の励磁制御装置と調速機制御装置を備え、少なくも励磁制御装置は、マスタ側制御部とスレーブ側制御部による二重化制御装置を形成し、マスタ側制御部の内部データの制御量,現在量を常時スレーブ側制御部に伝送し、マスタ側制御部が故障したときにスレーブ側制御部に切換えて制御を継続するようにした水力発電所の制御装置において、
前記マスタ側制御部の制御量をスレーブ側制御部が受信する際、制御量に上下限リミッタを設定して受信するようにして制御の暴走を防止する。
【0020】
上記の上下限リミッタの設定値は、負荷遮断器開放時においては上限リミッタ値を定格電圧・負荷時の制御量の65%、下限リミッタ値を30%とし、また、負荷遮断器投入以降においては、上限リミッタ値を定格電圧・負荷時の制御量の130%、下限リミッタ値を0%に切換える。更に、調速機制御装置をマスタ側制御部とスレーブ側制御部による二重化制御装置を形成し、調速機制御装のマスタ側制御部とスレーブ側制御部間にもリミッタ回路を設け、該リミッタ回路の上限リミッタ値を、最大制御時の制御量の50%,下限リミッタ値を−50%とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0022】
図1は本発明の二重化した励磁・調速機の制御装置の概念図で、図3と同一部分又は相当部分には、これと同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
本発明はマスタ側(励磁又は調速)制御部とスレーブ側(励磁又は調速)制御部との間にリミッタ回路10を設けて、スレーブ側制御部が、マスタ側制御部から制御量を受信する際、所定のリミッタをかけて受信するようにするものである。このリミッタ回路10のリミッタ値(制限値)は、発電機Gへの負荷の有無によって選定される。
【0024】
安定時の制御量は、システム構成によって決まるが、図3の励磁制御装置2の励磁制御による自動電圧調整の場合を例にとると、定格電圧・負荷時の制御量を100%となるように設定しているので、無負荷・定格電圧時の制御量は図4にも示すように50%程度となる。本発明はこの点に着目し、スレーブ側励磁制御部2SEはマスタ側励磁制御部2MEから受信した制御量に、リミッタ回路10で上下限リミッタを設定してデータを更新するようにする。
【0025】
この上下限リミッタの設定値は、負荷遮断器8がオフで、図示省略の界磁遮断器がオンの場合は上限リミッタを65%,下限リミッタを30%とする。
【0026】
また、負荷遮断器8がオン以降の場合は、上限リミッタを130%,下限リミッタを0%とする。
【0027】
定格電圧・負荷時の制御量を100%とした場合、無負荷・定格電圧時の制御量は、その50%〜60%となるので、上限リミッタを65%に設定しておけば、起動の際の電圧確立時には、図2の点線で示すように、切換時刻t2時点で切換えが行われても、65%の制御量で界磁巻線は励磁され、安定した電圧確立が得られる。また、スレーブ側の受信信号に△tの時間遅れがあっても、スレーブ側からの制御量は65%で制限されているため従来のように電圧を下げる必要があるにもかかわらず、電圧を上げてしまうという制御の暴走は生じ得ない。
【0028】
また、下限リミッタの設定は、マスタ側励磁制御部からスレーブ側励磁制御部に切換えが実施されたとき、切換えのタイミングによっては、スレーブ側励磁制御部は0%の出力をする可能性があるが、30%に設定しておけば、これを防止することができる。
【0029】
なお、負荷遮断器8をオンして系統と並列運転している場合は、電圧制御により、出力電圧は可変となるため、0〜130%の出力が必要となり、上下限リミッタもこれに合わせ、上限リミッタを130%,下限リミッタを0%に設定する。
【0030】
以上は励磁制御装置2に例をとって説明したが、調速機制御装置4についても同様に行われる。
【0031】
即ち、マスタ側調速制御部4MGと、スレーブ側調速制御部4SGとの間にリミッタ回路10を設け、このリミッタ回路のリミッタ設定値を、調速用開閉器がオンで、負荷遮断器8がオフの場合は、上限リミッタを、最大制御時の制御量の50%,下限リミッタを−50%とする。
【0032】
また、負荷遮断器8がオン以降の場合も、上限リミッタを50%,下限リミッタを−50%に設定する。
【0033】
調速機制御は、0%出力で現状維持となるので、50%以上の制御量はほとんどあり得ないことから、50%に設定した。
【0034】
なお、リミッタ回路のリミッタの設定変更は、例えば、専用のローダ(ツール)を設けて、負荷遮断器の操作に連動して設定変更するようにする。
【0035】
【発明の効果】
水力発電所の起動・停止は、高頻度で且つ精度の高い運転を必要とし、信頼性の高い制御が要求される。
【0036】
本発明は以上のように、スレーブ側制御部は、マスタ側から受信した制御量に、上下限リミッタを設定してデータを更新するようにするとともに、現在の制御目的に応じて、リミッタを可変するようにしたので、スレーブ側制御部の受信する制御量の時間遅れによる切換時の制御の暴走が防止され、安定した切換えが実現でき、信頼性の高い制御が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の励磁制御装置における実施の形態の概念図。
【図2】本発明の制御量の説明図。
【図3】従来の水力発電所の二重化制御装置の概念図。
【図4】従来の制御量の説明図。
【符号の説明】
1…ディジタル制御装置
2…励磁制御装置
2ME…マスタ側励磁制御部
2SE…スレーブ側励磁制御部
3,5…通信回線
4…調速機制御装置
4MG…マスタ側調速制御部
4SG…スレーブ側調速制御部
6,7…切換手段
8…負荷遮断器
10…リミッタ回路

Claims (4)

  1. 発電機の励磁制御装置と調速機制御装置を備え、少なくも励磁制御装置は、マスタ側制御部とスレーブ側制御部による二重化制御装置を形成し、マスタ側制御部の内部データの制御量,現在量を常時スレーブ側制御部に伝送し、マスタ側制御部が故障したときにスレーブ側制御部に切換えて制御を継続するようにした水力発電所の制御装置において、
    前記マスタ側制御部の制御量をスレーブ側制御部が受信する際、制御量に上下限リミッタを設定して受信するようにしたことを特徴とする水力発電所の制御装置。
  2. 上下限リミッタの設定値は、負荷遮断器開放時においては上限リミッタ値を定格電圧・負荷時の制御量の約65%とし、下限リミッタ値を約30%としたことを特徴とする請求項1記載の水力発電所の制御装置。
  3. 上下限リミッタの設定値は、負荷遮断器投入以降においては、上限リミッタ値を定格電圧・負荷時の制御量の130%とし、下限リミッタ値を0%としたことを特徴とする請求項1又は2記載の水力発電所の制御装置。
  4. 調速機制御装置をマスタ側制御部とスレーブ側制御部による二重化制御装置を形成し、調速機制御装のマスタ側制御部とスレーブ側制御部間にリミッタ回路を設け、該リミッタ回路の上限リミッタ値を、最大制御時の制御量の50%,下限リミッタ値を−50%としたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の水力発電所の制御装置。
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