JP3668881B2 - 電子工業用セラミックス焼成用棚板 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子工業製品を焼成する際に使用する電子工業用セラミックス焼成用棚板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子工業用セラミックス焼成用棚板は、ムライト質やアルミナ質などの棚板が製品や焼成条件等の目的・用途に応じて使用されている。しかし、最近は製品の品質や効率向上のみならず、コストダウンや作業環境の改善などが要求されている。そのためには、従来の棚板では、これを解消できない。具体的には以下のような技術上の問題点がある。
(1) ムライト質やアルミナ質などの従来の棚板では、使用してくると反りやすくそのために棚板を厚くするため、棚組み段数が減り、製品の積載数が減っている。
(2) 従来の棚板では、製品を直接に棚板の上へ積載できないため、その棚板の表面に、振り粉やコーティング、もしくは専用のセッターを使用している。このため焼成用道具材にコストがかかり、製品のコストを上げている。さらに製造上のムダがあるのみでなく、作業環境の問題も発生している。
(3) 従来の棚板では、その棚板の表面に振り粉やコーティング、もしくは専用のセッターを使用しているため、自動化が難しく省人化も同様である。
(4) 従来の棚板では、熱伝導率が小さいため、焼成に多くの熱量を要し、さらに冷めにくいために迅速焼成ができない。また、製品の均一焼成が難しく、省エネ化も難しい。
(5) 棚板表面に溝のない三層構造をした棚板では、従来の技術上の問題点の(1)(2)(3)(4)は解消されるが、製品の焼成収縮が大きいものについては、棚板と接する製品の底面部分の収縮がスムーズにいかず、変形やキズをつけ製品歩留を低下させる。
(6) 溝のある従来の棚板では、従来の技術上の問題点の(1)(2)(3)(4)が解消されない。
(7) 従来の棚板表面に 5mm 以下の溝をつけることは、加工が大変であり、コストがかかる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前項のような従来の技術上の問題点を解消した電子工業用セラミックス焼成用棚板を目的として完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の技術上の問題点を解消するために、炭化珪素をベース(中央)にして、その両面(表裏)がムライトもしくはアルミナで構成され、さらにその表面に溝のある三層構造にした棚板を使用することにより、従来の技術上の問題点が解消されることが判明した。
【0005】
【作用】
炭化珪素をベース(中央)にして、その両面(表裏)にムライトもしくはアルミナで構成され、さらに表面に溝のある三層構造をした棚板は、ベース層(中央層)の炭化珪素 90wt%以上、両面層(表裏層)のアルミナ 70wt%以上である。ベース層(中央層)とその両面層(表裏層)の厚みの比は2:1から4:1でかつ全体の厚みは 7mm 以上である。両面層(表裏層)の表面には、1mm 以上 5mm 以下の溝のある棚板である。従来から異種のものを多層構造で製造する棚板は困難であり、しかも、その表面に溝があることでさらに困難であった。
【0006】
しかしながら、本発明により製造上の問題点を独自の製造技術で解決した。その製造上において、異種層(炭化珪素,ムライト,アルミナ)が剥離しないように、一体成形時には独自の成形技術を駆使し、さらにこの棚板の成形体を焼成する時も、それぞれの層の膨張係数が違うために、剥離や反りが発生しないように処置をして、納入先で安心して使用できるように製造技術を確立した。
【0007】
ベース層(中央層)に炭化珪素を用いているのは、ムライトやアルミナに比べて熱伝導率が大きく、熱間強度も高いという特徴があり、この特徴を生かすことにより、製品荷重に耐え、長期間の使用でも棚板に反りが発生しない。また、迅速焼成,製品の均一焼成及び省エネ化が可能となる。
両面層(表裏層)にムライトやアルミナを用いているのは、製品を直接に棚板の上へ置くことが可能となる。
両面層(表裏層)の表面に溝があることにより、製品焼成時の脱バインダーが均一にでき、製品の焼成収縮時の変形やキズの防止が可能となる。
【0008】
【実施例】
具体的実施例として、図面のような形状(320×320×10mm, 両面溝付き)で製造をして納入をした。その評価としては、解決しようとする課題に対して、満足できる結果が得られた。
【0009】
【発明の効果】
炭化珪素をベース(中央)に用いているために、従来のムライト質やアルミナ質の棚板に比べて、熱伝導率が大きいために、迅速焼成,製品の均一焼成及び省エネ化が可能となる。また、熱間強度が高いために、従来の棚板に比べて、長期間の使用でも棚板に反りが発生しない。さらに棚板の厚みを薄くできる。このため、製品歩留の向上とともに棚組み数が増えるため製品の積載数を多くすることが可能となる。振り粉やコーティングをしなくても、製品を直接に棚板の上へ置くことができる。これにより、この作業がなくなるため作業工程の短縮化と作業環境の改善となる。専用セッターを使用しなくても良いため、コストダウンと省力省人化が可能となる。製品焼成時の脱バインダーが均一にでき、焼成収縮時の変形やキズの防止が可能となり、製品の焼成歩留の向上となる。長期間反復使用できる。
【0010】
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面溝付き三層構造をした棚板の正面図(真上から見た図)
【図2】 表面溝付き三層構造をした棚板の側面図
【図3】 表面溝付き三層構造をした棚板の断面詳細図
【図4】 表面溝付き三層構造をした棚板の内部構造図

Claims (1)

  1. 炭化珪素を中央配置した三層構造の棚板に関し、その厚さが7mm以上、15mm未満であい対する二面に深さ1mm以上、5mm以下の半円形状の溝を有し、縁の部分が平面であることを第一の特徴とする棚板で、さらには、炭化珪素は90%以上の含有量で、両面がムライトもしくはアルミナでAl 成分量70%以上の含有量で中央層と両面層の厚みの比が2:1から4:1であること第二の特徴とする電子工業用セラミックス焼成用棚板。
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