JP3668872B2 - 鉄線製メッシュカゴ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土留め、河床の洗掘防止、擁壁及び護岸用途の鉄線製メッシュカゴに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
擁壁及び護岸用途に使用する資材として函体を呈する布団篭がある。布団篭は、函体を展開した状態まで組み上げ、折り畳んだ状態で施工現場まで搬入し現場で最終的な組み立てを行っている。
一般に、幾つか寸法の異なる布団篭を製造しておき、これを施工現場に応じて組み合わせて設置していた。
また、従来の布団篭は、底網、側網、仕切網等の各金網部材を一枚の網体で構成しているのものが一般的である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
<イ>布団篭では網材としてひし形金網を使用するため柔的な構造となり、施工に際して布団篭内に砕石を投入し段積みすると定型を維持することが難しかった。
<ロ>施工者の高齢化が問題となっており、できるだけ部品数が少なく、組立の簡単な土留め部材が求められている。
<ハ>また、例えば布団篭の搬入に使用する運搬車の荷台面積には通常1m〜4mまでの布団篭しか積載できないのが現状である。このため従来の布団篭の底網の長辺は一般に1m〜4m位の長さまでのものに事実上限られていた。
布団篭は横方向の長さが長くなれば長くなるほど設置数が少なくて済み施工性が向上するものの、その分大型化するため保管・運搬が困難となる。
<ニ>施工現場に合わせて各大きさの異なる布団篭の組み合わせを管理する必要が生じるため手間が掛かる。
<ホ>規定寸法で半完成状態で搬入されるため施工現場において布団篭の寸法の調整が困難である。
【0004】
【本発明の目的】
本発明の目的は、布団篭とは異なり定型性を有しながら簡単に組み立てることができ、施工現場に合わせて寸法を大小自在に調整できる鉄線製メッシュカゴを提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために本発明は、断面形状が略L字形状を呈する一対の本体網と、下端部に係止部を有する仕切網とを連結して形成する鉄線製メッシュカゴであって、前記一対の本体網を相対向させて配置して函体を形成し、前記一対の本体網の突き合わせた底面部間に前記仕切網の係止部を引っ掛けて連結し、
前記一対の本体網と前記仕切網との起立した接合部分を結束具により連結することにより前記仕切網を前記函体内に配置することを特徴とする鉄線製メッシュカゴを提供する。
又は、前記函体は、一面を正方形に形成した前記本体網を複数組み合わせて形成したことを特徴とする上記記載の鉄線製メッシュカゴを提供する。
又は、前記仕切網の天端部は横線材が縦線材を挟持する状態に形成したことを特徴とする上記記載の鉄線製メッシュカゴを提供する。
又は、前記本体網の天端部は横線材が縦線材を挟持する状態に形成したことを特徴とする上記いずれかに記載の鉄線製メッシュカゴを提供する。
【0006】
【本発明の実施の形態1】
本発明の鉄線製メッシュカゴ10は、上記のような目的を達成するために本発明は、略L字形状を呈する一対の本体網11と、下端部に係止部を有する仕切網12とを連結して形成する鉄線製メッシュカゴ10であって、前記一対の本体網11を相対向させて配置して三面開放の函体を形成し、前記函体の底面部に前記仕切網12の係止部121を係止することにより前記仕切網12を前記函体内に配置することを特徴とする鉄線製メッシュカゴ10である。
【0007】
<イ>本体網
本体網11は鉄線製メッシュカゴ10の外周部分を構成する部材であり、網材を略L字形状に形成する。網材としては亜鉛、亜鉛アルミ合金、又はアルミニウムを鍍金した鋼線からなる金網を使用する。
【0008】
本体網11の強度を補強する場合は二重の線材で網体を構成するとよい。例えば縦線材を横線材で挟持するように形成する。
本実施の形態においては天端部分の横線材を二重の線材で構成し、縦線材を挟持するように形成して補強している。
【0009】
<ロ>仕切網
仕切網12は、一対の本体網11を組み合わせることによりできた函体内の空間を仕切る部材であり、網材を方形状に形成する。
仕切網12は、本体網11と同様に天端部分の横線材を二重の線材で構成し、縦線材を挟持するように形成して補強する。
仕切網12の下端部には、本体網11と係止連結するための係止部121を形成する。
【0010】
前記係止部121は、本例においては仕切網12の縦線材の端部をつの字形に屈曲させて形成しているが、係止部121を縦線材と別体の部材で構成して形成してもよい。
【0011】
<ハ>結束具
結束具13は、本体網11と仕切網12又は仕切網12同士の連結を固定するための部材である。結束具13は、コイル材、クリップ材、針金材など一般に線材の結束に用いられているものを適宜選択して使用する。
【0012】
<ニ>鉄線製メッシュカゴの組立て
一対の本体網11を互いに内面側を相対向させて配置する。
一対の本体網11の中間に仕切り網を取り付ける。この際、図2(a)に示すように仕切網12を倒した状態で仕切網12の下端部に設けている係止部121を本体網11の下方部分に引っ掛けた後、仕切網12を起こして図2(b)に示すように接続する。
本体網11と仕切網12との接合部分を結束具13により固定する。この際、結束具13は前記接合部分の全体亘って取り付けてもよいし、接合部分の一部にのみ取り付けてもよい。接合部分から鉄線製メッシュカゴが通常の使用により損壊しない程度の強度を維持できればよい。
このようにして鉄線製メッシュカゴ10の組立が完了する。本発明の鉄線製メッシュカゴであれば4mを超える鉄線製メッシュカゴであっても簡単に組み立てることができるため、構成部材ごとに搬入できる。このため搬入車の荷台の大きさに左右されることがなくなり便宜である。
【0013】
なお、各構成部材に亜鉛メッキ処理を施すと、構成部材の腐食を防止することができ効果的である。
【0014】
[使用方法]
次に本発明の鉄線製メッシュカゴ10の使用方法について説明する。
【0015】
<イ>構成部材の管理・搬入
鉄線製メッシュカゴ10の構成部材である本体網11、仕切り網を施工現場に搬入する。
本発明の鉄線製メッシュカゴ10は複数の本体網11及び仕切り網に分解してあるので、作業員一人で持ち運び可能である。また、運搬車の荷台の大きさを考慮することなく搬入することができる。
単一寸法の本体網11と仕切り網を組み合わせることで鉄線製メッシュカゴ10の横方向の長さを自在に調整することができるため、従来のように横方向の長さの異なる鉄線製メッシュカゴを複数選択管理して搬入する必要は無く施工管理が容易である。
【0016】
<ロ>鉄線製メッシュカゴの設置(図3)
鉄線製メッシュカゴ10を設置する法面を階段状に段切りする。
搬入した本体網11及び仕切網12を所定数組み合わせて鉄線製メッシュカゴ10を組み立て法面下部に設置し、鉄線製メッシュカゴ10内に石詰する。例えば4mを超える鉄線製メッシュカゴ10を組立設置した場合には、鉄線製メッシュカゴ10の設置数が少なくて済む。設置場所の端部が半端な長さとなった場合には、その長さに合わせた数の本体網11及び仕切り網を組み合わせて鉄線製メッシュカゴ10を組み立て設置する。このように大きさの異なる鉄線製メッシュカゴ10を設置状況に合わせて形成しながら施工することができる。
石詰を終えたら、鉄線製メッシュカゴ10背面と法面の間隙を埋め戻す。
この工程を最上段まで所定数繰り返すことにより鉄線製メッシュカゴ10の設置が完了する。
【0017】
【本発明の実施の形態2】
図4に示すように、一対の本体網11を一面を略正方形状とした断面形状がL字形状となるように形成し、仕切網12を略正方形状に形成し、前記一対の本体網11を相対向させて並列して複数設置し、配置した一対の本体網11間を仕切網12で格子状に区切り、本体網11と仕切網12の接合部分を結束具13で固定することにより構成してもよい。
【0018】
本実施の形態においては、図4に示すように、本体網11の横線材112及び仕切網12の横線材122を二重の線材で構成し、縦線材123を挟持するように補強して形成する。
これにより、鉄線製メッシュカゴ10の内部に砕石を投入して段積みしても横線材を二重の線材で構成したことにより本体網が孕んで変形することなく定型を維持することができる。
【0019】
また、鉄線製メッシュカゴ10の両端部分の仕切網12を平面T字形状になるように設置すると、カゴ内への砕石の投入による孕み出しをより一層効果的に抑えることができる。
【0020】
この優れた定型性から鉄線製メッシュカゴ10を階段状に積み上げて設置した場合であっても各鉄線製メッシュカゴ10が孕みだして変形することが少ないため、総じて定型性に優れ視覚的にも非常に整った階段状の土留め構造体を提供することができる。
【0021】
本実施の形態によれば前記一対の本体網11を並列する数を変更するだけで容易に鉄線製メッシュカゴ10の延長方向の長さを長短自在に構成することができる。具体的には設置場所の端部が半端な長さとなった場合には、その長さに合わせた数の本体網11及び仕切網12を組み合わせて鉄線製メッシュカゴ10を組み立てて設置でき、設置状況に合わせて大きさの異なる鉄線製メッシュカゴ10を形成しながら施工することができる。
各構成部材のうち本発明の実施の形態1に記載したものと同様の部材については同一の符号を用いて説明を省略する。
【0022】
【本発明の実施の形態3】
図示は省略するが、鉄線製メッシュカゴの背面及び底面を除いた外周部分に間伐材を重合させて装着してもよい。間伐材は犬釘を本体網の縦線材に跨がせて本体網の内から外に向けて打ち込むことにより固定する。
【0023】
本実施の形態によれば、間伐材が鉄線製メッシュカゴへの鉛直加重に対する支持部材となる他、鉄線製メッシュカゴへ水平加重が加わることによって鉄線製メッシュカゴが孕み出すことを防止できる。
また、周辺と調和した自然な概観を呈する鉄線製メッシュカゴを提供することができる。
【0024】
【本発明の効果】
本発明は、以上説明したようになるから次の効果を得ることができる。
<イ>溶接金網により網体を構成した他、孕み出し難い構造であるため従来の布団篭に比べ定型性に優れている。
このため、階段状に積み上げて設置した場合であっても非常に安定した土留め構造体を提供することができる。
<ロ>熟練工でなくとも施工現場で簡単に組み立てることができる。
<ハ>部品点数が少なく、組立が簡単であるため、構成部品ごとの管理性・運搬性に優れている。
<ニ>同一種類の構成部材を組み合わせることにより、施工現場の設置面積に応じて適宜、長短自在に大きさを設定して簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄線製メッシュカゴの説明図。
【図2】(a)仕切網を本体網に差し込んだ状態の説明図。
(b)仕切網を本体網に固定した状態の説明図。
【図3】鉄線製メッシュカゴの使用方法の説明図。
【図4】本発明の実施の形態2に係る鉄線製メッシュカゴの分解説明図。
【符号の説明】
10・・・鉄線製メッシュカゴ
11・・・本体網
12・・・仕切網
121・・係止部
13・・・結束具
Claims (4)
- 断面形状が略L字形状を呈する一対の本体網と、下端部に係止部を有する仕切網とを連結して形成する鉄線製メッシュカゴであって、
前記一対の本体網を相対向させて配置して函体を形成し、
前記一対の本体網の突き合わせた底面部間に前記仕切網の係止部を引っ掛けて連結し、
前記一対の本体網と前記仕切網との起立した接合部分を結束具により連結することにより前記仕切網を前記函体内に配置することを特徴とする、
鉄線製メッシュカゴ。 - 前記函体は、一面を正方形に形成した前記本体網を複数組み合わせて形成したことを特徴とする請求項1に記載の鉄線製メッシュカゴ。
- 前記仕切網の天端部は横線材が縦線材を挟持する状態に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄線製メッシュカゴ。
- 前記本体網の天端部は横線材が縦線材を挟持する状態に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の鉄線製メッシュカゴ。
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