JP3668239B2 - 粘弾性材料のシミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴムなどの粘弾性材料の変形状態を精度良く解析するのに役立つ粘弾性材料のシミュレーション方法に関する。
ゴムをはじめとする粘弾性材料は、タイヤ、スポーツ用品、その他各種の工業製品に使用される。粘弾性材料は、負荷を受けると大きく変形し、負荷を完全に取り除くと元の状態へと復元しうる。また粘弾性材料は、変形に際して応力とひずみとが比例せず、かつ、荷重の負荷時と除荷時とでは応力−ひずみ曲線の経路を異にする非線形性を有している。試作の手間とコストとを減じるために、粘弾性材料の変形過程などを予めコンピュータを用いてシミュレーションすることが行われている。従来の粘弾性材料のシミュレーション方法としては、下記の特許文献1や非特許文献1等が知られている。
特開2002−365205号公報 Ellen M. Arruda and Marry C. Boyce著「 A THREE-DIMENSIONAL CONSTITUTIVE MODEL FOR THE LARGE STRECH BEHAVIOR OF RUBBER ELASTIC MATERIALSS」 Journal of the Mechanics and Physics of Solids Volume 41, Issue 2, Pages 389-412 (February 1993)
特許文献1は、粘弾性材料がひずみ速度に応じて異なった縦弾性係数を示す点に着目している。具体的には、予め粘弾性材料の実使用状態を想定した測定条件で、当該粘弾性材料に生じるひずみ、ひずみ速度、応力などを測定し、縦弾性係数とひずみないしひずみ速度との対応関係を導出する工程が行われる。そして、解析対象である粘弾性材料の製品モデルに対して、所定のひずみ速度を与えるとともに、上記対応関係から縦弾性係数を適宜計算して変形シミュレーションを行っている。特許文献1の方法は、粘弾性材料の縦弾性係数が、ひずみ速度に応じて変化するという試みを含むため、ヒステリシスロスをシミュレーションの中に取り込み得る点で評価できる。一方、ひずみ速度と縦弾性係数との対応関係を得るためには、多くの実験が必要となる。この点は、さらなる改善の余地がある。
またArrudaらが提案した非特許文献1は、分子鎖網目理論を用いることにより、粘弾性材料を高分子レベルにまでモデル化して計算することが記載されている。ここで、分子鎖網目理論について簡単に述べる。
分子鎖網目理論は、図19(A)、(B)に示すように、連続体としての高分子材料aは、微視構造として、無秩序に配向された分子鎖cが接合点bで連結された網目構造を持つとの考えを前提とする。接合点bは、例えば分子間の化学的結合であってそれには架橋点などが含まれる。
1本の分子鎖cは、同図(C)に示すように、複数のセグメントdから構成される。一つのセグメントdは、分子鎖網目理論においては繰り返しの最小構成単位である。また一つのセグメントdは、化学的には同図(D)に示すように、炭素原子が共有結合によって連結した複数個のモノマーfが連結したものと等価である。個々の炭素原子は、原子同士の結合軸の周りで互いに自由に回転しうるため、セグメントdは全体として曲がりくねるなど様々な形態をとり得る。
分子鎖網目理論では、接合点bが原子の揺らぎ周期に対して長時間的には平均位置が変化しないものとし、接合点bの回りの摂動を無視する。さらに二つの接合点b、bを両端に持つ分子鎖cの端−端ベクトル(end-to-end vector )は、それが埋め込まれている材料の連続体と共変形するものと仮定する。
Aruudaらは、分子鎖網目理論に基づいてさらに8鎖モデルを提案している。図4(A)に示されるように、粘弾性材料は、巨視的には、微小な8鎖モデルgが集合した立方体状の網目構造体hとして考えることができる。一つの8鎖モデルgは、図4(B)に拡大して示すように、分子鎖cが立方体の中心に定められた一つの接合点b1から、各頂点に設けられた8つの各接合点b2にそれぞれのびているものと仮定される。
粘弾性材料は、シミュレーションにおいては超弾性体(体積変化を殆ど生じず除荷後も元の形状に戻る材料)として取り扱われる。超弾性体は、下記式(2)で示されるように、Green ひずみの成分Eijによって微分されることにより、共役なkirchhoff 応力Sijを生じるようなひずみエネルギー関数Wが存在する物質として定義される。換言すれば、ひずみエネルギー関数は、粘弾性材料が変形したときに蓄えられたポテンシャルエネルギの存在を仮定的に示す。従って、ひずみエネルギー関数Wの微分勾配から応力とひずみ関係を得ることができる。
Aruudaらは、非ガウス鎖理論により、粘弾性材料の変形が大きくなるとエントロピー変化が急激に大きくなる(分子鎖が伸びきって配向する)と考え、式(3)の粘弾性材料(ゴム弾性体)のひずみエネルギ関数Wを示した。そして、このひずみエネルギー関数Wを上記式に代入することにより、粘弾性材料の応力とひずみとの関係を取り出すことができる。
Aruudaらの応力とひずみとの関係を用いて、粘弾性材料の変形シミュレーションを行うことにより、例えば図20に示すように、1軸引張変形シミュレーションにおいて、非線形な応力とひずみとの関係を得ることができる。この結果は、荷重の負荷変形時における実測値と良い相関を示す。
しかしながら、Aruudaらの非特許文献1は、粘弾性材料の特徴の一つでもあるエネルギーロスが考慮されていない。このため、図20の状態Qから荷重を除荷するシミュレーションを行うと、該曲線と実質的に同じ経路を通ってひずみの回復が行われる。これでは、ヒステリシスループが形成されずエネルギーロスの計算を行うことができない。
発明者らは、Aruudaらのモデルを前提として種々の実験を試みた。先ず粘弾性材料は、上述のように複雑に絡み合った長い分子鎖cが伸びることによって数百%にも達し得る大ひずみが許容されると考えられる。そこで、発明者らは、荷重の負荷における変形過程において、粘弾性材料の分子鎖cの互いに絡み合った部分がほどけたり(接合点bの数の減少)、或いは荷重の除荷によってさらなる絡み合い(接合点bの数の増加)が生じ得るとの仮定を立てた。換言すれば、この仮定は、前記式(1)における1本の分子鎖当たりの平均セグメント数Nは、負荷ないし除荷変形時において可変のパラメータであることを意味している。発明者らは、この仮定を検証したところ、粘弾性材料のヒステリシスを表現可能であることが分かった。
以上のように、本発明は、エネルギーロスを発現させることが可能な特性を粘弾性材料モデル自体に組み入れることを基本として、より精度良く粘弾性材料を変形シミュレーションしうる粘弾性材料のシミュレーション方法を提供することを目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、粘弾性材料の変形をシミュレーションする粘弾性材料のシミュレーション方法であって、粘弾性材料を数値解析が可能な要素でモデル化した粘弾性材料モデルを設定するステップと、前記粘弾性材料モデルに条件を設定して変形計算を行うステップと、前記変形計算から必要な物理量を取得するステップとを含むとともに、前記粘弾性材料モデルは、ゴムマトリックス部分がモデル化されたマトリックスモデルと、このマトリックスモデルの中に分散して配されかつフィラーがモデル化されたフィラーモデルと、前記マトリックスモデルと前記フィラーモデルとの間に介在しかつ両者の間の界面を形成する界面モデルとを含み、しかも前記界面モデルは、前記フィラーモデルを連続して取り囲みかつ厚さを有するとともに前記マトリックスモデルとは異なる粘弾性特性が定義されるとともに、前記マトリックスモデル及び前記界面モデルは、下記式(1)で示される応力とひずみとの関係が定義され、かつ、該式(1)における1本の分子鎖当たりの平均セグメント数Nが、負荷変形時と除荷変形時とで異なることによりエネルギーロスを表現可能なことを特徴とする粘弾性材料のシミュレーション方法である。
また請求項2記載の発明は、前記平均セグメント数Nは、負荷変形時ではひずみに関するパラメータに応じて増大し、除荷変形時では一定値をなすことを特徴とする請求項1記載の粘弾性材料のシミュレーション方法である。
また請求項3記載の発明は、前記ひずみに関するパラメータは、ひずみの1次の不変量I1 であることを特徴とする請求項2記載の粘弾性材料のシミュレーション方法である。
また請求項4記載の発明は、前記ひずみに関するパラメータは、ひずみ量又はひずみ速度であることを特徴とする請求項2記載の粘弾性材料のシミュレーション方法である。また請求項5記載の発明は、前記界面モデルは、前記マトリックスモデルよりも軟い粘弾性特性が定義されることを特徴とする請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法であり、請求項6記載の発明は、前記界面モデルは、前記マトリックスモデルよりも硬い粘弾性特性が定義されることを特徴とする請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法であり、請求項7記載の発明は、前記界面モデルは、前記マトリックスモデルよりもヒステリシスロスが大きい粘弾性特性が定義されることを特徴とする請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法であり、請求項8記載の発明は、前記界面モデルの厚さは1〜20nmである請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法である。
本発明の粘弾性材料のシミュレーション方法では、粘弾性材料のエネルギーロスが表現できる。従って、実際の粘弾性材料の特性に即した精度の高いシミュレーションが可能である。またエネルギーロスは、式(1)における1本の分子鎖当たりの平均セグメント数Nを、負荷変形時と除荷変形時とで異なるパラメータとして定めることによって表現しうる結果、特許文献1のような数多くの実験データの収集工程を不要とし、より一層、解析コストと手間を減じることができる。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明のシミュレーション方法を実施するためのコンピュータ装置1が示されている。このコンピュータ装置1は、本体1aと、入力手段としてのキーボード1b、マウス1cと、出力手段としてのディスプレイ装置1dとから構成されている。本体1aには、図示していないが、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの大容量記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスクのドライブ1a1、1a2が設けられている。そして、前記大容量記憶装置には後述する本発明のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が記憶されている。コンピュータ装置1にはEWSなどが好適である。
図2には、シミュレーション方法の処理手順の一例が示される。本実施形態では、先ず粘弾性材料モデルが設定される(ステップS1)。図3には、粘弾性材料モデル2の一例が視覚化して示されている。
該粘弾性材料モデル2は、解析しようとする粘弾性材料(実在するか否かを問わない)が、有限個の小さな要素2a、2b、2c…に置き換えられたものである。各要素2a、2b、2c…は、数値解析が可能に定義される。数値解析が可能とは、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法といった数値解析法により、各要素ないし系全体についての変形計算が可能なことを意味する。具体的には、各要素2a、2b、2c…について、座標系における節点座標値、要素形状、材料特性などが定義される。各要素2a、2b、2c…には、例えば2次元平面としての三角形ないし四角形の要素、3次元要素としては、例えば4ないし6面体の要素が好ましく用いられる。これにより、粘弾性材料モデル2は、前記コンピュータ装置1にて取り扱い可能な数値データを構成しうる。
この実施形態の粘弾性材料モデル2は、後述する変形シミュレーションにおいて平面ひずみ状態で解析が行われる。したがってZ方向にはひずみを持たない。粘弾性材料モデル2の一辺の長さは、例えば縦横それぞれ2mmである。該粘弾性材料モデル2は、四辺形をなす9つの平面要素2aないし2iにより定義される。
前記各要素2aないし2iには、材料特性として、前記式(1)の応力とひずみとの関係が定義される。したがって、各要素の2aないし2iについて、それぞれ応力とひずみとの関係が得られる。式(1)の導出過程について簡単に触れる。粘弾性材料は、変形による体積変化が小さいため、それを無視することができる。このため、非圧縮性の粘弾性材料では、非圧縮条件により密度を一定とすることができ、kirchhoff 応力Sijは、式(4)で表すことができる。なお、EijはGreen ひずみの成分、pは静水圧(境界条件により定まる)、Xi は、応力もひずみも0である状態C0 における任意の物体点Pの位置、xj は変形した状態Cにおける物体点Pの位置である。
Cauchy応力の成分σijと、kirchhoff 応力の成分Smnとは下記式(5)の関係を有 するから、式(4)から式(6)を得ることができる。
ここで、体積が一定の場合、物体の体積変化率を示す式(5)のJは1とみなせる。また、式(3)のひずみエネルギー関数は、左Cauchy-Green変形テンソルAijのひずみの 1次の不変量I1 だけの関数であるため、式(6)から式(7)が得られる。
また、下記の関係式(8ないし10)を用いることにより、式(7)の速度形式表示は式(11)になる。
そして、体積一定条件下で、式(11)に示すCauchy応力のJaumann 速度をkirchhoff 応力のJaumann 速度に置き換えても本質的な差異はないことと、変形速度テンソルDをひずみ速度テンソルに置き換えることとにより、非圧縮性の粘弾性材料の構成式の速度形式表示を前記式(1)で表すことができる。
本実施形態の粘弾性材料モデル2は、前記式(1)において、1本の分子鎖当たりの平均セグメント数Nが負荷変形時と除荷変形時とで異なるパラメータとして定義される。これにより、粘弾性材料モデル2の各要素2aないし2iは、エネルギーロスを表現することができる。この点がArrudaらの提案とは基本的に異なる。ここで、負荷変形時とは、微小時間の間で粘弾性材料モデル2のひずみが増大する変形であり、逆に除荷変形時とは、ひずみが減少する変形である。
図4(A)には、粘弾性材料の巨視的な3次元の網目構造体h、また図4(B)には、この網目構造体hを構成する8鎖モデルgの1つを拡大して示す。この例の網目構造体hは、幅方向、高さ方向及び奥行き方向にそれぞれ8鎖モデルgがk個結合したものとする。
いま、網目構造体hに含まれる接合点bの総数を「からみ数」として符号mで表すと、からみ数mは、式(12)で表すことができる。同様に、網目構造体hに含まれる分子鎖cの数(即ち、粘弾性材料モデル2の単位体積中に含まれる分子鎖の数)をnとすると、このnは、式(13)で表すことができる。
m=(k+1)3 +k3 …式(12)
n=8k3 …式(13)
ここで、kは十分に大きい数とすると、kの3次項以外を省略して上式はそれぞれ次のような式(14)、(15)で表すことができ、さらにこれらの関係から、からみ数mは、nを用いて、式(16)で表すことができる。
m=2k3 …式(14)
n=8k3 …式(15)
m=n/4 …式(16)
さらに、粘弾性材料モデルは、変形してもその中に含まれる分子鎖のセグメントの総数NA は変化しないと仮定すると、式(17)〜(18)が成り立つ。
A =n・N …式(17)
N=NA /n=NA /4m …式(18)
発明者らは、シミュレーションにおいて粘弾性材料モデル2のエネルギーロスを表現するために、荷重の負荷過程及びこれに続くひずみの回復過程において、粘弾性材料の分子鎖cのからみ数mが変化するとの着想を試みた。即ち、図5(A)に示すように、例えば一つの接合点bで接合されている分子鎖c1ないしc4に矢印方向の引張応力が作用すると、各分子鎖c1ないしc4は伸び、接合点bは大きなひずみを受けて破損するものと考えた。
この結果、図5(B)に示すように、これまで2本であった分子鎖c1及びc2は、あたかも1本の長い分子鎖c5のように振る舞うものと考えられる。分子鎖c3及びc4についても同様である。そして、このような現象は、粘弾性材料モデル2の負荷変形が進むにつれて逐次発生していくものと考えられる。
以上のような接合点bの破損は、粘弾性材料モデル2におけるからみ数mの減少に他ならない。粘弾性材料モデル自体は材料の出入りがないため、その中に含まれる分子鎖cのセグメントの総数NA が変化しないと仮定すると、粘弾性材料モデル2の負荷変形が進むにつれて、1本の分子鎖cに含まれる平均セグメント数Nが増加することは式(18)から明らかとなる。つまり、前記平均セグメント数Nは、一定ではなく、負荷変形時と除荷変形時とで異なる可変のパラメータとすることが適切と考えられる。これによって、粘弾性材料モデルの変形時におけるエネルギーロスが再現できる。これについては、さらに詳細を後で述べる。
このような様子をコンピュータ上でより好ましく再現するためには、前記平均セグメント数Nは、負荷変形時では、そのひずみに関するパラメータに応じて増大させることが特に好適である。前記ひすみに関するパラメータとしては、特に制限されるものではないが、例えば、ひずみ量、ひずみ速度又はひずみの1次の不変量I1 などが挙げられる。本実施形態では、前記平均セグメント数Nが、下記式(19)に示すように、当該粘弾性材料モデル2の各要素2aないし2i個々において、それぞれ1次のひずみの不変量I1 を平方根であるパラメータλc の関数となるものを示す。
なお式(19)は、種々の実験によって定めた一例であり、上記AないしEは、いずれも定数であって、ゴム試験片の単純な1軸引張試験などの実測結果からように定めることができる。この例では、上記定数を次のように設定している。
A=+2.9493
B=−5.8029
C=+5.5220
D=−1.3582
E=+0.1325
図6には、粘弾性材料モデル2の各要素2aないし2iの負荷変形時における平均セグメント数Nとパラメータλc との関係を示す。ひずみに関するパラメータであるλc が大きくなると、平均セグメント数Nは滑らかに増大する。この例では、パラメータλc の上限は2.5である。後述する粘弾性材料モデル2の変形シミュレーションでは、粘弾性材料モデル2の各要素2aないし2iについて、負荷変形時においてはパラメータλc が常時計算される。計算されたλc は、式(19)に代入される。これにより、当該要素の当該ひずみ状態における平均セグメント数Nが計算できる。
他方、粘弾性材料モデル2の除荷変形時には、平均セグメント数Nは一定値としている。平均セグメント数Nを決定する方法としては、例えば次の方法がある。解析対象となる粘弾性材料において、一つの応力−ひずみ曲線がある場合、先ず除荷時の曲線に合うように前記n、Nを定める(つまり、NA =n・Nが決まる。)。次に、負荷時、除荷時とも分子鎖の総セグメント数NA は同一であるため、負荷時の曲線に整合するよう、各ひずみにおける平均セグメント数Nを求める(このNは変化させる。)。そして、決定された負荷時の平均セグメントNに一致するよう、式(19)のパラメータAないしEを決定する。本実施形態では、N=6.6を使用し、かつ、負荷終了時のNが除荷時のNとなるように設定している。
次に本実施形態のシミュレーション方法では、設定された粘弾性材料モデル2を用いて変形シミュレーションが行われる(ステップS3)。変形シミュレーションの具体的な処理手順は、図7に示される。変形シミュレーションでは、先ずデータがコンピュータ装置1に入力される(ステップS31)。入力されるデータには、各要素に定義された節点の位置や材料特性といった情報が含まれる。
コンピュータ装置1では、入力されたデータに基づいて各要素の剛性マトリックスを作成し(ステップS32)、しかる後、全体構造の剛性マトリックスを組み立てる(ステップS33)。全体構造の剛性マトリックスには、既知節点の変位、節点力が導入され(ステップS34)、剛性方程式の解析が行われる。そして、未知節点変位が決定される(ステップS35)。そして、各要素のひずみ、応力、主応力といった物理量を計算し、同出力する(ステップS36ないし37)。ステップS38では、計算を終了させるか否かの判定がなされ、否定的である場合には、ステップS32以降を繰り返す。
本実施形態では、前記粘弾性材料モデル2に1軸の引張試験を行い、引張のひずみを0.01きざみで0〜2.0まで漸増させるとともに、各ひずみ毎に粘弾性材料モデル2に作用する応力を計算する。またひずみが2.0に達した後は、逆に0.01きざみでひずみを0まで漸減させる。各ひずみ状態において、それぞれ平均セグメント数Nが計算され、この値は式(1)のひずみエネルギー関数へと代入され逐次計算が行われる。なお粘弾性材料モデルは、厚さ方向(図3のZ軸方向)に変化しないようにArrudaらの3次元8鎖モデルが用いられている。
シミュレーションは、コンピュータ装置1を用いて行われる。上述のように粘弾性材料モデル2の材料特性と、変形条件とが決定できれば、ステップS32〜S37の計算自体は、例えば有限要素法を用いたエンジニアリング系の解析アプリケーションソフトウエア(例えば米国リバモア・ソフトウェア・テクノロジー社で開発・改良されたLS−DYNA等)を用いて行うことができる。
また、本実施形態では、式(1)の定数等を次のように設定した。
R =0.268 N=6.6 T=296
B =1.38066×10-29 n=CR /KB /T=6.558×1025A =n・N=4.328×1026
前記変形計算が行われると、その結果から必要な物理量を取得することができる(ステップS4)。図8には、粘弾性材料モデルの物理量として、真応力とひずみとの関係を示す。粘弾性材料モデル2の負荷変形時には、非線形の第1の曲線L1が得られた。また除荷変形時では、第1の曲線L1とは異なる第2の曲線L2が得られた。第2の曲線L2は、第1の曲線L1よりも低弾性を示し、ヒステリシスループが再現できた。このループの閉面積を計算することにより、変形1サイクルでのエネルギーロスを計算しうる。
各曲線L1、L2の形状は、式(19)において、係数AないしEを適宜設定し分子鎖1本当たりの平均セグメント数Nを表す関数を変えることにより種々設定しうる。したがって、例えば解析しようとするゴム材料に応じて、係数AないしEを種々設定することにより、材料毎にエネルギーロスなどを詳細に検討することができる。これは、粘弾性材料を主要部として用いるタイヤ、ゴルフボールの性能改善などに大いに役立つ。また、シミュレーション対象の材料の応力−ひずみ曲線が分かっている場合、それに応じて前記係数AないしE等を調整することにより、実際の粘弾性材料と同じ応力ーひずみの関係を表す粘弾性材料のシミュレーションを簡単に行うことができる。
なお本発明の比較例として、分子鎖1本当たりの平均セグメント数Nを一定としてArrudaらと同様の変形シミュレーションを行った。この例では平均セグメント数Nの値は、次のように設定した。
N=6.6
図9には、比較例の結果として、粘弾性材料モデル2の真応力とひずみとの関係を示す。この場合、粘弾性材料モデル2は、負荷変形時及び除荷変形時とも、同じ曲線L3を通る。したがって、粘弾性材料の特徴であるエネルギーロスを表現し得ない。これは、Nの値とは関係がなく、Nが負荷変形時と除荷変形時とで同じであることに基づいている。
また上記実施形態では、平均セグメント数Nが1次のひずみの不変量I1 の平方根であるλc の関数である態様を示したが、λc に代えてひずみ速度やひずみ量を用いることができる。この場合、式(19)と同様に、負荷変形時と除荷変形時とで係数を違えることにより、エネルギーロスを表現することができる。
図10には、本発明の他の実施形態を示す。
この実施形態では、粘弾性材料モデル2が、ゴムマトリックス中にフィラー(充填材)を配合したゴムをモデル化したものが例示される。即ち、粘弾性材料モデル2は、ゴムマトリックス部分がモデル化されたマトリックスモデル3(最も濃い部分)と、このマトリックスモデル3の中に分散して配されかつフィラー(充填材)がモデル化されたフィラーモデル4(白い部分)と、前記マトリックスモデル3と前記フィラーモデル4との間に介在しかつ両者の間の界面を形成する界面モデル5(やや黒い部分)とを含むものが例示される。図10の粘弾性材料モデル2の縦、横の長さは、300nm×300nmとしている。
前記マトリックスモデル3は、粘弾性材料モデル2の主要部を構成し、かつ、例えば三角形ないし四辺形の要素を用いて表現されている。マトリックスモデル3を構成する各要素には、材料特性として、前述した式(1)の応力とひずみとの関係が定義される。式(1)中の定数などは条件に応じ前記実施形態とは異ならせ得るのは言うまでもない。
前記フィラーモデル4は、本実施形態ではフィラーとしてのカーボンブラックをモデル化したものが示されている。但し、フィラーは、カーボンブラックに限定されるものではなく、例えばシリカ等でも良い。この例では、フィラーモデル4の物理的形状は、実際のゴム中に充填されたカーボンブラックの形状を電子顕微鏡にて撮像した形状に基づいて定められている。カーボンブラック6の形状(最小単位)は、具体的には、図11に略示するように、炭素原子からなる直径数10nm程度の球状の一次粒子7が不規則に3次元的に結合した葡萄の房状構造をなしている。
またカーボンブラックは、ゴム等の粘弾性材料に比べると数百倍の硬さ(縦弾性係数)を持つため、フィラーモデル4は、本実施形態では粘弾性体ではなく弾性体として取り扱っている。したがって、フィラーモデル4は、材料特性として縦弾性係数が与えられ、変形計算上、応力とひずみとが比例する。このフィラーモデル4の量は、ゴムの配合量を考慮して定められる。
またフィラーモデル4の周りには界面モデル5が設定される。物理的な構造として、フィラーとゴムマトリックスとの界面にはこのような特殊な層が形成されていることは確認されていない。しかしながら、上で述べた通り、フィラーとマトリックスゴムとの界面では、様々な現象が生じており、とりわけ界面におけるゴムマトリックスとフィラーとの滑りないし摩擦現象は、比較的大きなエネルギーロスを生じさせる。
本実施形態の界面モデル5は、フィラーモデル4を連続して取り囲み、かつ、薄い厚さで界面モデル5を設けるとともに、マトリックスモデル3とは異なる粘弾性特性が定義されている。これは、界面での大きなエネルギーロスの再現を可能とする。なお、界面モデル5は、必ずしも連続してフィラーモデル4を取り囲む必要はないが、その大部分を囲むことが望ましい。界面モデル5の厚さtは特に限定はされないが、大きすぎるとエネルギーロスが過大に表現されてしまう傾向があり、逆に小さすぎても界面でのエネルギーロスの再現が困難となりやすい。種々の実験の結果、前記厚さtは、例えば1〜20nm、より好ましくは5〜10nmであることが望ましい。
また界面モデル5は、粘弾性材料としてモデル化されるため、マトリックスモデル3と同様に式(1)に基づき材料特性が定義される。本実施形態の界面モデル5は、前記マトリックスモデル3よりも軟い粘弾性特性が定義される。具体的には、応力−ひずみ(又は伸び)曲線における弾性成分の傾き(弾性体の縦弾性係数に相当)を小さくする。また、本例の界面モデル5の各要素は、ひずみの1サイクル当たりに生じるエネルギーロスがマトリックスモデル3よりも大きくなるように設定される。
本シミュレーションは、均質化法(漸近展開均質化法)に基づいて行われる態様を例示する。均質化法は、図12に示すように、図10に示した微視構造(ユニットセル)を周期的に持っているゴム材料全体Mを表現するxI と、前記微視構造を表現するyI との独立した2変数が用いられる。微視的スケールと巨視的スケールという異なる尺度の場におけるそれぞれ独立した変数を漸近展開することにより、図10に示した微視構造のモデル構造を反映させたゴム材料全体Mの平均的な力学応答を求めることができる。即ち、解析対象領域が任意の微視構造の繰り返しによって構成され、その繰り返し度合いが非常に密なために直接有限要素法で領域を離散化出来ない場合、解析対象を均質な等価モデルで代用して全体を解析し、その解析結果を任意の点での微視構造に戻すことによって微視構造自身の変形を近似的に求めることができる。漸近展開均質化法については、例えば次の文献に詳細に述べられている。
Higa,Y.and Tomita,Y,,Computational Prediction of Mechanical Properties of Nickel-based superalloy with gamma Prime Phase Precipitates,Proceedings of ICM8(Victoria,B.C.,Canada),Advance Materials and Modeling of Mechanical Behavior,(Edited by Ellyin,F,and Proven,J.W.),III(1999),1061-1066,Fleming Printing Ltd..
比嘉吉一,冨田佳宏,粒子強化型複合材の均質化法による変形挙動のモデル化とシミュレーション,日本機械学会論文集,A66(2000),1441-1446.
具体的には前記式(1)に加え下記式(20)の巨視的平衡方程式及び式(21)の特性変位関数(Y−periodic)が用いられる。
また、本実施形態では、式(1)の定数等を次のように設定した。
R =0.268
N=6.6
T=296
B =1.38066×10-29
n=CR /KB /T=6.558×1025
A =n・N=4.328×1026
フィラーモデルの体積含有率 30%
フィラーモデルの縦弾性係数E:100MPa
フィラーモデルのポアソン比ν:0.3
また変形シミュレーションは、巨視的モデルMとして2mm×2mmの矩形状の解析領域を設定し、この巨視的モデルMに一様な一軸引張変形を発生させるため、図12のx2方向に平均ひずみ速度1.0×10-5/sを加え、ひずみを0.01きざみで零から2.5まで漸増させるとともに、各ひずみ毎にゴム材料モデル2に作用する応力を計算している。またひずみが2.5に達した後は、逆に0.01きざみで前記と同じひずみ速度でひずみを零まで漸減させた。各ひずみ状態において、それぞれ平均セグメント数Nが計算され、この値は式(1)へ代入され逐次計算が行われる。なおゴム材料モデルは、厚さ方向に変化しないようにArrudaらの3次元8鎖モデルが用いられている。また、マトリックスモデル3及び界面モデル5の平均セグメント数Nは次のように設定した。
<マトリックスモデル>
・負荷変形時の平均セグメント数N
N=-3.2368+20.6175 λc-21.8168 λc2+10.8227λc3-1.9003 λc4
・除荷変形時の平均セグメント数N(一定)
N=6.6
・分子鎖のセグメントの総数NA (一定)
A =4.3281×1026
<界面モデル>
・負荷変形時の平均セグメント数N
N=-5.9286+20.6175 λc-21.8168 λc2+10.8227λc3-1.9003 λc4
・除荷変形時の平均セグメント数N(一定)
N=3.91
・分子鎖のセグメントの総数NA (一定)
A =3.203×1025
前記変形計算が行われると、その結果から必要な物理量を取得することができる(ステップS4)。図13には、マトリックスモデル3、フィラーモデル4及び界面モデル5について、それぞれ単独で変形シミュレーションを行った結果を示している。フィラーモデル4が最も高い弾性を示し、エネルギーロスは生じていない。界面モデル5は、同じ応力でもマトリックスモデル3よりも大きなひずみが生じる粘弾性特性が表れており、かつ、エネルギーロス(曲線のループ面積)も大きくなっている。
また図14の曲線Laは、上記各モデルを図10の微視構造(セルユニット)として組み入れたゴム材料モデル全体Mにおける真応力とひずみとの関係を示している。負荷変形時には、非線形の第1の曲線La1が得られた。また除荷変形時では、第1の曲線La1とは異なる第2の曲線La2が得られた。第2の曲線La2は、第1の曲線La1よりも軟化しており(低弾性)、ヒステリシスループが再現できた。このループの閉面積を計算することにより、変形1サイクルでのエネルギーロスを計算することができる。
ちなみに、分子鎖1本当たりの平均セグメント数Nを一定として Arruda らと同様の変形シミュレーションを行った場合、負荷変形時及び除荷変形時とも、同じ曲線を通り、エネルギーロスを表現し得ない結果となる。また上記実施形態では、平均セグメント数Nがパラメータλc の関数である態様を示したが、λc に代えてひずみ速度やひずみ量を用いることができる。この場合、式(19)と同様に、負荷変形時と除荷変形時とで係数を違えることにより、エネルギーロスを表現することができる。
各曲線La1、La2の形状は、式(19)において、係数AないしEを適宜設定し分子鎖1本当たりの平均セグメント数Nを定める関数を変えることにより種々設定しうるのは前記同様である。したがって、解析しようとするゴム材料に応じて、係数AないしEを種々設定することにより、材料毎により詳細にエネルギーロスなどを詳細に検討することができる。
また、曲線Lbは、図10の粘弾性材料モデル2において、界面モデル5にマトリックスモデル3と同一の材料特性を与えたモデル(つまり、界面を考慮していないモデル)で同一の実験を行った結果を示している。界面の軟質領域がないため、応力ーひずみ曲線がLaよりも立ち上がっている。また、界面モデル5の大きなエネルギーロスがないため、モデル全体のエネルギーロスも小さいことが分かる。
さらに曲線Lcは、界面モデル5に、前記とは逆の材料特性を与えてシミュレーションを行った結果を示している。即ち、曲線Lcを得た粘弾性材料モデル2は、図15に示すように、界面モデル5の方がマトリックスモデル3よりも高弾性を示すように粘弾性特性を定義したものである。なお、各モデルの平均セグメント数Nは次のように設定している。
<マトリックスモデル>
・負荷変形時の平均セグメント数N
N=-3.2368+20.6175 λc-21.8168 λc2+10.8227λc3-1.9003 λc4
・除荷変形時の平均セグメント数N(一定)
N=6.6
・分子鎖のセグメントの総数NA (一定)
A =4.3281×1026
<界面モデル>
・負荷変形時の平均セグメント数N
N=-5.4800+20.6175 λc-21.8168 λc2+10.8227λc3-1.9003 λc4
・除荷変形時の平均セグメント数N(一定)
N=4.36
・分子鎖のセグメントの総数NA (一定)
A =8.569×1026
この結果、図14に示したように、粘弾性材料モデル2の系全体の粘弾性特性が曲線Lbよりも高い勾配、高弾性化されていることが確認できる。
図16には、前記粘弾性材料モデル2(曲線Laのもの)の一軸引張の変形シミュレーションにおける変形〜回復状態の進行過程を間欠的に視覚化して示す。図16(A)〜(E)は、負荷変形時を、同(F)〜(J)は除荷変形をそれぞれ示している。また色彩が白く変化しているところは、ひずみの大きい領域を示している。この結果では、フィラーモデル4の界面及びフィラーモデル4、4間に大きなひずみが集中していることが正確に再現されている。
図17には、最大ひずみ時における各要素の引張方向のひずみ分布を示し、(A)は、図13の曲線Lbを、(B)は同曲線Laのものである。色彩が薄くなるところほど大きなひずみが生じていることを示す。界面を考慮していない(A)のものでは、ひずみの発生が全体的に広範囲にかつ穏やかに生じているのに対して、界面を考慮した(B)のものでは、フィラーモデル4の周辺にひずみが集中していることが良く再現できている。
また図18には、各要素毎にひずみの1サイクルのエネルギーロスを計算し、その大小を色彩にて示す。色彩が薄いところほど大きなエネルギーロスが生じていることを示す。また粘弾性材料モデル2は、図17の最大変形形状で表しており、(A)は、図14の曲線Lbを、(B)は同曲線Laのものである。界面を考慮した(B)のものでは、フィラーモデル4の界面に集中して大きなエネルギーロスが生じていることが確認できる。
本実施形態で用いたコンピュータ装置の一例を示す斜視図である。 本実施形態の処理手順を示すフローチャートである。 粘弾性材料モデルの一実施形態を示す線図である。 (A)は粘弾性材料の網目構造体を示す斜視図、(B)は8鎖モデルの一例を示す斜視図である。 (A)、(B)は分子鎖の接合点の破断を説明する線図である。 パラメータλc と分子鎖1本当たりの平均セグメント数Nとの関係を示すグラフである。 変形シミュレーションの手順を示すフローチャートである。 粘弾性材料モデルのシミュレーション結果として真応力−ひずみとの関係を示すグラフである。 比較例の粘弾性材料モデルのシミュレーション結果として真応力−ひずみとの関係を示すグラフである。 粘弾性材料モデルの他の実施形態を示す線図である。 カーボンブラックの形状を示す線図である。 均質化法を説明する微視構造と全体構造との関係を示す。 マトリックスモデル、フィラーモデル及び界面モデルの応力ーひずみ曲線を示す。 他の実施形態として、粘弾性材料モデルの変形シミュレーション結果から得られた真応力ーひずみ曲線である。 マトリックスモデル及び界面モデルの応力ーひずみ曲線を示す。 (A)〜(J)は、粘弾性材料モデルの変形過程を視覚化して示す線図である。 (A)は界面層未考慮のモデル、(B)は、界面層を考慮したモデルの引張ひずみの分布図である。 (A)は界面層未考慮のモデル、(B)は、界面層を考慮したモデルのエネルギーロスの分布図である。 (A)は粘弾性材料、(B)はその分子鎖1構造を説明する線図、(C)は1本の分子鎖の拡大図、(D)はセグメントの拡大図である。 Arrudaらによるシミュレーション結果として、応力ーひずみ曲線を示す。
符号の説明
1 コンピュータ装置
2 粘弾性材料モデル
3 マトリックスモデル
4 フィラーモデル
5 界面モデル

Claims (8)

  1. 粘弾性材料の変形をシミュレーションする粘弾性材料のシミュレーション方法であって、
    粘弾性材料を数値解析が可能な要素でモデル化した粘弾性材料モデルを設定するステップと、
    前記粘弾性材料モデルに条件を設定して変形計算を行うステップと、
    前記変形計算から必要な物理量を取得するステップとを含むとともに、
    前記粘弾性材料モデルは、ゴムマトリックス部分がモデル化されたマトリックスモデルと、このマトリックスモデルの中に分散して配されかつフィラーがモデル化されたフィラーモデルと、前記マトリックスモデルと前記フィラーモデルとの間に介在しかつ両者の間の界面を形成する界面モデルとを含み、しかも前記界面モデルは、前記フィラーモデルを連続して取り囲みかつ厚さを有するとともに前記マトリックスモデルとは異なる粘弾性特性が定義されるとともに、
    前記マトリックスモデル及び前記界面モデルは、下記式(1)で示される応力とひずみとの関係が定義され、かつ、該式(1)における1本の分子鎖当たりの平均セグメント数Nが、負荷変形時と除荷変形時とで異なることによりエネルギーロスを表現可能なことを特徴とする粘弾性材料のシミュレーション方法。
  2. 前記平均セグメント数Nは、負荷変形時ではひずみに関するパラメータに応じて増大し、除荷変形時では一定値をなすことを特徴とする請求項1記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  3. 前記ひずみに関するパラメータは、ひずみの1次の不変量I1 であることを特徴とする請求項2記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  4. 前記ひずみに関するパラメータは、ひずみ量又はひずみ速度であることを特徴とする請求項2記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  5. 前記界面モデルは、前記マトリックスモデルよりも軟い粘弾性特性が定義されることを特徴とする請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法。
  6. 前記界面モデルは、前記マトリックスモデルよりも硬い粘弾性特性が定義されることを特徴とする請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法。
  7. 前記界面モデルは、前記マトリックスモデルよりもヒステリシスロスが大きい粘弾性特性が定義されることを特徴とする請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法。
  8. 前記界面モデルの厚さは1〜20nmである請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法。
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