JP3668139B2 - 紙製食品包装用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、持ち帰り食品や冷凍食品の包装に好適な紙製食品包装用容器に関し、詳述すると、親子丼や牛丼等の丼をはじめ、焼きそば、たこやき等の液汁が出る食品や液体調味料が塗られた食品を包装する際に好適に用いられる紙製食品包装用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、催し物会場や野球場あるいは店内や店外に設置された弁当売場において、この種の食品を包装する容器としてトレー状のプラスチック製包装用容器が一般に用いられている。このようなプラスチック製容器が好んで用いられている所以は、軽量であること、十分な保形性を備えていること、食品の表面に塗られたソースや醤油等の液体調味料、あるいは食品から浸み出た液汁さらには煮込み食品の液汁等が容器に浸み込まないものであること等の利点を有しているところにある。
【0003】
しかしながら、このようなプラスチック製容器は、廃棄処理上いささか問題が多いものである。すなわち、プラスチックは自然分解することのないものであるから、これを廃棄処理するに当たっては、焼却せざるを得ないのであるが、その焼却時に、人体に悪影響を及ぼす有害なガスが発生したり、焼却時に発生する極めて大きな燃焼熱により焼却炉の寿命が縮められたりするという問題が生じる。
【0004】
そこで、最近では、このようなプラスチック製容器の代替品として、トレー状の紙製の容器が用いられてきている。この紙製の容器によれば、これを廃棄処理するに当たって、上述した問題は発生することはないが、これに食品を包装するに当たっては、液体調味料や液汁が容器に浸み込んで容器内面が汚れるという問題が発生する。このように内面が汚れた容器は、これを紙として再生することが困難になる。そこで、容器内面の汚れを防止するために、合成樹脂製フィルム等の耐水性や耐油性に富んだフィルムが片面に積層貼着された紙を用い、これをフィルムが内面になるように組立製作した紙製容器が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この紙製容器によれば、フィルムは容器内面の縁部にまで積層されているので、フィルムの引き剥がし操作を行う際にフィルムを摘み難いという難点があった。一方、もし仮にフィルムを摘み易くするため容器にフィルム摘み片を付設すると、容器の外観体裁が低下するという新たな問題が生じる。
【0006】
この発明は、上記のような技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、容器内面に積層された汚れ防止用フィルムを摘み易くして、該フィルムの引き剥がし操作を容易に行えるように構成された優れた外観体裁を有する紙製食品包装用容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、容器内面に、食品との接触による汚れを防止する汚れ防止用フィルムが積層されるとともに剥離可能な接着剤により貼着されてなり、且つ、底壁と、該底壁の周縁に周方向に並んで設けられた複数個の側壁と、隣接する側壁の側縁間に介在された二つ折り状の連結片と、を備えるとともに、前記連結片の一対の折半部のうちいずれか一方の折半部の外面が該折半部側の側壁の外面に重合され、前記連結片の各折半部の内面に、前記フィルムの折半部対応部位が積層された紙製食品包装用容器であって、側壁外面に重合された折半部の少なくとも上端部に、遊離部が設けられるとともに、該遊離部の外面の少なくとも一部が、側壁外面に重合状態で貼着され、この折半部を側壁外面から引き剥がすことにより、該折半部から遊離部が遊離して該折半部の遊離部除去部から前記フィルムの遊離部対応部位の裏面が露出するものとなされていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、上記請求項1記載の紙製食品包装用容器において、前記遊離部の外面の少なくとも一部が、前記側壁に外面側に膨出して形成された膨出部の外面に貼着されているものである。
【0009】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2記載の紙製食品包装用容器において、前記遊離部が、破断用切目線を介して設けられているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る容器の前後方向は相対的なものであり、この実施形態では、説明の便宜上、容器本体の複数個の側壁のうち、外面に連結片の折半部が貼着された一対の対向側壁を、前側壁及び後側壁として説明する。
【0011】
図1〜図8は、この発明の第1実施形態の紙製食品包装用容器(A1)を示している。この容器(A1)は、その内部に食品として親子丼を入れてこれを包装するために用いられるものであって、図1に示すようにトレー状の紙段ボール製容器本体(10)と、該容器本体とは別体の紙段ボール製蓋体(40)とを備えている。
【0012】
容器本体(10)は、腰のある長尺広幅の紙段ボール素材(例えば厚さ0.7〜1.5mm)を用い、これをプレス打ち抜き装置で所定形状に打ち抜くことにより得られたいわゆるブランクと呼ばれる一枚の容器本体組立用素片から組立製作されたものである。蓋体(40)についてもこれと同様に組立製作されたものである。
【0013】
容器本体(10)の内面全面には、食品との接触による汚れを防止する一枚の汚れ防止用フィルム(F1)が積層されるとともに剥離可能な接着剤によって複数箇所において貼着されている。図1において、(T)は汚れ防止用フィルム(F1)の貼着部を示している。この汚れ防止用フィルム(F1)の貼着箇所は点在しており、各貼着部(T)は線状になっている。
【0014】
図7は容器本体(10)を内面側から見た展開図を示し、図8は該容器本体(10)の内面に積層された汚れ防止用フィルム(F1)を内面側から見た展開図を示している。
【0015】
汚れ防止用フィルム(F1)は、耐水性及び耐油性に富んだ無色透明なプラスチックフィルム材(例えば厚さ40〜100μmのPET樹脂製フィルム材)からなるものであって、前記容器本体組立用素片と同形同寸に形成されており、したがって容器本体(10)を構成する全ての構成壁に対応する部位を備えている。そして、この汚れ防止用フィルム(F1)の各部位が容器本体(10)の対応構成壁の内面に積層されるとともに、この積層状態のもとで剥離可能な接着剤によって該フィルム(F1)の裏面が部分的に容器本体(10)の内面に貼着されている。
【0016】
この汚れ防止用フィルム(F1)は、次のようにして容器本体(10)の内面に積層されたものである。すなわち、上述した容器本体組立用素片の打ち抜き工程の際に、紙段ボール素材の容器本体の内面となる側の面の所定箇所に剥離可能な接着剤を塗布し、次いでこの面に長尺広幅のフィルム素材を積層して当該フィルム素材を貼着した後、積層状態のままでプレス打ち抜き装置により打ち抜かれることにより、容器本体組立用素片の内面全面に積層されたものである。そして、この積層状態のままで容器本体組立用素片を容器本体形状に組み立てることにより、フィルム(F1)の各部位が容器本体(10)の対応構成壁の内面に積層されたものである。
【0017】
而して、容器本体(10)は次のように構成されている。
【0018】
すなわち、容器本体(10)は、図7に示すように方形状の底壁(11)を備えており、この実施形態では該底壁(11)は正方形状のものである。この底壁(11)の内面には、汚れ防止用フィルム(F1)の底壁対応部位(31)が全面に亘って積層されるとともに、該底壁対応部材(31)の裏面の一部が剥離可能な接着剤によって貼着されている。
【0019】
この底壁(11)の周縁には、折目(21)(21)(21)(21)を介して、周方向に並ぶとともに外方側に傾斜した前後左右の四側壁(12)(12)(13)(13)が立ち上がり状に設けられている。前側壁(12)、後側壁(12)、左側壁(13)及び右側壁(13)の内面には、それぞれ、汚れ防止用フィルム(F1)の前側壁対応部位(32)、後側壁対応部位(32)、左側壁対応部位(33)及び右側壁対応部位(33)が全面に亘って積層されるとともに、各側壁対応部位(32)(32)(33)(33)の裏面の一部が剥離可能な接着剤によって貼着されている。さらに、これら四側壁(12)(12)(13)(13)において、隣接する側壁(12)(13)の側縁間には、二つ折り状の連結片(15)が介在されている。
【0020】
連結片(15)は、隣接する各側壁(12)(13)の側縁に折目(22)(22)を介して連設され且つ互いに折半用折目(23)を介して連設された一対の三角形状の第1折半部(15a)及び第2折半部(15b)からなる。この連結片(15)の第1折半部(15a)及び第2折半部(15b)の内面には、それぞれ、汚れ防止用フィルム(F1)の第1折半部対応部位(35a)及び第2折半部対応部位(35b)が全面に亘って積層されるとともに、該第1折半部対応部位(35a)及び第2折半部対応部位(35b)の裏面の一部が剥離可能な接着剤によって貼着されている。
【0021】
各連結片(15)において、折半用折目(23)には、破断用切目線として、外面側から切り込まれた第1ハーフカット線(H1)が当該折半用折目(23)に沿って設けられている。更に、図4に示すように、第1折半部(15a)の高さ方向中間部の若干上側の位置には、破断用切目線として、外面側から切り込まれた第2ハーフカット線(H2)が水平に設けられ、これにより、第1折半部(15a)の第2ハーフカット線(H2)より上側の部位が遊離部(X)となされている。この遊離部(X)は後述するように容器本体(A1)の解体の際に遊離されるものである。そして、この連結片(15)が、図4に示すように、その第1折半部(15a)及び第2折半部(15b)の内面にそれぞれ汚れ防止用フィルム(F2)の第1折半部対応部位(35a)及び第2折半部対応部位(35b)が積層された状態のままで、両折半部(15a)(15b)の内面同士が貼着されることなく前記折半用折目(23)から二つ折り状に折り曲げられるとともに、この二つ折り状態で、該連結片(15)の第1折半部(15a)の外面が該第1折半部側の側壁である前側壁(12)や後側壁(12)の外面に重合されている。
【0022】
一方、前側壁(12)及び後側壁(12)における第1折半部(15a)が重合された部位の上部には、図4に示すように、外面側に膨出した略逆台形状の膨出部(B)がその下縁が第2ハーフカット線(H2)より若干下側に位置されて形成されている。この膨出部(B)の外面には接着剤が全面に亘って塗布されており、この面に第1折半部(15a)の外面が上述したように重合されることによって、該膨出部(B)の外面に、第1折半部(15a)の遊離部(X)外面の略全面と第2ハーフカット線(H2)を跨いで該第2ハーフカット線(H2)より下側の部位の外面とが貼着されている。また、この第1折半部(15a)の重合状態において、膨出部(B)は、図2に示すように連結片(15)の第2折半部(15b)によって隠蔽されて容器本体(10)の外面には露出していない。
【0023】
なお、膨出部(B)は、次のようにして形成されたものである。すなわち、前側壁(12)や後側壁(12)を受けダイ(図示せず)上に載置するとともに、膨出部(B)となる部位の内面側に所定の突出高さを有する膨出部形成用凸部(図示せず)を受けダイとの間に介在させ、この状態で膨出部(B)の周囲を外面側からプレスすることにより、外面側に膨出して形成されたものである。
【0024】
前側壁(12)、後側壁(12)、左側壁(13)及び右側壁(13)の上縁には、それぞれ、折目(24)(24)(24)(24)を介して、前蓋受け片(16)、後蓋受け片(16)、左蓋受け片(17)及び右蓋受け片(17)が一体に連設されている。そして、これら蓋受け片(16)(16)(17)(17)が、図1に示すように、いずれも前記折目(24)から外方突出状に折り曲げられている。前蓋受け片(16)、後蓋受け片(16)、左蓋受け片(17)及び右蓋受け片(17)の上面には、それぞれ汚れ防止用フィルム(F1)の前蓋受け片対応部位(36)、後蓋受け片対応部位(36)、左蓋受け片対応部位(37)及び右蓋受け片対応部位(37)が全面に亘って積層されるとともに、各蓋受け片対応部位(36)(36)(37)(37)の裏面の先端部が剥離可能な接着剤によって貼着されている。
【0025】
また、前後各蓋受け片(16)の各側縁には、図1に示すように爪片(16a)が延設されている。そして、この爪片(16a)が左右各側壁(13)の側縁の上端部に係止されており、これにより前後各側壁(12)の内方側のへ動きが規制されており、前後各側壁(12)が元の姿勢である外方側に傾斜した姿勢から直立姿勢へと更には内方側に傾斜した姿勢へと動いてしまう不具合が発生しないものとなされ、高い保形性を有するものとなされている。
【0026】
一方、蓋体(40)は、図1に示すように、方形状の天壁(41)と、該天壁(41)の周縁に周方向に並ぶとともに垂れ下がり状に設けられた前後左右の側壁(42)(42)(43)(43)とを備えている。また、この蓋体(41)の内面には、容器本体(10)と同じく、食品との接触による汚れを防止する一枚の汚れ防止用フィルム(F2)が積層されている。この汚れ防止用フィルム(F2)は、僅かに吸水性を有し且つ耐水性及び耐油性に富んだ一枚の薄紙(例えば厚さ40〜80μm)からなり、この薄紙として、例えば三島製紙株式会社製の食品包装紙「MOB」が用いられている。この汚れ防止フィルム(F2)は、天壁(41)に対応する部位と、前側壁(42)に対応する部位と、後側壁(42)に対応する部位と、を備えている。そして、このフィルム(F2)の各部位が蓋体(40)の対応構成壁の内面に積層されるとともに剥離可能な接着剤によって部分的に貼着(貼着部T)されている。
【0027】
容器本体(10)の内面に積層された汚れ防止用フィルム(F1)及び蓋体(40)の内面に積層された汚れ防止用フィルム(F2)を貼着した剥離可能な接着剤としては、被接着物を容易に剥ぎ取ることのできるいわゆる軽剥離接着剤と呼ばれる剥離性接着剤が用いられており、これを具体的に言うと、東立化成工業株式会社製のエマルジョン型接着剤「TX−1286」が用いられている。
【0028】
而して、上記構成の容器(A1)では、容器本体(10)の底壁(11)及び各側壁(12)(12)(13)(13)の内面には、それぞれ汚れ防止用フィルム(F1)の底壁対応部位(31)及び側壁対応部位(32)(32)(33)(33)が積層されているので、親子丼や牛丼等の丼をはじめ、焼きそば、たこやき等の液汁が出る食品や液体調味料が塗られた食品を容器本体(10)内に入れた場合であっても、液汁や液体調味料が浸み込んで容器本体(10)の内面が汚れるという不具合が発生しない。しかも、二つ折り状の連結片(15)の各折半部(15a)(15b)の内面にも汚れ防止用フィルム(F1)の折半部対応部位(35a)(35b)が積層されているので、もし仮に、二つ入り状の連結片(15)間に液汁や液体調味料が浸入した場合であっても、この浸入に伴う連結片(15)内面の汚れを防止することができる。さらに、蓋体(40)の天壁(41)の内面にも汚れ防止用フィルム(F2)の天壁対応部位が積層されているので、食品を容器本体(10)内に入れた後で蓋体(40)を閉じた場合であっても、蓋体(40)の天壁(41)内面が汚れる不具合が発生しない。したがって、この容器(A1)によれば、容器使用後に汚れ防止用フィルム(F1)(F2)を引き剥がして分離することにより、容器(A1)を綺麗な状態で再生に供することができる。
【0029】
容器使用後において、容器本体(10)の内面から汚れ防止用フィルム(F1)を引き剥がして分離する場合には、図5に示すように、まず二つ折り状の各連結片(15)の第1折半部(15a)を前側壁(12)や後側壁(12)の外面から強制的に引き剥がして容器本体(10)を解体する。この各連結片(15)の引き剥がし操作により、第1ハーフカット線(H1)の上端部と第2ハーフカット線(H2)とが破断し、同図に示すように遊離部(X)は第1折半部(15a)から遊離して前側壁(12)や後側壁(12)の膨出部(B)外面にそのまま残存して付着した状態となる。一方、引き剥がされた第1折半部(15a)の遊離部除去部(J)からは遊離部(X)内面に積層されていた部位である汚れ防止用フィルム(F1)の遊離部対応部位(Y)の裏面が露出するものとなる。次いで、この遊離部対応部位(Y)を指先で挟んで摘み、図6に示すようにこの部位からフィルム(F1)の引き剥がし操作を行う。このとき、容器本体(10)は解体されて二つ折り状の連結片(15)が開いた状態になっているから、連結片(15)間に折り込まれた汚れ防止用フィルム(F1)の連結片対応部位(35)を該連結片(15)間から容易に取り出すことができ、連結片(15)に干渉されることなくフィルム(F1)を引き剥がすことができる。さらに、容器本体(10)は既に解体されているので、リサイクル用回収ボックス等に入れる際にわざわざ容器本体(10)を解体する必要がないし、コンパクトな状態にして回収ボックス等に入れることができる。
【0030】
さらに、容器本体(10)の解体前においては、遊離部(X)は第1折半部(15a)の一部として機能しているから、第1折半部(15a)の外面の面積が広く、このため前側壁(12)や後側壁(12)は安定良く支持されており、したがって容器本体(10)は高い保形性を有するものとなっている。
【0031】
しかも、この容器本体(10)において、遊離部(X)、第2ハーフカット線(H2)及び膨出部(B)は連結片(15)の第2折半部(15b)によって隠蔽されていて容器本体(10)の外面に露出しておらず、且つ第1ハーフカット線(H1)は折半用折目(23)に沿って設けられているから目立ち難くなっている。したがって、容器本体(10)の外観体裁は良好である。
【0032】
さらに、この容器本体(10)によれば、第1折半部(15a)が重合される前側壁(12)や後側壁(12)には、外面側に膨出した膨出部(B)が形成されているので、容器本体(10)の組立の際に、第1折半部(15a)の外面を前側壁(12)や後側壁(12)の外面に強く密着させることができて、該第1折半部(15a)の外面を確実に且つ強固に貼着することができる。このため、容器使用後において第1折半部(15a)を引き剥がすと、第1折半部(15a)の外面は上述したように強固に貼着されているから、遊離部(X)が確実に第1折半部(15a)から遊離されるものとなり、フィルム(F1)の遊離部対応部位(Y)の裏面をより一層確実に露出させることができる。
【0033】
しかも、この容器(A1)によれば、汚れ防止用フィルム(F1)は、剥離可能な接着剤により貼着されているので、フィルムの引き剥がす途中で、フィルム(F1)が貼着部(T)において破れてその一部が容器本体(10)の内面に残ってしまう不具合が発生せず、フィルム(F1)を綺麗に引き剥がすことができる。その上、フィルム(F1)は容器本体(10)の内面の全面に亘って貼着されたものではなく、その一部が貼着されているものなので、フィルム(F1)の貼着部(T)の合計面積が少なく、したがってフィルム(F1)を僅かな力で引き剥がすことができる。
【0034】
もとより、この容器(A1)の容器本体(10)及び蓋体(40)はともに紙段ボールから製作されたものであるので、優れた保温性を有しており、高温状態を長期に亘って維持することができる。
【0035】
なお、この発明では、汚れ防止用フィルム(F1)の貼着部(T)は、この実施形態のように線状になっていても良いし、あるいは点状や面状になっていても良い。更に、フィルム(F1)の裏面の全面積に対するこれら貼着部(T)の合計面積の占める割合が50%以下に設定されていることが、フィルム(F1)の引き剥がし操作をより一層容易に行えるようになる点で望ましく、更にこの割合が30%以下に設定されていることが特に望ましい。
【0036】
図9及び図10には、この発明の第2実施形態の紙製食品包装用容器(A2)を示している。これらの図には、上記第1実施形態の容器(A1)に対応する構成要素に同一の符号が付されており、以下、この第2実施形態の容器(A2)を上記第1実施形態のもとの相異点を中心に説明する。
【0037】
この第2実施形態の容器本体(10)では、図9に示すように、各連結片(15)の第1折半部(15a)の上端部における幅方向中間部には、破断用切目線として、両端が第1折半部(15a)の上縁に位置され外面側から切り込まれた円弧状の第3ハーフカット線(H3)が設けられ、該第3ハーフカット線(H3)で区画された半円状の部位が遊離部(X)となされている。
【0038】
この容器本体(10)におけるフィルム(F1)の引き剥がし操作は、上記第1実施形態の容器(A1)の引き剥がし操作と同様にして行われる。すなわち、図10に示すように、各連結片(15)の第1折半部(15a)を前側壁(12)や後側壁の外面から強制的に引き剥がして容器本体(10)を解体する。この引き剥がし操作により、第1折半部(15a)の第3ハーフカット線(H3)が破断し、同図に示すように遊離部(X)は第1折半部(15a)から遊離して前側壁(12)の膨出部(B)外面にそのまま残存して付着した状態となる。一方、引き剥がされた第1折半部(15a)の遊離部除去部(J)から遊離部(X)内面に積層されていた汚れ防止用フィルム(F1)の遊離部対応部位(Y)の裏面が露出するものとなる。次いで、この遊離部対応部位(Y)を指先で摘み、この部位からフィルム(F1)の引き剥がし操作を行う。
【0039】
以上、この発明の実施形態の容器(A1)(A2)について説明したが、この発明は上記実施形態のものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0040】
例えば、第1折半部(15a)には、上記第1実施形態の容器(A1)で適用された第1ハーフカット線(H1)及び第2ハーフカット線(H2)が設けられるとともに、更に上記第2実施形態の容器(A2)で適用された第3ハーフカット線(H3)が設けられていても良い。
【0041】
また、破断用切目線として、ハーフカット線(H1)(H2)(H3)に代えて、破断用連結部と破断用切目とが交互に並んで設けられたいわゆるミシン目線を適用しても良い。
【0042】
また、容器本体(10)は、上記実施形態では紙段ボールから製作されたものであるが、この発明ではこの他に厚紙(例えば厚さ0.3〜2mm)から製作されたものであっても良い。
【0043】
また、容器本体(10)の内面に積層される汚れ防止用フィルム(F1)は、上記実施形態ではプラスチックフィルム材からなるものであるが、この発明ではこの他に耐水性及び耐油性を有する機能紙と呼ばれる薄紙からなるものであっても良いし、微生物分解性フィルム材からなるものであっても良い。
【0044】
また、上記実施形態では、遊離部(X)は、その外面の略全面が側壁外面に貼着されているが、この発明では、外面の略全面が貼着されている必要はなく、外面の一部が貼着されていれば良い。
【0045】
もとより、この発明に係る容器は、蓋体を備えたものである必要はなく、容器本体が単独で使用されるもの、即ち蓋体のない容器であっても良い。
【0046】
【発明の効果】
上述の次第で、請求項1の発明によれば、容器内面に、食品との接触による汚れを防止する汚れ防止用フィルムが積層されているので、食品として、親子丼や牛丼等の丼をはじめ、焼きそば、たこやき等の液汁が出る食品や液体調味料が塗られた食品を容器内に入れた場合であっても、容器内面の汚れを防止することができる。さらに、汚れ防止用フィルムが剥離可能な接着剤により貼着されているので、容器使用後にフィルムを容器内面から引き剥がすことにより、容器を綺麗な状態で再生に供することができるし、フィルムを容器内面から引き剥がす途中で、該フィルムが貼着部において破れてその一部が容器内面に残るという不具合が発生しない。さらに、連結片の各折半部の内面に、フィルムの折半部対応部位が積層されているので、もし仮に二つ折り状の連結片間に液体調味料や液汁が浸入した場合であっても、この浸入に伴う連結片内面の汚れを防止することができる。
【0047】
しかも、側壁外面に重合された折半部の少なくとも上端部に、遊離部が設けられるとともに、該遊離部の外面の少なくとも一部が、側壁外面に重合状態で貼着されているから、遊離部は連結片の他方の折半部によって隠蔽されて容器の外面に露出しておらず、このため、外観体裁の良好な容器を提供することができる。
【0048】
その上、折半部を側壁外面から引き剥がすことにより、該折半部から遊離部が遊離して該折半部の遊離部除去部からフィルムの遊離部対応部位の裏面が露出するものとなされているので、この折半部を側壁外面から強制的に引き剥がすことにより、フィルムの一部を容易に摘むことができて、フィルムの引き剥がし操作を容易に行うことができる。しかも、この折半部の引き剥がしにより容器が解体されるから、リサイクル用回収ボックスに入れる際にわざわざ容器を解体する必要がないし、コンパクトな状態で回収ボックス等に入れることができる。
【0049】
請求項2の発明によれば、遊離部の外面の少なくとも一部が、側壁に外面側に膨出して形成された膨出部の外面に貼着されているので、容器組立の際に、折半部の外面を側壁外面に強く密着させることができ、折半部の外面を確実にしっかりと貼着することができる。このため、折半部を側壁外面から引き剥がすと遊離部が確実に折半部から遊離されるものとなって、フィルムの遊離部対応部位の裏面を確実に露出させることができる。
【0050】
請求項3の発明によれば、遊離部が、破断用切目線を介して設けられているので、遊離部を更に確実に遊離させ得るようになり、フィルムの遊離部対応部位の裏面をより一層確実に露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態の紙製食品包装用容器を、容器本体と蓋体とに分離して示す斜視図である。
【図2】同容器本体の要部側面図である。
【図3】図2中のIII−III線断面図である。
【図4】同容器本体の組立途上の状態を示す要部斜視図である。
【図5】同容器本体において、汚れ防止用フィルムの引き剥がし操作を説明するための容器本体を解体した状態の斜視図である。
【図6】同容器本体において、汚れ防止用フィルムを引き剥がす途中の状態を示す斜視図である。
【図7】同容器本体の展開図である。
【図8】同容器本体の内面に積層された汚れ防止用フィルムの展開図である。
【図9】この発明の第2実施形態の紙製食品包装用容器の容器本体を示す、図4に対応する図である。
【図10】同容器本体の図5に対応する図である。
【符号の説明】
A1、A2…紙製食品包装用容器
10…容器本体(容器)
11…底壁
12、12…前側壁、後側壁
13、13…左側壁、右側壁
15…連結片
15a…第1折半部
15b…第2折半部
H1…第1ハーフカット線(破断用切目線)
H2…第2ハーフカット線(破断用切目線)
X…遊離部
J…遊離部除去部
30…蓋体
F1…汚れ防止用フィルム
Y…遊離部対応部位
T…貼着部
Claims (3)
- 容器内面に、食品との接触による汚れを防止する汚れ防止用フィルム(F1)が積層されるとともに剥離可能な接着剤により貼着されてなり、
且つ、底壁(11)と、該底壁の周縁に周方向に並んで設けられた複数個の側壁(12)(12)(13)(13)と、隣接する側壁(12)(13)の側縁間に介在された二つ折り状の連結片(15)と、を備えるとともに、前記連結片(15)の一対の折半部(15a)(15b)のうちいずれか一方の折半部(15a)の外面が該折半部側の側壁(12)の外面に重合され、
前記連結片(15)の各折半部(15a)(15b)の内面に、前記フィルム(F1)の折半部対応部位(35a)(35b)が積層された紙製食品包装用容器(A1)(A2)であって、
側壁外面に重合された折半部(15a)の少なくとも上端部に、遊離部(X)が設けられるとともに、該遊離部(X)の外面の少なくとも一部が、側壁外面に重合状態で貼着され、
この折半部(15a)を側壁外面から引き剥がすことにより、該折半部(15a)から遊離部(X)が遊離して該折半部(15a)の遊離部除去部(J)から前記フィルム(F1)の遊離部対応部位(Y)の裏面が露出するものとなされていることを特徴とする紙製食品包装用容器。 - 前記遊離部(X)の外面の少なくとも一部が、前記側壁に外面側に膨出して形成された膨出部(B)の外面に貼着されている請求項1記載の紙製食品包装用容器。
- 前記遊離部(X)は、破断用切目線(H1、H2、H3)を介して設けられている請求項1又は2記載の紙製食品包装用容器。
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