JP3667526B2 - 温水床暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、加熱手段により加熱された温水を室内の床面に設置された床暖房パネルに循環させて室内の暖房を行う温水床暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
温水を床暖房パネルに供給して暖房を行う温水床暖房装置では、一般にバーナ等の加熱手段と、この加熱手段により加熱され、通過する温水の温度を昇温させる熱交換器とを有する室外機を備えており、該室外機から床暖房回路を介して供給される温水を室内の床面に設置された床暖房パネルに循環させて室内の暖房を行っている。また、このような温水床暖房装置における床温度の調節は、床暖房回路に設けられた熱動弁により室外機から供給される温水の流通の制御を行い、あるいは、加熱手段の燃焼量を調節して床暖房パネルに供給される温水の温度の制御を行うことにより行われる。
【0003】
ここで、熱動弁により室外機から供給される温水の流通の制御を行うものについては、熱動弁が故障した場合は、適切な流通制御ができないという不都合がある。例えば、熱動弁が開の状態で動作不能となった場合、本来であれば温水の流れを止める必要がある場合であっても、床暖房パネルに温水が供給されるため、過剰に暖房されて使用者に不快感を与えることになる。
【0004】
しかしながら、このような不都合を解消するために、熱動弁の故障を検知する故障検知用のセンサを設けて、熱動弁が流通停止の状態にされた後の流量をチェックすることも考えられるが、構成が複雑となりコストの上昇を招くことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、温水床暖房装置の改良を目的とし、さらに詳しくは前記不都合を解消するために、熱動弁が故障したときであっても、その故障を速やかに検出することができる温水床暖房装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の温水床暖房装置は、循環ポンプにより温水が循環する回路であって、前記循環ポンプの吐出側から順に、温水の温度を検出する温度検出手段と、電気ヒータの熱により弁体を駆動して温水を断続する熱動弁と、温水を熱源として室内を暖房する床暖房パネルとを備え、該床暖房パネルからの温水が前記循環ポンプの流入側に流入する床暖房回路と、前記床暖房回路の前記循環ポンプの吐出側で前記循環ポンプと前記温度検出手段との間から分岐され、加熱手段により温水を加熱する熱交換器を備え、該熱交換器からの温水が前記床暖房回路の前記床暖房パネルからの温水に合流するように前記循環ポンプの流入側に接続される加熱回路と、前記熱動弁と前記加熱手段と前記循環ポンプの作動を制御する運転制御手段とを備え、前記運転制御手段は、前記熱動弁に遮断信号を送信した後に前記加熱手段の燃焼と前記循環ポンプの作動とを所定時間継続させ、前記所定時間内の前記温度検出手段の検出値の上昇が所定値以下であるときは前記熱動弁が開の状態で故障していると判断することを特徴とする。
【0007】
本発明の温水床暖房装置においては、前記床暖房回路に流れる温水を断続する手段として熱動弁を用いている。この熱動弁は電気ヒータの熱により弁を開閉するものであり、開閉に時間がかかるが、温水の循環を停止させる際に大きな作動力により確実に床暖房回路を遮断することができる。このように熱動弁を用いたときは、熱動弁に対して遮断信号が発信されてから実際に熱動弁が閉じるまでには時間がかかるため、熱動弁が閉じるまで加熱手段の燃焼を所定時間継続させ、床暖房パネルに供給される温水の温度を所定温度に保つことにより、床暖房パネルに低温の温水が供給されることを防止している。
【0008】
ここで、前記熱動弁が正常であるときは、前記運転制御手段から前記熱動弁に遮断信号が送信されると、前記熱動弁は徐々に閉の状態となるため、前記床暖房回路に供給される温水の流量が徐々に減少する。すると、前記床暖房回路に流れていた温水が徐々に前記加熱回路に流れるようになるので、前記熱動弁が開の状態のときよりも前記加熱回路に供給される温水の量が増加する。このため、前記循環ポンプに流入する温水の割合は前記床暖房回路からの温水よりも前記加熱回路からの温水の方が多くなるため、前記循環ポンプから吐出される温水の温度は上昇し、図4の実線で示すa線のように、前記温度検出手段の検出値も上昇する。
【0009】
しかし、熱動弁が開の状態で故障しているときは、前記運転制御手段から遮断信号が送信されても、前記熱動弁は閉の状態にはならないため、床暖房回路に供給される温水の量は低下せず、図4の一点鎖線で示すb線のように、前記温度検出手段の検出値もほとんど変化しない。このように、前記所定時間内の前記温度検出手段の検出値の上昇値が所定値以内であるとき、即ち前記温度検出手段近傍の湯温が所定温度上昇しないときは前記熱動弁の故障と判断することができる。
【0010】
従って、本発明の温水床暖房装置によれば、前記熱動弁の故障を検知するために別個にセンサ等を設ける必要が無く、既存の温度検出手段を利用して前記運転制御手段の制御を変更することにより前記熱動弁の故障検知を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の温水床暖房装置の実施形態の一例について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は本発明の温水床暖房装置を備えたエアコン装置の構成を示す説明図、図2は本発明の温水床暖房装置の回路構成を示すブロック図、図3はその作動を示すフローチャート、図4は温度検出手段における温度変化を示すグラフである。
【0012】
本実施形態の温水床暖房装置は、温水暖房式エアコン装置の一部として用いられており、図1に示すように、1台の室外機1に、室内の床面に設置される床暖房パネル2と、室内暖房機と室内冷房機の機能を兼ね備えた室内機3とが接続されている。また、床暖房パネル2は温水供給路4により室外機1に接続されており、室内機3は温水供給路4及び冷媒供給路5により室外機1に接続されている。
【0013】
温水供給路4は、床暖房回路6と加熱回路7と室内暖房回路8とから形成されている。床暖房回路6は、一定回転で駆動されて温水供給路4に温水を循環させる循環ポンプ9と、その吐出側に設けられ床暖房回路6内を循環する温水の温度を検出する床暖房用サーミスタ10(温度検出手段)と、開閉時間を調節することにより床暖房パネル2に供給する温水を断続する熱動弁11と、温水を熱源として室内を暖房する床暖房パネル2と温水を蓄積して圧力を調節するプレッシャータンク12とから構成されている。尚、熱動弁11は公知のものと同様であり、電気ヒータ(図示せず)等の熱により弁体(図示せず)を開閉して床暖房回路6に流れる温水を断続するものである。
【0014】
加熱回路7は、床暖房回路6の循環ポンプ9の吐出側に接続され、加熱手段であるバーナ13により温水を昇温させる加熱用熱交換器14と、この加熱用熱交換器14の流出側近傍に設けられた高温サーミスタ15と、加熱用熱交換器14により昇温された温水を床暖房回路6の循環ポンプ9の流入側に合流させるバイパス供給路16とから構成されている。室内暖房回路8は、バイパス供給路16から分岐され、室内機3を介して床暖房回路6の床暖房パネル2とプレッシャータンク12との間に接続されて構成されている。
【0015】
また、室外機1には、バーナ13にガスを供給するガス供給管17と、このガス供給管17に設けられてガスの供給及びその停止を行う電磁弁18、19と、ガスの流量を制御するガス比例弁20が設けられている。また、バーナ13の近傍には燃焼ファン21が設けられている。バーナ13の燃焼制御は、ガス比例弁20によるガスの流量と、燃焼ファン21による燃焼用空気の供給量により行われる。
【0016】
また、室外機1には、熱動弁11の開閉とバーナ13の燃焼と循環ポンプ9の作動とを制御する運転制御手段22が設けられている。この運転制御手段22は図示しないマイコンを備えており、運転制御プログラムに従って熱動弁11等の作動を制御している。例えば、床暖房パネル2による暖房運転においては、運転制御手段22は通常床暖房用サーミスタ10の温度が所定温度(例えば60℃)になるようにバーナ13の燃焼を制御している。そして、床暖房パネル2に供給される温水を熱動弁11により断続することにより床暖房温度を調節している。具体的には、使用者が設定する床暖房レベルによって、例えば10分間熱動弁11を開弁した後に10分間閉弁して床暖房パネル2に供給される温水の流通を調節している。本実施形態においては、使用者はリモコン23により床暖房のレベルを温度の低い順に1速から7速まで選択できるようになっている。尚、このリモコン23からの信号を受信する運転制御手段22の受信部24は室内機3に設けられている。
【0017】
使用者は、外気温が高く暖かいときはこの床暖房レベルを低く設定し(例えば1速乃至3速)、外気温が低く寒いときは床暖房レベルを高く設定することにより(例えば4速乃至7速)床の温度を調節することができる。ここで、熱動弁11は、床暖房レベルの速数が低ければ開弁時間が短くなるように設定されており、逆に速数が高ければ開弁時間が長くなるように設定されている。
【0018】
さらに、室外機1には、その内部機構のエラー情報等を表示する表示手段25が設けられている。例えば、使用者から床暖房の不具合が指摘されたときには、点検者がこの表示手段25を見ることにより温水暖房式エアコン装置の不具合状況を確認できるようになっている。また、室外機1には外気温センサ26が設けられている。尚、室内機3を含む室内暖房回路8、及び冷媒供給路5を含む冷房用の冷凍サイクルの構成は公知のものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0019】
以上の構成を図2のブロック図に従って説明すると、運転制御手段22には床暖房用サーミスタ10及び外気温センサ26が接続されており、床暖房パネル2に供給される温水の温度及び外気温を検出している。また、運転制御手段22にはバーナ13と燃焼ファン21と循環ポンプ9及び熱動弁11が接続されており、床暖房パネル2に供給される温水の温度と供給量が調節される。また、運転制御手段22には表示手段25が接続されており、熱動弁11等の故障表示等が行われる。また、床暖房レベルの設定はリモコン23により行われ、その設定は運転制御手段22に接続されている受信部24により受信される。
【0020】
次に、本実施形態の作動について、図1乃至図4を参照して説明する。以上の構成からなる温水暖房式エアコン装置は、運転制御手段22によって、床暖房パネル2のみによる床暖房単独運転、室内機3のみによる単独暖房運転、室内機3及び床暖房パネル2による複合暖房運転、室内機3のみによるドライ運転、室内機3による冷房運転の各運転パターンで運転することができるが、以下本発明に関連する床暖房単独運転における作動のみについて説明する。
【0021】
使用者がリモコン23によって床暖房運転を開始すると(STEP1)、運転制御手段22は外気温センサ26により外気温を検出し(STEP2)、使用者が設定した床暖房レベルと、外気温センサ26により検出された外気温を基にして熱動弁11の開/閉の時間を決定する(STEP3)。その後、運転制御手段22は、循環ポンプ9の作動を開始し、燃焼ファン21を回転させると共にガス供給管17に設けられた電磁弁18、19及びガス比例弁20を開弁し、バーナ13に燃料ガスを供給してバーナ13の燃焼を開始する(STEP4)。
【0022】
そして、熱動弁11を開弁状態にするときは、運転制御手段22から熱動弁11に流通開始信号が送信され、熱動弁11が開弁状態となる(STEP5)。そして、熱動弁11は、熱動弁11の開時間中は開弁状態に保持される(STEP6においてNO)。次に、熱動弁11の開時間が経過すると(STEP6においてYES)、運転制御手段22から熱動弁11を閉にする遮断信号が送信される(STEP7)。このとき、運転制御手段22は、床暖房用サーミスタ10により湯温Th0を検出する(STEP8)。
【0023】
熱動弁11は、運転制御手段22から遮断信号が送信されると、熱動弁11の図示しない電気ヒータの電源がオフにされるため、熱動弁11は徐々に閉弁される。このように熱動弁11を用いたときは、熱動弁11に対して遮断信号が発信されてから実際に熱動弁11が閉じるまでには時間がかかるため、本実施形態では、熱動弁11が閉じるまでバーナ13の燃焼及び循環ポンプ9の作動を所定時間tの間継続させて、床暖房パネル2に低温の温水が供給されることを防止している。この所定時間tは、熱動弁11が閉じる時間が周囲の温度により左右されるものであるため、熱動弁11の閉弁に時間がかかる場合を想定して通常熱動弁11が閉弁する時間よりも若干長めに設定されており、本実施形態では3分に設定されている。
【0024】
ここで、熱動弁11が正常であるときは徐々に弁体(図示せず)が閉じられるので、床暖房回路6を流れる温水の量が徐々に減少する。これに伴い、加熱回路7に流れる温水の量が増加するため、循環ポンプ9の流入側では、床面を暖房することにより温度の低下した床暖房パネル2からの温水の量が減少し、熱交換器14により熱せられた温水の量が増加する。このため、図4の実線で示すa線のように床暖房用サーミスタ10の検出値Th1が上昇する。本実施形態においては、運転制御手段22により床暖房用サーミスタ10の温度が一定になるように制御されているが、熱動弁11が徐々に閉じることによる温度の上昇は短時間で生じるので、床暖房用サーミスタ10の検出値Th1は短時間で上昇する。
【0025】
床暖房用サーミスタ10の検出値Th1は、熱動弁11の作動により徐々に上昇するが、初期の段階では熱動弁11の遮断信号が送信されたときの温度であるTh0との差は小さいので、Th1−Th0の値は所定温度である5℃以下である(STEP10においてNO)。そして、所定時間tが経過するまで(STEP16においてNO)、床暖房用サーミスタ10の検出値の温度差を継続して算出する(STEP9,10,16)。
【0026】
そして、所定時間t内に上昇した温度、即ちTh1−Th0が、図4のc点に示すように、所定温度である5℃以上となったときは(STEP10においてYES)、運転制御手段22は熱動弁11が正常であると判断する。なお、本実施形態においては、図4のd点に示すように、床暖房用サーミスタ10の検出温度が例えば70℃以上となったときは(STEP11においてYES)、バーナ13の燃焼を停止し、燃焼ファン21及び循環ポンプ9の作動を停止させている(STEP13)。また、床暖房用サーミスタ10の検出温度が70℃以下の場合であっても、所定時間tが経過したときは(STEP12においてYES)、バーナ13等の作動を停止させる(STEP13)。その後は、この状態を熱動弁11の閉時間が経過するまで継続させ(STEP14においてNO)、使用者あるいは図示しないタイマの指示により床暖房運転が終了されるまで床暖房運転を継続する(STEP15においてNO)。
【0027】
一方、熱動弁11が開の状態で動作不能となる等の原因により故障しているときは、運転制御手段22から遮断信号が出されても熱動弁11は閉じていない状態となる。従って、所定時間t内は、バーナ13により加熱された温水が床暖房パネル2に供給され続けるので、図4の一点鎖線で示すb線のように床暖房用サーミスタ10の検出値はほとんど変化しない(STEP10においてNO)。そして、所定時間t内に床暖房用サーミスタ10の温度変化であるTh1−Th0が5℃未満のとき、即ち所定時間t内に床暖房用サーミスタ10の検出値が所定温度以上上昇しないときは(STEP10においてYES)、運転制御手段22は熱動弁11の故障であると判断し(STEP16においてNO)、表示手段25にエラー表示を行うと共に床暖房運転を終了させる(STEP17)。本願発明者が実験を行った結果、この所定時間t内に変化した温度、即ちTh1−Th0は0.2℃であった。
【0028】
このように、本実施形態の温水床暖房装置によれば、熱動弁11の故障を検知するために別個にセンサ等を設ける必要が無く、既存の床暖房用サーミスタ10を利用して、運転制御手段22のマイコンにおける運転制御プログラムを変更するだけで熱動弁11の故障検知を行うことができる。また、点検者は、表示手段25を見ることにより、故障原因を速やかに確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温水床暖房装置を備えたエアコン装置の構成を示す説明図。
【図2】本発明の温水床暖房装置の回路構成を示すブロック図。
【図3】図1の温水床暖房装置の作動を示すフローチャート。
【図4】温度検出手段における温度変化を示すグラフ。
【符号の説明】
2…床暖房パネル、6…床暖房回路、7…加熱回路、9…循環ポンプ、10…床暖房用サーミスタ(温度検出手段)、11…熱動弁、13…バーナ(加熱手段)、14…熱交換器、22…運転制御手段。
Claims (1)
- 循環ポンプにより温水が循環する回路であって、前記循環ポンプの吐出側から順に、温水の温度を検出する温度検出手段と、電気ヒータの熱により弁体を駆動して温水を断続する熱動弁と、温水を熱源として室内を暖房する床暖房パネルとを備え、該床暖房パネルからの温水が前記循環ポンプの流入側に流入する床暖房回路と、
前記床暖房回路の前記循環ポンプの吐出側で前記循環ポンプと前記温度検出手段との間から分岐され、加熱手段により温水を加熱する熱交換器を備え、該熱交換器からの温水が前記床暖房回路の前記床暖房パネルからの温水に合流するように前記循環ポンプの流入側に接続される加熱回路と、
前記熱動弁と前記加熱手段と前記循環ポンプの作動を制御する運転制御手段とを備え、
前記運転制御手段は、前記熱動弁に遮断信号を送信した後に前記加熱手段の燃焼と前記循環ポンプの作動とを所定時間継続させ、前記所定時間内の前記温度検出手段の検出値の上昇が所定値以下であるときは前記熱動弁が開の状態で故障していると判断することを特徴とする温水床暖房装置。
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