JP3667505B2 - スライドレール及び電子機器装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドレール及び電子機器装置に関し、特に引き出し方向に複数のボールロック機構を設けることで、引き出し時の固定を確実にすることができるスライドレール、及びこのスライドレールを備える電子機器装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図書館の貸出管理システム用端末は、故障時の保守やプリンタ用紙の補充のため、顧客の照合を行うためのカードリーダや出力結果を印字するためのプリンタを収納するユニット部が引き出し可能に構成されている。このようなシステムでのユニット部の引き出しのために、一般に、スライドレールが用いられている。
【0003】
図8は、従来の貸出管理システム用端末に適用されているスライドレールの構成を示す斜視図である。図9は、図8のC−C断面図である。
これらの図に示すように、従来のスライドレールは、アウターチャンネル51と、このアウターチャンネル51の内側に嵌合し、アウターチャンネル51に対してスライド可能に構成されたインターチャンネル52と、このインターチャンネル52の内側に嵌合し、インターチャンネル52に対してスライド可能に構成されたインナーチャンネル53とから構成されている。
【0004】
アウターチャンネル51とインターチャンネル52との間には、上下にそれぞれ複数個のボールベアリング54aを回転可能に支持するリテーナ54が介在している。インターチャンネル52とインナーチャンネル53との間には、上下にそれぞれ複数個のボールベアリング55aを回転可能に支持するリテーナ55が介在している。そして、ボールベアリング54a、55aの作用によってインターチャンネル52及びインナーチャンネル53が円滑にスライドし、インナーチャンネル53に取り付けられたユニット部を引き出して、開くことができるようにするものである。
【0005】
しかしながら、このようなスライドレールを用いた貸出管理システム用端末では、ユニット部を引き出すと、不安定な状態となってしまう。このとき、ユニット部に触れるなどして外力を加えるとユニット部が閉じてしまうことがあり、ユニット部内のプリンタに用紙を補充するなどの作業に困難を来す。このような作業の困難をさけるためには、用紙の補充作業を行っている以外の者がユニット部が閉じてしまわないように押さえていなければならない。
【0006】
また、このようなスライドレールを傾斜した状態で設置する場合には、ボールベアリング54a、55aの作用によって各レール間に生じる摩擦力が小さいために、引き出したユニット部が自然と閉じてしまうこととなる。このため、ユニット部内のプリンタの用紙の補充などの作業を一人の作業者で行うことは、完全に不可能なものとなっていた。
【0007】
一方、実開平1−103093号公報には、レールの移動を防止するため、外側のレールにボールベアリングを押圧するためのロック用爪(当該公報では、ボールロック部と称する)を設けたスライドレールを備える磁気ディスク装置が開示されている。すなわち、この磁気ディスク装置では、磁気ヘッド円盤等を収納するユニット部(当該公報では、機構部デッキと称する)を引き出したときに、ロック用爪がボールベアリングを押圧する力によってスライドレールがふらつかないように固定しようとするものである。
【0008】
しかしながら、この公報で開示されているスライドレールは、スライドレールに取り付けられたユニット部の重量を考慮したものではない。すなわち、スライドレールを傾斜して取り付けた場合に、ユニット部の重量によって生じる力が、ロック用爪がボールベアリングを押圧する力を越えると、ユニット部が閉じてしまうことがある。このため、ユニット部の重量が収納する部材によって変化する場合には、このスライドレールは十分な効果を発揮し得ない。これに対して、ボールベアリングを押圧する力が大きくなるようにロック用爪の大きさ、形状を調整することも考えられるが、こうした場合には、ユニット部の重量が軽い場合であっても、ユニット部の開閉に不必要に強い力を要することとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、例えば、スライドレールに従って引き出されるユニット内の重量に関わらず、引き出し時の固定を確実にすることができ、かつ不必要に大きな力を加えなくても十分な固定力が得られるスライドレール、及びこのスライドレールを備える電子機器装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるスライドレールは、
外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを備え、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記外側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記内側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるスライドレールは、
外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを備え、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記内側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記外側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする。
【0012】
上記の第1、第2の観点にかかるスライドレールにおいて、
前記複数の爪部は、当接した前記ボールを押圧可能に構成されたものである。
【0013】
これら第1、第2の観点にかかるスライドレールでは、嵌合している外側レールまたは内側レールを引き出すと、前記複数のボールが1つずつ前記複数の爪部を越えていき、当接される。すなわち、外側レールまたは内側レールを引き出せば引き出すほど、爪部を越えるボールの数が多くなる。そして、爪部が前記ボールを押圧する力が徐々に強くなっていく。このため、引き出しの長さに従ってスライドレールをより強く固定することができる。また、不必要に強い力を以て外側レールまたは内側レールを引き出さなくても、十分な固定力を得られる。
【0014】
上記の第1、第2の観点にかかるスライドレールにおいて、
前記複数の爪部のうち、嵌合するレールとの嵌合側の最も端に形成されている爪部は、他の爪部よりも前記ボールを強く押圧することができるように構成されていることを好適とする。
【0015】
この場合、外側レールまたは内側レールを最大限に引き出したときは、レールの固定力がいっそう強くなる。従って、最大限に引き延ばしたときの固定力によって、加えられる外力によって容易に引き込まないように固定される。
【0016】
なお、上記の第1、第2の観点にかかるスライドレールは、外側レールのさらに外側に同様のレールと、その間に介在するボールを保持する支持部材とを備えるものとしてもよい。そして、このような構成は、何段にも亘ってすることができる。すなわち、本発明は、2連式以上のあらゆる他連式のスライドレールに適用することができる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点にかかる電子機器装置は、
外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを有するスライドレールと、
前記外側レールまたは前記内側レールのいずれか一方に固着され、前記スライドレールに沿って筐体から引き出し可能に構成された、電子機器を収納するユニット部と、を備え、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記外側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記内側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点にかかる電子機器装置は、
外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを有するスライドレールと、
前記外側レールまたは前記内側レールのいずれか一方に固着され、前記スライドレールに沿って筐体から引き出し可能に構成された、電子機器を収納するユニット部と、を備え、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記内側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記外側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする。
【0019】
上記第3、第4の観点にかかる電子機器装置において、
前記ユニット部は、収納する電子機器を変更可能に構成されているものとすることができる。
【0020】
このようにユニット部に収納する電子機器が変更可能に構成されている場合は、ユニット部全体での重量も当然変化する。ここで、ユニット部全体の重量が重いときは、ユニット部を最大限に引き出して、スライドレールを最大限に引き延ばすことで、大きな固定力が得られる。一方、ユニット部全体の重量が軽いときには、ユニット部が外力によってふらつかないように十分な力が与えられるように、爪部がボールを押圧する力が得られるだけ、スライドレールを引き延ばせばよい。このため、不必要に大きな力を以てユニット部を引き出さなくても、ユニット部の固定に十分なものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、この実施の形態のスライドレール1が取り付けられた図書館の貸出管理システム用端末を示す斜視図である。この図では、ユニット部2を引き出した状態を示している。
【0023】
この貸出管理システム用端末は、顧客の照合を行うためのカードリーダ21や出力結果を印字するためのプリンタ22を収納するユニット部2を備えている。ユニット部2は、スライドレール1に沿ってスライドするように構成されており、矢印Aで示す方向に引き出せるようになっている。プリンタ22は、ジャムが発生した用紙を取り除くために開閉できるカバー23を備える。なお、この貸出管理システム用端末は、必要となる機能に応じてユニット部2内に収納する機器が変更できるように構成されている。すなわち、ユニット部2の重量は、その構成に応じて変化する。なお、スライドレール1は、筐体側に向かって下がるように傾斜して取り付けられており、ユニット部2を開いたときは、スライドレール1に沿った下向きの力が加わることとなる。
【0024】
図2は、図1の貸出管理システム用端末に適用されているスライドレール1の構成を示す斜視図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、図2のB−B断面図である。
【0025】
これらの図に示すように、スライドレール1は、アウターチャンネル11と、このアウターチャンネル11の内側に嵌合し、アウターチャンネル11に対してスライド可能に構成されたインターチャンネル12と、このインターチャンネル12の内側に嵌合し、インターチャンネル12に対してスライド可能に構成されたインナーチャンネル13とから構成されている。インターチャンネル12の長さは、アウターチャンネル11の長さよりもわずかに短く、インナーチャンネル13の長さはインターチャンネル12の長さよりもわずかに短い。各チャンネル11、12、13は、それぞれ金属製の薄板から構成されている。インナーチャンネル13は、第1の実施の形態の場合と同様にユニット部2に取り付けられている。
【0026】
アウターチャンネル11とインターチャンネル12との間には、上下にそれぞれ複数個のボールベアリング14aを回転可能に支持するリテーナ14が介在している。インターチャンネル12とインナーチャンネル13との間には、上下にそれぞれ複数個のボールベアリング15aを回転可能に支持するリテーナ15が介在している。ボールベアリング14a、15aは、上下側ともスライド方向に沿って等間隔で複数配されている。各チャンネル11、12、13は、それぞれボールベアリング14a、15aと係合するように湾曲された形状で上下が折り曲げられている。
【0027】
インターチャンネル12とインナーチャンネル13は、それぞれのスライド方向内側端部に、最大引き出し時にそれぞれリテーナ14、15に当接し、それぞれアウターチャンネル11、インターチャンネル12からはずれないようにするストッパ12a、13aを備えている。
【0028】
また、アウターチャンネル11及びインターチャンネル12の上側の折り曲げ部のスライド方向外側端部には、それぞれボールベアリング14a、15bに対応する位置でスライド方向に等間隔で形成された複数のロック用爪11a、12aが設けられている。これらロック用爪11a、12aの大きさ及び形状は、ユニット部2の引き出しが無理なく行え、かつユニット部2を引き出したときにインターチャンネル12またはインナーチャンネル13がスライド移動しないように固定できる適当な状態に調整されている。特に、それぞれのチャンネルで一番外側(図の左側)にあるロック用爪11a、12aの大きさ及び形状は、ユニット部がかなりの重量となってもインターチャンネル12或いはインナーチャンネル13がスライド移動して戻らないようにすべく他のロック用爪よりも大きくなっており、ボールベアリング14a、15aを固定する力が大きい。
【0029】
この管理システム用端末において、ユニット部2を図1の矢印Aの方向に引くと、まず、インナーチャンネル13がスライド移動し始める。そして、インナーチャンネル13の内側端部がインターチャンネル12の中腹辺りまで到達すると、インターチャンネル12がスライド移動し始める。こうして、ユニット部2がスライドレール1に沿って引き出される。
【0030】
以下、この実施の形態のスライドレール1によるロック作用について、図5(A)〜(D)を参照して説明する。
ここでは、インナーチャンネル13とインターチャンネル12との間でのロック作用について説明するが、インターチャンネル12とアウターチャンネル11との間でのロック作用についても同様である。
【0031】
図5(A)に示すように、ユニット部2を図1の矢印Aの方向に引き出すことによって、インナーチャンネル13をインターチャンネル12から引き出しても、ボールベアリング15aがロック用爪12aを越えるまでは、インナーチャンネル13は、ボールベアリング15aの潤滑作用によって滑らかにスライドさせられる。
【0032】
この状態から、少し強めに力を加えてユニット部2を図1の矢印Aの方向に引き出すことによって、図5(B)に示すように図の1番左上側のボールベアリング14aが1番右上側のロック用爪12aを越える。このとき、スライドレール1が傾斜して取り付けられていることから、インナーチャンネル13は、ユニット部2の重量によって加えられる力によって引き戻されようとする。しかしながら、図の矢印で示すように、1番右上側のロック用爪12aが1番左上側のボールベアリング14aを押圧する。これにより、1番左上側のボールベアリング14aとインターチャンネル12またはインナーチャンネル13との間に働く摩擦力が増大する。これによって、インナーチャンネル13が引き戻されないように固定され、ユニット部2が閉じないようになる。
【0033】
しかし、図5(B)の状態では、ユニット部2にわずかな外力が加わったり、ユニット部2の重量が増加することによって、摩擦力によって固定する力がユニット部2の重量によってインナーチャンネル13が引き戻される力を越えてしまうことがある。このとき、さらに力を加えてユニット部2を図1の矢印Aの方向に引き出すことによって、図5(C)に示すように、図の1番左上側のボールベアリング14aが上側右から2番目のロック用爪12aを越える。これと共に、図の上側左から2番目のボールベアリング14aが1番右上側のロック用爪12aを越える。
【0034】
これによって、図の矢印で示すように、1番右上側のロック用爪12aが上側左から2番目のボールベアリング14aを押圧すると共に、上側左から2番目のロック用爪12aが1番左上側のボールベアリング14aを押圧する。このため、生じる摩擦力が図5(B)の場合のほぼ2倍となり、より強い力を以てインナーチャンネル13が引き戻されないように固定される。
【0035】
さらに一層大きな力を加えてユニット部2を引き出すことによって、1番左上側のボールベアリング14aが1番左上側のロック用爪12aを越える。この1番左側のロック用爪12aは、他のロック用爪よりもボールベアリング14aを押圧する力が大きいため、ボールベアリング14aとインターチャンネル12或いはインナーチャンネル13との間に働く摩擦力が非常に大きくなる。さらには、左から2番目、3番目のロック用爪12aによる摩擦力も加わって、インナーチャンネル13を固定する力は、非常に大きなものとなる。従って、ユニット部2の重量が相当重くなっても、或いはユニット部2に対して相当大きな外力が加わっても、ユニット部2がふらついたり、自然に閉じてしまうということを防ぐことができる。
【0036】
なお、ユニット部2を閉じるときには、引き出した量に応じた力で閉じればよい。すなわち、ユニット部2がふらついたり閉じてしまったりしないだけの十分な長さで引き出しておけば、ユニット部2を閉じるときも不必要に大きな力を必要としない。
【0037】
以上説明したように、この実施の形態のスライドレール1では、ユニット部2を引き出す量によって、インナーチャンネル13をインターチャンネル12に、或いはインターチャンネル12をアウターチャンネル11に固定する力が大きくなる。このため、ユニット部2の重量に応じて、適切な大きさの力でユニット部2を引き出せば、ユニット部2を十分に固定することができる。すなわち、ユニット部2の引き出しに不必要に大きい力を加える必要がない。
【0038】
[第2の実施の形態]
上記の実施の形態では、スライドレールを構成する各レールで互いに嵌合するレールのうち、外側になるレール(アウターレール11及びインターレール12)にロック用爪11a、12aを設けた場合について説明したが、この実施の形態では、内側になるレールにロック用爪を設けた場合について説明する。
【0039】
図6は、この実施の形態のスライドレールの構成を示す断面図であり、図2のB−B線に対応する位置での断面を示すものである。
図示するように、この実施の形態のスライドレールは、アウターチャンネル16と、このアウターチャンネル16の内側に嵌合し、アウターチャンネル16に対してスライド可能に構成されたインナーチャンネル17とから構成されている。インナーチャンネル17の長さは、アウターチャンネル16の長さよりもわずかに短い。アウターチャンネル16及びインナーチャンネル17は、それぞれ金属製の薄板から構成されている。インナーチャンネル17は、第1の実施の形態の場合と同様にユニット部に取り付けられている。
【0040】
アウターチャンネル16とインナーチャンネル17との間には、上下にそれぞれ等間隔で複数個のボールベアリング18aを回転可能に支持するリテーナ18が介在している。アウターチャンネル16とインナーチャンネル17は、それぞれボールベアリング18aと係合するように湾曲された形状で上下が折り曲げられている。アウターチャンネル16のスライド方向外側端部には、最大引き出し時にリテーナ18に当接し、インナーチャンネル17がアウターチャンネル16からはずれないようにするストッパ16aが設けられている。
【0041】
また、インナーチャンネル17の上下両側の折り曲げ部のスライド方向内側端部には、ボールベアリング18aに対応する位置でスライド方向に等間隔で形成された複数のロック用爪17aが設けられている。ボールベアリング18aは、上下側ともスライド方向に沿って複数配されている。これらロック用爪17aの大きさ及び形状は、インナーチャンネル17に取り付けられたユニット部の引き出しが無理なく行え、かつユニット部を引き出したときにインナーチャンネル16がスライド移動しないように固定できる適当な状態に調整されている。特に、一番外側(図の右側)にあるロック用爪17aの大きさ及び形状は、ユニット部がかなりの重量となってもインナーチャンネル17がスライド移動して戻らないようにすべく他のロック用爪よりも大きくなっており、ボールベアリング18aを固定する力が大きい。
【0042】
以下、この実施の形態のスライドレールによるロック作用について、図7(A)、(B)を参照して説明する。
やや強めに力を加えてインナーチャンネル17をアウターチャンネル16から引き出すと、図7(A)に示すように、図の1番右側(上下とも)のボールベアリング18aが1番左側(上下とも)のロック用爪17aを越える。このとき、インナーチャンネル17をアウターチャンネル16内に引き戻そうとする外力が加わっても、1番左側のロック用爪17aが1番右側のボールベアリング18aを押圧することによってボールベアリング18aとインナーチャンネル17或いはアウターチャンネル16との間に比較的大きな摩擦力が加わり、インナーチャンネル17がアウターチャンネル16の中に引き戻されない。すなわち、このスライドレールは固定された状態となる。
【0043】
しかし、図7(A)の状態では、インナーチャンネル17に加わる外力が大きくなると、インナーチャンネル17はアウターチャンネル16の中に引き戻されてしまう。そこで、インナーチャンネル17を引き出す量を大きくすれば、ロック用爪17aを越えるボールベアリング18aの数が増え、それに従ってスライドレールの固定力も大きくなる。
【0044】
図7(B)に示すように、さらに大きな力を加えてインナーチャンネル17をアウターチャンネル16から引き出すと、1番右側(上下とも)のボールベアリング18aが1番右側(上下とも)のロック用爪17aを越える。この1番右側のロック用爪17aは、他のロック用爪よりもボールベアリング18aを押圧する力が大きいため、ボールベアリング18aとインナーチャンネル17或いはアウターチャンネル16との間に働く摩擦力が非常に大きくなる。さらには、左から3つ(上下とも)のロック用爪12aによる摩擦力も加わって、インナーチャンネル17を固定する力が非常に大きなものとなり、さらにインターチャンネル17aをアウターチャンネル16から引き出すのが困難となる。
【0045】
以上説明したように、この実施の形態のスライドレールでは、ロック用爪17aを内側に嵌合するインナーチャンネル17にスライド方向に沿って複数設けたことによって、引き出し長さを大きくするほどスライドレールの固定力が大きくなる。さらに、インナーチャンネル17の嵌合側(図の右側)に設けたロック用爪がボールベアリング18aを押圧する力を大きくしたことで、インナーチャンネル17がアウターチャンネル16から容易に抜けないようになる。一方、インナーチャンネル17の端部にストッパを設けていないので、かなり大きな力を以てインナーチャンネル17をアウターチャンネル16から引き出せば、インナーチャンネル17をアウターチャンネル16から取り外すことも可能となる。
【0046】
[実施の形態の変形]
上記の第1の実施の形態では、アウターチャンネル11及びインターチャンネル12のそれぞれの上側にロック用爪11a、12aを設けた場合について説明した。上記の第2の実施の形態では、インナーチャンネル17の上下両側にロック用爪17aを設けた場合について説明した。しかしながら、本発明は、スライドレールの引き出し方向に複数のロック用爪を設けているのであれば、ボールベアリングが配された場所に対応するいずれか1カ所以上にロック用爪が設けられていればよい。
【0047】
上記の第1の実施の形態では、3連式のスライドレール1について、第2の実施の形態では、2連式のスライドレールについて説明したが、本発明は4連式以上のスライドレールにも適用することができる。また、本発明は、実開平1−103093号公報に記載された磁気ディスク装置に適用されているスライドレールのように、2連式のスライドレースを組み合わせることによって実質的に3連式とするようなスライドレールにも適用することができる。さらには、それぞれ円筒形の外側レールと内側レールとで構成され、レールのスライド方向に複数設けられたボールベアリングを支持するリテーナとで構成されるスライドレールなどにも本発明を適用することができる。
【0048】
上記の実施の形態では、本発明のスライドレール1を図書館の貸出管理システム用の端末に適用した場合について説明した。しかしながら、本発明は、磁気ディスク装置などのコンピュータ周辺装置や、銀行のオンラインシステム端末などのあらゆる電子機器装置に適用することが可能である。また、このような電子機器装置ばかりでなく、ビジネスデスクの引き出しなど、引き出し機構部を備えるあらゆるものに適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のスライドレールによれば、引き出しの長さに従ってスライドレールをより強く固定することができる。また、不必要に強い力を以て外側レールまたは内側レールを引き出さなくても、十分な固定力を得られる。
【0050】
また、本発明の電子機器装置によれば、重量に応じてユニット部を引き出すことで、スライドレールに十分な固定力が得られる。また、不必要な力を以てユニット部を引き出す必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のスライドレールが取り付けられた図書館の貸出管理システム用端末を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のスライドレールの構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態のスライドレールによるロック作用を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態のスライドレールの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のスライドレールによるロック作用を説明する図である。
【図8】従来例のスライドレールの構成を示す斜視図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【符号の説明】
1 スライドレール
2 ユニット部
11 アウターチャンネル
11a ロック用爪
12 インターチャンネル
12a ロック用爪
13 インナーチャンネル
13a ストッパ
14 リテーナ
14a ボールベアリング
15 リテーナ
15a ボールベアリング
16 アウターチャンネル
16a ストッパ
17 インナーチャンネル
17a ロック用爪
18 リテーナ
18a ボールベアリング
Claims (7)
- 外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを備えるスライドレールであって、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記外側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記内側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とするスライドレール。 - 外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを備えるスライドレールであって、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記内側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記外側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とするスライドレール。 - 前記複数の爪部は、当接した前記ボールを押圧可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスライドレール。 - 前記複数の爪部のうち、嵌合するレールとの嵌合側の最も端に形成されている爪部は、他の爪部よりも前記ボールを強く押圧することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のスライドレール。 - 外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを有するスライドレールと、
前記外側レールまたは前記内側レールのいずれか一方に固着され、前記スライドレールに沿って筐体から引き出し可能に構成された、電子機器を収納するユニット部と、を備える電子機器装置であって、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記外側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記内側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする電子機器装置。 - 外側レールと、この外側レールに嵌合し、前記外側レールに対してスライド可能に構成された内側レールと、前記外側レールと前記内側レールとの間に介在し、前記内側レールのスライド方向に沿って配置され、それぞれ前記外側レール及び前記内側レールに係合する複数のボールを回転可能に支持する支持部材とを有するスライドレールと、
前記外側レールまたは前記内側レールのいずれか一方に固着され、前記スライドレールに沿って筐体から引き出し可能に構成された、電子機器を収納するユニット部と、を備える電子機器装置であって、
前記支持部材に支持されている複数のボールは、スライド方向に沿って実質的に等間隔で配置され、
前記内側レールは、スライド方向に沿って前記ボールの間隔と実質的に同じ間隔で配置され、前記外側レールの側に突出する複数の爪部が前記複数のボールに対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする電子機器装置。 - 前記ユニット部は、収納する電子機器を変更可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器装置。
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