JP3667501B2 - エアゾール容器のノズル釦の固定方法及び固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエアゾール容器に係り、特に、エアゾール容器の仮固定したノズル釦を固定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば整髪料などの製品として、内容物を泡沫状に吐出する構成、即ち、エアゾール製品として多く販売されている。この種のエアゾール製品の容器であるエアゾール容器は、内容物を噴射剤と共に充填した構成となっている。そして、使用者のノズル釦の押圧操作により、エアゾール容器内に充填された液体状の内容物が噴射剤に付勢されて外部に取り出されるように構成されている。
【0003】
このように、エアゾール容器は、ノズル釦を操作するだけで内容物が外部に吐出される構成であるため、例えば、エアゾール製品の製造工程において、容器に内容物及び噴射剤を充填した後、容器のバルブ機構のステムにノズル釦を装着する釦打ち込み作業において、内容物が吐出してしまうことがある。このようなとき、内容物が有色の場合には容器の吐出口付近が汚染され、製品として好ましいものでなくなるということになる。
【0004】
そこで、このようなことをなくすため、製品出荷時においては、ノズル釦の装着を使用可能の状態とせずに、容器の出口近傍に仮固定をしておき、消費者が購入したの後に使用に先立って装着するようにする場合がある。この仮固定された釦は、消費者が簡単な操作で使用状態に固定できるようにされていることが必要であり、通常、仮固定されている釦を簡単な押圧操作でエアゾール容器のバルブ機構のステムに嵌合させて装着固定するようにしており、このような方式を消費者嵌合方式として呼ばれている。
【0005】
図4に、この消費者嵌合方式の概要を示す。エアゾール容器1の口部にはバルブ機構2が取り付けられており、このバルブ機構2の構成要素としてステム3がが上部に突出している。このステム3を押下することによりステム3を通して内容物が外部に吐出されるが、このステム3には、これを操作するためのノズル釦が固定されることとなる。エアゾール容器1の口部にはキャップの保持や装飾を兼ねる樹脂性の肩カバー60が被着されている。肩カバー60は、全体として円筒状の形状をなし、エアゾール容器1の口部に嵌合する円筒状の上部開口部61、容器のステム3を囲む円筒状の頚部62、エアゾール容器1の肩部に当接するようにされた最外周の円筒状のキャップ保持部63を有する構成とされている。
【0006】
ノズル釦70がステム3に嵌合されるようにして装着固定されるが、消費者嵌合方式にあっては、図4(a)に示すように、完全な嵌合状態とせずに、ノズル釦70の嵌合部71を肩カバー60の頚部62に仮固定した状態にとどめておくものである。これを、消費者が使用する場合には、仮固定されたノズル70を下方に押すことにより、図4(b)に示すように、ノズル釦70の嵌合部71をステム3に完全に嵌合する状態として使用する。
【0007】
ところで、エアゾール容器のノズル釦を消費者嵌合方式で仮固定した場合、この仮固定が不十分であると、ノズル釦が傾いたり、最悪の場合には、輸送時に脱落したりする可能性がある。また、これとは逆に、堅固に固定すると、使用開始時に消費者によるノズル釦の本嵌合の操作性が悪化して製品価値を損なうことになりかねない。
【0008】
図5は従来の消費者嵌合方式の具体的な一例を示すものである。
口部にバルブ機構2及びステム3が固定されたエアゾール容器1には肩カバー80が嵌合被着されている。肩カバー80は、円筒状の開口部81、ステム3を囲む円筒状の頚部82を有している。バルブ機構2に固定されるノズル釦90はその中央部に嵌合部91を有し、嵌合部91の外周部にはアンダーカット91aが形成されている。また、肩カバー80の頚部82の内周面にはアンダカット82aが形成されている。ステム3の外周部にはノズル釦90を予備嵌合させるための予備嵌合代31が形成されている。
【0009】
上記の構成において、ノズル90をその嵌合部91をステム3に部分的に押し込むと、ノズル90の嵌合部91とステム3の外周部の嵌合代31が互いに嵌合状態となり、ノズル90がステム3に仮固定された状態となる。また、肩カバー80の頚部82の内周面に形成されたアンダーカット82aとノズル90の嵌合部91の外周部に形成されたアンダーカット91aとが係合状態となり、予備嵌合と相まってノズル釦が仮固定され、ノズル90が抜けて脱落するのが防止される。
【0010】
この仮固定されたノズル釦90を、エアゾール容器1の使用開始に当たり本嵌合する場合は、ノズル釦90を下方に押し込むことにより簡単に完全な嵌合状態とすることができる(図5(b))。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記例の場合、ノズル釦はステムの嵌合代のみで嵌合して仮固定されているため、ノズル釦の仮固定の程度は堅固すぎるというものでなく、したがって、本嵌合の操作性という観点からは問題がないものの、仮固定が不十分であるため、ノズル釦が傾いたり、振動するとカタカタと音がして製品としての高級感を損なうといった問題がある。
【0012】
本発明は上記問題点を解決することを目的としてなされたもので、仮固定されたノズル釦の本嵌合の操作性に優れ、しかも仮固定されたノズル釦を安定し状態で保持することのできるエアゾール容器のノズル釦の固定方法及び固定構造を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明による以下の手段により解決することができる。
請求項1の発明は、エアゾール容器のバルブ機構のステムに装着するノズル釦を仮固定するノズル釦固定構造であって、ノズルに連通する通路が形成されたステム嵌合部を有し、円筒状の裾部と該裾部より頂部に向けてノズル釦の中心軸側に傾斜するテーパ面を有する外周面を有する筒状外周部を備えるノズル釦と、エアゾール容器に被着され、円筒状上部開口部と頚部が形成された肩カバーと、よりなり、前記肩カバーの円筒状上部開口部の内周面に環状の水平リブを設け、該水平リブを前記ノズル釦の円筒状裾部に当接させ、前記肩カバーの一部に仮固定されたノズル釦を支持するようにしたことを特徴とするエアゾール容器のノズル釦の固定構造である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ノズル釦の筒状外周部の内面には縦リブを設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のエアゾール容器のノズル釦固定構造において、ノズル釦は、ステムに形成された嵌合代との嵌合と、ノズル釦のステム嵌合部外周部及び肩カバー頚部の内周面に形成されたアンダーカットとの係合により仮固定されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、エアゾール容器の肩カバーの一部に仮固定されたノズル釦の外周部が肩カバー開口部の内側に形成された水平リブによって支持されることとなり、ノズル釦が安定して支持され、傾いたり、音をたてたりすることを防ぐことができる。また、ノズル釦側部の形状がテーパー状となっているため、ノズル釦の嵌合を円滑に行うことができ、本嵌合後においては、ノズル釦の外周面と肩カバーが触れ合うことがなくなり、ノズル釦の操作に抵抗感を与えることがなく、操作性が損なわれることがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の実施例を説明する。尚、図1(a)はノズル釦を仮固定した状態を示し、図1(b)は本嵌合の状態を示す図である。
エアゾール容器1は、図4及び図5に示したものと同様の構成のものであり、その口部にバルブ機構2が取付けられており、バルブ機構2の構成要素であるステム3が外部に突出した構造となっている。また、エアゾール容器1の口部には肩カバー4が被着されており、この肩カバー4は、円筒状の上部開口部41、ステム3を囲む頚部42、最外周のキャップ保持部43を有する構造となっている。
【0019】
ステム3に嵌合して装着するノズル釦5は、ステムと嵌合する嵌合部51、円筒状の外周部52、ノズル53に連通する通路53を有する構成である。
肩カバー4の頚部42の内周面にはアンダーカット42aが、図5に示したものと同様に形成されている。
ノズル釦5の嵌合部51の外周面には、これも図5に示したものと同様に、アンダーカット51aが形成されている。そして、更に、ステム3の外周部には予備嵌合代31が形成されており、ノズル釦5の嵌合部51とステム3の予備嵌合部31との嵌合、及びアンダーカット51aとアンダーカット42aとの係合によりノズル釦5はステム3に対し仮固定の状態で固定されている。
【0020】
本実施例においては、肩カバー4の開口部41の端部付近の内周面には、図2に詳細に示すように環状のリブ41aが水平方向に形成されている。
また、ノズル釦5の筒状の外周部52の裾部は、図2に示すように円筒部52aが形成され、外周部52の側部はこの円筒部52aから上方に向けてノズル5の中心軸側に傾斜するテーパー部52bが形成されている。
【0021】
ノズル釦5の外周部52の内面には縦方向にリブ52cが、図4にも示されるように、円周方向に間隔を置いて3箇所形成されている。
肩カバー4の開口部41内面に形成された水平リブ41aは、図1(a)に示すように、ノズル釦5がエアゾール容器1のステム3に仮固定された状態においては、水平リブ41aがノズル釦5の外周部52の裾に形成された円筒部52aと当接するようにされている。
【0022】
したがって、ノズル釦5がステム3に仮固定された状態においては、ノズル釦5は肩カバー4の水平リブ41aにより支持され、安定した状態で固定される。図1(a)に示される仮固定されたノズル釦3を、使用に先立ち行う本嵌合は、ノズル釦3を下方に押し下げることにより行うが、本嵌合されたノズル釦5は、図1(b)に示すように、ノズル釦5の嵌合部51がステム3に密着した状態で固定される。この場合、ノズル釦5の外周部の側部はテイパー面52bとされているため、円滑に下方に押し下げるこが可能となる。また、ノズル釦の外周部52の内面には縦リブ52cが形成されているため、ノズル釦5の下方移動が安定して誘導されて本嵌合の操作が容易となる。また、本嵌合後においては、肩カバーの開口部41の内面に形成された水平リブ41aは、ノズル釦5の外周部52の側部とは接触しない状態となるため、エアゾール容器の使用の際、ノズル釦5の操作に支障が生じることはない。
【0023】
なお、エアゾール容器1には、ノズル釦3を覆うキャップ10が装着されるが、キャップ10は、エアゾール容器1に被着された肩カバー4のキャップ保持部43に嵌合されて装着される。
上述の実施例においては、ノズル釦は、ノズル釦嵌合部との予備嵌合及びノズル釦嵌合部外周部と肩カバーの一部である内周面に形成されたアンダーカットとの係合により仮固定されたものであるが、この仮固定はこれに限らず、肩カバーの一部を利用するものであれば、他の方法を採用することができる。
【0024】
【発明の効果】
本願発明によれば、エアゾール容器の肩カバーの一部に仮固定されたノズル釦の外周部が肩カバー開口部の内側に形成された水平リブによって支持されることとなり、ノズル釦が安定して支持され、傾いたり、音をたてたりすることを防ぐことができる。また、ノズル釦側部の形状がテーパー状となっているため、ノズル釦の嵌合を円滑に行うことができ、本嵌合後においては、ノズル釦の外周面と肩カバーが触れ合うことがなくなり、ノズル釦の操作に抵抗感を与えることがなく、操作性が損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例に係るエアゾール容器のノズル釦仮固定方法及び仮固定構造を示す図である。(a)は仮固定の状態を、(b)は本嵌合の状態を示す。
【図2】肩カバー開口部とノズル釦外周部側面との係合状態を示す図である。
【図3】図1(b)のA−A視断面図である。
【図4】ノズル釦の消費者嵌合方式を説明する図である。
【図5】従来のノズル釦の消費者嵌合方式の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 エアゾール容器
2 バルブ機構
3 ステム
4、60、80 肩カバー
5、70、90 ノズル釦
41 肩カバー上部開口部
41a 水平リブ
42 肩カバー頚部
51 ノズル釦嵌合部
52 外周部
Claims (3)
- エアゾール容器のバルブ機構のステムに装着するノズル釦を仮固定するノズル釦固定構造であって、ノズルに連通する通路が形成されたステム嵌合部を有し、円筒状の裾部と該裾部より頂部に向けてノズル釦の中心軸側に傾斜するテーパ面を有する外周面を有する筒状外周部を備えるノズル釦と、エアゾール容器に被着され、円筒状上部開口部と頚部が形成された肩カバーと、よりなり、前記肩カバーの円筒状上部開口部の内周面に環状の水平リブを設け、該水平リブを前記ノズル釦の円筒状裾部に当接させ、前記肩カバーの一部に仮固定されたノズル釦を支持するようにしたことを特徴とするエアゾール容器のノズル釦の固定構造。
- ノズル釦の筒状外周部の内面には縦リブを設けたことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器のノズル釦固定構造。
- ノズル釦は、ステムに形成された嵌合代との嵌合と、ノズル釦のステム嵌合部外周部及び肩カバー頚部の内周面に形成されたアンダーカットとの係合により仮固定されている請求項1又は2記載のエアゾール容器のノズル釦固定構造。
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