JP3667463B2 - 共同住宅用火災報知システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住戸毎に火災感知器、中継器、住戸用受信機及びインターホン設備を設けて個別監視し、中央の管理人室等に住棟用受信機を設けて集中監視する共同住宅用火災報知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の共同住宅用の火災報知システムにあっては、住戸に設けられた火災感知器が発報すると、住戸内に設置している住宅情報盤(住戸用受信機)やドアホンで警報報知が行われる。同時に住宅情報盤やドアホンを介し直ちに、管理人室等の中央に設置された防災情報を集中監視する住棟用受信機に発報移報信号が送られる。発報信号を受けた住棟用受信機は、例えば出火階及びその直上階に設置されている地区ベルを鳴動して火災発生を報知する。
【0003】
また、最近にあっては、地区ベルに代えて音声による警報システムが求められるようになってきている。例えば特開平4−350800号のシステムにあっては、住戸の火災感知器の発報による発報信号をドアホン子器の火災表示回路で受信すると、住戸内の住宅情報盤に発報移報信号を送って警報音の鳴動と警報表示を行わせ、同時に管理人室等に設置した防災受信盤(以下「住棟用受信機」という)に送って警報音の鳴動と警報表示を行わせる。
【0004】
このとき住棟用受信機は発報移報信号から出火階を判別し、出火階及びその直上階等の警報報知を必要とする住戸の玄関先に設置しているドアホン子器に発報移報信号を送り、スピーカを住棟用受信機からの音声警報用の信号回線に切り替え、「ウーウー、火災が発生しました。」等の音声警報を出させている。同時に住棟用受信機は、警報報知を必要とする各住戸内に設置している住宅情報盤に対しても発報移報信号を送り、住戸内でも音声警報と警報表示を行わせている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の共同住宅用火災報知システムにあっては、住棟用受信機からの制御によって、出火階及び直上階の住戸の玄関先に設置しているドアホン子器から「ウーウー、火災が発生しました。」等の音声メッセージ警報が出されるが、この音声メッセージ警報では火災がどこで起きているのか等の火災の状況は全く不明であり、音声メッセージ警報を聞いた人は、逆に動揺してしまいパニックになる恐れがある。
【0006】
また従来のシステムは、中央の住棟用受信機からの音声メッセージ警報を出火階及び直上階のドアホン子器のスピーカから出しているが、住戸内に設置されている住宅情報盤は、住棟用受信機から発報移報信号を受けた際に、自分自身で警報音の鳴動と警報表示を行っており、住棟用受信機からの音声メッセージ警報を聞くことができない。
【0007】
このため住棟用受信機からの「ウーウー、火災が発生しました。」という音声メッセージ警報に加え、避難誘導を促す音声メッセージを同時に送っていた場合、住戸内の居住者に避難誘導の音声メッセージが届かず、居住者は、避難してよいのかどうか状況が分らず、混乱を招く恐れがある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、中央の住棟用受信機からの音声警報が住戸側に適切且つ十分に行き届くようにした共同住宅用火災報知システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明は、各住戸に、少なくとも火災感知器、中継器、住戸用受信機、ドアホン子器及びインターホン親器を設けると共に管理人室等の中央に住棟用受信機を設け、火災感知器の発報を前記中継器で受信した際に、発報移報信号を住戸用受信機及び住棟用受信機の各々に送出して警報報知させるインターホン設備を組み合わせた共同住宅用火災報知システムを対象とする。
【0009】
このような共同住宅用火災報知システムについて、本発明にあっては、住棟用受信機から引き出した音声警報用信号回線をドアホン子器経由で住戸用受信機に接続し、住戸用受信機及びドアホン子器の各々に、住棟用受信機からの制御信号を受けた際に、自己のスピーカを住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続するスピーカ切替回路を備えたことを特徴とする。このため、住棟用受信機から警報報知を必要とする例えば出火階及び直上階に音声警報のための制御信号を送ると、その階の各住戸に設けているドアホン子器及び住戸用受信機の各スピーカが住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切り替えられ、住棟用受信機からの音声メッセージ警報を、住戸内及び玄関先の各々で出すことができる。
【0010】
また本発明は、住棟用受信機に、ドアホン子器及び住戸用受信機のスピーカに対し、音声警報用信号回線を介して火災発生場所を含む音声メッセージ警報、例えば「ウーウー、火事です。火事です。1階で火災が発生しました。安全を確認して避難して下さい。」等の音声信号を送出する音声合成部を設けたことを特徴とする。このため、警報報知を必要とする例えば出火階と直上階の居住者は、音声メッセージ警報によって直ちに火災発生場所を知ることができ、更に避難指示に従って迅速で適切な行動を取ることが可能となる。
【0011】
ドアホン子器に設けられるスピーカ切替回路は、定常監視状態でスピーカをインターホン親器からの信号回線に接続しており、住棟用受信機からの制御信号を受けた際にインターホン親器から切り離して住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続する。
また住戸用受信機に設けられるスピーカ切替回路は、定常監視状態でスピーカをドアホン子器を経由した住棟用受信機からの音声警報用信号回線に接続しており、中継器から発報移報信号を受けた際に、住棟用受信機からの音声警報用信号回線から切り離して自己の音声合成部の出力側に切替接続すると共に、ドアホン子器のスピーカに対する信号回線をインターホン親器側から切り離して自己の音声合成部の出力側に切替接続する。
【0012】
更に出火住戸については、火災感知器の発報で住戸用受信機の音声合成出力により自己のスピーカ及びドアホン子器のスピーカから音声メッセージ警報を出し、その後、住棟用受信機から制御信号を受けた際に、住棟用受信機からの音声メッセージ警報に切り替えできるようにする。
即ち、住戸用受信機のスピーカ切替回路は、中継器から発報移報信号を受けて自己の音声合成部の出力側にスピーカを切替接続した後に、住棟用受信機から制御信号を受けた場合には、自己の音声合成部との接続を切り離してドアホン子器を経由した住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続し、出火住戸の住戸用受信機からも住棟用受信機の音声警報メッセージを出させるようにする。
【0013】
このため、出火住戸にあっても、住棟用受信機からの音声メッセージ警報を聞くことができ、出火時の中央側での対応を確認できる。また火災感知器が誤って発報したような場合、誤報を知らせる中央側からの音声メッセージを聞くことができるので、事態が収まったことを認識できる。
この場合、出火住戸で音声警報を行い、一定時間後に住棟用受信機からの音声警報に切り替えるため、住戸側の中継器又は受信機、或いは中央の住棟用受信機に、火災感知器の発報が一定時間継続した時に火災と判断して出力する蓄積処理部を設ける。このため住戸用受信機の音声合成部は、火災感知器の発報検出で直ちに起動して音声信号を出力する。一方、住棟用受信機は蓄積処理部の出力が得られる発報から一定時間後にスピーカ切替回路に制御信号を送出すると共に自己の音声合成部を起動して音声信号を出力する。
【0014】
勿論、この蓄積処理部は、火災感知器が誤って発報した場合の誤報防止にも役立つ。
また本発明の別の実施形態にあっては、住棟用受信機からの音声メッセージ警報を、出火住戸に設けたドアホン子器のスピーカと、例えば出火階及び直上階等の予め定めた音声警報を必要とする住戸の住戸用受信機のスピーカから送出させる。このようにドアホン子器のスピーカについては、出火住戸のみから住棟用受信機から送った警報音声メッセージを出力させることで、どこが出火住戸かが直ちに判り、初期消火や避難が適切にできる。
【0015】
このための構成として、ドアホン子器のスピーカ切替回路は、住棟用受信機からの制御信号を受けた際にスピーカ接続側となる二次側を住棟用受信機側からの音声警報用信号回線に接続する第1切替回路と、中継器で火災感知器の発報を受信した際に出力される発報移報信号により、定常監視状態でドアホン回路側に接続されているスピーカを第1切替回路の二次側に切替接続する第2切替回路とを備える。また住戸用受信機のスピーカ切替回路は、定常監視状態で自己のスピーカをドアホン子器の第1切替回路を経由して住棟用受信機からの音声警報用信号回線に接続している。
【0016】
また別の構成として、ドアホン子器のスピーカ切替回路は、住棟用受信機からの制御信号を受けた際に、定常監視状態でドアホン回路側に接続しているスピーカを住棟用受信機側からの音声警報用信号回線に接続する第1切替回路と、中継器で火災感知器の発報を受信した際に出力される発報移報信号により動作し、第1切替回路の住棟用受信機からの制御信号による動作可能状態を作り出す第2切替回路とを備える。
【0017】
また住戸用受信機のスピーカ切替回路は、定常監視状態で自己のスピーカを自己の音声合成部側に接続しており、住棟用受信機からの制御信号を受けた際に動作してスピーカを住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続する。
この住戸用受信機のスピーカ切替回路としては、住棟用受信機からの制御信号により発光駆動されるフォトカプラと、住戸用受信機自身の電源供給を受けフォトカプラの発光駆動により作動してスピーカ接続を切替えるリレー回路とで構成する。リレー回路は、例えばフォトカプラの発光駆動時に作動する制御リレーと、常時作動状態に置かれ制御リレーの作動により不作動となってスピーカを住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替えるスピーカ切替リレーを備える。
【0018】
このようにスピーカ切替時に住棟用受信機の制御信号は、住戸用受信機のスピーカ切替回路に設けているフォトカプラを発光駆動するだけでよく、直接リレーを作動するのに比べ住棟用受信機の消費電流を抑えてバッテリー容量を少なくできる。
またスピーカ切替リレーを常時作動状態としているため、住戸用受信機で停電があった場合には、スピーカ切替リレーは不作動となってスピーカを音声警報用信号回線に接続する。このため停電により制御リレー及びスピーカ切替リレーに電源が供給されていなくとも、火災時の音声警報用信号回線からの音声信号は、スピーカに確実に供給され、高い信頼性が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の共同住宅用火災報知システムのシステム構成図である。図1において、高層マンションなどの共同住宅を対象とした本発明の火災報知システムは、例えば住戸1Aに代表して示すように、インターホン親器2、住戸用受信機3、ドアホン子器4、中継器5、及び火災感知器6を設けている。
【0020】
インターホン親器2とドアホン子器4はインターホン設備であり、インターホン親器2は住戸用受信機3と共に住戸内に設置され、ドアホン子器4は玄関先に設置されている。火災感知器6は中継器5からの電源兼用信号線に接続され、火災により発報すると、この発報を中継器5で検出し、発報移報信号を住戸用受信機3に送って警報報知させる。
【0021】
住戸用受信機3には音声合成部とスピーカが設けられており、中継器5から発報移報信号を受けると、例えば「感知器が発報しました。確認してください。誤報の場合は復旧スイッチを押してください。」などの音声メッセージ警報を出力させる。この音声メッセージは同時にドアホン子器4のスピーカからも出力される。
【0022】
このような住戸1A,1B側の設備に対し、管理人室などの中央側には住棟用受信機7が設けられている。住棟用受信機7からは火報用信号回線9、制御用信号回線10、及び音声警報用信号回線11が引き出され、それぞれ住戸1A,1B側と接続している。
例えば住戸1Aを例にとると、火報用信号回線9に対しては中継器5が接続され、制御用信号回線10及び音声警報用信号回線11に対してはドアホン子器4が接続されている。更に火報用信号回線9、制御用信号回線10及び音声警報用信号回線11に対しては、火災発信機と音声警報装置を備えた総合盤8が接続されている。
【0023】
住棟用受信機7は住戸側に設けている中継器5からの発報移報信号を受けると、発報移報信号を受けた火報用信号回線9によって例えば出火階を判別して、警報音の鳴動、音声メッセージ警報の出力、警報表示を行う。更に出火階を判別すると、警報報知を必要とする例えば出火階と直上階に対し音声メッセージ警報を行うため、制御用信号回線10に対し制御信号を出力する。
【0024】
この制御信号は住戸1A,1Bのドアホン子器4に与えられ、ドアホン子器4に内蔵しているスピーカ切替回路を動作してスピーカを住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11側に切替接続する。同時に、住戸用受信機3に内蔵しているスピーカ切替回路についても、音声警報用信号回線11側へ切替接続する。
具体的には、非発報時には住戸用受信機3のスピーカはもともと音声警報用信号回線11側に切り替わっているので、実際には住棟用受信機7からの制御は必要ない。これによって例えば出火階及び直上階の住戸に設けているドアホン子器4及び住戸用受信機3のスピーカは音声警報用信号回線11に接続され、住棟用受信機7からの音声信号の送出で音声メッセージ警報を出すことができる。
【0025】
住棟用受信機7からの音声信号による音声メッセージ警報としては、例えば 「ウーウー、火事です。火事です。1階で火災が発生しました。安全を確認して避難してください。」というように必ず火災発生場所を含むメッセージ内容とする。
図2は図1のシステム構成の具体的な回路構成の実施形態である。図2において、中継器5に設けられた受信部12から引き出された感知器信号回線には火災感知器6が接続され、更に終端抵抗Rが接続されている。火災感知器6としては、発報後に火災状態でなくなると復旧する自己復旧型火災感知器を使用する。もちろん、必要に応じて発報で自己保持する自己保持型火災感知器を使用してもよい。
【0026】
制御部14は、受信部12で火災感知器6の発報を検出したときの発報検出信号を受けると、トランジスタQ1のオンにより受信リレーL1を作動する。受信リレーL1はリレー接点l1を有し、リレー接点l1を閉じることで住戸用受信機3に対し発報移報信号を送出する。同時にドアホン子器4に設けている表示回路25に対し発報移報信号E3を出力し、火災灯26を点灯させる。
【0027】
この実施形態にあっては、住戸用受信機3の制御部15に蓄積タイマ16を設けており、制御部15は、中継器5からの発報移報信号を受けると蓄積タイマ16を起動し、予め定めた一定時間例えば2〜5分の範囲の一定時間、発報移報信号の入力が継続すると、蓄積タイマ16がタイムアップし、蓄積出力信号E1を中継器5の制御部14に出力する。
【0028】
具体的には、蓄積タイマ16のタイムアップで、定常状態でオンしているトランジスタQ4をオフしてリレーNを復旧し、切替リレー接点nをa側からb側に切り替えることで、制御部14に対するポートをLレベルに引き込んで、蓄積出力信号E1を出力する。
この蓄積出力信号E1を制御部14で受けると、トランジスタQ2のオンにより移報リレーL2を作動し、リレー接点L2を閉じることで住棟用受信機7に対し発報移報信号を送る。即ち、火災感知器6が発報してから蓄積タイマ16による一定時間の蓄積後に、住棟用受信機7に対し発報移報信号が送出されることになる。
【0029】
住戸用受信機3は制御部15を有し、制御部15には蓄積タイマ16に加え、火災灯17、復旧スイッチ18、火災断定スイッチ19が接続されている。また出力回路部として、トランジスタQ3により作動されるスピーカ切替リレーM、トランジスタQ4により作動される蓄積出力リレーN、更にトランジスタQ5により作動される火災断定リレーAを接続している。
【0030】
更に制御部15に対しては音声合成部20が設けられる。制御部15で中継器5より発報移報信号を受けた際に音声合成部20を起動し、予め定めた音声メッセージの音声信号をアンプ21に出力する。アンプ21の出力はインピーダンス変換用のトランス22を介してスピーカ23側に接続される。スピーカ切替回路は、トランジスタQ3、スピーカ切替リレーM、及びその切替リレー接点m1〜m4で構成される。
【0031】
即ち、スピーカ23は、スピーカ切替リレーMの切替リレー接点m1,m2により音声合成部20側と住棟用受信機7側とに選択的に切替接続される。定常監視状態におけるスピーカ切替リレーMの非作動状態にあっては、図示のように切替リレー接点m1,m2はスピーカ23を住棟用受信機7側に切り替えている。制御部15で中継器5からの発報移報信号を受けると、トランジスタQ3のオンによりスピーカ切替リレーMを作動し、切替リレー接点m1,m2をb側に切り替え、スピーカ23を音声合成部20の出力側に接続する。これによってスピーカ23から音声合成部20による音声メッセージ警報を出すことができる。
【0032】
更にスピーカ切替リレーMは、インターホン親器2とドアホン子器4との間の信号回線を切り替える切替リレー接点m3,m4を有する。切替リレー接点m3,m4は、スピーカ切替リレーMが非作動状態にある定常監視状態にあっては図示のようにa側に切り替わっており、インターホン親器2とドアホン子器4の間を接続している。
【0033】
これに対し、中継器5からの発報移報信号を制御部15で受けた場合のスピーカ切替リレーMの作動により、リレー接点m3,m4はb側に切り替えられ、ドアホン子器4は、インターホン親器2から切り離され、音声合成部20側の信号回線に切替接続される。このため音声合成部20の音声信号は、アンプ21、トランス22を介してドアホン子器4側に送られ、ドアホン子器4に設けているスピーカ30からも音声合成部20の音声信号による音声メッセージ警報を出すことができる。
【0034】
ドアホン子器4にはドアホン回路27が設けられ、ドアホン回路27には呼出スイッチ28、マイク29が設けられている。スピーカ30のスピーカ切替回路は、音声入力切替リレーKとそのリレー接点k1,k2、切替リレー接点k3,k4で構成される。
即ち、スピーカ30は、住棟用受信機7からの制御信号により作動される音声入力切替リレーKの切替リレー接点k3,k4により、ドアホン回路27とトランス31の二次側となる住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に選択的に接続される。定常監視状態にあっては、音声入力切替リレーKは非作動状態にあることから、切替リレー接点k3,k4は図示のようにa側に切り替わってドアホン回路27に接続している。このため、インターホン親器22との間で通話を行うことができる。
【0035】
また住戸用受信機3で発報移報信号を受けて、スピーカ切替リレーMの作動で切替リレー接点m3,m4をb側に切り替えたときには、ドアホン回路27を経由して音声合成部20側に接続され、このためスピーカ30から音声合成部20による音声信号に基づいた音声メッセージ警報を出すことができる。
ドアホン子器4に対する住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11には、音声入力切替リレーKのリレー接点k1,k2が挿入接続されている。このリレー接点k1,k2の二次側はトランス31に接続され、更に住戸用受信機3に設けているスピーカ23側に分岐されている。
【0036】
このため住棟用受信機7の制御用信号回線10より制御信号を受けて音声入力切替リレーKが作動すると、リレー接点k1,k2が閉じることで住戸用受信機3のスピーカ23を住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続することができ、同時に切替リレー接点k3,k4がb側に切り替ることで、トランス31を介してドアホン子器4のスピーカ30を住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続することができる。
【0037】
再び住戸用受信機3を参照するに、制御部15に設けている復旧スイッチ18を操作すると、制御部15は、蓄積タイマ16をリセットし、スピーカ切替リレーMを非作動状態とし、蓄積出力リレーNが非動作状態にあれば、再び動作状態とし、更に音声合成部20による音声信号の出力を停止する等の復旧処理が行われる。
【0038】
更に制御部15に設けている火災断定スイッチ19を押した場合には、制御部15は、トランジスタQ5をオンすることにより火災断定リレーAを作動させる。火災断定リレーAはリレー接点a1を有し、リレー接点a1を閉じることで中継器5の制御部14の対応するポートをLレベルに引き込むことで、火災断定信号E4を出力する。
【0039】
火災断定信号E4が得られると、制御部14は直ちにトランジスタQ2をオンしてリレーL2を作動し、そのリレー接点l2を閉じることで住棟用受信機7に対し発報移報信号を送出する。尚、蓄積タイマ16による蓄積中に火災断定スイッチ19を押した場合にも、制御部15は、蓄積動作と関係なく火災断定リレーAを作動して火災断定信号E4を中継器5に送ることになるので、直ちに住棟用受信機7に対し発報移報信号を送ることができる。
【0040】
次に住棟用受信機7を説明する。住棟用受信機7には例えば階別ごとに受信部32が設けられ、各受信部32から階毎に引き出された火報用信号回線9にその階の住戸の中継器が複数接続されている。この例にあっては、例えば1階用の受信部32を代表して示している。ここで、住戸に設けられている中継器5に対しては、住棟用受信機7から電源供給が行われている。
【0041】
即ち、住棟用受信機7から引き出された火報用信号回線9の中の+24Vの電源線とコモン線Cにより中継器5に対する電源供給が行われ、したがって受信部12を介して火災感知器6に対しても住棟用受信機7からの電源供給が行われている。もちろん、中継器5の制御部14についても同様に、住棟用受信機7からの電源供給が行われている。
【0042】
更に、ドアホン子器4に設けている表示回路25についても、住棟用受信機7からの電源供給が行われる。このため、住戸が空くなどして住戸用受信機3の電源部24に対するAC100Vが断たれていても、中継器5及びドアホン子器の表示回路25は住棟用受信機7からの電源供給を受けて動作状態にあり、住戸のAC100Vが断たれていても確実に火災が監視できる。
【0043】
住棟用受信機7の受信部32は、住戸側の中継器5からの発報移報信号を受信すると制御部33に受信出力を供給する。制御部33は受信出力を行った受信部から出火階を判別し、音声警報メッセージを必要とする階として例えば火災発生階と直上階を判別し、出火階及び直上階に対し制御信号を送出するための処理を行う。
【0044】
この制御信号送出のため制御部33に対しては、例えば建物の階数がn階であったとすると、階ごとにトランジスタQ11〜Q1nにより作動される制御用リレーT1〜Tnを設けている。例えば図示の住戸が1階であったとすると、制御部33はトランジスタQ11のオンにより制御リレーT1を作動する。
制御リレーT1〜Tnのリレー接点t1〜tn は、マトリクス回路36に設けられている。マトリクス回路36は、制御用信号回線10に含まれる1〜n階に対応した制御線B1〜Bnごとに、制御用リレーT1〜Tnのリレー接点t1〜tn とダイオードD1〜Dnの直列回路を備えている。更にマトリクス回路36にあっては、例えば1階の火災発生に対し直上階の2階を制御するため、リレー接点t1の出力側から2階の制御線B2の接続端子側にダイオードD12を接続している。
【0045】
この構成は残りの制御線B2〜Bnの間についても同様に行われる。このため、例えば1階の火災発生を検出してリレー接点t1が閉じられると、ダイオードD1とD12を介して1階の制御線B1及び2階の制御線B2のそれぞれに対し制御電圧が送出され、ドアホン子器4に設けている音声入力切替リレーKを作動する。
【0046】
制御部33は更に、中継器5からの発報移報信号を受信すると音声合成部34を起動する。音声合成部34には制御部33で判別した出火階を示す内容を含む音声メッセージ警報のデータがセットされており、制御部33の起動を受けて、この音声メッセージの音声信号をパワーアンプ35で増幅して、音声警報用信号回線11に送出する。
【0047】
これによって予め警報報知を必要とする住戸を定めたマトリクス回路36を介して制御線より制御電圧を受けて音声入力切替リレーKが作動しているドアホン子器4及び住戸用受信機3のスピーカ30,23から住棟用受信機7より送出した出火階を示す内容を含む音声メッセージ警報が出されることになる。
更に、住棟用受信機7からの制御用信号回線10及び音声警報用信号回線11には、総合盤8が接続されている。総合盤8はリレーVを有し、例えばマトリクス回路36によるリレー接点t1を閉じることで得られた制御電圧により作動し、リレー接点v1,v2を閉じ、トランス39を介して接続しているスピーカ38を住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続し、音声合成部34による音声メッセージ警報を廊下等の共用部に設けられる総合盤8においても出せるようにしている。
【0048】
次に図2の実施形態の動作を説明する。例えば1階の住戸にある火災感知器6が発報すると、中継器5の受信部12で発報検出が行われ、制御部14が受信リレーL1を作動し、リレー接点l1を閉じることで住戸用受信機3の制御部15に発報移報信号を送る。このとき蓄積出力リレーNはトランジスタQ4のオンにより作動状態にあり、切替リレー接点nは図示のようにa側に切り替わっている。また中継器5の制御部14はドアホン子器4に発報移報信号E3を出力し、火災灯26を点灯させる。
【0049】
住戸用受信機3の制御部15は、中継器5から発報移報信号を受けると火災灯17を点灯し、また蓄積タイマ16を起動し、更にスピーカ切替リレーMを作動し、更に音声合成部20を起動する。スピーカ切替リレーMの作動で切替リレー接点m1,m2はスピーカ23を音声合成部20側に切り替える。また切替リレー接点m3,m4をb側に切り替え、ドアホン子器4のスピーカ30も音声合成部20側に切り替える。音声合成部20からの音声信号はアンプ21で増幅されてスピーカ23及びドアホン子器のスピーカ30に与えられ、例えば「感知器が発報しました。確認してください。誤報の場合は復旧スイッチを押してください。」等の音声メッセージ警報を出力する。もし誤報であれば、復旧スイッチ18を操作することで発報前の状態に戻る復旧処理が行われる。
【0050】
火災感知器6の発報状態が継続して蓄積タイマ16がタイムアップすると、トランジスタQ4のオフにより蓄積出力リレーNの作動を停止し、切替リレー接点nをb側に切り替え、蓄積出力信号E1を中継器5の制御部14に送る。この蓄積出力信号E1を受け、制御部14は移報リレーL2を作動し、リレー接点l2を閉じることで住棟用受信機7に対し蓄積タイマ16に基づく発報移報信号を送る。
【0051】
住棟用受信機7の制御部33は受信部32より受信出力を受けると、その受信信号回線から出火階が例えば1階であることを判別し、トランジスタQ11のオンにより制御リレーT1を作動する。このためマトリクス回路36のリレー接点t1が閉じ、制御線B1,B2、即ち出火階と直上階に対し制御信号が出力される。
【0052】
例えば出火階である1階の制御線B1による制御信号を例にとると、制御線B1からの制御信号を受けると、ドアホン子器4の音声入力切替リレーKが作動し、そのリレー接点k1,k2が閉じる。また切替リレー接点k3,k4をb側に切り替えることで、スピーカ30が住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続される。また住戸用受信機3にあっては、出火住戸以外の住戸については図示のようにスピーカ23はドアホン子器4を経由した住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続されている。
【0053】
住棟用受信機7の制御部33は制御信号の出力と同時に音声合成部34を起動し、予め定めた出火階を示す内容を含む音声メッセージ警報の音声信号をパワーアンプ35で増幅し、音声警報用信号回線11に送出する。このため出火階及び直上階、例えば1,2階の住戸に設けているドアホン子器4のスピーカ30及び住戸用受信機3のスピーカ23(但し出火住戸は除く)から例えば「ウーウー、火事です。火事です。1階で火災が発生しました。安全を確認して避難してください。」といった必ず火災発生場所を示す内容を含んだ音声警報メッセージが出力される。
【0054】
図3は本発明の第2の実施形態であり、この実施形態にあっては出火住戸の住戸用受信機3のスピーカ23についても一定時間後に住棟用受信機7からの音声メッセージ警報が出せるようにしたことを特徴とする。
図3において、住戸用受信機3に設けたスピーカ切替リレーMを作動するトランジスタQ3に対する制御部15からの信号線は、ドアホン子器4に設けている音声入力切替リレーKのリレー接点k5を経由してトランジスタQ3のベースに接続されている。リレー接点k5は、音声入力切替リレーKの非作動状態で図示のように閉じている常閉接点である。これ以外の構成は図2の実施形態と同じである。
【0055】
図3について、火災発生時の住戸用受信機3における住棟用受信機7からの音声信号による音声警報メッセージの出力を説明すると、次のようになる。住戸用受信機3で中継器5からの発報移報信号を受信すると、このときドアホン子器4の音声入力切替リレーKは非作動状態にあることから、リレー接点k5は図示のように閉じており、このためトランジスタQ3のオンによりスピーカ切替リレーMを作動することができ、切替リレー接点m1,m2によりスピーカ23を自己の音声合成部20側に切替接続して、音声合成部20による音声メッセージ警報をスピーカ23から出すことができる。
【0056】
その後、蓄積タイマ16がタイムアップし、中継器5からの発報移報信号を受けた住棟用受信機7は、マトリクス回路36による制御電圧の出力でドアホン子器4の音声入力切替リレーKを作動状態とし、リレー接点k5を開く。リレー接点k5が開くとトランジスタQ3が強制的にオフとなってスピーカ切替リレーMが非作動となり、切替リレー接点m1,m2は図示のようにスピーカ23をドアホン子器4を経由した住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11側に切替接続する。
【0057】
これによって発報住戸の住戸用受信機3に設けているスピーカ23からも住棟用受信機7の音声合成部34による音声メッセージ警報を出すことができる。即ち、出火住戸の住戸用受信機3にあっては、火災感知器6の発報時に、まず自己の音声合成部20による音声メッセージ、例えば「感知器が発報しました。確認してください。誤報の場合は復旧スイッチを押してください。」がまず出され、その後、蓄積タイマ16がタイムアップする一定時間後に、住棟用受信機7に発報移報信号が送られて音声合成部34による音声メッセージ「ウー、ウー、火事です。火事です。1階で火災が発生しました。安全を確認して避難してください。」という内容に自動的に切り替えられ、出火住戸の住戸用受信機3のスピーカ23においても住棟用受信機7からの音声メッセージ警報を聞くことができる。
【0058】
図4は本発明の他の実施形態であり、この実施形態は、ドアホン子器のスピーカについては、出火住戸に設けてあるもののみから住棟用受信機からの音声メッセージ警報を行わせることを特徴とする。
図4において、ドアホン子器4には、スピーカ切替回路として、住棟用受信機7からの制御用信号線に接続されたリレーK1とそのリレー接点k11,k12を備えた第1切替回路と、中継器5の制御部14が火災感知器6の発報を受信した際に出力する発報移報信号E3により駆動されるリレーK2とその切替リレー接点k21,k22を備えた第2切替回路が設けられる。
【0059】
第1切替回路のリレーK1及びリレー接点k11,k12は、図2の実施形態のリレーKと同じであり、これに第2切替回路を構成するリレーK2およびリレー接点k21,k22が追加されている。第2切替回路のリレーK2は、中継器5からの発報移報信号E3を受けて作動し、スピーカ30をドアホン回路27側となるa側から音声警報用信号回線11側となるb側に切替える。
このリレーK2の作動によるリレー接点k21,k22のb側への切替状態で、住棟用受信機7のマトリクス回路36より制御用信号回線10に制御電圧が出力されると、リレーK1が作動し、リレー接点k11,k12を閉じて住棟用受信機7からの音声信号に基づいた警報メッセージ信号をドアホン子器4のスピーカ30からの送出を可能とする。尚、他の構成及び動作は図2の実施形態と同じである。
【0060】
次に図4の実施形態の動作を説明する。火災により火災感知器6が発報すると、中継器5の制御部14が受信部12からの発報受信出力に基づき、ドアホン子器4に対し発報移報信号E3を送出し、リレーK2を作動する。リレーK2が作動すると、その切替リレー接点k21,k22がb側に切替わり、スピーカ30をトランス31の二次側に接続し、住棟用受信機7からの音声信号の供給を可能とする。
【0061】
一方、火災時には、住棟用受信機7のマトリクス回路36からは、予めマトリクス設定された音声報知を必要とする周辺の住戸、例えば出火階となる制御端子B1及び直上階となる制御端子B2に対し制御電圧が送出される。このためドアホン子器4のリレーK1が作動し、リレー接点k11,k12を閉じる。このとき出火住戸あっては、発報移報信号E3によって既にリレーK2が作動して切替リレー接点k21,k22をb側に切替えているため、リレー接点K11,K12及び切替リレー接点k21,22を介してスピーカ28に音声信号が供給され、音声メッセージ警報が出火住戸のドアホン子器4から住戸外に出力される。またリレー接点k11,k12を経由して住戸用受信機3のスピーカ23にも音声信号が供給され、住戸内に音声メッセージ警報が出力される。
【0062】
これに対し住棟用受信機7から制御信号を受けた出火住戸以外の住戸にあっては、ドアホン子器4のリレーK2が非作動状態にあるため、切替リレー接点k21,k22はa側にあり、制御電圧によりリレーK1が作動してリレー接点k11,k12が閉じても、スピーカ30に対し音声信号は供給さず、ドアホン子器3からは音声メッセージ警報は出力されず、住戸用受信機3のスピーカ23から住戸内に音声メッセージ警報が出力されるのみとなる。
【0063】
このためドアホン子器4のスピーカ30については、出火住戸に設けてあるもののみから住棟用受信機7から送った警報音声メッセージが出力されるため、どこが出火住戸かが住戸外から直ちに判り、初期消火や避難が適切にできる。
図5は本発明の他の実施形態であり、この実施形態は図4と同様に、ドアホン子器のスピーカについては、出火住戸に設けてあるもののみから、住棟用受信機からの音声メッセージ警報を行わせることを特徴とする。
【0064】
図5において、ドアホン子器4には、スピーカ切替回路として、住棟用受信機7からの制御用信号回線10に接続されたリレーK1とそのリレー接点k11,k12を備えた第1切替回路と、中継器5の制御部14が火災感知器6の発報を受信した際に出力する発報移報信号E3により駆動されるリレーK2とそのリレー接点k21を備えた第2切替回路が設けられる。
【0065】
第1切替回路のリレーK1及びリレー接点k11,k12は、図2の実施形態のリレーKと同じであり、これに第2切替回路を構成するリレーK2およびリレー接点k21が追加されている。第2切替回路のリレーK2は、中継器5からの発報移報信号E3を受けて作動し、リレーK1に直列接続したリレー接点k21を閉じ、住棟用受信機7からの制御電圧によるリレーK1の動作可能状態を作り出す。
【0066】
リレーK2が作動してリレー接点k21が閉じた状態で、住棟用受信機7のマトリクス回路36より制御用信号回線10のB1端子に制御電圧が出力されると、リレーK1が作動してリレー接点k11,k12をa側からb側に切替え、スピーカ30をトランス31の二次側に接続し、住棟用受信機7からの音声信号による音声メッセージ警報の出力を可能とする。
【0067】
住戸用受信機3に設けたスピーカ切替リレーMは、図2の実施形態のように制御部15による作動ではなく、住棟用受信機7からの制御用信号回線10に接続され、音声警報用の制御電圧によって作動される。スピーカ切替リレーMの切替リレー接点m1,m2は定常監視状態でb側に閉じ、住棟用受信機7に内蔵される音声合成部20側にスピーカ23を接続している。また住棟用受信機7からの制御電圧によりスピーカ切替リレーMが作動すると、切替リレー接点m1,m2をa側に切替え、スピーカ23を住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続する。尚、他の構成及び動作は図2の実施形態と同じである。
【0068】
次に図5の実施形態の動作を説明する。火災により火災感知器6が発報すると、中継器5の制御部14が受信部12からの発報受信出力に基づき、ドアホン子器4に対し発報移報信号E3を送出し、これによってリレーK2が作動する。リレーK2が作動すると、そのリレー接点k21が閉じ、リレーK1を動作可能状態とする。
【0069】
火災時に、住棟用受信機7のマトリクス回路36からは、予めマストリクス設定された音声報知を必要とする周辺の住戸、例えば出火階となる制御端子B1及び直上階となる制御端子B2に対し制御電圧が送出される。このとき出火住戸あっては、発報移報信号E3によって既にリレーK2が作動してリレー接点k21を閉じているため、ドアホン子器4のリレーK1が作動し、リレー接点k11,k12をb側に切替える。
【0070】
このためリレー接点k11,k12を介してスピーカ28に音声警報用信号回線11を介して音声信号が供給され、音声メッセージ警報が出火住戸のドアホン子器4から住戸外に出力される。また住戸用受信機3のスピーカ切替リレーMも制御信号によって作動し、切替リレー接点m1,mをa側として音声警報用信号回線11にスピーカ23を接続し、住戸用受信機3のスピーカ23にも音声信号が供給され、住戸内に音声メッセージ警報が出力される。
【0071】
これに対し住棟用受信機7から制御電圧を受けた出火住戸以外の住戸にあっては、ドアホン子器4のリレーK2が非作動状態にあり、リレー接点k21が開いているために制御信号によりリレーK1が作動せず、スピーカ30に対し音声信号は供給されない。このためドアホン子器4からは音声メッセージ警報は出力されず、住戸用受信機3のスピーカ23から住戸内に音声メッセージ警報が出力されるのみとなる。
【0072】
このようにドアホン子器4のスピーカ30については、出火住戸に設けてあるもののみから住棟用受信機7から送った警報音声メッセージが出力されるため、どこが出火住戸かが住戸外から直ちに判り、初期消火や避難が適切にできる。
図6は図5の住棟用受信機3に設けたスピーカ切替回路の他の実施形態であり、住棟用受信機7からの制御信号によるスピーカ切替時の消費電流を低減するようにしたことを特徴とする。
【0073】
本発明の共同住宅用火災報知システムにあっては、火災時、住棟用受信機7は、制御用信号回線10を介して、例えば出火階及び直上階の全ての住戸に対し制御信号を送出する。図5の実施形態にあっては、住戸用受信機3に設けたスピーカ切替リレーMを、制御用信号回線10を介して供給される住棟用受信機7からの制御信号により作動させて、切替リレー接点m1,m2をa側に切替え、スピーカ23を住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続するようにしている。
【0074】
しかし、スピーカ切替リレーMを住棟用受信機7からの制御信号により作動させているため、出火階および直上階の全ての住戸の住戸用受信機3のスピーカ切替リレーMを作動させるためには、住棟用受信機7に予備電源として設けるバッテリーに大容量のものが必要となってしまう。例えばリレー1つを作動するために10mAの電流を必要とすると、20個分のリレーを作動させるためには200mAといった大きな消費電流が必要になる。
【0075】
そこで本発明にあっては、住戸用受信機3の電源でスピーカ切替リレーを作動させるようにして、住棟用受信機7の消費電流を抑え、バッテリー容量が少なくて済むようにしている。
具体的には、図6のように、住戸用受信機3のスピーカ切替回路として、住棟用受信機7からの制御用信号回線10をフォトカプラ40の発光素子42に電流制限用の抵抗R1を介して接続し、制御信号によりフォトカプラ40の発光素子42を発光させる。この発光素子42の発光駆動によりフォトトランジスタ44がオンし、その結果、制御リレーBを作動する。
【0076】
この制御リレーBの作動によりリレー接点b1は開き、常時作動状態にあるスピーカ切替リレーMは不作動となり、リレー接点m1,m2がb側からa側に切替わり、スピーカ23を住棟用受信機7からの音声警報用信号回線11に接続する。
住棟用受信機7からの制御信号によりスピーカ切替を行った場合、フォトカプラ40に流れる消費電流は2mA程度であるので、図5のように直接リレーを作動するのに比べると1/5程度の消費電流で済み、住棟用受信機7の消費電流を抑えてバッテリー容量を少なくできる。
【0077】
またスピーカ切替リレーMは、常時作動状態としており、住戸用受信機3で停電があった場合には、スピーカ切替リレーMは不作動となり、リレー接点m1,m2がa側に切替わってスピーカ23を音声警報用信号回線11に接続する。このため停電により制御リレーBおよびスピーカ切替リレーMに電源が供給されていなくとも、火災時の音声警報用信号回線11からの音声信号は、スピーカ23に確実に供給されることになる。
【0078】
尚、上記の実施形態にあっては、住戸用受信機3に蓄積タイマを設けた場合を例にとっているが、中継器5の制御部14に設けてもよいし、あるいは住棟用受信機7の制御部33に設けてもよい。特に図3の実施形態で出火住戸についても住棟用受信機7からの音声警報メッセージを出させる場合には、蓄積タイマは必ず必要となる。
【0079】
勿論、図2の実施形態のように、火災発生住戸の住戸用受信機3については住棟用受信機7からの音声警報メッセージを出さないようにしている場合には、蓄積タイマは必ずしも必要としない。
また上記の実施形態は住戸側と住棟用受信機との間を専用の信号回線で接続しているが、各住戸側、例えば中継器に固有のアドレスを設定することにより住棟用受信機7との間でアドレス及びデータを送る伝送路を使用したデータ伝送方式としてもよく、この場合には住棟用受信機7において出火住戸を特定して出火住戸を示す音声メッセージ警報を報知することができる。また伝送路を介して音声警報メッセージの出力を必要とする住戸に対し制御信号を送信し、音声入力用切替リレーKを作動させることができる。
【0080】
更に上記の実施形態にあっては、住棟用受信機7のマトリクス回路36としてダイオードマトリクス回路を例にとっているが、これに限定されず、出火階と制御対象となる制御階との関係をEEPROMなどのメモリにテーブルデータとして記憶させ、このテーブルデータに基づいた制御を行うようにしてもよい。
更にまた、上記の実施形態にあっては、中継器5は独立に設けてあったが、ドアホン子器4や住戸用受信機3の筐体内に収納させても良い。
【0081】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、各住戸に設けている住戸用受信機及びドアホン子器に設けている各スピーカに住棟用受信機からの音声信号を送って音声メッセージ警報を住戸内及び玄関先の各々で出すことができ、住戸外及び住戸内のいずれにおいても住棟用受信機からの音声メッセージを聞くことによって火災の状況や避難誘導の指示などを知り、混乱することなく冷静且つ迅速に対応することができる。
【0082】
また住棟用受信機からの音声信号による音声メッセージ警報として必ず火災発生場所を示すメッセージが含まれることで、警報報知を必要とする例えば出火階及び直上階の居住者は住棟用受信機からの音声メッセージ警報によって直ちに火災発生場所を知ることができ、更に避難指示に従って迅速で適切な行動をとることができ、火災報知システムの信頼性を大幅に向上できる。
【0083】
更に、ドアホン子器のスピーカについては、出火住戸に設けたもののみから、住棟用受信機からの音声メッセージ警報を行わせることで、どこが出火住戸か住戸外からが直ちに判り、初期消火や避難が適切にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成図
【図2】本発明の実施形態の回路ブロック図
【図3】本発明の他の実施形態の回路ブロック図
【図4】出火住戸のドアホン子器のみから音声警報する本発明の実施形態の回路ブロック図
【図5】出火住戸のドアホン子器のみから音声警報する本発明の他の実施形態の回路ブロック図
【図6】図5の住戸用受信機に設けるスピーカ切替回路の他の実施形態の回路ブロック図
【符号の説明】
1A,1B:住戸
2:インターホン親器
3:住戸用受信機(住宅情報盤)
4:ドアホン子器
5:中継器
6:火災感知器
7:住棟用受信機
8:総合盤
9:火報用信号回線
10:制御用信号回線
11:音声警報用信号回線
12:,32:受信部
14,15,33:制御部
16:蓄積タイマ
17,26:火災灯
18:復旧スイッチ
19:火災断定スイッチ
20,34:音声合成部
21:アンプ
22,32,39:トランス
23,30,38:スピーカ
35:パワーアンプ
36:マトリクス回路
40:フォトカプラ
L1:受信リレー
L2:移報リレー
A:火災断定リレー
B:制御リレー
M:スピーカ切替リレー
N:蓄積出力リレー
K:音声入力切替リレー
Claims (10)
- 各住戸に、少なくとも火災感知器、中継器、住戸用受信機、ドアホン子器及びインターホン親器を設けると共に管理人室等の中央に住棟用受信機を設け、前記火災感知器の発報を前記中継器で受信した際に、発報移報信号を前記住戸用受信機及び住棟用受信機の各々に送出して警報報知させる共同住宅用火災報知システムに於いて、
前記住棟用受信機から引き出した音声警報用信号回線を前記ドアホン子器経由で前記住戸用受信機に接続し、
前記住戸用受信機及びドアホン子器の各々に、前記住棟用受信機からの制御信号を受けた際に、自己のスピーカを前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続するスピーカ切替回路を設け、
前記住棟用受信機に、前記ドアホン子器及び住戸用受信機のスピーカに対し、前記音声警報用信号回線を介して火災発生場所を含む音声メッセージ警報の音声信号を送出する音声合成部を設けたことを特徴とする共同住宅用火災報知システム。 - 請求項1記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、前記ドアホン子器のスピーカ切替回路は、定常監視状態でスピーカを前記インターホン親器からの信号回線に接続しており、前記住棟用受信機からの制御信号を受けた際に前記インターホン親器から切り離して前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続することを特徴とする共同住宅用火災報知システム。
- 請求項1記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、住戸用受信機のスピーカ切替回路は、定常監視状態でスピーカを前記ドアホン子器を経由した前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線に接続しており、前記中継器から発報移報信号を受けた際に、前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線から切り離して自己の音声合成部の出力側に切替接続すると共に、前記ドアホン子器のスピーカに対する信号回線を前記インターホン親器側から切り離して自己の音声合成部の出力側に切替接続することを特徴とする共同住宅用火災報知システム。
- 請求項3記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、前記住戸用受信機のスピーカ切替回路は、前記中継器から発報移報信号を受けて自己の音声合成部の出力側に前記スピーカを切替接続した後に、前記住棟用受信機から制御信号を受けた際に、自己の音声合成部との接続を切り離して前記ドアホン子器を経由した前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続し、出火住戸の住戸用受信機からも住棟用受信機の音声メッセージ警報を出させることを特徴とする共同住宅用火災報知システム。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、前記住戸側の中継器又は住戸用受信機、或いは中央の住棟用受信機に、前記火災感知器の発報が一定時間継続した時に火災と判断して出力する蓄積処理部を設け、前記住戸用受信機の音声合成部は、前記火災感知器の発報検出で直ちに起動して音声信号を出力し、前記住棟用受信機は前記蓄積処理部の出力が得られる一定時間後に前記スピーカ切替回路に制御信号を送出すると共に自己の音声合成部を起動して音声信号を出力することを特徴とする共同住宅用火災報知システム。
- 請求項1記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、
前記ドアホン子器のスピーカ切替回路は、
前記住棟用受信機からの制御信号を受けた際にスピーカ接続側となる二次側を前記住棟用受信機側からの音声警報用信号回線に接続する第1切替回路と、
前記中継器で火災感知器の発報を受信した際に出力される発報移報信号により、定常監視状態でドアホン回路側に接続されているスピーカを前記第1切替回路の二次側に切替接続する第2切替回路と、
を備え、
住戸用受信機のスピーカ切替回路は、定常監視状態で自己のスピーカを前記ドアホン子器の前記第1切替回路を経由して前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線に接続しており、
前記住棟用受信機からの音声メッセージ警報の送出を、火災発生住戸のドアホン子器のスピーカと、予め定めた警報報知を必要とする住戸の前記住戸用受信機のスピーカから行わせることを特徴とする共同住宅用火災報知システム。 - 請求項1記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、
前記ドアホン子器のスピーカ切替回路は、
前記住棟用受信機からの制御信号を受けた際に、定常監視状態でドアホン回路側に接続しているスピーカを前記住棟用受信機側からの音声警報用信号回線に接続する第1切替回路と、
前記中継器で火災感知器の発報を受信した際に出力される発報移報信号により動作し、前記第1切替回路の前記住棟用受信機からの制御信号による動作可能状態を作り出す第2切替回路と、
を備え、
住戸用受信機のスピーカ切替回路は、定常監視状態で自己のスピーカを自己の音声合成部側に接続しており、前記住棟用受信機からの制御信号を受けた際に動作して前記スピーカを住棟用受信機からの音声警報用信号回線に切替接続し、
前記住棟用受信機からの音声メッセージ警報の送出を、火災発生住戸のドアホン子器のスピーカと、予め定めた警報報知を必要とする住戸の前記住戸用受信機のスピーカから行わせることを特徴とする共同住宅用火災報知システム。 - 請求項7記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、前記住戸用受信機のスピーカ切替回路は、前記住棟用受信機からの制御信号により発光駆動されるフォトカプラと、住戸用受信機自身の電源供給を受け前記フォトカプラの発光駆動により作動してスピーカ接続を切替えるリレー回路と備えたことを特徴とする共同住宅用火災報知システム。
- 請求項8記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、前記リレー回路は、前記フォトカプラの発光駆動時に作動する制御リレーと、常時作動状態に置かれ前記制御リレーの作動により不作動となってスピーカを前記住棟用受信機からの音声警報用信号回線にを切替えるスピーカ切替リレーと、
を備えたことを特徴とする共同住宅用火災報知システム。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の共同住宅用火災報知システムに於いて、
前記住棟用受信機には、前記中継器から発報移報信号を受けたときに火災発生場所を判別し、予め定めた警報報知を必要とする住戸に対し前記制御信号を出力させると共に、前記音声合成部を起動して火災発生場所を含む音声メッセージ警報を送出させる制御部を設けたことを特徴とする共同住宅用火災報知システム。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP24751196A Expired - Lifetime JP3667463B2 (ja) | 1996-02-19 | 1996-09-19 | 共同住宅用火災報知システム |
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JP (1) | JP3667463B2 (ja) |
-
1996
- 1996-09-19 JP JP24751196A patent/JP3667463B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09288782A (ja) | 1997-11-04 |
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