JP3667209B2 - 半導体レーザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザに関し、特に0.8μm帯、0.9μm帯、1.3μm帯、1.5μm帯のいずれかにおいて発光するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体光増幅素子とブラッグ回折格子が形成された光導波路とを光結合して、半導体光増幅素子の反射面とブラッグ回折格子とからなる共振器を用いてレーザ光を出力させる半導体レーザが知られていた。
【0003】
例えば、「ELECTRONICS LETTERS 20th June 1996 Vol.32 No13」P1202〜1203に記載された半導体レーザは、スポットサイズ変換LDとブラッグ回折格子とが光導波路によって接続されて構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の半導体レーザでは、ブラッグ回折格子による回折スペクトルの半値全幅中に5個のレーザ縦モードが生じており、同文献のFig.3に示されているように、スポットサイズ変換LDへの注入電流量の変化によって光出力が不連続になる、いわゆる「キンク」が生じてしまう。上記の半導体レーザにおいてもそうであるが、このような外部共振器型のブラッグ回折格子を用いた半導体レーザの場合、「キンク」の発生を抑制するために、熱電素子等の温度制御装置によってレーザの温度を制御する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決し、注入電流量の変化や外部環境温度の変化により、レーザの温度が変化した場合にも光出力の変動を小さくできる半導体レーザを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体レーザは、0.8μm帯、0.9μm帯、1.3μm帯又は1.5μm帯のいずれかにおいて発光する半導体レーザであって、活性領域を挟んで対向する光反射面と光射出面が形成された半導体光増幅素子と、半導体光増幅素子の光射出面と光結合されると共に、所定の反射スペクトルを有するブラッグ回折格子が内部に形成された光導波路とを備え、光射出面における光反射率は、光射出面とブラッグ回折格子との光結合効率をη、ブラッグ回折格子の最大反射率をRfgとした場合に、Re=η 2 ×Rfgによって定められる値Reより小さく、ブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅が、光反射面とブラッグ回折格子とによって定められる光共振器に係る縦モード間隔の6倍以上11倍以下であることを特徴とする。
【0007】
このようにブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅が、レーザの縦モード間隔の6倍以上とすれば、反射スペクトルの半値全幅の間隔に6つ以上の縦モードが存在することとなる。これにより、ブラッグ回折格子の反射率の各縦モード波長間における共振器利得差を小さくできるので、各縦モード波長間における発振強度の差を小さくできる。このため、モードホッピングが生じた場合であっても、光出力の変動を小さくすることができる。また、光射出面の反射率を、光結合効率を含めたブラッグ回折格子の実効的な反射率より小さくすることにより、半導体光増幅素子の光反射面と光射出面との間で発生する共振の影響を小さくすることができる。
【0008】
また、反射スペクトルの半値全幅がレーザの縦モード間隔の11倍以下である場合に、光出力の変動を小さくできる。
【0009】
上記半導体レーザにおいて、ブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅は50GHz以上1650GHz以下であることを特徴としても良い。
【0010】
このようにブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅が上記のような範囲である場合に、光出力の変動を小さくできる。
【0011】
上記半導体レーザにおいて、光導波路は、光ファイバであることを特徴としても良い。
【0012】
このように光ファイバにブラッグ回折格子を形成することにより、ブラッグ回折格子を容易に形成できると共に、経時変化に対しても特性の安定化を図ることができる。また、光ファイバとSOAとの光結合を容易に行うことができる。
【0013】
上記半導体レーザにおいて、光導波路は、Si、InP、GaAs、石英、LiNbO3、LiTaO3又はポリイミド樹脂のいずれかの基板に形成されていることを特徴としても良い。
【0014】
このように基板上に形成された光導波路にブラッグ回折格子を形成することにより、光受信素子や変調素子等のデバイスとの集積化が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明に係る半導体レーザの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態の半導体レーザ10を示す断面図である。半導体レーザ10は、パッケージ40内に配設された半導体光増幅素子(以下、「SOA」という)20と、パッケージ40の外側にフェルール52によって固定された光ファイバ30とを備えている。光ファイバ30には、後に詳細に説明するようにブラッグ回折格子32が形成されている。パッケージ40は、内部に配設されたSOA20を密封可能とした箱体である。パッケージ40の一側壁には、ハーメチックガラス製の窓50が形成されており、窓50を介してSOA20とブラッグ回折格子32とは光結合されている。
【0017】
パッケージ40の床面42の上面に直接にL型キャリア44が載置されている。L型キャリア44の上面には、チップキャリア46、サブマウント48が順次載置され、サブマウント48にSOA20が取り付けられている。また、SOA20と光ファイバ30との間には、レンズ49が配設されている。サブマウント48はSOA20のヒートシンクとして機能するものであり、チップキャリア46はSOA20の取付作業性を考慮して設けられた部材であり、L型キャリア44はSOA20の取付台とされている。
【0018】
本実施形態の半導体レーザ10は、SOA20の直接変調によりデータを出力するものであり、データはアナログ信号あるいは156Mbps〜2.5Gbpsのデジタル信号が用いられる。
【0019】
次に、共振器として機能するSOA20及びブラッグ回折格子32について、図2に示す模式図(上面図)を参照しながら説明する。SOA20は、4元混晶(GaInAsP)多重量子井戸構造の活性層22と光導波層とを有している。また、活性層22をその長手方向から挟むSOA20の両端面は、光反射面20b、光射出面20aとされている。ここで、光反射面20bと光射出面20aとの間のSOA20の長さは、約200〜600μmである。SOA20は、活性層22へ電流が注入されることにより光を生じる。発生した光は増幅されながら活性層22内を進行し、光反射面20bと回折格子32で反射し、一部の光が回折格子32を透過して外部へ射出するようになっている。
【0020】
SOA20の光射出面20aは、反射防止コーティングがされており、光反射率が非常に低いもの(0.01〜0.5%)とされている。この光射出面20aの反射防止コーティングとしては、例えば誘電体多層膜が用いられる。この誘電体多層膜は、シリカ(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、窒化けい素(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)、アモルファスシリコンなどの薄い膜を積層して形成したものであって、その膜の材質の屈折率、厚さ及び層数と膜の構成を適宜変えることにより光反射率の反射依存性を任意に設定することが可能である。このように光射出面20aの反射率を小さいものとすることにより、SOA20の光反射面20bと光射出面20a、あるいは回折格子32と光射出面20aとによる共振の影響を小さいものとすることができる。
【0021】
一方、SOA20の光反射面20bは、発振波長における光反射率が非常に高いもの(30〜95%)とされている。この光反射面20bにおいても、光射出面20aと同様に誘電体多層膜により形成することにより、高い光反射率とすることができる。光反射面20bから外部に出射する光は、受光素子によりレーザ光をモニタするのに用いられる。
【0022】
図2に示すように、SOA20の光射出面20aに面して、光ファイバ30が配置され
、その光反射面20bと相互に光の入射及び出射を可能に光結合されている。すなわち、光射出面20aから射出された光が光ファイバ30の端面30aへ入射され、光ファイバ30から射出された光が光射出面20aに入射されるように、SOA20の光射出面20a側に光ファイバ30が配設されている。ここで、光ファイバ30の端面30aは先球加工されており、SOA20との光結合率の向上が図られている(図1に示すように、レンズ49を用いても良い)。なお、SOA20と光ファイバ30との光結合率は、10〜80%である。この光ファイバ30は長尺状の導光部材であって、コア36を取り囲むようにして、コア36より低屈折率のクラッド34が形成されている。そして、コア36には所定の反射スペクトルを有するブラッグ回折格子32が形成されている。このブラッグ回折格子32は、SOA20の光反射面20bと共に共振器を構成するものであって、光ファイバ30の光軸方向に沿ってコア36の屈折率を周期的に変化させて形成されている。その屈折率の周期により、光の反射スペクトルが決定される。なお、ブラッグ回折格子32の反射率は10〜60%である。
【0023】
本実施形態の半導体レーザ10においては、ブラッグ回折格子32の反射スペクトルの半値全幅δλBと、SOA20及びブラッグ回折格子32によって構成される共振器の縦モード間隔(以下、単に「縦モード間隔」という)δλeとは、次のような関係を有している。
6≦δλB/δλe≦11
ここで、縦モード間隔δλeは、発振波長をλ、共振器の全屈折率を1としたときの光路長をLeとすると、
δλe=λ2/2Le
で定義される。上記の関係について、図3を用いて説明する。ブラッグ回折格子32の反射スペクトルは、図3に示すように半値全幅δλBの範囲内でひとつのピークを有する波形となっている。ブラッグ回折格子32の反射スペクトルの半値全幅δλBは、縦モード間隔δλeの6倍から11倍の間隔を有しているので、図3に示すように半値全幅δλBの間隔には、6個から11個の縦モードが存在することとなる。なお、SOA20の両端面によって構成されるファブリペロー共振器のフリースペクトラルレンジ(FSR)は、反射スペクトルの半値全幅δλBより大きい方が好ましい。
【0024】
上記のように、半値全幅δλBが縦モード間隔δλeの6倍から11倍となるための共振器長の光路長Le、ピーク反射波長λB、半値全幅δλBの実用上好適な組み合わせを図4に示す。
【0025】
また、本実施形態の反射スペクトルの半値全幅δλBは、50GHz〜1650GHzの間隔を有している。半値全幅δλBを周波数で定義したのは、回折波長λに応じて、半値全幅δλBの幅が変化するためである。ここで、半値全幅δλBを長さの単位に変換する変換式を示すと、
δλB[len]=(−λ/c2)δλB[frq]
である。なお、cは光速、δλB[len]は半値全幅δλBの長さ表示、δλB[frq]の周波数表示を示す。上記の計算式にあてはめて、具体的な例について計算し、半値全幅の周波数表示を長さ表示に変換する。回折波長を1550nm、半値全幅δλB[frq]が50GHzの場合には、
δλB[len]=−15502/(3×1017)×(50×109)
=−0.4nm
【0026】
ここで、半値全幅δλBは絶対値が問題となるので、半値全幅δλB[frq]=50GHzは、半値全幅δλB[len]=0.4nmに相当する。
【0027】
次に、本実施形態の半導体レーザ10の動作について説明する。SOA20の2つのクラッド層の間に所定の電圧を印加して、活性層22へ電流を注入すると、活性層22中に自然放出光を発する。さらに注入電流を増加すると、活性層22内で誘導放出を引き起こし反射率の低い光射出面20aから射出されていく。
【0028】
一方、光射出面20aから射出された光は、光ファイバ30の端面30aからコア36内へ入射されて、コア36に沿って進行し、ブラッグ回折格子32で反射される。そして、ブラッグ回折格子32により反射された光(図3に示す反射スペクトルを有する)がSOA20へ向けて進行し、光ファイバ30の端面30aから射出され、SOA20の光射出面20aを通じて活性層22内へ入射される。そして、活性層22内を進行する光は再び増幅されながら光反射面20bで反射され、その光反射面20bと光ファイバ30のブラッグ回折格子32との間で往復を繰り返し増幅される。そして、ブラッグ回折格子32を透過した所望のレーザ光は、図2に矢印で示す方向に出力される。
【0029】
ここで、反射スペクトルの半値全幅δλBと縦モード間隔δλeとの関係を変えた場合の実験データを図5及び図6に示す。図5に示すように、δλB/δλe≦5の範囲では光出力にキンクが生じるが、6≦δλB/δλe≦11の範囲では、実用上問題となるようなキンクは生じない。図6(a)に示すようにδλB/δλe=5の場合には、注入電流が50mA付近でキンクが生じる。δλB/δλe=6と、δλB/δλe=11の場合の注入電流と光出力との関係は、図6(b),(c)に示すように、注入電流が閾値を越えた範囲でほぼ比例となっている。6≦δλB/δλeの範囲では、半値全幅δλBの間隔に縦モードが6つ以上存在することとなるので、ブラッグ回折格子の反射率の各縦モード波長間における共振器利得差を小さくでき、これにより各縦モード波長間における発振強度の差を小さくできる。このため、モードホッピングが生じた場合であっても、光出力の変動を小さくすることができる。このような理論に基づくと、半値全幅δλBの間隔にできる限り多くの縦モードが存在することとすれば、モードホッピングが生じた場合にも光出力の変動を小さくできるはずであるが、本発明者は実験の結果、δλB/δλe≧24においては、光出力にキンクが生じることを見出した。例えば、δλB/δλe=24の場合には注入電流が70mA以上で多数のキンクが(図6(d)参照)、δλB/δλe=40の場合には注入電流が100mA付近でキンクが生じる(図6(e)参照)。
【0030】
また、発明者の実験によれば、δλB/δλe≦11の場合には、図8(a)に示すように発振波長近傍以外の波長帯域における光スペクトルは小さいが、δλB/δλe≧24の場合には、図8(b)に示すように発振波長近傍以外の波長帯域における光スペクトルが大きく、光出力にノイズが発生してしまう不都合が生じる。また、共振器利得差が小さくなり過ぎると、容易に広い波長範囲で発振が可能になるため、モードホッピングによる発振波長変動が大きくなってしまうという欠点がある。
【0031】
また、図7に示すように、反射スペクトルの半値全幅δλBが40GHzより小さい場合には、反射スペクトルの半値全幅δλBと縦モード間隔δλeが上記のような関係(6≦δλB/δλe≦11)であっても、光出力にキンクが生じてしまう。本実施形態の半導体レーザ10においては、反射スペクトルの半値全幅δλBは50GHzから1650GHzであるので、半値全幅δλBと縦モード間隔δλeが上記のような関係(6≦δλB/δλe≦11)を満たせば、光出力にキンクが生じない。ここで、半値全幅δλBの上限が1650GHzであるのは、実用上のレーザ共振器長(約1mm)から算出すると、縦モード間隔δλeの上限は150GHzとなることから決定されている。縦モード間隔δλeが上限値(150GHz)である場合に、δλB/δλe≦11となるようにするためには、半値全幅δλBは1650GHz以下であることが必要である。
【0032】
本実施形態の半導体レーザ10においては、ブラッグ回折格子32の反射スペクトルは半値全幅δλBの範囲内でひとつのピークを有し、反射スペクトルの半値全幅δλBを縦モード間隔δλeの6倍から11倍としている。これにより、各縦モード間での発振強度の差が小さくなるため、SOA20の温度変化等によってモードホッピングが生じた場合であっても、光出力や発振波長の変動を小さくすることができる。従って、注入電流が増大してSOA20の温度が変化した場合にも、光出力の変動が抑制され、実用上問題となるようなキンクが生じない。
【0033】
また、図6(b)、図6(c)に示すIL特性を持つ本実施形態の半導体レーザ10の場合、縦モード間隔と縦モードの環境温度依存性から見積もると、環境温度変化による光出力変動(モードホッピングによるキンク)は、約3.5℃の温度周期で生じるはずである。定常状態で、環境温度変化がSOA温度変化にほぼ等しいとすると、注入電流に対するSOA温度変化の関係(0.1℃/mA)から、3.5℃の環境温度変化は、35mAの注入電流量の変化に相当する。従って、図6(b)、図6(c)に示すように、閾値電流(約10mA)から150mAの電流範囲でキンクが生じることなく光出力が安定であることは、モードホッピング温度周期を越える環境温度変化が生じても、モードホッピングによるIL特性のキンクが抑制され、光出力変動を小さくできることを示している。
【0034】
実際に、図9に示すように、本実施形態の半導体レーザ10において、−40℃から80℃の環境温度変化に対して、IL特性にキンクが生じないことを実験においても確認した。
【0035】
さらにこれにより、本実施形態の半導体レーザ10のように、SOA20の温度を制御するための熱電素子等を有しない構成とすることが可能となる。
【0036】
本実施形態の半導体レーザ10に用いられるブラッグ回折格子32の反射スペクトルの半値全幅δλBは50〜1650GHzであるので、注入電流量を増大させても、図6(b),(c)に示すように光出力の変動を少なくすることができる。
【0037】
本実施形態の半導体レーザ10において、SOA20の光射出面20aから射出される光の強度Ipと、該射出光がブラッグ回折格子32で反射して光射出面20aに入射される際の強度Irとの比Ir/Ip(以下、ブラッグ回折格子32の「実効反射率Re」という)を、SOA20及びブラッグ回折格子32の光結合率η(10〜80%)とブラッグ回折格子32の光反射率Rfg(10〜60%)とから、下記算出式に従って求めると、
Re[min]=η2×Rfg=(0.1)2×0.1=0.001
Re[max]=η2×Rfg=(0.8)2×0.6=0.384
【0038】
従って、ブラッグ回折格子32の実効反射率Reは、0.1〜38.4%となる。本実施形態の半導体レーザでは、SOA20の光射出面20aの光反射率をブラッグ回折格子の実効反射率Reより小さくして、SOA20の両端面による共振器の影響を低減している。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体レーザについて図10を参照しながら説明する。第2実施形態に係る半導体レーザは、SOA20とブラッグ回折格子32との光結合部が第1実施形態に係る半導体レーザ10と異なる。図10は、第2実施形態に係る半導体レーザのSOA20と回折格子が形成された光ファイバ30とを示す模式図である。第2実施形態に係る半導体レーザにおいては、SOA20と光ファイバ30との間にレンズ38が介在されている。そして、光ファイバ30の先端は光軸に対して斜めの端面30aとされている。このような構成により、SOA20から射出された光がレンズ38によって集光されて光ファイバ30の端面30aに入射される際に、光ファイバ30の端面30aによる反射を減少させ、SOAへの反射戻り光を低減させると共に、光結合効率の向上を図ることができる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態の半導体レーザについて説明する。第3実施形態の半導体レーザは、SOA20が載置されたSi基板60に設けられた石英光導波路70にブラッグ回折格子32が形成されている点が第1実施形態の半導体レーザ10と異なる。図11は、SOA20とブラッグ回折格子32が形成された光導波路70を示す模式図である。第3実施形態に係る半導体レーザにおいては、SOA20は、長方形のSi基板60の一辺付近に形成されたSiテラス26上に載置されており、SOA20の光射出面20aからSiテラス26が形成された辺と対向する辺に向かって、石英光導波路70が延在している。そして、この石英光導波路70にブラッグ回折格子32が形成されている。ブラッグ回折格子32は、石英光導波路70に位相マスクを被覆し、紫外光を照射することによって形成される。SOA20の構造は、第1実施形態の半導体レーザ10に用いられるものと同様である。また、SOA20と石英光導波路70の光結合率は10〜70%である。
【0041】
第3実施形態に係る半導体レーザ10は、Si基板60上に形成された石英光導波路70にブラッグ回折格子32を形成し、このブラッグ回折格子32とSi基板60に載置されたSOA20とを共振器とする構成としたことにより、フォトダイオードや変調器などの他のデバイスとの集積化が容易であり、小型で高機能化を実現できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0043】
上記実施形態においては、ブラッグ回折格子32のピーク反射波長として、図4に1310nm、1550nmの場合を例示したが、本発明の半導体レーザ10に用いられるブラッグ回折格子32のピーク反射波長は、1310μm、1510μmに限定されない。本発明の半導体レーザは、0.6μm帯(0.63〜0.68μm)、0.8μm帯(0.75〜0.87μm)、0.9μm帯(0.95〜1.0μm)、1.3μm帯(1.25〜1.36μm)又は1.5μm帯(1.45〜1.65μm)のいずれかにおいて発光する半導体レーザを実現可能なピーク反射波長を有するブラッグ回折格子を用いることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、SOAの反射面とブラッグ回折格子とを共振器とする半導体レーザにおいて、ブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅を共振器の光路長に係る縦モード間隔の6倍から11倍とすることによって、注入電流量の変化や外部環境温度の変化によりレーザの温度変化が生じた場合にも、光出力の変動を小さくすることができる。
【0045】
石英基板の場合についても、Si基板と同様に、石英基板上に石英導波路を形成できる。石英導波路は、P、B、Geなどの元素をドーパントとしてコアとクラッドに屈折率差をつける。回折格子は、紫外線の照射により位相マスク法や干渉露光法により作製できる。
【0046】
InP基板の場合、InP以外に、GaInAs、GaInAsP、AlInAsなどの異なる屈折率の混晶材料を結晶成長し、コアやクラッドに用いることができる。GaAs基板の場合は、AlGaAsやGaAsなどをコアやクラッドに用いることができる。回折格子は、電子ビーム露光法や2光束干渉法でパターンを形成し、エッチングで除去された部分に異なる屈折率を持つ材料を埋め込めば作製できる。なお、この回折格子作製方法は、他の基板や導波路を用いた場合にも同様に用いることができる。エッチング除去部分の埋め込み材料として、BCB(BenzoCycloButene)などの有機樹脂を用いても良い。
【0047】
LiNbO3、LiTaO3基板の場合、Ti、Cu、Nbなどの遷移金属を熱拡散する方法やプロトン交換法で導波路を作製できる。また、回折格子については、Ti拡散、プロトン交換法や、Feを拡散して可視光を照射する方法で屈折率変調をつけることにより、作製できる。
【0048】
さらに、石英、Si、GaAs、InP、LiNbO3、LiTaO3、ポリイミド樹脂などを基板として、その基板上にポリマ導波路層をスピンコート法により作製し、フォトマスクを用いた選択光重合反応や反応性イオンエッチング法でポリマー導波路を形成できる。ポリマー導波路への回折格子作製は、電子ビーム露光や紫外線照射による干渉法などにより、屈折率変調部分を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の半導体レーザを示す図である。
【図2】 SOAとブラッグ回折格子を示す模式図である。
【図3】 ブラッグ回折格子の反射スペクトルと縦モード間隔との関係を示す図である。
【図4】 第1実施形態の半導体レーザにおけるブラッグ回折格子と共振器の光路長との関係を示す図である。
【図5】 半値全幅/縦モード間隔とキンクとの関係を示す図である。
【図6】 注入電流と光出力との関係を示す図である。
【図7】 半値全幅とキンクとの関係を示す図である。
【図8】 波長帯域と光出力との関係を示す図である。
【図9】 半導体レーザのIL特性の温度依存性を示す図である。
【図10】 第2実施形態の半導体レーザを示す図である。
【図11】 第3実施形態の半導体レーザを示す図である。
【符号の説明】
10・・・半導体レーザ、20・・・半導体光増幅素子、22・・・活性層、26・・・レンズ、30・・・光ファイバ、32・・・ブラッグ回折格子、34・・・クラッド、36・・・コア、38・・・レンズ、40・・・パッケージ、42・・・床面、44・・・L型キャリア、46・・・チップキャリア、48・・・サブマウント、50・・・窓、52・・・フェルール。
Claims (4)
- 0.8μm帯、0.9μm帯、1.3μm帯又は1.5μm帯のいずれかにおいて発光する半導体レーザであって、
活性領域を挟んで対向する光反射面と光射出面が形成された半導体光増幅素子と、
前記半導体光増幅素子の光射出面と光結合されると共に、所定の反射スペクトルを有するブラッグ回折格子が内部に形成された光導波路と、 を備え、
前記光射出面における光反射率は、前記光射出面と前記ブラッグ回折格子との光結合効率をη、前記ブラッグ回折格子の最大反射率をRfgとした場合に、
Re=η 2 ×Rfg
によって定められる値Reより小さく、
前記ブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅が、前記光反射面と前記ブラッグ回折格子とによって定められる光共振器に係る縦モード間隔の6倍以上11倍以下であることを特徴とする半導体レーザ。 - 前記ブラッグ回折格子の反射スペクトルの半値全幅は50GHz以上1650GHz以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記光導波路は、光ファイバであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ。
- 前記光導波路は、Si、InP、GaAs、石英、LiNbO 3 、LiTaO 3 又はポリイミド樹脂のいずれかの基板に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体レーザ。
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