JP3667172B2 - 高周波ダイオード発振器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミリ波集積回路等の高周波回路に組み込まれるガンダイオード発振器等の高周波ダイオード発振器であって、バラクタダイオード等の周波数変調用ダイオードを有する非放射性誘電体線路型の高周波ダイオード発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバラクタダイオードを電圧制御することにより発振周波数を変調可能なガンダイオード発振器を図3,図4に示す。これらの図において、1は一対の平行平板導体であり、それらの間隔zをz≦λ/2とすることにより外部から誘電体線路7へのノイズの侵入をなくしかつ外部への高周波信号の放射をなくして信号を伝送させる、所謂非放射性誘電体線路(nonradiative dielectric waveguide で、以下、NRDガイドという)を構成する。尚、λは使用周波数において空気中を伝搬する電磁波(高周波信号)の波長である。
【0003】
また、2はガンダイオードを設置(マウント)するための金属ブロック等の金属部材、3はマイクロ波,ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、4は金属部材2の一側面に設置され、ガンダイオード3にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路4aを形成した配線基板、5はチョーク型バイアス供給線路4aとガンダイオード3の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、6は誘電体の基体に共振用の金属ストリップ線路6aを設けた金属ストリップ共振器、7は金属ストリップ共振器6により共振した高周波信号を外部等へ導く誘電体線路である。
【0004】
さらに、誘電体線路7の中途には、周波数変調用ダイオードであって可変容量ダイオードの1種であるバラクタダイオード10を装荷した配線基板8を設置しており、このバラクタダイオード10のバイアス電圧印加方向Bは誘電体線路7での高周波信号の伝搬方向Dに垂直かつ平行平板導体1の主面に平行な方向とされている。このバイアス電圧印加方向Bは、誘電体線路7中を伝搬するLSM01モードの高周波信号の電界方向Eに合致しており、これにより高周波信号とバラクタダイオード10とを電磁結合させ、バイアス電圧を制御することによりバラクタダイオード10の静電容量を変化させることで、高周波信号の発振周波数を制御可能となる。また、9は、バラクタダイオード10と誘電体線路7とのインピーダンス整合をとるための高比誘電率の誘電体板である。なお、図3では、内部を透視するために平行平板導体1の上側を一部切り欠いている。
【0005】
また図4に示すように、配線基板8の一主面には第二のチョーク型バイアス供給線路12が形成され、第二のチョーク型バイアス供給線路12の中途にビームリードタイプのバラクタダイオード10が配置される。第二のチョーク型バイアス供給線路12のバラクタダイオード10との接続部には、電極11が形成されている。
【0006】
そして、ガンダイオード3から発振された高周波信号は、金属ストリップ共振器6を通して誘電体線路7に導出される。次いで、高周波信号の一部はバラクタダイオード10部で反射されてガンダイオード3側へ戻る。この反射信号がバラクタダイオード10の容量とともに変化することにより、発振周波数が変化する。
【0007】
なお、チョーク型バイアス供給線路4aは、幅の広い線路と幅の狭い線路とが交互に形成されており、幅の広い線路の一つの長さと幅の狭い線路の一つの長さとがそれぞれ略λ/4で反復されたチョークを構成しており、また帯状導体5の長さも略λ/4に設定されローパスフィルタの一部として機能している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のガンダイオード発振器においては、高周波信号がバラクタダイオード10を設置した配線基板8を透過する構造となっているため、高周波信号出力が低下するという問題点があった。また、高周波信号の周波数変調幅を調整するには、バラクタダイオード10の挿入位置を変化させる必要があるが、位置調整による周波数変調幅の制御は困難であり、容易に周波数変調幅を制御できなかった。
【0009】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、高出力の高周波信号が得られ、周波数変調幅を容易に制御可能なものとすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波ダイオード発振器は、高周波信号の波長λの2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に金属部材を設置し、該金属部材に高周波信号を発振する高周波ダイオードと、幅の広い線路と幅の狭い線路が交互に形成されたチョーク型バイアス供給線路と、該チョーク型バイアス供給線路および前記高周波ダイオードを直線状に接続する帯状導体とを設けるとともに、前記高周波ダイオードの近傍に前記高周波信号を受信し伝搬させる誘電体線路を配設して成る高周波ダイオード発振器において、前記チョーク型バイアス供給線路の幅の広い線路の長さと幅の狭い線路の長さをそれぞれ略λ/4、前記帯状導体の長さを略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)とし、バイアス電圧印加方向が前記帯状導体に生じる電界に平行な方向とされた周波数変調用ダイオードを前記帯状導体に近接配置して電磁結合させたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、このような構成により、チョーク型バイアス供給線路と帯状導体とが高周波ダイオードの発振周波数を決定する共振器として機能し、その共振器の帯状導体に周波数変調用ダイオードを設けた変調回路基板を近接配置して電磁結合させるとともに、周波数変調用ダイオードに印加するバイアス電圧を変化させることで、発振周波数を制御できる。また、誘電体線路中に周波数変調用ダイオードを配置する必要がないため、損失が小さく高出力が得られるとともに、全体が小型化する。さらに、周波数変調用ダイオードの位置を調整することにより、共振器としても機能する帯状導体と周波数変調用ダイオードとの電磁結合の強さを変えることができ、それにより周波数変調幅を調整し得る。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記周波数変調用ダイオードは、第二のチョーク型バイアス供給線路が主面に形成されかつ該主面が前記平行平板導体に対し垂直に設置される配線基板と、前記第二のチョーク型バイアス供給線路の中途に立設されかつ前記第二のチョーク型バイアス供給線路に連続する接続導体をその主面上に有する補助基板とから成る変調回路基板上に設置されて、前記補助基板の前記接続導体の中途に接続されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、変調回路基板の上面視における形状が凸型となり、位置ずれや捩じれ等が小さくなり設置の安定性がきわめて高くなる。また、周波数変調用ダイオードのバイアス電圧印加方向を高周波信号の電界方向に合致させた状態で、周波数変調用ダイオードを帯状導体に近接配置し、位置調整できるため、容易に周波数変調幅を調整可能となる。
【0014】
また好ましくは、前記周波数変調用ダイオードと前記帯状導体との間隔をλ以下としたことを特徴とする。前記範囲内に調整することで、高周波信号の出力を大きくして周波数変調幅を広げることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電圧制御型の高周波ダイオード発振器について以下に説明する。図1は本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード発振器を、図2は本発明の高周波ダイオード発振器用の周波数変調用ダイオードを有する変調回路基板を示し、これらの図において、1はガンダイオード等の高周波ダイオードが発振する高周波信号の空気中での波長λの2分の1以下の間隔で配置した一対の平行平板導体、2はガンダイオード3を設置(マウント)するための略直方体状の金属ブロック等の金属部材、3はマイクロ波,ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、4は金属部材2の一側面に設置され、ガンダイオード3にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路4aを形成した配線基板、5はチョーク型バイアス供給線路4aとガンダイオード3の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、7はガンダイオード3の近傍に配置され高周波信号を受信し外部へ伝搬させる誘電体線路である。尚、図1では、内部を透視するために平行平板導体1の上側を一部切り欠いている。
【0016】
また、10は補助基板14に設置された周波数変調用ダイオードとしてのバラクタダイオードであり、そのバイアス電圧印加方向は帯状導体5に生じ空間に放射形成される電磁界の電界に平行な方向とされ、即ち電界方向と合致した状態とされ、帯状導体5に近接配置されて電磁結合している。11は、補助基板14に形成されたバラクタダイオード10接続用の電極(接続導体)、12は、配線基板13の主面に形成された第二のチョーク型バイアス供給線路である。20は、バラクタダイオード10を設けた変調回路基板であり、第二のチョーク型バイアス供給線路12が主面に形成されかつ該主面が平行平板導体1に対し垂直に設置される配線基板13と、第二のチョーク型バイアス供給線路12の中途に立設され、かつ第二のチョーク型バイアス供給線路12に連続する接続導体をその主面に有する補助基板14とから成る。
【0017】
本発明において、チョーク型バイアス供給線路4aは、図1に示すように、幅の広い線路の一つの長さと幅の狭い線路の一つの長さとがそれぞれ略λ/4の広狭線路から成り、また帯状導体5の長さは略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)である。この帯状導体5の長さは略3λ/4〜略{(3/4)+3}λが良く、略{(3/4)+3}λを超えると帯状導体5が長くなり、撓み、捩じれ等が生じ易くなり、個々の高周波ダイオード発振器間で発振周波数等の特性のばらつきが大きくなるとともに、種々の共振モードが発生して、所望の発振周波数と異なる周波数の信号が発生するという問題が生じる。より好ましくは、略3λ/4,略{(3/4)+1}λである。
【0018】
また、略{(3/4)+n}λとしたのは、{(3/4)+n}λから多少ずれていても共振は可能だからである。例えば、帯状導体5を{(3/4)+n}λよりも10〜20%程度長く形成しても良く、その場合、帯状導体5の接するチョーク型バイアス供給線路4aの1パターン目の長さλ/4のうち一部が共振に寄与すると考えられるからである。従って、帯状導体5の長さは{(3/4)+n}λ±20%程度の範囲内で変化させることができる。
【0019】
これらチョーク型バイアス供給線路4aおよび帯状導体5の材料は、Cu,Al,Au,Ag,W,Ti,Ni,Cr,Pd,Pt等から成り、特にCu,Agが、電気伝導度が良好であり、損失が小さく、発振出力が大きくなるといった点で好ましい。
【0020】
また、チョーク型バイアス供給線路4aはプリント配線基板等の配線基板4に形成され、帯状導体5の一端をチョーク型バイアス供給線路4aに他端をガンダイオード3の上部導体に半田付けや熱圧着等により接続しているが、帯状導体5も配線基板4に形成して、チョーク型バイアス供給線路4aと一体化しても良い。
【0021】
そして、金属部材2は、ガンダイオード3の電気的な接地(アース)を兼ねているため金属導体であれば良く、その材料は金属(合金を含む)導体であれば特に限定するものではなく、真鍮(黄銅:Cu−Zn合金),Al,Cu,SUS(ステンレス),Ag,Au,Pt等から成る。また金属部材2は、全体が金属から成る金属ブロック,セラミックスやプラスチック等の絶縁基体の表面全体または部分的に金属メッキしたもの,絶縁基体の表面全体または部分的に導電性樹脂材料等をコートしたものであっても良い。
【0022】
また、誘電体線路7の材料は、コーディエライト(2MgO・2Al2 O3 ・5SiO2 ),アルミナ(Al2 O3 )等のセラミックス、その他ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)等の樹脂材料が好ましく、これらは高周波帯域において低損失である。ガンダイオード3と誘電体線路7との間隔は1.0mm程度以下が好ましく、1.0mmを超えると損失を小さくして電磁的結合が可能な最大離間幅を超える。
【0023】
本発明において、好ましくは、周波数変調用ダイオードと前記帯状導体5との間隔をλ以下とする。λよりも大きいと、バラクタダイオード10の容量変化による周波数の変調が困難となり、周波数変調幅が小さくなる。より好ましくは、周波数変調用ダイオードと帯状導体5との間隔は0.1mm〜λであり、0.1mm未満では電極11と帯状導体5とが接触し易くなる。
【0024】
また、バラクタダイオード10の帯状導体5に対する位置は、帯状導体5の中心部から、チョーク型バイアス供給線路4a側へ帯状導体5の長さの1/4程度までの範囲が良い。バラクタダイオード10が、帯状導体5の中心部よりもガンダイオード3側へ近くなると発振出力が低下し、チョーク型バイアス供給線路4a側へ帯状導体5の長さの1/4を超えて配置されると、周波数変調幅が小さくなる。
【0025】
上記実施形態では、バラクタダイオード10のバイアス電圧印加方向が、帯状導体5で生じる電界の方向、即ち平行平板導体1に平行な方向かつ帯状導体5表面に垂直な方向に合致するようにしたが、帯状導体5より生じる電界は帯状導体5から離れるに従い広がり、平行平板導体1に垂直な方向の成分が発生する。従って、平行平板導体1に垂直な方向の電界にバラクタダイオード10のバイアス電圧印加方向を合致させるように設けることもできる。
【0026】
本発明でいう高周波帯域は、数10〜数100GHz帯域のマイクロ波帯域およびミリ波帯域に相当し、例えば30GHz以上、特に50GHz以上、更には70GHz以上の高周波帯域が好適である。
【0027】
また本発明の高周波ダイオードとしては、インパット(impatt:impact ionisation avalanche transit time)・ダイオード,トラパット(trapatt :trapped plasma avalanche triggered transit)・ダイオード,ガンダイオード等のマイクロ波ダイオードおよびミリ波ダイオードが好適に使用される。また、周波数変調用ダイオードとしては、バラクタダイオードが好適である。
【0028】
本発明のNRDガイド用の平行平板導体1は、高い電気伝導度および加工性等の点で、Cu,Al,Fe,SUS(ステンレス),Ag,Au,Pt等の導体板、あるいはセラミックス,樹脂等から成る絶縁板の表面にこれらの導体層を形成したものでもよい。
【0029】
また、本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード発振器は、無線LAN,自動車のミリ波レーダ等に使用されるものであり、例えば自動車の周囲の障害物および他の自動車に対しミリ波を照射し、反射波を元のミリ波と合成してビート信号を得、このビート信号を分析することにより障害物および他の自動車までの距離、それらの移動速度等が測定できる。
【0030】
かくして、本発明は、チョーク型バイアス供給線路と帯状導体とが共振器として機能し、その共振器の帯状導体に周波数変調用ダイオードを近接配置して電磁結合させ、周波数変調用ダイオードに印加するバイアス電圧を変化させることで発振周波数を制御でき、また誘電体線路中に周波数変調用ダイオードを配置する必要がないため、損失が小さく高出力が得られるとともに、全体が小型化する。さらに、周波数変調用ダイオードの位置を調整することにより、共振器としても機能する帯状導体と周波数変調用ダイオードとの電磁結合の強さを変えることができ、それにより周波数変調幅を調整し得る。
【0031】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行っても何等差し支えない。
【0032】
【実施例】
本発明の実施例を以下に説明する。
【0033】
(実施例)
図1のNRDガイド型のガンダイオード発振器を以下のように構成した。一対の平行平板導体1,1として、縦80mm×横80mm×厚さ2mmのAl板を1.8mmの間隔で配置し、それらの間にガンダイオード3をネジ止めした真鍮性の金属部材2とコーディエライトセラミックスから成る誘電体線路7を設置した。この金属部材2は高さが約1.8mmの直方体状であり、その一側面には、発振周波数約77GHzで波長λが約3.9mmの高周波信号(電磁波)を発振するガンダイオード3と、ガンダイオード3にバイアス電圧を入力するチョーク型バイアス供給線路4aが形成された配線基板4と、チョーク型バイアス供給線路4aとガンダイオード3の上部導体とを接続する帯状導体5を設けた。そして、ビームリードタイプのバラクタダイオード10を図2の変調回路基板20に装荷し、補助基板14が平行平板導体1の内側主面に立設された状態で、バラクタダイオード10を帯状導体5の略中心部に対応する位置に近接配置した。
【0034】
前記配線基板4はガラスエポキシ樹脂から成り、金属部材2に接着剤により固定した。また、チョーク型バイアス供給線路4aの幅の広い線路と幅の狭い線路について、幅の広い線路の長さはλ/4=0.70mm(誘電体基板上では短波長化する)、幅の狭い線路の長さはλ/4=0.70mmであり、幅の広い線路部の幅は1.5mm、幅の狭い線路部の幅は0.2mmであり、帯状導体5は厚さ35μm,幅0.6mmの銅箔リボンから成り、一端をチョーク型バイアス供給線路4aに他端をガンダイオード3の上部導体に各々半田付けした。誘電体線路7は、比誘電率5のコーディエライトセラミックスから成り、ガンダイオード3の上部導体から約0.5mmの間隔をあけて配置した。
【0035】
バラクタダイオード10マウント用の補助基板14はガラスエポキシ樹脂から成り、横幅1.86mm,高さ1.2mmの導体パターンの中心部に0.2mmの隙間を設けて、接続導体用の電極11,11を形成し、前記隙間にビームリードタイプのバラクタダイオード10を電極11,11に接続し設置した。この電極11,11は、補助基板14のバラクタダイオード10設置面と反対面側にも延在しており、電極11,11の両端は第二のチョーク型バイアス供給線路12に半田付けにより接続した。また、補助基板14は接着剤で配線基板13に接着しており、配線基板13はガラスエポキシ樹脂から成る。そして、配線基板13の主面には、幅1.5mmの幅の広い線路と幅0.2mmの幅の狭い線路が0.7mm毎に交互に形成されて成る第二のチョーク型バイアス供給線路12が形成され、第二のチョーク型バイアス供給線路12の両端にはエナメル線を接続し、電源部よりバイアス電圧を印加するようにした。
【0036】
そして、帯状導体5と補助基板14の端部との間隔を1.5mm、即ち帯状導体5とバラクタダイオード10との距離が2.43mm、または3.0mm、即ち帯状導体5とバラクタダイオード10との距離が3.93mmでλよりも大きい、とした2種のガンダイオード発振器を作製した。
【0037】
これらのガンダイオード発振器について、バラクタダイオード10のバイアス電圧を種々に変化させた場合の発振周波数、発振出力を測定した結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1より、帯状導体5と補助基板14の端部との間隔が1.5mmの場合には、バイアス電圧を変化させると発振周波数,発振出力を制御できたが、帯状導体5と補助基板14の端部との間隔が3.0mmの場合には、発振周波数,発振出力の制御が殆どできなくなり、従って帯状導体5とバラクタダイオード10との距離をλ以下にすれば良いことが判った。
【0040】
また比較例として、図3,図4の従来タイプのものを、本発明の変調回路基板20以外は上記実施例と同様に作製し、また金属ストリップ共振器6を付加して作製した。そして、バラクタダイオード10のバイアス電圧を0V,5V,10Vに変化させて、発振周波数、発振出力を測定した結果、発振周波数は76.32GHz〜76.33GHzでほぼ一定しており、発振出力はいずれも10.0dBm程度であった。よって、従来タイプでは発振周波数は殆ど変調されず、また発振出力が低下して実用に供するのが困難なものとなった。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、チョーク型バイアス供給線路の幅の広い線路の長さと幅の狭い線路の長さをそれぞれ略λ/4、帯状導体の長さを略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)とし、バイアス電圧印加方向が帯状導体に生じる電界に平行な方向とされた周波数変調用ダイオードを帯状導体に近接配置して電磁結合させたことにより、チョーク型バイアス供給線路と帯状導体とが高周波ダイオードの発振周波数を決定する共振器として機能し、その共振器の帯状導体に周波数変調用ダイオードを設けた変調回路基板を近接配置して電磁結合させ、周波数変調用ダイオードに印加するバイアス電圧を変化させることで、発振周波数を制御できる。また、従来のように誘電体線路中に周波数変調用ダイオードを配置する必要がないため、損失が小さく高出力が得られるとともに全体が小型化する。さらに、周波数変調用ダイオードの位置を調整することにより、帯状導体と周波数変調用ダイオードとの電磁結合の強さを変化させることで周波数変調幅を調整し得る。
【0042】
また本発明は、好ましくは、周波数変調用ダイオードが、第二のチョーク型バイアス供給線路が主面に形成されかつ主面が平行平板導体に対し垂直に設置される配線基板と、第二のチョーク型バイアス供給線路の中途に立設されかつ第二のチョーク型バイアス供給線路に連続する接続導体をその主面上に有する補助基板とから成る変調回路基板上に設置されて、補助基板の接続導体の中途に接続されていることにより、変調回路基板の上面視形状が凸型となり、位置ずれや捩じれ等が小さくなり設置の安定性がきわめて高くなる。また、周波数変調用ダイオードのバイアス電圧印加方向を高周波信号の電界方向に合致させた状態で、周波数変調用ダイオードを帯状導体に近接配置し、位置調整できるため、容易に周波数変調幅を調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード発振器の内部を透視した斜視図である。
【図2】本発明の周波数変調用ダイオードを設けた変調回路基板の斜視図である。
【図3】従来のNRDガイド型のガンダイオード発振器の内部を透視した斜視図である。
【図4】従来のバラクタダイオードを設けた配線基板の斜視図である。
【符号の説明】
1:平行平板導体
2:金属部材
3:ガンダイオード
4:配線基板
4a:チョーク型バイアス供給線路
5:帯状導体
7:誘電体線路
10:バラクタダイオード
12:第二のチョーク型バイアス供給線路
13:配線基板
14:補助基板
20:変調回路基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミリ波集積回路等の高周波回路に組み込まれるガンダイオード発振器等の高周波ダイオード発振器であって、バラクタダイオード等の周波数変調用ダイオードを有する非放射性誘電体線路型の高周波ダイオード発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバラクタダイオードを電圧制御することにより発振周波数を変調可能なガンダイオード発振器を図3,図4に示す。これらの図において、1は一対の平行平板導体であり、それらの間隔zをz≦λ/2とすることにより外部から誘電体線路7へのノイズの侵入をなくしかつ外部への高周波信号の放射をなくして信号を伝送させる、所謂非放射性誘電体線路(nonradiative dielectric waveguide で、以下、NRDガイドという)を構成する。尚、λは使用周波数において空気中を伝搬する電磁波(高周波信号)の波長である。
【0003】
また、2はガンダイオードを設置(マウント)するための金属ブロック等の金属部材、3はマイクロ波,ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、4は金属部材2の一側面に設置され、ガンダイオード3にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路4aを形成した配線基板、5はチョーク型バイアス供給線路4aとガンダイオード3の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、6は誘電体の基体に共振用の金属ストリップ線路6aを設けた金属ストリップ共振器、7は金属ストリップ共振器6により共振した高周波信号を外部等へ導く誘電体線路である。
【0004】
さらに、誘電体線路7の中途には、周波数変調用ダイオードであって可変容量ダイオードの1種であるバラクタダイオード10を装荷した配線基板8を設置しており、このバラクタダイオード10のバイアス電圧印加方向Bは誘電体線路7での高周波信号の伝搬方向Dに垂直かつ平行平板導体1の主面に平行な方向とされている。このバイアス電圧印加方向Bは、誘電体線路7中を伝搬するLSM01モードの高周波信号の電界方向Eに合致しており、これにより高周波信号とバラクタダイオード10とを電磁結合させ、バイアス電圧を制御することによりバラクタダイオード10の静電容量を変化させることで、高周波信号の発振周波数を制御可能となる。また、9は、バラクタダイオード10と誘電体線路7とのインピーダンス整合をとるための高比誘電率の誘電体板である。なお、図3では、内部を透視するために平行平板導体1の上側を一部切り欠いている。
【0005】
また図4に示すように、配線基板8の一主面には第二のチョーク型バイアス供給線路12が形成され、第二のチョーク型バイアス供給線路12の中途にビームリードタイプのバラクタダイオード10が配置される。第二のチョーク型バイアス供給線路12のバラクタダイオード10との接続部には、電極11が形成されている。
【0006】
そして、ガンダイオード3から発振された高周波信号は、金属ストリップ共振器6を通して誘電体線路7に導出される。次いで、高周波信号の一部はバラクタダイオード10部で反射されてガンダイオード3側へ戻る。この反射信号がバラクタダイオード10の容量とともに変化することにより、発振周波数が変化する。
【0007】
なお、チョーク型バイアス供給線路4aは、幅の広い線路と幅の狭い線路とが交互に形成されており、幅の広い線路の一つの長さと幅の狭い線路の一つの長さとがそれぞれ略λ/4で反復されたチョークを構成しており、また帯状導体5の長さも略λ/4に設定されローパスフィルタの一部として機能している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のガンダイオード発振器においては、高周波信号がバラクタダイオード10を設置した配線基板8を透過する構造となっているため、高周波信号出力が低下するという問題点があった。また、高周波信号の周波数変調幅を調整するには、バラクタダイオード10の挿入位置を変化させる必要があるが、位置調整による周波数変調幅の制御は困難であり、容易に周波数変調幅を制御できなかった。
【0009】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、高出力の高周波信号が得られ、周波数変調幅を容易に制御可能なものとすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波ダイオード発振器は、高周波信号の波長λの2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に金属部材を設置し、該金属部材に高周波信号を発振する高周波ダイオードと、幅の広い線路と幅の狭い線路が交互に形成されたチョーク型バイアス供給線路と、該チョーク型バイアス供給線路および前記高周波ダイオードを直線状に接続する帯状導体とを設けるとともに、前記高周波ダイオードの近傍に前記高周波信号を受信し伝搬させる誘電体線路を配設して成る高周波ダイオード発振器において、前記チョーク型バイアス供給線路の幅の広い線路の長さと幅の狭い線路の長さをそれぞれ略λ/4、前記帯状導体の長さを略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)とし、バイアス電圧印加方向が前記帯状導体に生じる電界に平行な方向とされた周波数変調用ダイオードを前記帯状導体に近接配置して電磁結合させたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、このような構成により、チョーク型バイアス供給線路と帯状導体とが高周波ダイオードの発振周波数を決定する共振器として機能し、その共振器の帯状導体に周波数変調用ダイオードを設けた変調回路基板を近接配置して電磁結合させるとともに、周波数変調用ダイオードに印加するバイアス電圧を変化させることで、発振周波数を制御できる。また、誘電体線路中に周波数変調用ダイオードを配置する必要がないため、損失が小さく高出力が得られるとともに、全体が小型化する。さらに、周波数変調用ダイオードの位置を調整することにより、共振器としても機能する帯状導体と周波数変調用ダイオードとの電磁結合の強さを変えることができ、それにより周波数変調幅を調整し得る。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記周波数変調用ダイオードは、第二のチョーク型バイアス供給線路が主面に形成されかつ該主面が前記平行平板導体に対し垂直に設置される配線基板と、前記第二のチョーク型バイアス供給線路の中途に立設されかつ前記第二のチョーク型バイアス供給線路に連続する接続導体をその主面上に有する補助基板とから成る変調回路基板上に設置されて、前記補助基板の前記接続導体の中途に接続されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、変調回路基板の上面視における形状が凸型となり、位置ずれや捩じれ等が小さくなり設置の安定性がきわめて高くなる。また、周波数変調用ダイオードのバイアス電圧印加方向を高周波信号の電界方向に合致させた状態で、周波数変調用ダイオードを帯状導体に近接配置し、位置調整できるため、容易に周波数変調幅を調整可能となる。
【0014】
また好ましくは、前記周波数変調用ダイオードと前記帯状導体との間隔をλ以下としたことを特徴とする。前記範囲内に調整することで、高周波信号の出力を大きくして周波数変調幅を広げることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電圧制御型の高周波ダイオード発振器について以下に説明する。図1は本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード発振器を、図2は本発明の高周波ダイオード発振器用の周波数変調用ダイオードを有する変調回路基板を示し、これらの図において、1はガンダイオード等の高周波ダイオードが発振する高周波信号の空気中での波長λの2分の1以下の間隔で配置した一対の平行平板導体、2はガンダイオード3を設置(マウント)するための略直方体状の金属ブロック等の金属部材、3はマイクロ波,ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、4は金属部材2の一側面に設置され、ガンダイオード3にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路4aを形成した配線基板、5はチョーク型バイアス供給線路4aとガンダイオード3の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、7はガンダイオード3の近傍に配置され高周波信号を受信し外部へ伝搬させる誘電体線路である。尚、図1では、内部を透視するために平行平板導体1の上側を一部切り欠いている。
【0016】
また、10は補助基板14に設置された周波数変調用ダイオードとしてのバラクタダイオードであり、そのバイアス電圧印加方向は帯状導体5に生じ空間に放射形成される電磁界の電界に平行な方向とされ、即ち電界方向と合致した状態とされ、帯状導体5に近接配置されて電磁結合している。11は、補助基板14に形成されたバラクタダイオード10接続用の電極(接続導体)、12は、配線基板13の主面に形成された第二のチョーク型バイアス供給線路である。20は、バラクタダイオード10を設けた変調回路基板であり、第二のチョーク型バイアス供給線路12が主面に形成されかつ該主面が平行平板導体1に対し垂直に設置される配線基板13と、第二のチョーク型バイアス供給線路12の中途に立設され、かつ第二のチョーク型バイアス供給線路12に連続する接続導体をその主面に有する補助基板14とから成る。
【0017】
本発明において、チョーク型バイアス供給線路4aは、図1に示すように、幅の広い線路の一つの長さと幅の狭い線路の一つの長さとがそれぞれ略λ/4の広狭線路から成り、また帯状導体5の長さは略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)である。この帯状導体5の長さは略3λ/4〜略{(3/4)+3}λが良く、略{(3/4)+3}λを超えると帯状導体5が長くなり、撓み、捩じれ等が生じ易くなり、個々の高周波ダイオード発振器間で発振周波数等の特性のばらつきが大きくなるとともに、種々の共振モードが発生して、所望の発振周波数と異なる周波数の信号が発生するという問題が生じる。より好ましくは、略3λ/4,略{(3/4)+1}λである。
【0018】
また、略{(3/4)+n}λとしたのは、{(3/4)+n}λから多少ずれていても共振は可能だからである。例えば、帯状導体5を{(3/4)+n}λよりも10〜20%程度長く形成しても良く、その場合、帯状導体5の接するチョーク型バイアス供給線路4aの1パターン目の長さλ/4のうち一部が共振に寄与すると考えられるからである。従って、帯状導体5の長さは{(3/4)+n}λ±20%程度の範囲内で変化させることができる。
【0019】
これらチョーク型バイアス供給線路4aおよび帯状導体5の材料は、Cu,Al,Au,Ag,W,Ti,Ni,Cr,Pd,Pt等から成り、特にCu,Agが、電気伝導度が良好であり、損失が小さく、発振出力が大きくなるといった点で好ましい。
【0020】
また、チョーク型バイアス供給線路4aはプリント配線基板等の配線基板4に形成され、帯状導体5の一端をチョーク型バイアス供給線路4aに他端をガンダイオード3の上部導体に半田付けや熱圧着等により接続しているが、帯状導体5も配線基板4に形成して、チョーク型バイアス供給線路4aと一体化しても良い。
【0021】
そして、金属部材2は、ガンダイオード3の電気的な接地(アース)を兼ねているため金属導体であれば良く、その材料は金属(合金を含む)導体であれば特に限定するものではなく、真鍮(黄銅:Cu−Zn合金),Al,Cu,SUS(ステンレス),Ag,Au,Pt等から成る。また金属部材2は、全体が金属から成る金属ブロック,セラミックスやプラスチック等の絶縁基体の表面全体または部分的に金属メッキしたもの,絶縁基体の表面全体または部分的に導電性樹脂材料等をコートしたものであっても良い。
【0022】
また、誘電体線路7の材料は、コーディエライト(2MgO・2Al2 O3 ・5SiO2 ),アルミナ(Al2 O3 )等のセラミックス、その他ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)等の樹脂材料が好ましく、これらは高周波帯域において低損失である。ガンダイオード3と誘電体線路7との間隔は1.0mm程度以下が好ましく、1.0mmを超えると損失を小さくして電磁的結合が可能な最大離間幅を超える。
【0023】
本発明において、好ましくは、周波数変調用ダイオードと前記帯状導体5との間隔をλ以下とする。λよりも大きいと、バラクタダイオード10の容量変化による周波数の変調が困難となり、周波数変調幅が小さくなる。より好ましくは、周波数変調用ダイオードと帯状導体5との間隔は0.1mm〜λであり、0.1mm未満では電極11と帯状導体5とが接触し易くなる。
【0024】
また、バラクタダイオード10の帯状導体5に対する位置は、帯状導体5の中心部から、チョーク型バイアス供給線路4a側へ帯状導体5の長さの1/4程度までの範囲が良い。バラクタダイオード10が、帯状導体5の中心部よりもガンダイオード3側へ近くなると発振出力が低下し、チョーク型バイアス供給線路4a側へ帯状導体5の長さの1/4を超えて配置されると、周波数変調幅が小さくなる。
【0025】
上記実施形態では、バラクタダイオード10のバイアス電圧印加方向が、帯状導体5で生じる電界の方向、即ち平行平板導体1に平行な方向かつ帯状導体5表面に垂直な方向に合致するようにしたが、帯状導体5より生じる電界は帯状導体5から離れるに従い広がり、平行平板導体1に垂直な方向の成分が発生する。従って、平行平板導体1に垂直な方向の電界にバラクタダイオード10のバイアス電圧印加方向を合致させるように設けることもできる。
【0026】
本発明でいう高周波帯域は、数10〜数100GHz帯域のマイクロ波帯域およびミリ波帯域に相当し、例えば30GHz以上、特に50GHz以上、更には70GHz以上の高周波帯域が好適である。
【0027】
また本発明の高周波ダイオードとしては、インパット(impatt:impact ionisation avalanche transit time)・ダイオード,トラパット(trapatt :trapped plasma avalanche triggered transit)・ダイオード,ガンダイオード等のマイクロ波ダイオードおよびミリ波ダイオードが好適に使用される。また、周波数変調用ダイオードとしては、バラクタダイオードが好適である。
【0028】
本発明のNRDガイド用の平行平板導体1は、高い電気伝導度および加工性等の点で、Cu,Al,Fe,SUS(ステンレス),Ag,Au,Pt等の導体板、あるいはセラミックス,樹脂等から成る絶縁板の表面にこれらの導体層を形成したものでもよい。
【0029】
また、本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード発振器は、無線LAN,自動車のミリ波レーダ等に使用されるものであり、例えば自動車の周囲の障害物および他の自動車に対しミリ波を照射し、反射波を元のミリ波と合成してビート信号を得、このビート信号を分析することにより障害物および他の自動車までの距離、それらの移動速度等が測定できる。
【0030】
かくして、本発明は、チョーク型バイアス供給線路と帯状導体とが共振器として機能し、その共振器の帯状導体に周波数変調用ダイオードを近接配置して電磁結合させ、周波数変調用ダイオードに印加するバイアス電圧を変化させることで発振周波数を制御でき、また誘電体線路中に周波数変調用ダイオードを配置する必要がないため、損失が小さく高出力が得られるとともに、全体が小型化する。さらに、周波数変調用ダイオードの位置を調整することにより、共振器としても機能する帯状導体と周波数変調用ダイオードとの電磁結合の強さを変えることができ、それにより周波数変調幅を調整し得る。
【0031】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行っても何等差し支えない。
【0032】
【実施例】
本発明の実施例を以下に説明する。
【0033】
(実施例)
図1のNRDガイド型のガンダイオード発振器を以下のように構成した。一対の平行平板導体1,1として、縦80mm×横80mm×厚さ2mmのAl板を1.8mmの間隔で配置し、それらの間にガンダイオード3をネジ止めした真鍮性の金属部材2とコーディエライトセラミックスから成る誘電体線路7を設置した。この金属部材2は高さが約1.8mmの直方体状であり、その一側面には、発振周波数約77GHzで波長λが約3.9mmの高周波信号(電磁波)を発振するガンダイオード3と、ガンダイオード3にバイアス電圧を入力するチョーク型バイアス供給線路4aが形成された配線基板4と、チョーク型バイアス供給線路4aとガンダイオード3の上部導体とを接続する帯状導体5を設けた。そして、ビームリードタイプのバラクタダイオード10を図2の変調回路基板20に装荷し、補助基板14が平行平板導体1の内側主面に立設された状態で、バラクタダイオード10を帯状導体5の略中心部に対応する位置に近接配置した。
【0034】
前記配線基板4はガラスエポキシ樹脂から成り、金属部材2に接着剤により固定した。また、チョーク型バイアス供給線路4aの幅の広い線路と幅の狭い線路について、幅の広い線路の長さはλ/4=0.70mm(誘電体基板上では短波長化する)、幅の狭い線路の長さはλ/4=0.70mmであり、幅の広い線路部の幅は1.5mm、幅の狭い線路部の幅は0.2mmであり、帯状導体5は厚さ35μm,幅0.6mmの銅箔リボンから成り、一端をチョーク型バイアス供給線路4aに他端をガンダイオード3の上部導体に各々半田付けした。誘電体線路7は、比誘電率5のコーディエライトセラミックスから成り、ガンダイオード3の上部導体から約0.5mmの間隔をあけて配置した。
【0035】
バラクタダイオード10マウント用の補助基板14はガラスエポキシ樹脂から成り、横幅1.86mm,高さ1.2mmの導体パターンの中心部に0.2mmの隙間を設けて、接続導体用の電極11,11を形成し、前記隙間にビームリードタイプのバラクタダイオード10を電極11,11に接続し設置した。この電極11,11は、補助基板14のバラクタダイオード10設置面と反対面側にも延在しており、電極11,11の両端は第二のチョーク型バイアス供給線路12に半田付けにより接続した。また、補助基板14は接着剤で配線基板13に接着しており、配線基板13はガラスエポキシ樹脂から成る。そして、配線基板13の主面には、幅1.5mmの幅の広い線路と幅0.2mmの幅の狭い線路が0.7mm毎に交互に形成されて成る第二のチョーク型バイアス供給線路12が形成され、第二のチョーク型バイアス供給線路12の両端にはエナメル線を接続し、電源部よりバイアス電圧を印加するようにした。
【0036】
そして、帯状導体5と補助基板14の端部との間隔を1.5mm、即ち帯状導体5とバラクタダイオード10との距離が2.43mm、または3.0mm、即ち帯状導体5とバラクタダイオード10との距離が3.93mmでλよりも大きい、とした2種のガンダイオード発振器を作製した。
【0037】
これらのガンダイオード発振器について、バラクタダイオード10のバイアス電圧を種々に変化させた場合の発振周波数、発振出力を測定した結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1より、帯状導体5と補助基板14の端部との間隔が1.5mmの場合には、バイアス電圧を変化させると発振周波数,発振出力を制御できたが、帯状導体5と補助基板14の端部との間隔が3.0mmの場合には、発振周波数,発振出力の制御が殆どできなくなり、従って帯状導体5とバラクタダイオード10との距離をλ以下にすれば良いことが判った。
【0040】
また比較例として、図3,図4の従来タイプのものを、本発明の変調回路基板20以外は上記実施例と同様に作製し、また金属ストリップ共振器6を付加して作製した。そして、バラクタダイオード10のバイアス電圧を0V,5V,10Vに変化させて、発振周波数、発振出力を測定した結果、発振周波数は76.32GHz〜76.33GHzでほぼ一定しており、発振出力はいずれも10.0dBm程度であった。よって、従来タイプでは発振周波数は殆ど変調されず、また発振出力が低下して実用に供するのが困難なものとなった。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、チョーク型バイアス供給線路の幅の広い線路の長さと幅の狭い線路の長さをそれぞれ略λ/4、帯状導体の長さを略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)とし、バイアス電圧印加方向が帯状導体に生じる電界に平行な方向とされた周波数変調用ダイオードを帯状導体に近接配置して電磁結合させたことにより、チョーク型バイアス供給線路と帯状導体とが高周波ダイオードの発振周波数を決定する共振器として機能し、その共振器の帯状導体に周波数変調用ダイオードを設けた変調回路基板を近接配置して電磁結合させ、周波数変調用ダイオードに印加するバイアス電圧を変化させることで、発振周波数を制御できる。また、従来のように誘電体線路中に周波数変調用ダイオードを配置する必要がないため、損失が小さく高出力が得られるとともに全体が小型化する。さらに、周波数変調用ダイオードの位置を調整することにより、帯状導体と周波数変調用ダイオードとの電磁結合の強さを変化させることで周波数変調幅を調整し得る。
【0042】
また本発明は、好ましくは、周波数変調用ダイオードが、第二のチョーク型バイアス供給線路が主面に形成されかつ主面が平行平板導体に対し垂直に設置される配線基板と、第二のチョーク型バイアス供給線路の中途に立設されかつ第二のチョーク型バイアス供給線路に連続する接続導体をその主面上に有する補助基板とから成る変調回路基板上に設置されて、補助基板の接続導体の中途に接続されていることにより、変調回路基板の上面視形状が凸型となり、位置ずれや捩じれ等が小さくなり設置の安定性がきわめて高くなる。また、周波数変調用ダイオードのバイアス電圧印加方向を高周波信号の電界方向に合致させた状態で、周波数変調用ダイオードを帯状導体に近接配置し、位置調整できるため、容易に周波数変調幅を調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード発振器の内部を透視した斜視図である。
【図2】本発明の周波数変調用ダイオードを設けた変調回路基板の斜視図である。
【図3】従来のNRDガイド型のガンダイオード発振器の内部を透視した斜視図である。
【図4】従来のバラクタダイオードを設けた配線基板の斜視図である。
【符号の説明】
1:平行平板導体
2:金属部材
3:ガンダイオード
4:配線基板
4a:チョーク型バイアス供給線路
5:帯状導体
7:誘電体線路
10:バラクタダイオード
12:第二のチョーク型バイアス供給線路
13:配線基板
14:補助基板
20:変調回路基板
Claims (3)
- 高周波信号の波長λの2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に金属部材を設置し、該金属部材に高周波信号を発振する高周波ダイオードと、幅の広い線路と幅の狭い線路が交互に形成されたチョーク型バイアス供給線路と、該チョーク型バイアス供給線路および前記高周波ダイオードを直線状に接続する帯状導体とを設けるとともに、前記高周波ダイオードの近傍に前記高周波信号を受信し伝搬させる誘電体線路を配設して成る高周波ダイオード発振器において、前記チョーク型バイアス供給線路の幅の広い線路の長さと幅の狭い線路の長さをそれぞれ略λ/4、前記帯状導体の長さを略{(3/4)+n}λ(nは0以上の整数)とし、バイアス電圧印加方向が前記帯状導体に生じる電界に平行な方向とされた周波数変調用ダイオードを前記帯状導体に近接配置して電磁結合させたことを特徴とする高周波ダイオード発振器。
- 前記周波数変調用ダイオードは、第二のチョーク型バイアス供給線路が主面に形成されかつ該主面が前記平行平板導体に対し垂直に設置される配線基板と、前記第二のチョーク型バイアス供給線路の中途に立設されかつ前記第二のチョーク型バイアス供給線路に連続する接続導体をその主面上に有する補助基板とから成る変調回路基板上に設置されて、前記補助基板の前記接続導体の中途に接続されていることを特徴とする請求項1記載の高周波ダイオード発振器。
- 前記周波数変調用ダイオードと前記帯状導体との間隔をλ以下としたことを特徴とする請求項1または2記載の高周波ダイオード発振器。
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