JP3667106B2 - 光記録媒体およびその製造用原盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に情報の記録再生を行う光記録媒体とその製造用原盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、社会の情報化が進み、多種多様の情報を効率よく扱う手段として、光ディスク、光カード、光テープ等の光学的に情報の記録または再生を行う情報記録媒体及び情報記録再生装置が多く提案されている。光記録媒体の特徴としては、記録密度が高く、且つ非接触で記録再生が可能なために、寿命が長い等の優れた点がある。
【0003】
光記録媒体の記録方法には、結晶−非結晶の相変化に伴う反射率の変化、ピット(穴)の有無の様な表面形状の変化に伴う反射光強度の変化、磁気光学効果による偏光面の変化を反射光強度変化を変換して検出する方法が知られている。
【0004】
光記録媒体の記録面には、予めオートトラッキングを行うためのトラッキングトラック(以下、グルーブと称す)、及びセクタ又はトラック番号等のプリフォーマット情報のピット列(以下、プリピットと称す)からなるプリフォーマットが形成されている。
【0005】
光記録媒体のグルーブから得られるトラック横断信号及びプリピットから得られるプリピット信号(以下、両者をまとめてプリフォーマット信号と称す)の大きさは、外乱(例えば振動、媒体表面のほこり、ゴミ、傷)に対する抗力に比例するため、信号量が大きくなるようにプリフォーマットの形状が工夫されている。
【0006】
プリフォーマットの形状としては、例えば特公平07−64141号公報、特公平3−59493号公報及び特許第2508788号に開示されている様に、プリフォーマットが平均面組さ0.05μm〜lμmである光散乱性の粗面形状からなるものが知られている。
【0007】
光散乱性の粗面形状からなるプリフォーマットの場合、グルーブ及びプリピットの内部全面が光散乱性を示すため、大きなプリフォーマット信号が得られる利点がある。
【0008】
上記粗面状プリフォーマットを有する光記録媒体を製造するための原盤の作製方法は、半導体製造用のフォトリソグラフィー技術(以下、フォトリソ)を用いて、ガラス基板上のフォトレジストに所定のパターニングを行って作製する方法が公知であり、具体的には、
▲1▼ 平滑なガラス基板上にフォトレジストを所定の厚みに形成する工程、フォトレジストを研磨等で粗面化されたガラスで露光し表面全体が粗面なフォトレジストの潜像を得る工程、通常のパターニング露光を行いガラス基板上にプリフォーマットの潜像を形成する工程、形成された潜像を現像する工程、から作製する方法、
▲2▼ 予め研磨等で粗面化されたガラス基板にフォトレジストを成膜する工程、パターニング露光を行う工程、潜像を現像する工程、から作製する方法、
▲3▼ ドライエッチング耐性の低い材料を使用しフォトリソ工程でプリフォーマットを形成した後、ドライエッチングでプリフォーマットを粗面化する方法、
等が知られている。
【0009】
上記粗面状のプリフォーマットを備えた原盤は、通常のフォトリソ工程に粗面化ガラス製作工程、粗面化露光工程、またはドライエッチング工程のどれか一つ又は二つの工程を加えることで作製できるため安価に製造することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の粗面化されたプリフォーマット原盤は安価に作製でき、その原盤から作製される光記録媒体は大きなトラック横断信号及びプリピット信号が得られる反面、それらの信号の変動が大きいという問題があった。
【0011】
上記原因を鋭意検討した結果、以下のことがわかった。
粗面プリフォーマットを形成するために必要な粗面化されたガラスを作製する方法によれば、粗面化ガラスは#4000程度の研磨剤により研磨またはサンドブラストで加工することにより得られるが、研磨剤の粒度分布が大きく、さらに機械加工で行うため加工精度が悪いという原因でこれらの方法で作製された粗面の平均面粗さRaに対する最大面粗さRzの大きさが非常に大きくなること、またドライエッチングによる方法によれば、ドライエッチングの際のエッチングガスの局在的な濃度変動および高周波電力密度の局在的な密度変動によりエッチングされた粗面の平均面粗さに対する最大面粗さの大きさが非常に大きくなることが判明した。
【0012】
その結果、粗面の平均面粗さに対する最大面粗さの大きさが大きいために最終的に得られる光記録媒体のプリフォーマット信号の変動が大きくなるということがわかった。
【0013】
本発明は、この様な従来技術の欠点を改善するためになされたものであり、大きなプリフォーマット信号を有し、かつその信号の変動の少ないプリフォーマットを有する光記録媒体及びその光記録媒体の製造用の原盤を安価に提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる第1の発明は、光散乱性の粗面状のプリフォーマットを有する光記録媒体において、該粗面の平均面粗さRaが0.02以上0.5μm以下であり、かつ最大面粗さRzが、平均面粗さRaの5倍以下の光記録媒体である。
【0015】
光散乱性の粗面状のプリフォーマットの最大面粗さRzが、平均面組さRaの4倍以下にすることによってプリフォーマット信号の変動を小さく抑えることができる。
【0016】
また、本発明に係わる第2の発明は、光散乱性の粗面状のプリフォーマットを有する光記録媒体製造用原盤において、粗面状のプリフォーマットがフォトレジストと0.008μm以上0.2μm以下の平均粒径で最大粒径が0.5μm以下である粒子との混合物で形成されている第1の発明の光記録媒体の製造用原盤である。
【0017】
上記材料からなる原盤において、粗面の形成が微細な粒子を用いてプリフォーマットパターンを形成することができるため、粒子の粒度分布を制御することで極めて容易に粗面の面粗さの平均値と最大値との差を抑えることができ、変動の少ないプリフォーマット信号が得られる。また本原盤は、通常のフォトリソ工程に特殊な工程を付加することなく、フォトレジストに上記粒子を添加することで作製できるため非常に安価にまた容易に製造することができる。
【0018】
本発明においては、第2の発明のプリフォーマットのフォトレジストが化学増幅型のフォトレジストで形成された光記録媒体の製造用原盤が好ましい。
【0019】
通常のフォトレジストの場合には、光誘起反応が逐次的に起こり量子効率は1以下であるためフォトレジストに上記粒子を混合することにより、レジスト膜の透過率が小さくなり、膜の下部の感光剤が感光しずらくなる。しかし、化学増幅型フォトレジストの場合には連鎖反応もしくは触媒反応が起こり、量子効率は1以上を得られるためにフォトレジストに粒子を入れて透過率が小さくなっても自己増殖的に感光が起こり解像度の良いパターニングが可能となるという利点がある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光記録媒体用原盤について図面を参照して説明する。
図1は本発明の光記録媒体の一実施形態である光カードを示す概略図であり、図1(a)は平面概略図、図1(b)は図1(a)のプリフォーマットの部分拡大図である。
【0021】
同図において、粗面状のプリフォーマット2は、粗面の平均面粗さRaが0.02μm以上0.5μm以下、好ましくは0.05μm以上0.3μm以下であり、かつ最大面粗さRzが、平均面粗さRaの5倍以下、好ましくは3倍以下で形成されたプリフォーマットからなる。
【0022】
この光記録媒体のプリフォーマットの粗面形成は、光媒体製造用原盤のプリフォーマットを粗面化ガラスを用いて作製し、その原盤から光記録媒体を製造する従来技術で示した公知の方法で製造できるが、製造工程条件を極端に精度よく制御することが必要となる。
【0023】
そのため、本発明の光記録媒体を作製するために、図2に示す本発明の原盤を使用し光記録媒体を製造することにより安価にかつ容易に光記録媒体の製造ができる。
【0024】
図2は本発明の光記録媒体製造用原盤の一実施形態である光カード製造用原盤を示す概略図であり、図2(a)は平面概略図、図2(b)は図2(a)のAA線断面のプリフォーマットの部分拡大図である。
【0025】
図2(b)に示す様に、本発明の光記録媒体製造用原盤(以下、原盤と記す)3は、原盤用基板5と、その上にフォトレジストと0.008μm以上0.2μm以下、好ましくは0.05μm以上0.1μm以下の平均粒径であり、かつ最大粒径が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下である粒子とが混合された材料からなる粗面状プリフォーマット6から構成されている。
【0026】
上記材料からなる原盤の粗面状プリフォーマットの平均面粗さRaは、材料(分散媒;本発明ではフォトレジスト)に含まれる粒子が単分散している場合は、粒子の半径に等しくなること。しかし、実際の単分散中の粒子は、十分に分散させても、1〜10個程度の粒子が凝集した形で存在するため、Raは凝集粒子の平均粒径、すなわち粒子5個分の平均粒径の1/2となる。そのため、Raが0.02μm以上0.5μm以下とするには、単一粒子の平均粒径(直径)は0.08μm以上0.2μm以下であることが必要である。また、原盤の平均面粗さRaに対する最大面粗さRzは、凝集粒子の最大凝集粒子数10に単一粒径を乗じた大きさの半分になることから、粗面状プリフォーマットのRzがRaの5倍以下とするには、凝集粒子のRzは、2.5μm以下であることから、単一粒子の最大粒径は0.5μm以下であることが必要である。
【0027】
上記粗面の面粗さRa、Rzの測定は、ナノメータ三次元測定機(オリンパス株式会社製)で行い、粒子の粒径は、サブミクロン粒子アナライザーCOULTER N4 PLUS(コールター株式会社)によって測定した。
【0028】
本発明の原盤を作製する方法を以下に述べる。
まず、原盤用基板3の材料は、通常使用される原盤用基板材料が使用でき、寸法精度及び機械的強度が優れている材料が使用でき、例えば、ガラス及び金属等が使用できる。
【0029】
ガラスとしては、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラスまたは石英ガラス等が使用でき、金属としては、ステンレス鋼、超鋼合金及びニッケルクロム鋼等が使用できる。
【0030】
上記原盤用基板の上にフォトレジストと0.008μm以上0.2μm以下の平均粒径で最大粒径が0.5μm以下である粒子との混合物を均一な膜に形成する。膜の厚みは公知の原盤のプリフォーマットパターンの厚みと同じで0.01μm〜5μm、好ましくは0.05μm〜2μm程度が好ましい。
【0031】
使用できるフォトレジストとしては、汎用のポジ型フォトレジスト及びネガ型フォトレジストが使用できる。ポジ型フォトレジストの場合、例えば、ノボラック系フェノール樹脂と感光剤としてナフトキノンジアジドが一般的であり、市販のフォトレジストとして、ヘキスト社のAZシリーズ、シプレイ社のSPRシリーズ及び東京応化工業社のOFPRシリーズ等がある。またネガ型フォトレジストの場合は、環化したシス−1,4−ポリイソプレンと感光剤としてビスアジドが一般的であり、市販のフォトレジストとして、コダック社のKTFRシリーズ及び東京応化工業社のOMRシリーズ等がある。
【0032】
また、化学増幅型レジストを用いれば、上述した理由によって解像度の良いパターンが得られる。市販の化学増幅型フォトレジストとして、シプレイ社のUVシリーズ及び東京応化工業社のTDURシリーズ等がある。
上記フォトレジストに平均粒径0.008〜0.2μmで最大粒径が0.5μm以下である粒子を混合させる。
【0033】
このようにして作製された原盤は、粗面プリフォーマットの平均面粗さRaに対し最大面組さRzが、Raの5倍以下で得られ、最終的に製造される光記録媒体のプリフォーマット信号の変動を小さくすることができる。
【0034】
上記微粒子を作製する方法としては、CVDによる気相反応で作製する方法、熱プラズマにより作製する方法、及び金属アルコキシドを加水分解して作製する方法(一般に、ゾルゲル法と呼ばれている)等が知られている。
【0035】
本発明で使用できる微粒子としては、レジストと化学反応せず、機械的強度の大きい材料が好ましく、例えば酸化チタン、窒化チタン、酸化珪素及び窒化珪素等のセラミックス及びニッケル、コバルト及び鉄等の金属が挙げられる。
【0036】
通常これらの粒子は、粒子単体でフォトレジストに混合させると著しい凝集が起こり混合できないため、予め溶媒に分散させた粒子をフォトレジストに混合させることによって良好な分散状態が得られる。そのためゾルゲル法で作製されたセラミック微粒子が、製造工程上容易に溶媒に分散させることができ適している。
【0037】
フォトレジストの樹脂成分に対する微粒子の割合は、1〜80重量%の範囲、好ましくは3〜40重量%の範囲であれば、膜強度が得られかつプリフォーマット信号が十分得られる粗面を形成するため好ましい。
【0038】
微粒子を含有するフォトレジストを原盤用基板上に成膜する方法は、公知の塗布方法、例えば、スピンナー法、ロールコート法及びスプレー法で形成できる。
上記微粒子含有フォトレジストにプリフォーマットパターンを露光し、現像することでパターニングされた原盤が得られる。
【0039】
露光及び現像は公知の方法、例えば露光は、コンタクト露光方法、ステッパーによる方法及びレーザーカッティングマシンによる方法、現像は、ディッピングによる方法、及びスピン現像による方法等が使用できる。
また必要によりプリベーク工程、PEB工程、ポストベーク工程を付加することもできる。
【0040】
このようにして得られた原盤から、公知な方法、すなわち導電化膜形成工程、電鋳膜形成工程、電鋳膜剥離工程を経てスタンパーを得ることができる。このスタンパーのパターンをインジェクション成形、2P成形、注型成形、押し出し成形等の樹脂成形で光記録媒体のレーザ光照射側の透明基板に転写することでグルーブが形成された光記録媒体用透明基板が得られる。
【0041】
その上に記録層を成膜し接着剤を介して保護基板を接着し、本発明の光記録媒体を得ることができる。この方法は、例えば、オプトロニクス社刊“続・わかりやすい光ディスク”に示されている。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
【0043】
実施例1
以下のようにして、図2に示す光カード用原盤を作製した。
まず、5インチ角の平均粗さRaが100Å以下(0.01μm以下)の石英ガラス基板に上にg線用ポジ型フォトレジストTHMR−iP3100(東京応化工業株式会社製;ノポラック樹脂40%とメチル−3−メトキシプロピオネート70%の混合物)とシリカゾル(日産化学株式会社製;イソプロピルアルコール70%と平均粒径0.1μmで最大粒径0.2μmの酸化珪素30%の混合物)を5対1の割合で混合し撹拌した溶液をスピンコーティングで厚さ0.4μmに成膜した。
【0044】
次に、ホットプレート上で90℃、90秒のプリベークを行った後、所定のパターニングがなされているフォトマスク(HOYA株式会社製)を使用し、露光装置(PLA−500F、キヤノン株式会社製)、光源(水銀キセノンショートアークランプAHXD、(株)オーク製作所製)を用いて、コンタクト露光方式によるパターニングを行った。
【0045】
露光量は、i線(365nm)で30mJ/cm2 で行い、マスクパターン寸法は、グルーブ幅2.3μm、記録トラック幅9.7μm、ピッチ12μmとした。
次に、現像液NMD−3(東京応化工業株式会社製)で現像した。現像条件は、23℃、60秒、ディッピング方式で行った。
次に、クリーンオーブンにて130℃、20分のポストベークを行い、原盤とした。
【0046】
実施例2
上記実施例1において、フォトレジストに混合する微粒子の平均粒径を0.01μm、最大粒径0.05μmとした以外は実施例1と同じ方法で原盤を作製した。
【0047】
実施例3
上記実施例1において、フォトレジストに混合する微粒子の平均粒径を0.18μm、最大粒径0.3μmとし、スピンコートでの膜厚をlμmとした以外は実施例1と同じ方法で原盤を作製した。
【0048】
実施例4
上記実施例1において、フォトレジストとして化学増幅型のフォトレジストUV2HS(シプレー社製)を使用した以外は実施例1と同じ方法で原盤を作製した。
【0049】
比較例1
上記実施例1において、フォトレジストに混合する微粒子の平均粒径を0.006μm、最大粒径0.02μmとした以外は実施例1と同じ方法で原盤を作製した。
【0050】
比較例2
上記実施例1において、フォトレジストに混合する微粒子の平均粒径を0.25μm、最大粒径0.60μmとし、スピンコートでの膜厚を2.0μmとした以外は実施例1と同じ方法で原盤を作製した。
【0051】
比較例3
まず、5インチ角の青板ガラス基板を、#4000の研磨剤を用いてガラス研磨装置で研磨を行い粗面化ガラスを作製した。その上にg線用ポジ型フォトレジストTHMR−iP3100(東京応化工業株式会社製)をスピンコーティングで厚さ0.4μmに成膜した。以下、実施例1と同じ工程を経て原盤を作製した。
【0052】
上記実施例1〜4、比較例1〜3の7種類の原盤に対応して以下のようにそれぞれ7種類ずつのスタンパーと光カードを作製した。
まず、原盤に、スパッター装置により、ニッケル薄膜を2000Åの厚みで形成した。次に、スパッターによるニッケル薄膜を電極として、電鋳装置により、ニッケルの電鋳膜を300μmの厚みに形成した。その後、電鋳膜を原盤から剥離してスタンパーとした。
【0053】
次に、厚さ0.4mm、縦54mm、横85mmのポリカーボネート基板(パンライト;帝人化成株式会社)の上にフォトポリマー樹脂を介してスタンパーを重ね合わせてUV光を照射し、透明基板にスタンパーのパターンを転写した。
【0054】
次に、このプリフォーマットパターン上に、ポリメチン系色素(IR−820:75wt%とIRG−011(下記に構造式を示す):25wt%の混合体;日本化薬株式会社製)の濃度3.0wt%のジアセトンアルコール溶液をグラビアコートし、乾燥した後、厚さ900Åの記録層を形成した。
【0055】
次に、厚さ0.3mm、縦54mm、横85mmのポリカーボネート製の基板(パンライト;帝人化成株式会社製)に可視情報を印刷した保護基板を用意した。
次に、厚さ50μmのホットメルトタイプのドライフィルムの接着剤(商品名:O−4121;クラボー社製)を介して、光記録層の形成された透明基板と保護基板を120℃でホットプレスして貼り合わせた。
【0056】
最後に透明基板の記録層と逆の面にハードコート剤(商品名:ユニディック17−824−9;大日本インキ化学工業株式会社製)をスピンコートし、UV光で硬化させ、厚さ10μmのハードコート層を形成し、光カードを製造した。
【0057】
【化1】
【0058】
上述のように作製された7種類の光カードのプリフォーマットパターンのグルーブ線幅を原子間力顕微鏡(東陽テクニカ株式会社製)で測定した。測定点は、パターンの4角と中央の5点である。グルーブ線幅の平均値と最大最小の測定結果を表1に示す。
【0059】
また、上記光カードについてそれぞれグルーブを記録再生用のレーザービーム(ビーム径2.5μm)が横断した時の信号のコントラスト(トラック横断信号のコントラスト)を測定した。コントラストの平均値と最大最小の幅を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
(注)i線はi線レジスト、化学増幅は化学増幅型のレジストを示す。
【0062】
また、上記プリフォーマットの粗面の平均面粗さRa、最大面粗さRzの測定を、ナノメータ三次元測定機(オリンパス株式会社製)で行った。その結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
ISO/1ECll694によれば、グルーブ線幅の規格は、2.3±0.3μm、トラック横断コントラストの規格は、0.3以上と定められている。
上記表からわかるように、微粒子の粒径が0.006μm以下のサンプル(比較例1)では、グルーブの線幅の最大最小の幅は規格を満足するが、トラック横断信号コントラストが小さくなり規格を満足できない。また、微粒子の粒径が0.25μmサンプル(比較例2)では、トラック横断信号コントラストは規格を満足するがグルーブの線幅の最大最小の幅は規格を満足できないことがわかり、微粒子の粒径は、0.008〜0.2μmの範囲であることが必要であることがわかった。
【0065】
また、実施例1と実施例4とを比較すると、化学増幅型のフォトレジストを使用した実施例4は、線幅の寸法精度が向上し、トラック横断コントラストの最大最小幅も減少し安定したプリフォーマット信号が得られた。
【0066】
また、実施例3と公知の粗面のプリフォーマット原盤である比較例3を比較すると、線幅精度は同じであるが、本発明の原盤から作製された光カードのトラック横断信号コントラストは、平均値が大きく変動が大きいことがわかる。この理由は、比較例3の光カードのプリフォーマットの粗面を測定したところ、平均面粗さRa=0.2μm、最大面粗さRz=1.8μmであり、平均面粗さに対し最大面粗さは9倍であることがわかり、そのため比較例3の光カードのトラック横断信号コントラストが平均的に小さく、かつ変動が大きくなったものと思われる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の原盤を用いた本発明の光記録媒体は、大きなプリフォーマット信号を有し、かつプリフォーマット信号の変動が小さいという効果が得られた。
【0068】
さらに、本発明の原盤は、公知の粗面化プリフォーマットを有する原盤を製造する方法に比べ特別な工程を付加することなく製造することができるため、安価にかつ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一実施形態である光カードを示す概略図である。
【図2】本発明の光記録媒体製造用原盤の一実施形態である光カード製造用原盤を示す概略図である。
【符号の説明】
1 光記録媒体
2 粗面状プリフォーマット
3 原盤
4,6 原盤の粗面状プリフォーマット
5 原盤用基板
Claims (3)
- 光散乱性の粗面状のプリフォーマットを有する光記録媒体において、該粗面の平均面粗さRaが0.02μm以上0.5μm以下であり、かつ最大面粗さRzが平均面粗さRaの5倍以下であることを特徴とする光記録媒体。
- 光散乱性の粗面状のプリフォーマットを有する光記録媒体製造用原盤において、粗面状のプリフォーマットがフォトレジストと0.008μm以上0.2μm以下の平均粒径であり、かつ最大粒径が0.5μm以下である粒子との混合物で形成されていることを特徴とする光記録媒体製造用原盤。
- 前記フォトレジストが化学増幅型のフォトレジストである請求項2記載の光記録媒体製造用原盤。
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