JP3667061B2 - カレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物 - Google Patents

カレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カレンダー加工性および耐候性が良好で、しかも表面外観、機械的物性、耐熱性および色調がすぐれたシートまたはフィルムを形成し得るカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分子鎖中に高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを有するポリエステルブロック共重合体は、ゴム状弾性を有するポリマとして知られ、いわゆるポリエステルエラストマとして、繊維、フィルムおよび成形品などの分野において広く使用されている。
【0003】
しかるに、ポリエステルエラストマからなる製品は、主鎖中に不安定な低融点重合体セグメントを含有するため、酸化劣化を受けやすく、重合度の低下に伴って機械的性質の低下、成形品表面の亀裂発生、および着色などの好ましくない現象を起こし、特に前記の酸化劣化は光や熱などにより促進されることから、屋外や高温雰囲気での使用が制限されるという問題があった。
【0004】
従来、上記の対策として、ポリエステルエラストマの耐候性を改善するための試みは数多くなされており、例えばポリエステルエラストマに対しヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物およびヒンダードアミン系化合物を夫々特定量添加する方法(特公平2−12982号公報)およびポリエステルエラストマに対しヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物およびチオホスファイト系化合物を夫々特定量添加する方法(特公昭62−14179号公報)などがすでに提案されている。
【0005】
一方、カレンダー加工法は、シートやフィルムを効率的に製造する方法として多用されており、ポリエステルエラストマについてもこのカレンダー加工によるシート化が実用化されつつある。
しかしながら、従来の特公平2−12982号公報や特公昭62−14179号公報に記載されたポリエステルエラストマ組成物は、確かに耐候性および耐熱性が従来よりも改良されているものの、これをカレンダー加工に供する場合には、添加した化合物によってポリエステルエラストマ組成物のカレンダーロールに対する粘着性が増大するため、カレンダー加工性が著しく阻害され、場合によっては全く成形不可能となる場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カレンダー加工性および耐候性がバランスよく良好であり、しかも表面外観、機械的物性、耐熱性および色調がすぐれたシートまたはフィルムを形成し得るカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、ポリエステルエラストマに対し、融点が特定の温度以上のヒンダードアミン系化合物を特定量添加することにより、あるいは融点が特定の値以上のヒンダードアミン系化合物と共に、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物、およびベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を組合わせて添加することにより、カレンダー加工性と耐候性の両立が図れることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物は、高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、JIS K0064で規定された融点が90℃以上のヒンダードアミン系化合物(B)を0.001〜10重量部添加してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物は、上記ヒンダードアミン系化合物と共に、ヒンダードフェノール系化合物(C)、ホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物(D)、およびベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種の化合物(E)を夫々0.001〜10重量部組合わせて添加した組成物をも包含し、かかる添加剤系の組合わせとしては、(B)/(C)、(B)/(C)/(D)および(B)/(C)/(D)/(E)が挙げられる。
【0010】
更に、本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物は、上記添加剤系と共に、ポリオレフィン系ワックスおよびフッ素系樹脂などの加工助剤を添加した組成物をも包含する。
本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物は、ヒンダードアミン系化合物として、融点が90℃以上の化合物を選択使用することによって、耐候性を高度に維持しつつ、カレンダー加工性の顕著な向上を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するポリエステルエラストマ(A)とは、高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするブロック共重合体である。
【0012】
このポリエステルエラストマ(A)の高融点結晶性重合体セグメントは、主としてポリエステルハードセグメントからなり、このポリエステルハードセグメントを形成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−または1,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられるが、なかでも芳香族ジカルボン酸の使用が好ましく、特にテレフタル酸の使用が推奨される。
【0013】
また、ポリエーテルハードセグメントを形成するジオール成分としては、炭素数2〜12の脂肪族または脂環族ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールや、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ビフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールまたはそれらの混合物が用い得るが、特に炭素数2〜8の脂肪族または脂環族ジオールが好ましく用いられる。
【0014】
一方、ポリエステルエラストマ(A)のソフトセグメントを形成する脂肪族ポリエーテル単位としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,3−または1,2−プロピレン)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロックまたはランダム共重合体などが挙げられ、なかでも平均分子量が約200〜6000の範囲にあるポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが好ましく使用される。
【0015】
また、ポリエステルエラストマ(A)のソフトセグメントを形成する脂肪族ポリエステル単位としては、ポリε−カプロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられ、なかでもポリε−カプロラクトンやポリブチレンアジペートが好ましく使用される。
【0016】
ポリエステルエラストマ(A)の製法は任意であるが、好適な重合法の一例としては、ジカルボン酸のジメチルエステルを過剰モル数、すなわち酸に対し約1.2〜2.0倍モルの低分子量グリコールおよびポリ(アルキレンオキシド)グリコールと共に、通常のエステル化触媒の存在下において、約150〜200℃の温度で常圧下加熱反応してエステル交換しメタノールを留出させ、次いで5mmHg以下の減圧下に200〜270℃で加熱重合させる方法を例示することができる。
【0017】
本発明で使用するヒンダードアミン系化合物(B)は、JIS K0064で規定された融点が90℃以上であることが重要な要件である。この要件を満たす化合物の具体例としては、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(“チヌビン”144)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(“キマソーブ”119)、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル ]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(“サノール”LS−2626)、琥珀酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(“チヌビン”622LD)、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(“キマソーブ”944)などが挙げられる。
【0018】
ヒンダードアミン系化合物(B)の融点が90℃未満の場合、例えば融点が81〜85℃のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを用いる場合は、耐候性は改善した得たとしても、カレンダー加工性の向上効果を得ることができないため好ましくない。
また、ヒンダードアミン系化合物(B)の添加量は、ポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、0.001〜10重量部、特に0.01〜5重量部である。添加量が0.001重量部未満では目的とする耐候性とカレンダー加工性の向上効果が得られず、逆に10重量部を越えるとカレンダー加工したシート表面にブルームし、外観に悪影響をもたらすため好ましくない。
【0019】
本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物においては、ポリエステルエラストマに対し、上記ヒンダードアミン系化合物(B)と共に、更にヒンダードフェノール系化合物(C)を併用添加することにより、耐候性や耐熱性の相乗的な向上効果を得ることができる。
【0020】
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物(C)としては、n−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、およびトリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレートなどが挙げられるが、なかでも分子量500以上のものが、高温雰囲気下で揮散しにくいため、より大きな効果が得られる。
【0021】
ヒンダードフェノール系化合物(C)の添加量は、ポリエステルエラストマー(A)100重量部に対し、0.001〜10重量部、特に0.01〜5重量部である。添加量が0.001重量部未満では目的とする相乗効果が得られず、逆に10重量部を越えるとカレンダー加工したシート表面にブルームし、外観に悪影響をもたらすため好ましくない。
【0022】
本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物においては、ポリエステルエラストマに対し、上記ヒンダードアミン系化合物(B)およびヒンダードフェノール系化合物(C)と共に、更にホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物(D)を併用添加することにより、カレンダー加工性、耐候性および耐熱性の相乗的な向上効果を得ることができる。
【0023】
本発明で使用するホスファイト系化合物としては、トリブチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルドデシルホスファイト、およびジフェニルステアリルホスファイトなどが挙げられる。
【0024】
また、本発明で使用するチオホスファイト系化合物としては、トリノニルトリチオホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリステアリルトリチオホスファイト、トリフェニルトリチオホスファイト、トリス(p−ノニルフェニル)トリチオホスファイト、トリス(p−ラウリルフェニル)トリチオホスファイト、トリス(2−ラウリルオキシカルボニルエチル)トリチオホスファイト、トリス(p−ベンジルオキシカルボニルペンチル)トリチオホスファイト、およびトリス[2−(p−ラウリルフェノキシカルボニル)エチル]トリチオホスファイトなどが挙げられる。
【0025】
これらホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物(D)の添加量は、ポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、0.001〜10重量部、特に0.01〜5重量部である。添加量が0.001重量部未満では目的とする相乗効果が得られず、逆に10重量部を越えるとカレンダー加工したシート表面にブルームし、外観に悪影響をもたらすため好ましくない。
【0026】
本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物においては、ポリエステルエラストマに対し、上記ヒンダードアミン系化合物(B)、ヒンダードフェノール系化合物(C)およびホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物(D)と共に、更にベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種の化合物(E)を併用添加することにより、カレンダー加工性、耐候性および耐熱性の相乗的な向上効果を得ることができる。
【0027】
本発明で使用するベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2−オキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−オキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−オキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−オキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−オキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0028】
また、本発明で使用するベンゾフェノン系化合物としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ラウリルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ステアリルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシ−4’−クロロベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシ−3’,4’−ジクロロベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0029】
更に、本発明で使用するベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、フェニルサルチレート−4−t−ブチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
これらベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種の化合物(E)の添加量は、ポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、0.001〜10重量部、特に0.01〜5重量部である。添加量が0.001重量部未満では目的とする相乗効果が得られず、逆に10重量部を越えるとカレンダー加工したシート表面にブルームし、外観に悪影響を与えるため好ましくない。
【0030】
本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物は、ポリエステルエラストマの重合中、または重合後の任意の時期に上記各添加剤を添加することにより調製することができるが、重合後(成形前)に上記各添加剤を溶融混合する方法が最も望ましい。
なお、本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物の調製に際しては、目的とする特性を阻害しない限りにおいて、他の一般的な添加剤、例えば加工助剤、加水分解改良剤、着色剤(顔料、染料)、帯電防止剤、導電剤、結晶核剤、滑剤、充填剤、補強材、接着助剤、可塑剤、離型剤、および難燃剤などの添加剤を任意に配合することができるが、なかでも、ポリオレフィン系ワックスおよび/またはポリ−4−フッ化エチレン、エチレン−フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂から選ばれた加工助剤を所定量添加することにより、カレンダー加工性を一層向上させることができる。
【0031】
【実施例】
以下の実施例中における%および部は、特に断りのない限りすべて重量%および重量部を意味する。
また、実施例中に示される各物性は次の方法により測定した値である。
[融点]
JIS K0064に準じ、DSC法で測定した値である。
【0032】
[硬度]
JIS K7215に準じ、ショアDスケールで測定した値である。
[溶融粘度指数]
ASTM D1238に準じ、温度:200℃、荷重:2160gで測定したMFR値である。
【0033】
[カレンダー加工性]
日本ロール社製8インチ2本ロールを用いてポリエステルエラストマおよび所定の添加剤をドライブレンドするか、または場合によっては予め溶融混合してペレット化した原料を、ロールへ投入し、ロールに粘着するまでの時間(ロール滑性保持時間)を測定した。
【0034】
また、20分後のロールからのシート剥離性を下記の5段階で評価した。
5…剥離性が良好で、ほとんど抵抗なく剥離可能であり、一般のポリ塩化ビニルの場合と全く遜色のないレベルである
4…5よりはやや劣るが、剥離性はかなり良好
3…剥離性がかなり劣り、量産が困難
2…剥離性が劣り、カレンダー加工が困難
1…全く剥離できない
同様に、プレートアウト性を下記の5段階で評価した。
【0035】
5…良好(50分以上カレンダー加工してもプレートアウトを目視判定不可)
4…やや良好
3…普通(カレンダー加工可能)
2…カレンダー加工が困難
1…カレンダー加工が実施不可能
[成形品外観]
上記カレンダー加工で得られた0.5mm厚のシートの表面状態を目視判定した。
【0036】
[耐候性]
上記カレンダー加工で得られた0.5mm厚のシートから打ち抜いたJIS−2号45%試験片をサンシャインウエザーオーメーター中で光照射し照射表面のクラック発生までの時間を測定した。サンシャインウェザーオーメーター中の温度は63℃で2時間につき18分間水をスプレーした。
【0037】
[耐熱性]
上記カレンダー加工で得られた0.5mm厚のシートから打ち抜いたJIS−2号45%試験片を、140℃のギアオーブン中でエージングし、引張り破断伸度の初期値が半減するまでの時間を測定した。
参考例1
ポリエステルエラストマ(A−1)の重合
ジメチルテレフタレート194部、数平均分子量約1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール265.4部およびテトラメチレングリコール69.6部を、チタンテトラブトキシド0.10部と共に、ヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃の温度で2時間加熱して、理論量の95%のメタノールを系外へ留出した。
【0038】
反応混合物に“イルガノックス”1010(CIBA−GEIGY社製、ヒンダードフェノール系耐熱剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件で2時間重合を行った。
得られたポリマを水中にストランド状に吐出し、カッティングしてペレットとした。このポリマをポリエステルエラストマA−1とする。
【0039】
参考例2
ポリエステルエラストマ(A−2)の重合
テレフタル酸100部、1,4−ブタンジオール110部、テトラブチルチタネート0.1部を、精留塔およびヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら反応水を留出させ、窒素雰囲気下、常圧で2時間エステル化反応させた後、反応物を重合缶に移液し、250℃、0.2mmHgの減圧下の条件で2時間重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状に吐出し、カッティングして、相対粘度1.47、融点225℃のポリブチレンテレフタレートを得た。
【0040】
このポリブチレンテレフタレートペレットとε−カプロラクトンとを、それぞれ900g/hrおよび1700g/hrの供給速度で、内径30mm、L/D−40、中間部と先端部に長さ200mmの混練ユニットを有するスクリューを備えた単軸押出機の最後部供給口に供給し、シリンダー中間部の機設定温度240℃、スクリュー回転数30rpmの条件で付加重合反応を行った。
【0041】
次に、ダイスからポリマをストランド状に吐出し、カッティングしてペレットとした。
このペレット100部、トリフェニルホスフィン0.1部を、内径30mm、L/D=40で、フルフライトスクリューを備えた単軸押出機に供給し、ベント口の真空度10mmHg、押出温度200℃、スクリュー回転数30rpmの条件で混練し、脱ε−カプロラクトンと触媒の失活を行い、ダイスからポリマをストランド状に押出して、カッティングし、ペレットとした。このポリマをポリエステルエラストマA−2とする。
【0042】
表1にポリエステルエラストマA−1とA−2の組成と物性を示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003667061
【0044】
実施例1−9
参考例1で得られたポリエステルエラストマA−1に対し、表2に示したヒンダードアミン系化合物B−1〜B−4を滑剤と共にドライブレンドし、この組成物をカレンダー成形機に供して、ロール温度165℃の条件でシートを成形した(実施例1〜4)。
【0045】
また、ヒンダードアミン系化合物と共に、それぞれ表3に示したヒンダードフェノール系化合物(C−1)を併用する場合(実施例5)、ヒンダードフェノール系化合物(C−1〜C−2)およびホスファイト系化合物(D−1)を併用する場合(実施例6〜7)、およびヒンダードフェノール系化合物(C−1〜C−2)、ホスファイト系化合物またはチオホスファイト系化合物(D−1〜D−2)およびベンゾフェノン系化合物またはベンゾトリアゾール系化合物(E−1〜E−2)を併用する場合(実施例8〜9)についても同様にカレンダー加工によるシートを成形した。
【0046】
なお、ポリエステルエラストマ100部に対する各添加剤の添加量は、いずれも0.3部とし、加工助剤としてポリエステルワックス(三井石油化学社製、“ハイワックス2203A”)を0.6部添加した。
各シート評価結果を表4に示す。
比較例1〜7
添加剤B〜Eを全く添加せずに、ポリエステルエラストマA−1単独で実施例1と同様にカレンダー成形したシートの物性評価結果を表4に比較例1として示す。
【0047】
また、ポリエステルエラストマA−1に対し、表2,表3に示した融点が90℃未満のヒンダードアミン系化合物(B−5〜B−7)を同量添加し、実施例1と同様にカレンダー成形したシートの物性評価結果を表4に比較例2〜4として示す。
更に、上記ヒンダードアミン系化合物B−5と共に、ヒンダードフェノール系化合物(C−1)、ヒンダードフェノール系化合物(C−1)とホスファイト系化合物(D−1)、およびヒンダードフェノール系化合物(C−1)とホスファイト系化合物(D−1)とベンゾフェノン系化合物(E−1)をそれぞれ同量併用添加し、実施例1と同様にカレンダー成形したシートの物性評価結果を表4に比較例5〜7として示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003667061
【0049】
【表3】
Figure 0003667061
【0050】
【表4】
Figure 0003667061
【0051】
実施例10〜15
ポリエステルエラストマA−1の代わりに参考例2で得たポリエステルエラストマA−2を用い、加工助剤をフッ素樹脂粉末(三井デュポン・フルオロケミカル社製、“テフロンK10”を使用し、カレンダー成形温度を170℃に変更した以外は、実施例1〜9とほぼ同様の添加剤系を添加して、シートのカレンダー成形を行い、得られたシートの評価結果を表5に示した。
【0052】
比較例8〜14
参考例2で得たポリエステルエラストマA−2を用い、加工助剤をフッ素樹脂粉末(三井デュポン・フルオロケミカル社製、“テフロンK10”を使用し、カレンダー成形温度を170℃に変更した以外は、比較例1〜7とほぼ同様の添加剤系を添加して、シートのカレンダー成形を行い、得られたシートの評価結果を表4に示した。
【0053】
【表5】
Figure 0003667061
【0054】
表2〜表5の結果からは、本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物(実施例1〜15)は、添加剤無添加の場合(比較例1および比較例8)に比べて、高融点のヒンダードアミン系化合物を選択添加することにより、耐候性を高度に維持しつつ、カレンダー加工性を著しく向上することができるばかりか、成形品の表面外観、耐熱性もすぐれており、更にヒンダードアミン系化合物と共にヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物およびまたはチオホスファイト系化合物、およびベンゾトリアゾール系化合物などの他の添加剤を併用することによって、これらの特性が相乗的に向上することが明らかである。
【0055】
一方、融点が90℃未満のヒンダードアミン系化合物を用いる場合(比較例2〜7、9〜14)は、カレンダー加工性が不良であり、たとえ他の添加剤を併用したところで、カレンダー加工性の改善効果を得ることができない。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物は、耐候性を高度に維持しつつ、カレンダー加工性を著しく向上することができ、カレンダー加工に供した場合に、ロールによる粘着や付着を起こさずに、表面外観および耐熱性にすぐれたシートまたはフィルムを与えることができる。
【0057】
したがって、本発明によれば、ポリエステルエラストマの活用分野の一層の進展が期待できる。

Claims (6)

  1. 高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、JISK0064で規定された融点が90℃以上のヒンダードアミン系化合物(B)を0.001〜10重量部添加してなるカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物。
  2. 高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、JISK0064で規定された融点が90℃以上のヒンダードアミン系化合物(B)およびヒンダードフェノール系化合物(C)を夫々0.001〜10重量部添加してなるカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物。
  3. 高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、JISK0064で規定された融点が90℃以上のヒンダードアミン系化合物(B)、ヒンダードフェノール系化合物(C)、およびホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物(D)を夫々0.001〜10重量部添加してなるカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物。
  4. 高融点結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルエラストマ(A)100重量部に対し、JISK0064で規定された融点が90℃以上のヒンダードアミン系化合物(B)、ヒンダードフェノール系化合物(C)、ホスファイト系化合物および/またはチオホスファイト系化合物(D)、およびベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種の化合物(E)を夫々0.001〜10重量部添加してなるカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物に対し、更に加工助剤を添加してなるカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物。
  6. 前記加工助剤がポリオレフィン系ワックスおよび/またはフッ素系樹脂である請求項5に記載のカレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物。
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