JP3666567B2 - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車ステアリング系等に適用され、ドライバーによりハンドルに加えられた操舵トルクをモータトルクによりアシストする電動パワーステアリング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング制御装置としては、例えば、特開平11−286278号公報に記載の装置が知られている。
【0003】
この従来公報には、モータ及びコントロールユニットの過熱保護を図ることを目的とし、モータやコントロールユニットが高温になると、その温度に応じて、最大電流の許容値を制限する(リミットを与える)ことで、モータ及びコントロールユニットの過熱を抑える技術が記載されている。なお、温度の計測に関しては、温度センサを付けて直接検出したり、通電した電流値の積算値により推定検出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、温度に応じて最大電流の許容値を制限する構成であるため、車庫入れ等でハンドル切り替えし何度も行う場合、車の回転半径が小さくなり、切り替えしの数が増えてしまうという問題がある。
【0005】
すなわち、ハンドル限界切り角であるハンドルロック付近においてステアリング機構のリンク効率が悪くなるため、パワーステアリングの出力が多く必要であり、より電流を多く流す必要がある。そのため、上記のように、最大電流の許容値を制限して小さくしてゆくと、図9に示すように、据え切りのハンドルロック付近から操舵力が急に重くなる。そのため、車庫入れ等で切り替えしを何度も行う場合、温度保護制御に入り易いが、運転者はハンドルが重くなったロック手前のハンドル角度で、ハンドルが限界のロックまで回ったと勘違いし、そこから切り替えしを行い、結果として、車の回転半径が小さくなり、切り替えしの数が増えてしまう。さらに、そのことにより、車庫入れ時間がかかり、過熱を誘発するので、電流制限がさらに働き、よりハンドルが重くなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、電動パワーステアリング制御系の過熱保護を図りながら、車庫入れ等でハンドル切り替えし何度も行う場合、車の回転半径が小さくなったり、切り替えしの数が増えることを防止できる電動式パワーステアリング制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明では、操舵系に連結され、操舵補助トルクを発生するモータと、
運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
操舵トルク検出値と車速検出値を含む入力情報によってハンドルの回転方向と同一方向にモータのトルクを発生させるアシスト電流が決められる転舵時アシスト制御手段と、
を備えた電動パワーステアリング制御装置において、
パワーステアリング系の温度を直接検出あるいは推定検出する温度検出手段を設け、かつ、前記転舵時アシスト制御手段により決められたアシスト電流を、温度検出手段により検出された温度によりハンドルロック付近からの操舵トルクの急激な上昇を発生させないようにモータ電流指令を制御する過熱保護モータ電流制御手段を設け、
前記過熱保護モータ電流制御手段は、前記転舵時アシスト制御手段の操舵トルクに応じた電流を演算するトルク対応電流演算回路を、温度検出手段により検出された温度が高温であるほどトルク対応電流を一律に低下させる過熱保護トルク対応電流演算回路と、
前記温度検出手段から温度情報を入力し、温度に対する操舵トルク−電流特性の平行移動量を決める平行移動量演算回路を設け、
前記過熱保護トルク対応電流演算回路を、設定されている操舵トルク−電流特性を前記平行移動量演算回路により演算された平行移動量だけ原点から遠ざけることでトルク対応電流を決める回路としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明では、操舵系に連結され、操舵補助トルクを発生するモータと、
運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
操舵トルク検出値と車速検出値を含む入力情報によってハンドルの回転方向と同一方向にモータのトルクを発生させるアシスト電流が決められる転舵時アシスト制御手段と、
を備えた電動パワーステアリング制御装置において、
パワーステアリング系の温度を直接検出あるいは推定検出する温度検出手段を設け、かつ、前記転舵時アシスト制御手段により決められたアシスト電流を、温度検出手段により検出された温度によりハンドルロック付近からの操舵トルクの急激な上昇を発生させないようにモータ電流指令を制御する過熱保護モータ電流制御手段を設け、
前記過熱保護モータ電流制御手段は、前記転舵時アシスト制御手段の操舵トルクに応じた電流を演算するトルク対応電流演算回路を、温度検出手段により検出された温度が高温であるほどトルク対応電流を一律に低下させる過熱保護トルク対応電流演算回路とし、
前記過熱保護トルク対応電流演算回路を、前記操舵トルク検出手段からの操舵トルク情報と前記車速検出手段からの車速情報と前記温度検出手段から温度情報を入力し、車速情報に基づいて複数の操舵トルク−電流マップから1つのマップを選択し、選択されたマップ上で操舵トルク情報と温度情報に基づいてトルク対応電流を決める回路としたことを特徴とする。
【0014】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、転舵時アシスト制御手段において、操舵トルク検出手段からの操舵トルク検出値と車速検出手段からの車速検出値を含む入力情報によってハンドルの回転方向と同一方向にモータのトルクを発生させるアシスト電流が決められる。
この制御中、パワーステアリング系の温度が高温となった場合、過熱保護モータ電流制御手段において、転舵時アシスト制御手段により決められたアシスト電流を、温度検出手段により検出された温度によりハンドルロック付近からの操舵トルクの急激な上昇を発生させないようにモータ電流指令が制御される。
過熱保護モータ電流制御は、パワーステアリング系の温度が高温となった場合、転舵時アシスト制御手段の過熱保護トルク対応電流演算回路において、温度検出手段により検出された温度が高温であるほどトルク対応電流が一律に低下させられる。
よって、パワーステアリング系の温度が高温となった場合には、転舵時アシスト制御手段からのアシスト電流(=モータ電流指令)が、トルク対応電流の低下分だけ通常より低く抑えられることで、電動パワーステアリング制御系の過熱保護を図ることができる。加えて、温度に応じてトルク対応電流を一律に低下させるため、車庫入れ等でハンドル切り替えし何度も行う場合、全体的にハンドル操作が少し重くなるだけで、ハンドルロック付近で急にハンドルが重くなることが無く、車の回転半径が小さくなったり、切り替えしの数が増えることを防止することができる。加えて、転舵時アシスト制御手段にてトルク対応電流以外に演算されるトルク微分項やモータ回転速度項の電流は何ら制限されないので、過渡的なアシスト特性には影響しない。
さらに、平行移動量演算回路において、温度検出手段から温度情報を入力し、温度に対する操舵トルク−電流特性の平行移動量が決められ、過熱保護トルク対応電流演算回路において、設定されている操舵トルク−電流特性が平行移動量演算回路により演算された平行移動量だけ原点から遠ざけることでトルク対応電流が決められる。
よって、平行移動量演算回路を追加し、今までのトルク対応電流演算回路を、操舵トルク−電流特性を操舵トルク軸方向に平行移動させる特性とするだけで、上記作用効果が達成される電動パワーステアリング制御装置とすることができる。
【0015】
請求項2記載の発明にあっては、転舵時アシスト制御手段において、操舵トルク検出手段からの操舵トルク検出値と車速検出手段からの車速検出値を含む入力情報によってハンドルの回転方向と同一方向にモータのトルクを発生させるアシスト電流が決められる。
この制御中、パワーステアリング系の温度が高温となった場合、過熱保護モータ電流制御手段において、転舵時アシスト制御手段により決められたアシスト電流を、温度検出手段により検出された温度によりハンドルロック付近からの操舵トルクの急激な上昇を発生させないようにモータ電流指令が制御される。
過熱保護モータ電流制御は、パワーステアリング系の温度が高温となった場合、転舵時アシスト制御手段の過熱保護トルク対応電流演算回路において、温度検出手段により検出された温度が高温であるほどトルク対応電流が一律に低下させられる。
よって、パワーステアリング系の温度が高温となった場合には、転舵時アシスト制御手段からのアシスト電流(=モータ電流指令)が、トルク対応電流の低下分だけ通常より低く抑えられることで、電動パワーステアリング制御系の過熱保護を図ることができる。加えて、温度に応じてトルク対応電流を一律に低下させるため、車庫入れ等でハンドル切り替えし何度も行う場合、全体的にハンドル操作が少し重くなるだけで、ハンドルロック付近で急にハンドルが重くなることが無く、車の回転半径が小さくなったり、切り替えしの数が増えることを防止することができる。加えて、転舵時アシスト制御手段にてトルク対応電流以外に演算されるトルク微分項やモータ回転速度項の電流は何ら制限されないので、過渡的なアシスト特性には影響しない。
さらに、過熱保護トルク対応電流演算回路において、操舵トルク検出手段からの操舵トルク情報と車速検出手段からの車速情報と温度検出手段から温度情報が入力され、車速情報に基づいて複数の操舵トルク−電流マップから1つのマップが選択され、選択されたマップ上で操舵トルク情報と温度情報に基づいてトルク対応電流が決められる。
よって、マップの設定自由度により、温度保護が効くとハンドルが徐々に重くなる特性にすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
(参考例)
図1は参考例の電動パワーステアリング制御装置を示す全体システム図である。図1において、1はハンドル、2は操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)、3は減速機、4はラック&ピニオンステアリング機構、5はモータ、6はモータ回転速度センサ、7はコントロールユニット、8はステアリングシャフト、9は車速センサ(車速検出手段)、10は温度センサ(温度検出手段)、11はバッテリーである。
【0021】
コントロールユニット7には、操舵トルクセンサ2とモータ回転速度センサ6と車速センサ9と温度センサ10からセンサ信号が送られる。これらのセンサ信号に基づいてモータ電流が演算され、モータ5に対してモータ電流を出力することでモータ5が駆動される。このモータ駆動力は、減速機3を介してラック&ピニオンステアリング機構4に伝えられ、運転者のハンドル1に対する操舵トルクをアシストするように構成されている。
【0022】
図2は参考例のコントロールユニット7におけるモータアシスト制御内容を表す制御ブロック図である。図2において、20は微分演算回路、21は乗算器、22はゲイン演算回路、23はトルク対応電流演算回路、24はゲイン演算回路、25は乗算器、26は加減算器、27は比率演算回路、28は乗算器であり、微分演算回路20〜加減算器26は転舵時アシスト制御手段に相当し、比率演算回路27及び乗算器28は過熱保護モータ電流制御手段に相当する。
【0023】
前記乗算器21では、微分演算回路20により演算された操舵トルク微分値T’と、ゲイン演算回路22により演算された車速対応のゲインKT’とを乗算することでトルク微分値対応電流iT’が求められる。このトルク微分値対応電流iT’は、加減算器26にプラスの信号として出力される。
【0024】
前記トルク対応電流演算回路23では、操舵トルクTと車速Vが読み込まれ、操舵トルクTが不感帯トルクT。以上である場合、車速V及び操舵トルクTに応じたトルク対応電流iTが演算される。このトルク対応電流iTは、加減算器26にプラスの信号として出力される。
【0025】
前記乗算器25では、ゲイン演算回路24により演算された車速対応のゲインKωと、モータ回転速度ωとを乗算することで回転速度対応電流iωが求められる。この回転速度対応電流iωは、加減算器26にマイナスの信号として出力される。
【0026】
前記加減算器26では、転舵時アシスト制御でのモータ電流指令0(アシスト電流)が、0=iT '+iT−iωの式により算出され、乗算器28に出力される。
【0027】
前記比率演算回路27では、温度センサ10からの温度tが読み込まれ、設定温度t0までは比率を1とし、設定温度t0を超えると比率を1から徐々に0に向かって低下させる比率特性に基づいて比率が演算される。
【0028】
前記乗算器28では、加減算器26からのモータ電流指令0と、比率演算回路27からの比率とを乗算することでモータ電流指令1が求められる。この電流指令1は、モータ5に対して出力される。
【0029】
図3は参考例のコントロールユニット7で行われるモータアシスト制御動作を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0030】
ステップ101では、操舵トルクT、モータ回転速度ω、車速Vが読み込まれる。
【0031】
ステップ102では、各センサ信号に基づき、図2の微分演算回路20〜加減算器26において電流指令値0が算出される。
【0032】
ステップ103では、比率演算回路27において、温度センサ10からモータ温度tが読み込まれる。なお、モータ温度tは、モータ電流を積算することで推定により算出して求めるようにしても良い。
【0033】
ステップ104では、比率演算回路27において、読み込まれたモータ温度tに基づいて比率が算出される。
【0034】
ステップ105では、乗算器28において、モータ電流指令1が比率×モータ電流指令0の式により算出される。
【0035】
ステップ106では、モータ電流指令1に基づいてモータ電流が制御される。
【0036】
次に、作用効果を説明する。
【0037】
[低温時アシスト作用]
パワーステアリング系の温度が設定温度t0以下の低温である操舵時、図3のフローチャートのステップ104において、比率が1と算出される。よって、次のステップ105では、モータ電流指令0がそのままモータ電流指令1として算出され、モータ電流が制御される。
すなわち、ハンドル1の回転方向と同一方向にモータ5のトルクを発生させるアシスト電流、すなわち、転舵時アシスト制御でのモータ電流指令0が、トルク微分値対応電流iT’とトルク対応電流iTと回転速度対応電流iωとの3つの項を用いたiT '+iT−iωの式により算出され、車速Vや操舵トルクTやモータ回転速度ωや操舵トルク微分値T’に応じ、運転者による操舵力が最適な力加減となるように軽減される。
【0038】
[高温時アシスト作用]
車庫入れ等で高アシスト力を連続的に与えることでモータ5やコントロールユニット7の温度が高温となった場合、比率演算回路27において、温度センサ10から読み込まれた温度tに対してモータ電流を低下させる比率が決められ、乗算器28において、比率演算回路27により演算された比率と転舵時アシスト制御によるモータ電流指令0との乗算によりモータ電流指令1が算出され、検出された温度tが高温であるほどモータ電流指令0を一律に低下させ、モータ5に出力するモータ電流指令1とされる。
【0039】
よって、パワーステアリング系の温度が高温となった場合には、モータ電流指令1が通常のモータ電流指令0より低く抑えられることで、電動パワーステアリング制御系の過熱保護を図ることができる。加えて、温度tに応じてモータ電流指令1を一律に低下させるため、図4に示すように、車庫入れ等でハンドル切り替えし何度も行う場合、全体的にハンドル操作が重くなるだけで、従来のようにハンドルロック付近で急にハンドルが重くなることが無く、車の回転半径が小さくなったり、切り替えしの数が増えることを防止することができる。
【0040】
さらに、過熱保護モータ電流制御を行うに際し、今までのアシスト制御系はそのままで、温度−比率特性が設定された比率演算回路27と乗算器28を追加するだけで、容易に過熱保護と切り替えし増大の防止を図った電動パワーステアリング制御装置とすることができる。
【0041】
(実施例1)
【0042】
図5は請求項1記載の発明に対応する実施例1のコントロールユニット7におけるモータアシスト制御内容を表す制御ブロック図である。この実施例1では、図2のトルク対応電流演算回路23に代えて過熱保護トルク対応電流演算回路33とし、また、図2の比率演算回路27に代えて平行移動量演算回路37とし、図2の乗算器28を無くした例である。
【0043】
すなわち、平行移動量演算回路37では、温度tに対するiT−T特性の平行移動量が、設定温度t0までは0(ゼロ)で、設定温度t0以上になると温度上昇に応じて大きくなる値により決められる。そして、過熱保護トルク対応電流演算回路33では、操舵トルクTと車速VとiT−T特性の平行移動量が読み込まれ、iT−T特性の平行移動量だけ原点から遠ざけることでiT−T特性を決め、この決められたiT−T特性と車速Vと操舵トルクTによりトルク対応電流iTが演算される。このトルク対応電流iTは、加減算器26にプラスの信号として出力される。さらに、加減算器26では、転舵時アシスト制御でのモータ電流指令(アシスト電流)が、モータ電流指令=iT '+iT−iωの式により算出され、これがモータ5に出力される。
【0044】
図6は実施例1のコントロールユニット7で行われるモータアシスト制御動作を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0045】
ステップ201では、操舵トルクT、モータ回転速度ω、車速V、温度tが読み込まれる。
【0046】
ステップ202では、乗算器21において、微分演算回路20により演算された操舵トルク微分値T’と、ゲイン演算回路22により演算された車速対応のゲインKT’とを乗算することでトルク微分値対応電流iT’が算出される。
【0047】
ステップ203では、乗算器25において、ゲイン演算回路24により演算された車速対応のゲインKωと、モータ回転速度ωとを乗算することで回転速度対応電流iωが算出される。
【0048】
ステップ204では、平行移動量演算回路37において、温度tに対するiT−T特性の平行移動量が算出される。
【0049】
ステップ205では、過熱保護トルク対応電流演算回路33において、操舵トルクTと車速VとiT−T特性の平行移動量によりトルク対応電流iTが算出される。
【0050】
ステップ206では、加減算器26において、転舵時アシスト制御でのモータ電流指令が、モータ電流指令=iT '−iω+iTの式により算出される。
【0051】
ステップ207では、ステップ206で算出されたモータ電流指令に基づいてモータ電流が制御される。
【0052】
次に、作用効果を説明する。
【0053】
[低温時アシスト作用]
パワーステアリング系の温度が設定温度t0以下の低温である操舵時、図6のフローチャートのステップ204において、iT−T特性の平行移動量がゼロと算出される。よって、次のステップ205では、参考例のトルク対応電流演算回路23と同様のトルク対応電流iTが算出され、参考例のモータ電流指令0をそのままモータ電流指令としてモータ電流が制御される。
すなわち、ハンドル1の回転方向と同一方向にモータ5のトルクを発生させるアシスト電流、すなわち、転舵時アシスト制御でのモータ電流指令が、トルク微分値対応電流iT’とトルク対応電流iTと回転速度対応電流iωとの3つの項を用いたiT'−iω+iTの式により算出され、車速Vや操舵トルクTやモータ回転速度ωや操舵トルク微分値T’に応じ、運転者による操舵力が最適な力加減となるように軽減される。
【0054】
[高温時アシスト作用]
車庫入れ等で高アシスト力を連続的に与えることでモータ5やコントロールユニット7の温度が高温となった場合、平行移動量演算回路37において、温度tに対するiT−T特性の平行移動量が算出され、過熱保護トルク対応電流演算回路33において、操舵トルクTと車速VとiT−T特性の平行移動量によりトルク対応電流iTが算出され、加減算器26において、モータ電流指令が、トルク微分値対応項であるiT’と回転速度対応項であるiωは変えることなく、トルク対応項であるiTを平行移動量に応じて一律に低下させることでモータ電流指令=iT '−iω+iTの式により算出され、モータ5に出力するモータ電流指令とされる。
【0055】
よって、パワーステアリング系の温度が高温となった場合には、モータ電流指令が低温時のモータ電流指令より低く抑えられることで、電動パワーステアリング制御系の過熱保護を図ることができる。加えて、温度tに応じてモータ電流指令を一律に低下させるため、車庫入れ等でハンドル切り替えし何度も行う場合、全体的にハンドル操作が重くなるだけで、従来のようにハンドルロック付近で急にハンドルが重くなることが無く、車の回転半径が小さくなったり、切り替えしの数が増えることを防止することができる。
【0056】
さらに、参考例に対し、転舵時アシスト制御にてトルク対応電流iT以外に演算されるトルク微分項の電流iT’やモータ回転速度項の電流iωは何ら制限されないので、過渡的なアシスト特性には影響しない。
【0057】
加えて、平行移動量演算回路37を追加し、今までのトルク対応電流演算回路23を、iT−T特性を操舵トルク軸方向に平行移動させる特性とする過熱保護トルク対応電流演算回路33に代えるだけで、容易に上記作用効果が達成される電動パワーステアリング制御装置とすることができる。
【0058】
(実施例2)
【0059】
図7は請求項2記載の発明に対応する実施例2のコントロールユニット7におけるモータアシスト制御内容を表す制御ブロック図である。この実施例2では、図5の過熱保護トルク対応電流演算回路33に代え複数のiT−T特性マップを備えた過熱保護トルク対応電流演算回路43とし、また、図5の平行移動量演算回路37を無くした例である。
【0060】
すなわち、過熱保護トルク対応電流演算回路43では、操舵トルクTと車速Vと温度tが読み込まれ、車速Vに基づいて複数のiT−T特性マップから1つのマップが選択され、選択されたマップ上で操舵トルクTと温度tに基づいてトルク対応電流iTが演算される。このトルク対応電流iTは、加減算器26にプラスの信号として出力される。
【0061】
図8は実施例2のコントロールユニット7で行われるモータアシスト制御動作を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップ301,ステップ302,ステップ303,ステップ306,ステップ307は、それぞれ図6のステップ201,ステップ202,ステップ203,ステップ206,ステップ207と同じであるので説明を省略する。
【0062】
ステップ304では、過熱保護トルク対応電流演算回路43において、車速Vに基づいて複数のiT−T特性マップから1つのマップが選択される。
【0063】
ステップ305では、過熱保護トルク対応電流演算回路43において、選択されたマップ上で操舵トルクTと温度tに基づいてトルク対応電流iTが算出される。
【0064】
よって、この実施例2では、過熱保護トルク対応電流演算回路43において、車速Vに基づいて複数のiT−T特性マップから1つのマップが選択され、選択されたマップ上で操舵トルクTと温度tに基づいてトルク対応電流iTが決められる構成としたため、温度保護が効くと特定の操舵トルクまではハンドルが重くなる実施例1の発明に対し、マップの設定自由度により、例えば、得られた温度tに応じて操舵トルクTによるモータ電流の指令値のグラフの傾きを緩やかにすることで、温度保護が効くとハンドルが徐々に重くなる特性にすることができる。
【0065】
(その他の実施の形態)
以上、本発明を実施例1及び実施例2により説明してきたが、具体的な構成はこれに限られるものでなく、様々な変更や追加が施されても請求項に記載された構成要件を備えている限り本発明に含まれる。
【0066】
例えば、温度検出に際し、温度センサを設けるにしてもモータ5とコントロールユニット7のうちどちらが過熱し易く、熱的に弱いかによって、いずれか一方、あるいは両方に温度センサを付ける例としても良いし、さらに、温度センサを設けずに、モータに流れた電流の積算により温度を推定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の電動パワーステアリング制御装置を示す全体システム図である。
【図2】 参考例のコントロールユニット7におけるモータアシスト制御内容を表す制御ブロック図である。
【図3】 参考例のコントロールユニット7で行われるモータアシスト制御動作を示すフローチャートである。
【図4】 高温時におけるモータアシスト制御での操舵角、モータ電流、操舵力の各特性を示すタイムチャートである。
【図5】 実施例1のコントロールユニット7におけるモータアシスト制御内容を表す制御ブロック図である。
【図6】 実施例1のコントロールユニット7で行われるモータアシスト制御動作を示すフローチャートである。
【図7】 実施例2のコントロールユニット7におけるモータアシスト制御内容を表す制御ブロック図である。
【図8】 実施例2のコントロールユニット7で行われるモータアシスト制御動作を示すフローチャートである。
【図9】 従来制御においてハンドルロック付近で重くなることを表すタイムチャートである。
Claims (2)
- 操舵系に連結され、操舵補助トルクを発生するモータと、
運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
操舵トルク検出値と車速検出値を含む入力情報によってハンドルの回転方向と同一方向にモータのトルクを発生させるアシスト電流が決められる転舵時アシスト制御手段と、
を備えた電動パワーステアリング制御装置において、
パワーステアリング系の温度を直接検出あるいは推定検出する温度検出手段を設け、かつ、前記転舵時アシスト制御手段により決められたアシスト電流を、温度検出手段により検出された温度によりハンドルロック付近からの操舵トルクの急激な上昇を発生させないようにモータ電流指令を制御する過熱保護モータ電流制御手段を設け、
前記過熱保護モータ電流制御手段は、前記転舵時アシスト制御手段の操舵トルクに応じた電流を演算するトルク対応電流演算回路を、温度検出手段により検出された温度が高温であるほどトルク対応電流を一律に低下させる過熱保護トルク対応電流演算回路とし、
前記温度検出手段から温度情報を入力し、温度に対する操舵トルク−電流特性の平行移動量を決める平行移動量演算回路を設け、
前記過熱保護トルク対応電流演算回路を、設定されている操舵トルク−電流特性を前記平行移動量演算回路により演算された平行移動量だけ原点から遠ざけることでトルク対応電流を決める回路としたことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。 - 操舵系に連結され、操舵補助トルクを発生するモータと、
運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
操舵トルク検出値と車速検出値を含む入力情報によってハンドルの回転方向と同一方向にモータのトルクを発生させるアシスト電流が決められる転舵時アシスト制御手段と、
を備えた電動パワーステアリング制御装置において、
パワーステアリング系の温度を直接検出あるいは推定検出する温度検出手段を設け、かつ、前記転舵時アシスト制御手段により決められたアシスト電流を、温度検出手段により検出された温度によりハンドルロック付近からの操舵トルクの急激な上昇を発生させないようにモータ電流指令を制御する過熱保護モータ電流制御手段を設け、
前記過熱保護モータ電流制御手段は、前記転舵時アシスト制御手段の操舵トルクに応じた電流を演算するトルク対応電流演算回路を、温度検出手段により検出された温度が高温であるほどトルク対応電流を一律に低下させる過熱保護トルク対応電流演算回路とし、
前記過熱保護トルク対応電流演算回路を、前記操舵トルク検出手段からの操舵トルク情報と前記車速検出手段からの車速情報と前記温度検出手段から温度情報を入力し、車速情報に基づいて複数の操舵トルク−電流マップから1つのマップを選択し、選択されたマップ上で操舵トルク情報と温度情報に基づいてトルク対応電流を決める回路としたことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
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