JP3666229B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料、処理方法及び画像情報形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報量が多く、フレアが少ない高品位な画像情報を簡便、迅速に提供できる、環境に優しいハロゲン化銀カラー写真感光材料、処理方法及び画像情報形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年パーソナルコンピュータ(パソコン)の急速な普及やインターネットの普及に伴って、画像情報をパソコンに取り込み、それを加工して利用することが多くなった。画像情報をパソコンに取り込むためには、デジタルカメラによって撮影する方法、従来のカラー写真感光材料の画像情報をスキャナーで読み込む方法があるが、前者は画素数が少なく、ラチチュードが狭く階調がなめらかでないといった問題点があり、後者はカラー写真感光材料を写真店で現像処理する必要があり、画像情報の入手に時間がかかるといった問題があった。尚、カラー写真感光材料の画像情報をスキャナーで読み込む方法は、高品位な画像データが得られること、長年蓄積された従来の写真感光材料による画像情報をも有効に生かせる点で優れていた。
【0003】
一方で、近年環境保護に対する意識が高まり、有害廃棄物の原料や限りある資源の有効利用が望まれている。ハロゲン化銀写真感光材料は画像記録材料にハロゲン化銀を用いており、貴重な資源である銀資源を利用している。銀は限られた貴金属資源であり、その有効利用が要望されている。又、銀は重金属でもあり、排水基準も厳しいことから、回収の負荷が大きい。
【0004】
しかるに、現在の銀資源回収方法は、写真処理液又はその濃縮液を回収工場まで運搬したうえで銀の回収を行っている。ここでは、写真廃液の濃縮にエネルギーが必要であったり、濃縮に必要な高価な機器が必要であったりするばかりでなく、写真廃液の運搬においては、銀の数百倍の重量の価値の無い水を一緒に運ぶことによる非効率さがあり、省エネルギー、コストダウンの観点から問題が大きかった。更に、溶液中に溶解した銀資源を完全に回収する負荷も大きかった。これらのことから、感光材料に含まれる銀資源を処理液中に希釈、拡散することなく回収することが求められていた。
【0005】
写真処理に用いられるEDTA、PDTA等の錯形成化合物は微生物によって分解されにくいため排水処理上の負荷が大きい。
【0006】
このように、高品位な画像情報を簡便且つ安価に入手でき、長年蓄積された従来の写真感光材料による画像情報を生かすことができ、且つ環境に優しいシステムが求められていたが、公知のシステムではこれらのすべての要求を満たすことは到底できなかった。
【0007】
即ち、デジタルカメラは画像情報の品位に劣り、写真感光材料をスキャナーで読み込む方法は画像情報の入手に時間がかかり、重金属を含む排水処理の問題から環境への悪影響を防ぐための負荷が大きい、といった問題があった。
【0008】
また、特開平9−146247号明細書には、現像処理後、漂白、定着せずに処理を終了し、画像をスキャナーで読み取ることによって画像情報を得る技術が開示されているが、該特許記載の方法では、露光時の色材による光学フィルター効果による減感が著しく、高感度が得にくいため、高感度を要する撮影用感材には適用しにくい。画像情報やハードコピーが既に存在する場合にはそのままパソコンに取り込んだり、スキャナーで読み込めば済み、撮影による画像情報の取り込みの目的には該特許は有効ではない。
【0009】
更に、本願発明者等の検討によって、通常用いられる撮影用カラーネガフィルムを現像処理後、漂白、定着せずにスキャナーで読み取った場合、イエローフィルター層やハレーション防止層が障害となって、画像が一部しか読み取れないことが判明した。即ち、透過光で読み取る場合にはハレーション防止層によって青、緑、赤の光の3原色がいずれも吸収され、画像情報が読み取れないことが明らかになった。反射光で読み取る場合にも、緑、赤色光は読み取れるものの、青色光はイエローフィルター層で吸収されるために反射せず、読み取れないことが判った。
【0010】
イエローフィルター層は感光材料の緑、赤感性層が青色光に感光しないように設けられる層であり、通常の処理を行った場合には漂白、定着されて色がなくなるため、読み取りの障害になるといった上記問題は生じない。
【0011】
ハレーション防止層は最下層で反射した光による鮮鋭性の劣化を防止するために用いられる通常は黒色の層であり、通常の処理を行った場合には漂白、定着されて色がなくなるため、やはり上記問題は生じない。
【0012】
上記の着色物質による画像データの読み出しへの障害を防ぐために光学濃度を1.0以下にする技術が本願発明者によって提案されている(特願平9−230382号)。光学濃度を1.0以下にすることによって画像データの読み出しが可能になり、当初の目的は達成されたが、一方で、予想以上にフレアが生じ、画像の鮮鋭性が劣化することが明らかとなった。本願発明者は特定の光学濃度のハロゲン化銀感光材料、その処理方法、画像形成方法によって、画像データの読み取りの障害にならず、フレアも少ない、より高画質の画像データを得ることができることを見いだし、且つその光学濃度を達成する手段を見いだすことによって本願発明を完成させるに至った。ハロゲン化銀写真感光材料からのデータの読み取りには光学濃度が低い方が好ましく、一方、フレアの低減には光学濃度が高いことが好ましいため、これらは相反する技術課題であり、従来は2つの課題を同時に解決することができず、本願発明の如き簡便な処理を採用することができなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は情報量が多く、フレアが少ない高品位な画像情報を簡便、迅速に提供できる、環境に優しいハロゲン化銀写真感光材料及び画像情報形成方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第二の目的は、現像後、現像銀、ハロゲン化銀を感光材料中に保持したまま、スキャナーを用いて画像情報を読み取ることを可能にするハロゲン化銀写真感光材料及び画像情報形成方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第三の目的は、銀回収が容易で、環境保護に貢献できるハロゲン化銀写真感光材料および処理方法を提供することにある。
【0016】
本発明の第四の目的は、迅速な処理が可能なハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は本明細書の記載から明らかになろう。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記構成によって解決される。
1.透過光による光学濃度(露光前の写真感光材料を支持体を含めた状態で測定したステータスMのB濃度をいう。以下、同じ。)が1.0より大きく、2.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
2.支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、各々の層がカプラーを含有し、透過光による光学濃度が1.0より大きく、2.0以下であり、且つイエローフィルター層を有し、該イエローフィルター層は光学濃度0.7以上の層ではないことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
3.現像主薬前駆体を含有し、且つISO感度50以上であることを特徴とする前記1又は2記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
4.透過光による光学濃度が1.0より大きく、2.0以下のハロゲン化銀写真感光材料を熱現像することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
5.透過光による光学濃度が1.0より大きく、2.0以下のハロゲン化銀写真感光材料を現像処理後、現像銀及びハロゲン化銀を感光材料中に保持したまま、スキャナー又はCCD等を用いて画像情報を読み取ることを特徴とする画像情報形成方法。
6.コヒーレントな光を用いて画像情報を光学的に読み取ることを特徴とする前記5記載の画像情報形成方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明において、光学濃度とは、露光前の写真感光材料を支持体を含めた状態で測定したステータスMのB濃度である。測定法はISO5/3,Photography measurements,Part3:Spectral condition(1984)に記載されている。光学濃度は1.0を越えることがフレアが少ない点で必要であり、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることが特に好ましい。光学濃度は撮影感材としての感度を保つため、又、画像情報の読み取りの障害とならないために、2.0以下であることが必要であり、1.8以下であることが好ましい。
【0020】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の種類には特に制約は無く、カラーネガフィルムであっても、カラーリバーサルフィルムであっても、直接ポジ感材であっても良い。
【0021】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は赤、緑、青色の光を記録することができる赤感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層、青感性ハロゲン化銀乳剤層を有することが好ましい。
【0022】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の感度はISO80以上であることが好ましく、ISO100以上であることがより好ましく、ISO400以上であることが最も好ましい。
【0023】
本発明において、現像処理の方法、条件は問わず、公知の方法・方式を自由に適用することができる。一般用カラーネガの標準処理条件であるC−41処理の現像条件は好ましく適用することができる。漂白、定着を行わないことが、処理時間の短縮、銀資源の回収、処理廃液の廃棄が容易な点で好ましい。又、感光材料に実質的に染み込む量の現像液を感光材料に噴射あるいは塗り付けて現像することも可能である。現像液の噴射方法は問わず、単一の可動性ノズルを移動しながら噴射しても、複数の固定したノズルを用いて噴射しても良い。感材を固定してノズルを移動させながら噴射しても良く、ノズルを固定して感材を移動させながら噴射しても良い。これらの組み合わせであっても良い。
【0024】
現像液を担持した媒介を介して感光材料に実質的に染み込むことが可能な量の現像液を感光材料に供給する現像処理を行う場合には、現像液を担持する媒体に制限はなく、フェルト、織物、スリットや穴を有する金属、等を好ましく用いることができる。感材又は媒体に現像液を噴射しながら媒体によって現像液を感材に塗り付ける方法も好ましい。
【0025】
本発明において、「現像処理後、現像銀及びハロゲン化銀を感光材料中に保持したまま」とは現像処理によって生成した現像銀や、元から感光材料に含まれていたハロゲン化銀からなる銀資源を処理液中に溶解、拡散させないように、実質的にその全量が感光材料中に残ることを言う。実質的にとは処理前に感光材料中に含まれていた銀資源の98%以上が感光材料中に残されている状態を言う。銀資源の99%以上が感光材料中に残されている場合には資源回収、廃液処理の観点からより好ましい。
【0026】
本発明においてスキャナーとは感光材料を光学的に走査して反射、又は透過の光学濃度を画像情報に変換する装置である。走査する際にはスキャナーの光学部分を感光材料の移動方向とは異なった方向に移動させることによって感光材料に必要な領域を走査することが一般的であり、推奨されるが、感光材料を固定してスキャナーの光学系のみを移動させたり、感光材料のみを移動させてスキャナーの光学部分を固定しても良い。
【0027】
画像情報を読み込むための光源はタングステンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、レーザー光等、特に制限なく用いることができ、安価な点でタングステンランプが好ましく、安定性、高輝度であり、散乱の影響を受けにくい点でレーザー光(コヒーレントな光源)が好ましい。読み取り方法には特に制限はないが、鮮鋭性の点で透過光で読み取ることが好ましい。
【0028】
本発明において、青感性、緑感性、赤感性ハロゲン化銀乳剤層とは各々青色光、緑色光、赤色光に対して分光増感された乳剤の層を言う。これらの層に含まれるカプラーはその種類を問わず、公知の任意のカプラーを用いることができる。
【0029】
本発明に熱現像を適用することは、処理時間短縮、環境適性の改良の点で好ましい。
【0030】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に現像主薬前駆体を含有することは、現像液の管理が容易になる点で好ましい。
【0031】
本発明に用いることができる素材はいずれも公知の文献に記載されており、それらを参考に当業者が容易に合成又は購入することができる。公知の文献の例としては例えば特開平8−1666644号、同8−202002号、同8−286340号、同8−292531号、同8−227131号、同8−292529号、同8−234388号、同8−234390号、同9−34081号、同9−76570号、同9−114062号、同9−152686号、同9−152691号、同9−152692号、同9−152693号、同9−152700号、同9−152701号、同9−159702号、同9−159703号、同9−150794号、同9−150795号各明細書を挙げることができる。
【0032】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には特に制約はなく、公知のハロゲン化銀乳剤を用いることができる。ハロゲン化銀乳剤の粒径、アスペクト比、ハライド組成(ハロゲン化銀中のハロゲンの種類および量)、ハライド分布(ハロゲン化銀粒子中での各種ハロゲン化銀の分布)、転移線の有無等に制約は無い。ハロゲン化銀粒子の粒径(同体積の立方体の一辺の長さに換算)は0.05から2ミクロンが好ましい。アスペクト比は4以上であることが鮮鋭性の点で好ましく、8以上であることがより好ましく、12以上であることが特に好ましい。ハライド組成は臭化銀が主成分であることが好ましく、全ハロゲン化銀の内、臭化銀が80から99モル%であることが好ましく、沃化銀が1から20モル%であることが好ましい。転移線を有することは感度の点で好ましい。
【0033】
本発明の感光材料を構成する場合において、ハロゲン化銀乳剤は一般に、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤は、リサーチ・ディスクロージャーNo.17643、No.18716及びNo.308119(それぞれ、以下RD17643、RD18716及びRD308119と略す)に記載されている。
【0034】
以下に記載個所を示す。
【0035】
本発明に用いる乳剤の化学増感は、より具体的には、銀イオンと反応できる硫黄を含む化学物や、活性ゼラチンを用いる硫黄増感法、セレン化合物を用いるセレン増感法、還元性物質を用いる還元増感法、金その他の貴金属化合物を用いる貴金属増感法などを単独又は組み合せて用いることができる。
【0036】
本発明においては、化学増感剤としては例えば、カルコゲン増感剤を用いることができ、中でも硫黄増感剤、セレン増感剤が好ましい。
硫黄増感剤としては例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミド、チオ尿素、アリルイソチオシアネート、シスチン、p−トリエンチオスルホン酸塩、ローダニンなどが挙げられる。
【0037】
その他、米国特許第1,574,944号明細書、同第2,410,689号明細書、同第2,278,947号明細書、同第2,728,668号明細書、同第3,501,313号明細書、同第3,656,955号明細書、西独出願公開(OLS)1,422,869号明細書、特開昭56−24937号公報、同55−45016号公報等に記載されている硫黄増感剤も用いることができる。
【0038】
硫黄増感剤の添加量は、pH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件下で相当の範囲にわたって変化するが、目安としては、ハロゲン化銀1モル当たり約10−7モル〜約10−1モル程度が好ましい。
【0039】
セレン増感剤としては、アリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソセレノシアネート類、セレノ尿素類、セレノセレナイド、ジエチルセレナイド等のセレナイド類などを用いることができ、それらの具体例は米国特許第1,574,944号明細書、同第1,602,592号明細書、同第1,623,499号明細書に記載されている。更に還元増感剤を併用することもできる。
【0040】
還元増感剤としては、塩化第1錫、二酸化チオ尿素、ヒドラジン、ポリアミン等が挙げられる。又、金以外の貴金属化合物、例えば、パラジウム化合物等を併用することもできる。
【0041】
本発明に用いる乳剤のハロゲン化銀粒子は、金化合物によって化学増感されることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる金化合物としては、金酸化数が+1価でも+3価でもよく、多種の金化合物が用いられる。
【0042】
代表的な例としては、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、金サルファイド、金セレナイド等が挙げられる。
【0043】
金化合物の添加量は種々の条件で異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−8モルから10−1モルであり、好ましくは10−7モルから10−2である。
【0044】
又これらの化合物の添加時期はハロゲン化銀の粒子形成時、物理熟成時、化学熟成時及び化学熟成終了後の何れの工程でもよい。
【0045】
本発明に使用できる公知の写真用添加剤も上記リサーチ・ディスクロージャーに記載されている。
【0046】
以下に関連する記載個所を示す。
【0047】
又、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止するために、米国特許第4,411,987号明細書や同第4,435,503号明細書に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加することが好ましい。
【0048】
本発明には種々のカラーカプラーを使用することができ、その具体例は前述のリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.17643号、VII−C〜Gに記載された特許に記載されている。
【0049】
カプラーとしては、例えば米国特許第3,933,051号明細書、同第4,022,620号明細書、同第4,326,024号明細書、同第4,401,752号明細書、同第4,248,961号明細書、特公昭58−10739号明細書、英国特許第1,425,020号明細書、同第1,476,760号明細書、米国特許第3,973,968号明細書、同第4,314,023号明細書、同第4,511,649号明細書、欧州特許第279,473A号明細書等に記載のものが好ましい。
【0050】
5−ピラゾロン系及びピラゾロアゾール系の化合物の例としては、米国特許第4,310,619号明細書、同第4,351,897号明細書、欧州特許第73,636号明細書、米国特許第3,061,432号明細書、同第3,725,067号明細書、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、特開昭60−33552号公報、リサーチ・ディスクロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭60−43659号公報、同61−72238号公報、同60−35730号公報、同55−118034号公報、同60−185951号公報、米国特許第4,500,630号明細書、同第4,540,654号明細書、同第4,556,630号明細書、国際公開WO88/04795号公報等に記載のものが特に好ましい。
【0051】
フェノール系及びナフトール系カプラーの例としては、米国特許第4,052,212号明細書、同第4,146,396号明細書、同第4,228,233号明細書、同第4,296,200号明細書、同第2,369,929号明細書、同第2,801,171号明細書、同第2,772,162号明細書、同第2,895,826号明細書、同第2,772,002号明細書、同第3,758,308号明細書、同第4,334,011号明細書、同第4,327,173号明細書、西独特許公開第3,329,729号公報、欧州特許第121,365A号明細書、同第249,453A号明細書、米国特許第3,446,622号明細書、同第4,333,999号明細書、同第4,775,616号明細書、同第4,451,559号明細書、同第4,427,767号明細書、同第4,690,889号明細書、同第4,254,212号明細書、同第4,296,199号明細書、特開昭61−42658号公報等に記載のものが好ましい。
【0052】
発色色素の不要吸収を補正するためのカラード・カプラーを本発明の分光透過率の範囲で用いることもできる。リサーチ・ディスクロージャーNo.17643号のVII−G項、米国特許第4,163,670号明細書、特公昭57−39413号公報、米国特許第4,004,929号明細書、同第4,138,258号明細書、英国特許第1,146,368号明細書に記載のものが好ましい。又、米国特許第4,774,181号明細書に記載のカップリング時に放出された蛍光色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、米国特許第4,777,120号明細書に記載の現像主薬と反応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基として有するカプラーを用いることが好ましい。
【0053】
本発明に用いることができるポリマー化された色素形成カプラーの典型例は、米国特許第3,451,820号明細書、同第4,080,211号明細書、同第4,367,282号明細書、同第4,409,320号明細書、同第4,576,910号明細書、英国特許第2,102,173号明細書等に記載されている。
【0054】
カップリングに伴って写真的に有用な残基を放出するカプラーも又本発明で好ましく使用できる。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前出のRD17643、VII−F項に記載された特許、特開昭57−151944号公報、同57−154234号公報、同60−184248号公報、同63−37346号公報、米国特許第4,248,962号明細書、同第4,782,012号明細書等に記載されたものが好ましい。
【0055】
現像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカプラーとしては、英国特許第2,097,140号明細書。同第2,131,188号明細書、特開昭59−157638号公報、同59−170840号公報に記載のものが好ましい。
【0056】
その他、本発明の感光材料に用いることができるカプラーとしては、米国特許第4,130,427号明細書に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,427号明細書、同第4,338,393号明細書、同第4,310,618号明細書に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950号公報、特開昭62−24252号公報等に記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物、もしくはDIRレドックス化合物放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A号明細書に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、RDNo.11440、同24241、特開昭61−201247号公報等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許第4,553,477号明細書等に記載のリガンド放出カプラー、特開昭63−75747号公報に記載のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許第4,774,181号明細書等に記載の蛍光色素を放出するカプラー等が挙げられる。
【0057】
又本発明にはさらに種々のカプラーを使用することができ、その具体例は、下記RDに記載されている。関連個所を下記に示す。
【0058】
本発明に使用する添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより添加することができる。
【0059】
本発明に使用する添加剤は本発明の光学濃度の範囲において使用することができる。
【0060】
本発明においては、前述のRD17643、第28頁、RD18716、647〜8頁及びRD308119のXIXに記載されている支持体を本発明の光学濃度の範囲において使用することができる。
【0061】
本発明の感光材料には、前述のRD308119 VII−K項に記載されているフィルター層や中間層の補助層を設けることができる。
【0062】
本発明の感光材料の、写真構成層最表面のpHは5.0〜7.0が好ましく、より好ましくは5.5〜6.5であり、特開昭61−245153号公報に記載された方法で測定することができる。
【0063】
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、三酢酸セルロースフィルム等を好ましく用いることができる。支持体の厚さは50〜200μmが通常用いられる。
【0064】
本発明の感光材料をロール状の形態で使用する場合はカートリッジに収納した形態を取るのが好ましい。カートリッジとして最も一般的なものは、現在の135フォーマットのパトローネである。その他の下記特許文献で提案されたカートリッジも使用できる。即ち、実開昭58−67329号公報、特開昭58−181035号公報、同58−182634号公報、実開昭58−195236号公報、米国特許第4,221,479号明細書、特願昭63−57785号公報、同63−183344号公報、同63−325638号公報、特願平1−21862号公報、同1−25362号公報、同1−30246号公報、同1−20222号公報、同1−21863号公報、同1−37181号公報、同1−33108号公報、同1−85198号公報、同1−172595号公報、同1−172594号公報、同1−172593号公報、米国特許第4,846,418号明細書、同第4,848,693号明細書、同第4,832,275号明細書等に開示されたカートリッジ技術を参照できる。
【0065】
本発明における感光材料の処理時間は特に制限がない。標準的な処理時間、及び処理温度を次に示す。
【0066】
一方、従来の撮影用感光材料の代表的処理であるカラーネガ処理の処理時間を次に示す。
【0067】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
比較例1
コニカ社製カラーネガフィルムJX−100を用いて人物及びマクベスカラーチャートを撮影した。このネガフィルムのステータスMによるB濃度は2.8であった。このネガフィルムをカラーネガ処理C−41の現像液を用いて指定の条件で発色現像した後、1%酢酸溶液で停止処理を施し、水洗、乾燥し、比較試料1とした。コニカ社製スキャナーQ−scanを用いて比較試料1の画像を読み込もうとしたところ、青色光によって読み込むべき画像情報が読み込めないことが判った。
【0068】
これにより、従来のカラーネガフィルムを用いて、発色現像処理を行い、銀資源を感光材料中に保持したままの状態では画像情報の一部のみしか読み出せないことが明らかになった。
【0069】
以下に処理液の組成を示す。
発色現像液の組成
水 800ml
炭酸カリウム 30g
炭酸水素ナトリウム 2.5g
亜硫酸カリウム 3.0g
臭化ナトリウム 1.3g
沃化カリウム 1.2mg
ヒドロキシアミン硫酸塩 2.5g
塩化ナトリウム 0.6 g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル)
アニリン硫酸塩 4.5g
ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g
水酸化カリウム 1.2g
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20%硫酸を用いてpH10.06に調製する。
停止液の組成
1%酢酸水溶液
実施例1
下引層を設けたセルローストリアセテートフィルム支持体上に以下の組成物を塗布して多層カラー感光材料である試料101を作成した。
【0070】
以下において、ハロゲン化銀写真感光材料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たりのグラム数を示す。又、ハロゲン化銀及びコロイド銀は、銀に換算して示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
第1層:ハレーション防止層
黒色コロイド銀 0.06
紫外線吸収剤(UV−1) 0.30
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.37
ゼラチン 1.59
第2層:中間層
ゼラチン 0.80
第3層:低感度赤感性層
沃臭化銀乳剤A 0.63
増感色素(SD−1) 1.4×10−4
増感色素(SD−2) 1.3×10−4
増感色素(SD−3) 1.5×10−4
増感色素(SD−4) 1.3×10−5
シアンカプラー(C−1) 0.71
カラードシアンカプラー(CC−1) 0.04
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.65
ゼラチン 2.05
第4層:中感度赤感性層
沃臭化銀乳剤B 0.71
増感色素(SD−2) 2.5×10−4
増感色素(SD−3) 1.4×10−5
増感色素(SD−4) 2.2×10−4
シアンカプラー(C−1) 0.27
カラードシアンカプラー(CC−1) 0.02
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.32
ゼラチン 0.83
第5層:高感度赤感性層
沃臭化銀乳剤C 1.52
増感色素(SD−2) 2.1×10−4
増感色素(SD−3) 1.2×10−5
増感色素(SD−4) 1.8×10−4
シアンカプラー(C−2) 0.13
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.17
ゼラチン 1.04
第6層:中間層
色汚染防止剤(SC−1) 0.04
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.50
ゼラチン 1.00
Y−1 0.04
Y−2 0.12
第7層:低感度緑感性層
沃臭化銀乳剤A 0.76
増感色素(SD−1) 6.5×10−4
増感色素(SD−9) 7.2×10−5
増感色素(SD−7) 7.5×10−5
マゼンタカプラー(M−1) 0.07
マゼンタカプラー(M−2) 0.07
カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.06
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.49
ゼラチン 1.10
第8層:中感度緑感性層
沃臭化銀乳剤B 0.55
増感色素(SD−1) 5.2×10−4
増感色素(SD−9) 5.8×10−5
増感色素(SD−7) 5.0×10−5
マゼンタカプラー(M−1) 0.07
カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.06
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.33
ゼラチン 0.78
第9層:高感度緑感性層
沃臭化銀乳剤C 0.82
増感色素(SD−6) 1.4×10−4
増感色素(SD−7) 1.5×10−4
増感色素(SD−8) 1.4×10−4
マゼンタカプラー(M−1) 0.03
カラードマゼンタカプラー(CM−2) 0.01
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.31
ゼラチン 0.91
第10層:中間層
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.30
ゼラチン 0.50
第11層:イエローフィルター層
黄色コロイド銀 0.03
色汚染防止剤(SC−2) 0.08
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.10
ゼラチン 1.00
第12層:中間層
ゼラチン 0.50
第13層:低感度青感性層
沃臭化銀乳剤A 0.16
沃臭化銀乳剤D 0.16
増感色素(SD−10) 1.4×10−4
増感色素(SD−11) 3.2×10−4
増感色素(SD′−1) 2.5×10−6
イエローカプラー(Y−1) 0.24
イエローカプラー(Y−2) 0.66
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.18
ゼラチン 1.19
第14層:中感度青感性層
沃臭化銀乳剤B 0.46
増感色素(SD−10) 1.1×10−4
増感色素(SD−11) 2.4×10−4
増感色素(SD′−1) 1.4×10−6
イエローカプラー(Y−1) 0.07
イエローカプラー(Y−2) 0.20
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.05
ゼラチン 0.84
第15層:高感度青感性層
沃臭化銀乳剤E 0.41
増感色素(SD−10) 0.7×10−4
増感色素(SD−12) 1.6×10−4
増感色素(SD′−1) 0.8×10−6
イエローカプラー(Y−1) 0.06
イエローカプラー(Y−2) 0.18
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.05
ゼラチン 0.97
第17層:第2保護層
アルカリ可溶性マット剤(P−1) 0.15
ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.04
滑り剤(WAX−1) 0.04
ゼラチン 0.55
尚上記組成物の他に、化合物SU−1、SU−2、SU−3、SU−4、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST−1、カブリ防止剤AF−1、AF−2、重量平均分子量:10,000及び重量平均分子量:1,100,000の2種のAF−3、化合物FS−1、FS−2、及び防腐剤DI−1を各層に適宜添加した。上記試料に用いた化合物の構造を以下に示す。
【0071】
【化1】
【0072】
【化2】
【0073】
【化3】
【0074】
【化4】
【0075】
【化5】
【0076】
【化6】
【0077】
【化7】
【0078】
【化8】
【0079】
【化9】
【0080】
【化10】
【0081】
実施例で用いた乳剤は、下記の通りである。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示した。又、各乳剤は、金・硫黄増感を最適に施した。
【0082】
【表1】
【0083】
【化11】
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
作成した試料101の光学濃度は1.4であった。
【0087】
試料101を135サイズ規格に裁断し、カメラに装填して人物及びマクベスチャートを撮影した。比較例1と同様に発色現像、停止処理を施した後、水洗、乾燥し、試料102とした。
【0088】
標準的な処理であるC−41処理に要する処理時間が510秒であったのと比較して、本発明の処理時間は240秒であり、半分以下に短縮され、迅速な処理が可能であることが判る。用いる処理液の種類も少なく、廃液の自然環境への負荷も少ないことが判る。
【0089】
試料102の画像をコニカ社製スキャナーC−scanを用いて読み込んだところ、フレアが少なく、高品位な画像情報が得られた。
【0090】
実施例1から、本発明の技術を用いれば、フレアが少なく、高品位な画像情報を簡便、迅速に得ることができ、しかも環境維持のための廃液処理の負荷も小さいことが判った。
【0091】
実施例2
X線の吸収によって試料101及び102の銀量を測定した結果、試料102には試料101の99.8%に相当する銀が含有されていることが判った。これにより、銀資源が処理液中に拡散することなく、回収しやすい状態を実現することができた。
【0092】
比較例2
実施例1の第11層、イエローフィルター層に含まれる黄色コロイド銀の量を0.08にした以外は実施例1と同様に試料を作成し、試料201とした。試料201の光学濃度は1.9であった。試料201を135サイズ規格に裁断し、カメラに装填して人物及びマクベスチャートを撮影した。比較例1と同様に発色現像、停止処理を施した後、水洗、乾燥し、試料202とした。試料202の画像をコニカ社製スキャナーC−scanを用いて読み込もうとしたところ、イエローカプラーに由来する画像情報は読み取れたが、実施例1で読み取った画像情報に比べてノイズが多かった。
【0093】
比較例2の第11層のみを単層で塗布した試料の光学濃度は1.3であった。
【0094】
実施例1の第11層のみを単層で塗布した試料の光学濃度は0.4であった。
【0095】
比較例2から、光学濃度0.7以上の層を持たない感材ではノイズが少なく、光学濃度0.7以上の層を持つ感材と比較して画像情報の品位が優れていることが判る。
【0096】
実施例3
実施例1の試料101に表2の変更を加えた以外は実施例1と同様に試料を作成し、試料301とした。
【0097】
試料101を135サイズ規格に裁断し、カメラに装填して人物及びマクベスチャートを撮影し、120℃で20秒間熱現像して試料302とした。
【0098】
試料302をコニカ社製スキャナーC−scanを用いて読み込んだところ、高品位な画像が得られた。
【0099】
実施例3から、熱現像することで高品位の画像情報が特に簡便、迅速に得られることが判った。
【0100】
表2
第3、4、5層のシアンカプラーC−1を等モルのC−11、C−12(各々等モル)に置き換え。
【0101】
第3、4、5層のカラードシアンカプラーを添加しない。
【0102】
第7、8、9層のマゼンタカプラーM−1を等モルのM−11、M−12(各々等モル)に置き換え。
【0103】
第7、8、9層のカラードマゼンタカプラーを添加しない。
【0104】
第7層のマゼンタカプラーM−2を等モルのM−12に置き換え。
【0105】
第13、14、15層のイエローカプラーY−1、Y−2を等モルのY−11、Y−12(各々等モル)に置き換え。
【0106】
第3、4、5、7、8、9、13、14、15層に熱溶剤(カプラーと同重量)、電子伝達剤(カプラーの1/10モル)、還元剤(カプラーと等モル)、カブリ防止剤(カプラーの1/30モル)、ベヘン酸銀(ハロゲン化銀と等モル)を添加。
【0107】
実施例4
実施例1の試料102の画像情報をQ−Scanに加えて680nm、535nm、425nmの波長のレーザー光を用いて画像情報を読み込んだ。
【0108】
レーザー光を用いて読み込んだ画像情報はQ−Scanで読み込んだ画像情報に比べて鮮鋭性が高く、色分離が良く、高品位な画像情報であった。
【0109】
実施例4からはコヒーレントな光を用いて画像情報を光学的に読み取ることより高品位な画像情報が得られて好ましいことが判る。
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、情報量が多く、フレアが少ない高品位な画像情報を簡便、迅速に提供でき、かつ環境に優しいハロゲン化銀カラー写真感光材料、処理方法及び画像情報形成方法を提供できる。
Claims (6)
- 透過光による光学濃度(露光前の写真感光材料を支持体を含めた状態で測定したステータスMのB濃度をいう。以下、同じ。)が1.0より大きく、2.0以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、各々の層がカプラーを含有し、透過光による光学濃度が1.0より大きく、2.0以下であり、且つイエローフィルター層を有し、該イエローフィルター層は光学濃度0.7以上の層ではないことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 現像主薬前駆体を含有し、且つISO感度50以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 透過光による光学濃度が1.0より大きく、2.0以下のハロゲン化銀写真感光材料を熱現像することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
- 透過光による光学濃度が1.0より大きく、2.0以下のハロゲン化銀写真感光材料を現像処理後、現像銀及びハロゲン化銀を感光材料中に保持したまま、スキャナー又はCCD等を用いて画像情報を読み取ることを特徴とする画像情報形成方法。
- コヒーレントな光を用いて画像情報を光学的に読み取ることを特徴とする請求項5記載の画像情報形成方法。
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