JP3666171B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比例ソレノイド弁を備えた油圧装置を制御する油圧制御装置において、比例ソレノイド弁のソレノイドコイルに電流が設定通りに安定して流れるようにするための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、トラクタの対地作業機を昇降させる油圧装置に設けられている上昇用或は下降用の比例ソレノイド弁は、ソレノイドコイルに流れる電流量に比例して圧力油の流量が調節される。この種の比例ソレノイド弁は、ソレノイドコイルの温度特性があるため、例えマイコンからの出力指令値が同じであっても、油温の変化に応じて圧力油の流量が変化するという不都合が起きる。これに対する対処として、従来は、実際にソレノイドコイルに流れる電流を検出してそれをマイコンにフィードバックさせ、その検出情報に基づいてマイコンで出力電流の補正処理を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補正処理には時間を要するため、特に作業機のポジション制御等のように出力要求量が逐次変化する制御の場合は、補正処理後の電流が出力されるときにはすでに出力要求量が変わっていて、適正な制御ができなかった。そこで本発明は、比例ソレノイド弁のソレノイドコイルに電流が常に安定して流れるようにし、適正な制御を行わせることを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明にかかる油圧制御装置は、ソレノイドコイルに流れる電流量に比例して駆動量が調節される比例ソレノイド弁(38),(39)を備えた油圧装置を制御する油圧制御装置であって、前記ソレノイドコイルに電流を流すソレノイド励磁回路(53)と、前記ソレノイドコイルに流れる電流量を設定するための設定電圧を出力する設定電圧出力手段(50)と、その設定電圧と前記ソレノイド励磁回路の検出電圧を比較する比較手段(51)と、該比較手段による比較結果に基づき、設定電圧が検出電圧よりも高い場合は前記ソレノイド励磁回路(53)を閉じ、設定電圧が検出電圧よりも低い場合は当該回路を開く開閉手段(52)と、前記ソレノイド励磁回路(53)が開いた時に当該回路に発生するサージ電圧を吸収するサージ吸収手段(55)とを具備し、前記ソレノイドに流れる電流量を設定するために設定電圧出力手段から出力される設定電圧は、所定の周期と振幅で三角波形的に変化するデジタル出力であることを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の油圧制御装置を設けたトラクタの概要について説明する。図1に示すトラクタ1は、前後四輪駆動車両であって、機体の四隅部に前輪2,2と後輪3,3を備えている。機体前部に搭載したエンジン5の回転動力を、該エンジンの後方に設けたミッションケース6内の変速装置により適宜変速し、その動力を前輪2,2及び後輪3,3に伝達している。図示しない4WD切替装置により、後輪のみを駆動する後輪2駆状態と、前輪及び後輪を等速度で駆動する4WD状態と、前輪の方が後輪よりも速い速度で駆動する前輪増速状態とに切り替えられるようになっている。左右の後輪3,3の前方から上方にかけてフェンダー7,7が取り付けられ、この左右フェンダーの間に座席8が設けられ、さらに座席8の前方には操縦ハンドル9が設けられている。
【0006】
また、機体の後部には昇降油圧シリンダ10で上下回動させるリフトアーム11,11が設けられている。このリフトアーム11,11の先端部と作業機装着用のロワリンク12,12の中間部がリフトロッド13,13で連結されており、昇降油圧シリンダ10にてリフトアーム11,11を上げ作動及び下げ作動させることにより、ロワリンク12,12の後端部に装着したロータリ耕耘装置20等の作業機が昇降する。また、片方のリフトロッド(図示例では右側)は左右傾動用の油圧シリンダ13aで構成されており、該油圧シリンダを伸縮させることにより、作業機の左右傾斜が調整される。なお、ロワリンク12,12の上方かつ左右中央部にトップリンク15が取り付けてあり、ロワリンク12,12とトップリンク15で構成される三点リンク機構により作業機を支持している。
【0007】
ロータリ耕耘装置20は、耕耘刃21の上側を覆う主カバー22の後部にリヤカバー23が回動自在に取り付けられており、このリヤカバー23の下端部が地面に接地する状態で作業を行うようになっている。
【0008】
図2はこのトラクタの制御系全般の構成を表すブロック図で、作業機を昇降操作するコントロールレバー30、リフトアーム12,12の角度を検出するリフトアームセンサ31、ロータリ耕耘装置20の耕耘深さ(耕深)を設定する耕深設定器32、リヤカバー23の角度から耕深を検出するデプスセンサ33、後輪駆動軸の回転数を検出する後輪軸センサ34、前輪駆動軸の回転数を検出する前輪軸センサ35、前後輪の駆動形態を切り替える走行モード切替スイッチ36等がコントローラ37に接続され、このロントローラ37の出力側には、昇降油圧シリンダ10を伸縮させる上昇用比例ソレノイド弁の上昇用ソレノイド38及び下降用比例ソレノイド弁の下降用ソレノイド39、4WD切替装置を4WD状態にする4WDソレノイド40、4WD切替装置を前輪増速状態にする前輪増速状態ソレノイド41、右後輪のブレーキを作動する右ブレーキソレノイド42、左後輪のブレーキを作動する左ブレーキソレノイド43等が接続されている。
【0009】
コントローラ37では以下の各制御を行う。すなわち、コントロールレバー30とリフトアームセンサ31からの情報に基づいて上昇用ソレノイド38或は下降用ソレノイド39に出力し、作業機の高さを制御するポジション制御を行う。耕深設定器32とデプスセンサ33からの情報に基づいて上昇用ソレノイド38或は下降用ソレノイド39に出力し、耕深を制御する耕深制御を行う。後輪軸センサ34と前輪軸センサ35からの情報に基づいて4WDソレノイド40或は前輪増速状態ソレノイド41と、右ブレーキソレノイド42或は左ブレーキソレノイド43とに出力し、円滑に旋回できるようにする旋回制御を行う。また、走行モード切替スイッチ36からの情報に基づいて4WDソレノイド40或は前輪増速状態ソレノイド41に出力し、駆動形態を切り替える駆動形態切替制御を行う。
【0010】
次に、ポジション制御を例にとって、本発明を具体的に説明する。
図3は油圧制御装置のポジション制御にかかわる制御系の電気回路図であって、コントロールレバー30とリフトアームセンサ31からの情報に基づき、コンローラ37内のマイコン(CPU)50のDA0 ポート或はDA1 ポートから、上昇用ソレノイド38或は下降用ソレノイド39のソレノイドコイル38a,39aに流れる電流量を設定するための設定電圧(図4のa)を出力する。この設定電圧はコンパレータ51を介してトランジスタ(FET)52のベースにかかり、それによってFET52がONし、コイル励磁回路53が閉じることにより、コイル38a(或は39a)に電流が流れる。コンパレータ51は、前記設定電圧とコイル励磁回路53の電圧(検出電圧)とを比較し、設定電圧よりも検出電圧の方が大きい場合はFET52をOFFするようになっている。54は増幅器である。よって、コイル38a(或は39a)に設定以上の電流が流れると回路が開くが、その直後はコイルのリアクタンスによる電流がサージ吸収用ダイオード55を介してコイル38a(或は39a)に流れる。FET52がOFFになると、検出電圧が設定電圧以下となり、再度FET52がONする。これを繰り返すことにより、コイル38a(或は39a)には、CPU50のDA0 ポート(或はDA1 ポート)から出力される設定電圧vに見合ったほぼ一定値i0 の駆動電流(図4のb)が流れることとなる。図5に示すように、この駆動電流量は設定電圧に比例する。
【0011】
つまり、この制御系では、ソレノイドコイルに流れる電流量を設定するための設定電圧を出力する設定電圧出力手段としてCPU50を使用し、設定電圧と前記ソレノイド励磁回路の検出電圧を比較する比較手段としてコンパレータ51を使用し、比較手段の比較結果に基づきソレノイド励磁回路を開閉する開閉手段としてFET52を使用し、ソレノイド励磁回路が開いた時に該回路に発生するサージ電圧を吸収するサージ吸収手段としてダイオード55を使用している。
【0012】
CPU50から出力される設定電圧は、図6に示すように一定の振幅で三角波形的に変化させている。これは、ソレノイドコイルを駆動する電流を振幅させてやらないと、供給流量や供給圧力のヒステリシスが多くなったり脈動が出たりし、また、それぞれの振幅についての電圧変化が急激であると、コイルが追従してしまい前記と同様の結果や比例ソレノイド弁の振動が出てしまうからである。また、設定電圧は正弦波的に変化させてもよいが、三角波形的に変化させるのが好ましい。
【0013】
上昇用比例ソレノイド弁及び下降用比例ソレノイド弁にはi0 =0.4〜1.5アンペアの電流で所定の駆動圧力が発生するソレノイドコイルが使用されており、このソレノイドコイルにi0 ±0.2〜0.5アンペア程度、さらに好ましくはi0 ±0.3アンペア程度の電流が流れるように設定電圧の振幅を設定している。また、その周期は、本実施形態では10msec程度としている。設定電圧はCPU50からデジタル的に与えられるため、実際には図6の拡大図に示すように階段状に変化する。なお、前記FET52がON・OFF切り替わる周期cは、この設定電圧の変動周期に比べ極めて短い。
【0014】
図7はコントローラ37の入力部の一部を表している。後輪軸センサ34、前輪軸センサ35等の回転検出を行うセンサの情報を入力するCPU50の割り込みポート60に接続するインターフェイス回路61は、上記回転検出用センサ等の電磁ピックアップ型のセンサ類を接続するコネクタ62と、ON・OFF検出を行うオープンコレクタ型もしくは接点型のセンサ類を接続するコネクタ63とがあり、いずれかのコネクタにそれに相当するセンサ類を接続することができるようになっている。このため、限られた数しかないCPU50の割り込みポートを電磁ピックアップ型のセンサ類からの情報入力とオープンコレクタ型もしくは接点型のセンサ類とからの情報入力の両方に使用することが可能で、コントローラ37を複数種の農作業機に共用できる。
【0015】
また、図8はコントローラ37の電力供給回路を表している。このコントローラにおいては、電源(12ボルト)からの電力を、三端子レギュレータ70で所定電圧(5ボルト)にしてCPU50に供給すると共に、前記と別の三端子レギュレータ71で所定電圧(5ボルト)にしてコントロールレバー30、リフトアームセンサ31等のセンサ類に供給している。従来、一つの三端子レギュレータで作った5ボルト電源を、CPU50とセンサ類の両方に供給していた。このため、センサ類に電力を供給する外部配線がショートすると、CPU50も作動しなくなり、故障箇所の検索が非常に困難であった。本例のようにCPU50とセンサ類に別電源から電力を供給する構成とすると、センサ類に電力を供給する外部配線がショートしてもCPU50は作動するので、故障箇所の検索が容易である。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる油圧制御装置は、ソレノイドコイルに流れる電流量を設定するための設定電圧をマイコン等の設定電圧出力手段から出力するだけで、設定電流量と実際にソレノイドコイルに流れる電流量との偏差の補正がマイコンを介さず自動的に行われ、ソレノイドコイルに設定通りの電流を安定して流すことができるようになった。また、上記ソレノイド用の電流量を設定するための設定電圧を、所定の周期と振幅で三角波形的に変化するデジタル出力とすることにより、供給流量や供給圧力のヒステリシスや脈動が少なく、ソレノイド弁の振動を抑制できるものとなった。発明の実施の形態の項では、トラクタのポジション制御用比例流量制御を制御する油圧制御装置を例にとって本発明を説明したが、走行駆動力やPTO駆動力を制御するための昇圧制御用比例圧力制御弁の制御にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】制御系全般の構成を表すブロック図である。
【図3】ポジション制御にかかわる制御系の電気回路図である。
【図4】設定電圧、ソレノイドに流れる電流、及びFETのON・OFF状態のタイムチャートである。
【図5】設定電圧とソレノイドに流れる電流との関係を表すグラフである。
【図6】設定電圧の時間変化を表すグラフである。
【図7】コントローラの入力部の一部の電気回路図である。
【図8】コントローラの電力供給回路図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 前輪
3 後輪
20 ロータリ耕耘装置
30 コントロールレバー
31 リフトアームセンサ
37 コントローラ
38a,39a ソレノイドコイル
50 CPU(設定電圧出力手段)
51 コンパレータ(比較手段)
52 FET(開閉手段)
53 コイル励磁回路
55 サージ吸収用ダイオード(サージ吸収手段)
Claims (1)
- ソレノイドコイルに流れる電流量に比例して駆動量が調節される比例ソレノイド弁(38),(39)を備えた油圧装置を制御する油圧制御装置であって、前記ソレノイドコイルに電流を流すソレノイド励磁回路(53)と、前記ソレノイドコイルに流れる電流量を設定するための設定電圧を出力する設定電圧出力手段(50)と、その設定電圧と前記ソレノイド励磁回路の検出電圧を比較する比較手段(51)と、該比較手段による比較結果に基づき、設定電圧が検出電圧よりも高い場合は前記ソレノイド励磁回路(53)を閉じ、設定電圧が検出電圧よりも低い場合は当該回路を開く開閉手段(52)と、前記ソレノイド励磁回路(53)が開いた時に当該回路に発生するサージ電圧を吸収するサージ吸収手段(55)とを具備し、前記ソレノイドに流れる電流量を設定するために設定電圧出力手段から出力される設定電圧は、所定の周期と振幅で三角波形的に変化するデジタル出力であることを特徴とする油圧制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05244897A JP3666171B2 (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 油圧制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05244897A JP3666171B2 (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 油圧制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10231949A JPH10231949A (ja) | 1998-09-02 |
JP3666171B2 true JP3666171B2 (ja) | 2005-06-29 |
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ID=12915017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05244897A Expired - Fee Related JP3666171B2 (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 油圧制御装置 |
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JP (1) | JP3666171B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102782779A (zh) * | 2010-03-05 | 2012-11-14 | Ckd株式会社 | 螺线管驱动电路 |
-
1997
- 1997-02-19 JP JP05244897A patent/JP3666171B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN102782779A (zh) * | 2010-03-05 | 2012-11-14 | Ckd株式会社 | 螺线管驱动电路 |
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