JP3666115B2 - シャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の走行試験を室内で行うシャシーダイナモメータに関し、特に車両の乗り入れ時に駆動輪をローラの真上に載置できるようにした車両センタリング装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
シャシーダイナモメータのローラ上に車両を乗り入れる際に、車両センタリング装置が無い場合には、ドライバが目視によりローラ上に車両の車輪をセットし、ずれている時は再セットを行っていた。又はもう一人の作業員によりドライバに指示を与えるようにしていた。一方、車両センタリング装置を設けた場合には、該装置を用いて駆動輪をローラの真上に載置するようにしているが、該装置はエアシリンダ機構又は電動機構を用いていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、上記のように車両センタリング装置がない場合には、車両のセッティングに時間を要し、また二人作業を要した。このため、一日に多数の車両の試験を行うラインの抜き取り検査用シャシーダイナモメータなどにおいては、一台当たりの試験時間が長くなって目標台数の車両の試験を行うことが容易でなかった。又、車両センタリング装置がある場合には、大きな荷重が加わるため構成複雑で大形となった。
【０００４】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、車両のセンタリングを一人で短時間で行うことができるとともに、構成が簡単小形なシャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置を得ることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るシャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置は、ローラ上部の周囲をおおうピットカバーにおけるローラ中心の両側においてそれぞれ一端が上下方向回動自在に支持された一対ずつのシリンダと、ローラ中心の両側において各シリンダに一端が挿入されたピストンの他端間に回動自在に支持された一対のセンタリングローラと、ローラ中心の両側においてローラの上部周面近くに設けられた一対のローラ支持部を備え、駆動輪のセンタリング時には流体圧によりピストンを介して各センタリングローラを突出させることにより一対のセンタリングローラをローラの周面上に載置し、駆動輪をこのセンタリングローラ間に係合させながらローラの周面上に載置し、運転時には流体圧によりピストンを介して各センタリングローラを引っ込ませてローラ支持部上に載置するようにしたものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。図１及び図２はこの実施形態によるシャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置の縦断正面図及び平面図を示し、１は回転自在に支持されたローラであり、その回転軸にはダイナモメータが連結されている。２はローラ１の中心線、３は載置される車両の中心線、４はローラ１上に載置される車両の駆動輪であり、中心線２の右側は待機状態（運転中）を示し、左側はセッティング状態を示す。５はローラ１の上面とほぼ同一面のピットカバー、６はピットカバー５におけるローラ１の上部に設けられた開口部、７はローラ１の中心の両側においてピットカバー５の支持枠５ａに支持軸８を介して一端が回動自在に支持された二対のシリンダであり、空気や油などの流体出入口７ａを有している。９はシリンダ７内に挿入されたピストンであり、その先端間には一対のセンタリングローラ１０が回転自在に支持されている。１１は支持枠５ａ間に支持された一対のローラ支持部であり、ローラ１の中心から等しい距離でローラ１の周面近くに設けられている。
【０００７】
次に、上記構成の動作を説明する。まず、図の右半部に示した待機状態（この場合、図の左半部も待機状態となる。）では、各ピストン９はシリンダ７内に深く挿入されており、ピストン９の先端間に回転自在に支持された一対のセンタリングローラ１０はそれぞれローラ支持部１１上に載置されている。ここで、各シリンダ７に流体を出入させ、各ピストン９を突出させると、センタリングローラ１０は１０ａの位置でローラ１の周面に接触支持され、この周面に沿って１０ｂの位置まで進む。このとき、一対のセンタリングローラ１０はローラ１の中心から等しい距離にある。
【０００８】
次に、上記の状態でピットカバー５上に車両を乗り入れ、その駆動輪４を一方のセンタリングローラ１０を乗り越えさせて他方のセンタリングローラ１０に当接させ、駆動輪４を一対のセンタリングローラ１０間にセットし、駆動輪４の中心がローラ１の中心と合った状態で駆動輪４をローラ１上に載置する。このとき、大きな荷重が駆動輪４を介してセンタリングローラ１０に加わるが、センタリングローラ１０はローラ１の周面上に載置されており、大きな荷重は最終的にはローラ１が受けることになる。従って、センタリングローラ１０には曲げ荷重は加わらず、その軸方向の荷重のみ加わることになり、シリンダ７及びピストン９には大きな剛性を必要としない。
【０００９】
駆動輪４のセット後、シリンダ７に流体を出入させ、ピストン９を後退させると、センタリングローラ１０は１０ｂの位置から１０ａの位置までローラ１の周面に沿って後退し、さらにローラ支持部１１上に乗り上げてローラ１の周面から離れた状態で停止する。従って、この状態で駆動輪４を駆動し、これによりローラ１及びダイナモメータを回転させて走行性能テストを行う。
【００１０】
上記実施形態においては、シリンダ７を流体圧により出没させ、一対のセンタリングローラ１０間において駆動輪４の中心をローラ１の中心と合わせるようにしているので、駆動輪４のセンタリングをドライバ単独で短時間で行うことができる。又、駆動輪４の位置決め時には駆動輪４を介して大きな荷重がセンタリングローラ１０に加わるが、センタリングローラ１０はローラ１の周面上に載置されているので、実際にはシリンダ７及びピストン９には横方向の大きな荷重は加わらず、シリンダ７及びピストン９は大きな剛性を必要とせず、小形安価とすることができる。もちろん、センタリングローラ１０の操作は外部からの遠隔操作が可能であり、また運転時はセンタリングローラ１０はローラ１から離れているので、シャシーダイナモメータの運転には支障がない。
【００１１】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、流体圧により駆動されるピストンの先端間に一対のセンタリングローラを設け、このセンタリングローラ間に駆動輪を係合して駆動輪をローラの中心上に載置するようにしており、駆動輪のセンタリングをドライバ単独で短時間で行うことができる。しかも、センタリングローラはセンタリング時に突出させた際にローラの周面上に載置されるので駆動輪と係合した際にも大きな荷重は加わらず、ピストンやシリンダの剛性を小さくすることができ、小形安価となる。又、運転時にはセンタリングローラはローラ支持部上に載置されるので、運転には支障はない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明によるシャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置の縦断正面図である。
【図２】 この発明によるシャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置の平面図である。
【符号の説明】
１…ローラ
４…駆動輪
５…ピットカバー
７…シリンダ
８…支持軸
９…ピストン
１０…センタリングローラ
１１…ローラ支持部

Claims (1)

1. 回転自在なローラ上に試験車の車輪を載置し、試験車の走行性能試験を行うシャシーダイナモメータにおいて、ローラ上部の周囲をおおうピットカバーにおけるローラ中心の両側においてそれぞれ一端が上下方向回動自在に支持された一対ずつのシリンダと、ローラ中心の両側において各シリンダに一端が挿入されたピストンの他端間に回転自在に支持された一対のセンタリングローラと、ローラ中心の両側においてローラの周面近くに設けられた一対のローラ支持部を備え、駆動輪のセンタリング時には流体圧によりピストンを介して各センタリングローラを突出させることにより一対のセンタリングローラをローラの周面上に載置し、駆動輪をこのセンタリングローラ間に係合させながらローラの周面上に載置し、運転時には流体圧によりピストンを介して各センタリングローラを引っ込ませてローラ支持部上に載置するようにしたことを特徴とするシャシーダイナモメータにおける車両センタリング装置。

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