JP3665849B2 - 配線・配管材受具用の子桁 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はケーブル等の配線、配管材を引込んで通線させるケーブルラック等の配線・配管材受具の親桁間に架設された配線・配管材受具用の子桁に関するもので、特に、配線、配管材を引込むときの引込力を軽減した配線・配管材受具用の子桁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の配線・配管材受具用の子桁として、実開昭62−172210号公報に掲載の技術が開示されている。
図5及び図6において、配線・配管材受具1は一定断面形状の金属製の板材で形成された親桁2と、前記親桁2相互間に架設された複数の子桁3及び複数の延線ローラ10とで構成され、全体が梯子状をなしている。前記子桁3は、配線・配管材受具1の長さ方向に所定間隔毎に設けられており、断面が一定形状の金属製の板材等で構成されている。また、延線ローラ10は、前記子桁3との間における適宜位置に配設され、親桁2の相互間に架設されたローラ軸11と、このローラ軸11に回転自在に取付けられた円盤状の回転ローラ12とで形成され、前記ローラ軸11はその端部に設けられた蓋体11aに取付ねじ7を使用して親桁2に取付けられている。Wは回転ローラ12上に載置されたケーブルである。
【0003】
この従来の配線・配管材受具1は、回転ローラ12がローラ軸11を軸として回転するため、配線作業時に回転ローラ12上に引込み通線されたケーブルW等の配線或いは配管材を引込む引込力が軽減され、作業を楽に行なうことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ケーブルWの引込力を軽減するためには、延線ローラ10は子桁3との間において多数個設けられているのが望ましい。しかし、引込力軽減のみのために延線ローラ10を多数個配設するのは部材としての無駄があり、経済的負担が大きい。そこで、延線ローラ10を子桁3としても使用することにより、子桁3及び延線ローラ10全体のコストを低減することが考えられる。
【0005】
ところが、前記配線・配管材受具1は延線ローラ10の回転ローラ12に挿通されたローラ軸11が親桁2間に架設支持される構成となっているため、ローラ軸11は回転ローラ12を支承するべく細径の円筒或いは丸棒で形成されている。したがって、延線ローラ10を子桁3として使用するには載置強度が小さいため、通線されるケーブルW等の配線或いは配管材の引込数は制約されることとなる。
このようなことから、載置強度を大きくすることにより、ケーブルWの引込力を軽減する延線ローラとしての作用をも併有する子桁の出現が臨まれる。
【0006】
そこで、本発明は、所要の載置強度を確保でき、かつ、配線・配管材の引込力を軽減できる配線・配管材受具用の子桁の提供を課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる配線・配管材受具用の子桁は、上方に開口する支持体を配線・配管材受具の親桁間に架設し、回転ローラを前記支持体の開口より上方に突出した状態で、かつ、回転自在に内部に収容する収容体を前記支持体の内部に取付けたものである。
【0008】
請求項2の発明にかかる配線・配管材受具用の子桁は、請求項1に記載の収容体が、上方に開口を有し、前記開口の両側の縁部が、回転ローラの中心を通る水平線より上方に位置し、その間隔が前記回転ローラの直径より狭く形成され、該回転ローラを抜脱不能に収容するものである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1乃至図3に基づいて説明する。
図において、配線・配管材受具1は一定断面形状の鋼板等の金属板を一定断面形状に折り曲げて形成された親桁2と、前記親桁2の間に所定間隔をおいて複数架設された子桁3とで構成されている。前記子桁3は複数の回転ローラ4が上方に開口する四角枠状の支持体5に取付けられた収容体6の内部に収容支持されたものであり、溶接、または、図3に示すように、取付ねじ7が螺着されることによって親桁2の側面に取付けられている。Wは回転ローラ4上に載置されたケーブルである。
【0010】
ここで、前記支持体5は断面形状が一定で鋼材等の曲げ加工によって簡単に形成することができる。但し、アルミニウム材、ガラス繊維入り合成樹脂等の剛性の高い材料を押出加工によって形成してもよい。
【0011】
また、収容体6は合成樹脂により支持体5と同一長さで断面形状が一定の略コ字状に形成されたものであり、前記支持体5の全長に至ってその内壁面に密接した状態で収容されている。前記収容体6の支持部6aは回転ローラ4の直径と同一または僅かに大きくして回転ローラ4が円滑に回転できるようになっている。したがって、収容体6は回転ローラ4が円滑に回転できるよう摺動抵抗の小さい材質で形成するのが望ましい。前記支持部6aの上部の両側の縁部6bは回転ローラ4の外周面に沿って回転ローラ4の中心を通る水平線よりも所定長さ上方まで延設されており、配線・配管材受具1が反転したときに上方開口から回転ローラ4が外方に飛出さないようになっている。なお、空間6cは合成樹脂の材料コスト及び重量を軽減のために形成したものであり、必要に応じて形成すればよい。
【0012】
収容体6はこのような構造であるから、回転ローラ4の収容体6内への収容は、支持部6aの左右両側方の開口面から順次挿入することによって、或いは、収容体6の縁部6bを弾性的に左右外方に拡開して上方から挿入することによって行なわれる。そして、回転ローラ4を収容体6内に収容下後は回転ローラ4と収容体6とは一体に支持体5の側方開口から挿入されることによって、支持体5の内部に取付けられる。
【0013】
一方、回転ローラ4は軸着されることなく、自身が収容体6の支持部6a内で自転するものであり、その一部は前記支持体5の上方開口から突出し、載置されたケーブルWを直接支持している。前記回転ローラ4は合成樹脂、発泡樹脂等を使用して円柱状或いは薄肉円筒状としたものが使用され、薄肉円筒状とした場合にはアルミニウム等の軽量金属を使用することもできる。要するに、収容体6の支持部6a内で円滑に回転し、ケーブルWに対して所定の載置強度があり、かつ、軽量であれば、如何なる材質、内部形状のものも使用することもできる。
【0014】
次に、上記のように構成された本実施例の子桁の作用を説明する。
配線・配管材受具1にケーブルWを引込むとき、ケーブルWは回転ローラ4上に載置される。そこで、ケーブルWを引込めば、回転ローラ4は収容体6の支持部6a内に収容された状態で回転するので、引込力は軽減される。ここで、回転ローラ4は収容体6で支持され、更に、この収容体6は支持体5の内壁面に密接した状態でこの支持体5で支持される。したがって、ケーブルWの引込時の荷重は、従来例のように、回転ローラ12を回転するためのローラ軸11たる細径の円筒、丸棒等の部材によって支持されるのではなく、回転ローラ4を介して最終的には剛性を有する支持体5によって支持される。その結果、子桁3全体の載置強度が増大する。
【0015】
更に、回転ローラ4は収容体6の支持部6aに直接載置されているので、子桁3の構造は簡易なものとなる。
なお、上方開口の縁部は収容体6の縁部6bが介在し、回転ローラ4と支持体5の上部のフランジとは離間しているので、回転ローラ4の外表面が鋼板からなる支持体5のフランジの先端部と接触して削り取られるのが防止される。
【0016】
このように、本実施例の配線・配管材受具用の子桁は、上方に開口する支持体5を配線・配管材受具1の親桁2間に架設し、回転ローラ4を前記支持体5の開口より上方に突出した状態で、抜脱不能に、かつ、回転自在に内部に収容する収容体6を前記支持体5の内部に取付けたものである。
【0017】
したがって、金属板等からなる剛性の大きい支持体5を備えているので、所要の載置強度を有し、形状の安定した子桁3を得ることができ。このため、子桁3の取付数を増加させることなく、ケーブルW等の配線、配管材の引込力を軽減することができる。そして、子桁3ひいては配線・配管材受具1のコストを低減できる。
【0018】
また、回転ローラ4を収容、支持する部材を剛性の大きい支持体5とその内部に取付けられた軽量の収容体6とで形成しているので、載置強度を高めつつ、軽量化を図ることができるとともに、回転ローラ4を収容する収容体6を摺動抵抗の小さい合成樹脂で形成することができる。
【0019】
なお、支持板等を使用して回転ローラ4を軸枢した場合には、ケーブルWの負荷を細い軸で支持することとなって、軸が破損し易いのに対し、本発明の配線・配管材受具用の子桁は、回転ローラ4を直接収容体6に載置した構成となっているため、そのような不具合がなく、全体形状の安定した子桁3が得られ、ケーブルWを安定して引込むことができる。
【0020】
ところで、上記実施例の収容体6の支持部6aには、図4に示すように、長手方向に沿って連通する塵挨排出溝6dを形成してもよい。この場合には、回転ローラ4と支持部6aの内面との間に塵挨が付着しても、回転ローラ4の回転によって塵挨が押出され、塵挨排出溝6d内に落下して除去されるので、回転ローラ4は回転動作が阻害されることがない。塵挨排出溝6d内に蓄積された塵挨はエアー払い、刷毛払い等によって簡単に支持部6a外に除去することができる。
【0021】
また、上記実施例の回転ローラ4は、各分割体の長さがそれぞれ相違したものであってもよく、或いは、子桁3の全長に至って一体としたものであってもよい。
【0022】
更に、上記実施例の支持体5は、上部の両コーナー部を曲面に形成してもよい。この場合は、配線、配管材の引込力を一層軽減することができる。
【0023】
加えて、上記各実施例においては、配線・配管材受具1を構成する子桁を、全て本実施例による回転ローラ4を備えた子桁3で構成しているが、多数の子桁3の一部を回転ローラ4を備えていない通常の子桁に置換えて両者を併用したものとしてもよい。
【0024】
更に、上記各実施例では、ケーブルWを引込む場合を示しているが、本発明を実施する場合には、これに限定されず、他の配線、配管材を引込む場合にも同様に適用される。
【0025】
そして、本発明の配線・配管材受具用の子桁にあっては、配線・配管材受具上に引き込まれるケーブル等が接触し得る支持体の少なくとも上面部に、植毛を植設したり、植毛が植設された不織布を貼設することにより、または、前記上面部に、商品名テフロンのフッ素樹脂等の滑りの良い樹脂テープを貼設したり、その表面に前記テフロン等滑りの良い樹脂の塗布や化学処理による被膜加工を施す等、種々の引込抵抗軽減層を設けることにより、更に小さな引込力で前記ケーブル等を配線・配管材受具上に布設することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明の配線・配管材受具用の子桁は、上方に開口する支持体を配線・配管材受具の親桁間に架設し、回転ローラを前記支持体の開口より上方に突出した状態で、かつ、回転自在に内部に収容する収容体を前記支持体の内部に取付けたものである。したがって、回転ローラを収容体に収容し、更に、この収容体を剛性を大きくした支持体で支持しているので、載置強度の大きい、形状の安定した子桁を得ることができるとともに、配線・配管材の引込力を軽減できる。このため、子桁の取付数を増加させることなく、配線・配管材の引込力を軽減することができ、子桁ひいては配線・配管材受具のコストを低減できる。また、回転ローラを収容、支持する部材を支持体とその内部に取付けられた収容体との2部材で形成しているので、支持体で載置強度を高めつつ、収容体で軽量化を図ることができ、かつ、回転ローラを収容する収容体は摺動抵抗の小さい材質で形成することができる。
【0027】
請求項2の発明の配線・配管材受具用の子桁は、請求項1に記載の収容体が、上方に開口を有し、前記開口の両側の縁部が、回転ローラの中心を通る水平線より上方に位置し、その間隔が前記回転ローラの直径より狭く形成され、該回転ローラを抜脱不能に収容するものである。したがって、運搬中或いは配線・配管施工中に配線・配管材受具が傾き、反転しても、回転ローラが抜外れるのを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の配線・配管材受具用の子桁を示す斜視図である。
【図2】図1の子桁を示す側面図である。
【図3】図1の子桁を示す一部破断正面図である。
【図4】本発明の別の実施例における配線・配管材受具用の子桁を示す斜視図である。
【図5】従来の配線・配管材受具を示す斜視図である。
【図6】図5の延線ローラを示す要部正面図である。
【符号の説明】
1 配線・配管材受具
2 親桁
3 子桁
4 回転ローラ
5 支持体
6 収容体
W ケーブル
Claims (2)
- 配線・配管材受具の親桁間に架設され、上方に開口する支持体と、
配線・配管材の引込力を軽減する回転ローラと、
前記支持体の内部に取付けられ、前記回転ローラを前記支持体の開口より上方に突出した状態で、かつ、回転自在に内部に収容する収容体と
を具備することを特徴とする配線・配管材受具用の子桁。 - 前記収容体は、上方に開口を有し、前記開口の両側の縁部が、前記回転ローラの中心を通る水平線より上方に位置し、その間隔が前記回転ローラの直径より狭く形成され、該回転ローラを抜脱不能に収容することを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材受具用の子桁。
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