JP3665174B2 - 作業車両の揺動機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車両の機体上部を走行装置に対して手動及び自動で揺動駆動できるようにする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走行装置上に機体上部を揺動自在に支持して、該走行装置と機体上部の間に油圧シリンダーを介装し、機体上部には傾斜センサーを配置して、該傾斜センサーの信号によって機体を水平に保つように、油圧シリンダーを駆動する技術は公知となっているのである。例えば、特開平8−37875号や特開平8−37876号の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術の場合、機体上部の揺動駆動は、手動のみの操作で揺動させるか、或いは、傾斜センサーからの信号によって自動のみで揺動させるかの駆動制御であったので、手動のみの場合には、傾斜地を作業する場合には常に揺動切換操作をする必要があり、作業時の操作が増加して、オペレーターの負担が大きくなっていた。
また、自動制御を行うと、傾斜に対して自動的に機体上部を水平に保つのであるが、平坦地から傾斜地へ移るときや、傾斜地での旋回等急激な傾斜の変化に対しては作動遅れが生じて、オペレーターは無理な姿勢で操作する必要があった。そしてこのとき自動制御であるため、オペレーターの意思で揺動駆動操作することができなかったのである。
また、油圧シリンダーを複動型とした場合には、ロッド側室とヘッド側室でわずかではあるが、容量が異なるために伸長時と縮小時の作動速度が異なり、左右傾斜駆動したときにの傾斜速度が異なり違和感を感じることがあった。また、機体を停止したときに油のリークによって傾くことがあったのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。
クローラー式走行装置1の前部に、作業機装着装置Bを介して草刈機Dを昇降可能に支持し、該クローラー式走行装置1上に機体上部32を揺動軸33により枢支し、油圧シリンダー69を伸縮することにより、機体上部32を左右に揺動可能に支持した構成におい て、該油圧シリンダー69は、ソレノイド67a・67bを具備した電磁切換バルブ67の切り換えにより揺動すべく構成し、該電磁切換バルブ67を、コントローラCの制御により傾斜センサー34からの信号で揺動を行う自動モードと、手動操作手段により揺動制御を行う手動モードとに切換える自動・手動切換スイッチ40を設けるとともに、自動モード時にも、手動操作を優先すべく構成し、前記油圧シリンダー69を複動型とし、前記切換バルブ67の油圧シリンダー69側に、流量制御手段としての絞り36・36とチェック弁37・37を介装し、該絞り36とチェック弁37を並列接続し、油圧シリンダー69のヘッド側とロッド側に通ずる油路のそれぞれに配設し、更に、前記ソレノイド67a・67bと並列に非常揺動スイッチ39を接続し、コントローラCが故障した場合に手動で揺動駆動可能としたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の解決すべき課題及び手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明の揺動駆動機構を装備した草刈作業車の側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく後面図、図4は同じく機体上部を傾倒させた状態の後面図、図5は油圧回路図、図6は制御ブロック図である。
【0006】
図1、図2、図3より走行作業車として、ハンマーナイフ型草刈機を作業機とした草刈作業車の全体構成から説明する。
草刈作業車は走行機体Aの前部に作業機装着装置Bを介して草刈機Dを装着しており、走行機体Aはクローラー式走行装置1上に、機体上部が後述する揺動駆動手段によって揺動できるように揺動自在に支持され、該機体上部にはエンジンやミッションケースを載置して、本体カバー2によって覆っている。機体後部にはステップ9が上方へ折り畳み収納可能に配置され、作業者が歩行しながら、または、ステップ9に乗りながら運転操作できるようにしている。
【0007】
また、走行機体Aの前部中央に、動力取出ケース10が配置され、該動力取出ケース10の側部よりPTO軸を突出し、該PTO軸に出力プーリー11が固設されている。一方、草刈機Dのカバー13の右側上部に伝動軸受14が左右方向に横設され、該伝動軸受14内に伝動軸が横架され、該伝動軸の一端に入力プーリー12が固設され、他端は草刈機D側部に設けた伝動ケース15に入力し、前記入力プーリー12と出力プーリー11の間にはベルト16が巻回されて、伝動軸、伝動ケース15を介してカバー13内の刈刃を装着した刈取軸19を駆動する構成としている。
【0008】
そして、作業機装着装置Bは、走行機体Aの前部両側に枢支部が配置され、本実施例ではトラックフレームより前方に支持フレーム20・20を突出し、該支持フレーム20・20の前上端に昇降アーム21・21の後端を枢支ピン22・22によって枢支している。該昇降アーム21・21間の前部には、支持シャフトが横架され、前記草刈機Dのカバー13の上後面のヒッチに係止され、昇降アーム21・21の前下部とヒッチの下部をピン34によって固定できるようにし、該ピン34の抜き差しと支持シャフトの係合によって草刈機Dを着脱可能としている。
【0009】
また、前記支持シャフトの中央部には支持プレート26・26が固設され、該支持プレート26に油圧シリンダー29のピストンロッドが枢結され、該油圧シリンダー29の伸縮によって昇降アーム21を上下回動して草刈機Dを昇降できるようにしている。
【0010】
そして、本体カバー2の後部上には運転部が配置され、図2、図3に示すように該運転部はハンドル4が本体カバー2後面より操作パネル3の上方周囲を囲むように平面視「コ」字状に配置され、該ハンドル4の前部左側と、側部中央にそれぞれグリップ4a・4bが設けられ、グリップ4aは斜面地を登降するときに使用し、グリップ4bは平坦地を走行するときに使用する。そして、手動操作手段として該グリップ4aの側部に揺動手動スイッチ25a、グリップ4bの側部に揺動手動スイッチ25bが設けられている。
【0011】
また、前記操作パネル3上には、走行変速レバー5や作業クラッチレバー6やアクセルレバー7等が突出され、該走行変速レバー5には昇降スイッチ8が配置され、該走行変速レバー5の側部の操作パネル3上には作業機の高さ表示部、本実施例では作業機が草刈機であるので刈り高さ表示部17が設けられている。その側部には後述するスイングランプ27や水温ランプやバッテリーランプ等を配置した表示パネル28が配置され、更にその側部には揺動駆動の自動・手動切換スイッチ40が配置されている。31は走行中立ロックレバーである。また、コントローラCが操作パネル3下部に収納されている。
【0012】
そして、本発明は機体上部32を揺動駆動できるようにしており、図3に示すように、クローラー式走行装置1のトラックフレーム23より上方に支持フレーム24が立設され、該支持フレーム24の上部に揺動軸33が軸支され、該揺動軸に機体上部32のフレームが枢支されている。
また、前記トラックフレーム23には、揺動駆動手段として複動型の油圧シリンダー69が枢支され、該油圧シリンダー69のピストンロッド69a先端は揺動軸33のアーム33aに枢支されている。このようにして、油圧シリンダー69を伸縮することによって機体上部32を左右に揺動することができるのである。そして、機体上部32の任意位置には絶対角を検知する角度センサーからなる傾斜センサー34が配置されている。
【0013】
次に、油圧回路を図5より説明する。
エンジンEの駆動力によって、可変容量型の油圧ポンプP1L・P1Rと定容量型のチャージポンプP2・P3が駆動され、前記油圧ポンプP1Lに油路60・61を介して油圧モータMLと接続され、閉回路が構成されて、左側のクローラーを駆動するHST式変速装置が構成され、前記油圧ポンプP1Rに油路62・63を介して油圧モータMRと接続され、閉回路が構成されて、右側のクローラーを駆動するHST式変速装置が構成されている。該油圧モータML・MRにはそれぞれブレーキ64L・64Rが内蔵されており、圧油を送油することによって制動を解除する構成とし、油圧モータML・MRの駆動軸にはクローラー式走行装置1の駆動スプロケットを固定している。
【0014】
前記チャージポンプP3の吐出ポートには分流弁70が接続され、該分流弁70から分岐した油路の一方はチェックバルブ71・71・・・を介して前記HST式変速装置の閉回路内の油圧が設定油圧より低い場合に補給するようにしている。また、分流弁70から分岐した他方の油路は切換バルブ72と接続され、該切換バルブ72の二次側は前記ブレーキ64L・64Rと接続されている。
そして、前記切換バルブ72は電磁バルブより構成され、そのソレノイド72aは走行変速レバー5が中立のとき作動されず、走行変速レバー5を操作した時にソレノイド72aを作動させてブレーキ64L・64Rへ圧油を送油して制動を解除するように構成している。
【0015】
前記チャージポンプP2の吐出ポートには分流弁65が接続され、該分流弁65から分岐した油路の一方は前記草刈機Dを昇降する油圧シリンダー29の伸縮を切換える切換バルブ66と接続され、前記昇降スイッチ8の操作で切り換えられるようにしている。分流弁65から分岐した他方の油路は切換バルブ67と接続され、該切換バルブ67は4ポート3位置切換の電磁弁からなり、該切換バルブ67の二次側にはパイロットチェック弁35・35と流量制御手段としての絞り36・36とチェック弁37・37を介して前記油圧シリンダー69と接続されている。
【0016】
前記パイロットチェック弁35・35のパイロット油路はそれぞれ互いに一方の一次側から他方のパイロットチェック弁の制御側と連通して、油圧シリンダー69へ圧油を送油するときのみ、他方の戻り側の油路が開いて両方向に連通するようにしており、油圧シリンダー69を駆動しないときには常に油圧シリンダー69への油路をブロックして、非駆動時に漏れによって機体上部32の傾斜が変更されないようにしている。
【0017】
前記絞り36とチェック弁37は並列接続されて、油圧シリンダー69のヘッド側とロッド側に通ずる油路それぞれに配設され、圧油をシリンダーへ送油するときにはチェック弁37を通過し、戻り油は絞り36を通過し、この絞り36によって流量が制限されて、伸長時と縮小時にヘッド側室とロッド側室の容量が異なるために生ずる速度差をなくして、伸長速度と縮小速度が一定となるようにしている。
【0018】
そして、前記切換バルブ67のソレノイド67a・67bは、図6に示すように、コントローラCと接続され、該コントローラCには前記揺動手動スイッチ25a・25b、スイングランプ27、自動・手動切換スイッチ40、傾斜センサー34が接続され、該傾斜センサー34にはセンサーチェックコネクタ38が並列に接続され、電源としてバッテリー41が接続され、更に、コントローラCが故障した場合に手動で揺動駆動できるように、非常揺動スイッチ39が前記ソレノイド67a・67bと並列に接続されている。
【0019】
このような構成における制御は次のように行われる。前記自動・手動切換スイッチ40を切り換えて、自動モードのときには、スイングランプ27が点灯され、傾斜センサー34の信号をコントローラCに入力して、水平かどうかを演算し、機体上部32が水平に対して傾斜して制御信号を送ると、油圧シリンダー69を水平となるように作動する。
つまり、左下がりの傾斜地を走行する場合には、図4に示すように、切換バルブ67のソレノイド67bを作動させて、圧油をパイロットチェック弁35、チェック弁37を介して油圧シリンダー69のロッド側へ送油し、油圧シリンダー69を縮小させて、機体上部32の右側を上昇させる。
なお、このとき油圧シリンダー69からの戻り油は一方のパイロットチェック弁35へ圧油が送油されているために、パイロット油路を介して他方のパイロットチェック弁35を開き、油圧シリンダー69のヘッド室からの作動油は絞り36、パイロットチェック弁35、切換バルブ67を介してタンクへドレンされる。また、反対方向に戻す時や右下がり傾斜地で水平に制御する場合には前記と逆に作動される。
【0020】
そして、前方に傾斜地があり、油圧シリンダー69の作動を予想できる場合には、その作動遅れを相殺できるように、自動モードであっても手動操作が優先され、揺動手動スイッチ25aまたは25bを操作して、切換バルブ67を切り換えて、前記同様に油圧シリンダー69を伸縮して機体上部32の傾斜を変更できる。このときスイングランプ27は消灯され、手動モードに切り替わる。この手動モードでは前記揺動手動スイッチ25aまたは25bの操作で、任意の傾斜に変更することができる。そして、自動・手動切換スイッチ40をもう一度押すと自動モードとなる。
また、コントローラCが故障の場合やエラーが生じた場合には、スイングランプ27は点滅する。このとき自動で傾斜は制御されず、揺動手動スイッチ25aまたは25bによって操作でき、また、揺動手動スイッチ25aまたは25bによっても操作できない場合、非常揺動スイッチ39の操作で油圧シリンダー69を伸縮させることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上の如く構成したことにより、次のような効果が得られる。
即ち、切換バルブを傾斜センサーからの信号により揺動制御を行う自動モードと、手動操作手段により揺動制御を行う手動モードとに切換える手段を設けたので、自動モードでは傾斜センサーからの信号によって、機体上部は常に水平となるように制御され、オペレーターは操作する必要がなく走行の操作に専念でき、また、手動操作に切り換えれば、任意の傾斜角度とすることができ、メンテナンス等も容易に行える。
また、自動モード時に手動操作を優先して行うように構成したので、先を見越して、作動遅れに合わせて機体上部を傾斜させることができ、不意な傾斜変化にも手動で容易に対処でき、所望の傾斜角に変更することもできる。
【0022】
また、油圧シリンダーを複動型とし、前記切換バルブ67の油圧シリンダー69側に、絞り36・36とチェック弁37・37を介装し、該絞り36とチェック弁37を並列接続し、油圧シリンダー69のヘッド側とロッド側に通ずる油路それぞれに配設し、圧油をシリンダーへ送油するときにはチェック弁37を通過し、戻り油は絞り36を通過し、この絞り36によって流量が制限されて、伸長時と縮小時にヘッド側室とロッド側室の容量が異なるために生ずる速度差をなくして、伸長速度と縮小速度が一定となるように構成したので、流量制御手段によって、戻り側の流量が制限されて、上昇時も下降時も同じ速度で昇降でき、違和感がなくなり、スムーズに揺動されるようになる。
【0023】
更に、前記ソレノイド67a・67bと並列に非常揺動スイッチ39を接続し、コントローラCが故障した場合に手動で揺動駆動可能としたので、コントローラCが故障の場合やエラーが生じた場合には、スイングランプ27は点滅する。
このとき、揺動手動スイッチ25aまたは25bによっても操作できない場合、非常揺動スイッチ39の操作で油圧シリンダー69を伸縮させることができるようになったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の揺動駆動機構を装備した草刈作業車の側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 同じく後面図である。
【図4】 同じく機体上部を傾倒させた状態の後面図である。
【図5】 油圧回路図である。
【図6】 制御ブロック図である。
【符号の説明】
A 走行機体
C コントローラ
D 草刈機
P2 油圧ポンプ
1 クローラー式走行装置
25a・25b 揺動手動スイッチ
32 機体上部
34 傾斜センサー
35 パイロットチェック弁
36 絞り
40 自動・手動切換スイッチ
67 切換バルブ
69 油圧シリンダー

Claims (1)

  1. クローラー式走行装置1の前部に、作業機装着装置Bを介して草刈機Dを昇降可能に支持し、該クローラー式走行装置1上に機体上部32を揺動軸33により枢支し、油圧シリンダー69を伸縮することにより、機体上部32を左右に揺動可能に支持した構成において、該油圧シリンダー69は、ソレノイド67a・67bを具備した電磁切換バルブ67の切り換えにより揺動すべく構成し、
    該電磁切換バルブ67を、コントローラCの制御により傾斜センサー34からの信号で揺動を行う自動モードと、手動操作手段により揺動制御を行う手動モードとに切換える自動・手動切換スイッチ40を設けるとともに、自動モード時にも、手動操作を優先すべく構成し、
    前記油圧シリンダー69を複動型とし、前記切換バルブ67の油圧シリンダー69側に、流量制御手段としての絞り36・36とチェック弁37・37を介装し、該絞り36とチェック弁37を並列接続し、油圧シリンダー69のヘッド側とロッド側に通ずる油路のそれぞれに配設し、
    更に、前記ソレノイド67a・67bと並列に非常揺動スイッチ39を接続し、コントローラCが故障した場合に手動で揺動駆動可能としたことを特徴とする作業車両の揺動機構。
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