JP3664436B2 - 麦若葉末の造粒物およびその製造方法 - Google Patents

麦若葉末の造粒物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、麦若葉末の造粒物およびその製造方法に関する。さらに、本発明は、麦若葉末の造粒物を口臭除去食品、虫歯予防食品、咀嚼用食品あるいは動物用飼料として提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、野菜に含まれる食物繊維には、整腸作用などの効果が認められている。麦若葉は、ビタミン、ミネラルのような栄養素のほかにも食物繊維とクロロフィルを多く含み、その乾燥粉末は食物繊維に富み、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼの活性化などの効果を有することが知られており、健康食品の素材として注目を浴びている。
【0003】
麦若葉末に関しては、その製法、用途が種々提案されている。例えば、特開2000-300209号公報、特開2001-29401号公報には、麦若葉末の製造方法と、この麦若葉末を水あるいはお湯に溶かして飲用するほか、麦若葉末に乳糖、麦芽糖、セルロース、デキストリンなどの賦形剤、結合剤、または増粘剤を加えて形状を整え、顆粒、錠剤に成形して、飲用に供されることが示唆されている。しかしながら、顆粒は、水、お湯、ミルクなどに溶解して飲用することを前提に、溶解性を考慮して成形され、また、錠剤は、そのまま嚥下することを前提に成形されており、麦若葉自体を咀嚼する目的で成形されたものはない。噛めるほどの硬さおよび大きさに造粒することには困難性があり、未だ、飲用ではなく、咀嚼できる硬度および大きさに成形する方法が提供されていないのが現状である。
【0004】
麦若葉末を咀嚼できる大きさに造粒することにより、咀嚼することによって頭脳の働きが良好となる。特に、現代人は、柔らかい食事を好み、よく噛むことなく飲み込んでしまうことから、あごの力が弱くなっていることが指摘されている。また、麦若葉の成分が体調を整える、便通がよくなる、緑色の麦若葉にはクロロフィルを多く含まれるので消臭効果を有する、などの優れた効果があると考えられる。
【0005】
そのうえ、近年の消費者は自然食指向であり、賦形剤、結合剤あるいは増粘剤などが添加されている食品よりも純粋な健康食品素材のみか、できるだけ賦形剤などを含まずに調製されたもの、あるいは添加されていたとしてもそれ自身が単に賦形、結合の役割だけでなく機能性を有しているものを望んでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、麦若葉末のみからなる造粒物が提供され、あるいは、できるだけ結合剤などの添加を抑制した麦若葉末の造粒物が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、麦若葉末を造粒する方法を鋭意検討した結果、食感および機能性に優れた造粒物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、麦若葉末と、水とを混合し、捏和して得られた混練物を押出し成形し、乾燥して得られる、麦若葉末の造粒物に関する。
【0009】
本発明は、また、麦若葉末と、水と、エタノールとを混合し、捏和して得られた混練物を押出し成形し、乾燥して得られる、麦若葉末の造粒物に関する。好ましい実施態様では、上記いずれかの麦若葉末の造粒物は、さらに結合剤を含有する。
【0010】
本発明は、また、麦若葉末と、水とを混合し、捏和する工程;得られた混練物を押出し成形する工程;および、押出し成形された成形物を乾燥する工程;を含む、麦若葉末の造粒物の製造方法に関する。
【0011】
1つの実施態様において、前記捏和する工程においてさらにエタノールを混合する。
【0012】
好ましい実施態様においては、前記捏和工程でさらに結合剤が添加される。
【0013】
また、好ましい実施態様においては、前記結合剤が、α化デンプン、難消化性デキストリン、オリゴ糖または乳糖である。
【0014】
本発明は、また、前記いずれかの麦若葉末の造粒物からなる口臭除去食品、虫歯予防食品、咀嚼用食品あるいは動物用飼料に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される麦若葉末は、その製法を問わず、乾燥された麦若葉末であればよい。麦類としては、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などが挙げられるがこれらに限定されない。麦類の若葉は、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂開始期前(背丈が20〜40cm程度)に収穫されることが好ましい。これらの麦類の中でも、大麦若葉がより好ましく用いられる。
【0016】
麦若葉は収穫後、直ちに処理することが好ましい。処理までに時間を要する場合、変質を防ぐために、低温貯蔵などの、当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵される。
【0017】
上記麦若葉を、必要に応じて、水(好ましくは25℃以下の冷水)で洗浄し、泥などを洗い落とし、水気を切った後、さらに必要に応じて、適当な長さ(例えば、約10cm)に切断する。
【0018】
次に、麦若葉のブランチング処理を行う。ブランチング処理は、熱水処理、水蒸気処理などの高温処理をいう。熱水を用いる場合について説明すると、麦若葉を、例えば、80〜110℃、好ましくは90〜105℃の熱水中に、30秒〜10分間、好ましくは1〜5分間浸漬することにより行われる。ブランチングに用いる熱水には、0.001〜1重量%の食塩、または重曹、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ剤あるいはその両方を含んでいてもよい。炭酸カルシウムとしては、市販の炭酸カルシウム粉末が用いられるが、卵殻カルシウム、ホタテ殻カルシウム、サンゴカルシウム(ドロマイト)も用いられ得る。
【0019】
このブランチング処理により、麦若葉を乾燥粉末にしたときに、褪色の原因となる酵素は完全に失活するので、乾燥粉末が鮮やかな緑色を保持する。また、嗜好性も保持される。
【0020】
ブランチング処理に代えて、例えば、特開2000-300209号公報に記載のようにマイクロウエーブ処理を行うこともできる。この処理により得られた麦若葉末は、ブランチング処理された麦若葉末に比べて、造粒性に優れている。
【0021】
なお、ブランチング処理の前に、麦若葉中に含まれる、血圧降下作用を有するγ−アミノ酪酸(以下、GABAという)の量を増加させる処理(GABA富化処理)を行うことが好ましい。GABA富化処理には、特開2001-29041号公報に記載の方法が採用される。
【0022】
GABA富化処理は、また、グルタミン酸またはその塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム)を含有する液に麦若葉を浸漬することによっても行われる。グルタミン酸またはその塩は、好ましくは麦若葉に対して0.01〜40重量%、より好ましくは0.02〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%添加される。グルタミン酸処理は、通常約10〜55℃で行われ、好ましくは20〜50℃で、より好ましくは25〜45℃で行われる。pHは通常3.5〜9.0、好ましくは4.0〜8.0、より好ましくは4.5〜7.0、最も好ましくは5.0〜6.0である。GABA富化処理の時間は、10分〜24時間行うのがよい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に増加する。
【0023】
GABAは、ブランチング処理により損失するので、予めGABA富化処理を行うことにより、ブランチング処理後も、GABAがかなりの量残存するので好ましい。
【0024】
続いて、上記ブランチング処理あるいはマイクロウエーブ処理された麦若葉は、水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥される。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの、当業者が通常用いる任意の方法により行われ得る。乾燥は、好ましくは、50〜90℃、より好ましくは55〜65℃で、麦若葉が変色しない時間、行われる。
【0025】
乾燥された麦若葉は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの、当業者が通常用いる機械または道具により粉砕され、麦若葉末が得られる。
【0026】
麦若葉末の大きさには、特に制限はないが、メジアン径が20μm前後の微粉末から、メジアン径が250μm程度の粗粉末、あるいは、片面の面積が5mm程度の大きさの砕片までの、種々の大きさの麦若葉末が用いられる。
【0027】
以下、本発明の、麦若葉末を造粒する方法について説明する。一般的に食品素材を造粒する方法としては、攪拌造粒、流動層造粒、押出し造粒、転動造粒などがあるが、本発明では押出し成形を用いて造粒を行う。押出し造粒装置を用いることにより、麦若葉末を、咀嚼を誘発する硬度および大きさまで造粒できる。押出し成形機を用いる造粒方法では、粉末を大きな塊にする捏和工程を行うことが必要であるのに対して、他の造粒方法では、捏和に相当する混合(混和)と造粒工程を同時に行うという相違がある。押出し造粒装置を選択することにより、結合剤あるいは賦形剤を添加しなくとも、あるいは少量の結合剤の添加で、麦若葉末を造粒できる。
【0028】
本発明の麦若葉末の造粒物は、麦若葉末と、水とを混合し、捏和して得られた混練物を押出し成形し、乾燥することにより得られる。
【0029】
造粒物の食感を調整するために、水に加えてエタノールを添加して造粒してもよい。エタノールの添加は、乾燥時間の短縮、熱に弱い素材および成分の分解防止に効果がある。また、難水溶性の素材または成分の均一混合を促進し、捏和時の水の浸透を促進する効果も有する。
【0030】
麦若葉末と、水との混合割合は、好ましくは、麦若葉末100重量部に対して、水が3〜50重量部、好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。そして必要に応じて添加するエタノールは1〜45重量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。水とエタノールを併用する場合には、麦若葉末100重量部に対して、合計で4〜50重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは、10〜30重量部添加する。
【0031】
咀嚼回数を多くさせるため、あるいは食感を硬くするためには、エタノールの添加量を抑え、そしてさらに圧縮時にかかる圧力を大きくする。他方、咀嚼により造粒物が口の中で崩れやすくするためには、エタノール含量を上げる。ただし、エタノール含量を上げる場合にも、水:エタノールの比が、重量比で1:15程度、好ましくは1:3程度までで抑えることが好ましい。
【0032】
本発明の麦若葉末の造粒物は、水または水とエタノール以外に、特に結合剤を必要としない。しかし、一般に使用する麦若葉末の大きさが大きくなるに従って造粒しにくくなるので、造粒し易くするために、結合剤を添加してもよい。結合剤としては、天然の素材が好ましく、糊剤として作用するα化デンプン、難消化性デキストリン、オリゴ糖、乳糖などが好ましく用いられる。
【0033】
α化デンプンを使用することにより、結合剤の使用量を抑えた状態で、硬度を上げることができる。
【0034】
難消化性デキストリンは、糊の役割を果たすと同時に、その素材自身が機能性を有している。難消化性デキストリンが有する機能性としては、例えば、整腸作用や食後血糖値の急上昇抑制などが挙げられる。
【0035】
オリゴ糖としては、例えば、乳果オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖が好ましく用いられる。その他のオリゴ糖としては、ラクチュロース、パラチノース、ラフィノース、スタキオース、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、トレハロースなどを選択することができる。
【0036】
これらのオリゴ糖は、腸内の善玉菌により資化されて整腸作用をもたらし、麦若葉の食物繊維と相俟って相乗的な整腸効果が得られる。
【0037】
乳糖も腸内ビフィズス菌により資化されて整腸作用をもたらし、麦若葉の食物繊維を相俟って相乗的な整腸効果が得られる。
【0038】
これらの結合剤は、100重量部の麦若葉末に対して1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部添加される。また、結合剤は単独か、あるいは2以上を組み合わせて用いられてもよい。硬度を上げる場合には、この結合剤の添加量を増やせば良い。さらに硬度を増したいときは、上記30重量部以上の範囲でも添加して硬度を増すことができる。また、これらの結合剤は、あらかじめ麦若葉末に混合しておいてもよく、水またはエタノールまたはその混液に溶いたものを添加してもよい。そして、本発明の造粒物は、例えば、以下の配合例を有する(数字は重量部である):
麦若葉末:α化デンプン=98:2
麦若葉末:難消化性デキストリン=90:10
麦若葉末:乳糖=90:10
そして、これらの混合物100重量部に対して、例えば、水を10〜30重量部、エタノールを1〜10重量部、好ましくは水を10〜25重量部、エタノールを1〜5重量部添加する。
【0039】
また、カルシウムを添加することにより、造粒性が増し、造粒物の表面が整うだけでなく、歯ごたえが良くなることから、咀嚼の回数も多くなる。添加するカルシウムとしては、卵殻カルシウム、ホタテ殻カルシウム、サンゴカルシウム(ドロマイト)などの天然物由来のカルシウムが好ましく用いられる。
【0040】
水とエタノールとを使用する場合、麦若葉末と水とエタノールの添加に特に順序はなく、水、エタノールの順に、もしくはその逆の順に加えても良く、あるいは水とエタノールとを混ぜた混液を添加しても良い。混合機中にこれらの素材、および必要に応じて結合剤を投入し、混合、捏和する。混合機は、押出し成形機に備え付けられていてもよい。
【0041】
本発明の造粒物とそれからなる食品は、麦若葉末のみで構成されても良いが、他の食品素材を添加しても良い。
【0042】
本発明の口臭除去食品は、麦若葉末の造粒物を含むことにより得られる。麦若葉末には、食物繊維とクロロフィルが含まれており、上記造粒物の咀嚼要求性と相俟って相乗的な、口臭除去効果が得られる。すなわち、従来の顆粒や錠剤では、咀嚼されることなく嚥下されていたため、麦若葉末の食物繊維とクロロフィルを口腔内で利用して口臭除去効果は得られることがなかった。
【0043】
また、本発明の口臭除去食品には、必要に応じて、さらにクロロフィルを添加することができる。これにより、クロロフィルによる口臭除去効果を増強することができる。
【0044】
本発明の虫歯予防食品は、麦若葉末の造粒物を含むことにより得られる。麦若葉末には、豊富な食物繊維が含まれており、上記造粒物の咀嚼要求性と相俟って相乗的な虫歯予防効果が得られる。すなわち、従来の顆粒や錠剤では、咀嚼されることなく嚥下されていたため、麦若葉末の食物繊維が、歯と接触することなく食されていた。これに対して、本発明の虫歯予防食品は、咀嚼時に、歯とからみつき歯垢や食べ物のかすをまきこみ、吸着しながら、嚥下されるため虫歯予防に優れている。
【0045】
また、この虫歯予防食品には、乳酸菌を添加すると良い。これにより造粒物を咀嚼する際に、乳酸菌が口腔内にゆきわたり、歯周病菌の増殖を抑えると同時に歯周を破壊する酵素の活性を抑え、虫歯予防を増強することができる。
【0046】
本発明の咀嚼用食品は、麦若葉末の造粒物を含むことにより得られる。麦若葉には、咀嚼を誘発するのに十分な食物繊維が含まれており、そしてさらに咀嚼の必要な大きさと硬度で成形されていることにより、咀嚼回数が多くなる。咀嚼行為は、脳の働きを活性するといわれており、また柔らかいものを食するようになって咀嚼の回数が減りあごが弱くなっている現代人にとっては、健康維持の面からも好ましい。
【0047】
本発明の咀嚼用食品には、食感と咀嚼時の味の伝わり方から、きなこ、ピーナッツ、ゴマ、酵母(酵母エキスを含む)などを添加することが好ましく、ピーナッツ、ゴマなどの場合は、ペースト状のものを使用することが好ましい。例えば、難消化性デキストリンの機能性を目的として多量に添加して、粘性が上がりすぎた場合には、ペースト状のピーナッツあるいはゴマを添加して、押出し成形時の粘度を調整できる。なお、咀嚼用食品とは、咀嚼を誘発する食品をいう。
【0048】
本発明の動物用飼料は、麦若葉末の造粒物を含むことにより得られる。麦若葉末には、豊富な食物繊維が含まれており、整腸作用から体臭や糞便臭を抑えることができる。
【0049】
また本発明の動物用飼料には、牛、豚、羊、鶏などの畜肉由来の加工品、例えば、チキンエキスパウダー、あるいは魚肉エキスなどを配合すると良い。これにより、飼料への食いつきが良くなる。
【0050】
上記食品において、他の食品素材とを組み合わせる場合には、食品の用途に関わらず任意の組み合わせが可能である。例えば、クロロフィルと乳酸菌を同時に添加することにより、口臭除去と虫歯予防効果が増強された食品を得ることができる。
【0051】
なお、麦若葉末以外の他の素材を配合する場合には、水もしくはエタノールまたはその混合液の添加量は、他の素材と麦若葉末との合計量を固形分量とみなしてその100重量部に対して、上記と同量の添加量である。
【0052】
上記のように捏和して得られた捏和物は、次いで、押出し成形機にかけて造粒する。押出し成形には、食品、医薬品などの製造に用いられる押出し成形機が好ましく用いられ、スクリュー型、ロール型、ブレード型、自己成形型、ラム型などの押出し成形機が用いられる。スクリュー型押出成形機、ブレード型のバスケット式押出し造粒機が好ましく用いられる。
【0053】
スクリュー型押出し成形機を用いて造粒する場合、ダイの形状を円形、矩形などの形状とすることにより、種々の形状の造粒が可能である。この型の押出し成形機は、混練物を送り部で圧縮混練しながら、ダイスの孔から押出し成形する。このような型の押出し造粒装置としては、例えば不二パウダル(株)のEXDシリーズの装置(例えば、EXDS−60)が挙げられる。この押出装置は、孔径が7〜10mm程度の比較的大きい造粒物を得る場合に、好ましく用いられるが、造粒後、カットが必要となる。
【0054】
また、不二パウダル(株)のFシリーズのディスクぺレッター装置(例えば、F−5)も好ましく用いられる。この装置は、孔径が7〜10mm程度の比較的大きい造粒物を得る場合に、好ましく用いられる。また、この装置は、圧縮熱を発生するので、造粒性が向上し、さらに、カッターを備えているので、寸法が整った造粒物が得られる。特に、結合剤としてデンプンを用いる場合は、加熱により、結合性を向上させることができて便利である。
【0055】
また、バスケット式押出し造粒機を用いても、スクリーンの孔径を変えることにより、種々の大きさの、麦若葉末の造粒物が得られる。バスケット式押出し造粒機を用いる場合、まず、麦若葉末に、水およびエタノール、必要に応じて、結合剤を添加し、捏和して麦若葉末を塊状とし、スクリーンから圧力をかけて押出し、造粒する。スクリーンの孔径は特に制限されないが、3〜10mmなど、目的に従って、大きさを変えればよい。例えば、不二パウダル(株)のBRシリーズの装置が挙げられる。
【0056】
得られた麦若葉の造粒物は、ついで、乾燥される。乾燥は、70℃以下、好ましくは65℃で行われる。温度を70℃以下に保つことにより、麦若葉の栄養分を損なうことなく、適度な硬さの造粒物が得られる。少し硬い造粒物を得るには、70℃で行うとよい。また、造粒物の硬度を上げるためには、結合剤の添加量を上げておいてもよい。さらに、初発温度を例えば70℃とし、徐々に温度を下げて65℃にすることなど、初発温度を比較的高く設定し、徐々に低下させていくことによって、表面を硬くすることもできる。このように、乾燥条件により、食感を変えることができる。
【0057】
乾燥時間は、乾燥温度および造粒物の大きさに依存して変動する。例えば、5mmのスクリーンを有するバスケット式押出し造粒機を用いて得られた造粒物を乾燥する場合、65℃で15時間行えば十分であり、乾燥の程度を見ながら、適宜決定すればよい。
【0058】
得られた造粒物は、用いる麦若葉末の大きさより、食感が異なる。例えば、メジアン径が20μm前後の微粉末から得られる造粒物は、口中で軽く何度か噛めば全体が崩れるような食感があり、メジアン径が250μm程度の粗粉末を用いた場合は、やや強く噛んで崩れるような食感があり、微粉末よりも咀嚼を誘発する。砕片から造粒された造粒物は、噛み応えのある食感を有している。なお、麦若葉粉末が、上記微粉末〜砕片までの間の大きさであれば、造粒できることは言うまでもない。なお、大き目の麦若葉末を造粒する場合は、前記微粉末あるいは粗粉末を適宜混合することが、造粒の点から好ましい。これらの配合割合は、造粒の程度を観察しながら、適宜、調整すればよい。
【0059】
造粒物の形状、大きさには制限がないが、好ましくは、ブロック状、ペレット状である。大きさは、咀嚼できる大きさで、その形状の最短部分の大きさ2mm以上、4mm以上、5mm以上、7mm以上、あるいは10mm以上であり得、目的、用途に応じて、好ましい範囲を決定すればよい。造粒物は食べやすい大きさに成形されており、好ましくは、15mm以上の体積を有している。
【0060】
このようにして得られた麦若葉末の造粒物は、そのまま、アルミパックなどに充填し、保存される。保存状態は良好で、40℃、湿度70〜75%のインキュベーター中で1ヶ月静置した場合、あるいは冷暗所(10℃)に1ヶ月保存した場合でも、風味と緑色は変化しない。
【0061】
本発明の麦若葉末の造粒物は、そのまま食品として、お菓子の感覚で食することができる。また、口当たりがよく、何度も咀嚼することによって頭脳の働きが良好となる、麦若葉の成分が体調を整える、便通がよくなる、緑色の麦若葉にはクロロフィルを多く含まれるので消臭効果(口臭除去効果)を有する、唾液などの分泌を促して虫歯予防効果を奏するなどの優れた効果を発揮する。さらに、クロロフィルなどを添加して造粒すると、口臭除去の効果が増加する。
【0062】
さらに、本発明の麦若葉末の造粒物は、動物用飼料としても有用である。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本願発明がこの実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0064】
(製造例)
背丈が約30cmで刈り取った二条大麦の若葉を水洗いし、付着した泥などを除去した。この麦若葉を、約10cm程度に切断し、その100kgを1トンの水に投入、浸漬し、90〜100℃にて3分間加熱(ブランチング処理)した。ブランチング処理した麦若葉を、直ちに4℃の冷水にて1分間浸漬し、冷却した。続いて、冷却した麦若葉を30秒間遠心分離して脱水した。脱水した麦若葉を、水分量が5%以下となるように乾燥機中、60℃にて10時間温風乾燥した後、粉砕機によって、種々の大きさに粉砕〜破砕した。
試料1:メジアン径が約20μmの麦若葉末(微粉末)
試料2:メジアン径が約300μmの麦若葉末(粗粉末)
試料3:1mmの篩上の麦若葉末
【0065】
(実施例1〜20)
試料1、試料2、および試料3のサンプルを用い、表1に示す組成(重量比)のサンプルを作成した(実施例1〜20)。各サンプルを、それぞれ捏和し、粉末を大きな塊に成形し、混練物を得た。この混練物を押出し造粒装置(スクリュー型押出造粒機:不二パウダル(株)製)を用いて押出した。押出し機の孔径は7mmとし、押出された成形物をほぼ10mmの長さとなるようにカッターでカットした。ついで、棚式乾燥機を用いて、造粒成形物を65℃で15時間、乾燥し、造粒物を得た。造粒物の水分含量は3%以下であった。なお、実施例10は、ブランチング処理の代わりに、麦若葉1000g(湿重量)あたり、2450MHz、500Wのマイクロウエーブを10分照射処理した以外は、上記麦若葉末の製造例と同様に処理して、試料2に相当する粗粉末としたものである。
【0066】
(比較例1および2)
試料1および2を用い、水の代わりにエタノールを用いた以外は、それぞれ実施例1および2と同様に造粒物を得て、評価を行った(表1を参照のこと)。
【0067】
(比較例3および4)
試料1および試料2を用い、流動層造粒機(フローコーター:フロイント産業)を用いて流動造粒を試みた。すなわち、100kgの各試料1および2それぞれに対して、給気温度120℃、排気温度45℃にて、1分間あたり1リットルの水を噴霧して造粒した。造粒には40分間を要し、乾燥には20分間を要した。乾燥終了時の排気温度は40℃であった。次いで、10分間冷却して、麦若葉乾燥末の造粒物を得た。得られたそれぞれの造粒物の性状(造粒性、食感、取扱性)を評価した。
【0068】
(1)造粒性は、以下の基準で評価した。
良:造粒がしやすく、造粒物の外観(大きさ)が良好;
やや良:ややまとまりにくいが、造粒できる;
不良:造粒しにくく、造粒物の外観(大きさ)が良くない。
【0069】
(2)食感は以下の基準で評価した。
良:歯ごたえがよく、噛むとさくっと崩壊する;
やや不良:歯ごたえがよくない;
不良:歯ごたえが悪く、口に入れるとすぐに崩壊する;
【0070】
(3)取扱性は以下の基準で評価した。
良:アルミパックへの充填に際し、粉が飛散せずに充填が容易である;
やや不良:粉が若干飛散した;
不良:粉が飛散し、スムーズに充填しにくい。
【0071】
結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0003664436
【0073】
表1の結果から、押出し成形により造粒した本発明の麦若葉末の造粒物は、優れた造粒性を示し、歯ごたえがよく、食感に優れ、取扱性にも優れていることがわかる。
【0074】
(実施例21)
試料1の麦若葉末50重量部、クロロフィル色素0.1重量部、難消化性デキストリン20重量部、ゴマペースト10重量部、トレハロース20重量部に水とエタノールの等量の混合液20重量部を添加し、混練した後、押出し成形して本発明の造粒物を得た。この造粒物は、咀嚼に必要な硬度を有するので、十分な咀嚼が得られ、麦若葉末に含まれるクロロフィルの口臭除去効果も十分発揮されており、口臭除去食品として有用であった。
【0075】
(実施例22)
実施例21の配合に加えて、3重量部の卵殻カルシウムを添加して同様に押出し成形したところ、造粒物の表面が滑らかになり、口に入れたときの食感が良く、心地よい歯ごたえがあった。
【0076】
(実施例23)
試料2の麦若葉末50重量部、難消化性デキストリン20重量部、ゴマペースト10重量部、トレハロース20重量部、乳酸菌末(ストレプトコッカス・フェカリス)1重量部に水とエタノールの等量の混合液20重量部を添加し、混練し、押出し成形して本発明の造粒物を得た。この造粒物は、咀嚼に必要な硬度を有し、咀嚼時に麦若葉末に含まれる食物繊維により口中の歯垢や食べ物のかすが吸着され、唾液の分泌も多かった。また、乳酸菌が口腔内にゆきわたり、虫歯予防食品として最適である。
【0077】
(実施例24)
試料3の麦若葉末50重量部、ビール酵母5重量部、チキンエキスパウダー20重量部、トレハロース20重量部、乳酸菌末(ストレプトコッカス・フェカリス)1重量部に水とエタノールの等量の混合液20重量部を添加し、混練し、押出し成形して本発明の造粒物を得た。この造粒物を犬や猫に与えたところ、食いつきがよいのに加えて、糞便臭の改善がみられた。
【0078】
【発明の効果】
麦若葉末に、水、または水とエタノールとを加えて混合し、捏和して得られた混練物を押出し成形し、乾燥して得られる、麦若葉末の造粒物は、造粒物が従来得られなかった大きさを有し、口中に入れたときの食感が優れ、適当な歯ごたえもあって、そのまま、食用に供される。また、麦若葉末の造粒物は、噛むことにより唾液が分泌されるので虫歯の予防になるとともに、口臭を除去する作用を有している。

Claims (7)

  1. 麦若葉末の微粉末および粗粉末と水とを混合し、捏和して得られた混練物を押出し成形し、乾燥して得られる、麦若葉末の押出し成形物。
  2. 前記混練物が、さらにエタノールを添加して得られる、請求項1に記載の麦若葉末の押出し成形物。
  3. さらに、結合剤を含有する、請求項1または2に記載の麦若葉末の押出し成形物。
  4. 麦若葉末の微粉末および粗粉末と水とを混合し、捏和する工程;
    得られた混練物を押出し成形する工程;および、
    押出し成形された成形物を乾燥する工程;を含む、麦若葉末の押出し成形物の製造方法。
  5. 前記捏和する工程においてさらにエタノールが添加される、請求項4に記載の麦若葉末の押出し成形物の製造方法。
  6. 前記捏和する工程でさらに結合剤が添加される、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記結合剤が、α化デンプン、難消化性デキストリン、オリゴ糖または乳糖である、請求項6に記載の方法。
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