JP4108213B2 - 養魚用固形飼料の製造方法 - Google Patents

養魚用固形飼料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は養魚用固形飼料の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、保湿性および保水性が高く、ソフトで魚類による摂餌性および消化吸収性が良好であり、且つしっとりしていて、ささくれや、けば立ちのない、滑らかで綺麗な外観を有し、しかも水分含量が高いにも拘わらず保形性に優れていて、変形、崩壊、凝集、ふやけなどが生じず、その上油の滲みだしや遊離、油焼けがなく、カビや腐敗臭の発生のない、高い品質を有する養魚用固形飼料を優れた成形加工性で製造する方法に関する
【0002】
【従来の技術】
従来、養魚用飼料としては、魚粉、生魚、大豆粕、サナギ等が粉末状やねり餌にして使用されてきた。しかし、近年、イワシ等の飼料用魚類の漁獲量が減少し、それに伴ってこれら従来の養魚用飼料はコストの上昇を招いている。また、これら従来の養魚用飼料は、取り扱い性に劣っていて、特に自動給餌が困難である。また、前記した従来の養魚用飼料は各種栄養成分のバランスがとれておらず、魚類による摂餌性の点でも十分に良好であるとは言えない。そこで、取り扱い性の向上、各種栄養成分のバランスの良さ、摂餌性の向上による飼料効率の改善、コストの低減などを目的として、魚粉、生魚、大豆粕などの蛋白質原料に、油脂類、穀粉、澱粉、アミノ酸、糖、ビタミン、ミネラル等の他の成分を配合し、これをペレット状に成形・加工した後に乾燥した養魚用固形飼料が近年広く使用されるようになっている。
【0003】
しかしながら、上記したペレット状の養魚用固形飼料は、固くて、魚介類による嗜好性や消化性の点で充分良好であるとは言えず、特に冬場の水温の低下した環境では魚類による摂取率が極めて低い。摂餌性を向上するために、養魚用固形飼料を予め水に浸漬して柔らかくしてから投与することも行われているが、養魚用固形飼料をそのまま直接投与できず浸漬工程を要することから、給餌に手間および時間がかかり、しかもその割りには摂餌率の向上効果が十分ではないというのが現状である。
摂餌性を良くする目的で、水分含量の多い養魚用固形飼料をそのまま直接製造することも提案されているが、その場合にも魚類による摂取率が十分に良好であるとは言えず、摂餌性に優れる養魚用固形飼料が求められてきた。
【0004】
また、従来の水分含量の高い養魚用固形飼料は、保形性に劣っていて、変形、崩壊、凝集などが生じ易く、しかも当初はソフトであるが、時間が経過するにつれて水分が失われて硬くなり易く、かかる点から、水分含量が高くても保形性に優れ、しかもソフトさを長く維持できる多加水の養魚用固形飼料が求められてきた。
【0005】
また、養魚用固形飼料は、一般に油脂類を含むことから油の滲みだしや遊離、油焼け(油脂類の変性)などが生じ易い。また、飼料中に含まれる蛋白質、アミノ酸、糖などによる製品の過度の着色が生じ易く、さらに保存性に劣り、カビや腐敗臭が発生し易いという問題があった。前記した問題を回避するためには、養魚用固形飼料製造時の温度や圧力条件を特定の範囲にしたり、養魚用固形飼料の流通や保存を低温で行う必要があり、種々の制約があった。しかも、養魚用固形飼料に生じた油の滲みだしや遊離は、飼料を投与する水質環境の汚染を招き、また油焼けや過度の着色は養魚用固形飼料の栄養価の低減や商品価値の低下の原因となっている。
【0006】
さらに、養魚用固形飼料を製造する際の工程性を良好にして生産性の向上を図るために、押出機への負荷を低く保ちながらペレットへの成形加工が容易に行える必要があるが、上記した従来のペレット状の養魚用固形飼料では飼料製造時の成形加工性が十分に良好であるとは言えず、その改良が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ペレット等の形状を有する養魚用固形飼料を製造する際の成形加工性に優れており、しかもソフトで魚類による摂餌性や消化吸収性が良好な養魚用固形飼料を提供することである。
さらに、本発明の目的は、前記した特性と併せて、保湿性および保水性が高く、ソフトであるにも拘わらず保形性に優れていて、変形、崩壊、凝集、ふやけなどが生じず、しかも水分の揮散がなくてソフトさを長く保つことができ、且つ滑らかで良好な表面を有する養魚用固形飼料を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した種々の特性と共に、さらに油の滲みだしや遊離がなくて水質環境の汚染が生じにくく、油焼けがなくて栄養成分の変性がなく、その上カビや腐敗臭の発生がないという優れた特性を有する、高品質の養魚用固形飼料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、養魚用固形飼料中に、これまで難消化性成分であるとしてその使用が顧みられてこなかったソルビトールを0.1〜5重量%という特定の量で含有させると、従来の養魚用固形飼料における上記した種々の欠点が解消されて、押出機によってペレットの固形飼料への成形加工が低い負荷で円滑に実施できること、しかもそれにより得られる養魚用固形飼料は、ソフトで魚類による摂餌性が良好で且つ消化吸収性に優れていて飼料効率が高いこと、保形性に優れていて変形、崩壊、凝集などが生じないこと、保湿性が高くソフトさを長く保つことができること、高湿度雰囲気中に放置してもふやけなどが生じないこと、滑らかで良好な表面を有すること、その上、油の滲みだしや遊離がなく水質環境の汚染が生じにくいこと、油焼けが生じず成分の変性がなく、保存性に優れ、カビや腐敗臭の発生がないことを見出した。
【0009】
さらに、本発明者らは、養魚用固形飼料中にソルビトールを0.1〜5重量%の割合で含有させる際に、養魚用固形飼料中の水分含量10重量%を超え45重量%以下にすると、養魚用固形飼料への成形加工性が一層良好になること、しかも得られる養魚用固形飼料のソフトさが増して、魚類による摂取率および消化吸収性がより良好になって飼料効率が大きく向上すること、さらに養魚用固形飼料中の水分含量を前記した10重量%を超え45重量%以下という多量にしても、養魚用固形飼料の保形性が良好で、当初の形状およびサイズが良好に保たれる得ることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) ソルビトールの含有量が0.1〜5重量%で且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下である養魚飼料用混合物を押出機で押し出した後に切断してペレットにするか、またはソルビトールを含有し且つ水分含量が45重量%を超える養魚飼料用混合物を押出機で押し出し、切断してペレットにした後に水分含量が10重量%を超え45重量%以下になるまで乾燥する、ことを特徴とするソルビトールを0.1〜5重量%の割合で含有し且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下であるペレット状の養魚用固形飼料の製造方法である(以下本発明の製造方法で得られる養魚用固形飼料を「本発明の養魚用固形飼料」ということがある)
【0011】
そして、本発明は、
(2) ペレット状の養魚用固形飼料における水分含量が15〜35重量%である前記した(1)の養魚用固形飼料の製造方法である
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるソルビトールは、糖(グルコース)のアルデヒド基を還元して第一アルコール基とした多価アルコールである。本発明で用いるソルビトールは、本発明の効果の達成に有効であり、入手が容易で、コストなどの点で好ましい。
【0013】
本発明で用いるソルビトールは、粉末状または液状のいずれであってもよく、そのうちでも粉末状のものが取り扱い性、押出機における養魚用固形飼料の造粒性などの点から好ましく用いられる。
また、ソルビトールとしては、水分含量が10重量%以下、特に2〜10重量%のものが、取り扱い性が良好で、養魚用固形飼料全体の水分含量の調整が容易になるなどの点から好ましく用いられる。
【0014】
本発明においてソルビトールを用いることによって上記した種々の優れた効果が奏される理由は明確ではないが、以下のように考えられる。
すなわち、ソルビトール中の多数の水酸基によって保水性および保湿性が増し、これが養魚用固形飼料をソフトな状態に保ち、魚類による摂餌性や消化吸収性の向上に寄与すること、またソルビトールによる前記した保水・保湿作用およびバインダー効果によって、養魚用固形飼料からの水分の揮散が防止されてソフトな状態を長く維持でき且つソフトであるにも拘わらず変形、崩壊、凝集が防止されるものと考えられる。また、その一方で、ソルビトールの添加によって養魚用固形飼料に吸湿阻止力が付与され(外部環境に対するバリヤー性が付与され)、多湿雰囲気下に放置しても養魚用固形飼料のふやけが生じないこと、さらにソルビトールの甘味性も摂餌性の向上に寄与するものと考えられる。さらに、ソルビトールが養魚用固形飼料中への油脂類の閉じ込め作用を有しこれが油の滲みだしや遊離および油焼けを防止をもたらし、そしてソルビトールの殺菌・消毒作用が養魚用固形飼料におけるカビの発生や腐敗を防止し、またソルビトールの溶融性や保水性が飼料原料の低粘度化をもたらしてペレットへの押出し時の成形加工性の向上に寄与するものと考えられる。
【0015】
養魚用固形飼料におけるソルビトールの含有量は、養魚用固形飼料の全重量に基づいて、0.1〜5重量%であることが必要であり、0.5〜4重量%であることが好ましい。ソルビトールの含有量が0.1重量%未満であると、ペレットの養魚用固形飼料を製造する際の成形加工性の向上が得られにくくなり、養魚用固形飼料の保形性、保湿性、吸湿阻止性が低下して、変形、崩壊、乾燥などが生じ易くなり、油の滲みだしや遊離の防止、油焼けの防止、カビや腐敗臭の発生防止が達成されなくなり、さらに飼料表面が平滑にならないなど、本発明の効果が得られなくなる。一方、ソルビトールの含有量が5重量%を超えると、養魚用固形飼料の消化吸収性が低下して飼料効率が低くなり、且つコストが高くなる。しかも、ソルビトールの含有量が5重量%を超えても、成形加工性の向上、保形性、保湿性、表面平滑化、油脂の滲みだしや遊離の防止、油焼けの防止、カビや腐敗臭の発生防止などに対する効果はそれ以上向上しない。
【0016】
さらに、本発明で製造する養魚用固形飼料は、その水分含量が養魚用固形飼料の全重量の基づいて10重量%を超え45重量%以下であり、15〜35重量%であることが好ましい。養魚用固形飼料の水分含量が10重量%を超え45重量%以下であることによって飼料原料混合物の粘度が低下して、ペレット状の養魚用固形飼料を押出機を使用して製造する際の成形加工性が一層良好になる。しかも、前記の水分含量である場合は、得られる養魚用固形飼料がよりソフトなものになって魚類による摂餌性および消化吸収性が一層向上し、それにも拘わらず流通、保管、投与時などに固形飼料の変形、崩壊、凝集が生じず、当初の形状が良好に保持され、取り扱い性に優れる。養魚用固形飼料の水分含量が45重量%を超えると、べとつき、つぶれ、養魚用固形飼料同士の凝集などが生じ易くなり、取り扱い性が低下し易い。
【0017】
本発明の養魚用固形飼料において、ソルビトールと共に用いる飼料用原料としては、一般の養魚用固形飼料におけるのと同様のものを用いることができ、具体的には、魚粉、肉粉、骨肉粉、オキアミミール、イカミール、全卵粉、卵黄粉、卵白粉、脱脂粉乳、全脂粉乳、カゼイン、プランクトン、その他の動物性蛋白質原料;大豆粕、小麦グルテン、コーングルテン、豆類などの植物性蛋白質原料;小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉などの穀粉;小麦澱粉、米澱粉、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉などの澱粉類;糟糠類、油粕、大豆粕、飼料用酵母、その他の植物性原料;植物性油、動物性油脂などの油脂類;ビタミン、ミネラル、アミノ酸、糖、蛋白質、酵素、核酸等の栄養成分;抗生物質、抗菌剤、生薬、ホルモン剤、成長促進剤等の薬剤;着色料、香料、嗜好性物質、抗酸化剤等などの成分;カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、各種ガム類、ポリアクリル酸ナトリウムなどの粘結剤などを挙げることができ、これらの原料成分のうちから、養魚用固形飼料を供与する魚の種類や月齢等に応じて適当なものを選択し配合して用いればよい。
【0018】
そのうちでも、本発明の養魚用固形飼料では、取り扱い性およびコストなどの点から、蛋白質原料として、魚粉、エビミール、オキアミミール、肉粉、骨肉粉、生肉および/または大豆粕が好ましく用いられ、特に大豆粕、魚粉、エビミールおよび/またはオキアミミールがより好ましく用いられる。
【0019】
また、油脂類としては、上述のように、植物性油および/または動物性油脂のいずれもが使用できるが、摂餌性に優れる養魚用固形飼料が得られる点から、魚油が特に好ましく用いられる。
【0020】
本発明の養魚用固形飼料は、ソルビトールを0.1〜5重量%、前記した動物性蛋白質原料および/または植物性蛋白質原料を10〜85重量%、小麦粉などの穀粉類や澱粉類(澱粉質結合剤)を15〜50重量%、油脂類を0〜30重量%、並びにビタミン、ミネラル、その他の成分を0〜10重量%の割合で含有し且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下であるのが好ましく、特に、ソルビトールを0.5〜4重量%、前記した動物性蛋白質原料および/または植物性蛋白質原料を30〜70重量%、小麦粉などの穀粉類や澱粉類(澱粉質結合剤)を20〜40重量%、油脂類を5〜20重量%、並びにビタミン、ミネラル、その他の成分を5〜10重量%の割合で含有し且つ水分含量が15〜35重量%であるのがより好ましい。本発明の養魚用固形飼料がかかる配合よりなる場合は、養魚用固形飼料を製造する際の作業性、取り扱い性、成形加工性がより良好になり、ソフトで魚類による摂餌性および消化吸収性が極めて良好で、しかもソフトであるにも拘わらず、変形、崩壊、凝集、べとつきなどが生じず、乾燥しにくく、ふやけが生じず、その上油の滲みだしや遊離、油焼けがより良好に防止された、極めて高品質のものとなる。
【0021】
本発明で製造される養魚用固形飼料は、ペレット状であることによって、製造容易、大量生産でき、取り扱い性に優れている
【0022】
また、養魚用固形飼料の寸法は、給与対象である魚介類の種類や大きさなどに応じて種々異なり得るが、一般に最大部分の寸法が2〜45mm程度、最小部分の寸法が2〜30mm程度の範囲であるようにしておくのが、魚介類による嗜好性、製造の容易性などの点から好ましい。養魚用固形飼料がペレット状である場合は、直径を2〜30mm程度、特に3〜20mm程度、および長さを2〜45mm程度、特に3〜30mm程度にしておくのが、製造の容易性、取り扱い性、摂餌性、消化吸収性などの点から好ましい。
【0023】
本発明の養魚用固形飼料は、その硬度が、以下の実施例の項に記載する方法で測定して、0.2〜2.5kg/cm2の範囲であることが、摂餌性、消化吸収性、取り扱い性、崩壊防止や変形防止などの点から好ましい。
【0024】
本発明では、下記の(i)または(ii)の方法、すなわち、
(i) ソルビトールと共に上記したような飼料用原料を使用して、ソルビトールの含有量が0.1〜5重量%で且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下である混合物とし、これを押出機を使用して押し出し、切断して、ペレットにする方法;または、
(ii) ソルビトールと共に上記したような飼料用原料を使用して、水分含量が45重量%を超える混合物とし、これを押出機を使用して押し出し、切断してペレットにした後、その水分含量が10重量%を超え45重量%以下になるまで乾燥する方法;
により養魚用固形飼料を製造する
【0025】
そのうちでも、上記(i)の方法が、押出機用いて水分含量が10重量%を超え45重量%以下である養魚用固形飼料をそのまま直接製造することができ、水分含量を調整するための乾燥工程が不要であって、工程性および熱効率などの点に優れている点から好ましく採用される。
押出機を使用して上記した(i)または(ii)の方法によって養魚用固形飼料を製造する本発明の方法による場合は、一般に、約3〜15kg/cm2の低い吐出圧力(ダイス圧)で、ペレット状の養魚用固形飼料をダイス部での目詰まりなどを生ずることなく、生産性良く円滑に製造することができる
【0026】
養魚用固形飼料を製造する際の原料成分の混合方法や混合順序は特に制限されないが、飼料原料中へのソルビトールの添加を混合の初期の段階で行うのが、飼料製造時の成形加工性が良好になり且つソルビトールが飼料中に均一に分散して得られる養魚用固形飼料の品質が良好になる点から好ましい。
【0027】
本発明の養魚用固形飼料は、常温で保存、流通しても、冷蔵温度で保存、流通しても、または冷凍状態で保存、流通してもよく、特に冷蔵温度で保存、流通するのが、取り扱い性、腐食や変質の防止、魚類による摂餌性などの点から好ましい。
【0028】
本発明の養魚用固形飼料は、ブリ、ハマチ、マダイ、ウナギ、コイ、アユ、サケ、マス類、ヒラメ、カレイ、トラフグ、マグロ、カンパチ、ハタ等の魚類、エビ、カニ等の甲殻類などの魚介類またはそれらの幼魚等の養魚用飼料として適しており、特にブリおよびマダイ用の養魚用飼料として適している。
特に、本発明の養魚用固形飼料を直径1.5〜5mm、長さ1.5〜8mm程度の比較的小さな寸法のペレット状にした場合には、前記した魚介類の幼魚が摂取し易く、しかも硬度が低くて、魚の消化管内で簡単に崩れるので消化吸収され易く、魚介類の成長を大きく促進することができる。
本発明の養魚用固形飼料の魚類への投与方法は特に制限されず、例えば、人で散布して投与しても、自動散布装置を用いて投与してもよい。
【0029】
【実施例】
以下に、例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
以下の例において、養魚用固形飼料の製造時の成形加工性の評価は、ペレット状養魚用固形飼料を製造する際の押出機のダイス先端部分に取り付けた圧力計で押出機にかかる負荷(kg/cm2)を測定することにより行った。
また、得られた養魚用固形飼料の硬度、水分含量、油の滲みだしの有無、油焼けの有無および表面の状態(平滑性)、並びに養魚用固形飼料の摂餌性の測定または評価は次の方法により行った。
【0030】
[養魚用固形飼料の硬度の測定方法]
下記の実施例または比較例で得られた養魚用固形飼料において、変形や崩壊の生じていない正常な養魚用固形飼料(ペレット)を1粒とり、その養魚用固形飼料を、単品製作の先端の尖った針状のアタッチメントを取り付けた硬度測定装置(木屋式硬度計「KHT−20」)のステージ上に寝かせて載置し、該ペレット状養魚用固形飼料の側周面(長さ方向)の中央部分に前記したアタッチメントによって垂直上方から荷重をかけ、養魚用固形飼料が破砕したときの荷重を測定した。各実施例または比較例の養魚用固形飼料について同じ測定操作を12回繰り返して行い、その最大値と最小値を除いた20回の測定結果の平均値を採って、養魚用固形飼料の硬度(kg/cm2)とした。
【0031】
[養魚用固形飼料の水分含量の測定方法]
養魚用固形飼料を135℃で2時間乾燥して、下記の数式から養魚用固形飼料の水分含量(重量%)を求めた。
【0032】
【数1】
養魚用固形飼料の水分含量(重量%)={(Wo−Wd)/Wo}×100
[式中、Woは乾燥前の養魚用固形飼料の重量(初期重量)、Wdは乾燥後の養魚用固形飼料の重量を示す。]
【0033】
[養魚用固形飼料における油の滲みだしの有無の評価]
下記の実施例または比較例で得られた養魚用固形飼料10gをクラフト袋用紙上に単層状に敷き詰め、そのまま室温にて1カ月間放置した後、クラフト袋用紙上の油性物質の滲みを目視により観察して、油の滲みが全く生じていない場合を○、油の滲みが少しある場合(滲みの面積が試料と紙の接触面積の1/2以下の場合)を△、および油の滲みが多い場合(滲みの面積が試料と紙の接触面積の1/2を超える場合)を×として評価した。
【0034】
[油焼けの有無および表面状態(平滑性)の評価]
下記の実施例または比較例で得られた養魚用固形飼料をポリエチレン製袋内に充填して密封包装し、室温下に1カ月間保存した後、袋より取り出して、10名の成人パネルに目視で観察してもらい、油焼けについては油焼けが無い場合を+1点および油焼けが有る場合を−1点として点数評価してもらい、また表面の平滑性については平滑である場合を+1点およびささくれやけば立ちがあり平滑でない場合を−1点として点数評価してもらい、10名のパネルの点数を合計して、判定結果とした。
【0035】
[養魚用固形飼料の摂餌性の評価]
温度23℃の水を1,000リットル入れた養殖水槽中に、ブリの幼魚(平均体重約100g/匹)を100匹ずつ入れたものを3区分用意し、各々の水槽に下記の実施例または比較例で得られた養魚用固形飼料を0.4kg投与し、投与5分後にその摂取状態を観察して、摂取率が100%である場合を○とし、摂取率が80%以上100%未満の場合を△とし、摂取率が80%未満の場合を×として評価した。
【0036】
《実施例1》
(1) 下記の表1に示した養魚用固形飼料用の基本配合を準備した。
【0037】
【表1】
Figure 0004108213
【0038】
(2) 上記の表1に示した基本配合における魚油以外の原料を混合し(合計81.0重量部)、これに液状のソルビトール[東和化成工業株式会社製「ソルビットT−70」(登録商標)]3.25重量部(4重量%)を添加して均一に混合した後、この混合物を、一軸押出機[上田鉄工(株)製;EP50)のフィーダーに1時間当たり65kgの割合で供給するとともに、該フィーダー部に魚油を1時間当たり14.6kgおよび水を1時間当たり13リットルの割合で供給し、さらに押出機に加熱水蒸気を1時間当たり13kgおよび水を1時間当たり7リットルの割合で供給して、バレル内温度を105℃に保ちながらスクリュー回転数400rpm、圧力5kg/cm2で混練した後、直径3.5mmの孔を有するダイから棒状に押出し、カッターで長さ4.5mmに切断して、ペレットをつくり、このペレットを温度10℃の水中に10秒間浸漬した後、取り出して、温度30℃、湿度30%の条件下に約12時間放置して、養魚用固形飼料を得た。なお、このペレット状養魚用固形飼料の製造時の押出機のダイス先端部分における負荷は8kg/cm2であった。
【0039】
(3) 上記(2)で得られた養魚用固形飼料の硬度、水分含量、油の滲みだしの有無、油焼けの有無および表面の平滑性の測定または評価を上記した方法で行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)で得られた養魚用固形飼料の摂餌性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0040】
《実施例2》
(1) 液状のソルビトール3.25重量部の代わりに粉末状のソルビトール[東和化成工業株式会社製「ソルビットD−パウダー」(登録商標)]3.25重量部(4重量%)を用いた以外は、実施例1の(1)と同じ基本配合を用い、実施例1の(2)と同じ操作を行って、ペレット状の養魚用固形飼料を製造した。なお、このペレット状養魚用固形飼料の製造時の押出機のダイス先端部分における負荷は12kg/cm2であった。
(2) 上記(1)で得られた養魚用固形飼料の硬度、水分含量、油の滲みだしの有無、油焼けの有無および表面の平滑性の測定または評価を上記した方法で行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) また、上記(1)で得られた養魚用固形飼料の摂餌性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0041】
《比較例1》
(1) ソルビトールを用いなかった以外は、実施例1の(1)と同じ基本配合を用い、実施例1の(2)と同じ操作を行って、ペレット状の養魚用固形飼料を製造した。なお、このペレット状養魚用固形飼料の製造時の押出機のダイス先端部分における負荷は15kg/cm2であった。
(2) 上記(1)で得られた養魚用固形飼料の硬度、水分含量、油の滲みだしの有無、油焼けの有無および表面の平滑性の測定または評価を上記した方法で行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) また、上記(1)で得られた養魚用固形飼料の摂餌性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0042】
【表2】
Figure 0004108213
【0043】
上記の表2の結果から、ソルビトールを0.1〜5重量%の範囲内で含有し且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下である実施例1および2の養魚用固形飼料では、ソルビトールを含有しない比較例1の養魚用固形飼料に比べて、ペレット製造時に押出機にかかる負荷が小さくて飼料製造時の成形加工性に優れていることがわかる。
さらに、実施例1および2の養魚用固形飼料は、比較例1の養魚用固形飼料に比べて保水率が高くて硬度が低く、その結果魚による摂餌性に優れていることがわかる。
また、実施例1および2の養魚用固形飼料は、油の滲みだしおよび油焼けがなく、表面の平滑性に優れ、高い品質を有しており、一方ソルビトールを含有しない比較例1の養魚用固形飼料は油の滲みだしおよび油焼けがあり、表面にささくれやけば立ちがあり、実施例1および2のものに比べて品質に劣ることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明による場合は、押出機によってペレットの養魚用固形飼料を製造する際に、成形加工装置への負荷が低く、良好な成形加工性で、生産性良く円滑に製造することができる。
そして、本発明による場合は、飼料中の水分を低減させるための加熱乾燥工程を省略して、水分含量を10重量%を超え45重量%以下の高い範囲にすればよいので、乾燥時の加熱による栄養成分の変性が生じず、また飼料製造工程が簡略化でき、熱効率の点でも有利である。
本発明により得られる養魚用固形飼料は、ソフトで魚類による摂餌性が良好であり、しかも消化吸収性に優れ、飼料効率が高い。しかも、本発明の養魚用固形飼料は、ソフトであるにも拘わらず、変形、崩壊、べとつき、凝集が生ず、取り扱い性に優れている。
さらに、本発明により得られる養魚用固形飼料は、水分の揮散が少なく、ソフトな状態を長く保つことができ、その一方で高湿度雰囲気下に置いても雰囲気湿度の養魚用固形飼料への移行が生じず、養魚用固形飼料のふやけやべたつきが生じない。
また、本発明により得られる養魚用固形飼料は、油の滲みだしや遊離がなく、水質環境の汚染が生じにくい。
そして、本発明により得られる養魚用固形飼料は、油焼けが生じず成分の変性がなく、さらにテリのある良好な外観を有する。
さらに、本発明により得られる養魚用固形飼料は、保存性に優れ、カビや腐敗臭の発生がない。

Claims (2)

  1. ソルビトールの含有量が0.1〜5重量%で且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下である養魚飼料用混合物を押出機で押し出した後に切断してペレットにするか、またはソルビトールを含有し且つ水分含量が45重量%を超える養魚飼料用混合物を押出機で押し出し、切断してペレットにした後に水分含量が10重量%を超え45重量%以下になるまで乾燥する、ことを特徴とするソルビトールを0.1〜5重量%の割合で含有し且つ水分含量が10重量%を超え45重量%以下であるペレット状の養魚用固形飼料の製造方法。
  2. ペレット状の養魚用固形飼料における水分含量が15〜35重量%である請求項1に記載の養魚用固形飼料の製造方法
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