JP3664372B2 - ジッタ計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号の時間軸方向のゆらぎ(ジッタ)を計測するジッタ計測装置に関するものである。更に詳しくは、EFM変調等のように離散的にパルス幅変調された入力信号に対して、パルス幅を計測するためのクロックの周期を自動的に求める機能を備えたジッタ計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術に先立ち、ジッタ計測装置において行うディジタル変調について説明する。
光ディスク等のディスクドライブでは入力信号(アナログ信号)にディジタル変調を施し、これにより得たディジタルデータを光ディスクに書き込む。
【0003】
図5はディジタル変調を説明するための信号タイムチャートである。
図5で、入力信号は比較回路によりパルス信号に変換されてデータDとなる。データDのパルス幅をクロックCで計測する。クロックCの周期をTとすると、図の例では3T,5T,11T,6Tのパルス幅が計測される。このようにして得たパルス幅のデータDが光ディスク等のメディアに書き込まれる。クロックCは、メディアに書き込まれるものではないが、ここでは説明のため併記する。
なお、CD等のROMメディアでは、既にデータDのようなパルス信号が書き込まれている。
【0004】
データDは、クロック周期Tの整数倍のパルス幅のみを持った信号である。その倍数αは変調方式によって値が決められている。例えば、CD(コンパクト・ディスク)で採用されているEFM変調ではαは、3〜11の整数のみに限られる。つまり、パルス幅の取り得る値はαT(α:3〜11の整数)の長さのみになる。
その他の変調方式としては、EFM-plus、(1−7)RLL、(2−7)RLL等があり、それぞれαの取り得る値が決められている。
【0005】
上述したようなディジタル変調信号の評価には、各整数αごとに分離されるパルス幅毎の精度やばらつきを計測する必要がある。計測器としては、タイムインターバルアナライザが一般的に使われる。
図6は計測したパルス幅のデータ分布例を示した図である。
図6では、縦軸に度数を、横軸にパルス幅をとっている。
パルス幅の計測結果はαごとに分離されて、例えば図6のようなヒストグラムで表示される。このように各ヒストグラムごとにデータ分布のばらつきを評価するには、それぞれのヒストグラムを計測データから分離できなければならない。そのためにはクロック周期Tの値を計測器が認識できる必要がある。
【0006】
図7及び図8はクロック周期Tの値を設定できるジッタ計測装置の従来例を示した図である。図7の装置はユーザがクロック周期Tの値を入力する構成の従来例で、図8の装置はデータ入力端子とクロック入力端子を併せ持った従来例である。データ入力端子には入力信号が入力される。
【0007】
図7で、比較回路1はデータ入力端子11から入力される入力信号を所定の基準レベルと比較してパルス信号に変換する。時間計測回路2は、連続して変換されたパルス信号のパルス幅や周期を計測する。アクイジションメモリ3は時間計測回路2により得た計測データをストアする。コントローラ4は計測制御、データ演算、表示制御を行う。表示器5は計測結果を表示する。
【0008】
コントローラ4で、T値設定手段41はクロック周期Tの値を設定する。T値設定メモリ42は設定したクロック周期Tの値を格納する。データ演算表示制御手段43は、T値設定メモリ42からクロック周期Tの値を読み出し、読み出した値を用いてパルス幅を求める演算を行うとともに、演算結果の表示を制御する。
【0009】
図8で、比較回路6はクロック入力端子61から入力されたクロックを波形整形する。周期計測回路7は、波形整形したクロックの周期を計測する。
データ演算表示制御手段43は、周期計測回路7により計測したクロック周期をもとにパルス幅を求める。
【0010】
図7の従来例では、ユーザがクロック周期の値を入力しているため、クロック周期が計測ごとに変化してしまうシステムでは、その計測ごとに異なるクロック周期の値を入力しなければならない。このため、操作が面倒になるという問題点があった。
【0011】
図8の従来例では、データのパルス幅を計測する回路の他にクロック周期を計測する回路も必要になるため、回路構成が複雑になるという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ディジタル変調方式を設定することと、パルス信号を入力するだけで、クロック周期を自動的に求める構成にすることによって、クロック周期が計測ごとに変化する場合にも容易に対応でき、簡単な回路構成でクロック周期を求めることができるジッタ計測装置を実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のとおりの構成になったジッタ計測装置である。
【0014】
(1)入力信号のジッタを計測するジッタ計測装置において、
入力信号を所定の基準レベルと比較してパルス信号に変換する比較回路と、
この比較回路により得たパルス信号のパルス幅を計測する時間計測回路と、
この時間計測回路で計測したデータ群を保持する第1のメモリと、
この第1のメモリに保持したデータ群を読み出して加算する加算手段と、
ディジタル変調方式を設定し、設定した方式により一意的に決まる定数βを第2のメモリに格納する設定手段と、
前記加算手段の加算値を前記データ群の全サンプル数Nで除算する第1の除算手段と、
この第1の除算手段の除算値を前記第2のメモリから読み出した定数βで除算し、前記パルス信号のパルス幅の計測に用いる計測クロックの周期を算出する第2の除算手段と、
を有することを特徴とするジッタ計測装置。
【0015】
(2)入力信号のジッタを計測するジッタ計測装置において、
入力信号を所定の基準レベルと比較してパルス信号に変換する比較回路と、
計測対象となるパルス信号が発生し続ける時間をカウントするタイムスタンプカウンタと、
計測対象となるパルス信号の数をカウントするサンプル数カウンタと、
ディジタル変調方式を設定し、設定した方式により一意的に決まる定数βをメモリに格納する設定手段と、
前記タイムスタンプカウンタのカウントを前記サンプル数カウンタのカウントNで除算する第1の除算手段と、
この第1の除算手段の除算値を前記メモリから読み出した定数βで除算し、前記パルス信号のパルス幅の計測に用いる計測クロックの周期を算出する第2の除算手段と、
を有することを特徴とするジッタ計測装置。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の一実施例を示す構成図である。図1で前出の図と同一のものは同一符号を付ける。
【0017】
図1で、8は計測制御、データ演算、表示制御等を行うコントローラである。
加算手段81は、アクイジションメモリ3に保持した計測データのデータ群を読み出して加算する。
設定手段82は、ディジタル変調方式を設定し、設定した方式により一意的に決まる定数βを変調方式メモリ83に格納する。
【0018】
1/N除算手段84は、加算手段81の加算値を計測データ群の全サンプル数Nで除算する。
全サンプル数Nは、例えば次のことから認識できる。
計測を行うときにパルス幅を計測するパルス信号の数を予め設定しておく。設定値だけのパルス信号について計測を行ったところで終了する。
決められた時間だけパルス幅を計測する。このとき、パルス信号のエッジをもとにしてパルス幅を計測したパルス信号の数をカウントする。
【0019】
1/β除算手段85は、1/N除算手段84の除算値を変調方式メモリ83から読み出した定数βで除算し、クロック周期Tを算出する。
データ演算表示制御手段86は、算出したクロック周期Tをもとにパルス幅を求めるとともに、表示制御をする。
【0020】
図1の実施例の動作を説明する。図2はクロック周期を求める手順を示したフローチャートである。フローチャートのステップ順に従って動作を説明する。
(S1)設定手段82によりディジタル変調方式を設定する。
(S2)設定した変調方式により一意的に決まる定数βを変調方式メモリ83に格納する。
(S3)加算手段81によりパルス幅の計測値を加算する。
(S4)1/N除算手段84により加算値をサンプル数Nで除算する。
(S5)変調方式メモリ83から定数βを読み出す。
(S6)1/N除算手段84の除算値を定数βで除算し、クロック周期Tを算出する。
【0021】
図3は計測したパルス幅のデータ分布例を示した図である。
図3では、縦軸に度数を、横軸にパルス幅をとっている。
計測対象とするパルス信号はそのパルス幅がクロック周波数Tの整数倍になる。ランダマイズすることにより各パルス幅のパルス信号の発生頻度は一定になっている。
【0022】
パルス幅の計測データの全データ数はNで、各ヒストグラムのデータ数(度数)はNα(αは3〜11の整数)である。Nαはパルス幅がαTになったパルス信号のデータ数である。各パルス幅のパルス信号の発生頻度は一定であるということは、
Nα/N=Constant
ということである。
このように各パルス幅のパルス信号の発生頻度が一定であることは、全パルス信号のパルス幅の平均値も一定値になることを示す。パルス幅の平均値は定数βを用いてβTと表現できる。定数βはディジタル変調方式によって一意的に決まるものである。
【0023】
このことから、全パルス信号のパルス幅の平均値を演算で求めることで、βTを算出できる。
全パルス信号のパルス幅の平均値は次式で与えられる。
個々の連続したパルス幅データをPWi(i=1〜N)とすると、全パルス信号のパルス幅の平均値PWaveは以下のようになる。
Figure 0003664372
▲1▼式でPWaveの値は計測によって得られ、βの値は変調方式によって一意的に決まる。従って、▲1▼式から未知の値Tが求められる。
【0024】
図4は本発明の他の実施例の構成図である。
図4で、タイムスタンプカウンタ91は、計測対象となるパルス信号が発生し続ける時間をカウントする。
サンプル数カウンタ92は、計測対象となるパルス信号の数N(サンプル数)をカウントする。
1/N除算手段84は、タイムスタンプカウンタ91のカウントをサンプル数カウンタ92でカウントしたサンプル数Nで除算する。
以降の演算は図1の実施例と同様である。
タイムスタンプカウンタは、一般的なタイムインターバルアナライザには機能としてもともと存在するものである。
【0025】
図4の実施例では、連続計測されたN個のサンプルのタイムスタンプデータからクロック周期Tを求める。クロック周期の求めかたを以下に説明する。
各パルス信号のタイムスタンプ(計測開始を0secとして、計測値が発生した時間)をT STAMPiとすると、N番めのパルス信号のタイムスタンプはT STAMPNで表せる。ここで、連続測定されていることを考慮するとN番めのタイムスタンプは全パルス信号のパルス幅の積算値になるので、T STAMPNは以下のとおりになる。
N STAMPN=ΣPWi=βTi=1N番めのタイムスタンプデータを使って、βTが以下のように求められる。
(1/N)T STAMPN=βT ▲2▼▲2▼式でサンプル数Nはサンプル数カウンタ92で計測され、T STAMPNはタイムスタンプカウンタ91で計測される。βの値は変調方式によって一意的に決まる。従って、▲2▼式から未知の値Tが求められる。
【0026】
以上説明したように、図1及び図4の実施例のいずれの場合も、βがディジタル変調方式により一意的に決まることを利用して、クロック周期Tを算出することができる。
【0027】
本発明により、ディジタル変調方式を設定することと、パルス信号を入力するだけで、クロック周期Tを算出することができる。
一般的にパルス幅の計測値のばらつきは計測値の標準偏差σが用いられるが、クロック周期がダイナミックに変化するシステムでは、計測値の標準偏差σもクロック周期に応じて変化する。このような場合、クロックの影響を受けないパラメータとして、標準偏差σをクロック周期Tで割った値σ/Tが利用される。
このような方式を採用すれば、クロック周期が変化するシステムにおいても、パルス信号を入力だけでσとTが求められるので、σ/Tも自動的に計測できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果が得られる。
【0029】
請求項1の発明によれば、ディジタル変調方式を設定することと、パルス信号を入力するだけで、クロック周期を自動的に求めることができる。このため、クロック周期が計測ごとに変化する場合にも容易に対応でき、簡単な回路構成でクロック周期を自動的に求めることができる。
【0030】
請求項2の発明によれば、カウンタを付加した簡単な構成の回路でジッタ計測に用いるクロック周期を自動的に求めることができる。
【0031】
以上説明したように本発明によれば、クロック周期が計測ごとに変化する場合にも容易に対応でき、簡単な回路構成でクロック周期を自動的に求めるジッタ計測装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の動作説明図である。
【図3】本発明の動作説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の構成図である。
【図5】ディジタル変調を説明するための信号タイムチャートである。
【図6】計測したパルス幅のデータ分布例を示した図である。
【図7】ジッタ計測装置の従来例を示した図である。
【図8】ジッタ計測装置の従来例を示した図である。
【符号の説明】
1 比較回路
2 時間計測回路
3 アクイジションメモリ
8 コントローラ
81 加算手段
82 設定手段
83 変調方式メモリ
84 1/N除算手段
85 1/β除算手段
91 タイムスタンプカウンタ
92 サンプル数カウンタ

Claims (2)

  1. 入力信号のジッタを計測するジッタ計測装置において、
    入力信号を所定の基準レベルと比較してパルス信号に変換する比較回路と、
    この比較回路により得たパルス信号のパルス幅を計測する時間計測回路と、
    この時間計測回路で計測したデータ群を保持する第1のメモリと、
    この第1のメモリに保持したデータ群を読み出して加算する加算手段と、
    ディジタル変調方式を設定し、設定した方式により一意的に決まる定数βを第2のメモリに格納する設定手段と、
    前記加算手段の加算値を前記データ群の全サンプル数Nで除算する第1の除算手段と、
    この第1の除算手段の除算値を前記第2のメモリから読み出した定数βで除算し、前記パルス信号のパルス幅の計測に用いる計測クロックの周期を算出する第2の除算手段と、
    を有することを特徴とするジッタ計測装置。
  2. 入力信号のジッタを計測するジッタ計測装置において、
    入力信号を所定の基準レベルと比較してパルス信号に変換する比較回路と、
    計測対象となるパルス信号が発生し続ける時間をカウントするタイムスタンプカウンタと、
    計測対象となるパルス信号の数をカウントするサンプル数カウンタと、
    ディジタル変調方式を設定し、設定した方式により一意的に決まる定数βをメモリに格納する設定手段と、
    前記タイムスタンプカウンタのカウントを前記サンプル数カウンタのカウントNで除算する第1の除算手段と、
    この第1の除算手段の除算値を前記メモリから読み出した定数βで除算し、前記パルス信号のパルス幅の計測に用いる計測クロックの周期を算出する第2の除算手段と、
    を有することを特徴とするジッタ計測装置。
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